弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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             主     文
   被告人を懲役4年に処する。
   未決勾留日数中140日をその刑に算入する。
              理     由
(罪となるべき事実)
 被告人は,
第1 平成14年3月下旬ころの早朝,広島市a区b町c番d号所在のA郵便局北
側の歩道上において,何者かに盗まれた後,無施錠のまま同所に置き去りにされて
いたB所有の自転車1台(時価約1万円相当)を発見したのに,これを自己の用に
供するために,ほしいままに同所から乗り去って横領した
第2 同年6月1日午前4時30分ころ,駐車中の自動車内から金品を窃取しよう
として,株式会社C代表取締役Dが看守する広島市e区f町g番h号所在のEビル
の1階車庫に侵入したものの,めぼしい金品を発見できなかったことから,その腹
いせをするとともに,たまっていたストレスを発散し,さらに,遺留指紋等の罪証
を隠滅するために同車庫に放火しようと考え,同所に駐車してあった軽四輪自動車
の運転席シートに所携のライターで火を放ち,この火を,同車庫の天井内の野縁材
及び壁面に貼られた寒冷紗等に燃え移らせ,現に人が住居に使用せず,かつ現に人
がいない建造物である同社所有の同車庫の天井内の野縁材(36ミリメートル×4
5ミリメートル角,長さ約1.95メートル)及び壁面に貼られた寒冷紗等(約
1.6平方メートル)
を焼損した
第3 同月4日午前3時30分ころ,駐車中の自動車内から金品を窃取しようとし
て,Fが看守する広島市i区j町k番l号所在のGビルの1階車庫に侵入したもの
の,駐車中の自動車内を物色することができなかったことから,その腹いせをする
とともに,たまっていたストレスを発散し,さらに,遺留指紋等の罪証を隠滅する
ために同車庫に放火しようと考え,同車庫の壁際にあったスチール製の棚の上に置
いてあった買物用ビニール袋に所携のライターで火を放ち,この火を,同車庫に設
置された塩化ビニール製廃水パイプ等に燃え移らせて,現に人が住居に使用せず,
かつ現に人がいない建造物である同人所有の同車庫の塩化ビニール製廃水パイプ3
本(外周16ないし29センチメートル,長さ各217センチメートル)を焼損し

ものである。
(証拠の標目)
 (省略)
(累犯前科)
 (省略)
(法令の適用)
 (省略)
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,盗取後放置されていた自転車を領得した占有離脱物横領(判
示第1)と,いずれも車上荒らしの目的でビル1階の車庫に侵入した上,自動車の
座席や,車庫にあった棚の荷物に火を着けて,車庫の一部などを焼損した建造物侵
入,非現住建造物等放火(判示第2,第3)の事案である。
 まず,占有離脱物横領について見るに,放置自転車を自分の足代わりに使おうと
いう自己中心的な動機に基づくものであり,また,被告人には,窃盗目的の住居侵
入や自動車窃盗などの前科があり,本件当時も車上荒らしを繰り返していたもので
あって,この種の犯行について常習性も認められ,悪質な犯行と言うべきである。
 次いで,各建造物侵入,非現住建造物等放火について見るに,被告人は,いずれ
も知人の飲食店で飲食した帰り,所持金が少なくなったことから,自動車内の金品
を窃取しようと考えて車庫内に立ち入り,金品を盗むことができなかった腹いせ
や,自分が残した指紋等の隠滅のために車庫に放火したものであって,その短絡的
で身勝手な動機に酌量の余地は全くない。
 また,その態様も,未明の時間帯に,住宅密集地の中にあり,上階は住居等とし
て使用されている低層ビルの1階車庫に侵入し,自動車や可燃物に火を放ったとい
う非常に危険なものである。
 そして,その結果,炎が建物外から見えるほどに燃え上がったり,車庫の天井の
石膏ボードが熱のため白化し,外壁が3階部分まですすで真っ黒になるほどの激し
い火災が生じており,その周辺への延焼の危険は言うまでもなく,また,被害建物
の上階で就寝中の住人らが火災に気付いた時には,既に煙が上階まで回ってくるほ
ど火勢が強まっており,特に,判示第2の火災では,住人らは,他に逃げ場がなか
ったことから,煙と熱気が充満する廊下を通って1階車庫に下り,燃えている自動
車のわきを通り抜けて避難するほかなかったものであり,住人らの生命にも重大な
危険が生じている。
 さらに,建物の修築費など直接の財産的損害だけでも,判示第2の火災では10
00万円以上,判示第3の火災では270万円以上という極めて多額に上るだけで
なく,被害建物の住民は,本件後も火災のときのことを夢に見るほど強い精神的打
撃を受けており,その精神的損害にも甚大なものがある。
 それにもかかわらず,被告人は,被害回復や慰謝の措置を何ら講じていないばか
りでなく,将来も被害が回復される見込みはほとんどなく,被害者らの処罰感情が
厳しいのも当然と言うべきである。また,住宅密集地で生じたこれらの激しい火災
が,周辺住民に与えた恐怖や不安も無視することはできない。
 加えて,被告人には,20件以上の同種余罪があることがうかがわれるなど,そ
の常習性は顕著であって,再犯の可能性も高い。
 これらによれば,被告人の刑事責任は重大である。
 そこで,本件各犯行には計画性が認められないこと,占有離脱物横領の被害品は
被害者の元に回復されていること,被告人は余罪の存在を含め,事実を認めて反省
の意思を表していることなど,被告人のために斟酌できる事情を最大限に考慮して
もなお,被告人を主文程度の刑に処し,その刑事責任を全うさせることが必要であ
る。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑-懲役5年)
  平成15年1月7日
    広島地方裁判所刑事第一部
        裁判長裁判官  山 森 茂 生
           裁判官  髙 原   章
           裁判官  寺 元 義 人

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