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平成18年4月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成16年(ワ)第20636号特許権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日平成18年1月27日
判決
原告シチズン時計株式会社
同訴訟代理人弁護士田倉整
同田倉保
同補佐人弁理士高宗寛暁
被告株式会社ツガミ
同訴訟代理人弁護士飯田秀郷
同栗宇一樹
同早稲本和徳
同七字賢彦
同鈴木英之
同隈部泰正
同大友良浩
同戸谷由布子
同補佐人弁理士木村満
同毛受隆典
同松田聡
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,別紙被告物件目録1,3及び4記載の数値制御自動旋盤を製造し,
販売してはならない。
2被告は,前項記載の数値制御自動旋盤を廃棄せよ。
3被告は,原告に対し,10億円及びこれに対する平成16年10月8日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,原告が,被告に対し,被告製品が第1ないし第4特許発明の技術的範囲
に属すると主張して,特許法100条に基づく差止め及び廃棄(ただし,本訴提起
時に期間満了していた第2特許を除く。)並びに不法行為に基づく損害金,民法所
定の遅延損害金の支払,及び不当利得に基づく利得金の返還,民法所定の遅延損害
金の支払を求めた事案である。
1前提事実
()当事者1
ア原告
原告は,時計,工作機械,工具類,電子機器及びそれらの部品の製造,販売等を
業とする株式会社である。
イ被告
被告は,精密工作機械の製造,販売等を業とする株式会社である。
(以上,争いのない事実,弁論の全趣旨)
()原告の特許権2
ア第1ないし第4特許
原告は次の各特許権を有していた(以下,次の(ア)ないし(エ)の特許権をそれぞれ
「第1特許」のように表記し,その発明を「第1特許発明」のように表記し,各明
細書及び図面を「第1特許明細書」のように表記する(ただし,第4特許発明に対
応する特許明細書は,第3特許明細書である。)。第1特許ないし第4特許は,い
ずれも本件口頭弁論終結時において存続期間が終了している。)。
(ア)第1特許
特許番号特許第1929497号
発明の名称数値制御自動旋盤
出願日昭和60年11月26日
出願番号特願昭60-265926
公告日平成6年8月17日
公告番号特公平6-61642
登録日平成7年5月12日
特許請求の範囲別紙第1特許公報の特許請求の範囲請求項1のとおり
(イ)第2特許
特許番号特許第2558401号
発明の名称NC自動旋盤の工具送り方法
分割の表示特願昭58-73548の分割
出願日昭和58年4月26日
出願番号特願平3-268668
公開日平成5年9月17日
公開番号特開平5-237705
登録日平成8年9月5日
存続期間満了日平成15年4月26日
特許請求の範囲別紙第2特許公報の特許請求の範囲請求項1のとおり
(ウ)第3特許
特許番号特許第1877297号
発明の名称数値制御自動旋盤
出願日昭和60年11月29日
出願番号特願昭60-267248
公告日平成4年5月19日
公告番号特公平4-29482
登録日平成6年10月7日
特許請求の範囲別紙第3特許公報の特許請求の範囲請求項1のとおり
(エ)第4特許
次を除き,上記(ウ)と同じ。
特許請求の範囲別紙第3特許公報の特許請求の範囲請求項3のとおり
イ第1ないし第4特許発明の分説
(ア)第1特許発明の分説
第1特許発明は,次のとおり分説される(以下,分説した各構成要件を「構成要
件ⅠA」のように表記する。)。
ⅠA主軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるZ軸方向に摺動する
主軸台と,
ⅠBこの主軸台の前方に配置されたガイドブッシュと,
ICこのガイドブッシュの更に前方にあって前記Z軸に直交し主軸中心線に向っ
て接離する方向であるX1軸方向に移動する第1刃物台と,
IDこの第1刃物台の近傍にあって前記Z軸に直交し,かつ前記X1軸と異なる
方向から主軸中心線に向って接離する方向であるX2軸方向及び前記Z軸と前記X2
軸の双方に直交する方向に沿ったY軸方向に移動する第2刃物台と,
IE前記第1刃物台上に設けられ,前記ガイドブッシュを挟んで前記主軸台に対
向して配置された孔加工用工具台と
IFからなる数値制御自動旋盤。
(イ)第2特許発明の分説
第2特許発明は,次のとおり分説される。
ⅡAワークを把持して回転する主軸の主軸中心線に直交し,且つ互いに直交する
XY両軸方向にNC制御されて移動する刃物送り台を有し,
ⅡB該刃物送り台に設けられた工具ホルダで,工具相互の位置が固定された複数
個の工具を保持するNC自動旋盤において,
ⅡCワーク最大径よりわずかな距離だけ離れた位置に各工具の工具進入始点位置
を設定し,
ⅡD該工具進入始点位置の外側に前記各工具の全てがあるときは任意の方向に早
送りで送られ,
ⅡE工具進入始点位置の内側に工具があるときは該工具が工具進入始点位置から
切削点近傍までの間は早送りで移動し,
ⅡF切削点近傍から切削送り終了点までの間は所定の切削条件に従って切削送り
で移動する
ⅡGことを特徴とするNC自動旋盤の工具送り方法。
(ウ)第3特許発明の分説
第3特許発明は,次のとおり分説される。
ⅢA主軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるZ1軸方向に摺動す
る主軸台と,
ⅢBこの主軸台の一側方に設けられ,保持する第1工具が前記主軸台前方の加工
域に位置し,且つ前記Z1軸方向と直交するX1軸方向に移動する第1刃物台と,
ⅢC前記主軸台をはさんで対向する側に設けられ,保持する第2工具が前記主軸
台前方の加工域に第1工具と対向して位置し,且つ前記Z1軸方向と平行なZ2軸方
向及び直交するX2軸方向の双方に移動する第2刃物台と,
ⅢDZ1軸,X1軸,Z2軸,X2軸の各方向に沿った主軸台,第1刃物台及び
第2刃物台の移動を制御する数値制御装置とからなる数値制御自動旋盤において,
ⅢE前記数値制御装置は,Z1軸方向の主軸台の移動とX1軸方向の第1刃物台
の移動,Z2軸方向とX2軸方向の第2刃物台の移動及びZ1軸方向の主軸台の移動
とX2軸方向の第2刃物台の移動のそれぞれの組合せで2軸方向に同時に移動制御さ
,,せてそれぞれ独立した送り動作を行う第1第2及び第3の2軸同時制御機能を有し
ⅢFこの第2の2軸同時制御機能は,第1の2軸同時制御機能による主軸台のZ
1軸方向の移動制御と同時に第2刃物台を移動制御する時に,第2刃物台のZ2軸方
向の送り量及び送り速さが,主軸台のZ1軸方向の送り量及び送り速さとの差分とな
るよう演算する補正手段を有する
ⅢGことを特徴とする数値制御自動旋盤。
(エ)第4特許発明の分説
第4特許発明は,次のとおり分説される。
ⅣA主軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるZ1軸方向に摺動す
る主軸台と,
ⅣBこの主軸台の一側方に設けられ,保持する第1工具が前記主軸台前方の加工
域に位置し,且つ前記Z1軸方向と直交するX1軸方向に移動する第1刃物台と,
ⅣC前記主軸台をはさんで対向する側に設けられ,保持する第2工具が前記主軸
台前方の加工域に第1工具と対向して位置し,且つ前記Z1軸方向と平行なZ2軸方
向及び直交するX2軸方向の双方に移動する第2刃物台と,
ⅣDZ1軸,X1軸,Z2軸,X2軸の各方向に沿った主軸台,第1刃物台及び
第2刃物台の移動を制御する数値制御装置とからなる数値制御自動旋盤において,
ⅣE前記数値制御装置は,Z1軸方向の主軸台の移動とX1軸方向の第1刃物台
の移動,Z2軸方向とX2軸方向の第2刃物台の移動及びZ1軸方向の主軸台の移動
とX2軸方向の第2刃物台の移動のそれぞれの組合せで2軸方向に同時に移動制御さ
せてそれぞれ独立した送り動作を行う第1,第2及び第3の2軸同時制御機能を有す
ると共に,
ⅣFZ1軸とX1軸及びZ1軸とX2軸の2組の送り動作をZ1軸を媒介として
同時に実行する3軸同時重複制御機能を有する
ⅣGことを特徴とする数値制御自動旋盤。
(以上,争いのない事実)
()被告製品3
被告は,平成6年11月1日から,別紙被告物件目録1ないし4記載の製品(以
下,各被告物件目録の製品を目録の番号に応じて「被告製品1」のように表記し,
すべての被告物件目録の製品を「被告製品」と総称する。)を製造し,販売してい
る。
(争いのない事実,弁論の全趣旨)
()被告製品の構成及び動作4
ア被告製品1について
(ア)被告製品1の分類
被告製品1は,刃物台及び主軸の構成に従って,次のとおり分類することができ
る。
a構成Ⅰ-1の被告製品
刃物台がカニ刃刃物台(独立対向くし刃刃物台)で,主軸を回転自在に支承する機
構がシングル主軸である構成の被告製品としては,次のものがある(以下,これら
の製品を「構成Ⅰ-1の被告製品」という。)。
B012/18D,E
BN12/20
BS12/18D
BW07/12/20
b構成Ⅰ-2①の被告製品
刃物台が対向くし刃刃物台又はカニ刃刃物台(独立対向くし刃刃物台)と正面刃物
台の組合せで,主軸を回転自在に支承する機構がシングル主軸である構成の被告製
品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅰ-2①の被告製品」
という。)。
BS12/18A,B,C,D
c構成Ⅰ-2②の被告製品
刃物台が対向くし刃刃物台と正面刃物台の組合せで,主軸を回転自在に支承する
機構がダブル主軸である構成の被告製品としては,次のものがある(以下,これら
の製品を「構成Ⅰ-2②の被告製品」という。)。
BS20/26A,B,C
BS32
d構成Ⅰ-3の被告製品
対向くし刃刃物台とX2刃物台との組合せで,主軸を回転自在に支承する機構が
シングル主軸である構成の被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製
品を「構成Ⅰ-3の被告製品」という。)。
BF20A,B,C
(イ)被告製品1の構成及び動作
a構成Ⅰ-1の被告製品
構成Ⅰ-1の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅰ-1)記載のとおり
である。
b構成Ⅰ-2①の被告製品
構成Ⅰ-2①の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅰ-2①)記載のと
おりである。
c構成Ⅰ-2②の被告製品
構成Ⅰ-2②の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅰ-2②)記載のと
おりである。
d構成Ⅰ-3の被告製品
構成Ⅰ-3の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅰ-3)記載のとおり
である。
イ被告製品2について
(ア)被告製品2の分類
被告製品2は,刃物台の構成に従って,次のとおり分類することができる。
a構成Ⅱ-1アの被告製品
刃物台がカニ刃刃物台(独立対向くし刃刃物台)で,各刃物台のY軸の動作が独立
している被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅱ-1
アの被告製品」という。)。
B012/18D,E,L,M
BS12/18D,M
BW07/12/20
b構成Ⅱ-1イの被告製品
刃物台がカニ刃刃物台(独立対向くし刃刃物台)で,各刃物台のY軸の動作が共通
している被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅱ-1
イの被告製品」という。)。
BN12/20
c構成Ⅱ-2アの被告製品
刃物台がくし刃刃物台とタレット刃物台の組合せで,タレット刃物台に関連した
Y軸付きの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅱ-
2アの被告製品」という。)。
BU12/20
BU26/38SY
d構成Ⅱ-2イの被告製品
刃物台がくし刃刃物台とタレット刃物台の組合せで,タレット刃物台に関連した
Y軸がない被告製品としては,次のものがある(以下,この製品を「構成Ⅱ-2イ
の被告製品」という。)。
BU26/38S
e構成Ⅱ-3の被告製品
刃物台が2個のタレット刃物台の組み合わせの被告製品としては,次のものがあ
る(以下,これらの製品を「構成Ⅱ-3の被告製品」という。)
MB38Y,SY
MU26/38SY
(イ)被告製品2の構成及び動作
a構成Ⅱ-1アの被告製品
構成Ⅱ-1アの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅱ-1ア)記載のと
おりである。
b構成Ⅱ-1イの被告製品
構成Ⅱ-1イの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅱ-1イ)記載のと
おりである。
c構成Ⅱ-2アの被告製品
構成Ⅱ-2アの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅱ-2ア)記載のと
おりである。
d構成Ⅱ-2イの被告製品
構成Ⅱ-2イの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅱ-2イ)記載のと
おりである。
e構成Ⅱ-3の被告製品
構成Ⅱ-3の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅱ-3)記載のとおり
である。
ウ被告製品3について
(ア)被告製品3の分類
被告製品3は,主軸を支承する機構及び刃物台の構成に従って,次のとおり分類
することができる。
a構成Ⅲ-1アの被告製品
主軸を支承する機構がシングル主軸で,刃物台が対向くし刃刃物台と正面刃物台
の組み合わせの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成
Ⅲ-1アの被告製品」という。)。
BS12/18A,B,C,J,K,L
b構成Ⅲ-1イの被告製品
主軸を支承する機構がダブル主軸で,刃物台が対向くし刃刃物台と正面刃物台の
組み合わせの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅲ
-1イの被告製品」という。)。
BS20/26A,B,C
BS32
c構成Ⅲ-1ウの被告製品
主軸を支承する機構がシングル主軸で,刃物台が独立対向くし刃刃物台と正面刃
物台の組み合わせの被告製品としては次のものがある(以下これらの製品を構,,「
成Ⅲ-1ウの被告製品」という。)
BS12/18D,M
d構成Ⅲ-2の被告製品
主軸を支承する機構がダブル主軸で,刃物台がくし刃刃物台とタレット刃物台の
組み合わせの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅲ
-2の被告製品」という。)。
BU26/38S,SY
e構成Ⅲ-3の被告製品
主軸を支承する機構がダブル主軸で,刃物台が2個のタレット刃物台の組み合わ
せの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅲ-3の被
告製品」という。)。
MU26/38S,SY
(イ)被告製品3の構成及び動作
a構成Ⅲ-1アの被告製品
構成Ⅲ-1アの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅲ-1ア)記載のと
おりである。
b構成Ⅲ-1イの被告製品
構成Ⅲ-1イの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅲ-1イ)記載のと
おりである。
c構成Ⅲ-1ウの被告製品
構成Ⅲ-1ウの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅲ-1ウ)記載のと
おりである。
d構成Ⅲ-2の被告製品
構成Ⅲ-2の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅲ-2)記載のとおり
である。
e構成Ⅲ-3の被告製品
構成Ⅲ-3の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅲ-3)記載のとおり
である。
エ被告製品4について
(ア)被告製品4の分類
被告製品4は,主軸を支承する機構及び刃物台の構成に従って,次のとおり分類
することができる。
a構成Ⅳ-1アの被告製品
主軸を支承する機構がシングル主軸で,刃物台が対向くし刃刃物台と正面刃物台
の組み合わせの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成
Ⅳ-1アの被告製品」という。)。
BS12/18A,B,C,J,K,L
b構成Ⅳ-1イの被告製品
主軸を支承する機構がダブル主軸で,刃物台が対向くし刃刃物台と正面刃物台の
組み合わせの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅳ
-1イの被告製品」という。)。
BS20/26A,B,C
BS32
c構成Ⅳ-1ウの被告製品
主軸を支承する機構がシングル主軸で,刃物台が独立対向くし刃刃物台と正面刃
物台の組み合わせの被告製品としては次のものがある(以下これらの製品を構,,「
成Ⅳ-1ウの被告製品」という。)
BS12/18D,M
d構成Ⅳ-2の被告製品
主軸を支承する機構がダブル主軸で,刃物台がくし刃刃物台とタレット刃物台の
組み合わせの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅳ
-2の被告製品」という。)。
BU26/38S,SY
e構成Ⅳ-3の被告製品
主軸を支承する機構がダブル主軸で,刃物台が2個のタレット刃物台の組み合わ
せの被告製品としては,次のものがある(以下,これらの製品を「構成Ⅳ-3の被
告製品」という。)。
MU26/38S,SY
(イ)被告製品4の構成及び動作
a構成Ⅳ-1アの被告製品
構成Ⅳ-1アの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅳ-1ア)記載のと
おりである。
b構成Ⅳ-1イの被告製品
構成Ⅳ-1イの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅳ-1イ)記載のと
おりである。
c構成Ⅳ-1ウの被告製品
構成Ⅳ-1ウの被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅳ-1ウ)記載のと
おりである。
d構成Ⅳ-2の被告製品
構成Ⅳ-2の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅳ-2)記載のとおり
である。
e構成Ⅳ-3の被告製品
構成Ⅳ-3の被告製品の構成及び動作は,別紙物件説明書(Ⅳ-3)記載のとおり
である。
(以上,争いのない事実,甲4の1~16,5の1~6,乙9の1~8,43,4
4,弁論の全趣旨)
()構成要件の一部充足5
ア第1特許発明
(ア)構成Ⅰ-1の被告製品
a構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠAを充足する。
b構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠBを充足する。
c構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠFを充足する。
(イ)構成Ⅰ-2①の被告製品
a構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠAを充足する。
b構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠBを充足する。
c構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠFを充足する。
(ウ)構成Ⅰ-2②の被告製品
構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠFを充足する。
(エ)構成Ⅰ-3の被告製品
a構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠAを充足する。
b構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠBを充足する。
c構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠFを充足する。
イ第3特許発明
(ア)構成Ⅲ-1アの被告製品
a構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢAを充足する。
b構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢDを充足する。
c構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢGを充足する。
(イ)構成Ⅲ-1イの被告製品
a構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢDを充足する。
b構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢGを充足する。
(ウ)構成Ⅲ-1ウの被告製品
a構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢAを充足する。
b構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢDを充足する。
c構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢGを充足する。
(エ)構成Ⅲ-2の被告製品
a構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢDを充足する。
b構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢGを充足する。
(オ)構成Ⅲ-3の被告製品
a構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢDを充足する。
b構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢGを充足する。
ウ第4特許発明
(ア)構成Ⅳ-1アの被告製品
a構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣAを充足する。
b構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣDを充足する。
c構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣGを充足する。
(イ)構成Ⅳ-1イの被告製品
a構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣDを充足する。
b構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣGを充足する。
(ウ)構成Ⅳ-1ウの被告製品
a構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣAを充足する。
b構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣDを充足する。
c構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣGを充足する。
(エ)構成Ⅳ-2の被告製品
a構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣDを充足する。
b構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣGを充足する。
(オ)構成Ⅳ-3の被告製品
a構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣDを充足する。
b構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣGを充足する。
(以上,争いのない事実)
2争点
()第1特許発明関係1
ア構成要件の充足性
(ア)構成Ⅰ-1の被告製品
a構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠC(第1刃物台)を充足するか。
b構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠD(第2刃物台)を充足するか。
c構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠE(孔加工用工具台)を充足するか。
(イ)構成Ⅰ-2①の被告製品
a構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠC(第1刃物台)を充足するか。
b構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠD(第2刃物台)を充足するか。
,。c構成Ⅰ-2①の被告製品は構成要件ⅠE(孔加工用工具台)を充足するか
(ウ)構成Ⅰ-2②の被告製品
a構成要件ⅠA(主軸台)
()構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠA(主軸台)を充足するか。a
()構成Ⅰ-2②の被告製品のダブル主軸は,構成要件ⅠA(主軸台)と均等b
であるか。
,。b構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要件ⅠB(ガイドブッシュ)を充足するか
c構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠC(第1刃物台)を充足するか。
d構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠD(第2刃物台)を充足するか。
,。e構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要件ⅠE(孔加工用工具台)を充足するか
(エ)構成Ⅰ-3の被告製品
a構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠC(第1刃物台)を充足するか。
b構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠD(第2刃物台)を充足するか。
c構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠE(孔加工用工具台)を充足するか。
d特許法101条2号の間接侵害の成否
イ無効理由の存否
(ア)第1特許発明には新規性欠如の無効理由が存在するか。
(イ)第1特許発明には進歩性欠如の無効理由が存在するか。
()第2特許発明関係2
ア次の各被告製品を使用する行為は,構成要件ⅡA(刃物送り台)を充足する
か。
(ア)構成Ⅱ-1アの被告製品
(イ)構成Ⅱ-1イの被告製品
(ウ)構成Ⅱ-2アの被告製品
(エ)構成Ⅱ-2イの被告製品
(オ)構成Ⅱ-3の被告製品
イ次の各被告製品を使用する行為は,構成要件ⅡB(該刃物送り台)を充足す
るか。
(ア)構成Ⅱ-1アの被告製品
(イ)構成Ⅱ-1イの被告製品
(ウ)構成Ⅱ-2アの被告製品
(エ)構成Ⅱ-2イの被告製品
(オ)構成Ⅱ-3の被告製品
ウ次の各被告製品を使用する行為は,構成要件ⅡCないしⅡGを充足する場
合があるか。
(ア)構成Ⅱ-1アの被告製品
(イ)構成Ⅱ-1イの被告製品
(ウ)構成Ⅱ-2アの被告製品
(エ)構成Ⅱ-2イの被告製品
(オ)構成Ⅱ-3の被告製品
エ間接侵害の成否
(ア)特許法101条3号の間接侵害の成否
(イ)特許法101条4号の間接侵害の成否
()第3特許発明関係3
ア構成要件の充足性
(ア)構成Ⅲ-1アの被告製品
a構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢB(第1刃物台)を充足するか。
b構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢC(第2刃物台)を充足するか。
c構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢE(2軸同時制御)を充足するか。
d構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢF(補正手段)を充足するか。
(イ)構成Ⅲ-1イの被告製品
a構成要件ⅢA(主軸台)
()構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢA(主軸台)を充足するか。a
()構成Ⅲ-1イの被告製品のダブル主軸は,構成要件ⅢA(主軸台)と均等b
であるか。
b構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢB(第1刃物台)を充足するか。
c構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢC(第2刃物台)を充足するか。
d構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢE(2軸同時制御)を充足するか。
e構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢF(補正手段)を充足するか。
(ウ)構成Ⅲ-1ウの被告製品
a構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢB(第1刃物台)を充足するか。
b構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢC(第2刃物台)を充足するか。
c構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢE(2軸同時制御)を充足するか。
d構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢF(補正手段)を充足するか。
(エ)構成Ⅲ-2の被告製品
a構成要件ⅢA(主軸台)
()構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢA(主軸台)を充足するか。a
()構成Ⅲ-2の被告製品のダブル主軸は,構成要件ⅢA(主軸台)と均等でb
あるか。
b構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢB(第1刃物台)を充足するか。
c構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢC(第2刃物台)を充足するか。
d構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢE(2軸同時制御)を充足するか。
e構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢF(補正手段)を充足するか。
(オ)構成Ⅲ-3の被告製品
a構成要件ⅢA(主軸台)
()構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢA(主軸台)を充足するか。a
()構成Ⅲ-3の被告製品のダブル主軸は,構成要件ⅢA(主軸台)と均等でb
あるか。
b構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢB(第1刃物台)を充足するか。
c構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢC(第2刃物台)を充足するか。
d構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢE(2軸同時制御)を充足するか。
e構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢF(補正手段)を充足するか。
イ無効理由の存否
(ア)第3特許発明には新規性欠如の無効理由が存在するか。
(イ)第3特許発明には進歩性欠如の無効理由が存在するか。
()第4特許発明関係4
ア構成要件の充足性
(ア)構成Ⅳ-1アの被告製品
a構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣB(第1刃物台)を充足するか。
b構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣC(第2刃物台)を充足するか。
c構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣE(2軸同時制御)を充足するか。
d構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣF(3軸同時重複制御)を充足する
か。
(イ)構成Ⅳ-1イの被告製品
a構成要件ⅣA(主軸台)
()構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣA(主軸台)を充足するか。a
()構成Ⅳ-1イの被告製品のダブル主軸は,構成要件ⅣA(主軸台)と均等b
であるか。
b構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣB(第1刃物台)を充足するか。
c構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣC(第2刃物台)を充足するか。
d構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣE(2軸同時制御)を充足するか。
e構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣF(3軸同時重複制御)を充足する
か。
(ウ)構成Ⅳ-1ウの被告製品
a構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣB(第1刃物台)を充足するか。
b構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣC(第2刃物台)を充足するか。
c構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣE(2軸同時制御)を充足するか。
d構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣF(3軸同時重複制御)を充足する
か。
(エ)構成Ⅳ-2の被告製品
a構成要件ⅣA(主軸台)
()構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣA(主軸台)を充足するか。a
()構成Ⅳ-2の被告製品のダブル主軸は,構成要件ⅣA(主軸台)と均等でb
あるか。
b構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣB(第1刃物台)を充足するか。
c構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣC(第2刃物台)を充足するか。
d構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣE(2軸同時制御)を充足するか。
,。e構成Ⅳ-2の被告製品は構成要件ⅣF(3軸同時重複制御)を充足するか
(オ)構成Ⅳ-3の被告製品
a構成要件ⅣA(主軸台)
()構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣA(主軸台)を充足するか。a
()構成Ⅳ-3の被告製品のダブル主軸は,構成要件ⅣA(主軸台)と均等でb
あるか。
b構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣB(第1刃物台)を充足するか。
c構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣC(第2刃物台)を充足するか。
d構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣE(2軸同時制御)を充足するか。
,。e構成Ⅳ-3の被告製品は構成要件ⅣF(3軸同時重複制御)を充足するか
イ無効理由の存否
(ア)第4特許発明には進歩性欠如の無効理由が存在するか。
(イ)第4特許発明には記載不備の無効理由が存在するか。
()損害等5
ア原告の損害額はいくらか。
イ被告の利得及び原告の損失はいくらか。
3争点()(第1特許発明)ア(充足性)に関する当事者の主張1
()争点()ア(ア)(構成Ⅰ-1の被告製品)a(構成要件ⅠC)について11
[原告の主張]
ア「前方」
(ア)構成要件ⅠCでは,第1刃物台がガイドブッシュの「前方」にあることが
構成要素とされているが「前方」とは,位置関係として前にあることをいうもの,
であって,その他の位置関係(正面にあるか,左右いずれの側にあるか)について限
定するものではない。
(イ)T11-C(刃物台)は,T11-B(ガイドブッシュ)の右側前方にある。
(ウ)よって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要素「前方」を充足する。
イ「X1軸方向に移動する」
(ア)構成要件ⅠCの第1刃物台が「X1軸方向に移動する」とは,第1刃物台
がX1軸以外の方向に移動するか否かは問わない。
被告の主張イ(ア)a(明細書の記載)は認め,b(X1軸方向にのみ移動)は否認す
る。
構成要件ⅠCは「X1軸方向に移動する」と規定しているにすぎず,被告の主,
張は,特許請求の範囲の記載に基づかない主張である。
(イ)T11-C(刃物台)は,T11-Z軸に直交し主軸中心線に向かって接離
する方向であるT11-X1軸方向に移動する。
(ウ)よって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要素「X1軸方向に移動する」を
充足する。
ウ構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠCのその他の構成要素をいずれも充
足する。
エよって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠCを充足する。
[被告の主張]
ア「前方」
(ア)原告の主張ア(ア)(前方の解釈)は否認する。
構成要件ⅠCでは,第1刃物台がガイドブッシュの「更に前方」にあることが構
成要素とされているものであって,第1特許明細書の図1の実施例を参酌すれば,
「更に前方」とは,主軸台とガイドブッシュを結ぶ線の延長線上を意味する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置)認める。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
T11-C(刃物台)は,主軸台とガイドブッシュを結ぶ線の延長線上にはない。
イ「X1軸方向に移動する」
(ア)原告の主張イ(ア)(X1軸方向の解釈)は否認する。
a第1特許明細書の記載
()第1特許明細書の[発明が解決しようとする問題点]の欄には,次の記a
載がある。
「前記従来のNC旋盤は,制御軸数が少なく,また工具インデツクス時間を短縮
できる特徴を有するが,次工程の工具を用いるには,横送り台を移動させてその工
具を被加工物に接近させなければならない。このように,1個の工具で切削中に次
の工具を被加工物に充分接近させることができず,また2個以上の工具で同時に切
削することができないので,アイドルタイムが生じ,生産性の面で必ずしも満足で
きるものではなかつた。
この点,周知のスイス型自動旋盤は,主軸中心線に直交する面に複数の工具を放
射状に配置してあるので,1個の工具で切削中に次の工具を被加工物に充分に接近
させて待機させることができ,また2個以上の工具で同時に切削することも可能で
ある。
しかし,スイス型自動旋盤をそのままNC化しようとすると,1個の工具に対し
て,それぞれ1個の制御軸を要することとなり,工具を制御するためのNC装置の
ハードウエアの構成も複雑になると共に,そのソフトウエアも工具毎にプログラム
を行い,更に工具相互の干渉を防止しなければならないなど複雑で膨大なものとな
り,全体として機械が高価になるという問題点を有する。
本発明の目的は,制御軸数が少なく,安価で,かつ高生産性のNC旋盤を提供す
ることにある」。
()また,第1特許明細書の[作用]の欄には,次の記載がある。b
「,第1刃物台40は主軸中心線に向って接離する方向であるX1軸方向に移動し
第2刃物台52は同様に主軸中心線に向って接離する方向であるX2軸方向及びこ
れに直交する方向であるY軸方向に移動する。また孔加工用工具台70の加工軸7
4~76はZ軸方向に平行なB軸方向に摺動する。従って,例えば第1刃物台40
の工具で切削中に第2刃物台52の工具を選択して被加工物に充分接近させて待機
することができ,又は第1刃物台40の工具と第2刃物台52の工具とで同時に切
削することもできる。また第2刃物台52の工具で切削中に,第1刃物台40に設
けられた孔加工用工具台70の加工軸74~76の工具で同時に孔加工をすること
もできる。また第1刃物台40及び第2刃物台52を制御するにはX1軸,X2軸
及びY軸の3軸のみを制御すればよいので,使用可能な工具数に比べて制御軸数の
少ないNC旋盤が得られる」。
b第1特許明細書のこれらの記載によれば,第1特許発明の目的は「制御,
軸数が少なく,安価で,かつ高生産性のNC旋盤を提供すること」にあり,第1特
許発明の作用は,第1刃物台と第2刃物台を制御するには,X1軸,X2軸及びY
軸の3軸のみを制御すれば足りるというものであるから,第1刃物台は,X1軸方
向にのみ移動するものでなければならない。
(イ)同(イ)(移動方向)は認める。ただし,T11-C(刃物台)は,T11-Y
1軸方向(上下方向)にも移動する。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
ウ同ウ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
エ同エ(構成要件ⅠCの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅰ-1の被告製品)b(構成要件ⅠD)について21
[原告の主張]
ア「近傍」
(ア)a第1特許明細書の記載
第1特許明細書の[作用]の欄には「第1刃物台40の工具で切削中に第2刃,
物台52の工具を選択して被加工物に充分接近させて待機することができ,又は第
1刃物台40の工具と第2刃物台52の工具とで同時に切削することもできる」。
との記載がある。
b構成要件ⅠDでは,第2刃物台が第1刃物台の「近傍」にあることが構成
要素とされているが,第1特許明細書の上記記載によれば,第2刃物台の第1刃物
台との位置関係につき規定する「近傍」とは,第2刃物台が第1刃物台と同時に被
加工物に接近した場所に待機し,又は第1刃物台と同時切削をすることが可能な位
置関係にあることをいうものである。
(イ)T11-D(刃物台)は,T11-B(ガイドブッシュ)を挟んでT11-C
(刃物台)と対向する側に配置されていて,T11-C(刃物台)と同時に被加工物に
接近させて待機させ,又はT11-C(刃物台)と同時切削をすることが可能な位置
関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要素「近傍」を充足する。
イ「異なる方向」
(ア)構成要件ⅠDの「異なる方向」とは,異なる向きを意味する。すなわち,
北の方向と南の方向とは異なる方向であるように,同一線上にあっても,向きが異
なれば「異なる方向」である。,
(イ)T11-D(刃物台)は,T11-X2軸方向に,T11-C(刃物台)は,
T11-X1軸方向にそれぞれ移動する。
(ウ)よって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要素「異なる方向」を充足する。
ウ構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠDのその他の構成要素をいずれも充
足する。
エよって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠDを充足する。
[被告の主張]
ア「近傍」
(ア)原告の主張ア(ア)a(明細書の記載)は認め,b(近傍の解釈)は否認する。
近傍とは近所近辺を意味するところ(広辞苑第5版)構成要件ⅠDの近「」,,,「
傍」の意味も,上記の意味と同義である。
(イ)同(イ)(刃物台相互の位置)は否認する。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ「異なる方向」
(ア)同イ(ア)(異なる方向の解釈)は否認する。
構成要件ⅠAには「主軸中心線方向であるZ軸方向」との記載があるが,このZ
軸方向とは,Z軸上の両方向を意味している。実質的に考えても,主軸中心線(Z
軸)を挟むように工具が設けられることがある。
したがって,X1軸と平行な軸は,X1軸方向と同一方向であって「異なる方,
向」ではない。
(イ)同(イ)(移動方向)は認める。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
T11-X1軸とT11-X2軸は,平行な軸であって,T11-X2軸方向と
T11-X1軸方向は同一方向であるから構成Ⅰ-1の被告製品は構成要素異,,「
なる方向」を充足しない。
ウ同ウ(その他の構成要素の充足)は不知。
エ同エ(構成要件ⅠDの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅰ-1の被告製品)c(構成要件ⅠE)について31
[原告の主張]
ア「ガイドブッシュを挟んで・・・主軸台に対向して」
「」,(ア)構成要件ⅠEのガイドブッシュを挟んで・・・主軸台に対向してとは
孔加工用工具台の工具による加工時における被加工物の端面加工が可能な孔加工用
工具台の位置関係を意味する。
(イ)T11-E(孔空け用工具台)は,T11-A(主軸台)の前方にあるT11
-B(ガイドブッシュ)の右前方にあるT11-C(刃物台)上に配置されていて,T
11-Y1軸方向へ移動することにより,T11-E(孔空け用工具台)による被加
工物の端面加工が可能な位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要素「ガイドブッシュを挟んで・
・・主軸台に対向して」を充足する。
イ「孔加工用工具台」
(ア)構成要件ⅠEの構成要素「孔加工用工具台」とは,孔加工用の工具を取り
付けた工具台のことである。
(イ)T11-E(孔空け用工具台)は,孔加工用の工具が取り付けられている。
(ウ)よって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要素「孔加工用工具台」を充足す
る。
ウ構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠEのその他の構成要素を充足する。
エよって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠEを充足する。
[被告の主張]
ア「ガイドブッシュを挟んで・・・主軸台に対向して」
(ア)原告の主張ア(ア)(挟んで・対向の解釈)は否認する。
a広辞苑第5版によれば「対向」は,互いに向き合うことと定義されてい,
る。
b上記の定義及び第1特許明細書の第1図を参酌すれば「ガイドブッシュ,
を挟んで・・・主軸台に対向して」とは,孔加工用工具台が,常に,主軸台との間
,。にガイドブッシュを挟み主軸台と向き合っている位置関係にあることを意味する
(イ)同(イ)(孔空け用工具台の位置)は認める。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
T11-E(孔空け用工具台)は,T11-C(刃物台)による加工時には,主軸台
と向き合わない位置関係にあるから,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要素「ガイド
ブッシュを挟んで・・・主軸台と対向して」を充足しない。
イ「孔加工用工具台」
(ア)同イ(ア)(孔加工用工具台の解釈)は否認する。
a第1特許明細書の[作用]の欄には「孔加工用工具台70の加工軸74,
~76はZ軸方向に平行なB軸方向に摺動する」との記載がある。別体でなけれ。
ば,B軸方向に動くことはできない。
bしたがって,構成要素「孔加工用工具台」は,Z軸方向に平行なB軸方向
に摺動する加工軸を備えたものに限定される。
(イ)同(イ)(孔加工用の工具)は認める。ただし,T11-E(孔空け用工具台)
の孔加工用の工具は,B軸方向に摺動しない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
ウ同ウ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
エ同エ(構成要件ⅠEの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅰ-2①の被告製品)a(構成要件ⅠC)について41
[原告の主張]
ア「第1刃物台」
(ア)「第1刃物台」は,切削用の工具を保持する刃物台のことであり,内径加
工用の工具を保持する刃物台もこれに当たる。
(イ)T12-C=T12-E(正面刃物台)の工具
a()被告作成に係るBS12/18の各製品のカタログ(甲4の5)の5頁a
には「混合制御」の見出しの下に,T12-C=T12-E(正面刃物台)の保持,
する工具がT12-X2軸方向に移動し切削加工を行う図が描かれている。
()同図は,被加工物の端面に孔空け加工を行った後に,被加工物の孔の中b
をくり抜く加工を行っているものであるが,T12-C=T12-E(正面刃物台)
は,T12-X2軸方向に移動させて被加工物の外径側に接近させれば,外径加工
も行うことができる。
()このことは,正面刃物台を有するその他の構成Ⅰ-2①の被告製品につc
いても同様である。
bしたがって,構成Ⅰ-2①の被告製品のT12-C=T12-E(正面刃
物台)は,内径・外径加工を行うことができる切削用の工具を保持しているもので
ある。
,,「」。(ウ)よって構成Ⅰ-2①の被告製品は構成要素第1刃物台を充足する
イ「X1軸方向に移動する」
(ア)前記()原告の主張イ(ア)のとおり1
,。(イ)T12-C=T12-E(正面刃物台)はT12-X1軸方向に移動する
(ウ)よって,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要素「X1軸方向に移動する」
を充足する。
,。ウ構成Ⅰ-2①の被告製品は構成要件ⅠCのその他の構成要素を充足する
エよって,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠCを充足する。
[被告の主張]
ア「第1刃物台」
(ア)原告の主張ア(ア)(第1刃物台の解釈)は否認する。
内径加工の機能は構成要件ⅠEの孔加工用工具台が果たすものであり第,「」,「
1刃物台」は,外径加工用の工具を保持するものに限定される。
(イ)同(イ)のうち,a()(カタログの記載)は認め,その余は否認する。a
BS20/26Cは,その正面刃物台に,オプションとして追加ホルダを最下部
に取り付け,追加ホルダの保持する工具で外径加工を行うことができる製品である
が,このように,正面刃物台の保持する工具で,外径加工を行うことのできる被告
製品は,正面刃物台を主軸中心線方向に移動させて,被加工物を加工する余地を多
く確保できるように,最下部に追加ホルダを取り付ける設計となっている。
しかし,構成Ⅰ-2①の被告製品のT12-C=T12-E(正面刃物台)は,追
加ホルダを取り付けることができる設計とはなっておらず,T12-C=T12-
E(正面刃物台)の工具は,いずれも外径加工用のものではない。
また,BS12/18-Ⅲのカタログ(甲4の6)には,原告の指摘する混合制御
の図が「内径テーパ加工を行う」ものであると明記されている。
したがって,構成Ⅰ-2①の被告製品のT12-C=T12-E(正面刃物台)は
外径加工用の工具を保持していない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ「X1軸方向に移動する」
(ア)原告の主張イ(ア)(X1軸方向の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(移動方向)は認めるただしT12-C=T12-E(正面刃物台)。,
は,T12-Z1軸方向にも移動する。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
ウ同ウ(他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
エ同エ(構成要件ⅠCの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅰ-2①の被告製品)b(構成要件ⅠD)について51
[原告の主張]
ア「近傍」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)正面視した場合,T12-D(刃物台)は,T12-B(ガイドブッシュ)よ
,,りわずかに前方T12-C=T12-E(正面刃物台)より後方に配置されていて
T12-C=T12-E(正面刃物台)と同時に被加工物に接近して待機し,又はT
12-C=T12-E(正面刃物台)と同時切削をすることが可能な位置関係にあ
る。
(ウ)よって,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要素「近傍」を充足する。
,。イ構成Ⅰ-2①の被告製品は構成要件ⅠDのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠDを充足する。
[被告の主張]
ア「近傍」
(ア)原告の主張ア(ア)(近傍の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台相互の位置)は否認する。T12-D(刃物台)とT12-C
=T12-E(正面刃物台)は,第1特許明細書の第1図のガイドブッシュと孔加工
用工具台の位置関係と同様の位置関係にある。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
T12-C=T12-E(正面刃物台)は,T12-D(刃物台)のはるか前方にあ
るから,T12-D(刃物台)は,T12-C=T12-E(正面刃物台)の近傍にあ
るとはいえず,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要素「近傍」を充足しない。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅠDの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅰ-2①の被告製品)c(構成要件ⅠE)について61
[原告の主張]
ア「第1刃物台上に設けられ」
(ア)構成要件ⅠEの孔加工用工具台が「第1刃物台上に設けられ」とは,孔加
工用工具台が第1刃物台上に存在していれば足りるのであって,それ以上に,もと
もと独立していた孔加工用工具台が第1刃物台上に取り付けられた場合などに限定
されるものではなく,一体成形のものを含む。
(イ)T12-C=T12-E(正面刃物台)は,内径・外径加工を行うことがで
きる切削用の工具を保持するだけでなく,孔加工用工具を保持する。
,,「」(ウ)よって構成Ⅰ-2①の被告製品は構成要素第1刃物台上に設けられ
を充足する。
,。イ構成Ⅰ-2①の被告製品は構成要件ⅠEのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠEを充足する。
[被告の主張]
ア「第1刃物台上に設けられ」
(ア)原告の主張ア(ア)(「設けられ」の解釈)は否認する。
第1特許明細書の第6欄3行目以下には「孔加工用工具台70は第1刃物台40
に固定されている」との記載がある。
したがって,孔加工用工具台が「第1刃物台上に設けられ」ているというために
は,もともと独立していた別体である孔加工用工具台が第刃物台に固定されたも1
のでなければならない。
(イ)同(イ)(工具の保持)のうち,T12-C=T12-E(正面刃物台)が内径
・外径加工を行うことができる切削用の工具を保持することは否認し,孔加工用工
具を保持することは認める。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
T12-C=T12-E(正面刃物台)の台は,一体成形されていて,別体を固定
したものではないから,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要素「第1刃物台上に設
けられ」を充足しない。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は不知。
ウ同ウ(構成要件ⅠEの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅰ-2②の被告製品)a()(構成要件ⅠA(充足性))につ71a
いて
[原告の主張]
ア「主軸台」
(ア)a日本工業規格(JIS)は,主軸台を「工作物を回転する主軸を備えてい
る部分」と定義している(甲18「工作機械(部品・工作方法)用語」3頁)。。。
b構成要件ⅠAでは,数値制御自動旋盤が「主軸台」を備えていることが構
成要素とされているが,構成要件ⅠAの記載によれば「主軸台」とは,工作物を,
把持し,回転する主軸を備え,この主軸の中心線方向であるZ軸方向に摺動する部
位のことであり,主軸駆動装置を備えていることなどは,主軸台の要素ではない。
(イ)構成Ⅰ-2②の被告製品において,主軸を回転自在に支承する機構は,ダ
ブル主軸である。
(ウ)ダブル主軸のT-A(移動フレーム)は,主軸を回転自在に支承し,この主
軸の中心線方向であるZ軸方向に摺動するから,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成
要素「主軸台」を充足する。
イよって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠAを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台」
,。(ア)原告の主張ア(ア)a(JISの定義)は認めb(主軸台の解釈)は否認する
a主軸台は,一般的に次のとおり定義されている。
()「旋盤の左端に固定され,動力を伝える台。中に主軸を収め,これにセa
ンターをはめ,心押し台と共に工作物を支える。段車式と歯車式とがある」(広。
辞苑第5版岩波書店1278頁)
(b)「工作物を回転する主軸を備えている台」(乙1「JISハンドブッ。。
ク13工作機械」46頁。)
(c)「工作機械類の主軸(スピンドル)と主軸の減速装置などが収納されてい
る箱や台で,特にベッドなどに固定されているものをいう」(乙2「コンパクト。。
版機械用語大辞典」294頁。)
(d)「主軸,主軸駆動装置,速度変換装置などを備えており,普通,鋳鉄製
の箱形構造をもつ」(乙3「機械工学用語辞典」300頁。)。。
(e)「旋盤の左端に固定され,動力を伝える台。中に主軸を納め,これにセ
ンタをはめ,心押し台とともに工作物を支える台」(乙4「図解機械用語辞典第。。
3版」259頁。)
(f)「工作機械において主軸と主軸駆動装置及び主軸の速度変換装置などを
備えている部分をいう」(乙5「2001~02年版最新機電・情報用語辞典」。。
239頁。)
(g)「旋盤の最も重要な部分であり,工作物を保持し,それに回転運動を与
える役目をするもので,俗にハシコップまたはカシコップともいわれている。主軸
台は,主軸(),主軸を回転させるためのベルト車(),主軸の回転数をSpindlePulley
変えるための歯車,および往復台に運動を伝えるための一連の歯車などから成り立
っている」(乙6「よくわかる旋盤作業法」20頁。)。。
b主軸台の一般的な定義が上記のとおりであること及び構成要件ⅠAの主,「
軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるZ軸方向に摺動する」が「主
軸台」を修飾するものであって「主軸台」を定義づけるものではないことからす,
れば「主軸台」とは,中に主軸を収め,主軸駆動装置や主軸の速度変換装置など,
を備えて,主軸に回転運動(動力)を伝えるものであり,かつ,工作物を支えるもの
をいう。
(イ)同(イ)(ダブル主軸)は認める。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
ダブル主軸のT-A(移動フレーム)は,主軸に回転運動を伝えるものではないか
ら,主軸台ではなく,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要素「主軸台」を充足しな
い。
なお,ダブル主軸において主軸に回転運動を伝える固定台は,Z軸方向に摺動し
ないから,構成要素「Z軸方向に摺動する」を充足しない。
イ同イ(構成要件ⅠAの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅰ-2②の被告製品)a()(構成要件ⅠA(均等論))につ81b
いて
[原告の主張]
ア法律論
特許請求の範囲に記載された構成中に対象製品と異なる部分が存する場合であっ
ても,()右部分が特許発明の本質的部分ではなく,()右部分を対象製品における12
ものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏す
るものであって,()そのように置き換えることに,当業者が,対象製品の製造の3
時点において容易に想到することができたものであり,()対象製品が,特許発明4
の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから出願時に容易に推考で
きたものではなく,()対象製品が特許発明の特許出願手続において特許請求の範5
囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,その対象
製品は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的
範囲に属するものと解すべきである。
イ均等論の適用
,,仮にダブル主軸のT-A(移動フレーム)が構成要件ⅠAを充足しないとしても
ダブル主軸のT-A(移動フレーム)及び固定台の組み合わせは,次のとおり,均等
の要件をいずれも充たすから,構成要件ⅠAと均等である。
(ア)非本質的部分性
特許発明のある構成が本質的部分に当たるか否かは,その構成が他の構成と置き
換えられるならば,全体としてその特許発明の技術思想とは別個のものと評価され
るような部分か否かという基準で判断すべきである。
構成要件ⅠAの「主軸台」は,主軸台移動形自動旋盤の主軸台の構成として標準
的なものであり,第1特許出願前から,広く知られていた構成である。
したがって,構成要件ⅠAは,第1特許発明の本質的部分ではない。
(イ)置換可能性(同一作用効果)
仮に,主軸台が,被告の主張するとおり,主軸支持機能,主軸台移動機能及び主
軸駆動機能を有する部位のことであるとした場合,ダブル主軸は,T-A(移動フ
レーム)が主軸支持機能及び主軸台移動機能を,固定台が主軸駆動機能をそれぞれ
承継したものであって,主軸台をダブル主軸に置換しても,第1特許発明の目的を
達することができ,その作用及び効果も同一である。
(ウ)置換容易性
被告製品の製造,販売を開始した平成6年当時,ダブル主軸は公知の構成であっ
たから,主軸台をダブル主軸に置換することは容易であった(甲17)。
(エ)公知技術と同一又は容易推考
,,主軸台をダブル主軸に置換した第1特許発明の構成は第1特許出願時において
,。公知技術と同一ではなく当業者が公知の技術から容易に推考できたものでもない
[被告の主張]
ア原告の主張ア(法律論)は争わない。
イ同イ(均等論の適用)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅰ-2②の被告製品)b(構成要件ⅠB)について91
[原告の主張]
ア「ガイドブッシュ」
(ア)ガイドブッシュは,ガイドブッシュとして機能するものであり,それが主
軸台と別体であることは要求されていない。
(イ)構成Ⅰ-2②の被告製品において,固定台はT12-B(ガイドブッシュ)
を備えている。
(ウ)よって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要素「ガイドブッシュ」を充足
する。
,。イ構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要件ⅠBのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠBを充足する。
[被告の主張]
ア「ガイドブッシュ」
(ア)原告の主張イ(ア)(ガイドブッシュの解釈)は否認する。
構成要件ⅠBにおいて,ガイドブッシュは,主軸台の前方に配置されていること
が必要であるから,ガイドブッシュと主軸台は,別体でなければならない。
(イ)同(イ)(ガイドブッシュの存在)は認める。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(他の構成要素の充足)は不知。
ウ同ウ(構成要件ⅠBの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅰ-2②の被告製品)c(構成要件ⅠC)について101
[原告の主張]
ア「第1刃物台」
(ア)「第1刃物台」は,切削用の工具を保持する刃物台のことであり,内径加
工用の工具を保持する刃物台もこれに当たる。
(イ)T12-C=T12-E(正面刃物台)の工具
a()前記()原告の主張ア(イ)a()及び()のとおりa4ab
()このことは,構成Ⅰ-2②の被告製品についても同様である。b
bしたがって,構成Ⅰ-2②の被告製品のT12-C=T12-E(正面刃
物台)は,内径・外径加工を行うことができる切削用の工具を保持しているもので
ある。
,,「」。(ウ)よって構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要素第1刃物台を充足する
イ「X1軸方向に移動する」
(ア)前記()原告の主張イ(ア)のとおり1
,。(イ)T12-C=T12-E(正面刃物台)はT12-X1軸方向に移動する
(ウ)よって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要素「X1軸方向に移動する」
を充足する。
,。ウ構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要件ⅠCのその他の構成要素を充足する
エよって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠCを充足する。
[被告の主張]
ア「第1刃物台」
(ア)原告の主張ア(ア)(第1刃物台の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)a()は否認する。b
T12-C=T12-E(正面刃物台)の工具で外径加工を行うことができるの
,,は追加ホルダが取り付け可能な被告製品に追加ホルダを取り付けた場合に限られ
その他の被告製品のT12-C=T12-E(正面刃物台)の工具で外径加工を行う
ことはできない。
また,BS12/18-Ⅲのカタログ(甲4の6)には,原告の指摘する混合制御
の図が「内径テーパ加工を行う」ものであると明記されている。
したがって,BS20/26C及びBS32を除く構成Ⅰ-2②の被告製品のT
12-C=T12-E(正面刃物台)は,外径加工用の工具を保持しない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ「X1軸方向に移動する」
(ア)原告の主張イ(ア)(X1軸方向の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(移動方向)は認めるただしT12-C=T12-E(正面刃物台)。,
は,T12-Z1軸方向にも移動する。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
ウ同ウ(他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
エ同エ(構成要件ⅠCの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅰ-2②の被告製品)d(構成要件ⅠD)について111
[原告の主張]
ア「近傍」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)正面視した場合,T12-D(刃物台)は,T12-B(ガイドブッシュ)よ
,,りわずかに前方T12-C=T12-E(正面刃物台)より後方に配置されていて
T12-C=T12-E(正面刃物台)と同時に被加工物に接近させて待機させ,又
はT12-C=T12-E(正面刃物台)と同時切削をすることが可能な位置関係に
ある。
(ウ)よって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要素「近傍」を充足する。
,。イ構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要件ⅠDのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠDを充足する。
[被告の主張]
ア「近傍」
(ア)原告の主張ア(ア)(近傍の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台相互の位置)は否認する。T12-D(刃物台)とT12-C
=T12-E(正面刃物台)は,第1特許明細書の第1図のガイドブッシュと孔加工
用工具台の位置関係と同様の位置関係にある。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅠDの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅰ-2②の被告製品)d(構成要件ⅠE)について121
[原告の主張]
ア「第1刃物台上に設けられ」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり6
(イ)T12-C=T12-E(正面刃物台)は,前記()原告の主張ア(イ)のとお4
り,内径・外径加工を行うことができる切削用の工具を保持するだけでなく,孔加
工用工具を保持する。
,,「」(ウ)よって構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要素第1刃物台上に設けられ
を充足する。
,。イ構成Ⅰ-2②の被告製品は構成要件ⅠEのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠEを充足する。
[被告の主張]
ア「第1刃物台上に設けられ」
(ア)原告の主張ア(ア)(「設けられ」の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(工具の保持)のうち,いずれも孔加工用工具を保持すること,及び
BS20/26C及びBS32のT12-C=T12-E(正面刃物台)が外径加工
用工具を保持することがあることは認め,その余は否認する。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅠEの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅰ-3の被告製品)a(構成要件ⅠC)について131
[原告の主張]
ア「第1刃物台」
(ア)「第1刃物台」は,切削用の工具を保持する刃物台のことであり,内径加
工用の工具を保持する刃物台もこれに当たる。
(イ)T13-C=T13-E(正面刃物台)の工具
a()被告作成に係るBS12/18の各製品のカタログ(甲4の5)の5頁a
には「混合制御」の見出しの下に,T12-C=T12-E(正面刃物台)の保持,
する工具がT12-X2軸方向に移動して内径加工を行う図が描かれている。
()同図は,被加工物の端面に孔空け加工を行った後に,被加工物の孔の中b
をくり抜く加工を行っているものであるが,T12-C=T12-E(正面刃物台)
は,T12-X2軸方向に移動させて被加工物の外径側に接近させれば,外径加工
も行うことができる。
()このことは,正面刃物台を有する構成Ⅰ-3の被告製品についても同様c
であり,構成Ⅰ-3の被告製品においては,T13-C=T13-E(正面刃物台)
に鉤形のボーリングバイトを取り付けて,これを被加工物の外径側に接近させて外
径加工を行うことができる。
bしたがって,構成Ⅰ-3の被告製品のT13-C=T13-E(正面刃物
台)は,内径・外径加工を行うことができる切削用工具を保持する。
(ウ)よって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要素「第1刃物台」を充足する。
イ構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠCのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠCを充足する。
[被告の主張]
ア「第1刃物台」
(ア)原告の主張ア(ア)(第1刃物台の解釈)は否認する。
内径加工は,孔加工であり,その機能は構成要件ⅠEの「孔加工用工具台」が果
たすものであり「第1刃物台」は,外径加工用の工具を保持するものに限定され,
る。
(イ)同(イ)のうち,a()(カタログの記載)は認め,その余は否認する。a
正面刃物台を有する被告製品の中で,正面刃物台で外径加工を行うことができる
のは,BS20/26Cのように正面刃物台にオプションとして追加ホルダを最下
部に取り付けることができる製品に限られる。
しかし,構成Ⅰ-3の被告製品のT13-C=T13-E(正面刃物台)は追加ホ
ルダを取り付けられる設計とはなっておらず,T13-C=T13-E(正面刃物
台)の工具は,いずれも外径加工用のものではない。
また,BS12/18-Ⅲのカタログ(甲4の6)には,原告の指摘する混合制御
の図が「内径テーパ加工を行う」ものであると明記されている。
したがって,構成Ⅰ-3の被告製品のT13-C=T13-E(正面刃物台)は外
径加工用の工具を保持していない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅠCの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅰ-3の被告製品)b(構成要件ⅠD)について141
[原告の主張]
ア「近傍」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)正面視した場合,T13-D(刃物台)は,T12-B(ガイドブッシュ)よ
,,りわずかに前方T13-C=T13-E(正面刃物台)より後方に配置されていて
T13-C=T13-E(正面刃物台)と同時に被加工物に接近させて待機させ,又
は,T13-C=T13-E(正面刃物台)と同時切削をすることが可能な位置関係
にある。
(ウ)よって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要素「近傍」を充足する。
イ構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠDのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠDを充足する。
[被告の主張]
ア「近傍」
(ア)原告の主張ア(ア)(近傍の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台相互の位置)は否認する。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅠDの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅰ-3の被告製品)c(構成要件ⅠE)について151
[原告の主張]
ア「第1刃物台上に設けられ」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり6
(イ)T13-C=T13-E(正面刃物台)は,内径・外径加工を行うことがで
きる切削用の工具を保持するだけでなく,孔加工用工具を保持する。
(ウ)よって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要素「第1刃物台上に設けられ」
を充足する。
イ「孔加工用工具台」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり3
(イ)T13-C=T13-E(正面刃物台)は,孔加工用の工具が取り付けられ
ている。
(ウ)よって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要素「孔加工用工具台」を充足す
る。
ウ構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠEのその他の構成要素を充足する。
エよって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠEを充足する。
[被告の主張]
ア「第1刃物台上に設けられ」
(ア)原告の主張ア(ア)(「設けられ」の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(工具の保持)のうち,T13-C=T13-E(正面刃物台)が内径
・外径加工を行うことができる切削用の工具を保持することは否認し,孔加工用工
具を保持することは認める。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ「孔加工用工具台」
(ア)同イ(ア)(孔加工用工具台の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(孔加工用の工具)は認める。ただし,T13-C=T13-E(正面
刃物台)の孔加工用の工具は,B軸方向に摺動しない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅰ-3の被告製品)d(間接侵害の成否)について161
[原告の主張]
ア客観的要件
(ア)仮に,構成Ⅰ-3の被告製品が,その製造,販売の際,T13-C=T1
3-E(正面刃物台)に取り付けるべき外径加工用工具を備えていないとしても,構
成Ⅰ-3の被告製品を購入した者は,T13-C=T13-E(正面刃物台)に,別
途調達可能な外径加工用工具(甲19の1参照。)を取り付けて,T13-C=T1
3-E(正面刃物台)を外径加工用の刃物台兼孔加工用工具台とすることができる。
(イ)したがって,構成Ⅰ-3の被告製品は,第1特許発明の数値制御自動旋盤
,。の生産に用いる物であって第1特許発明による課題の解決に不可欠なものである
イ主観的要件
(ア)被告は,自動旋盤の製造,販売を業とするものであり,第1特許は特許公
報に掲載されている。
(イ)a被告は,構成Ⅰ-3の被告製品が構成要件ⅠCを除くその他の構成要件
を充足することを知っていた。
bまた,構成Ⅰ-2①の被告製品に関するものであるが,被告作成に係るB
S12/18の各製品のカタログ(甲4の5)の5頁には「混合制御」の見出しの,
下に,T12-C=T12-E(正面刃物台)の保持する工具がT12-X2軸方向
に移動して加工を行う図が描かれているから被告はT13-C=T13-E(正,,
面刃物台)で外径加工を行うことができることを知っていた。
(ウ)したがって,被告は,構成Ⅰ-3の被告製品の製造,販売を開始した際,
第1特許発明が特許発明であること,及び構成Ⅰ-3の被告製品が第1特許発明の
実施に用いられることを知っていた。
ウよって,平成15年1月1日以降,構成Ⅰ-3の被告製品を製造,販売す
る行為は,特許法101条2号により第1特許権を侵害するものとみなすべき行為
である。
[被告の主張]
ア客観的要件
(ア)原告の主張ア(ア)(外径加工用工具の取付)は否認する。
T13-C=T13-E(正面刃物台)に取付可能な外径加工用の工具は存在しな
い。
(イ)同(イ)(客観的要件の具備)は否認する。
イ主観的要件
(ア)同イ(ア)(特許公報に掲載等)は認める。
(イ)同(イ)a(構成要件充足の認識),及びb(外径加工の認識)は否認する。
aBS20/26Cは,その正面刃物台に,オプションとして追加ホルダを
最下部に取り付け,追加ホルダの保持する工具で外径加工を行うことができる製品
であるが,このように,正面刃物台の保持する工具で,外径加工を行うことのでき
る被告製品は,正面刃物台を主軸中心線方向に移動させて,被加工物を加工する余
地を多く確保できるように,最下部に追加ホルダを取り付ける設計となっている。
b構成Ⅰ-3の被告製品の取扱説明書(乙51)には次の記載がある。
()「本取扱説明書に従わないで使用した場合,及び弊社の了解無しに製品a
を改造した場合の結果に対しては,一切の責任を負いません。あらかじめご了承く
ださい」(表紙から2枚目「ご注意」欄)。
()「ご使用になる前に本書を良くお読みいただき,能率の良い運転をされb
るようお願いいたします。
また“できないこと“してはいけないこと”はとてもたくさんあり,本書に,”,
すべてを書き尽くすことはできません。従いまして,本書に“できる”と書いてい
ない限り“できないもの”と考えてください」(表紙から3枚目「はじめに」欄)。
c上記取扱説明書には,T13-C=T13-E(正面刃物台)に外径加工用
工具を取り付けて外径加工を行うことができることは記載されていない。
dしたがって,被告は,T13-C=T13-E(正面刃物台)で外径加工を
行うことを予定しておらず,そのような用いられ方をすることを知らなかった。
(ウ)同(ウ)(主観的要件の具備)は否認する。
ウ同ウ(間接侵害の成立)は否認する。
4争点()(第1特許発明)イ(無効理由の存否)に関する当事者の主張1
()争点()イ(ア)(新規性の欠如)について11
[被告の主張]
ア野村製品
(ア)引用発明Ⅰ-1
a()野村精機株式会社(以下「野村精機」という。)は,次の各文献を第1a
特許の出願日前に頒布した。
乙10(野村精機製NN-12K,16K,20Kのカタログ),
乙11(文献「機械と工具」(昭和59年8月号)掲載の広告),
乙12(野村精機製NN-12K,16K,20Kの取扱説明書),
乙13(野村精機製NN-16Kの取扱説明書),
乙14(野村精機製NN-16Kのパーツカタログ)
()乙12(野村精機製NN-12K,16K,20Kの取扱説明書)の1枚b
目左下には[8509-20K/L0-02]との記載があるから,1985年(昭
和60年)9月に作成されたものである。
原告は,後記原告の主張ア(ア)a()(乙12の作成日)のとおり主張する。b
しかしながら,乙12ないし乙14の1枚目の左下に記載されている符号ⅰ
の意味は,次のとおりである。
乙12の「8509-20K/L0-02」の表記について
「85」:1985年
「09」:9月
「20K:NN-20K」
MELDAS-L0「L0」:三菱電機株式会社製の数値制御装置の型式が
「02」:版()Version
乙13の「I1685-2/L0」の表記について
「16」:NN-16K
「85」:1985年
「2」:版()Version
MELDAS-L0「L0」:三菱電機株式会社製の数値制御装置の型式が
乙14の「P1684-1/L0」の表記について
「16」:NN-16K
「84」:1984年
「1」:版()Version
MELDAS-L0「L0」:三菱電機株式会社製の数値制御装置の型式が
また,乙12は,第2版の取扱説明書であり,広告(乙第11号証)がされⅱ
た後,1年経過して作成されていたとしても何ら不自然ではなく,むしろ,198
5年9月の段階で,2版の取扱説明書が存在するということは,1985年9月の
以前に1版が存在することを裏付けるものであり,1985年9月以前から,NN
-12,16,20Kが製造・販売されていたことを物語るものである。KK
b上記a()の各文献には,それぞれ野村精機製NN-12K,16K,2a
0K(以下「野村製品」という。)の構成が開示されている。
c()上記a()の各文献中に開示されている野村製品の構成は,別紙野村製aa
品説明書記載のとおりである(以下,上記a()の各文献中に開示された発明を「引a
用発明Ⅰ-1」という。)。
()乙13の取扱説明書の67頁には「加工プログラム例の解説」としbⅰ,
て,次の記載がある。なお「T7「T8「T9」は,T12’-C兼T12,」,」,
’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)に取り付けられた工具の符号である。
「N20:・・・T7・・・を選択」
「N90:ドリルT8を選択」
「N140:T9を選択し,主軸回転数400r.p.mに指令」
乙13の取扱説明書の68頁には「加工プログラム例の解説」として,ⅱ,
次の記載がある。なお「T4「T5「T6」は,T12’-D(刃物台2)に,」,」,
取り付けられた工具の符号である。
「N440:・・・次のツールT5を選択」。
「N570:溝入れバイトT5を選択し・・・」,
「N620:突切りバイトT4を選択し・・・」,
これらの記載から,T12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工ⅲ
具台)のT12’-X1軸方向の移動及びT12’-D(刃物台2)のT12’-Y
軸方向の移動は,数値制御プログラムによって数値制御されているものといえる。
(イ)公然実施発明Ⅰ
a野村精機は,次のとおり,第1特許の出願日前に,野村製品の販売を開始
した。
()NN-16K実機の取引実例a
野村精機NN-16Kについては,実機が現存する(乙15の1~4。以下,こ
の実機を「NN-16K実機」という。)。NN-16K実機は,野村精機から財
団法人山梨県中小企業振興公社(以下「山梨県中小企業振興公社」という。)が購入
し,山梨県中小企業振興公社から大月精工株式会社(以下「大月精工」という。)が
貸与を受けて使用しているものである(乙15の4)。
乙15の2の銘板には「」(日本語訳数値制,NUMERICALCONTROLSYSTEM
御装置)との記載があり,さらに「」(日本語訳日付198,DATEJAN-1985
5年1月)との記載があることから,NN-16K実機の数値制御装置は,198
5年(昭和60年)1月に製造されたものである。
CNCSWISSTYPEAUTOMATICSCREWまた,乙15の3の機械銘板には「,
(日本語訳CNCスイスタイプ自動旋盤)との記載がありさらにNMACHINE」,,「
o.30048509」との記載があり,番号の下4桁の「」との記載は製造8509
年月を表わすから,NN-16K実機は,1985年(昭和60年)9月に製造され
たものである。
さらに,乙15の4の「設備貸与之証」には「昭和60年度」との記載がある,
から,NN-16K実機は,山梨県中小企業振興公社から大月精工に対して昭和6
0年度に貸与されたものである。
()NN-20K実機の取引実例b
野村精機NN-20Kについては,実機が現存する(乙16の1~4。以下,こ
の実機を「NN-20K実機」という。)。NN-20K実機も,野村精機から山
梨県中小企業振興公社が購入し,山梨県中小企業振興公社から大月精工が貸与を受
けて使用しているものである(乙16の4)。
乙16の2の銘板には「」(日本語訳数値制,NUMERICALCONTROLSYSTEM
御装置)との記載があり,さらに「」(日本語訳日付1985,DATEFEB-1985
年2月)との記載があることから,NN-20K実機の数値制御装置は,1985
年(昭和60年)2月に製造されたものである。
CNCSWISSTYPEAUTOMATICSCREWまた,乙16の3の機械銘板には「,
(日本語訳CNCスイスタイプ自動旋盤)との記載がありさらにNMACHINE」,,「
o.31048503」との記載があり,番号の下4桁の「」との記載は製造8503
年月を表わすから,NN-20K実機は,1985年(昭和60年)3月に製造され
たものである。
さらに,乙16の4の「設備貸与之証」には「昭和60年度」との記載がある,
から,NN-20K実機は,山梨県中小企業振興公社から大月精工に対して昭和6
0年度に貸与されたものである。具体的には,NN-16K実機及びNN-20K
,,,実機はそれぞれ昭和60年10月31日に大月精工の指定する場所に設置され
検収が行われた(乙42の1)。
b()野村製品の構成は,別紙野村製品説明書記載のとおりである(以下,実a
際に野村精機が販売した野村製品の構成を「公然実施発明Ⅰ」という。)。
()上記(ア)c()(加工プログラム例の存在)と同じ。bb
イマトラ社製品(引用発明Ⅰ-2)
(ア)第1特許の出願日前に頒布された乙17(後記マトラ社製DECOTUR
N12・16の広告)には,MATRAMANURHINAUTOMATIC
社(以下「マトラ社」という。)製のDECOTURN12・DECOTURN16
(以下「マトラ社製品」という。)の構成が開示されている。
(イ)マトラ社製品の構成は,別紙マトラ社製品説明書記載のとおりである(以
下,上記広告において開示された発明を「引用発明Ⅰ-2」という。)。
ウ相違点及び一致点
(ア)仮に,T12-C=T12-Eは第1刃物台兼孔加工用工具台であるとの
原告の主張が認められ,T12-C=T12-EとT12-D(第2刃物台)とが近
傍にあり,構成Ⅰ-2①の被告製品が第1特許の技術的範囲に属するのであれば,
野村製品の3軸アタッチメントも,第1刃物台兼孔加工用工具台と評価することが
でき,刃物台②と近傍にあることになるから,第1特許発明と引用発明Ⅰ-1,引
用発明Ⅰ-2及び公然実施発明Ⅰとは,すべての点で一致し,相違点はない。
(イ)また,第1特許発明は,すべての軸の移動を数値制御する構成の自動旋盤
に限定していないから,数値制御される軸が複数ある軸の一部である自動旋盤であ
っても第1特許発明の数値制御自動旋盤に含まれる。
この第1特許発明の要旨認定からすると,仮に,引用発明Ⅰ-1及び公然実施発
明ⅠのT12’-X1軸及びT12’-Y軸並びに引用発明Ⅰ-2のT12’-’
X1軸及びT12’-Y軸が数値制御されているものではないとしても,第1特’
許発明と引用発明Ⅰ-1,2及び公然実施発明Ⅰは,すべての点で一致し,相違点
はない。
エ以上より,第1特許発明には,新規性欠如の無効理由がある。
[原告の主張]
ア野村製品
(ア)引用発明Ⅰ-1
a()被告の主張ア(ア)a()(出願前の頒布)のうち,野村精機が乙10(野村aa
精機製NN-12K,16K,20Kのカタログ),乙12(野村精機製NN-12
K16K20Kの取扱説明書)乙13(野村精機製NN-16Kの取扱説明書),,,
及び乙14(野村精機製NN-16Kのパーツカタログ)の各文献を第1特許の出願
日前に頒布した事実は否認し,その余は不知。
,,乙10には日付の記載がなく頒布の日付を明らかにする手がかりすらないから
野村精機が第1特許の出願日前に頒布したものであるとはいえない。
()同()(乙12の作成日)は否認する。bb
乙12の取扱説明書の作成日が昭和60年9月であるとすると,乙11の広告を
掲載した昭和59年8月から1年以上経過して,ようやく取扱説明書が作成され,
販売の準備が完了したことになり,不自然である。
また,乙13の取扱説明書及び乙14のパーツカタログについては,1枚目の左
下には,それぞれ「I1685-2/L0「P1684-1/L0」との記載」,
があり,乙12の取扱説明書の「8509」と同じような解釈では理解することが
できない。
さらに,野村精機NN-16Kの取扱説明書としては,乙12の取扱説明書と乙
13の取扱説明書の2種類があることになるが,両取扱説明書の記載内容には技術
的に大きな差異があるので,両取扱説明書が共に第1特許の出願日前に頒布された
ことには疑問がある。
したがって,乙12の取扱説明書は,第1特許の出願日前に頒布されたものでは
ない。
b同b(野村製品の構成の開示)のうち,乙11(文献「機械と工具」(昭和5
9年8月号)掲載の広告)に野村製品の構成が開示されているとの点は否認し,その
余は不知。
刊行物に発明が記載されているということができるためには,少なくとも発明が
どのような構成を持っているのかが示されなければならない。したがって,たとえ
ば内部に特徴のある発明品につき,その外形写真のみが掲載されている場合は,そ
の発明は刊行物に記載されたものではない。
乙11の広告には,野村製品の写真及び製品の若干の説明が掲載されているが,
この広告からは,野村製品において,どの軸が数値制御されるのかといった具体的
な構成が明らかでなく,その構成が開示されているとはいえない。
c()同c()(野村製品の構成)のうち,別紙野村製品説明書記載の説明の下aa
線部分は否認し,その余は不知。
T12’-X1軸方向及びT12’-Y軸方向の移動は,いずれもT12’-D
(刃物台2)又はT12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)の工具選
択を目的として,油圧シリンダを駆動しているものである。油圧シリンダの駆動を
数値制御するためには,数値情報を油量に変換する油圧サーボバルブなどの部品が
必要であるが,野村製品には,そのような部品がない。
したがって,野村製品のT12’-D(刃物台2)のT12’-X1軸方向及びT
12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)のT12’-Y軸方向の移
動の制御方法は,数値制御ではない。
,,。()同()(加工プログラム例の記載)は認め(数値制御)は否認するbbⅰⅱⅲ
数値制御とは「数値制御工作機械において,工作物に対する工具の位置をそれ,
に対応する数値情報で指令する制御」である。
しかし,野村製品のT12’-D(刃物台2)のT12’-X1軸方向及びT12
’’’,-C兼T12-E(刃物台1兼孔空け用工具台)のT12-Y軸方向の移動は
単純なオン/オフ指令によって,制御されているにすぎない。
したがって,野村製品のT12’-D(刃物台2)のT12’-X1軸方向及びT
12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)のT12’-Y軸方向の移
動は,数値制御されているものではない。
(イ)公然実施発明Ⅰ
a被告の主張ア(イ)a柱書(出願前の販売)は否認する。
()(NN-16K実機の取引実例),()(NN-20K実機の取引実例)及び()abc
(まとめ)のうち,各実機の製造,売買及び貸借の日付は否認し,その余は不知。
乙15の3及び乙16の3の機械銘板の写真は不鮮明であり,いかなる記載があ
るのか判然としない。
また,仮に,被告の主張するとおり,上記機械銘板の記載がNN-16K実機及
びNN-20K実機の製造日を表わしているとしても,数値制御自動旋盤のような
機械設備については,通常,販売先が決まる前に見込み生産が行われるから,機械
銘板の日付から近接した日に販売されているとは限らず,正確な販売の日は確定で
きない。
さらに,乙15の4及び乙16の4の「設備貸与之証」には,いずれも「昭和6
0年度」との記載があるのみであるから,NN-16K実機及びNN-20K実機
が昭和60年度(昭和60年4月から昭和61年3月までの間)に貸与されたことを
示すのみであって,第1特許の出願日(昭和60年11月26日)前に貸与されたこ
とを示すものではない。
b同b()(野村製品の構成)のうち,別紙野村製品説明書記載の説明の下線a
部分は否認し,その余は不知。同()(加工プログラム例の存在)の認否は,上記(ア)b
c()と同じ。b
イマトラ社製品(引用発明Ⅰ-2)
(ア)被告の主張イ(ア)(マトラ社製品の構成の開示)のうち,乙17の広告にマ
トラ社製品の構成が開示されている点は否認し,その余は不知。
乙17の広告には,マトラ社製品の写真及び製品の若干の説明が掲載されている
が,この広告からは,マトラ社製品において,どの軸が数値制御されるのかといっ
た具体的な構成が明らかでなく,その構成が開示されているとはいえない。
(イ)同(イ)(マトラ社製品の構成)のうち,別紙マトラ社製品説明書記載の下線
部分は否認し,その余は不知。
マトラ社製品は,野村精機がマトラ社にOEM供給した製品であり,その構成は
野村製品と同じである。
したがって,マトラ社製品のT12’-D(刃物台2)のT12’-X1軸方’’
向及びT12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)のT12’-’’’
Y軸方向の移動の制御方法は,数値制御ではないことは,野村製品の場合と同様で
ある。
ウ相違点及び一致点
被告の主張ウ(相違点及び一致点)は否認する。
(ア)第1特許発明では,第1刃物台がX1軸方向に,第2刃物台がX2軸方向
及びY軸方向に,それぞれ数値制御によって移動することが発明の構成要件である
というべきである。
(イ)上記の解釈は,次のことから導かれる。
a特許請求の範囲の「X1軸「Y軸」の文言」,
甲15(文献「JIS数値制御工作機械の座標軸と運動の記号」)の3頁付図2
には旋盤の図及び標準座標系としてX軸,Y軸,Z軸が描かれ,工具切り込み方向
の矢印をX軸,工作物の長手方向の矢印をZ軸と表現している。
したがって,当業者であれば,特許請求の範囲の「Y軸」の文言が数値制御工作
機械の座標軸を示すものであると理解するから,特許請求の範囲の「Y軸」という
文言から当然に同軸の移動制御は,数値制御によって行われるものと解釈すべきで
ある。
また,同一方向の複数の軸が存在する場合,重複を避けるため「X1軸」などと
アルファベットに数字を付加することは当業者の間では技術常識であった。
したがって,当業者であれば,特許請求の範囲の「X1軸」の文言が数値制御工
作機械の座標軸を示すものであると理解するから,特許請求の範囲の「X1軸」と
いう文言から当然に同軸の移動制御は,数値制御によって行われるものと解釈すべ
きである。
b「補間」の計算
第1特許明細書中には,X1軸,X2軸,Y軸,Z軸の「補間」に関する記載が
ある(同明細書第6欄36行目以下,同明細書第7欄19行目以下,同明細書第8
欄9行目以下参照。)。
甲16の1(文献「JIS数値制御工作機械用語」)の6頁番号407ないし4
09の記載によれば,補間は,数値情報を与えることが必須の要件である。
したがって,第1特許明細書中の記載等からも,特許請求の範囲の「X1軸」及
び「Y軸」の移動制御は,数値制御によって行われるものと解釈すべきである。
(ウ)よって,引用発明Ⅰ-1,公然実施発明Ⅰ及び引用発明Ⅰ-2は,引用発
明Ⅰ-1及び公然実施発明ⅠのT12’-X1軸及びT12’-Y軸並びに引用発
明Ⅰ-2のT12’-X1軸及びT12’-Y軸が数値制御されていない点で’’
第1特許発明と相違する(以下,この相違点を「相違点Ⅰ-1」という。)。
エ被告の主張エ(結論)は否認する。
()争点()イ(イ)(進歩性の欠如)について21
[被告の主張]
ア組合せ容易
仮に,引用発明Ⅰ-1,公然実施発明Ⅰ及び引用発明Ⅰ-2が第1特許発明と相
違点Ⅰ-1において相違するとしても,第1特許出願当時,油圧制御をパルスモー
タ等による数値制御に変更することは,周知慣用技術であり,引用発明Ⅰ-1,公
然実施発明Ⅰ及び引用発明Ⅰ-2と後記周知技術Ⅰを組み合わせることは容易であ
った。
イ周知技術Ⅰ
次の(ア)ないし(オ)によれば,第1特許出願当時,油圧制御をパルスモータ等に
よる数値制御に変更することは,周知の技術であった(以下,この技術を「周知技
術Ⅰ」という。)。
(ア)乙35(特開昭56-21701号公報)には,次の記載がある。
「なお,本実施例における第1の刃物摺動台,駆動機構としては,ボールネジと
ナットとの組合せにて行うものにて説明したが,比例して変位するよう形成した単
一カム面を有するマスターカムを使用し,該マスターカムにおけるカム面に第1の
刃物摺動台上端部を付勢し,パルスモータの正逆回転により前記カムを回動させる
ことにより摺動制御するものでもよく,又,カムの回転制御に倣いリンク機構を動
作させ第1の刃物摺動台を摺動制御させる純カム制御によるものでもよく,該駆動
制御機構は任意である」(10頁13行以下)。
(イ)乙36(特願昭62-12268の平成元年8月9日付け拒絶理由通知)
は,乙35を引用して「NCを用いる技術は周知である」としている。。
(ウ)乙37(特公昭54-24155号公報)には,次の記載がある。
「・・・少なくとも一個の前記サーボドライブ装置に対して前記各サーボドライ
ブ装置の前記送り速度よりも早い高速送り運動の準備をする送り速度制御信号発生
装置とからなる少なくとも2運動軸方向に沿って各サーボドライブ装置により移動
可能な工具を有する工作機の数値制御装置において・・・」(1欄37行以下),
「旋盤のような数値制御される工作機では,刃物(工具)は位置指令と送り速度指
令に従って加工物に対して案内される。これらの指令は制御パネルから手動で入力
させることもできるし,あるいは用意されたプログラムテープから読取ることもで
きる」(2欄26行以下)。
(エ)乙38(特願平3-268668(第2特許)の平成6年12月13日付け
拒絶理由通知)には,相違点を指摘する次のaの記載,及びその相違点について判
断する次のbの記載がある。
a(相違点)「2本願の請求項1に係る発明においては『NC制御』である
のに対して,引用例Aに記載された発明においてはそのような構成が記載されてい
ない点」(乙38の2頁)。
b「相違点2について検討すると,旋盤において工具の位置及びその2運動
軸方向の送り速度制御を数値制御装置によって行う工具送り方法は,周知技術であ
る」(乙38の3頁)。
[原告の主張]
ア被告の主張ア(組合せ容易)は否認する。
イ同イ(周知技術Ⅰ)のうち柱書(周知技術であったこと)は否認し(ア)~(エ),,
(公報等の記載)は認める。
次の(ア)及び(イ)のとおり,被告の主張イの公報等の記載によっても,油圧制御を
パルスモータ等による数値制御に変更することは,周知慣用の技術であるとはいえ
ない。
(ア)乙35(特開昭56-21701号公報)には「駆動制御機構は任意であ,
る」(11頁2行以下)との記載があるのみであって,油圧制御又は数値制御に関す
る記載はない。
(イ)乙36(特願昭62-12268の拒絶理由通知),38(特願平3-26
8668(第2特許)の拒絶理由通知),39(特願昭60-267248(第3・第
4特許)の異議決定)の各記載は,審査官又は審判官の意見にすぎず,技術の周知性
を裏付けるものではない。
5争点()(第2特許発明)に関する当事者の主張2
()争点()ア(構成要件ⅡA)について12
[原告の主張]
ア「刃物送り台」
(ア)後記()原告の主張ア(ア)aのとおり,第2特許発明の構成要素である「刃2
物送り台」は,NC自動旋盤において,単一のものでなければならないわけではな
く,刃物送り台が複数ある場合には,それぞれの刃物送り台が構成要素「刃物送り
台」を充足する。
(イ)a構成Ⅱ-1アの被告製品のT21-Af(刃物送り台)及びT21-Ar
(刃物送り台)は,それぞれ構成要素「刃物送り台」を充足する。
b構成Ⅱ-1イの被告製品のT21-Af(刃物送り台)及びT21-Ar
(刃物送り台)は,それぞれ構成要素「刃物送り台」を充足する。
c構成Ⅱ-2アの被告製品のT22-Af(刃物送り台)及びT22-Ar
(タレット刃物送り台)は,それぞれ構成要素「刃物送り台」を充足する。
d構成Ⅱ-2イの被告製品のT22-Af(刃物送り台)及びT22-Ar
(タレット刃物送り台)は,それぞれ構成要素「刃物送り台」を充足する。
e構成Ⅱ-3の被告製品のT23-Af(タレット刃物送り台)及びT23-
Ar(タレット刃物送り台)は,それぞれ構成要素「刃物送り台」を充足する。
イ構成Ⅱの各被告製品は,構成要件ⅡAのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅱの各被告製品は,構成要件ⅡAを充足する。
[被告の主張]
ア「刃物送り台」
(ア)原告の主張ア(ア)(刃物送り台の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅡAの充足)は否認する。
()争点()イ(構成要件ⅡB)について22
[原告の主張]
ア「該刃物送り台」
(ア)a第2特許発明の構成要素である「刃物送り台」は,NC自動旋盤におい
,,,て単一のものでなければならないわけではなく刃物送り台が複数ある場合には
それぞれの刃物送り台が構成要素「刃物送り台」を充足する。
,,b()後記被告の主張ア(ア)のうちc()ないし()(第2特許明細書の記載)aac
d()(分割出願)は認め,b(構成要件ⅡBの文言),c()(効果不奏功),d(第2ad
特許親出願)(),()は否認する。bc
構成要件ⅡBは「該」という文字を「刃物送り台」に冠して,刃物送りⅰ,
台を特定していて,該刃物送り台上の工具相互の位置が固定されていることを要求
するものにすぎないから,NC自動旋盤上の刃物送り台が単一であるか,複数であ
るかは問題ではない。
刃物送り台が複数であっても,各刃物送り台について見れば,駆動制御軸ⅱ
を2軸のみとする効果を奏することができる。
複数の刃物送り台を有する構成Ⅱ-1アないし構成Ⅱ-3の被告製品のカⅲ
タログには「スタンバイ機能でアイドルタイムゼロ」との記載があり(甲4の1,
0・11・15・16),複数の刃物送り台を有するNC自動旋盤においても,非
切削時間の短縮という効果を奏する。
また,いずれも第2特許明細書記載の実施例が,NC自動旋盤が刃物送りⅳ
台を1台備えた構成であったとしても,第2特許発明の範囲が実施例に限定される
わけではない。
第2特許親出願の明細書の記載も,NC自動旋盤の備える刃物送り台が1ⅴ
台である構成に限定した開示をしているわけではない。
(イ)a構成Ⅱ-1アの被告製品のT21-Af(刃物送り台)及びT21-Ar
(刃物送り台)は,それぞれ構成要素「該刃物送り台」を充足する。
b構成Ⅱ-1イの被告製品のT21-Af(刃物送り台)及びT21-Ar
(刃物送り台)は,それぞれ構成要素「該刃物送り台」を充足する。
c構成Ⅱ-2アの被告製品のT22-Af(刃物送り台)及びT22-Ar
(タレット刃物送り台)は,それぞれ構成要素「該刃物送り台」を充足する。
d構成Ⅱ-2イの被告製品のT22-Af(刃物送り台)及びT22-Ar
(タレット刃物送り台)は,それぞれ構成要素「該刃物送り台」を充足する。
e構成Ⅱ-3の被告製品のT23-Af(タレット刃物送り台)及びT23-
Ar(タレット刃物送り台)は,それぞれ構成要素「該刃物送り台」を充足する。
イ構成Ⅱの各被告製品は,構成要件ⅡBのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅱの各被告製品は,構成要件ⅡBを充足する。
[被告の主張]
ア「該刃物送り台」
(ア)a認否
原告の主張(ア)a(該刃物送り台の解釈)は否認する。
次のbないしdによれば「該刃物送り台」は,刃物送り台を1台だけ備えるN,
C自動旋盤において,そのNC自動旋盤上に存在する唯一の刃物送り台を指称する
ものである。
b構成要件ⅡBの文言
「該刃物送り台に設けられた工具ホルダで,工具相互の位置が固定された複数個
の工具を保持するNC自動旋盤において」との構成要件ⅡBの定め方によれば,N
C自動旋盤が保持する複数個の工具相互の位置が固定されていなければならないか
ら,NC自動旋盤上の刃物送り台は,必然的に単一であることになる。
c第2特許明細書の記載
(a)第2特許明細書には,第2特許の発明の技術的課題につき,次の記載が
ある。
「0003】しかし,NC旋盤のバイトの選択は,1本のバイトによる切削作【
業の終了後,刃物台が後退して工具交換点に戻り,次のバイトを選択し,加工域に
前進し,次のバイトによる切削作業を行うように構成されているのが通常であり,
どうしてもバイト選択時の非切削時間が長くなってしまうことになる。勿論,それ
ぞれのバイトに独立したバイト送り機構を設け,それぞれをNC制御すれば,カム
式の自動旋盤と同様に作業することも可能となるが,多数の制御軸を同時にNC制
御することとなり,NC装置も機械自体も高価なものとなると共に,各軸相互の干
,,渉を防止するためにはソフトウェアによるにしてもハ-ドウェアによるにしても
かなり複雑な干渉防止策を講じなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記欠点を解消し,複数個のバイト
を有する旋盤においてバイト選択時の非切削時間を極力小さくし,且つNC制御さ
れる軸を最小にする刃物台の工具送り方法を提供しようとするものである」。
()また,同明細書には,第2特許の発明の効果につき,次の記載がある。b
「0025】【
【発明の効果】本発明は以上に述べたように,バイト選択のためのストロ-クが
従来のNC旋盤に比べて大幅に短縮され,バイト選択のための非切削時間が短縮さ
れるにもかかわらず,刃物台制御のための駆動制御軸は2軸のみであって安価なも
のとなり,その効果は多大なものである」。
()第2特許明細書の【0006】ないし【0021】の記載及び【図1】c
ないし【図3】には第2特許の発明の第1の実施例が【0022【0023】,】,
の記載及び【図4【図5】には,第2の実施例がそれぞれ紹介されているが,】,
いずれも,NC自動旋盤上に刃物送り台を1台のみ備えた構成である。
()第2特許明細書の以上の記載によれば,2つの刃物送り台を有するNCd
自動旋盤は,従来技術に存在した複雑な干渉防止策が必要となるという課題を克服
しつつ,第2特許発明の効果を奏するものではないから「該刃物送り台」は,N,
C自動旋盤上にある唯一の刃物送り台を指しているものである。
d第2特許親出願
()第2特許は,平成3年9月20日,特願昭58-73548号を親出願a
,,「」。。として分割出願したものである(以下この親出願を第2特許親出願という)
()第2特許親出願では,特許請求の範囲,明細書及び図面のいずれの記載b
を検討してもNC自動旋盤上の刃物送り台が「単一の」ものに限定されていて,複
数の刃物送り台を備えた構成に関する記載はない。
()したがって,第2特許が分割要件に違反していないとすれば,第2特許c
発明は,NC自動旋盤が備える刃物送り台が単一である構成に限られる。
(イ)同(イ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅡBの充足)は否認する。
()争点()ウ(構成要件ⅡCないしⅡG)について32
[原告の主張]
ア「工具進入始点位置」(構成要件ⅡC)
(ア)解釈
構成要素「工具進入始点位置」は「ワーク最大径よりわずかな距離だけ離れた,
位置」に設定された点を意味し「工具進入始点位置」の充足性は,上記の点の存,
否を判断すれば足りる。
(イ)待機位置の設定
a構成Ⅱ-1アの被告製品
,,,()B012/18D-ⅢB012/18E-ⅢB012/18L-Ⅲa
B012/18M-Ⅲの取扱説明書(乙9の1),及びBS12/18D-Ⅲ,BS
12/18M-Ⅲの取扱説明書(甲6)には,加工のサンプルプログラムが記載され
ている。
乙9の1の7-44頁,7-45頁記載のプログラムは,別紙サンプルプログラ
,,,ム1記載のとおりであり甲6の7-147頁7-148頁記載のプログラムは
別紙サンプルプログラム2記載のとおりである。
別紙サンプルプログラム1の符号B及び別紙サンプルプログラム2の符号Bは,
ワーク最大径(10mm)よりわずかな距離(0.5mm)だけ離れた位置(直径11
mmの位置)に待機位置(G130)を設定する内容のプログラムである。
したがって,構成Ⅱ-1アの被告製品のうち,B012/18D,E,L,M及
びBS12/18D,Mについては,ワーク最大径よりわずかな距離だけ離れた位
置に待機位置を設定することができる。
()構成Ⅱ-1アの被告製品のうち,BW07/12/20も,ワーク最大b
径よりわずかな距離だけ離れた位置に待機位置を設定することができる。
b構成Ⅱ-1イの被告製品
構成Ⅱ-1イの被告製品も,ワーク最大径よりわずかな距離だけ離れた位置に待
機位置を設定することができる。
c構成Ⅱ-2アの被告製品
構成Ⅱ-2アの被告製品のカタログ(甲4の10・11)には「加工時間を大幅,
に短縮」との記載の下にスタンバイ機能が紹介されている。
スタンバイ機能は,待機位置を設定できることを示すカタログ上の宣伝文句であ
る。
したがって,構成Ⅱ-2アの被告製品も,ワーク最大径よりわずかな距離だけ離
れた位置に待機位置を設定することができる。
d構成Ⅱ-2イの被告製品
,「」構成Ⅱ-2イの被告製品のカタログ(甲4の11)には加工時間を大幅に短縮
との記載の下にスタンバイ機能が紹介されている。
スタンバイ機能は,待機位置を設定できることを示すカタログ上の宣伝文句であ
る。
したがって,構成Ⅱ-2イの被告製品も,ワーク最大径よりわずかな距離だけ離
れた位置に待機位置を設定することができる。
e構成Ⅱ-3の被告製品
構成Ⅱ-3の被告製品のカタログ(甲4の15・16)には「加工時間を大幅に,
短縮」との記載の下にスタンバイ機能が紹介されている。
スタンバイ機能は,待機位置を設定できることを示すカタログ上の宣伝文句であ
る。
したがって,構成Ⅱ-3の被告製品も,ワーク最大径よりわずかな距離だけ離れ
た位置に待機位置を設定することができる。
(ウ)よって,ワーク最大径よりわずかな距離だけ離れた位置に待機位置を設定
することができる構成Ⅱ-1アの被告製品,構成Ⅱ-1イの被告製品,構成Ⅱ-2
アの被告製品,構成Ⅱ-2イの被告製品及び構成Ⅱ-3の被告製品の使用行為は,
構成要素「工具進入始点位置」を充足する場合がある。
イ「該工具進入始点位置の外側に前記各工具の全てがあるとき」(構成要件Ⅱ
D)
(ア)「該工具進入始点位置の外側に前記各工具の全てがあるとき」に当たるか
否かは,刃物送り台が複数ある場合には,工具を取り付けた刃物送り台に取り付け
られた複数の工具のすべてが工具進入始点位置の外側にあるか否かによって,判断
することになる。
(イ)構成Ⅱ-1アの被告製品,構成Ⅱ-1イの被告製品,構成Ⅱ-2アの被告
製品,構成Ⅱ-2イの被告製品及び構成Ⅱ-3の被告製品を使用する際,刃物送り
台に取り付けられた工具のすべてが工具進入始点位置の外側にある場合があること
は当然である。
(ウ)よって,構成Ⅱ-1アの被告製品,構成Ⅱ-1イの被告製品,構成Ⅱ-2
アの被告製品,構成Ⅱ-2イの被告製品及び構成Ⅱ-3の被告製品の使用行為は,
構成要素「該工具進入始点位置の外側に前記各工具の全てがあるとき」を充足する
場合がある。
ウ「任意の方向に早送りで送られ」(構成要件ⅡD)
(ア)構成要件ⅡDは「任意の方向に早送りで送られ」ることを構成要素とす,
るが,その文言のとおり,工具の移動方向が任意に選択したどのような移動経路を
採ったとしても,上記の構成要素を充足する。
(イ)構成Ⅱの各被告製品を使用する際,刃物送り台の工具は,何らかの移動経
路を採って工具を移動させてワークに接近することとなる。
(ウ)よって,構成Ⅱ-1アの被告製品,構成Ⅱ-1イの被告製品,構成Ⅱ-2
アの被告製品,構成Ⅱ-2イの被告製品及び構成Ⅱ-3の被告製品の使用行為は,
構成要素「任意の方向に早送りで送られ」を充足する。
エその他の構成要素の充足
構成Ⅱの各被告製品の使用行為は,構成要件ⅡCないし構成要件ⅡGのその他の
構成要素をいずれも充足する。
オまとめ
よって,構成Ⅱの各被告製品の使用行為は,構成要件ⅡCないし構成要件ⅡGを
充足する場合がある。
[被告の主張]
ア「工具進入始点位置」(構成要件ⅡC)
(ア)原告の主張ア(ア)(工具進入始点位置の解釈)は否認する。
a次のbないしeによれば,構成要素「工具進入始点位置」は,次()ないa
し()の特徴を有する位置のことである。c
。()NC自動旋盤に刃物送り台が1つしかない場合に設定される位置であるa
()ワーク最大径よりわずかな距離だけ離れた位置であって,ワークと工具b
との非干渉の限界点である。
()加工に使用する工具を選択するときに,刃物送り台を工具原点まで一旦c
後退させることなく,工具が,任意の方向に早送りで,移動して到達する位置であ
る。
b構成要件ⅡBは「工具相互の位置が固定された複数個の工具を保持する,
NC自動旋盤」を構成要素とするものである。
c構成要件ⅡCは「ワーク最大径よりわずかな距離だけ離れた位置に各工具,
の工具進入始点位置を設定し,構成要件ⅡDは「該工具進入始点位置の外側に前記」,
各工具の全てがあるときには任意の方向に早送りで送られ,構成要件ⅡEは「工具,」,
進入始点位置の内側に工具があるときは該工具が工具進入始点位置から切削点近傍ま
での間は早送りで移動し」というものである。
d平成7年2月16日付けの特許庁に対する意見書で,原告は,次のように
記載して「工具進入始点位置」を説明している。,
【3頁7行目~】
「引用例Bの発明では,単に所定の停止位置まで所定の経路を通り前進して待機
しているのみのものであり,工具(刃具)が工具進入始点位置の外側にあるときに任
意の方向に早送りで移動可能なものは開示されていない」。
【3頁11行目~】
「本願発明の工具進入始点位置は,工具が切削送り開始点までワークに早送りで
接近する際の経由点(NC制御のための定点)である。そして,この点(工具進入始
点位置)の外側に全ての工具があるときには,ワークと工具の干渉が生じることは
なく,工具が任意の方向に早送りで移動可能であることを保証するワークと工具と
の非干渉域の限界を示す点であり」,
,,e平成7年8月24日付けの特許庁に対する審判請求理由補充書で原告は
次のように記載して「工具進入始点位置」を説明している。,
【2頁下から5行目~】
「この工具送り方法を採用することによって,次の加工に使用する工具を選択す
るとき(工具進入始点位置の外側に全ての工具があるとき)に,従来技術のように刃
物送り台を工具原点まで一旦後退させることなく,任意の方向(即ち,次に選択さ
れた工具の工具進入始点位置に向って直接移動する方向)に早送りで送ることを可
能にしたものであり,工具進入始点位置を設定することによって,任意の方向(例
えば,工具進入始点位置に向う方向)に直接移動させてもワーク(棒材6)と工具と
の干渉を防止するように構成したものである」。
(イ)同(イ)(待機位置の設定)のうち,a()(構成Ⅱ-1アの一部)は認め,そのa
余は不知。
(ウ)同(ウ)(工具進入始点位置の充足)は否認する。
a構成Ⅱの各被告製品における待機位置は,NC自動旋盤に刃物送り台が複
数あることを前提に設定される位置である。
b同待機位置は,プログラム作成者が任意に設定することができる位置であ
って,ワークと工具との非干渉の限界点という特殊な位置ではない。
,,,,c同待機位置は工具の選択を行う際選択工具が任意の方向に早送りで
移動して到達する位置ではなく,一度,原点位置に戻った工具が到達する位置であ
る。
dしたがって,構成Ⅱの各被告製品の使用行為は,構成要素「工具進入始点
位置」を充足しない。
イ「該工具進入始点位置の外側に前記各工具の全てがあるとき」(構成要件Ⅱ
D)
(ア)原告の主張イ(ア)(工具のすべてが外側にあることの解釈)は否認する。
構成要素「該工具進入始点位置の外側に前記各工具の全てがあるとき」を充足す
るためには,その文言のとおり,すべての工具が工具進入始点位置の外側にあるこ
とが必要である。
(イ)同(イ)(外側にある場合の存在)は認める。構成Ⅱの各被告製品につき,待
機位置の設定をすると,常にすべての工具が待機位置の外側にある場合はない。
(ウ)同(ウ)(工具のすべてが外側にあることの充足)は否認する。
ウ「任意の方向に早送りで送られ」(構成要件ⅡD)
(ア)原告の主張ウ(ア)(任意の方向の解釈)は否認する。
a次のbないしdによれば,構成要素「任意の方向に早送りで送られ」は,
工具の工具進入始点位置に向って最短距離を移動するようにX軸及びY軸を同時に
制御して早送りすることを意味するものである。
b第2特許明細書には「任意の方向に早送りされ」について,次の記載が,
ある。
「0019】本実施例では,隣接するバイトホルダ間におけるバイト選択のた【
めの最大移動距離は,図3においては,バイト21eを選択する場合であり,この
{},,場合の移動距離は√2(b+p)であり一般化して水平方向にn本のバイト2

上下方向にn本のバイトが取付けられている場合には,2
√〔b+(n-1)p}+{b+(n-1)p}〕{12
22
であり,最も離れているバイト21aから21f(又は21bから21e)へ移動す
る場合でも,
√{p+(2b+p)}又は22
√〔(n-1)p}+{2b+(n-1)p}〕{12
22
であって,これは図3からも明らかなように,従来のNC旋盤のように刃物台が後
退して工具交換点に戻り,次のバイトを選択し,再度加工域に前進する方法のバイ
ト選択のための移動距離に比較すれば非常に短い距離であり,更に通常は次に選択
されるバイトとして隣接するバイトを選択すればp又は1.4b(=√2b)だ×
けのストロ-クでバイトの選択が完了するものであって,バイト選択のための非切
削時間は大幅に短縮することができる」。
cまた,同明細書には,発明の作用・効果につき,次の記載がある。
「0025】【
【発明の効果】本発明は以上に述べたように,バイト選択のためのストロ-クが
従来のNC旋盤に比べて大幅に短縮され,バイト選択のための非切削時間が短縮さ
れるにもかかわらず,刃物台制御のための駆動制御軸は2軸のみであって安価なも
のとなり,その効果は多大なものである」。
d上記ア(ア)e(審判理由補充書の記載)と同じ
(イ)同(ウ)(工具の移動)は認める。ただし,工具は,最短距離を移動するもの
ではない。
(ウ)同(ウ)は否認する。
エ原告の主張エ(その他の構成要素の充足)は否認する。
オ原告の主張オ(まとめ)は否認する。
()争点()エ(間接侵害の成否)について42
[原告の主張]
ア特許法101条3号の間接侵害の成否
(ア)構成Ⅱの各被告製品は,第2特許発明の使用にのみ用いる物である。
(イ)被告は,業として,構成Ⅱの各被告製品を生産,譲渡等又は譲渡等の申出
をする行為を行った。
イ特許法101条4号の間接侵害の成否
(ア)構成Ⅱの各被告製品は,第2特許発明の使用に用いる物である。
,。(イ)構成Ⅱの各被告製品は第2特許発明の課題の解決に不可欠なものである
(ウ)被告は,第2特許発明が特許発明であること,及び構成Ⅱの各被告製品が
第2特許発明の実施に用いられることを知っていた。
(エ)上記ア(イ)(業としての生産等)と同じ
[被告の主張]
原告の主張のうち,ア(イ)及びイ(エ)(業としての生産等)は認め,その余はいずれ
も否認する。
6争点()(第3特許発明)ア(構成要件の充足性)に関する当事者の主張3
()争点()ア(ア)(構成Ⅲ-1アの被告製品)a(構成要件ⅢB)について13
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)第3特許明細書中に,第1刃物台の位置関係について,主軸台の真横に限
る旨の記載はないから,構成要素「一側方」は,主軸台前方の加工域において,第
2刃物台の保持する第2工具と第1刃物台の保持する第1工具を対向して配置する
ことが可能となる第1刃物台の位置関係をいうものであって,それ以上の限定はな
いと解釈すべきである。
(イ)構成Ⅲ-1アの被告製品のT31-B(対向くし刃刃物台)は,T31-B
k(第1工具左)(第1工具右)とT31-Ck(第2工具)を対向して配置することが
可能となる位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
,。イ構成Ⅲ-1アの被告製品は構成要件ⅢBのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
a「一側方」は,次のb及びcによれば,主軸台の横の左又は右の位置を意
味するものと解釈すべきである。
「」,,「。。。『』」b側方は広辞苑によれば左右の方向また側面わき一転回
と定義されている(広辞苑第5版1564頁)。
c原告は,第3特許につき,審査官から,特願昭57-48402公報(乙
29)を引用した平成2年10月4日付けの拒絶理由通知(乙30)を受け取り,そ
の後,これに対する意見書において,上記公報のFIG1の主軸台7とキャリッジ
19の位置関係につき「対向主軸台の一側方に設けられ(た)・・・第1刃物台」と
記載している。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢBの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅲ-1アの被告製品)b(構成要件ⅢC)について23
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)a構成要件ⅢBの「主軸台の一側方」は,主軸台前方の加工域において,
第2刃物台の保持する第2工具と第1刃物台の保持する第1工具を対向して配置す
ることが可能となる第1刃物台の位置関係を意味するから,第2刃物台は,第1刃
物台と対向する位置関係にさえあれば,上下,左右いずれの向きに対向しているか
を問わない。
b後記被告の主張(ア)a(請求項4及び6の主張)は,請求項4及び6は請求
項1の従属項ではないから,理由がない。
(イ)構成Ⅲ-1アの被告製品のT31-C(正面刃物台)は,T31-B(対向
くし刃刃物台)と上下に対向する位置関係にある(原告第7回準備書面別紙0701
図1参照。)。
(ウ)よって,構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向す
る側」を充足する。
,。イ構成Ⅲ-1アの被告製品は構成要件ⅢCのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
a第3特許公報の特許請求の範囲請求項4及び6には,第1刃物台,第2刃
物台及び対向主軸台につき,次の記載がある。
()「この主軸台の一側方に設けられ,保持する第1工具が前記主軸台前方a
の加工域に位置し,且つ前記Z1軸方向と直交するX1軸方向に移動する第1刃物
台」
(b)「前記主軸台をはさんで対向する側に設けられ,保持する第2工具が前
記主軸台前方の加工域に第1工具に対向して位置し,且つ前記Z1軸方向と平行な
Z2軸方向及び直交するⅩ2軸方向の双方に移動する第2刃物台」
(c)「このガイドブッシュをはさんで前記主軸台の主軸中心線と同軸に対向
して設けられ,Z1軸方向と同じZ3軸方向に摺動する対向主軸台」
b以上の記載によれば,少なくとも,ガイドブッシュをはさんで主軸台の主
軸中心線と同軸に対向する位置は「一側方」にも,これに「主軸台とはさんで対,
向する側」にも当たらないものと解釈すべきである。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。なお,T31-C(正面刃物台)の保持
する工具T31-Ck(第2工具)とT31-B(対向くし刃刃物台)の保持する工具
T31-Bk(第1工具左)(第1工具右)の移動方向は,90度の角度で交わり,対
向していない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
構成Ⅲ-1アの被告製品のT31-C(正面刃物台)は,ガイドブッシュをはさん
で主軸台の主軸中心線と同軸に対向する位置関係にないから,構成Ⅲ-1アの被告
製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向する側」を充足しない。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢCの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅲ-1アの被告製品)c(構成要件ⅢE)について33
[原告の主張]
ア構成要件ⅢEの解釈
構成要件ⅢEは,数値制御装置が第1ないし第3の2軸同時制御機能を有するも
のであることを要求するものであって,ある2軸同時制御機能の動作中に,他の2
軸同時制御機能が動作することまで要求するものではない。
イ構成Ⅲ-1アの被告製品の数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフト
が使用されていて,同装置は,①T31-A(主軸台)のT31-Z1軸方向の移動
と,T31-B(対向くし刃刃物台)のT31-X1軸方向の移動との組合せで,T
31-Z1軸とT31-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時
制御機能と,②T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の移動と,T31-
X2軸方向の移動との組合せで,T31-Z2軸とT31-X2軸の2軸方向に同
時に移動制御させる第2の2軸同時制御機能と,③T31-A(主軸台)のT31-
Z1軸方向の移動と,T31-C(正面刃物台)のT31-X2軸方向の移動との組
合せで,T31-Z1軸とT31-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3
の2軸同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢEの解釈)は否認する。
構成要件ⅢEの第1ないし第3の2軸同時制御機能が「それぞれ独立して動作す
る」とは,各2軸同時制御機能が他の2軸同時制御機能が動作するかしないかにか
かわらず動作することを意味する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅲ-1アの被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフト
の制約から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上
記②の第2の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅢEの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅲ-1アの被告製品)d(構成要件ⅢF)について43
[原告の主張]
ア構成要件ⅢF(補正手段)の解釈
構成要件ⅢFの「第2刃物台のZ2軸方向の送り量及び送り速さが,主軸台のZ
1軸方向の送り量及び送り速さの差分となるよう演算する」補正手段は,技術常識
に基づき合理的に解釈すれば,第2刃物台のZ2軸方向の送り量及び送り速さが,
主軸台が移動しない場合において所望される第2刃物台のZ2軸方向の送り量及び
送り速さと主軸台のZ1軸方向の送り量及び送り速さとの差分となるように演算す
る補正手段を意味する。
イ構成Ⅲ-1アの被告製品は,第1の2軸同時制御と第2の2軸同時制御を
同時にするとき,第2の2軸同時制御機能は,T31-C(正面刃物台)のT31-
Z2軸方向の動きがT31-A(移動フレーム)のT31-Z1軸方向の動きに重畳
して移動するように,T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の送り速度V
は,T31-A(移動フレーム)が移動しない場合において所望されるT31-Z2
C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の送り速度とT31-A(移動フレーvZ2
ム)のZ1軸方向の速度Vとの関係が次の計算式のとおりとなるように演算するZ1
補正手段を有する。
V=+V(ベクトル演算である。)Z2Z2Z1v
Z2Z2Z1v=V-V
(以上のアッパーラインは,ベクトルの意味である。)
ウよって,構成Ⅲ-1アの被告製品は,構成要件ⅢFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢFの解釈)は否認する。
構成要件ⅢFの補正手段は「第2刃物台のZ2軸方向の送り量及び送り速さ」,
が,何に対する関係で「主軸台のZ1軸方向の送り量及び送り速さの差分」となる
のかが不明であり,その意味するところを理解することができない。
したがって,構成要件ⅢFは,記載不備な要件であるから,第3特許発明の技術
的範囲を確定することができず,技術的範囲に属するか否かを検討する前提を欠い
ている。
イ同イ(補正手段の存在)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅢFの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅲ-1イの被告製品)a()(構成要件ⅢA(充足性))につ53a
いて
「」,ダブル主軸が主軸台を充足するか否かに関する原告の主張及び被告の主張は
前記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成Ⅰ-2②」とあるのを「構7,
成Ⅲ-1イ「構成要件ⅠA」とあるのを「構成要件ⅢA」と読み替えるほか,」,
前記3()の原告の主張及び被告の主張と同じである。7
()争点()ア(イ)(構成Ⅲ-1イの被告製品)a()(構成要件ⅢA(均等論))につ63b
いて
ダブル主軸が「主軸台」と均等か否かに関する原告の主張及び被告の主張は,前
記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成要件ⅠA」とあるのを「構成8,
要件ⅢA「第1特許」とあるのを「第3特許」と読み替えるほか,前記3()の」,8
原告の主張及び被告の主張と同じである。
()争点()ア(イ)(構成Ⅲ-1イの被告製品)b(構成要件ⅢB)について73
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅲ-1イの被告製品のT31-B(対向くし刃刃物台)は,T31-B
k(第1工具左)(第1工具右)とT31-Ck(第2工具)を対向して配置することが
可能となる位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
,。イ構成Ⅲ-1イの被告製品は構成要件ⅢBのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢBの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅲ-1イの被告製品)c(構成要件ⅢC)について83
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)構成Ⅲ-1イの被告製品のT31-C(正面刃物台)は,T31-B(対向
くし刃刃物台)と上下に対向する位置関係にある(原告第7回準備書面別紙0701
図1参照。)。
(ウ)よって,構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向す
る側」を充足する。
,。イ構成Ⅲ-1イの被告製品は構成要件ⅢCのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢCの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅲ-1イの被告製品)d(構成要件ⅢE)について93
[原告の主張]
ア構成要件ⅢEの解釈
前記()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅲ-1イの被告製品の数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフト
が使用されていて,同装置は,①の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸
同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅲ-1イの被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフト
の制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第
2の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅢEの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅲ-1イの被告製品)e(構成要件ⅢF)について103
[原告の主張]
ア構成要件ⅢF(補正手段)の解釈
前記()原告の主張アのとおり4
イ構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成Ⅲ-1アの被告製品と同様の補正手段を
有する。
ウよって,構成Ⅲ-1イの被告製品は,構成要件ⅢFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢFの解釈)は否認する。
イ同イ(補正手段の存在)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅢFの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅲ-1ウの被告製品)a(構成要件ⅢB)について113
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅲ-1ウの被告製品のT31-Bf(独立対向くし刃刃物台)及びT3
1-Br(独立対向くし刃刃物台)は,T31-Bk(第1工具左)(第1工具右)とT
31-Ck(第2工具)を対向して配置することが可能となる位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
,。イ構成Ⅲ-1ウの被告製品は構成要件ⅢBのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢBの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅲ-1ウの被告製品)b(構成要件ⅢC)について123
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)構成Ⅲ-1ウの被告製品のT31-C(正面刃物台)は,T31-Bf(独
立対向くし刃刃物台)及びT31-Br(独立対向くし刃刃物台)と上下に対向する
位置関係にある(原告第7回準備書面別紙0701図1参照。)。
(ウ)よって,構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向す
る側」を充足する。
,。イ構成Ⅲ-1ウの被告製品は構成要件ⅢCのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。なお,T31-C(正面刃物台)の保持
する工具T31-Ck(第2工具)とT31-Bf(独立対向くし刃刃物台)及びT3
1-Br(独立対向くし刃刃物台)の保持する工具T31-Bkf(第1工具左)及び
T31-Bkr(第1工具右)の移動方向は,90度の角度で交わり,対向していな
い。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢCの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅲ-1ウの被告製品)c(構成要件ⅢE)について133
[原告の主張]
ア構成要件ⅢEの解釈
前記()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅲ-1ウの被告製品の数値制御装置には,構成Ⅲ-1アの被告製品の
数値制御装置と同様に,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同装置は,
①の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅲ-1ウの被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフト
の制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第
2の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅢEの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅲ-1ウの被告製品)d(構成要件ⅢF)について143
[原告の主張]
ア構成要件ⅢF(補正手段)の解釈
前記()原告の主張アのとおり4
イ構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成Ⅲ-1アの被告製品と同様の補正手段を
有する。
ウよって,構成Ⅲ-1ウの被告製品は,構成要件ⅢFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢFの解釈)は否認する。
イ同イ(補正手段の存在)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅢFの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅲ-2の被告製品)a()(構成要件ⅢA(充足性))につ153a
いて
「」,ダブル主軸が主軸台を充足するか否かに関する原告の主張及び被告の主張は
前記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成Ⅰ-2②」とあるのを「構7,
成Ⅲ-2「構成要件ⅠA」とあるのを「構成要件ⅢA」と読み替えるほか,前」,
記3()の原告の主張及び被告の主張と同じである。7
()争点()ア(エ)(構成Ⅲ-2の被告製品)a()(構成要件ⅢA(均等論))につ163b
いて
ダブル主軸が「主軸台」と均等か否かに関する原告の主張及び被告の主張は,前
記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成要件ⅠA」とあるのを「構成8,
要件ⅢA「第1特許」とあるのを「第3特許」と読み替えるほか,前記3()の」,8
原告の主張及び被告の主張と同じである。
()争点()ア(エ)(構成Ⅲ-2の被告製品)b(構成要件ⅢB)について173
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅲ-2の被告製品のT32-B(くし刃刃物台)は,T32-Bk(第
1工具)とT32-Ck(第2工具)を対向して配置することが可能となる位置関係
にある。
(ウ)よって,構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
イ構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢBのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢBの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅲ-2の被告製品)c(構成要件ⅢC)について183
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)構成Ⅲ-2の被告製品のT32-C(タレット刃物台)は,T32-B(く
し刃刃物台)と左右に対向する位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向する
側」を充足する。
イ構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢCのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢCの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅲ-2の被告製品)d(構成要件ⅢE)について193
[原告の主張]
ア構成要件ⅢEの解釈
前記()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅲ-2の被告製品の数値制御装置には,構成Ⅲ-1アの被告製品の数
値制御装置と同様に,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同装置は,①
の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅲ-2の被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの
制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第2
の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅢEの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅲ-2の被告製品)d(構成要件ⅢF)について203
[原告の主張]
ア構成要件ⅢF(補正手段)の解釈
前記()原告の主張アのとおり4
イ構成Ⅲ-2の被告製品は,構成Ⅲ-1アの被告製品と同様の補正手段を有
する。
ウよって,構成Ⅲ-2の被告製品は,構成要件ⅢFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢFの解釈)は否認する。
イ同イ(補正手段の存在)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅢFの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅲ-3の被告製品)a()(構成要件ⅢA(充足性))につ213a
いて
「」,ダブル主軸が主軸台を充足するか否かに関する原告の主張及び被告の主張は
前記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成Ⅰ-2②」とあるのを「構7,
成Ⅲ-3「構成要件ⅠA」とあるのを「構成要件ⅢA」と読み替えるほか,前」,
記3()の原告の主張及び被告の主張と同じである。7
()争点()ア(オ)(構成Ⅲ-3の被告製品)a()(構成要件ⅢA(均等論))につ223b
いて
ダブル主軸が「主軸台」と均等か否かに関する原告の主張及び被告の主張は,前
記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成要件ⅠA」とあるのを「構成8,
要件ⅢA「第1特許」とあるのを「第3特許」と読み替えるほか,前記3()の」,8
原告の主張及び被告の主張と同じである。
()争点()ア(オ)(構成Ⅲ-3の被告製品)b(構成要件ⅢB)について233
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅲ-3の被告製品のT33-B(タレット刃物台・手前側)は,T32
-Bk(第1工具)とT33-Ck(第2工具)を対向して配置することが可能となる
位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
イ構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢBのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢBの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅲ-3の被告製品)c(構成要件ⅢC)について243
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)構成Ⅲ-3の被告製品のT33-C(タレット刃物台・向側)は,T33-
B(タレット刃物台・手前側)と左右に対向する位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向する
側」を充足する。
イ構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢCのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅢCの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅲ-3の被告製品)d(構成要件ⅢE)について253
[原告の主張]
ア構成要件ⅢEの解釈
前記()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅲ-3の被告製品の数値制御装置には,構成Ⅲ-1アの被告製品の数
値制御装置と同様に,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同装置は,①
の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅲ-3の被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの
制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第2
の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅢEの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅲ-3の被告製品)e(構成要件ⅢF)について263
[原告の主張]
ア構成要件ⅢF(補正手段)の解釈
前記()原告の主張アのとおり4
イ構成Ⅲ-3の被告製品は,構成Ⅲ-1アの被告製品と同様の補正手段を有
する。
ウよって,構成Ⅲ-3の被告製品は,構成要件ⅢFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅢFの解釈)は否認する。
イ同イ(補正手段の存在)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅢFの充足)は否認する。
7争点()(第3特許発明)イ(無効理由の存否)に関する当事者の主張3
()争点()イ(ア)(新規性の欠如)について13
[被告の主張]
ア引用発明Ⅲ-1(乙20,21)
シーメンス社のNC装置8MC-Z2のプログラムマニュアル英語版(乙20。
以下「引用例Ⅲ-1a」という。)は,昭和60年6月ころ,英語圏で刊行物とし
,。「」て頒布され同プログラムマニュアルドイツ語版(乙21以下引用例Ⅲ-1b
という。)は,同月ころ,ドイツで刊行物として頒布された。
引用例Ⅲ-1a及び引用例Ⅲ-1bには,次の発明が開示されている(以下,併
せて「引用発明Ⅲ-1」といい,引用発明Ⅲ-1の次の(A)ないし(F)の各構成を
「引用発明Ⅲ-1(A)」のように表記する。)。
(A)主軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるZ軸方向に摺動する
主軸台と,
(B)この主軸台の一側方に設けられ,前記主軸台前方の加工域に位置し,且つ前
記Z軸方向と直交するX軸方向に移動する第1の刃物と,
(C)保持する第2工具が前記主軸台前方の加工域に位置し,且つ前記Z軸方向と
同一方向であるW軸方向に移動する第2刃物台と,
(D)Z軸,X軸,W軸の各方向に沿った主軸台,第1刃物及び第2刃物台の移動
を制御する数値制御装置とから成る数値制御自動旋盤が開示されている。
(E)前記数値制御装置は,Z軸方向の主軸台の移動とX軸方向の第1刃物の移動
及びW軸方向の第2刃物台の移動で3軸方向に同時に移動制御させてそれぞれ独立
した送り動作を行う制御機能を有している。
(F)この制御機能は,主軸台のZ軸方向の移動制御と同時に第2刃物台を移動制
御する時に,第2刃物台のW軸方向の移動について,主軸台のZ軸方向の移動があ
たかも停止しているかのように入力できるように演算する補正手段を有している。
イ引用発明Ⅲ-1(E)について
引用発明Ⅲ-1(E)は,引用例Ⅲ-1aの3-4頁の上の図及び引用例Ⅲ-1b
の19頁の右上の図に記載されている。
ウ引用発明Ⅲ-1(F)について
(ア)引用例Ⅲ-1aの3-29頁には,次の記載がある。
「W軸はZ軸の移動と同期される。W軸用にプログラムされた値は,ワークピースのゼ
ロポイントに関連している。プログラマは,Z軸があたかも停止しているように,W軸を
入力できる。右側のシステムの軸での穴あけ加工は,例えば,左側のシステムにおける外
径加工の間に行うことが可能である。長手方向送りをオフすると,W軸は再び機械のゼロ
ポイントを基準とする」。
(イ)引用例Ⅲ-1bの49頁には,次の記載がある。
「W軸は,Z軸の運動に連動する(すなわち,Z軸に追随する)。W軸のプログラミング
した値は,加工品のゼロ点(原点)に関連付けられる。すなわち,Z軸の静止を仮定してW
軸のプログラミングを行うことが可能となる。たとえば,左側のシステムで輪郭加工を行
いながら,同時に右側のシステムの軸で穿孔処理を行うことが可能となる。追随式送り機
構(FV)をシャットダウンすると,W軸は再び機械のゼロ点(原点)に関係付けられる」。
(ウ)上記(ア)の記載に引用例Ⅲ-1aの3-29頁右欄の図を,上記(イ)の記載
に引用例Ⅲ-1bの50頁の図をそれぞれ考慮すれば,引用発明Ⅲ-1(F)が開示
されているものといえる。
エ相違点及び一致点
第3特許発明と引用発明Ⅲ-1とは,すべての点で一致し,相違点はない。
オまとめ
よって,第3特許発明には,新規性欠如の無効理由がある。
[原告の主張]
ア被告の主張ア(引用発明Ⅲ-1)のうち,引用例Ⅲ-1a及び引用例Ⅲ-1
bに引用発明Ⅲ-1(E),(F)が開示されている点は否認し,その余は不知。
イ同イ(引用例Ⅲ-1(E))は否認する。
ウ同ウ(引用発明Ⅲ-1(F))のうち,(ア)(引用例Ⅲ-1aの記載),(イ)(引用
例Ⅲ-1bの記載)は不知,(ウ)(引用発明Ⅲ-1(F)の開示)は否認する。
エ同エ(相違点及び一致点)は否認する。
オ同オ(まとめ)は否認する。
()争点()イ(イ)(進歩性の欠如)について23
[被告の主張]
ア引用例Ⅲ-1(乙20,21)を主引用例とした場合
(ア)引用発明Ⅲ-1
引用例Ⅲ-1(乙20,21)には,引用発明Ⅲ-1(A)ないし(E)及び(G)の構
成が開示されている。
(イ)周知技術Ⅲ-1(補正手段)及び周知技術Ⅲ-2(第3の2軸同時制御機能)
第1の2軸同時制御機能(X1,Z1)における主軸台のZ1軸方向の移動と同時
に第2の2軸同時制御機能(X2,Z2)をして第2刃物台をZ2軸方向に移動制御
をするときには,第2刃物台の実際の移動(Z2軸方向の送り量及び送り速さ)は,
主軸台が移動しない場合において所望される第2刃物台の移動(Z2軸方向の送り
量及び送り速さ)と,主軸台の移動(Z1軸方向の送り量及び送り速さ)とのベクト
ル演算をする補正手段は,引用例Ⅲ-1(乙20,21)及び次の各文献に開示され
ていて,第3特許発明の出願日前において当業者にとって周知の技術であった(以
下,この技術を「周知技術Ⅲ-1」という。)。
また,引用例Ⅲ-1(乙20,21)及び次の各文献(乙25を除く。)に開示され
ているように,2組の2軸同時制御機能を有する数値制御自動旋盤において,第3
の2軸同時制御機能を有することは,第3特許発明の出願日前において当業者にと
って周知の技術であった(以下,この技術を「周知技術Ⅲ-2」という。)。
乙22の1・2(マトラ社が第6回EMOHANNOVER展で配布したカタ
ログ,1985年9月),
WT.ZeitschriftfurIndustrielleFertigungbySpring-Verlag1981乙23(文献「
,」1981WirtschaftlichesFertigenvonDrehteileninKleinserien.B.UebelhartMoutier
年9月),
乙24(文献「」65IX.Werkzeugmaschinen-Kolloquium,Budapest,1-3October,1980
4頁,1980年),
maschinewerkzeugLeistungsgrenzebeimDrehenemeut乙25(文献「+
」12~14頁,16頁,1982年3月),erweitert
(ウ)相違点及び一致点
第3特許発明と引用発明Ⅲ-1とは,第3特許発明には構成要件ⅢF(補正手段)
,,の構成があるのに対し引用発明Ⅲ-1にはこれに相当する構成がない点で相違し
その余の点で一致する。
(エ)組合せ容易
引用発明Ⅲ-1と周知技術Ⅲ-1(補正手段)を組み合わせることは,当業者であ
,。れば容易に想到することができたことでありその組合せに技術的阻害要因もない
イ引用例Ⅲ-2(乙19)を主引用例とした場合
(ア)乙19(特公昭52-46389号公報。以下「引用例Ⅲ-2」という。)
には,回転自在に主軸を支持し,主軸中心線方向であるZ1軸方向に摺動する主軸
台と,保持する第1工具が前記主軸台前方の加工域に位置し,かつ前記Z1軸方向
と直交するX1軸方向に移動する刃物台(第1刃物台に相当)と,前記Z1軸方向と
平行なZ2軸方向及び直交するX2軸方向の双方に移動する横方向摺動台(第2刃
物台に相当)と,Z1軸,X1軸,Z2軸,X2軸の各方向に沿った主軸台,第1
刃物台及び第2刃物台の移動を制御する装置とから成る自動旋盤であって,制御装
置は,Z1軸方向の主軸台の移動とX1軸方向の第1刃物台の移動,Z2軸方向と
X2軸方向の第2刃物台の移動のそれぞれの組合せで同時に移動制御させて,それ
ぞれ独立した送り動作を行う機能を有してなる自動旋盤が開示されている(以下,
この発明を「引用発明Ⅲ-2」という。)。
(イ)相違点及び一致点
a第3特許発明と引用発明Ⅲ-2(乙19)とは,第3特許発明には構成要件
ⅢF(補正手段)の構成があるのに対し,引用発明Ⅲ-2には構成要件ⅢF(補正手
段)に相当する構成がない点(以下「相違点Ⅲ-1」という。),引用発明Ⅲ-2に
は第3の2軸同時制御機能が明記されていない点(相違点Ⅲ-2)で相違し,その余
の点で一致する。
b数値制御とは「工作物に対する工具経路,その他,加工に必要な作業の,
工程などを,それに対応する数値情報で指令する制御」を意味するが(乙33),。
このように数値情報で制御することは,油圧制御であっても可能であり,実際に行
われていた(乙34)。したがって,引用発明Ⅲ-2の油圧制御も数値制御であり,
後記原告主張の相違点Ⅲ-3は,相違点とはならない。
(ウ)組合せ容易
引用発明Ⅲ-2に周知技術Ⅲ-1(補正手段)及び周知技術Ⅲ-2(第3の2軸同
時制御機能)を組み合わせて第3特許発明のようにすることは,当業者であれば容
易に想到することができたことであり,その組合せに技術的阻害要因もない。
[原告の主張]
ア引用例Ⅲ-1(乙20,21)を主引用例とした場合
(ア)被告の主張ア(ア)(引用発明Ⅲ-1)(E)が開示されている点は否認し,そ
の余は不知。
(イ)同(イ)(周知技術Ⅲ-1)は否認する。
被告が引用する文献(乙20~26)には,構成要件ⅢF(補正手段)に相当する構
成は開示されていない。
(ウ)同(ウ)(相違点及び一致点)のうち,相違点は認め,一致点は否認する。
(エ)同(エ)(組合せ容易)は否認する。
イ引用例Ⅲ-2を主引用例とした場合
(ア)同イ(ア)(引用発明Ⅲ-2)は不知。
(イ)同(イ)(相違点及び一致点)aのうち,相違点は認め,一致点は否認する。
引用発明Ⅲ-2が,引用発明Ⅲ-2の第2ターレット(第2刃物台に相当)の主軸
軸線方向の移動(Z2軸方向の移動に相当)は,油圧シリンダによるものであって,
数値制御によるものではない点(相違点Ⅲ-3)でも相違する。
(ウ)同(ウ)(組合せ容易)は否認する。
8争点()(第4特許発明)ア(構成要件の充足性)に関する当事者の主張4
()争点()ア(ア)(構成Ⅳ-1アの被告製品)a(構成要件ⅣB)について14
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)第3特許明細書中に,第1刃物台の位置関係について,主軸台の真横に限
る旨の記載はないから,構成要素「一側方」は,主軸台前方の加工域において,第
2刃物台の保持する第2工具と第1刃物台の保持する第1工具を対向して配置する
ことが可能となる第1刃物台の位置関係をいうものであって,それ以上の限定は何
もないものと解釈すべきである。
(イ)構成Ⅳ-1アの被告製品のT41-B(対向くし刃刃物台)は,T41-B
k(第1工具左)(第1工具右)とT41-Ck(第2工具)を対向して配置することが
可能となる位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
,。イ構成Ⅳ-1アの被告製品は構成要件ⅣBのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
a「一側方」は,次のb及びcによれば,主軸台の横の左又は右の位置を意
味するものと解釈すべきである。
「」,,「。。。『』」b側方は広辞苑によれば左右の方向また側面わき一転回
と定義されている(広辞苑第15版1564頁)。
c原告は,第4特許につき,審査官から,特願昭57-48402公報(乙
29)を引用して拒絶理由の存在を通知する平成2年10月4日付けの拒絶理由通
知(乙30)を受け取り,その後,これに対する意見書において,上記公報のFIG
1の主軸台7とキャリッジ19の位置関係につき「対向主軸台の一側方に設けられ
(た)・・・第1刃物台」と記載している。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
構成Ⅳ-1アの被告製品のT41-B(対向くし刃刃物台)は,主軸台の横の左又
は右の位置にはないから,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要素「一側方」を充足
しない。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は不知。
ウ同ウ(構成要件ⅣBの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅳ-1アの被告製品)b(構成要件ⅣC)について24
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記6()原告の主張アのとおり2
(イ)構成Ⅳ-1アの被告製品のT41-C(正面刃物台)は,T41-B(対向
くし刃刃物台)と上下に対向する位置関係にある(原告第7回準備書面別紙0701
図1参照。)。
(ウ)よって,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向す
る側」を充足する。
,。イ構成Ⅳ-1アの被告製品は構成要件ⅣCのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。T41-C(正面刃物台)の保持する工
具T41-Ck(第2工具)とT41-B(対向くし刃刃物台)の保持する工具T41
-Bk(第1工具左)(第1工具右)の移動方向は,90度の角度で交わり,対向して
いない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣCの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅳ-1アの被告製品)c(構成要件ⅣE)について34
[原告の主張]
ア構成要件ⅣEの解釈
前記6()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅳ-1アの被告製品の数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフト
が使用されていて,同装置は,①T41-A(主軸台)のT41-Z1軸方向の移動
と,T41-B(対向くし刃刃物台)のT41-X1軸方向の移動との組合せで,T
41-Z1軸とT41-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時
制御機能と,②T41-C(正面刃物台)のT41-Z2軸方向の移動と,T41-
X2軸方向の移動との組合せで,T41-Z2軸とT41-X2軸の2軸方向に同
時に移動制御させる第2の2軸同時制御機能と,③T41-A(主軸台)のT41-
Z1軸方向の移動と,T41-C(正面刃物台)のT41-X2軸方向の移動との組
合せで,T41-Z1軸とT41-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3
の2軸同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅣEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅳ-1アの被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフト
の制約から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上
記②の第2の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅣEの充足)は否認する。
()争点()ア(ア)(構成Ⅳ-1アの被告製品)d(構成要件ⅣF)について44
[原告の主張]
ア3軸同時重複制御機能
構成要件ⅣFの「Z1軸とX1軸及びZ1軸とX2軸の2組の送り動作をZ1軸
を媒介として同時に実行する3軸同時重複制御機能」とは,第1刃物台のX1軸方
向の移動と第2刃物台のX2軸方向の移動が,それぞれ主軸台のZ1軸方向の移動
を仲立ちとして,直線補間して動いて,その結果,同時加工が行われることを意味
する。
イ構成Ⅳ-1アの被告製品の数値制御装置は,X1軸は,第1の2軸同時制
御機能によってZ1軸とともに移動し,X2軸は,第2の同時制御機能によってZ
2軸とともに移動するが,重畳制御によってZ2軸はZ1軸に従属して移動して,
「」「」。。外径・外径同時旋削加工を行う機能(以下重畳制御機能という)を有する
ウよって,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(3軸同時重複制御機能の解釈)は否認する。
(ア)第3特許明細書には次の記載がある。
a「Z1軸に対してX1軸及びX2軸の同時移動を行わせるために,前記Z
1軸とX1軸及びZ1軸とX2軸の各々の組合わせでZ1軸を媒介とする2組の2
軸同時制御機能(これを3軸同時重複制御機能という)を用いて,同時に重複して2
組の2次元移動制御を含む送り動作を行わせると,例えば第1刃物台の第1工具に
よる荒切削と第2刃物台の第2工具による仕上げ切削とを同時に行わせることがで
きる」(7欄7行目~15行目)。
b「()Z1軸,X1軸,X2軸の3軸同時移動のための2組の2次元移2
動制御を含む送り動作の組合せによる加工(3軸同時重複制御機能)
第4図に示すように,Z1軸に対してX1軸及びX2軸の同時移動を行わせるた
めに,前記Z1軸とX1軸及びZ1軸とX2軸の各々の組合わせでZ1軸を媒介と
する2組の2軸同時制御機能(これを3軸同時重複制御機能という)を用いて,同時
に2次元移動制御を含む送り動作を行わせると,例えば第1刃物台32の第1工具
33による荒切削と第2刃物台44の第2工具45による仕上げ切削とを同時に行
わせることができる。
但し,この場合には,第1工具33による荒切削と第2工具45による仕上げ切
削の送り速度は同一である」(10欄9行目~24行目)。
(イ)以上に第3特許明細書の記載によれば,3軸同時重複制御機能とは,数値
制御装置にZ1軸とX1軸及びZ1軸とX2軸のそれぞれの数値制御指令を与えて
刃物台の移動を制御する機能のことである。
イ同イ(重畳制御機能)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅣFの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅳ-1イの被告製品)a()(構成要件ⅣA(充足性))につ54a
いて
「」,ダブル主軸が主軸台を充足するか否かに関する原告の主張及び被告の主張は
前記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成Ⅰ-2②」とあるのを「構7,
成Ⅳ-1イ「構成要件ⅠA」とあるのを「構成要件ⅣA」と読み替えるほか,」,
前記3()の原告の主張及び被告の主張と同じである。7
()争点()ア(イ)(構成Ⅳ-1イの被告製品)a()(構成要件ⅣA(均等論))につ64b
いて
ダブル主軸が「主軸台」と均等か否かに関する原告の主張及び被告の主張は,前
記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成要件ⅠA」とあるのを「構成8,
要件ⅣA「第1特許」とあるのを「第4特許」と読み替えるほか,前記3()の」,8
原告の主張及び被告の主張と同じである。
()争点()ア(イ)(構成Ⅳ-1イの被告製品)b(構成要件ⅣB)について74
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記6()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅳ-1イの被告製品のT41-B(対向くし刃刃物台)は,T41-B
k(第1工具左)(第1工具右)とT41-Ck(第2工具)を対向して配置することが
可能となる位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
,。イ構成Ⅳ-1イの被告製品は構成要件ⅣBのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣBの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅳ-1イの被告製品)c(構成要件ⅣC)について84
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記6()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)構成Ⅳ-1イの被告製品のT41-C(正面刃物台)は,T41-B(対向
くし刃刃物台)と上下に対向する位置関係にある(原告第7回準備書面別紙0701
図1参照。)。
(ウ)よって,構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向す
る側」を充足する。
,。イ構成Ⅳ-1イの被告製品は構成要件ⅣCのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。なお,T41-C(正面刃物台)の保持
する工具T41-Ck(第2工具)とT41-B(対向くし刃刃物台)の保持する工具
T41-Bk(第1工具左)(第1工具右)の移動方向は,90度の角度で交わり,対
向していない。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣCの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅳ-1イの被告製品)d(構成要件ⅣE)について94
[原告の主張]
ア構成要件ⅣEの解釈
前記6()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅳ-1イの被告製品の数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフト
が使用されていて,同装置は,①の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸
同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅣEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅳ-1イの被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフト
の制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第
2の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅣEの充足)は否認する。
()争点()ア(イ)(構成Ⅳ-1イの被告製品)e(構成要件ⅣF)について104
[原告の主張]
ア3軸同時重複制御機能
前記()原告の主張アのとおり4
イ構成Ⅳ-1イの被告製品の数値制御装置は,重畳制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張アは否認する。
イ同イ(重畳制御機能)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅣFの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅳ-1ウの被告製品)a(構成要件ⅣB)について114
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記6()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅳ-1ウの被告製品のT41-Bf(独立対向くし刃刃物台)及びT4
1-Br(独立対向くし刃刃物台)は,T41-Bk(第1工具左)(第1工具右)とT
41-Ck(第2工具)を対向して配置することが可能となる位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
,。イ構成Ⅳ-1ウの被告製品は構成要件ⅣBのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣBの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅳ-1ウの被告製品)b(構成要件ⅣC)について124
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記6()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)構成Ⅳ-1ウの被告製品のT41-C(正面刃物台)は,T41-Bf(独
立対向くし刃刃物台)及びT41-Br(独立対向くし刃刃物台)と上下に対向する
位置関係にある(原告第7回準備書面別紙0701図1参照。)。
(ウ)よって,構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向す
る側」を充足する。
,。イ構成Ⅳ-1ウの被告製品は構成要件ⅣCのその他の構成要素を充足する
ウよって,構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。なお,T41-C(正面刃物台)の保持
する工具T41-Ck(第2工具)とT41-Bf(独立対向くし刃刃物台)及びT4
1-Br(独立対向くし刃刃物台)の保持する工具T41-Bkf(第1工具左)及び
T41-Bkr(第1工具右)の移動方向は,90度の角度で交わり,対向していな
い。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣCの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅳ-1ウの被告製品)c(構成要件ⅣE)について134
[原告の主張]
ア構成要件ⅣEの解釈
前記6()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅳ-1ウの被告製品の数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフト
が使用されていて,同装置は,①の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸
同時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅣEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅳ-1ウの被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフト
の制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第
2の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅣEの充足)は否認する。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅳ-1ウの被告製品)d(構成要件ⅣF)について144
[原告の主張]
ア3軸同時重複制御機能
前記()原告の主張ア(イ)のとおり4
イ構成Ⅳ-1ウの被告製品の数値制御装置は,重畳制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張アは否認する。
イ同イ(重畳制御機能)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅣFの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅳ-2の被告製品)a()(構成要件ⅣA(充足性))につ154a
いて
「」,ダブル主軸が主軸台を充足するか否かに関する原告の主張及び被告の主張は
前記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成Ⅰ-2②」とあるのを「構7,
成Ⅳ-2「構成要件ⅠA」とあるのを「構成要件ⅣA」と読み替えるほか,前」,
記3()の原告の主張及び被告の主張と同じである。7
()争点()ア(エ)(構成Ⅳ-2の被告製品)a()(構成要件ⅣA(均等論))につ164b
いて
ダブル主軸が「主軸台」と均等か否かに関する原告の主張及び被告の主張は,前
記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成要件ⅠA」とあるのを「構成8,
要件ⅣA「第1特許」とあるのを「第4特許」と読み替えるほか,前記3()の」,8
原告の主張及び被告の主張と同じである。
()争点()ア(エ)(構成Ⅳ-2の被告製品)b(構成要件ⅣB)について174
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅳ-2の被告製品のT42-B(くし刃刃物台)は,T42-Bk(第
1工具)とT42-Ck(第2工具)を対向して配置することが可能となる位置関係
にある。
(ウ)よって,構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
イ構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣBのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣBの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅳ-2の被告製品)c(構成要件ⅣC)について184
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記6()原告の主張ア(ア)のとおり2
(イ)構成Ⅳ-2の被告製品のT42-C(タレット刃物台)は,T42-B(く
し刃刃物台)と左右に対向する位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向する
側」を充足する。
イ構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣCのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣCの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅳ-2の被告製品)d(構成要件ⅣE)について194
[原告の主張]
ア構成要件ⅣEの解釈
前記6()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅳ-2の被告製品の数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが
使用されていて,同装置は,①の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸同
時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅣEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅳ-2の被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの
制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第2
の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅣEの充足)は否認する。
()争点()ア(エ)(構成Ⅳ-2の被告製品)d(構成要件ⅣF)について204
[原告の主張]
ア3軸同時重複制御機能
前記()原告の主張アのとおり4
イ構成Ⅳ-2の被告製品の数値制御装置は,重畳制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張アは否認する。
イ同イ(重畳制御機能)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅣFの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅳ-3の被告製品)a()(構成要件ⅣA(充足性))につ214a
いて
「」,ダブル主軸が主軸台を充足するか否かに関する原告の主張及び被告の主張は
前記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成Ⅰ-2②」とあるのを「構7,
成Ⅳ-3「構成要件ⅠA」とあるのを「構成要件ⅣA」と読み替えるほか,前」,
記3()の原告の主張及び被告の主張と同じである。7
()争点()ア(オ)(構成Ⅳ-3の被告製品)a()(構成要件ⅣA(均等論))につ224b
いて
ダブル主軸が「主軸台」と均等か否かに関する原告の主張及び被告の主張は,前
記3()の原告の主張及び被告の主張のうち「構成要件ⅠA」とあるのを「構成8,
要件ⅣA「第1特許」とあるのを「第4特許」と読み替えるほか,前記3()の」,8
原告の主張及び被告の主張と同じである。
()争点()ア(オ)(構成Ⅳ-3の被告製品)b(構成要件ⅣB)について234
[原告の主張]
ア「一側方」
(ア)前記6()原告の主張ア(ア)のとおり1
(イ)構成Ⅳ-3の被告製品のT43-B(タレット刃物台・手前側)は,T42
-Bk(第1工具)とT43-C(タレット刃物台・向側)のT43-Ck(第2工具)
とを対向して配置することが可能となる位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要素「一側方」を充足する。
イ構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣBのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣBを充足する。
[被告の主張]
ア「一側方」
(ア)原告の主張ア(ア)(一側方の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(刃物台の位置関係)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣBの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅳ-3の被告製品)c(構成要件ⅣC)について244
[原告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)前記6()原告の主張アのとおり2
(イ)構成Ⅳ-3の被告製品のT43-C(タレット刃物台・向側)は,T43-
B(タレット刃物台・手前側)と左右に対向する位置関係にある。
(ウ)よって,構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要素「主軸台をはさんで対向する
側」を充足する。
イ構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣCのその他の構成要素を充足する。
ウよって,構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣCを充足する。
[被告の主張]
ア「主軸台をはさんで対向する側」
(ア)原告の主張ア(ア)(対向する側の解釈)は否認する。
(イ)同(イ)(正面刃物台の位置)は不知。
(ウ)同(ウ)(構成要素の充足)は否認する。
イ同イ(その他の構成要素の充足)は明らかに争わない。
ウ同ウ(構成要件ⅣCの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅳ-3の被告製品)d(構成要件ⅣE)について254
[原告の主張]
ア構成要件ⅣEの解釈
前記6()原告の主張アのとおり3
イ構成Ⅳ-3の被告製品の数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが
使用されていて,同装置は,①の第1の2軸同時制御機能ないし③の第3の2軸同
時制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣEを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(構成要件ⅣEの解釈)は否認する。
イ同イ(第1ないし第3の2軸同時制御機能の存在)は認める。ただし,構成
Ⅳ-3の被告製品の数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの
制約から,混合制御機能を使用すると,①の第1の2軸同時制御機能及び②の第2
の2軸同時制御機能は使用することができない。
ウ同ウ(構成要件ⅣEの充足)は否認する。
()争点()ア(オ)(構成Ⅳ-3の被告製品)e(構成要件ⅣF)について264
[原告の主張]
ア3軸同時重複制御機能
前記()原告の主張アのとおり4
イ構成Ⅳ-3の被告製品の数値制御装置は,重畳制御機能を有する。
ウよって,構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣFを充足する。
[被告の主張]
ア原告の主張ア(3軸同時重複制御機能の解釈)は否認する。
イ同イ(重畳制御機能)は認める。
ウ同ウ(構成要件ⅣFの充足)は否認する。
9争点()(第4特許発明)イ(無効理由の存否)に関する当事者の主張4
()争点()イ(ア)(進歩性の欠如)について14
[被告の主張]
ア引用発明Ⅲ-2(乙19)
前記7()被告の主張イ(ア)のとおり,引用例Ⅲ-2(乙19)には,引用発明Ⅲ-2
2が開示されている。
イ相違点及び一致点
(ア)第4特許発明と引用発明Ⅲ-2とは,第4特許発明には構成要件ⅣF(3
軸同時重複制御機能)の構成があるのに対し,引用発明Ⅲ-2には構成要件ⅣF(3
軸同時重複制御機能)に相当する構成がない点(以下「相違点Ⅳ-1」という。)で
相違し,その余の点で一致する。
(イ)仮に,構成要件ⅣF(3軸同時重複制御機能)の解釈が原告の主張するとお
りであるとすれば,構成要件ⅣF(3軸同時重複制御機能)は,次の文献に開示され
ている(以下「引用発明Ⅳ-1」という。)。
乙22の1・2(マトラ社が第6回EMOHANNOVER展で配布したカタ
ログ,1985年9月),
WT.ZeitschriftfurIndustrielleFertigungbySpring-Verlag1981乙23(文献「
,」1981WirtschaftlichesFertigenvonDrehteileninKleinserien.B.UebelhartMoutier
年9月),
乙24(文献「」65IX.Werkzeugmaschinen-Kolloquium,Budapest,1-3October,1980
4頁,1980年),
乙26(文献「機械と工具」49頁,1985年5月)
ウ組合せ容易
引用発明Ⅲ-2と引用発明Ⅳ-1とを組み合わせて第4特許発明のようにするこ
とは,当業者であれば容易に想到することができたことであり,その組合せに技術
的阻害要因もない。
エ相違点Ⅳ-2について
仮に,後記原告主張の相違点Ⅳ-2が存在するとしても,引用発明Ⅲ-2に更に
周知技術Ⅲ-2(前記7()被告の主張イ(エ))を組み合わせて第4特許発明のように2
することは,当業者であれば容易に想到することができたことであり,その組合せ
に技術的阻害要因もない。
[原告の主張]
ア被告の主張(引用発明Ⅲ-2)は不知。
,,。イ(ア)同イ(相違点及び一致点)(ア)のうち相違点は認め一致点は否認する
少なくとも,第4特許発明と引用発明Ⅲ-2とは,第4特許発明においては,第
2刃物台はZ2軸方向に数値制御装置によりその移動が制御される構成であるのに
対し,引用発明Ⅲ-2においては,刃物台のZ2軸方向の移動は,油圧シリンダに
より制御される構成である点でも相違する(以下「相違点Ⅳ-2」という。)。
(イ)同(イ)(引用発明Ⅳ-1)は否認する。
ウ同ウ(組合せ容易)は否認する。
エ同エ(相違点Ⅳ-2についての判断)は否認する。
()争点()イ(イ)(記載不備)について24
[被告の主張]
アZ1軸指令の処理方法の不開示
構成要件ⅣFの3軸同時重複制御機能は,Z1軸とX1軸という従来の2軸同
時制御機能を作動させながら,同時に,Z1軸とX2軸という別の2軸同時制御機
能を作動させるということを意味している。この場合,2組の制御系が同時に作動
するため,第1の2軸同時制御機能によるZ1軸に対する指令と第3の2軸同時制
御機能によるZ1軸に対する指令とが同時に主軸制御部に与えられることになる。
しかし,第4特許発明は,2系統から別々にZ1軸に対する指令が与えられた場
合に,これをどのように扱うのかが明らかでない。
イしたがって,第4特許発明には,平成2年法律第30号による改正前の特
許法36条3項違反の無効理由がある。
[原告の主張]
ア被告の主張ア(Z1軸指令の処理方法の不開示)は否認する。
イ同イ(記載不備)は否認する。
当業者の技術常識を持って第4特許発明の内容を理解すれば,第4特許発明を実
施可能なように理解することができる。
第4特許発明の場合,Z1軸に同一の指令が与えられていれば,特に2つのZ1
軸に対する指令の取扱いが問題となることはない。
10争点()(損害等)に関する当事者の主張5
[原告の主張]
()本訴提起前3年間の平成13年9月29日から平成16年9月28日まで1
(第2特許については,平成15年4月26日まで)は,被告が第1ないし第4特許
を侵害したことにより,原告は,実施料相当額の損害を被った。
()それ以前の平成6年11月1日から平成13年9月28日までは,被告が2
第1ないし第4特許につき実施料相当額の支払を免れたことにより,原告は,実施
料相当額の損失を被り,被告は,実施料相当額の利得を得た。
,()平成6年11月1日から平成16年9月28日までの被告製品の売上額は3
350億円を下らない。
()第1特許ないし第4特許の実施料率は,10%を下らない。4
()よって,原告は,被告に対し,不法行為又は不当利得により,35億円の5
支払を求めることができるが,一部請求として10億円の支払を求める。
[被告の主張]
原告の主張は,いずれも否認する。
3当裁判所の判断
1第1特許発明関係
()争点()ア(ア)(構成Ⅰ-1の被告製品)a(構成要件ⅠC)について11
ア「X1軸方向に移動する」の解釈
(ア)第1特許明細書に次の記載があることは,当事者間に争いがない。
a「前記従来のNC旋盤は,制御軸数が少なく,また工具インデツクス時間
を短縮できる特徴を有するが,次工程の工具を用いるには,横送り台を移動させて
その工具を被加工物に接近させなければならない。このように,1個の工具で切削
中に次の工具を被加工物に充分接近させることができず,また2個以上の工具で同
時に切削することができないので,アイドルタイムが生じ,生産性の面で必ずしも
満足できるものではなかつた。
この点,周知のスイス型自動旋盤は,主軸中心線に直交する面に複数の工具を放
射状に配置してあるので,1個の工具で切削中に次の工具を被加工物に充分に接近
させて待機させることができ,また2個以上の工具で同時に切削することも可能で
ある。
しかし,スイス型自動旋盤をそのままNC化しようとすると,1個の工具に対し
て,それぞれ1個の制御軸を要することとなり,工具を制御するためのNC装置の
ハードウエアの構成も複雑になると共に,そのソフトウエアも工具毎にプログラム
を行い,更に工具相互の干渉を防止しなければならないなど複雑で膨大なものとな
り,全体として機械が高価になるという問題点を有する。
本発明の目的は,制御軸数が少なく,安価で,かつ高生産性のNC旋盤を提供す
ることにある」([発明が解決しようとする問題点]の欄)。
b「第1刃物台40は主軸中心線に向って接離する方向であるX1軸方向に
移動し,第2刃物台52は同様に主軸中心線に向って接離する方向であるX2軸方
向及びこれに直交する方向であるY軸方向に移動する。また孔加工用工具台70の
加工軸74~76はZ軸方向に平行なB軸方向に摺動する。従って,例えば第1刃
物台40の工具で切削中に第2刃物台52の工具を選択して被加工物に充分接近さ
せて待機することができ,又は第1刃物台40の工具と第2刃物台52の工具とで
同時に切削することもできる。また第2刃物台52の工具で切削中に,第1刃物台
40に設けられた孔加工用工具台70の加工軸74~76の工具で同時に孔加工を
。,することもできるまた第1刃物台40及び第2刃物台52を制御するにはX1軸
X2軸及びY軸の3軸のみを制御すればよいので,使用可能な工具数に比べて制御
軸数の少ないNC旋盤が得られる」([作用]の欄)。
(イ)また,第1特許の特許請求の範囲には,請求項2及び3に,孔加工用工具
台については,Z軸と平行なB軸を設けることが記載されているが,それ以外の加
工軸を設けることの記載はない(甲1の2)。
(ウ)このように,第1特許明細書には,第1特許の発明の目的が制御軸数が少
なく,安価で,かつ高生産性のNC旋盤を提供することにあり,使用可能な工具数
に比べて制御軸数の少ないNC旋盤が得られるという作用があることが記載されて
いること,並びに他の請求項には,孔加工用工具台について請求項1に明示されて
いない加工軸を設けることが記載されているが,それ以外の加工軸を設けることの
,「」記載はないことからすると構成要件ⅠCの第1刃物台がX1軸方向に移動する
とは,X1軸方向にのみ移動することを意味しているものと解釈すべきである。
(エ)原告は,構成要件ⅠCは「X1軸方向に移動する」と規定しているにす,
,。ぎず上記(ウ)の解釈は特許請求の範囲の記載に基づかないものである旨主張する
しかしながら,第1刃物台がX1軸方向以外の方向にも移動する構成が第1特許
発明の技術的範囲に含まれるか否かは,第1特許の特許請求の範囲請求項1の記載
,「」から一義的に明確ではないといわなければならないからX1軸方向に移動する
を解釈するに当たって,特許請求の範囲の他の請求項の記載,並びに発明の詳細な
説明及び図面の記載を参酌して第1特許発明の技術的範囲を確定することは当然で
あって,原告の上記主張は採用することができない。
イ前提事実()ア(イ)a(別紙物件説明書(Ⅰ-1))のとおり,構成Ⅰ-1の被4
告製品のT11-C(刃物台)は,T11-X1軸方向に移動するほか,T11-Y
1軸方向にも移動する。
ウよって,構成Ⅰ-1の被告製品は,構成要件ⅠCを充足しない。
()争点()ア(イ)(構成Ⅰ-2①の被告製品)a(構成要件ⅠC)について21
ア前提事実()ア(イ)b(別紙物件説明書(Ⅰ-2①))のとおり,構成Ⅰ-2①4
の被告製品のT12-C=T12-E(正面刃物台)は,T12-X1軸方向に移動
するほか,T12-Z1軸方向にも移動する。
イよって,構成Ⅰ-2①の被告製品は,構成要件ⅠCを充足しない。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅰ-2②の被告製品)c(構成要件ⅠC)について31
ア前提事実()ア(イ)c(別紙物件説明書(Ⅰ-2②))のとおり,構成Ⅰ-2②4
の被告製品のT12-C=T12-E(正面刃物台)は,T12-X1軸方向に移動
するほか,T12-Z1軸方向にも移動する。
イよって,構成Ⅰ-2②の被告製品は,構成要件ⅠCを充足しない。
()争点()ア(エ)(構成Ⅰ-3の被告製品)a(構成要件ⅠC)及びd(間接侵害の41
成否)について
ア事実認定
証拠(甲4の5~7,19の1,20,21の1~6,乙51)及び弁論の全趣旨
によれば,次の事実が認められる(一部は争いがない。)。
(ア)a被告作成に係るBS12/18の各製品のカタログ(甲4の5)の5頁に
は「混合制御」の見出しの下に,T12-C=T12-E(正面刃物台)の保持す,
る工具がT12-X2軸方向に移動して内径加工を行う図が描かれている。
bまた,BS12/18-Ⅲのカタログ(甲4の6)には,原告の指摘する混
合制御の図が「内径テーパ加工を行う」ものであるとして記載されている。
cこのように,これらの説明図は,被加工物の端面に孔空け加工を行った後
に,被加工物の孔の中をくり抜く加工を説明しているものであるが,T12-C=
T12-E(正面刃物台)をT12-X2軸方向に移動させて被加工物の外径側に接
近させれば,外径加工を行うことは可能である。
d正面刃物台を有する構成Ⅰ-3の被告製品についても,同様の動作をする
ことができ,T13-C=T13-E(正面刃物台)に鉤形のボーリングバイトを保
持させ,これをT13-X1軸方向に移動させれば,外径加工を行うことは可能で
ある。
(イ)a構成Ⅰ-3の被告製品の取扱説明書(乙51)には,次の記載がある。
()「本取扱説明書に従わないで使用した場合,及び弊社の了解無しに製品a
を改造した場合の結果に対しては,一切の責任を負いません。あらかじめご了承く
ださい」(表紙から2枚目「ご注意」欄)。
()「ご使用になる前に本書を良くお読みいただき,能率の良い運転をされb
るようお願いいたします。
また“できないこと“してはいけないこと”はとてもたくさんあり,本書に,”,
すべてを書き尽くすことはできません。従いまして,本書に“できる”と書いてい
ない限り“できないもの”と考えてください」(表紙から3枚目「はじめに」欄)。
()「注意X2刃物台(引用者注・T13-C=T13-E(正面刃物台))c
に使用するドリル径は,φ7以下としてください。φ7を超えたドリル径を使用し
た場合,干渉によるプログラムの制限が増えますので注意してください」(4-。
89頁下)
b上記取扱説明書には,T13-C=T13-E(正面刃物台)に外径加工用
工具を取り付けて外径加工を行うことができることは,一切記載されていない。
(ウ)a正面刃物台を有する被告製品の中には,正面刃物台で外径加工を行うこ
とができるBS20/26Cのように,オプションとして追加ホルダを正面刃物台
の最下部に取り付け,追加ホルダの保持する工具で外径加工を行うものがあるが,
構成Ⅰ-3の被告製品のT13-C=T13-E(正面刃物台)は,追加ホルダを取
り付けられる設計とはなっていない。
b構成Ⅰ-3の被告製品のT13-C=T13-E(正面刃物台)は,T13
-A(主軸台)と向き合う位置関係にあり,仮にボーリングバイトで外径加工を行お
うとすると,T13-C=T13-E(正面刃物台)自体が障害となって,加工でき
る被加工物の外径の範囲が制限される。
(エ)aパンフレット「NTKSSバイト2001」(日本特殊陶業。甲
19の1)に記載された切削工具を使用しても,T13-C=T13-E(正面刃物
台)を利用しての外径加工を行うことができるが,同パンフレットには,次の記載
がある。
「ドリルホルダ(引用者注・正面刃物台の工具取付孔)の有効活用!!DSホル
ダファミリー集合!!新発想」
「■刃物台のツール取付け本数に満足していますか?
加工ワーク形状の複雑化に伴い,ツールが不足がちなお客様に朗報!!NTKで
は,ドリルホルダ(引用者注・正面刃物台の工具取付孔)を利用して前挽き・溝入れ
・ねじ切り加工を可能にしたDSホルダを商品化しました。
自動旋盤に限らず,くし刃型CNC旋盤にもご利用頂けます」。
b前記(ア)dのボーリングバイトは,ドリルホルダを介して工具取付孔に取
り付けられるものであるのに対し,上記aの日本特殊陶業が別途販売している切削
工具は,ホルダ部分とバイト部分が一体に構成されている。
イ構成Ⅰ-3の被告製品の構成要件ⅠC充足についての判断
第1特許発明は,第1刃物台とは別に,孔加工用工具台(構成要件ⅠE)を構成要
素としているところ,以上に認定した事実によれば,構成Ⅰ-3の被告製品のT1
3-C=T13-E(正面刃物台)は,内径加工を行うボーリングバイトを保持する
ことはできるが,本来の外径加工用のバイトを保持する構成は有していないもので
あるから,孔加工用工具台(構成要件ⅠE)であるとはいえても,第1刃物台である
と認めることはできない。
この点の判断は,内径加工を本来の目的とするボーリングバイトを利用して外径
加工を行うことが物理的には可能であることや,日本特殊陶業製の特殊な切削工具
をT13-C=T13-E(正面刃物台)に保持させて外径加工を行うことが物理的
には可能であることによって左右されるものではない。
よって,構成Ⅰ-3の被告製品は,構成要件ⅠCを充足しない。
ウ間接侵害について
(ア)原告は,構成Ⅰ-3の被告製品を製造,販売する被告の行為につき,特許
法101条2号の間接侵害の成立を主張する。
(イ)しかしながら,仮に,構成Ⅰ-3の被告製品が第1特許発明の技術的範囲
,,に属する数値制御自動旋盤の生産に用いる物であると認められるとしても被告が
第1特許発明の技術的範囲に属する数値制御自動旋盤の生産に用いられることを知
りながら,同製品を生産し,譲渡したことを認めるに足りる証拠はない。
かえって,構成Ⅰ-3の被告製品の取扱説明書(乙51)には,T13-C=T1
3-E(正面刃物台)に外径加工用工具を取り付けて外径加工を行うことができるこ
とは一切記載されていないこと,並びに「NTKSSバイト2001」に,
おいて紹介されている工具取付孔の使用方法自体が,同パンフレット自体において
「新発想」と記載されていることを考慮すると,被告には,同製品が第1特許発明
の技術的範囲に属する数値制御自動旋盤の生産に用いられることの認識はなかった
ものと認められる。
(ウ)よって,構成Ⅰ-3の被告製品を製造,販売する被告の行為につき,特許
法101条2号の間接侵害は成立しない。
()まとめ5
よって,被告製品1は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも第1
,。特許発明の技術的範囲に属さないから原告の第1特許に基づく請求は理由がない
2第2特許発明関係
()争点()ア(構成要件ⅡA)について12
ア「刃物送り台」の解釈
,,(ア)証拠(乙27)及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる(一部は
争いがない。)。
a構成要件ⅡBには「該刃物送り台に設けられた工具ホルダで,工具相互,
の位置が固定された複数個の工具を保持するNC自動旋盤において」と記載され,
「それぞれの刃物送り台」とは記載されていない。
b第2特許明細書には,第2特許の発明の技術的課題につき,次の記載があ
る。
「0003】しかし,NC旋盤のバイトの選択は,1本のバイトによる切削作【
業の終了後,刃物台が後退して工具交換点に戻り,次のバイトを選択し,加工域に
前進し,次のバイトによる切削作業を行うように構成されているのが通常であり,
どうしてもバイト選択時の非切削時間が長くなってしまうことになる。勿論,それ
ぞれのバイトに独立したバイト送り機構を設け,それぞれをNC制御すれば,カム
式の自動旋盤と同様に作業することも可能となるが,多数の制御軸を同時にNC制
御することとなり,NC装置も機械自体も高価なものとなると共に,各軸相互の干
,,渉を防止するためにはソフトウェアによるにしてもハ-ドウェアによるにしても
かなり複雑な干渉防止策を講じなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,上記欠点を解消し,複数個のバイト
を有する旋盤においてバイト選択時の非切削時間を極力小さくし,且つNC制御さ
れる軸を最小にする刃物台の工具送り方法を提供しようとするものである」。
cまた,同明細書には,第2特許の発明の効果につき,次の記載がある。
「0025】【
【発明の効果】本発明は以上に述べたように,バイト選択のためのストロ-クが
従来のNC旋盤に比べて大幅に短縮され,バイト選択のための非切削時間が短縮さ
れるにもかかわらず,刃物台制御のための駆動制御軸は2軸のみであって安価なも
のとなり,その効果は多大なものである」。
d同明細書の0006ないし0021の記載及び図1ないし図【】【】【】【
3】には第2特許の発明の第1の実施例が【0022【0023】の記載及び,】,
【図4【図5】には,第2の実施例がそれぞれ紹介されているが,いずれも,】,
NC自動旋盤上に刃物送り台を1台のみ備えた構成である。
e第2特許親出願では,特許請求の範囲,明細書及び図面の記載を検討して
も,NC自動旋盤上の刃物送り台が複数の刃物送り台を備えた構成に関する記載は
ない。
(イ)以上に説示した事実によれば,第2特許の発明の目的は,複雑な干渉防止
策を講ずることなく,非切削時間の短縮を実現することにあり,複数の刃物送り台
を有する構成は,改善すべき従来技術として記載されているものであり,このよう
な第2特許発明の目的及び効果を考慮すると,構成要件ⅡAにいう「刃物送り台」
は,NC自動旋盤上に配置された単一のものをいうものと解釈すべきである。
(ウ)a原告は,構成要件ⅡBは「該」という文字を「刃物送り台」に冠して,
刃物送り台を特定していて,該刃物送り台上の工具相互の位置が固定されているこ
とを要求するものにすぎないから,NC自動旋盤上の刃物送り台が単一であるか,
複数であるかは問題ではない旨主張するが「該」の点からは,構成要件ⅡAにい,
「」,う刃物送り台が複数であると解したとしても矛盾はしないといえるだけであり
それ以上に「該」の点から刃物送り台が複数であることを意味すると解すること,
はできないから,原告の上記主張は採用することができない。
bまた,原告は,複数の刃物送り台を有する構成Ⅱの各被告製品のカタログ
には「スタンバイ機能でアイドルタイムゼロ」との記載があり,複数の刃物送り,
台を有するNC自動旋盤においても,非切削時間の短縮という効果を奏する旨主張
する。
しかしながら,構成Ⅱの各被告製品は,複数の刃物送り台を配置した結果,干渉
防止策を講じているものと考えられるところ,機械の高価格化を伴う同干渉防止策
を講じるという第2特許発明とは異なる構成又は技術思想により非切削時間の短縮
という効果を奏しているものと考えられる。したがって,原告の上記主張は採用す
ることができない。
cさらに,原告は,第2特許明細書記載の実施例が,いずれもNC自動旋盤
が刃物送り台を1台備えた構成であったとしても,第2特許発明の範囲が実施例に
限定されるわけではない旨主張する。一般的に特許発明が実施例に限定されるもの
ではないことは,原告主張のとおりであるが,前記(イ)で行った特許請求の範囲の
解釈は,第2特許発明の技術的範囲を確定するために,発明の詳細な説明及び図面
を考慮したものにすぎないから,原告の上記主張は採用することができない。
イ(ア)前提事実4イ(イ)a(別紙物件説明書(Ⅱ-1ア))のとおり,構成Ⅱ-1
アの被告製品には,T21-Af(刃物送り台)及びT21-Ar(刃物送り台)があ
る。
(イ)前提事実4イ(イ)b(別紙物件説明書(Ⅱ-1イ))のとおり,構成Ⅱ-1イ
,。の被告製品にはT21-Af(刃物送り台)及びT21-Ar(刃物送り台)がある
(ウ)前提事実4イ(イ)c(別紙物件説明書(Ⅱ-2ア))のとおり,構成Ⅱ-2ア
の被告製品には,T22-Af(刃物送り台)及びT22-Ar(タレット刃物送り
台)がある。
(エ)前提事実4イ(イ)d(別紙物件説明書(Ⅱ-2イ))のとおり,構成Ⅱ-2イ
の被告製品には,T22-Af(刃物送り台)及びT22-Ar(タレット刃物送り
台)がある。
(オ)前提事実4イ(イ)e(別紙物件説明書(Ⅱ-3))のとおり,構成Ⅱ-3の被
告製品には,T23-Af(タレット刃物送り台)及びT23-Ar(タレット刃物
送り台)がある。
ウこのように,構成Ⅱの各被告製品には複数の刃物送り台が配置されている
から,同被告製品の使用行為は,構成要件ⅡAを充足しない。
()MB38S及びMU26/38S2
なお,原告は,MB38S及びMU26/38Sについては,何ら主張,立証を
しないから,上記製品の使用行為が第2特許発明の技術的範囲に属するものと認め
ることはできない。
()まとめ3
よって,被告製品2を製造,販売する被告の行為につき,特許法101条3号,
4号の間接侵害の成立をいう原告の主張は,その余の点について判断するまでもな
く理由がないから,原告の第2特許に基づく請求は理由がない。
3第3特許発明関係
()争点()イ(イ)(進歩性欠如)について13
ア引用発明Ⅲ-2
証拠(乙19)によれば,昭和52年11月24日に発行された引用例Ⅲ-2(乙
19)には,回転自在に主軸を支持し,主軸中心線方向であるZ1軸方向に摺動す
る主軸台と,保持する第1工具が前記主軸台前方の加工域に位置し,かつ前記Z1
軸方向と直交するX1軸方向に移動する刃物台(第1刃物台に相当)と,前記Z1軸
方向と平行なZ2軸方向及び直交するX2軸方向の双方に移動する横方向摺動台
,,,,,(第2刃物台に相当)とZ1軸X1軸Z2軸X2軸の各方向に沿った主軸台
第1刃物台及び第2刃物台の移動を制御する装置とから成る自動旋盤であって,制
御装置は,Z1軸方向の主軸台の移動とX1軸方向の第1刃物台の移動,Z2軸方
向とX2軸方向の第2刃物台の移動のそれぞれの組合せで同時に移動制御させて,
それぞれ独立した送り動作を行う機能を有してなる自動旋盤という発明(引用発明
Ⅲ-2)が開示されていることが認められる。
イ一致点及び相違点
(ア)第3特許発明と引用発明Ⅲ-2(乙19)とを対比すると,第3特許発明に
は構成要件ⅢF(補正手段)の構成があるのに対し,引用発明Ⅲ-2には構成要件Ⅲ
F(補正手段)に相当する構成がない点(以下「相違点Ⅲ-1」という。),引用発明
Ⅲ-2には第3の2軸同時制御機能が明記されていない点(相違点Ⅲ-2)で相違
し,その余の点で一致すると認められる。
(イ)原告は,引用発明Ⅲ-2においては,刃物台のZ2軸方向の移動は,油圧
シリンダにより制御される構成であり,この点も相違点である旨主張する(相違点
Ⅲ-3)。
しかしながら,証拠(乙33,34)によれば,数値制御とは「工作物に対する,
工具経路,その他,加工に必要な作業の工程などを,それに対応する数値情報で指
令する制御」を意味し,このように数値情報で制御することは,油圧制御であっ。
ても可能であり,実際に行われていたことが認められる。したがって,引用発明Ⅲ
,。-2の油圧制御も数値制御であると認められるから原告の上記主張は理由がない
ウ周知技術
(ア)証拠(乙20~24)によれば,第1の2軸同時制御機能(X1,Z1)にお
ける主軸台のZ1軸方向の移動と同時に第2の2軸同時制御機能(X2,Z2)をし
て第2刃物台をZ2軸方向に移動制御をするときには第2刃物台の実際の移動(Z,
2軸方向の送り量及び送り速さ)は,主軸台が移動しない場合において所望される
第2刃物台の移動(Z2軸方向の送り量及び送り速さ)と,主軸台の移動(Z1軸方
向の送り量及び送り速さ)とのベクトル演算をする補正手段は,第3特許発明の出
願日前において当業者にとって周知の技術であったこと(周知技術Ⅲ-1),並びに
2組の2軸同時制御機能を有する数値制御自動旋盤において,第3の2軸同時制御
機能を設けることは,第3特許発明の出願日前において当業者にとって周知の技術
であったこと(周知技術Ⅲ-2)が認められる。
エ組合せの容易性
引用発明Ⅲ-2(乙19)に周知技術Ⅲ-1(補正手段)及び周知技術Ⅲ-2(第3
の2軸同時制御機能)を組み合わせて第3特許発明のようにすることは,当業者で
あれば容易に想到することができたことと認められ,その組合せを妨げる理由も認
められない。
()まとめ2
,,よって第3特許発明には進歩性欠如(特許法29条2項)の無効理由が存在し
原告は,特許法104条の3により,第3特許を行使することはできないから,原
告の第3特許に基づく請求は理由がない。
4第4特許発明関係
()争点()ア(ア)(構成Ⅳ-1アの被告製品)d(構成要件ⅣF)について14
ア3軸同時重複制御機能の解釈
(ア)証拠(甲3の2)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる(一部
は,争いがない。)。
a第3特許明細書7欄7行目~15行目には,次の記載がある。
「Z1軸に対してX1軸及びX2軸の同時移動を行わせるために,前記Z1軸と
X1軸及びZ1軸とX2軸の各々の組合わせでZ1軸を媒介とする2組の2軸同時
制御機能(これを3軸同時重複制御機能という)を用いて,同時に重複して2組の2
次元移動制御を含む送り動作を行わせると,例えば第1刃物台の第1工具による荒
。」切削と第2刃物台の第2工具による仕上げ切削とを同時に行わせることができる
b同明細書10欄9行目~24行目には,次の記載がある。
「()Z1軸,X1軸,X2軸の3軸同時移動のための2組の2次元移動制御2
を含む送り動作の組合せによる加工(3軸同時重複制御機能)
第4図に示すように,Z1軸に対してX1軸及びX2軸の同時移動を行わせるた
めに,前記Z1軸とX1軸及びZ1軸とX2軸の各々の組合わせでZ1軸を媒介と
する2組の2軸同時制御機能(これを3軸同時重複制御機能という)を用いて,同時
に2次元移動制御を含む送り動作を行わせると,例えば第1刃物台32の第1工具
33による荒切削と第2刃物台44の第2工具45による仕上げ切削とを同時に行
わせることができる。
但し,この場合には,第1工具33による荒切削と第2工具45による仕上げ切
削の送り速度は同一である」。
c同明細書10欄25行目~11欄24行目には,次の記載がある。
「()Z1軸とX1軸及びZ2軸とX2軸の4軸同時移動のための2組の2次3
元移動制御を含む送り動作による加工
()第1の2軸同時制御機能を用いたZ1軸とX1軸による2次元移動制御3.1
を含む送り動作を実行すると共に,第2の2軸同時制御機能を用いてZ2軸とX2
軸に2次元移動制御を含む送り動作を行わしめ,Z2軸にZ1軸と同期する送りを
与え,X2軸に送りを与えなければ,例えば第5図に示すように第2刃物台44の
第2工具45にセンター機能をもたせ,これによって主軸23に把持された被加工
物60をセンター支持しながら第1刃物台32の第1工具33で切削することがで
きる。
ここで,Z2軸の送り(送り量及び送り速さ)は,Z1軸(主軸台22)の送りとの
差分が0であり,同一方向に同じ速度で送られるので,Z1軸の送りのための制御
信号をできるだけそのまま使うことがミスの発生等を防止する上で望ましい。
()第1の2軸同時制御機能を用いたZ1軸とX1軸による2次元移動制御3.2
を含む送り動作で第1刃物台32の第1工具33で主軸23に把持された被加工物
60を切断中に,第2の2軸同時制御機能を用いたZ2軸とX2軸による2次元移
動制御を含む送り動作で第2刃物台44の第2工具45で同一被加工物60を加工
しようとすると,Z1軸の移動に伴って被加工物60が移動するため,Z2軸は単
独の送り動作を行う場合に必要な送り量と送り速度の値にZ1軸のそれを加えた値
(又は引いた値)に従って移動する必要がある。この場合,Z2軸の送り速度(送り
量)を補正する補正手段には,Z1軸の制御パルスをそのままZ2軸の制御パルス
に加算(又は減算)するように入力することが最も自然であり,加工プログラム作成
上のミスも生じ難い。こうすることで,例えば第6図に示すように,主軸23に把
持された被加工物60に対して,第2刃物台44の第2工具45による穴明けと,
第1刃物台32の第1工具33による外径切削の同時加工を行おうとした時,第2
工具45はZ1軸の移動に伴う被加工物の移動に影響を受けずに加工を行うことが
できる。
この方法によれば,第4図における荒切削と仕上げ切削をそれぞれ異った送り速
度で加工することも可能である」。
(イ)以上に説示した事実によれば,第3特許明細書の上記(ア)bにおいて,3
軸同時重複制御機能について一応の定義が与えられているところ,この3軸同時重
複制御機能は,第3特許明細書の上記(ア)cにおいて説明されているZ1軸の制御
にZ2軸の制御を関連させる4軸同時移動とは明確に区別されているから,3軸同
時重複制御機能とは,数値制御装置にZ1軸とX1軸の数値制御指令と,Z1軸と
X2軸の数値制御指令とを同時に与えて刃物台の移動を制御する機能のことをいう
と解釈すべきである。
これに反する原告の主張は,上記第3特許明細書の記載に照らし,採用すること
ができない。
イ構成Ⅳ-1アの被告製品の数値制御装置が,X1軸は,第1の2軸同時制
御機能によってZ1軸とともに移動し,X2軸は,第2の同時制御機能によってZ
2軸とともに移動するが,重畳制御によってZ2軸はZ1軸に従属して移動して,
「外径・外径同時旋削加工」を行う機能(重畳制御機能)を有することは,当事者間
に争いがない。
ウこの重畳制御機能が,数値制御装置にZ1軸とX1軸の数値制御指令と,
Z1軸とX2軸の数値制御指令とを同時に与えて刃物台の移動を制御する機能とい
う3軸同時重複制御機能に該当しないことは,明らかである。
よって,構成Ⅳ-1アの被告製品は,構成要件ⅣFを充足しない。
()争点()ア(イ)(構成Ⅳ-1イの被告製品)d(構成要件ⅣF)について24
ア構成Ⅳ-1イの被告製品の数値制御装置が重畳制御機能を有することは,
当事者間に争いがないが,この重畳制御機能が3軸同時重複制御機能に該当しない
ことは,前記()ウに説示したとおりである。1
イよって,構成Ⅳ-1イの被告製品は,構成要件ⅣFを充足しない。
()争点()ア(ウ)(構成Ⅳ-1ウの被告製品)d(構成要件ⅣF)について34
ア構成Ⅳ-1ウの被告製品の数値制御装置が重畳制御機能を有することは,
当事者間に争いがないが,この重畳制御機能が3軸同時重複制御機能に該当しない
ことは,前記()ウに説示したとおりである。1
イよって,構成Ⅳ-1ウの被告製品は,構成要件ⅣFを充足しない。
()争点()ア(エ)(構成Ⅳ-2の被告製品)d(構成要件ⅣF)について44
ア構成Ⅳ-2の被告製品の数値制御装置が重畳制御機能を有することは,当
事者間に争いがないが,この重畳制御機能が3軸同時重複制御機能に該当しないこ
とは,前記()ウに説示したとおりである。1
イよって,構成Ⅳ-2の被告製品は,構成要件ⅣFを充足しない。
()争点()ア(オ)(構成Ⅳ-3の被告製品)d(構成要件ⅣF)について54
ア構成Ⅳ-3の被告製品の数値制御装置が重畳制御機能を有することは,当
事者間に争いがないが,この重畳制御機能が3軸同時重複制御機能に該当しないこ
とは,前記()ウに説示したとおりである。1
イよって,構成Ⅳ-3の被告製品は,構成要件ⅣFを充足しない。
()まとめ6
よって,被告製品4は,その余の点について判断するまでもなく,いずれも第4
,。特許発明の技術的範囲に属さないから原告の第4特許に基づく請求は理由がない
5結論
以上のとおり,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文の
とおり判決する。
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官
市川正巳
裁判官
杉浦正樹
裁判官嶋卓は,転勤につき,署名押印することができない。髙
裁判長裁判官
市川正巳
別紙の頁数は,1ないし238頁である。
(別紙)
被告物件目録1
①CNC精密自動旋盤B012/18D,E
次の各型番号の数値制御自動旋盤
B012D,B012E,
B012D-Ⅱ,B012E-Ⅱ,
B012D-Ⅲ,B012E-Ⅲ,
B018D,B018E,
B018D-Ⅱ,B018E-Ⅱ,
B018D-Ⅲ,B018E-Ⅲ
(以下,各型番号の製品をまとめて表示するときは「B012/18D,E」,
のように表記する。この表記は,B012D,B012E,B018D及びB01
8E並びに上記各型番号のものにⅡ又はⅢを付した型番号のものを意味する。)
②CNC精密自動旋盤BS12/18A,B,C,D
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS12A,BS12B,BS12C,BS12D,
BS12A-Ⅲ,BS12B-Ⅲ,BS12C-Ⅲ,BS12D-Ⅲ,
BS18A,BS18B,BS18C,BS18D,
BS18A-Ⅲ,BS18B-Ⅲ,BS18C-Ⅲ,BS18D-Ⅲ
③CNC精密自動旋盤BS20/26A,B,C
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS20A,BS20B,BS20C,
BS20A-Ⅱ,BS20B-Ⅱ,BS20C-Ⅱ,
BS20A-Ⅲ,BS20B-Ⅲ,BS20C-Ⅲ,
BS26A,BS26B,BS26C,
BS26A-Ⅱ,BS26B-Ⅱ,BS26C-Ⅱ,
BS26A-Ⅲ,BS26B-Ⅲ,BS26C-Ⅲ
④CNC精密自動旋盤BS32
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS32-Ⅱ,BS32-Ⅲ
⑤CNC精密自動旋盤BF20A,B,C
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BF20A,BF20B,BF20C
⑥CNC精密自動旋盤BN12/20
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BN12,BN20
⑦CNC精密自動旋盤BW07/12/20
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BW07,BW12,BW20
以上
(別紙)
被告物件目録2
①CNC精密自動旋盤B012/18D,E,L,M
次の各型番号の数値制御自動旋盤
B012D,B012E,B012L,B012M,
B012D-Ⅱ,B012E-Ⅱ,B012L-Ⅱ,B012M-Ⅱ,
B012D-Ⅲ,B012E-Ⅲ,B012L-Ⅲ,B012M-Ⅲ,
B018D,B018E,B018L,B018M,
B018D-Ⅱ,B018E-Ⅱ,B018L-Ⅱ,B018M-Ⅱ,
B018D-Ⅲ,B018E-Ⅲ,B018L-Ⅲ,B018M-Ⅲ
②CNC精密自動旋盤BS12/18D,M
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS12D,BS12M,
BS12D-Ⅲ,BS12M-Ⅲ,
BS18D,BS18M,
BS18D-Ⅲ,BS18M-Ⅲ
③CNC精密自動旋盤BW07/12/20
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BW07,BW12,BW20
④CNC精密自動旋盤BN12/20
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BN12,BN20
⑤CNC精密自動旋盤BU12/20
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BU12,BU20
⑥CNC精密自動旋盤BU26/38S,SY
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BU26S,BU26SY,
BU38S,BU38SY
⑦CNC精密自動旋盤MB38Y/S/SY
次の各型番号の数値制御自動旋盤
MB38Y,MB38S,MB38SY
⑧CNC精密自動旋盤MU26/38S,SY
次の各型番号の数値制御自動旋盤
MU26S,MU26SY,
MU38S,MU38SY
以上
(別紙)
被告物件目録3
①CNC精密自動旋盤BS12/18A,B,C,D,J,K,L,M
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS12A,BS12B,BS12C,BS12D,
BS12J,BS12K,BS12L,BS12M,
BS12A-Ⅲ,BS12B-Ⅲ,BS12C-Ⅲ,BS12D-Ⅲ,
BS12J-Ⅲ,BS12K-Ⅲ,BS12L-Ⅲ,BS12M-Ⅲ,
BS18A,BS18B,BS18C,BS18D,
BS18J,BS18K,BS18L,BS18M,
BS18A-Ⅲ,BS18B-Ⅲ,BS18C-Ⅲ,BS18D-Ⅲ,
BS18J-Ⅲ,BS18K-Ⅲ,BS18L-Ⅲ,BS18M-Ⅲ
②CNC精密自動旋盤BS20/26A,B,C
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS20A,BS20B,BS20C,
BS20A-Ⅱ,BS20B-Ⅱ,BS20C-Ⅱ,
BS20A-Ⅲ,BS20B-Ⅲ,BS20C-Ⅲ,
BS26A,BS26B,BS26C,
BS26A-Ⅱ,BS26B-Ⅱ,BS26C-Ⅱ,
BS26A-Ⅲ,BS26B-Ⅲ,BS26C-Ⅲ
③CNC精密自動旋盤BS32
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS32-Ⅱ,BS32-Ⅲ
④CNC精密自動旋盤BU26/38S,SY
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BU26S,BU26SY,
BU38S,BU38SY
⑤CNC精密自動旋盤MU26/38S,SY
次の各型番号の数値制御自動旋盤
MU26S,MU26SY,
MU38S,MU38SY
以上
被告物件目録4
①CNC精密自動旋盤BS12/18A,B,C,D,J,K,L,M
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS12A,BS12B,BS12C,BS12D,
BS12J,BS12K,BS12L,BS12M,
BS12A-Ⅲ,BS12B-Ⅲ,BS12C-Ⅲ,BS12D-Ⅲ,
BS12J-Ⅲ,BS12K-Ⅲ,BS12L-Ⅲ,BS12M-Ⅲ,
BS18A,BS18B,BS18C,BS18D,
BS18J,BS18K,BS18L,BS18M,
BS18A-Ⅲ,BS18B-Ⅲ,BS18C-Ⅲ,BS18D-Ⅲ,
BS18J-Ⅲ,BS18K-Ⅲ,BS18L-Ⅲ,BS18M-Ⅲ
②CNC精密自動旋盤BS20/26A,B,C
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS20A,BS20B,BS20C,
BS20A-Ⅱ,BS20B-Ⅱ,BS20C-Ⅱ,
BS20A-Ⅲ,BS20B-Ⅲ,BS20C-Ⅲ,
BS26A,BS26B,BS26C,
BS26A-Ⅱ,BS26B-Ⅱ,BS26C-Ⅱ,
BS26A-Ⅲ,BS26B-Ⅲ,BS26C-Ⅲ
③CNC精密自動旋盤BS32
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BS32-Ⅱ,BS32-Ⅲ
④CNC精密自動旋盤BU26/38S,SY
次の各型番号の数値制御自動旋盤
BU26S,BU26SY,
BU38S,BU38SY
⑤CNC精密自動旋盤MU26/38S,SY
次の各型番号の数値制御自動旋盤
MU26S,MU26SY,
MU38S,MU38SY
以上
(別紙)
第1特許公報
甲1の2
(別紙)
第2特許公報
甲2の2
(別紙)
第3,第4特許公報
甲3の2
(別紙)
物件説明書(Ⅰ-1)
1図面
()B012/18D1
B012/18Dの図面は別紙ⅠB012/18Dの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()B012/18E2
B012/18Eの図面は別紙ⅠB012/18Eの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BN12/203
BN12/20の図面は,別紙ⅠBN12/20の刃物台構成()斜視図,()製12
品別の図記載のとおりである。
()BS12/18D4
BS12/18Dの図面は別紙ⅠBS12/18Dの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BW07/12/205
BW07/12/20の図面は,別紙ⅠBW07/12/20の刃物台構成()1
斜視図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅰ-1の被告製品の構成及び動作の説明は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるT11-Z軸方向1
に摺動するT11-A(主軸台)を備えている(以下,この構成を「シングル主軸」
ということがある。)。
()T11-Z軸方向において,T11-B(ガイドブッシュ)からT11-A2
(主軸台)の向きに正面視した場合(以下「正面視」という場合,この位置関係を,
意味する。),T11-A(主軸台)の前方には,T11-B(ガイドブッシュ)が配
置されている。
()正面視した場合,T11-B(ガイドブッシュ)の右前方(BS12/18D3
については左前方)には,T11-Z軸に直交するT11-X1軸方向,及びT1
1-X1軸とT11-Z軸の両方向と直交する上下方向(以下「T11-Y1軸方
向」という。)に移動するT11-C(刃物台)が配置されている。
()T11-D(刃物台)は,T11-B(ガイドブッシュ)を挟んでT11-C4
(刃物台)と対向する側に配置されている。
また,T11-D(刃物台)は,T11-Z軸に直交するT11-X2軸方向及び
T11-Z軸とT11-X2軸の両方向と直交するT11-Y軸方向に移動する。
()正面視した場合,T11-B(ガイドブッシュ)は,T11-A(主軸台)の5
前方に,T11-E(孔空け用工具台)は,T11-B(ガイドブッシュ)の前方に配
置されている。
,。T11-E(孔空け用工具台)はT11-C(刃物台)上の前方に設けられている
()構成Ⅰ-1の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動作615
する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅰ-2①)
1図面
()BS12/18A1
BS12/18Aの図面は別紙ⅠBS12/18Aの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18B2
BS12/18Bの図面は別紙ⅠBS12/18Bの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18C3
BS12/18Cの図面は別紙ⅠBS12/18Cの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18D4
BS12/18Dの図面は別紙ⅠBS12/18Dの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
2構成及び動作の説明
構成Ⅰ-2①の被告製品の構成及び動作の説明は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるT12-Z軸方向1
に摺動するT12-A(主軸台)を備えている。
()正面視した場合,T12-A(主軸台)の前方には,T12-B(ガイドブッ2
シュ)が配置されている。
()T12-B(ガイドブッシュ)の更に前方には,T12-C=T12-E(正3
面刃物台)が配置されている。
T12-C=T12-E(正面刃物台)は,T12-Z軸に直交するT12-X1
軸方向及びT12-Z軸と同一の方向(以下「T12-Z1軸方向」という。)に移
動する。
()T12-D(刃物台)は,T12-Z軸に直交するT12-X2軸方向及び4
T12-Z軸とT12-X2軸の両方向に直交する方向に沿ったT12-Y軸方向
に移動する(BS12/18Dについては,T12-Df・Dr(刃物台)は,T1
2-Z軸に直交するT12-X2f・X2r軸方向及びT12-Z軸とT12-X
2軸の両方向と直交する方向に沿ったT12-Yf・Yr軸方向に移動する。)。
()T12-C=T12-E(正面刃物台)は,T12-B(ガイドブッシュ)を5
挟んで,前記T12-A(主軸台)に対向して配置されている。
()構成Ⅰ-2①の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動615
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅰ-2②)
1図面
()BS20/26A1
BS20/26Aの図面は別紙ⅠBS20/26Aの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS20/26B2
BS20/26Bの図面は別紙ⅠBS20/26Bの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS20/26C3
BS20/26Cの図面は別紙ⅠBS20/26Cの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS324
BS32の図面は,別紙ⅠBS32の刃物台構成()斜視図,()製品別の図記載12
のとおりである。
2構成及び動作の説明
構成Ⅰ-2②の被告製品の構成及び動作の説明は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承する機構がダブル主軸である。ダブル主軸の具体的1
な構成は,別紙ダブル主軸説明書記載のとおりである。
()正面視した場合固定台の前方にはT12-C=T12-E(正面刃物台)2,,
が配置されている。
T12-C=T12-E(正面刃物台)は,T12-Z軸と同一の方向(以下「T
12-Z1軸方向」という。)及びT12-Z1軸方向に直交するT12-X1軸
方向に移動する。
()T12-D(刃物台)は,T12-Z軸に直交するT12-X2軸方向,及3
び,T12-Z軸とT12-X2軸の両方向と直交するT12-Y軸方向に移動す
る。
()構成Ⅰ-2②の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動413
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
ダブル主軸説明書
1図面
「被告第3準備書面26頁の図3を切り貼り」
2構成及び動作の説明
上記1の図面に基づき説明すると,主軸回転モータにより回転する中空の軸A,
及び軸A内に挿通され軸Aとともに回転する工作物(ワーク)を把持するためのT-
32As(軸B)から成る2つの主軸を回転自在に支承し,かつ,本体フレーム上に
固定されている固定台と,この2つの主軸の中心線方向であるT-32Z1軸方向
に摺動するT32-A(移動フレーム)を備えている。
なお,固定台は,ガイドブッシュを備えている。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅰ-3)
1図面
()BF20A1
BF20Aの図面は,別紙ⅠBF20Aの刃物台構成()斜視図,()製品別の図12
記載のとおりである。
()BF20B2
BF20Bの図面は,別紙ⅠBF20Bの刃物台構成()斜視図,()製品別の図12
記載のとおりである。
()BF20C3
BF20Cの図面は,別紙ⅠBF20Cの刃物台構成()斜視図,()製品別の図12
記載のとおりである。
2構成及び動作の説明
構成Ⅰ-3の被告製品の構成及び動作の説明は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承し,この主軸の中心線方向であるT13-Z軸方向1
に摺動するT13-A(主軸台)を備えている。
()正面視した場合,T13-A(主軸台)の前方には,T13-B(ガイドブッ2
シュ)が配置されている。
()T13-C=T13-E(正面刃物台)は,T13-Z軸に直交するT133
-X1軸方向に移動する。
()T13-D(刃物台)は,T13-Z軸に直交するT13-X2軸方向及び4
T13-Z軸とT13-X2軸の両方向と直交するT13-Y軸方向に移動する。
()構成Ⅰ-3の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動作514
する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅱ-1ア)
1図面
()B012/18D1
B012/18Dの図面は別紙ⅡB012/18Dの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()B012/18E2
B012/18Eの図面は別紙ⅡB012/18Eの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()B012/18L3
B012/18Lの図面は別紙ⅡB012/18Lの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()B012/18M4
B012/18Mの図面は別紙ⅡB012/18Mの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18D5
BS12/18Dの図面は別紙ⅡBS12/18Dの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18M6
BS12/18Mの図面は別紙ⅡBS12/18Mの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BW07/12/207
BW07/12/20の図面は,別紙ⅡBW07/12/20の刃物台構成()1
斜視図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅱ-1アの被告製品の構成及び動作の説明は,いずれも次のとおりである。
()①主軸の主軸中心線に直交し,かつ,互いに直交するT21-Xf軸,T211
-Yf両軸方向にNC制御されて移動する手前側の刃物送り台T21-Af(カニ刃刃
物送り台の手前側のくし刃刃物送り台)と,②主軸の主軸中心線に直交し,かつ,互い
に直交するT21-Xr軸,T21-Yr両軸方向にNC制御されて移動する向側の
刃物送り台T21-Ar(カニ刃刃物送り台の向側のくし刃刃物送り台)とを有する。
()上記手前側の刃物送り台T21-Afに設けられた工具ホルダは,複数個の工2
具T21-Bfを固定保持し,上記向側の刃物送り台T21-Arに設けられた工具
ホルダは,複数個の工具T21-Brを固定保持する。
()複数個の工具T21-Bf及び複数個の工具T21-Brは,手前側の刃物送3
り台T21-Af及び向側の刃物送り台T21-Arのそれぞれの移動に伴い,相互
の位置が変化する。
()構成Ⅱ-1アの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動413
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅱ-1イ)
1図面
BN12/20の図面は,別紙ⅡBN12/20の刃物台構成()斜視図,()製12
品別の図記載のとおりである。
2構成及び動作の説明
構成Ⅱ-1イの被告製品の構成及び動作の説明は,次のとおりである。
()ワークを把持して回転する主軸の主軸中心線に直交するT21-Y軸方向に数1
値制御されて移動する刃物送り台(以下「刃物送り台A」という。)と,①刃物送り台,
A上にあって,T21-Y軸方向と直交するT21-Xf軸方向に数値制御されて移
動する手前側の刃物送り台T21-Afと,②刃物送り台A上にあって,T21-Y
軸方向と直交するT21-Xr軸方向に数値制御されて移動する向側の刃物送り台T
21-Arを有する。
()上記手前側の刃物送り台T21-Afに設けられた工具ホルダは,複数個の工2
具T21-Bfを固定保持し,上記向側の刃物送り台T21-Arに設けられた工具
ホルダは,複数個の工具T21-Brを固定保持する。
()複数個の工具T21-Bf及び複数個の工具T21-Brは,手前側の刃物送3
り台T21-Af及び向側の刃物送り台T21-ArのそれぞれのT21-Xf軸,
T21-Xr軸方向への移動に伴い,相互の位置が変化する。
()構成Ⅱ-1イの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動413
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅱ-2ア)
1図面
()BU12/201
BU12/20の図面は,別紙ⅡBU12/20の刃物台構成()斜視図,()製12
品別の図記載のとおりである。
()BU26/38SY2
BU26/38SYの図面は,別紙ⅡBU26/38SYの刃物台構成()斜視1
図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅱ-2アの被告製品の構成及び動作の説明は,いずれも次のとおりである。
,,,()①主軸/ダブル主軸の中心線に直交しかつ互いに直交するT22-Xf軸1
T22-Yf両軸方向にNC制御されて移動する手前側の刃物送り台T22-Af(手
前側のくし刃刃物送り台)と,②主軸/ダブル主軸の中心線に直交し,かつ,互いに直
交するT22-Xr軸,T22-Yr両軸方向にNC制御されて移動する向側の刃物
送り台T22-Ar(向側のタレット刃物送り台)とを有する。
()上記手前側の刃物送り台T22-Afに設けられた工具ホルダは,複数個の工2
具T22-Bfを固定保持し,上記向側の刃物送り台T22-Arに設けられた工具
,,,ホルダはT22-Xr軸T22-Yr両軸を含む平面内において回転自在であり
複数個の工具(タレット)T22-Brを保持する。
()複数個の工具T22-Bf及び複数個の工具(タレット)T22-Brは,手前3
側の刃物送り台T22-Afの移動及び向側の刃物送り台T22-Arの移動又は回
転に伴い,相互の位置が変化する。
()構成Ⅱ-2アの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動413
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅱ-2イ)
1図面
BU26/38Sの図面は別紙ⅡBU26/38Sの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
2構成及び動作の説明
構成Ⅱ-2イの被告製品の構成及び動作は,次のとおりである。
()①ダブル主軸の中心線に直交し,かつ,互いに直交するT22-Xf軸,T21
2-Yf両軸方向にNC制御されて移動する手前側の刃物送り台T22-Af(手前側
のくし刃刃物送り台)と,②ダブル主軸の中心線に直交し,かつ,互いに直交するT2
2-Xr軸方向にNC制御されて移動する向側の刃物送り台T22-Ar(向側のタレ
ット刃物送り台)とを有する。
()上記手前側の刃物送り台T22-Afに設けられた工具ホルダは,複数個の工2
具T22-Bfを固定保持し,上記向側の刃物送り台T22-Arに設けられた工具
ホルダは,ダブル主軸T22-Asの中心線に直交し,T22-Xr軸を含む平面内
において回転自在であり,複数個の工具(タレット)T22-Brを保持する。
()複数個の工具T22-Bf及び複数個の工具(タレット)T22-Brは,手前3
側の刃物送り台T22-Afの移動及び向側の刃物送り台T22-Arの回転又は移
動に伴い,相互の位置が変化する。
()構成Ⅱ-2イの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動413
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅱ-3)
1図面
()MB38Y1
MB38Yの図面は,別紙ⅡMB38Yの刃物台構成()斜視図,()製品別の図12
記載のとおりである。
()MB38SY2
MB38SYの図面は,別紙ⅡMB38SYの刃物台構成()斜視図,()製品別12
の図記載のとおりである。
()MU26/38SY3
MU26/38SYの図面は,別紙ⅡMU26/38SYの刃物台構成()斜視1
図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅱ-3の被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()①主軸/ダブル主軸の中心線に直交するT23-Xf軸方向にNC制御されて1
移動する手前側の刃物送り台T23-Af(手前側のタレット刃物送り台)と,②主軸
/ダブル主軸の中心線に直交する互いに直交するT23-Xr軸,T23-Yr両軸
方向にNC制御されて移動する向側の刃物送り台T23-Ar(向側のタレット刃物送
り台)とを有する。
()上記手前側の刃物送り台T23-Afに設けられた工具ホルダは,主軸/ダブ2
ル主軸の中心線に直交し,T23-Xf軸を含む平面内において回転自在であり,複
数個の工具(タレット)T23-Bfを固定保持し,上記向側の刃物送り台T23-A
rに設けられた工具ホルダは,T23-Xr軸,T23-Yr両軸を含む平面内にお
いて回転自在であり,複数個の工具(タレット)T23-Brを保持する。
()複数個の工具(タレット)T23-Bfと複数個の工具(タレット)T23-Br3
は,手前側の刃物送り台T23-AfのT23-Xf軸方向への移動又は回転,及び
向側の刃物送り台T23-Arの移動又は回転に伴い,相互の位置が変化する。
()構成Ⅱ-3の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動作413
する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅲ-1ア)
1図面
()BS12/18A1
BS12/18Aの図面は別紙ⅢBS12/18Aの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18B2
BS12/18Bの図面は別紙ⅢBS12/18Bの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18C3
BS12/18Cの図面は別紙ⅢBS12/18Cの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18J4
BS12/18Jの図面は別紙ⅢBS12/18Jの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18K5
BS12/18Kの図面は別紙ⅢBS12/18Kの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18L6
BS12/18Lの図面は別紙ⅢBS12/18Lの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
2構成及び動作の説明
構成Ⅲ-1アの被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承し,主軸の中心線方向であるT31-Z1軸方向に1
摺動するT31-A(主軸台)を備えている。
(2)正面視した場合,T31-A(主軸台)の前方(手前)のワークの左右両側に
T31-Bk(第1工具左)(第1工具右)が対向して位置するように構成されたT3
1-B(対向くし刃刃物台)が設けられている。
T31-Bk(第1工具左)(第1工具右)は,T31-A(主軸台)前方の加工域に
位置し,かつ,T31-Z1軸方向(主軸の中心線方向)と直交するT31-X1軸
方向,及びT31-Z1軸方向,T31-X1軸方向それぞれと直交する上下方向
(以下「T31-Y1軸方向」という。)に移動する。
(3)T31-C(正面刃物台)は,T31-A(主軸台)に対して,T31-B(対
向くし刃刃物台)よりも更に前方側に設けられ,T31-C(正面刃物台)が保持す
るT31-Ck(第2工具)は,T31-Bk(第1工具左)(第1工具右)よりも更に
前方のワーク端面加工域に位置し,T31-Z1軸方向と同一方向であるT31-
Z2軸方向及び同方向と直交するT31-X2軸方向の両方向に移動する。
(4)T31-Z1軸方向に沿ったT31-A(主軸台)の移動,T31-X1軸
方向,T31-Y1軸方向に沿ったT31-B(対向くし刃刃物台)の移動,及びT
31-Z2軸方向,T31-X2軸方向に沿ったT31-C(正面刃物台)の移動を
。,制御する数値制御装置を備えているこの数値制御装置についての具体的な説明は
別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T31-A(主軸台)のT31-Z1軸方向の移動と,T31-B(対向くし
刃刃物台)のT31-X1軸方向の移動との組合せで,T31-Z1軸とT31-
X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能と,
②T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の移動と,T31-X2軸方
向の移動との組合せで,T31-Z2軸とT31-X2軸の2軸方向に同時に移動
制御させる第2の2軸同時制御機能と,
③T31-A(主軸台)のT31-Z1軸方向の移動と,T31-C(正面刃物
台)のT31-X2軸方向の移動との組合せで,T31-Z1軸とT31-X2軸
の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(以下,この第3の同
時制御機能を「混合制御機能」といい,この制御方法を「混合制御」ということが
ある。)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(6)上記①の第1の2軸同時制御と上記②の第2の2軸同時制御を同時にする
とき,第2の2軸同時制御機能は,T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向
の動きがT31-A(主軸台)のT31-Z1軸方向の動きに重畳して移動するよう
に,T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の送り速度Vは,T31-Z2
A(主軸台)が移動しない場合において所望されるT31-C(正面刃物台)のT31
Z2Z1-Z2軸方向の送り速度とT31-A(主軸台)のZ1軸方向の速度Vv
との関係が次の計算式のとおりとなるように演算する補正手段を有する。
V=+V(ベクトル演算である。)Z2Z2Z1v
()構成Ⅲ-1アの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動716
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
数値制御装置に関する説明書
1数値制御装置
被告製品3及び被告製品4は,ファナック社の数値制御装置を組み込んで,刃物
台等の制御を行っている。ファナック社の数値制御装置には,同社の数値制御装置
用制御ソフトが使用されている。
2数値制御装置用制御ソフト
ファナック社の数値制御装置用制御ソフトでは,ある刃物台に属する軸(X1(X
1f・X1r),Z1,Y1)の移動につき,それらの軸に関する数値制御指令を与
えて刃物台を制御し,他の刃物台に属する軸(X2,Z2)の移動につき,それらの
軸に関する数値制御指令を与えて刃物台を制御することができるが,後記の混合制
御の場合の数値制御指令を除き,異なる刃物台に属する軸に対する指令の組合せで
数値制御指令を与えて刃物台を制御することができない。
3許容される数値制御指令
()第1の2軸同時制御1
ファナック社の数値制御装置用制御ソフトでは,被告製品3の刃物台T31-B
(Bf・Br),T32-B,T33-B及び被告製品4の刃物台T41-B(Bf
・Br),T42-B,T43-Bに属するX1(X1f・X1r)軸及びZ1軸の
移動に関する数値制御指令を与えて上記刃物台に属する軸の移動を制御することが
できる。
()第2の2軸同時制御2
,,ファナック社の数値制御装置用制御ソフトでは被告製品3の刃物台T31-C
T32-C,T33-C及び被告製品4の刃物台T41-C,T42-C,T43
-Cに属するX2軸及びZ2軸の移動に関する数値制御指令を与えて上記刃物台に
属する軸の移動を制御することができる。
()混合制御3
ファナック社の数値制御装置用制御ソフトでは,プログラム上,刃物台相互の任
意の軸を入れ換えて,入れ換え後の軸の移動に関する数値制御指令を与えて,それ
ぞれの軸の移動を制御することができる。
軸を入れ換えるということは,具体例に即していえば,もともとは,第1の2軸
同時制御の際には(X1,Z1)という軸の組合せで,それらの軸の移動に関する数
値制御指令が与えられ,第2の2軸同時制御の際には(X2,Z2)という軸の組合
せで,それらの軸の移動に関する数値制御指令が与えられている場合において,プ
ログラム上,(X1,Z2)及び(X2,Z1)という軸の組合せで,それらの軸の移
動に関する数値制御指令が与えられる状態にすることを意味する。
()重畳制御4
ファナック社の数値制御装置用制御ソフトでは,各刃物台に属する軸の移動に関
する数値制御指令を同時に与えて,各軸の移動を制御することができる。
重畳制御とは,第2の2軸同時制御のZ2軸方向の送り速度Vが,第1の2Z2
軸同時制御のZ1軸方向の送り速度が0である場合において所望されるZ2軸方向
の送り速度とZ1軸方向の速度Vとの関係が次の式のとおりになるようにvZ2Z1
演算し,Z2軸方向の送り速度をZ1軸の送り速度に関連付けて,各刃物台に属す
る軸の移動を同時に制御することを意味する。
V=+V(ベクトル演算である。)Z2Z2Z1v
(別紙)
物件説明書(Ⅲ-1イ)
1図面
()BS20/26A1
BS20/26Aの図面は別紙ⅢBS20/26Aの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS20/26B2
BS20/26Bの図面は別紙ⅢBS20/26Bの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS20/26C3
BS20/26Cの図面は別紙ⅢBS20/26Cの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS324
BS32の図面は,別紙ⅢBS32の刃物台構成()斜視図,()製品別の図記載12
のとおりである。
2構成及び動作の説明
構成Ⅲ-1イの被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承する機構がダブル主軸である。ダブル主軸の具体的1
な構成は,別紙ダブル主軸説明書記載のとおりである。
()正面視した場合,T31-A(移動フレーム)の前方(手前)左右両側にT32
1-Bk(第1工具左)(第1工具右)が対向して位置するように構成されたT31-
B(対向くし刃刃物台)が設けられている。
T31-Bk(第1工具左)(第1工具右)は,固定台前方の加工域に位置し,T3
1-Z1軸方向(主軸の中心線方向)と直交するT31-X1軸方向及びT31-Z
1軸方向,T31-X1軸方向それぞれと直交する上下方向(T31-Y1軸方向)
に移動する。
(3)T31-C(正面刃物台)は,固定台に対して,T31-B(対向くし刃刃物
台)よりも更に前方側に設けられ,T31-C(正面刃物台)が保持するT31-C
k(第2工具)は,T31-Bk(第1工具左)(第1工具右)よりも更に前方のワーク
端面加工域に位置し,T31-Z1軸方向と同一方向であるT31-Z2軸方向及
び同方向と直交するT31-X2軸方向の両方向に移動する。
(4)T31-Z1軸方向に沿ったT31-A(移動フレーム)の移動,T31-
X1軸方向,T31-Y1軸方向に沿ったT31-B(対向くし刃刃物台)の移動,
及びT31-Z2軸方向,T31-X2軸方向に沿ったT31-C(正面刃物台)の
移動を制御する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な
説明は,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T31-A(移動フレーム)のT31-Z1軸方向の移動と,T31-B(対
向くし刃刃物台)のT31-X1軸方向の移動との組合せで,T31-Z1軸とT
31-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能と,
②T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の移動と,T31-C(正面
刃物台)のT31-X2軸方向の移動との組合せで,T31-Z2軸とT31-X
2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第2の2軸同時制御機能と,
③T31-A(移動フレーム)のT31-Z1軸方向の移動と,T31-C(正
面刃物台)のT31-X2軸方向の移動との組合せで,T31-Z1軸とT31-
X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混合制御機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(6)上記①の第1の2軸同時制御と上記②の第2の2軸同時制御を同時にする
とき,第2の2軸同時制御機能は,T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向
の動きがT31-A(移動フレーム)のT31-Z1軸方向の動きに重畳して移動す
るように,T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の送り速度Vは,TZ2
31-A(移動フレーム)が移動しない場合において所望されるT31-C(正面刃
物台)のT31-Z2軸方向の送り速度とT31-A(移動フレーム)のZ1軸vZ2
方向の速度Vとの関係が次の計算式のとおりとなるように演算する補正手段をZ1
有する。
V=+V(ベクトル演算である。)Z2Z2Z1v
()構成Ⅲ-1イの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動716
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅲ-1ウ)
1図面
()BS12/18D1
BS12/18Dの図面は別紙ⅢBS12/18Dの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18M2
BS12/18Mの図面は別紙ⅢBS12/18Mの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
2構成及び動作の説明
構成Ⅲ-1ウの被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承し,主軸の中心線方向であるT31-Z1軸方向に1
摺動するT31-A(主軸台)を備えている。
(2)正面視した場合,T31-A(主軸台)の前方(手前)のワークの左右両側に
T31-Bkf(第1工具左)及びT31-Bkr(第1工具右)が対向して位置する
ように保持するそれぞれ独立して形成されたT31-Bf(独立対向くし刃刃物台)
及びT31-Br(独立対向くし刃刃物台)が設けられている。
T31-Bkf(第1工具左)は,T31-A(主軸台)前方の加工域に位置し,T
31-Z1軸方向(主軸の中心線方向)と直交するT31-X1f軸方向,並びにT
31-Z1軸方向及びT31-X1f軸方向と直交する上下方向(以下「T31-
Y1軸方向」という。)に移動する。
T31-Bkr(第1工具右)は,T31-A(主軸台)前方の加工域に位置し,T
31-Z1軸方向(主軸の中心線方向)と直交するT31-X1r軸方向,並びにT
31-Z1軸方向及びT31-X1r軸方向と直交する上下方向(以下「T31-
Y2軸方向」という。)に移動する。
(3)T31-C(正面刃物台)は,T31-A(主軸台)に対して,T31-Bf
及びT31-Br(独立対向くし刃刃物台)よりも更に前方側に設けられ,T31-
C(正面刃物台)が保持するT31-Ck(第2工具)は,T31-Bkf(第1工具
,左)及びT31-Bkr(第1工具右)よりも更に前方のワーク端面加工域に位置し
T31-Z1軸方向と同一方向であるT31-Z2軸方向及び同方向と直交するT
31-X2軸方向の両方向に移動する。
(4)T31-Z1軸の方向に沿ったT31-A(主軸台)の移動,T31-X1
f軸・X1r軸方向,T31-Y1軸・Y2軸方向に沿ったT31-Bf(独立対
向くし刃刃物台)及びT31-Br(独立対向くし刃刃物台)の移動,並びにT31
-Z2軸方向,T31-X2軸方向に沿ったT31-C(正面刃物台)の移動を制御
する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な説明は,別
紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T31-A(主軸台)のT31-Z1軸方向の移動と,T31-Bf及びT3
1-Br(独立対向くし刃刃物台)のT31-X1軸方向の移動との組合せで,T3
1-Z1軸とT31-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制
御機能と,
②T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の移動と,T31-X2軸方
向の移動との組合せで,T31-Z2軸とT31-X2軸の2軸方向に同時に移動
制御をさせる第2の2軸同時制御機能と,
③T31-A(主軸台)のT31-Z1軸方向の移動と,T31-C(正面刃物
台)のT31-X2軸方向の移動との組合せで,T31-Z1軸とT31-X2軸
の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混合制御機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(6)上記①の第1の2軸同時制御と上記②の第2の2軸同時制御を同時にする
とき,第2の2軸同時制御機能は,T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向
の動きがT31-A(主軸台)のT31-Z1軸方向の動きに重畳して移動するよう
に,T31-C(正面刃物台)のT31-Z2軸方向の送り速度Vは,T31-Z2
A(主軸台)が移動しない場合において所望されるT31-C(正面刃物台)のT31
-Z2軸方向の送り速度とT31-A(主軸台)のZ1軸方向の速度VとのvZ2Z1
関係が次の計算式のとおりとなるように演算する補正手段を有する。
V=+V(ベクトル演算である。)Z2Z2Z1v
()構成Ⅲ-1ウの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動716
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅲ-2)
1図面
()BU26/38S1
BU26/38Sの図面は別紙ⅢBU26/38Sの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BU26/38SY2
BU26/38SYの図面は,別紙ⅢBU26/38SYの刃物台構成()斜視1
図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅲ-2の被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承する機構がダブル主軸である。ダブル主軸の具体的1
な構成は,別紙ダブル主軸説明書記載のとおりである。
()正面視した場合,固定台の前方左側にT32-B(くし刃刃物台)が設けら2
れている。
T32-B(くし刃刃物台)が保持するT32-Bk(第1工具)は,固定台前方の
加工域に位置し,T32-Z1軸方向と直交するT32-X1軸方向及びT32-
,「」Z1軸方向T32-X1軸方向と直交する上下方向(以下T32-Y1軸方向
という。)に移動する。
(3)T32-C(タレット刃物台)は,固定台をはさんでT32-B(くし刃刃物
台)と対向する側に設けられ,T32-C(タレット刃物台)が保持するT32-C
,,k(第2工具)は固定台前方の加工域にT32-Bk(第1工具)と対向して位置し
T32-Z1軸方向と平行な方向であるT32-Z2軸方向及び同方向と直交する
,,T32-X2軸方向の両方向に移動する(ただしBU26/38SYについては
更に,T32-Z1軸方向及びT32-X1軸方向と直交する上下方向(以下「T
32-Y2軸方向」という。)にも移動する。)。
(4)T32-Z1軸方向に沿ったT32-A(移動フレーム)の移動,T32-
X1軸方向,T32-Y1軸方向に沿ったT32-B(くし刃刃物台)の移動,及び
T32-Z2軸方向,T32-X2軸方向に沿ったT32-C(タレット刃物台)の
移動を制御する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な
説明は,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T32-A(移動フレーム)のT32-Z1軸方向の移動と,T32-B(く
し刃刃物台)のT32-X1軸方向の移動との組合せで,T32-Z1軸とT32
-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能と,
②T32-C(タレット刃物台)のT32-Z2軸方向の移動とT32-C(タ,
レット刃物台)のT32-X2軸方向の移動との組合せで,T32-Z2軸とT3
2-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第2の2軸同時制御機能と,
③T32-A(移動フレーム)のT32-Z1軸方向の移動と,T32-C(タ
レット刃物台)のT32-X2軸方向の移動との組合せで,T32-Z1軸とT3
2-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混合制御
機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
()上記①の第1の2軸同時制御と上記②の第2の2軸同時制御を同時にする6
とき,第2の2軸同時制御機能は,T32-C(タレット刃物台)のT32-Z2軸
方向の動きがT32-A(移動フレーム)のT32-Z1軸方向の動きに重畳して移
Z動するように,T32-C(タレット刃物台)のT32-Z2軸方向の送り速度V
は,T32-A(移動フレーム)が移動しない場合において所望されるT32-C2
(タレット刃物台)のT32-Z2軸方向の送り速度とT32-A(移動フレーvZ2
ム)のZ1軸方向の速度Vとの関係が次の計算式のとおりとなるように演算するZ1
補正手段を有する。
V=+V(ベクトル演算である。)Z2Z2Z1v
()構成Ⅲ-2の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動作716
する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅲ-3)
1図面
()MU26/38S1
MU26/38Sの図面は別紙ⅢMU26/38Sの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()MU26/38SY2
MU26/38SYの図面は,別紙ⅢMU26/38SYの刃物台構成()斜視1
図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅲ-3の被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承する機構がダブル主軸である。ダブル主軸の具体的1
な構成は,別紙ダブル主軸説明書記載のとおりである。
()正面視した場合,固定台の前方(手前)左側にT33-B(タレット刃物台・2
手前側)が設けられている。
T33-B(タレット刃物台・手前側)が保持するT33-Bk(第1工具)は,固
定台前方の加工域に位置し,T33-Z1軸方向と直交するT33-X1軸方向に
移動する。
(3)T33-C(タレット刃物台・向側)は,固定台をはさんでT33-B(タレ
ット刃物台・手前側)と対向する側に設けられT33-C(タレット刃物台・向側),
が保持するT33-Ck(第2工具)は,固定台前方の加工域にT33-Bk(第1
工具)と対向して位置し,T33-Z1軸方向と平行な方向であるT33-Z2軸
方向及び同方向と直交するT33-X2軸方向の両方向に移動するようになってい
る(ただし,MU26/38SYについては,更に,T33-Z2軸方向,T33
-X2軸方向それぞれと直交する上下方向(以下「T33-Y2軸方向」という。)
にも移動する。)。
()T33-Z1軸方向に沿ったT33-A(移動フレーム)の移動,T33-4
X1軸方向に沿ったT33-B(タレット刃物台・手前側)の移動,T33-Z2軸
方向,T33-X2軸方向に沿ったT33-C(タレット刃物台・向側)の移動を制
御する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な説明は,
別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T33-A(移動フレーム)のT33-Z1軸方向の移動と,T33-B(タ
レット刃物台・手前側)のT33-X1軸方向の移動との組合せで,T33-Z1
軸とT33-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能
と,
②T33-C(タレット刃物台・向側)のT33-Z2軸方向の移動と,T33
-C(タレット刃物台・向側)のT33-X2軸方向の移動との組合せで,T33-
Z2軸とT33-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第2の2軸同時制御機
能と,
③T33-A(移動フレーム)のT33-Z1軸方向の移動と,T33-C(タ
レット刃物台・向側)のT33-X2軸方向の移動との組合せで,T33-Z1軸
とT33-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混
合制御機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(6)上記①の第1の2軸同時制御と上記②の第2の2軸同時制御を同時にする
とき,第2の2軸同時制御機能は,T33-C(タレット刃物台・向側)のT33-
Z2軸方向の動きがT33-A(移動フレーム)のT33-Z1軸方向の動きに重畳
して移動するように,T33-C(タレット刃物台・向側)のT33-Z2軸方向の
送り速度Vは,T33-A(移動フレーム)が移動しない場合において所望されるZ2
T33-C(タレット刃物台・向側)のT33-Z2軸方向の送り速度とT33vZ2
-A(移動フレーム)のT33-Z1軸方向の速度Vとの関係が次の計算式のとおZ1
りとなるように演算する補正手段を有する。
V=+V(ベクトル演算である。)Z2Z2Z1v
()構成Ⅲ-3の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動作716
する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅳ-1ア)
1図面
()BS12/18A1
BS12/18Aの図面は別紙ⅣBS12/18Aの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18B2
BS12/18Bの図面は別紙ⅣBS12/18Bの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18C3
BS12/18Cの図面は別紙ⅣBS12/18Cの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18J4
BS12/18Jの図面は別紙ⅣBS12/18Jの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18K5
BS12/18Kの図面は別紙ⅣBS12/18Kの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18L6
BS12/18Lの図面は別紙ⅣBS12/18Lの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
2構成及び動作の説明
構成Ⅳ-1アの被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承し,主軸の中心線方向であるT41-Z1軸方向に1
摺動するT41-A(主軸台)を備えている。
(2)正面視した場合,T41-A(主軸台)の前方(手前)のワークの左右両側に
T41-Bk(第1工具左)(第1工具右)が対向して位置するように構成されたT4
1-B(対向くし刃刃物台)が設けられている。
T41-Bk(第1工具左)(第1工具右)は,T41-A(主軸台)前方の加工域に
位置し,かつ,T41-Z1軸方向と直交するT41-X1軸方向,及び,T41
-Z1軸方向,T41-X1軸方向それぞれと直交する上下方向(以下「T41-
Y1軸方向」という。)に移動する。
(3)T41-C(正面刃物台)は,T41-A(主軸台)に対して,T41-B(対
向くし刃刃物台)よりも更に前方側に設けられ,T41-C(正面刃物台)が保持す
るT41-Ck(第2工具)は,T41-Bk(第1工具左)(第1工具右)よりも更に
前方のワーク端面加工域に位置し,T41-Z1軸方向と同一方向であるT41-
Z2軸方向及び同方向と直交するT41-X2軸方向の両方向に移動する。
(4)T41-Z1軸方向に沿ったT41-A(主軸台)の移動,T41-X1軸
方向,T41-Y1軸方向に沿ったT41-B(対向くし刃刃物台)の移動,及びT
41-Z2軸方向,T41-X2軸方向に沿ったT41-C(正面刃物台)の移動を
。,制御する数値制御装置を備えているこの数値制御装置についての具体的な説明は
別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T41-A(主軸台)のT41-Z1軸方向の移動と,T41-B(対向くし
刃刃物台)のT41-X1軸方向の移動との組合せで,T41-Z1軸とT41-
X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能と,
②T41-C(正面刃物台)のT41-Z2軸方向の移動と,T41-X2軸方
向の移動との組合せで,T41-Z2軸とT41-X2軸の2軸方向に同時に移動
制御させる第2の2軸同時制御機能と,
③T41-A(主軸台)のT41-Z1軸方向の移動と,T41-C(正面刃物
台)のT41-X2軸方向の移動との組合せで,T41-Z1軸とT41-X2軸
の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混合制御機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
()構成Ⅳ-1アの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動615
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅳ-1イ)
1図面
()BS20/26A1
BS20/26Aの図面は別紙ⅣBS20/26Aの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS20/26B2
BS20/26Bの図面は別紙ⅣBS20/26Bの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS20/26C3
BS20/26Cの図面は別紙ⅣBS20/26Cの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BS324
BS32の図面は,別紙ⅣBS32の刃物台構成()斜視図,()製品別の図記載12
のとおりである。
2構成及び動作の説明
構成Ⅳ-1イの被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承する機構がダブル主軸である。ダブル主軸の具体的1
な構成は,別紙ダブル主軸説明書記載のとおりである。
()正面視した場合,T41-A(移動フレーム)の前方左右両側にT41-B2
k(第1工具左)(第1工具右)が対向して位置するように構成されたT41-B(対
向くし刃刃物台)が設けられている。
T41-Bk(第1工具左)(第1工具右)は,固定台前方の加工域に位置し,T4
1-Z1軸方向と直交するT41-X1軸方向,並びにT41-Z1軸方向及びT
41-X1軸方向と直交する上下方向(T41-Y1軸方向)に移動する。
(3)T41-C(正面刃物台)は,固定台に対して,T41-B(対向くし刃刃物
台)よりも更に前方側に設けられ,T41-C(正面刃物台)が保持するT41-C
k(第2工具)は,T41-Bk(第1工具左)(第1工具右)よりも更に前方のワーク
端面加工域に位置し,T41-Z1軸方向と同一方向であるT41-Z2軸方向及
び同方向と直交するT41-X2軸方向の両方向に移動する。
(4)T41-Z1軸方向に沿ったT41-A(移動フレーム)の移動,T41-
X1軸方向,T41-Y1軸方向に沿ったT41-B(対向くし刃刃物台)の移動,
及びT41-Z2軸方向,T41-X2軸方向に沿ったT41-C(正面刃物台)の
移動を制御する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な
説明は,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T41-A(移動フレーム)のT41-Z1軸方向の移動と,T41-B(対
向くし刃刃物台)のT41-X1軸方向の移動との組合せで,T41-Z1軸とT
41-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能と,
②T41-C(正面刃物台)のT41-Z2軸方向の移動と,T41-C(正面
刃物台)のT41-X2軸方向の移動との組合せで,T41-Z2軸とT41-X
2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第2の2軸同時制御機能と,
③T41-A(移動フレーム)のT41-Z1軸方向の移動と,T41-C(正
面刃物台)のT41-X2軸方向の移動との組合せで,T41-Z1軸とT41-
X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混合制御機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
()構成Ⅳ-1イの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動615
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅳ-1ウ)
1図面
()BS12/18D1
BS12/18Dの図面は別紙ⅣBS12/18Dの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
()BS12/18M2
BS12/18Mの図面は別紙ⅣBS12/18Mの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図,()ツーリングゾーンの図記載のとおりである。3
2構成及び動作の説明
構成Ⅳ-1ウの被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承し,主軸の中心線方向であるT41-Z1軸方向に1
摺動するT41-A(主軸台)を備えている。
(2)正面視した場合,T41-A(主軸台)の前方のワークの左右両側にT41
-Bkf(第1工具左)及びT41-Bkr(第1工具右)が対向して位置するように
保持するそれぞれ独立して形成されたT41-Bf(独立対向くし刃刃物台)及びT
41-Br(独立対向くし刃刃物台)が設けられている。
T41-Bkf(第1工具左)は,T41-A(主軸台)前方の加工域に位置し,T
41-X1f軸方向,並びにT41-Z1軸方向及びT41-X1f軸方向と直交
する上下方向(以下「T41-Y1軸方向」という。)に移動する。
T41-Bkr(第1工具右)は,T41-A(主軸台)前方の加工域に位置し,T
41-X1r軸方向,並びにT41-Z1軸方向及びT41-X1r軸方向と直交
する上下方向(以下「T41-Y2軸方向」という。)に移動する。
(3)T41-C(正面刃物台)は,前記T41-A(主軸台)に対して,T41-
Bf及びT41-Br(独立対向くし刃刃物台)よりも更に前方(手前)側に設けら
れ,T41-C(正面刃物台)が保持するT41-Ck(第2工具)は,T41-Bk
f(第1工具左)及びT41-Bkr(第1工具右)よりも更に前方のワーク端面加工
域に位置し,T41-Z1軸方向と同一方向であるT41-Z2軸方向及び同方向
と直交するT41-X2軸方向の両方向に移動する。
(4)T41-Z1軸の方向に沿ったT41-A(主軸台)の移動,T41-X1
f軸・X1r軸方向,T41-Y1軸・Y2軸方向に沿ったT41-Bf(独立対
向くし刃刃物台)及びT41-Br(独立対向くし刃刃物台)の移動,並びにT41
-Z2軸方向,T41-X2軸方向に沿ったT41-C(正面刃物台)の移動を制御
する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な説明は,別
紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T41-A(主軸台)のT41-Z1軸方向の移動と,T41-Bf及びT4
1-Br(独立対向くし刃刃物台)のT41-X1軸方向の移動との組合せで,T4
1-Z1軸とT41-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制
御機能と,
②T41-C(正面刃物台)のT41-Z2軸方向の移動と,T41-X2軸方
向の移動との組合せで,T41-Z2軸とT41-X2軸の2軸方向に同時に移動
制御をさせる第2の2軸同時制御機能と,
③T41-A(主軸台)のT41-Z1軸方向の移動と,T41-C(正面刃物
台)のT41-X2軸方向の移動との組合せで,T41-Z1軸とT41-X2軸
の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混合制御機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
()構成Ⅳ-1ウの被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動615
作する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅳ-2)
1図面
()BU26/38S1
BU26/38Sの図面は別紙ⅣBU26/38Sの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()BU26/38SY2
BU26/38SYの図面は,別紙ⅣBU26/38SYの刃物台構成()斜視1
図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅳ-2の被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承する機構がダブル主軸である。ダブル主軸の具体的1
な構成は,別紙ダブル主軸説明書記載のとおりである。
()正面視した場合,固定台の前方左側にT42-B(くし刃刃物台)が設けら2
れている。
T42-B(くし刃刃物台)が保持するT42-Bk(第1工具)は,固定台前方の
加工域に位置し,T42-Z1軸方向と直交するT42-X1軸方向,並びにT4
2-Z1軸方向及びT42-X1軸方向と直交する上下方向(以下「T42-Y1
軸方向」という。)に移動する。
(3)T42-C(タレット刃物台)は,固定台をはさんでT42-B(くし刃刃物
台)と対向する側に設けられ,T42-C(タレット刃物台)が保持するT42-C
,,k(第2工具)は固定台前方の加工域にT42-Bk(第1工具)と対向して位置し
T42-Z1軸方向と平行な方向であるT42-Z2軸方向及び同方向と直交する
。,,T42-X2軸方向の両方向に移動するただしBU26/38SYについては
T42-Z2軸方向,並びにT42-Z2軸方向及びT42-X2軸方向と直交す
る上下方向(以下「T42-Y2軸方向」という。)にも移動する。
(4)T42-Z1軸方向に沿ったT42-A(移動フレーム)の移動,T42-
X1軸方向,T42-Y1軸方向に沿ったT42-B(くし刃刃物台)の移動,及び
T42-Z2軸方向,T42-X2軸方向に沿ったT42-C(タレット刃物台)の
移動を制御する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な
説明は,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T42-A(移動フレーム)のT42-Z1軸方向の移動と,T42-B(く
し刃刃物台)のT42-X1軸方向の移動との組合せで,T42-Z1軸とT42
-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能と,
②T42-C(タレット刃物台)のT42-Z2軸方向の移動とT42-C(タ,
レット刃物台)のT42-X2軸方向の移動との組合せで,T42-Z2軸とT4
2-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第2の2軸同時制御機能と,
③T42-A(移動フレーム)のT42-Z1軸方向の移動と,T42-C(タ
レット刃物台)のT42-X2軸方向の移動との組合せで,T42-Z1軸とT4
2-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混合制御
機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
()構成Ⅳ-2の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動作615
する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
物件説明書(Ⅳ-3)
1図面
()MU26/38S1
MU26/38Sの図面は別紙ⅣMU26/38Sの刃物台構成()斜視図(),,12
製品別の図記載のとおりである。
()MU26/38SY2
MU26/38SYの図面は,別紙ⅣMU26/38SYの刃物台構成()斜視1
図,()製品別の図記載のとおりである。2
2構成及び動作の説明
構成Ⅳ-3の被告製品の構成及び動作は,いずれも次のとおりである。
()主軸を回転自在に支承する機構がダブル主軸である。ダブル主軸の具体的1
な構成は,別紙ダブル主軸説明書記載のとおりである。
()正面視した場合固定台の前方左側にT43-B(タレット刃物台・手前側)2,
が設けられている。
T43-B(タレット刃物台・手前側)が保持するT43-Bk(第1工具)は,固
定台前方の加工域に位置し,T43-Z1軸方向と直交するT43-X1軸方向に
移動する。
(3)T43-C(タレット刃物台・向側)は,固定台をはさんでT43-B(タレ
ット刃物台・手前側)と対向する側に設けられT43-C(タレット刃物台・向側),
が保持するT43-Ck(第2工具)は,固定台前方の加工域にT43-Bk(第1
工具)と対向して位置し,T43-Z1軸方向と同一方向であるT43-Z2軸方
向及び同方向と直交するT43-X2軸方向の両方向に移動するようになっている
(ただし,MU26/38SYについては,更に,T43-Z2軸方向,T43-
X2軸方向それぞれと直交する上下方向(以下「T43-Y2軸方向」という。)に
も移動する。)。
()T43-Z1軸方向に沿ったT43-A(移動フレーム)の移動,T43-4
X1軸方向に沿ったT43-B(タレット刃物台・手前側)の移動,T43-Z2軸
方向,T43-X2軸方向に沿ったT43-C(タレット刃物台・向側)の移動を制
御する数値制御装置を備えている。この数値制御装置についての具体的な説明は,
別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
(5)上記数値制御装置には,数値制御装置用制御ソフトが使用されていて,同
装置は,
①T43-A(移動フレーム)のT43-Z1軸方向の移動と,T43-B(タ
レット刃物台・手前側)のT43-X1軸方向の移動との組合せで,T43-Z1
軸とT43-X1軸の2軸方向に同時に移動制御させる第1の2軸同時制御機能
と,
②T43-C(タレット刃物台・向側)のT43-Z2軸方向の移動と,T43
-C(タレット刃物台・向側)のT43-X2軸方向の移動との組合せで,T43-
Z2軸とT43-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第2の2軸同時制御機
能と,
③T43-A(移動フレーム)のT43-Z1軸方向の移動と,T43-C(タ
レット刃物台・向側)のT43-X2軸方向の移動との組合せで,T43-Z1軸
とT43-X2軸の2軸方向に同時に移動制御させる第3の2軸同時制御機能(混
合制御機能)
を有する。
ただし,上記数値制御装置は,使用されている数値制御装置用制御ソフトの制約
から,混合制御機能を使用すると,上記①の第1の2軸同時制御機能及び上記②の
第2の2軸同時制御機能は使用することができない。上記ソフトの許容する数値制
御指令については,別紙数値制御装置に関する説明書記載のとおりである。
()構成Ⅳ-3の被告製品は,上記()ないし()のとおりの構成を有し,動作615
する数値制御自動旋盤である。以上
(別紙)
野村製品説明書
1写真
「被告第7準備書面4頁写真2-1及び2-2添付」
2説明
()T12’-As(主軸)を回転自在に支承し,このT12’-As(主軸)の1
中心線方向であるT12’-Z軸方向に摺動するT12’-A(主軸台)を備えてい
る(乙12の45頁参照)。T12’-Z軸方向の移動は,数値制御装置により制御
される。
()正面視した場合,T12’-A(主軸台)の前方には,T12’-B(ガイド2
ブッシュ)が配置されている。
()T12’-B(ガイドブッシュ)の更に前方には,T12’-C兼T12’3
-E(刃物台1兼孔空け用工具台)が配置されている。
T12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)は,T12’-Z軸に
直交するT12’-X1軸方向及びT12’-Z軸と同一の方向であるT12’-
Z1軸方向に移動する。
T12’-X1軸方向の移動は,数値制御装置により制御される。また,T12
’-Z1軸方向の移動は数値制御装置により制御される。
()T12’-D(刃物台2)は,T12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空4
け用工具台)から離れた位置に配置されている。
また,T12’-D(刃物台2)は,T12’-Z軸に直交するT12’-X2軸
方向及び前記T12’-Z軸と前記T12’-X2軸の両方向と直交するT12’
-Y軸方向に移動する。
T12’-X2軸方向の移動は数値制御装置により制御される。また,T12’
-Y軸方向の移動は,数値制御装置により制御される。
()T12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)は,T12’-5
B(ガイドブッシュ)を挟んで,前記T12’-A(主軸台)に対向して配置されてい
る。
()野村製品は,上記()ないし()の構成を有する数値制御自動旋盤である。615
以上
(別紙)
マトラ社製品説明書
1写真
「被告第7準備書面9頁,10頁の写真を添付」
2説明
()T12’-As(主軸)を回転自在に支承し,このT12’-As(主軸)1’’
の中心線方向であるT12’-Z軸方向に摺動するT12’-A(主軸台)を備’’
えている。
()正面視した場合,T12’-A(主軸台)の前方には,T12’-B(ガ2’’
イドブッシュ)が配置されている。
()T12’-B(ガイドブッシュ)の更に前方には,T12’-C兼T123’’
’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)が配置されている。’
T12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)は,T12’-Z’’’
軸に直交するT12’-X1軸方向及びT12’-Z軸と同一の方向であるT’’
12’-Z1軸方向に移動する。’
T12’-X1軸方向の移動は,数値制御装置により制御される。また,T1’
2’-Z1軸方向の移動は数値制御装置により制御される。’
()T12’-D(刃物台2)は,T12’-C兼T12’-E(刃物台1兼4’’’
孔空け用工具台)から離れた位置に配置されている。
また,T12’-D(刃物台2)は,T12’-Z軸に直交するT12’-X’’’
2軸方向及び前記T12’-Z軸とT12’-X2軸の両方向と直交するT1’’
2’-Y軸方向に移動する。’
T12’-X2軸方向の移動は数値制御装置により制御される。また,T12’
’-Y軸方向の移動は,数値制御装置により制御される。’
()T12’-C兼T12’-E(刃物台1兼孔空け用工具台)は,T12’5’’
’-B(ガイドブッシュ)を挟んで,前記T12’-A(主軸台)に対向して配置さ’
れている。
()マトラ社製品は,上記()ないし()の構成を有する数値制御自動旋盤であ615
る。以上
(別紙)
サンプルプログラム1
「原告第6準備書面の別紙の7-44頁,7-45頁」
(別紙)
サンプルプログラム2
「原告第2準備書面の別紙の7-147頁,7-148頁」

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弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

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残り応募人数(2019年5月1日現在)
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