弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する
         理    由
 弁護人大島染吉の控訴趣意は別紙記載のとおりで、これに対し次のように判断す
る。
 論旨第一点について
 <要旨>記録によると、被告人が原判示第四及び第五の各自転車を持ち去つたの
は、自転車そのものが欲しかつたからではなく、それに取りつけてあつた発
電ランプやベルが欲しかつたためで、現に被告人は、右の自転車をその置いてあつ
た場所から程遠からぬ箇所まで運んだ上発電ランプやベルをはずして取つたが、自
転車はその場に遺棄してきたものであることが認められるのであつて、論旨は、自
転車については被告人に不正領得の意思がなかつたものだと主張するのである。な
るほど不正領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその
経済的用法に従い利用し又は処分する意思をいうのであるから、本件の場合発電ラ
ンプ及びべルと自転車そのものとを別々に観察するならば、前者については不正領
得の意思のあることは問題がないとして、後者すなわち自転車については、被告人
がこれを一応自己の所持に収めたのは、ただこれに取りつけてあつた物を取りはず
すためで、別にこれを乗り廻そうとか、これを売つて金に換えようとかいうつもり
でなかつたものであるとしてみると、広い意味ではこれを利用する意思があつたと
いえないことはないにしても、はたして「その経済的用法に従い」利用する意思が
あつたといえるかどうかはかなり疑問だといわなくてはならない。しかし、本件に
おいて注意しなければならないのは、そもそもこのように発電ランプその他と自転
車とを別個の物として見るのが相当かどうかということである。なるぼど発電ラン
プやベルは、これがなければ自転車としての用をなさないというほどの不可欠の構
成部分であるとはいえない。けれども、それは、一度自転車にとりつけられてしま
えばそう簡単に取りはずすことのできないものであることは周知のことで、現に本
件の場合もそうであつたことは、被告人の司法警察員に対する第二回及び第四回供
述調書の記載によつて明らかであり、それゆえにこそ被告人は自転車の置いてあつ
たその場で発電ランプ等だけを取るわけにはいかず、これを手に入れるためには、
それの取り付けてある自転車全体を一度自分の支配に収めて人目につかぬ場所まで
運んで行かなければならなかつたのである。いいかえるならば、この場合、被告人
としてはその欲する発電ランプ等を入手するためには、その自転車そのものとの物
理的結付の関係と犯行発覚を防ぐ関係とからして、どうしても自転車と発電ランプ
を含めた全部をいつたん自己の所持に移す必要があつたわけで、数個の物体がかよ
うな関係において結び付いている場合には、刑法の観点からはこれを一個の財物と
観念するのが相当だといわなくてはならない。なんとなれば、「窃取」という面か
らみる限り、その各個の物体は切り離して考えることのできないものだからである
(この考え方はすりが財布の中味である金銭をとるために財布ごとすり取る場合に
もあてはめることができるであろう。)。そしてかくのごとく刑法上一個の財物と
見られるものについては、たとえその一部だけその経済的用法に従い利用し又は処
分する意図を有したにすぎない場合、すなわち厳密にいえば不正領得の意思が財物
の一部分について存するに止まる場合であつても、またその部分が比較的小部分で
あるにしても、窃盗罪はその財物全部について成立すると解すべきものである。け
だし、これを一個の財物と見る以上、窃盗罪はその財物について成立するかしない
かであつて、財物の一部の窃盗罪ということは法律上考えられないからである(も
つとも、物の一部を取りはずして窃取するという場合はあるが、これは、取りはず
された瞬間にその一部が独立した財物になるのであつて、財物の一部に対する窃盗
罪ではない。)。しからば本件において原判決が自転車全部について窃盗罪の成立
を認めたのは正当であつて、所論のように事実の誤認が存するとはいえないから、
論旨は理由がないといわなければならない。
 (その他の判決理由は省略する)
 (裁判長判事 大塚今比古 判事 山田要治 判事 中野次雄)

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