弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人小野実雄の上告理由第一点について。
 所論は、要するに、上告人(参加人)A商事株式会社(以下「参加人」という。)
と被上告人(被告)B1駅弁当株式会社(以下「被告」という。)との間の訴訟は
一審判決どおり確定しているのであつて、該請求が被上告人(原告)B2(以下「
原告」という。)の控訴にもとづく控訴審における審判の対象にはならない、とい
うのである。
 しかし、本件は、訴訟の目的が原告、被告および参加人の三者間において合一に
のみ確定すべき場合(民訴法七一条、六二条)に当たることが明らかであるから、
一審判決中参加人の被告に対する請求を認容した部分は、原告のみの控訴によつて
も確定を遮断され、かつ、控訴審においては、被告の控訴または附帯控訴の有無に
かかわらず、合一確定のため必要な限度で一審判決中前記部分を参加人に不利に変
更することができると解するのが相当である(最高裁昭和三九年(オ)第七九七号
同四二年九月二七日大法廷判決・民集二一巻七号一九二五頁、最高裁昭和三四年(
オ)第二一二号同三六年三月一六日第一小法廷判決・民集一五巻三号五二四頁、最
高裁昭和四一年(オ)策二八八号同四三年四月一二日第二小法廷判決・民集二二巻
四号八七七頁参照)。原判決に所論の違法はなく、所論は、これと異なる独自の見
解にたつものであつて採用するをえない。
 同第二点ないし第六点について。
 所論に関する原審の事実認定は、原判決の挙示する証拠関係に照らし是認するこ
とができ、原判決に所論の違法はない。所論は、ひつきよう、原審の専権に属する
証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものであつて、採用することができない。
 同第七点について。
 原審はDが代理人として所論の債権譲渡の承諾をしたものと認定しているもので
あることは、判文に徴して明らかであるところ、債権譲渡の承諾は、観念の通知で
あるが、意思表示に関する規定が類推適用されるべきであつて、代理に親しむと解
するのが相当である(大審院昭和三年(オ)第九四四号同四年二月二三日判決・民
集八巻三三七頁参照)から、原判決に所論の違法はない。引用の判例は、本件に適
切でなく、論旨は採用することができない。
 同第八点について。
 債権譲渡の承諾書が作成された後譲受人がその承諾書に確定日付を得た場合であ
つても、その確定日付の時から所定の対抗力を生じるものと解するのが相当である
(大審院大正三年(オ)第三九一号同四年二月九日判決・民録二一輯九二頁参照)。
これと同旨の原審判断は相当で、原判決に所論の違法はない。論旨は採用すること
ができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄
            裁判官    大   塚   喜 一 郎
            裁判官    吉   田       豊

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