弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を罰金一万五〇〇〇円に処する。
     右罰金を完納することができないときは、金五〇〇円を一日に換算した
期間被告人を労役場に留置する。
     当審における訴訟費用は全部被告人に負担させる。
         理    由
 本件控訴の趣意は、大田原区検察庁検察官事務取扱検事福井俊彦名義の控訴趣意
書に記載されたとおりであるから、これを引用し、これに対し次のとおり判断す
る。
 一、 控訴趣旨一、について。
 論旨は、原判決には法令の適用に誤りがあり、その誤りは判決に影響を及ぼすこ
とが明らかである、というのである。
 そこで調査するのに、原判決は、「被告人は昭和四一年二月一七日午後零時三〇
分ごろ、茨城県那珂郡a町大字bc番地先道路において、普通乗用自動車を運転
中、対向進行するA運転の普通貨物自動車と接触し、同車の前部右側車幅燈柱を折
損して約三〇〇〇円相当の損害を与えたのに、その事故発生の日時場所等、法令の
定める事項を直ちにもよりの警察署の警察官に報告しなかつたものである」との公
訴事実につき、接触した対向自動車が普通貨物自動車でなく大型貨物自動車であつ
たという相異点を除き証拠上全部認めることができるとしながら、道路交通法第七
二条第一項後段の規定は、相手方の車両等に損害を生ぜしめたというだけで未だ即
時救護又は交通秩序の維持回復につき何等かの措置を必要とする事態を生じていな
い右程度の事故についてまで、逐一報告すべきことを義務づけているものではない
から、右公訴事実は罪にならないものとして、無罪の言渡しをしているのである。
 <要旨>ところで、道路交通法第一条を参照し同法第七二条第一項後段の法意を考
えるのに、結局同条が交通事故があつた場合に当該車両等の運転者らに警察
官に対する報告義務を課しているのは、警察官をして、速かに交通事故の発生を知
り、被害者の救護や道路における危険の防止等交通秩序の回復につき適切な措置を
執らしめ、もつて被害の増大の防止と交通の安全とを図るにあるものと解される
(昭和三七年五月二日最高裁判所大法廷判決参照)。従つて、警察官によるかかる
措置を必要としない場合には車両等の運転者として報告の義務がないという原判決
の見解は、それなりに相当の理由があるものといわねばならない。しかし、本件の
具体的事情に即して考えてみると、被告人は前記対向車両との接触に気がつきなが
ら自ら停止して右対向車につき損傷の有無等を確認することさえしていないのみな
らず、凡そ自動車の前面両側に基準に適合する車幅燈を備えなければ運行の用に供
してならないことは、道路運送車両法第四一条第一三号道路運送車両の保安基準第
三四条により明定されているところであるから、原判決のいうように、現に対向車
の前部右側車幅燈柱を折損した場合には、運行の用に供してはならない車両が生じ
たことになり、警察官としては道路交通法第七二条第三項の趣旨に従い右折損車両
の爾後の運行等につき適切な指示を与えるなどの措置を講ずる必要があるものとい
うべく、従つて被告人についてもやはり同条第一項後段による報告の義務が発生し
たものと解すべきである。所論は必ずしも当裁判所の右見解と立論の過程を同じく
するものではないが、原判決が前記のように本件を罪にならないものとしたのは結
局において所論のとおり右道路交通法第七二条第一項等の解釈適用を誤つたもので
あつて、その誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があ
る。
 よつてその余の控訴趣意に対する判断を省略し、刑事訴訟法第三九七条第一項第
三八〇条により原判決を破棄し、なお同法第四〇〇条但書に従つて、更に次のとお
り判決する。
 (当裁判所が更に認定した罪となるべき事実)
 被告人は昭和四一年二月一七日午後零時三〇分ごろ、茨城県那珂郡a町大字bc
番地先道路において、普通乗用自動車を運転中対向進行して来たA運転の大型貨物
自動車と接触し、同車の前部右側車幅燈柱を折損して約三〇〇〇円相当の損害を与
えたのに、その事故発生の日時場所等法令の定める事項を直ちにもよりの警察署の
警察官に報告しなかつたものである。
 (裁判長 判事 吉田信孝 判事 大平要 判事 伊東正七郎)

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