弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人大坪憲三の上告理由について。
 所論は、在監者に対する喫煙を禁止した監獄法施行規則九六条は、未決勾留によ
り拘禁された者の自由および幸福追求についての基本的人権を侵害するものであつ
て、憲法一三条に違反するというにある。
 しかしながら、未決勾留は、刑事訴訟法に基づき、逃走または罪証隠滅の防止を
目的として、被疑者または被告人の居住を監獄内に限定するものであるところ、監
獄内においては、多数の被拘禁者を収容し、これを集団として管理するにあたり、
その秩序を維持し、正常な状態を保持するよう配慮する必要がある。このためには、
被拘禁者の身体の自由を拘束するだけでなく、右の目的に照らし、必要な限度にお
いて、被拘禁者のその他の自由に対し、合理的制限を加えることもやむをえないと
ころである。
 そして、右の制限が必要かつ合理的なものであるかどうかは、制限の必要性の程
度と制限される基本的人権の内容、これに加えられる具体的制限の態様との較量の
うえに立つて決せられるべきものというべきである。
 これを本件についてみると、原判決(その引用する第一審判決を含む。)の確定
するところによれば、監獄の現在の施設および管理態勢のもとにおいては、喫煙に
伴う火気の使用に起因する火災発生のおそれが少なくなく、また、喫煙の自由を認
めることにより通謀のおそれがあり、監獄内の秩序の維持にも支障をきたすもので
あるというのである。右事実によれば、喫煙を許すことにより、罪証隠滅のおそれ
があり、また、火災発生の場合には被拘禁者の逃走が予想され、かくては、直接拘
禁の本質的目的を達することができないことは明らかである。のみならず、被拘禁
者の集団内における火災が人道上重大な結果を発生せしめることはいうまでもない。
他面、煙草は生活必需品とまでは断じがたく、ある程度普及率の高い嗜好品にすぎ
ず、喫煙の禁止は、煙草の愛好者に対しては相当の精神的苦痛を感ぜしめるとして
も、それが人体に直接障害を与えるものではないのであり、かかる観点よりすれば、
喫煙の自由は、憲法一三条の保障する基本的人権の一に含まれるとしても、あらゆ
る時、所において保障されなければならないものではない。したがつて、このよう
な拘禁の目的と制限される基本的人権の内容、制限の必要性などの関係を総合考察
すると、前記の喫煙禁止という程度の自由の制限は、必要かつ合理的なものである
と解するのが相当であり、監獄法施行規則九六条中未決勾留により拘禁された者に
対し喫煙を禁止する規定が憲法一三条に違反するものといえないことは明らかであ
る。
 したがつて、論旨は理由がない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    石   田   和   外
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    関   根   小   郷

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