弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人角本佐一、同渡辺隆治上告理由第一点について。
 しかし、原判決は、本件上告人の解約申入について正当の事由があるか否かを判
定するのに、所論のごとく単に結局被上告人が看板業を経営しているから、上告人
の解約申入について正当理由はないと結論したのではなく、判示のごときその他の
当事者双方の事情竝びに本件家屋に対する当事者双方の使用収益の衡量就中新家主
たる上告入側に存する自ら使用することを必要とする程度その他の事情の外従来の
借家人である被上告人の居住の安全を害しないようにするため新家主の取った処置
を特に考慮に入れた結果上告人の解約の申入につき正当な事由がないものと認めた
ものである。そして、原審における所論準備書面によるも上告人が原審において看
板業が被上告人の先夫の子Dのもので被上告人自身の営業でないこと又は被上告人
が右D及びその家族を本件家屋に同居させ故意に移転明渡を困難ならしめたこと等
を主張したものとは認められない。従つて、原判決には所論のような争点に対する
判断遺脱の違法があるとはいえない。また、原判決は、所論看板業に関しては、第
一審及び原審証人E、第一審証人Dの各証言、原審における被上告人本人尋問の結
果竝びに第一審における検証の結果を綜合して、「被上告人家は、亡夫Fが昭和六
年九月本件家屋を賃借以来約二十年に亘りこれに居住し借受当時家主の承諾を得て
屋根や内部の疊、建具等を改造して現在のようになし看板業、菓子小売等の営業を
なし、被上告人は、家族四名と共に本件家屋中の六疊、四疊及び二疊の三間に起居
し右六疊の一部を使用して菓子、下駄等の小売商を営み息子Gが右家屋中の土間を
使用して看板業を営んでいる」旨認定しているのであって、その認定には証拠上の
違法は認められない。従つて、原判決の右認定によれば、所論看板業は、従前より
の被上告人家の営業であつて、被上告人は息子Gをしてこれを担当せしめているこ
とを判示したものといわなければならないし、また、D並びにその妻子三名が旧民
法における被上告人の家族でないにしても右認定のごとき被上告人の営業を担当し
ている現在同居の親族の趣旨において被上告人の家族四名と判示して被上告人の本
件家屋の使用利益の衡量に参酌しても違法であるとはいえない。されば、原判決に
は、所論のような証拠上又は法律解釈上の違法も認められない。論旨はその理由が
ない。
 同第二点について。
 原判決が、上告人から被上告人に対し上告人居住のH方と入替つて貰いたいとの
申込に対し、「看板製作のためには相当広土間を必要とする関係上右H方において
は内部の大改造をしない限りその儘では被上告人方の主たる家業たる看板業を経営
してゆくことは到底困難であるように思われるのでこれに応じなかつたからといつ
て、被上告人を左程責める訳にもゆかないであらう」と判示したことは所論のとお
りである。しかし、裁判所が右のごとく判断するには所論のように双方の間に誠実
な折衝が行われたかどうか、行われたとすればその結果如何等の事実について審理
し不明の点は釈明しなければならない義務があるとはいえない。それ故右の点につ
いてかゝる審理又は釈明をしなかつたからといつて違法であるとはいえないから、
所論は、採用し難い。
 同第三点について。
 しかし、所論原判決の事実認定は、挙示の証拠で肯認することができる。されば、
所論は、原審の裁量に属する証拠の判断を非難するに帰し、上告適法の理由となし
難い。
 同第四点について。
 原判決は、従来賃借人として居住している者に対する新家主のなす解約申入の正
当事由の存否についての判定をするに当つて、新家主側に存する自ら使用すること
を必要とする程度、その他の事情の外借家人の居住の安全が害されないかどうか少
くともその居住が危険に曝されることを防ぐため新家主において社会的評価上納得
のゆく処置を講じたかどうかを特に考慮に入れなければならないものとし、被上告
人に対し事前に何等の交渉もしなかつたHの昭和二一年二月九日における本件家屋
の買受並びに上告人の同二二年五月二〇日における譲受の各所為は、たとえ被控訴
人等が引揚者であることを考慮しても、決して妥当なものとは認められない旨判示
したことは所論のとおりであつて、原判決の右判断は相当と認められる。論旨は、
昭和二一年二月九日Hの本件家屋譲受当時においてはかかる考慮をすべき解釈又は
判例がなく、従つて、Hの地位を承継し前主当時から明渡を請求して来た上告人に
対しては、かかる考慮を要しない旨主張する。しかし、解約申入の当否を判断する
には解約申入当時における貸主及び借主双方の間に存する一切の事情を参酌すべき
ものであるから、原判決がその事情の一として建右判示の点を考慮したのは当然で
あつて、所論は独自の見解に過ぎないといわなければならない。それ故論旨は採用
し難い。
 同第五点について。
 原判決は引揚者に関し所論のごとく判示したことは所論のとおりである。しかし、
原判決は、単に抽象的に一般引揚者と一般内地居住者とを比較したものではなく、
判示のごとく外地から引揚げた上告人竝びに別府市に在住する被上告人の双方に現
実に存在する具体的な諸事情を比較考慮して本件解約申入につき正当な理由がない
と判示したものであること明白である。されば、原判決には所論の違法がなく、本
論旨もその理由なきものである。
 よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとお
り判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    澤   田   竹 治 郎
            裁判官    岩   松   三   郎

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