弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人原田武彦の上告理由の一ないし四について。
 論旨はまず上告人の本件利息前払により、被上告人に支払うべき元金は減少して
いる筈であるから、かゝる場合には代金額を明示しないで売買を完結しえないと主
張するものと解される。
 けれども、原判決の確定したところによれば、上告人は昭和三〇年一二月一二日
被上告人から上告人主張のとおりの約定で最初の二ヵ月分前払利息金三〇、〇〇〇
円を差引き金三七〇、〇〇〇円借受け、同三一年二月一〇日、同年六月一二日、同
年九月一一日にそれぞれ約定利息を支払つたものである。上告人が被上告人に支払
うべき約定元金四〇〇、〇〇〇円は利息として金三〇、〇〇〇円天引されているか
ら、利息制限法二条に従つて計算すると、上告人が被上告人に支払うべき元金が三
八一、一〇〇円となることは原判示のとおりであつて、前記三一年二月一〇日以降
支払にかゝる約定利息のうち、同法一条一項所定の利率により計算した金額を超え
る部分は上告人において任意に支払つたものであること原判文上明らかであるから、
同条二項に照して(上告人が返還を求めうるものでもなく)上告人の支払うべき前
記元金に影響を及ぼすものではないのみならず、原判決並びにその引用する一審判
決は、被上告人に対する本件不動産の所有権移転は上告人と被上告人間の代物弁済
の特約に基くものであつて、登記簿上その登記原因が売買に因るとされていても、
被上告人が本件不動産の現在の真実の所有権者である以上、右登記自体の効力には
影響を及ぼすものでなく、被上告人のためになされた右所有権移転登記が無効とは
いえないと判断したもので、所論は原判示にそわず、独自の見解に立脚するものと
見る外なく、到底採用できない。
 論旨はつぎに、上告人は前払の約定利息の支払が約定の昭和三一年一一月三〇日
より三日遅延したのにすぎない同年一二月三日被上告人により同人のためになされ
た本件不動産所有権移転登記の効力を争う。しかし原審の確定した事実によれば、
本件貸金の弁済期は昭和三一年一〇月一三日に変更されたけれども、上告人は右期
日に至つても元金の支払をすることができなかつたので、同日以後二カ月分の利息
の前払として額面三〇、〇〇〇円、満期同年一一月三〇日の約束手形(乙三号証)
を被上告人に差し入れ、右満期にこの手形金が支払われたときは本件貸金の弁済期
を同年一二月一三日に延期する約定が当事者間に成立したにもかかわらず、右満期
に約束手形金が支払われなかつたので、(原審の確定するところによればこれが支
払われたのは一二月一〇日である)右契約の趣旨に従い本件貸金の弁済期は条件不
成就により同年一二月一三日に延期せられずして、同年一〇月一三日をもつて弁済
期が到来したこととなつたこと、その後も被上告人はDを介して上告人に対し数回
にわたつて右貸付元利金の支払を督促したが上告人より債務の履行がなかつたので、
被上告人は特約に基き本件不動産所有権移転登記手続をしたものであつて、原判決
認定のような事情のもとにある本件においては、右所有権移転の効力が否定せらる
べきいわれはなく、原審に所論違法はない。
 同五及び六について。
 論旨は、被上告人の本件不動産取得は公序良俗に反し無効であるとはいえないと
した原審の判断を争う。けれども、上告人が被上告人に支払うべき元金は前示のと
おり金三八一、一〇〇円であつて、本件不動産の価格(所有権移転登記当時)が債
務額の約三倍に当るとしても(四倍に当ることは原審の認定しないところである)、
被上告人が上告人の窮迫、軽卒もしくは無経験を利用し過当な利を図る目的で本件
不動産に関する代物弁済の特約をしたものでない以上、未だ本件代物弁済を以て、
著しい暴利行為にして公序良俗に反するものとはいえない。 論旨はつづいて、被
上告人の行為につき権利濫用をいうけれども、原審が、上告人の権利濫用の主張を
排斥した判断は相当であつて、原審に所論違法はない。
 上告状記載の上告理由について。
 所論は具体性を欠くので到底採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    石   坂   修   一

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