弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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                 主     文
    被告人を懲役9年及び罰金300万円に処する。
    未決勾留日数中90日をその懲役刑に算入する。
    その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算し
た期間被告人を労役場に留置する。
    押収してあるプラスチック袋入り覚せい剤14袋(平成14年押第130
号の1ないし14)を没収する。
    被告人から金238万円を追徴する。
                 理     由
(罪となるべき事実)
 被告人は,営利の目的で
第1 Aから電話で覚せい剤1キログラムの注文を受け,平成12年8月24日,
同人に,B銀行C支店に開設した被告人の預金口座に代金230万円を振込入金さ
せ,そのころ,上記Aの勤務先である広島県東広島市a町bc番地所在のDへ,同
人あてに,フェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤結晶粉末約1
キログラム(平成14年押第130号の5ないし13は,いずれもその一部の鑑定
残量である。)を宅配便で発送し,同月26日ころ,これを上記Aに受領させ,も
って,上記覚せい剤を代金230万円でみだりに譲渡した
第2 前記Aから携帯電話で覚せい剤10グラムの注文を受け,平成14年3月2
2日,同人に,前記預金口座に代金8万円を振込入金させ,同日午後10時48分
ころ,神奈川県逗子市de丁目f番g号所在のEF店から,前記Dへ,同人あて
に,フェニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤結晶粉末約10グラ
ム(平成14年押第130号の1ないし4及び14は,いずれもその一部の鑑定残
量である。)を宅配便で発送し,同月24日ころ,これを上記Aに受領させ,もっ
て,上記覚せい剤を代金8万円でみだりに譲渡した
ものである。
(証拠の標目)
 (省略)
(累犯前科)
 (省略)
(法令の適用)
 (省略)
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,服役中に刑務所で知り合った譲受人に対し,営利の目的で覚
せい剤約1キログラム及び約10グラムを代金合計238万円で譲渡した事案であ
る。
 本件各譲渡に係る覚せい剤は合計で約1010グラムという途方もない量に上っ
ており,自らの経済的利益と引き替えに多大な覚せい剤の害悪を世間に蔓延させた
被告人の犯行は極めて強い非難に値する。
 また,本件各譲渡の態様は,他人名義の携帯電話で注文を受け,代金を振込入金
させた上で,偽名を用いて宅配便で覚せい剤を発送するという巧妙なもので,被告
人は,本件譲受人に限っても,現実に1キログラム以上もの覚せい剤を調達して譲
渡しているほか,少なくとも十数回にわたり,同様の方法で10グラム単位の覚せ
い剤を譲渡するなど,極めて多量の覚せい剤を日常的に扱っていたことがうかがわ
れ,その行為は営業的なものとも言うべき極めて悪質なものである。
 なお,被告人は,譲受人から一方的に覚せい剤代金の入金を受けたことから,や
むなく覚せい剤を入手した上で譲渡したかのような弁解をしているが,その内容自
体不合理で,銀行口座の入金記録や宅配便の受付記録などの客観的証拠と矛盾する
部分があり,被告人の供述態度をも併せ考えれば,到底信用することができない。
 しかも,被告人は,覚せい剤事犯の前科4犯があり,その都度服役しているにも
かかわらず,前刑終了後,わずか9か月足らずで,判示第1の犯行に及んでいるの
であって,被告人の覚せい剤に対する親和性は極めて顕著であり,再犯の可能性も
極めて高い。
 さらに,被告人は,捜査段階では,自ら積極的に虚偽の弁解を弄して覚せい剤譲
渡の事実を否認し,また,公判段階においても,自らの刑事責任を不当に軽減しよ
うとして不合理な弁解を弄しているのであって,真摯な反省の情を認めることがで
きない。
 これらによれば,被告人の刑事責任は非常に重いと言わざるを得ない。
 そこで,被告人が,当公判廷では営利目的譲渡の事実を認めた上で,暴力団組織
から離脱し,覚せい剤との関係も絶つ旨反省の言葉を述べていること,妻が被告人
の今後の監督を申し出ていることなど,被告人のために斟酌できる事情を最大限に
考慮してもなお,被告人には主文程度の刑をもって臨み,その刑事責任を全うさせ
る必要がある。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑-懲役10年及び罰金300万円,覚せい剤没収,追徴金238万円)
  平成14年12月24日
    広島地方裁判所刑事第一部
        裁判長裁判官  山 森 茂 生
           裁判官  髙 原   章
           裁判官  寺 元 義 人

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