弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人山田有宏ほかの上告受理申立て理由第1について
1原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1)上告人は,貸金業の規制等に関する法律3条所定の登録を受けて貸金業を
営む貸金業者である。
(2)上告人は,昭和61年ころから平成16年4月5日までの間,Aに対して
金銭を貸し付け,Aから返済を受けるということを繰り返していた。両者の間の平
成5年10月25日以降の貸付け(以下「本件各貸付け」という。)及び返済の状
況は,第1審判決別紙3のとおりである。本件各貸付けにおいては,元本及び利息
制限法1条1項所定の制限利率を超える利率の利息を指定された回数に応じて毎月
同額を分割して返済する方法(いわゆる元利均等分割返済方式)によって返済する
旨の約定が付されていた。
(3)本件各貸付けは,平成15年7月17日の貸付けを除き,いずれも借換え
であり,従前の貸付けの約定の返済期間の途中において,従前の貸付金残額と追加
貸付金額の合計額を新たな貸付金額とする旨合意した上で,上告人がAに対し新た
な貸付金額から従前の貸付金残額を控除した額の金員(追加貸付金)を交付し,そ
れによって従前の貸付金残金がすべて返済されたものとして取り扱うというもので
あった。上記借換えの際には,書類上は,別個の貸付けとして借入申込書,契約
書,領収書等が作成されているが,いずれの際も,Aが上告人の店頭に出向き,即
時書面審査の上,上記のとおり追加貸付金が交付されていた。上告人は,Aに対
し,約定どおりの分割返済が6回程度行われると借換えを勧めていた。
(4)Aは,平成15年4月2日に,いったん,それ以前の借入れに係る債務を
完済するための返済をしたが,その約3か月後である同年7月17日には,従前の
貸付けと同様の方法と貸付条件で貸付けがされ,平成16年1月6日,従前の貸付
けと同様の借換えがされ,その後同年4月5日まで元本及び利息の分割返済が重ね
られた。
(5)Aは平成16年7月28日に破産宣告を受け,被上告人が破産管財人に選
任された。
2本件は,被上告人が,上告人に対し,Aが破産宣告前に上告人との間の金銭
消費貸借契約に基づいてした弁済につき,利息制限法1条1項所定の利息の制限額
を超えて利息として支払われた部分(以下「制限超過部分」という。)を元本に充
当すると過払金が発生しているとして,不当利得返還請求権に基づき過払金の返還
等を求める事案である。
原審は,本件各貸付けは1個の連続した貸付取引であり,その元利充当計算は各
取引を一連のものとして通算してすべきであって,Aが支払った制限超過部分が元
本に充当された結果過払金が発生し,その後に新たな貸付けに係る債務が発生した
場合であっても,当該過払金は新たな貸付けに係る債務に充当されるものと解すべ
きであると判断して,被上告人の上告人に対する不当利得返還請求を一部認容し
た。
所論は,過払金の充当に関する原審の上記判断の法令違反をいうものである。
3前記事実関係によれば,本件各貸付けは,平成15年7月17日の貸付けを
除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして,長年にわたり同様の方法で反復継
続して行われていたものであり,同日の貸付けも,前回の返済から期間的に接着
し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであるというのであるか
ら,本件各貸付けを1個の連続した貸付取引であるとした原審の認定判断は相当で
ある。
そして,本件各貸付けのような1個の連続した貸付取引においては,当事者は,
一つの貸付けを行う際に,切替え及び貸増しのための次の貸付けを行うことを想定
しているのであり,複数の権利関係が発生するような事態が生ずることを望まない
のが通常であることに照らしても,制限超過部分を元本に充当した結果,過払金が
発生した場合には,その後に発生する新たな借入金債務に充当することを合意して
いるものと解するのが合理的である。
上記のように,本件各貸付けが1個の連続した貸付取引である以上,本件各貸付
けに係る上告人とAとの間の金銭消費貸借契約も,本件各貸付けに基づく借入金債
務について制限超過部分を元本に充当し過払金が発生した場合には,当該過払金を
その後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含んでいるものと解する
のが相当である。
原審の前記判断は,これと同旨をいうものとして,是認することができる。論旨
は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官横尾和子裁判官甲斐中辰夫裁判官泉徳治裁判官
才口千晴)

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