弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を禁錮六月に処する。
     但し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
     原審における訴訟費用は、全部被告人の負担とする。
         理    由
 本件控訴の趣意は、弁護人内田博、同武田峯生名義の控訴趣意書に記載のとおり
であるから、ここにこれを引用する。
 事実誤認を主張する論旨について
 原判決挙示の関係各証拠によれば、原判示各事実は、これを肯認するに足り、所
論に徴して記録を精査検討するも、原判決に所論のような事実誤認の疑いは毫も存
しない。
 すなわち、まず、原判決挙示の実況見分調書によれば、被告人が無免許で大型特
殊自動車(ロード・ローラー)を運転したとされる原判示第一の道路は、長野県々
道にして、本来、一般通行の用に供する道であつたことが明らかであるから、道路
法第二条第一項第三条第四号所定の道路にあたり、したがつて、道路交通法第六四
条、第二条第一七号、第一号により、本件自動車の如き車両等の運転には免許を要
する道路交通法上の道路と認められることもまた明らかである。所論は、被告人が
本件自動車を運転した区間は、道路工事のため、道路標識をもつて一般の通行が禁
止された場所であるから、道路交通法にいわゆる道路ではない旨、縷々主張する
が、所論のような通行の禁止は、道路管理者が、一定の場合に、道路の構造保全、
または、交通の危険を防止するため、一時的に行なう道路管理上の措置に過ぎない
(道路法第四六条第一項、第四八条第一、二項参照)のであり、むしろ、道路本来
の目的効用を達成するための措置であつて、それが道路たることを否定するもので
はない。これを、運転免許制度の趣旨からみても、同制度は、道路における車両に
よる危険の防止を図らんとするにあるものであるところ、所論のような通行禁止の
標識のみをもつてしては禁止区間内に一般通行人が立ち入ることを完全に防止しう
るものではないのみらず、右にいわゆる危険とは、ただに一般通行人に対する危険
に限らず、所論のような通行禁止区間内において工事に従事する者、あるいは、同
区間内に存する物<要旨>に対する危険等、ひろく、一切の危険を含むものと解すべ
きであるから、たとえ、所論のように道路標識が設置されて一般の通行が禁
止され、かつ、被告人の運転した自動車が工事用の自動車で、その運転区間も右通
行禁止区間内に止まるとしても、本件の如き自動車の運転に免許を要しないものと
する合理的根拠とはなしがたい。以上の諸点に関する所論はすべて独自の見解とい
うほかなく、論旨は採用の限りではない。
 所論は、つぎに、原判示第二の事実について、被告人の注意義務を争うが、関係
証拠によれば、本件事故発生当時、被害者は、果して、原判示松丸太の集積してあ
る上に居たものか、上としても集積材の前後いずれの部分に居たのか、あるいはま
た、足を路上にして腰を下していたものか、僅か四才の幼児が友人と遊んでいたも
のであるから、終始静止していたとは思われないだけに、必ずしも、厳密にはその
場所を確認しがたいが(原判決がこれを「松丸太材附近」と認定しているのはその
趣旨に出るものと解され、これをもつて事実の誤認というには足りない。)、所論
のように被害者が松丸太材の上に居たとしても、同所附近の原判示道路は、当時、
その南側部分が舗装工事中であり、被告人は本件自動車を運転して右道路の南側端
寄りの部分をならす作業に従事していたものであるところ、道路南側端沿いには、
幅約四〇センチメートルの側溝が設けられ、さらに該側溝の南側には、これに殆ん
ど土台を接して人家が軒を連ねており、原判示松丸太材は、右側溝の上に横木を渡
し(横木の端は道路の部分にはみ出している。)、それを台にし、道路に沿うて側
溝の上に積み重ねられていた長さ約三・八メートル、太さ一〇ないし一五センチメ
ートルの材木の集積であり、その下側端は道路舗装部分に接続して積み重ねられて
いたことが認められるのであるから、かかる現場の状況の下において前記の如く作
業に従事する被告人としては、本件自動車と右松丸太材との接触に伴う原判示幼児
に対する危険を回避するため、原判示のような注意を払うべきは当然であり、した
がつて、被告人に原判示過失の認められるべきことは多言を要しない。所論は、本
件被害者の遊んでいた場所が道路外(工事現場外)であるから、右被害者に対する
注意義務はないと主張するが、該部分が道路の一部と認むべきかどうかはともか
く、道路舗装部分と松丸太材との接着している前記状況に照らせば、あえて所論の
如く道路の内外を論じて被告人の過失責任を免れうべき状況とは認められない。こ
の点に関する論旨もまた、理由がない。
 (その余の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 三宅富士郎 判事 石田一郎 判事 金隆史)

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