弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人の上告理由について。
 所論は、民法七六二条一項は、憲法二四条に違反するものであると主張し、これ
を理由として、原審において右民法の条項が憲法二四条に違反するものとは認めら
れず、ひいて右民法の規定を前提として、所得ある者に所得税を課することとした
所得税法もまた違憲ではないとした原判決の判示を非難するのである。
 そこで、先ず憲法二四条の法意を考えてみるに、同条は、「婚姻は……夫婦が同
等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならな
い。」、「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に
関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚し
て、制定されなければならない。」と規定しているが、それは、民主主義の基本原
理である個人の尊厳と両性の本質的平等の原則を婚姻および家族の関係について定
めたものであり、男女両性は本質的に平等であるから、夫と妻との間に、夫たり妻
たるの故をもつて権利の享有に不平等な扱いをすることを禁じたものであつて、結
局、継続的な夫婦関係を全体として観察した上で、婚姻関係における夫と妻とが実
質上同等の権利を享有することを期待した趣旨の規定と解すべく、個々具体の法律
関係において、常に必らず同一の権利を有すべきものであるというまでの要請を包
含するものではないと解するを相当とする。
 次に、民法七六二条一項の規定をみると、夫婦の一方が婚姻中の自己の名で得た
財産はその特有財産とすると定められ、この規定は夫と妻の双方に平等に適用され
るものであるばかりでなく、所論のいうように夫婦は一心同体であり一の協力体で
あつて、配偶者の一方の財産取得に対しては他方が常に協力寄与するものであると
しても、民法には、別に財産分与請求権、相続権ないし扶養請求権等の権利が規定
されており、右夫婦相互の協力、寄与に対しては、これらの権利を行使することに
より、結局において夫婦間に実質上の不平等が生じないよう立法上の配慮がなされ
ているということができる。しからば、民法七六二条一項の規定は、前記のような
憲法二四条の法意に照らし、憲法の右条項に違反するものということができない。
 それ故、本件に適用された所得税法が、生計を一にする夫婦の所得の計算につい
て、民法七六二条一項によるいわゆる別産主義に依拠しているものであるとしても、
同条項が憲法二四条に違反するものといえないことは、前記のとおりであるから、
所得税法もまた違憲ということはできない。
 されば右説示と同趣旨に出た原判決は正当であつて、所論は採るを得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり判決する。
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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