弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人桃井銈次の上告趣意第一点及び第二点について。
 本件記録中に存する所論各弁護人に関する弁護人選任届について調査すると弁護
人Aに関するものは(記録四六五丁)昭和二三年一一月一二日附をもつて大阪高等
裁判所宛に提出されているが弁護人Bに関するものは(記録四七七丁)同年一一月
一〇日附をもつて京都地方裁判所宮津支部宛に提出されていることが認められるの
である。そして本件第一審判決は同年一一月二日に言渡されているのであるから右
弁護人Bに関する弁護人選任届の日附が第一審判決宣告前であることとその宛先が
第一審裁判所である京都地方裁判所宮津支部である点からみて同弁護人の選任届は
第一審裁判所に対するものであつて原審に対するものとは認められないのである。
従つて右弁護人Bは原審における弁護人ではなかつたのであるから原審において同
弁護人に対して公判期日の召喚手続をとらなかつたのは当然のことであつて原判決
には所論のような違法なく論旨はいずれも理由がない。
 同第三点について。
 原判決の確定した事実は被告人は第一審相被告人C等と共謀の上昭和二三年九月
中旬政府の免許を受けずに京都府与謝郡a町附近の海岸から朝鮮に向け小型船舶に
よつて雑品類を密輸出しようと企図し被告人はCに頼まれて密航船の入手を斡旋す
ること及び船積みまで密輸出すべき貨物を保管することを引受け翌一〇月初美津生
丸を見付けてきたが見分の結果右Cの気に入らなかつたので更に別に適当な船舶を
探し出すこととなつて奔走し、なおその頃右C及び原審相被告人Dから送つてきた
密輸出すべき貨物三五個を自分が代表者として経営しているE株式会社工場外二個
所において保管したというのであつて原判決は被告人の右所為に対し昭和二三年七
月七日法律第一〇七号所得税法の一部を改正する等の法律第二三条関税法第七六条
等を適用処断しているのである。そして右関税法第七六条第一項は「免許ヲ受ケス
シテ貨物ノ輸出ヲ図リタル者……」と規定しているのでその意義は輸出を企図した
行為を処罰する趣旨であるから単に未遂の場合のみならず予備の場合をも包含する
ものと解するのが相当である。右関税法第七六条は昭和二五年四月三〇日法律第一
一七号をもつて改正せられ改正法は「免許ヲ受ケスシテ貨物ノ輸出又は輸入ヲ為シ
タル者は五年以下ノ懲役若ハ五〇万円以下ノ罰金ニ処シ又ハ之ヲ併科ス(第一項)
前項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其ノ予備ヲ為シタル者又ハ同項の犯罪ノ実行ニ着手シ之
ヲ遂ケサル者亦同項二同シ(第ニ項)」と明規するに至つたものであるが、それは
法律の改正によつて新たに予備を処罰する規定を設けた趣旨ではなく従前の規定の
趣旨を明確にしたに過ぎないものと解すべきである、ところで関税法の罰則等の特
例に関する勅令(昭和二一年五月一六日勅令第二七七号)第一条第二項は「……免
許がないのに物品の輸出をしようとした者…」と規定しているのであつてその解釈
について論旨指摘のような当裁判所の判例のあることは所論のとおりであるが右判
例はいずれも右勅令違反の事件に関するもので本件関税法第七六条の解釈を示した
ものでないから本件に適切でない。而して原判決が確定した前記の事実は未だ予備
の程度に過ぎないものと認められるのであるが関税法第七六条第一項に規定する「
輸出ヲ図リタル者」にはその予備をした者を含むと解釈すべきであるから原判決が
本件につき同法条を適用したことは相当であつて原判決には所論のような違法はな
い、従つて論旨(一)はその理由がない。次に本件犯罪は昭和二三年九月中旬以降
同年一〇月初に行われたことは原判決の確定しているところであるから本件には昭
和二三年七月七日法律第一〇七号所得税法の一部を改正する等の法律第二三条によ
つて改正された関税法第七六条の適用があることは明かである、従つて原判決が前
示法律第二三条を引用したことは正当であつて論旨(二)はその理由がない。
 よつて刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条により主文のとおり判決する。
 この判決は全裁判官一致の意見である。
 検察官 小幡勇三郎関与
  昭和二五年七月二八日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛