弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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  主文
 1 被告は,原告に対し,150万円及びこれに対する平成16年7月9日から支払済みまで,年5分の割合による
金員を支払え。
 2 原告のその余の請求を棄却する。
 3 訴訟費用はこれを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
 事実及び理由
第1 請求
 被告は原告に対し,300万円及びこれに対する平成16年7月9日から支払済みまで,年5分の割合による金員を
支払え。
第2 事案の概要
 本件は,原告が,被告に対し,被告によるインターネット上の電子掲示板への書込みにより原告の名誉が毀損された
として,民法709条の損害賠償請求権に基づき慰謝料300万円及びこれに対する訴状送達の日である平成16年7
月9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
 1 前提となる事実(証拠を掲記しない事実は当事者間に争いがない。)
(1) 当事者等
 ア 原告(昭和26年*月**日生)は,昭和50年7月から社会福祉法人福田会(以下「福田会」という。)が運
営する児童養護施設福田会東京本院(以下「東京本院」という。)に勤務しており,平成14年6月1日に副施設長と
なり,現在,施設長補佐の地位にある。
 イ 被告(昭和24年*月**日生)は,東京都の職員である。昭和53年1月ころ,福田会において,後に被告の
妻となる丙(当時の姓は**。)ら7名の指名解雇がされた際,被告は,都職労民政局支部からの派遣組合員として解
雇撤回闘争をしたことがあり,その折り,東京本院の指導員をしていた原告と知り合った。被告は,その後も福祉関係
の職務を担当し,児童養護施設内の処遇等についても関心を寄せており,発足当時から,施設内虐待を許さない会(以
下「許さない会」という。)の代表者である。許さない会は,平成13年4月,千葉県船橋市にある児童養護施設での
園長による児童の体罰・虐待問題を端緒として,発足したグループであり,児童養護施設における児童虐待を告発し,
被害者を支援することなどを目的とした活動を行っている。(甲4の2,5,乙2,弁論の全趣旨)
 ウ 福田会は,東京都渋谷区**において,東京本院と知的障害児施設である宮代学園(以下「宮代学園」という。
)をそれぞれ運営している。福田会は,明治9年に創立された後,児童養護,里親委託などの事業を行い,昭和23
年,東京本院として認可された。福田会は,昭和34年,認可を得て宮代学園を併置し,現在に至っている。(甲9,
19,21)
 児童養護施設は,児童福祉法に基づく児童福祉施設の一つであり,1歳から18歳までの,保護者のない児童,虐待
されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて,これを養護し,併せてその自立を支援することを目的と
する施設である(児童福祉法第41条)。
 エ 丁(昭和41年*月*日生)は,昭和63年4月から平成14年6月17日まで宮代学園に勤務していた。(甲
14,乙8)
(2) 許さない会の会員である戊は,「STOP!児童養護施設内虐待」と題するウェブサイトを開設している(乙
1,弁論の全趣旨)。上記ウェブサイト上には,「施設内虐待を考える掲示板」と題する電子掲示板(以下「本件掲示
板」という。)が設置されている(甲2の1)。
 本件掲示板は,インターネットを介してアクセスすることにより,書込みをし,あるいは,その書込みを閲覧するこ
とができる仕組みになっている。本件掲示板への書込みの内容は,題名及び投稿者名とともに表示されるが,それらの
題名及び投稿者名は,投稿者が任意に決めることができる。(甲1,弁論の全趣旨)
 本件掲示板は,延べ数十万人が閲覧しており,読者の中には厚生労働省,地方自治体の担当者もいる。
(3) 丁は,平成14年4月17日及び26日,本件掲示板に,それぞれ別紙記載A及びBの書込みをした(以下,
順に「本件書込みA」,「本件書込みB」,併せて「丁の書込み」という。)。
(4) 被告は,本件書込みAに関連して,多数の書込みをした。被告による書込みのうち,原告が名誉毀損であると
主張するのは,平成14年4月21日,同年9月7日,平成15年7月23日及び同年10月2日にされた別紙記載C
からFまでの書込み(以下,個別には例えば「本件書込みC」といい,全部につき「被告の書込み」という。)であ
る。
(5) 丁は,丁の書込みにおいて,原告の氏名を「K野」と表記し,投稿者欄に「たろう」と原告の名前の読み仮名
を記載した。本件掲示板には,その後,複数の人物によって「K野」に関連する多数の書込みがされた。被告は,これ
らの書込みを受けて,本件書込みCにおいて,原告の氏名を「K野」と表記した。
 原告は,平成14年5月31日,本件掲示板に書込みをし,その書込みの中で,K野とは「福田会の副園長」である
と摘示した(甲1)。丁は,平成14年9月3日,本件掲示板に,K野とは東京本院の「甲野たろう副園長」であると
摘示する内容の書込みをした(甲1)。
(6) 上記の各書込みにより,K野とは原告であると特定されて摘示された後も,本件掲示板において,それ以前に
されていた本件書込みAからCまでを含めて削除されずに掲示されていた。のみならず,本件掲示板においては,本件
書込みAからFまでについては,それぞれの書込みまでのその他の各書込み分も併せて掲示されており,インターネッ
トを通じて本件掲示板にアクセスした不特定多数の読者は,これらを自由に閲覧することができた。(甲1,甲2の1
から3まで,弁論の全趣旨)
 2 争点
(1) 被告の書込みが原告の名誉を毀損するか(争点(1))。
(2) 真実性・相当性の抗弁が認められるか(争点(2))。
(3) 対抗言論の抗弁が認められるか(争点(3))。
(4) 原告の損害額はいくらか(争点(4))。 
 3 争点に関する当事者の主張
(1) 争点(1)(被告の書込みの名誉毀損性)について
(原告の主張)
 被告の書込みは,丁の書込みの摘示事実が真実であると主張する内容であり,これと一体となって,原告の社会的評
価を低下させた。
 ア 丁の書込みの摘示事実
(ア) 本件書込みA
 a 本件書込みAは,(a)原告は東京本院に入所していたある少女(以下「A子」という。)がトイレに立てこもって
自殺しようとしているにもかかわらず「死ねるもんなら死んでみろ。」と言ったこと,(b)A子はその後に原告の110
番通報により精神病院に入院することになったこと,(c)原告は110番通報を受けてパトカーが来るまでの間,ほかの
児童にロープを持ってこさせ,A子をぐるぐる巻きに縛らせたこと,(d)A子は,警察官に連行される際,「お前ら,覚
えとけよ。」と言ったこと,(e)A子は,平成11年3月28日,入院先の精神病院で自殺したこと,(f)そのときロー
ページ(1)
プを持ってきた児童の1人が,何か月か後に,A子と同じように原告の110番通報により,精神病院に入院すること
になったことを摘示している(以下「本件摘示事実①」という。)。
 b 本件書込みAは,本件摘示事実①に加えて,これら原告の一連の行為が児童に対する虐待としてされたことを摘
示している。すなわち,本件書込みAの冒頭には,「長年に亘り続いている施設内虐待の話」とあり,それに引き続い
て,原告のA子に対する行為が記載され,読者に対し,「原告がA子を虐待した」旨の事実を摘示している(以下「本
件摘示事実②」という。)。
 c 本件書込みAを全体としてみると,「A子が自殺した原因は,原告による虐待と精神病院への入院にある」との
印象を読者に与え,その事実を摘示している(以下「本件摘示事実③」という。)。すなわち,本件書込みAは,あた
かも原告がA子を虐待していたかのようにとれる記載の後に,A子が精神病院において自殺したとの記載があり,読者
に対し,原告が少女を自殺に追い込んだとの印象を与える。
 d 本件書込みAは,原告が勤務中の飲酒運転などの違法行為をしたとの事実も摘示している(以下「本件摘示事実
④」という。)。
(イ) 本件書込みB
 本件書込みBは,本件摘示事実①から④までに付加して,原告が施設内で暴力を振るっていること,A子が欲しがる
牛乳をちらつかせてA子にパニックを起こさせたこと,馬乗りになってA子をひっぱたいたこと,ほかの児童の腕にナ
イフを押しつけて「お前,動けるもんなら動いてみろ」と言い,当該児童が驚いて動いたため腕が切れて流血したこと
など原告がA子及びその他の児童を日常的に虐待した事実を摘示している(以下「本件摘示事実⑤」という。)。
 イ 被告の書込み
(ア) 本件書込みCは,本件摘示事実①から④までが真実であると主張して,原告の社会的評価を低下させた。
(イ) 本件書込みDは,本件摘示事実①から⑤までが真実であると主張し,これを前提として,A子が原告から必要以
上に攻撃されていたと思うと記載して,原告の社会的評価を低下させた。
(ウ) 本件書込みEは,原告がある児童に対し虐待を行っており,児童養護施設の高校生交流会の席上,その児童か
ら虐待の事実を指摘されるや,その児童には虚言癖があると述べて追及を免れたという事実を摘示し(以下「本件摘示
事実⑥」という。),原告の社会的評価を低下させた。
(エ) 本件書込みFは,原告がA子をロープで縛るなど虐待し,精神病院に送致して,自殺させたとの事実を摘示し
(以下「本件摘示事実⑦」という。),原告の社会的評価を低下させた。
 すなわち,この書込みには虐待という言葉は用いられていないものの,虐待に関する書込みへの返答として書き込ま
れており,原告の行為が虐待であるとの事実を摘示している。
(被告の主張)
 被告の書込みが,丁の書込みと一体となって,原告の社会的評価を低下させることは認める。ただし,丁の書込み及
び被告の書込みが摘示する内容は争う。
 なお,名誉毀損の成否に関しては,一般読者の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従って判断さ
れ,かつ,その一般読者とは当該表現媒体ごとの一般読者が基準とされるべきである。本件掲示板の主な読者は,国や
地方公共団体の児童虐待問題の担当者,施設関係者及び大学教授等の児童福祉の専門家ないし専門的知識を有する者で
あり,本件掲示板にされた書込みが名誉毀損に当たるか否かの判断に当たっては,これらの者の認識を基準とすべきで
ある。
 ア 本件書込みAについて
(ア) 本件摘示事実①は認める。
(イ) 本件摘示事実②は,事実の摘示ではなく,意見ないし論評の表明である。丁は,A子がコードを首に巻きトイ
レに立てこもるという危険な状態にあったのに原告において「死ねるもんなら死んでみろ」と言ったこと,原告がA子
をロープで縛ったことは,不適切な処遇であり,児童虐待に当たると論評しており,何らかの事実の摘示を含んでいる
わけではない。
(ウ) 本件摘示事実③は争う。
 すなわち,丁の書込みは,原告が,その勤める施設において,A子に対し,体を縛るなどしたこととA子が措置変更
後の精神病院で自殺したこととをそれぞれ別の項目に分け,別の事実として摘示しており,A子の自殺した原因が原告
の行為にあると摘示してはいない。
(エ) 本件摘示事実④は認める。
 イ 本件書込みBについて
 本件摘示事実⑤に関する認否はない。 
 ウ 本件書込みCからFまで
 被告の書込みが,いずれも,丁の書込みの摘示事実が真実であることを前提として,原告の行為が児童虐待に当たる
との意見ないし論評を表明し,原告の社会的評価を低下させることは認める。(本件摘示事実⑥に関する認否はない。

(2)争点(2)(真実性・相当性の抗弁)について
(被告の主張)
 被告の書込みは,いずれも,公共の利益に関する事実に係り,その目的が専ら公益を図ることにあり,その主要な摘
示事実ないし論評の前提としている事実は真実であるか真実であると信ずるにつき相当の理由があるから,被告の書込
みには違法性がない。
 ア 公共性
 社会福祉法人は公共性の極めて高い法人であり,その設置する児童養護施設は,措置費という公的資金によって運営
され,入所している児童を養護する極めて公共性の高い施設である。児童養護施設の職員,ことに副施設長の地位にあ
る者が,当該施設に入所している児童を虐待しているとすれば,児童虐待防止法3条及び厚生労働大臣が社会福祉法6
5条に基づき定めた施設の最低基準に違反し,都道府県知事が改善勧告等の監督権限を行使しなければならない事態で
あり,刑法上暴行罪又は傷害罪の成立もありうる。丁の書込み及び被告の書込みが公共の利害に関する事実に係ること
は明らかである。
 イ 公益目的
 本件掲示板は,児童養護施設内における児童虐待を匿名で告発する手段を設け,児童及び職員による告発を助けると
ともに,告発によって得られた施設の実情を提供することによって,一般市民に対し児童養護に関する理解を求め,全
国の児童養護施設の質の向上に寄与することを目的として設置された。被告の書込みは,上記設置目的を踏まえ,福田
会が設置する施設の問題状況を改善し,児童への虐待をなくそうとすることにあり,専ら公益目的に出たものである。
 ウ 真実性
(ア) 真実性の証明対象
 本件摘示事実①から⑦までのうち主要な部分は,本件摘示事実①及び④であり,これらの事実が真実性の証明対象と
なる。
(イ) 本件摘示事実①の真実性
 a 「原告は,A子がトイレに立てこもって自殺しようとしているにもかかわらず,『死ねるもんなら死んでみろ。
ページ(2)
』と言ったこと」については,A子がトイレにこもってロープで首を絞めて自殺しようとしており,女性の職員がこれ
を止めようと対応していたときに,原告が,その女性職員の後で「死ねるもんなら死んでみろ。」と言ったという事実
があるから,主要な部分において真実であるといえる。
 b 「A子はその後に原告の110番通報により精神病院に入院することになったこと」については,A子は精神病
院への入退院を繰り返しており,原告が以前に110番通報してA子を入院させたこともあったから真実である。A子
が最後に入院した日についても,原告がほかの職員に指示して110番通報させたのであり,これを原告が110番通
報したと称するのは事実に反するとはいえない。
 c 「原告はパトカーが来るまでの間,他の児童にロープを持ってこさせ,A子をぐるぐる巻きに縛らせたこと」に
ついては,原告は,児童2人にロープを持ってこさせ,その児童2人にA子を縛らせたのであり,真実である。なお,
「ぐるぐる巻き」との表現には誇張があり,両手首を体の前ないし後で縛ったというのが事実であるけれども,主要な
部分において真実と一致している。
 d 「A子は,警察官に連行される際,『お前ら,覚えとけよ。』と言ったこと」は真実である。
 e 「A子は,平成11年3月28日,入院先の精神病院で自殺したこと」については,日付が正確であるか不明で
あるが,A子は精神病院に入院中に自殺しており,主要な部分において真実である。
 f 「そのときロープを持ってきた児童の1人が,何か月か後に,A子と同じように原告の110番通報により,精
神病院に入院することになったこと」については,原告とともにA子を縛った児童が精神病院に入院し,その後,福田
会の施設に戻っておらず,原告はその児童を入院させるときに110番通報をしてパトカーを呼んでいるから,真実で
ある。
(ウ) 本件摘示事実②について
 意見ないし論評の表明であるから,真実性の立証の対象外である。
 原告は,本件摘示事実②が事実の摘示を含むとの主張を前提に,A子が最後に入院する日にA子をロープで縛った行
為は虐待ではないと主張する。その趣旨は,A子に何らかの精神的な疾患ないし障害があり,A子が東京本院に戻った
後に包丁を振り回して暴れたという事実があったから,虐待には当たらないということにある。
 しかし,原告がA子をロープで縛った時点では,A子は既に包丁を職員の己に渡して,落ち着いており,原告の主張
は事実に反する。
 また,児童虐待か否かは,行為者が児童虐待として行ったか否かではなく,児童にとって,有害な心理的・精神的影
響を与えたか否かにより判断されるべきものである。現在の児童福祉学においては,虐待を不適切な養育を意味するも
のとして把握しており,厚生労働省もこのような考え方を追認している。
 原告がA子をロープで縛った行為が,A子に対して有害な心理的・精神的影響を与えたことは必至であり,たとえA
子に精神疾患があり,包丁を持ち出しているような状況であっても,児童の人権保障にかなう処遇をせずに,ロープで
縛るという物理的手段を講じた原告の行為は虐待に当たる。
(エ) 本件摘示事実④について
 「K野は勤務中の飲酒運転や職員への暴力事件,児童虐待,バイク泥棒等悪事はつきません」との摘示については,
原告が勤務中に飲酒運転をしたこと,原告が捨てられていたバイクを横領し1か月の減給処分を受けたことは,いずれ
も真実であり,主要な部分において真実である。
 エ 相当性
 被告は,被告の書込みをした当時,それらの事実が真実であると信ずるにつき,次のとおり相当の理由があった。
 すなわち,被告は,本件書込みAを読んで,この書込みをした人物が丁であること,取り上げられている施設が福田
会の施設であることを理解した。そして,被告は,次の事情から,丁の書込みにおいて摘示されている事実が真実であ
ると信じた。
(ア) 原告の児童に対する処遇態度
 被告は,昭和53年1月ころ,東京都福祉部に勤務し,都職労民政局支部に所属していた。被告は,そのころ福田会
から解雇された丙らを支援する活動を行っていた。被告は,その際,原告が児童の福祉よりも福田会及びその理事の利
益を優先させ,児童を管理・抑圧の対象として扱っていることを知った。
 被告は,平成13年4月以降,福田会の職員,施設の卒園生及び丁から,原告が児童を抑圧する処遇方針を採ってい
ること,これと異なる価値観を持つ職員を抑圧していること,児童に対し,殴る,罰として食事をとらせなかったり,
キスなどの不適切な接触をしたりするなどの処遇をした旨を聞いた。
 被告は,上記の話から,原告の行状について予備知識を有していた。
(イ) 丁の人柄
 丁は,外部の第三者に対し,原告が児童に対し食事をとらせない罰を与えていると相談した。丁は,それを理由に,
福田会から解雇されそうになった。丁は,平成13年12月,被告に対し,福田会から解雇されそうであると相談し
た。丁は,その後,実際に解雇された。
 被告は,このような経緯から,丁の子供に対する処遇観を高く評価し,丁を信用できる人物であると考えていた。丁
が児童を守ろうとして解雇されるほど正義感の強い人物であり,決して単なる個人的な恨みなどで他人を誹謗中傷する
ような人物ではないと確信していた。
(ウ) 卒園生の自殺
 被告は,平成14年4月ころまでに,精神病院である松沢病院において福田会の卒園生が自殺したという話を聞いて
おり,本件摘示事実①はその話と符合すると考えた。
(エ) その他の事情
 被告の書込みをした平成14年4月17日から同15年10月2日までの間において,次のとおり,被告において本
件摘示事実①から⑦までを真実と信ずる相当な理由があった。
 a 被告は,その間,多くの福田会の職員と面談する機会があり,大半の職員が原告に対して恐怖心を抱き,その仕
返しをおそれて,原告の不適切な児童処遇についても何ら批判しえないでいることを知った。
 b 被告は,当時の東京都福祉局(現在の保健福祉局)勤務の知人から,都からみて福田会が2番目に問題のある福
祉施設だと聞かされた。
 c 福田会の前理事長ら3人は,平成15年1月,虚偽の国有地の払下げ話を都内の財団法人に持ちかけ3億円を詐
取した疑いで逮捕された。前理事長ら3人は,処分保留のまま釈放されたが,被告は,このような疑いを受ける前理事
長が運営に当たっていたことにより,子供の処遇水準と職員の志気を低下させていたことは事実であることを確信し
た。
 d 福田会に入所している児童は,平成15年8月,日弁連人権擁護委員会に対し,体罰を受けているとの投書をし
た。日弁連人権擁護委員会は,この投書にもとづいて,事情聴取を行った。
 e 平成15年8月ころ,福田会に入所している男子児童2名が,麻布警察署に駆け込み,原告ともう一人の職員に
殴られていると訴えた。その後,連絡を受けた東京都福祉局子ども家庭部育成課(当時)と児童相談所は,福田会に対
し,立入り調査を行った。立入り調査の結果,お仕置き部屋への押し込めや体罰,女子児童が男子児童から性的虐待を
受けていることが判明した。東京都は,福田会に対し,改善勧告を出し,福田会の施設に児童を入所させることを停止
する処分をした。
ページ(3)
 f 丁の書込み以外の書込み
 平成14年4月17日から同15年10月2日までの間において,本件掲示板には,丁の書込みがあった後,福田会
の施設に入所した経験を有すると思われる者から,原告の嫌がらせを目撃した,原告がA子をおちょくっているのを目
撃した,原告に土下座をさせられたなどのいくつかの書込みがなされた。
(原告の主張)
 ア 公共性について
 丁の書込み及び被告の書込みが公共の利害に関する事実に係ることは認める。
 イ 公益目的について
 被告の書込みは,専ら原告の名誉を毀損する目的でされており,公益目的とはいえない。けだし,被告は,丙が昭和
53年1月ころ福田会から解雇された際,福田会所属の労働組合に所属した原告が裏切り行為をしたと思い込み,原告
に対し私怨を抱いていた。このことは,被告が本件書込みAのされた直後(正確には僅か56分後である。)に,この
内容に同意するとともに原告個人に対する敵意をあらわにしている書込みを本件掲示板にしたことから明らかである。
 被告は,私怨を晴らすため,被告の書込みをしており,専ら公益目的でされたのではない。
 ウ 真実性について
(ア) 真実性の証明対象
 被告の書込みには,本件摘示事実①及び④のみならず,本件摘示事実②,③,⑤,⑥及び⑦も含まれており,これら
の事実も真実と証明されなくてはならない。これらの事実摘示は,大部分が真実ではなく,その証明もない。
(イ) 本件摘示事実①について
 a 「原告は,A子がトイレに立てこもって自殺しようとしているにもかかわらず,『死ねるもんなら死んでみろ。
』と言ったこと」については,そのような事実はない。
 b 「A子はその後に原告の110番通報により精神病院に入院することになったこと」については,A子が駆けつ
けた警察官に連れられて精神病院に入院(措置入院)したことは事実であるが,通報したのは原告以外の職員であり,
その職員は独断で110番通報したのではなく,精神病院の医師の指示を受けて110番通報した。
 c 「原告はパトカーが来るまでの間,ほかの児童にロープを持ってこさせ,A子をぐるぐる巻きに縛らせたこと」
については,原告がA子を縛った事実はあるが,児童に手伝わせたということはない。また,ぐるぐる巻きにしたので
はなく,両手首をロープで縛ったに止まる。
 d 「A子は,警察官に連行される際,「お前ら,覚えとけよ。」と言ったこと」については,そのような事実はな
い。
 e 「A子は,平成11年3月28日,入院先の精神病院で自殺したこと」については,A子が入院してから1年半
後に自殺したことは認める。
 f 「そのときロープを持ってきた児童の1人が,何か月か後に,A子と同じように原告の110番通報により,精
神病院に入院することになったこと」については,そのような事実はない。
(ウ) 本件摘示事実②について
 A子の両手首を縛ったのは,暴れて自身や他人に危害を与えないようにするためにやむなくとった保護措置であり,
虐待には当たらない。
 すなわち,A子は,16歳のとき東京本院に入園したが,入園当時から何度も執ように洗顔するなどの執着行動が見
られた。A子は,自身の要求が通らないとパニック状態となり,他人の首を絞めたり,包丁を振り回したりして暴れる
などの行動があった。A子は精神的な不安定さから精神病院への入退院を繰り返していた。
 A子は,最後に精神病院に入院した日,原告と買物に出かけた先で万引きをした。原告が,A子から万引きをした商
品を取り上げようとしたところ,A子は暴れ出した。原告は,職員の己に連絡をとり,自動車で迎えに来てもらった。
A子は,自動車で東京本院に向かう途中,ハンドルを回そうとするなどして暴れた。A子は東京本院に到着した後,調
理室から包丁を持ち出し,これを振り回すなどした。そのため,原告は,A子が暴れて自身や他人に危害を加えないよ
うに取り押さえて両手首をロープで縛り,保護する措置をとらざるをえなかったのである。
(エ) 本件摘示事実④について
 原告が,勤務中に飲酒運転をしたと問題になったこと,捨ててあったバイクを使用して1か月の減給処分を受けたこ
とは認めるが,その余の事実は争う。
 エ 相当性について
 被告の主張する各事実はいずれも相当性を基礎づけるものではなく,本件摘示事実①から⑦までを真実と信ずるにつ
き,相当の理由があったとはいえない。
(ア) 原告の児童に対する処遇態度について
 被告は,原告が児童及び職員を管理・抑圧の対象として扱っていると主張するが,具体性がなく,被告の思い込みに
すぎない。原告は,児童を殴ったり,罰として食事をとらせなかったり,キスなどの不適切な接触をしたりしたことは
ない。
(イ) 丁の人柄について
 原告は,児童に対し罰として食事をとらせなかったことはない。丁は,第三者に対し,福田会で虐待が行われている
との虚偽の事実を話したため,解雇されたのである。このような丁の解雇理由を踏まえずに丁の人柄を見ても,相当な
理由とならない。
(ウ) 卒園生の自殺について
 被告が,平成14年4月ころまでに,精神病院である松沢病院において福田会の卒園生が自殺したという話を聞いた
とする点は知らない。
(エ) その他の事情について
被告の主張するこれらの事情は,本件摘示事実①から⑦までについて,具体的にどの時点でどのような理由から真実
であると信ずることに結び付くのか明らかにされていない。誤信相当性を基礎づける事情は,本件書込みCからFまで
の各書込み時点において,存在することが当然の前提となるから,被告主張の各事情が存する時期が明らかにされてい
ない以上,そもそも当たらない。のみならず,個別に検討しても,以下のとおり,いずれも理由がない。
 a 被告主張の(エ)a福田会の多くの職員が原告に対し恐怖心を抱いていたことや(エ)b被告の知人である東京
都福祉局の担当職員からの伝聞については,主張内容それ自体から何ら本件摘示事実①から⑦までとは結び付かないこ
とが明らかである。
 b 被告の主張(エ)c及びdは,福田会に関する事情であって,これらの事実から,原告の行為について判断する
ことはできない。
 c 被告の主張(エ)eの事実は,原告に説諭されていた児童が原告に反発して虚偽の事実を申告したのであって,
事実に反する。
 d 被告の主張(エ)fの事実は,いずれも匿名の書込みであり,匿名性を利用して悪意を持った書込みがされるこ
ともしばしば見られるところであり,これが真実であると信ずるに足りる相当な理由とはならない。
(3) 争点(3)(対抗言論の理論による違法性阻却)について
(被告の主張)
ページ(4)
 言論による名誉毀損に対しては,さらなる言論で対抗することによって名誉の回復を図るのが原則であり,それが可
能である場合には,国家が法的措置をもって介入することは差し控えるべきである。マスコミによる名誉毀損的表現に
ついては,一般私人がこれに対抗して反論することは困難であるから,国家が法的措置をもって介入することが正当化
される。しかし,インターネット等のサイバースペースにおける名誉毀損的表現については,一般私人でも,自由にサ
イバースペース上で反論することにより,名誉の回復を図ることが可能である。したがって,サイバースペースにおけ
る名誉毀損については,対抗言論を行使することに何らかの支障があった場合や,対抗言論を尽くしてもなお名誉毀損
を防止できなかった場合に限り,国家が法的措置を持って介入することが正当化される。
 本件の場合,原告は,本件掲示板に書込みを行うなどして名誉の回復を図ることが十分に可能であったから,被告に
対し,損害賠償を命ずることはできない。
(原告の主張)
 争う。
(4) 争点(4)(原告の損害額)について
(原告の主張)
 本件掲示板の閲覧者数は,延べ数十万人であり,不特定多数の者がこの掲示板を閲覧している。原告は,被告の書込
みによって,東京都社会福祉協議会の児童養護施設部会及び児童相談所から説明を求められたり,高校生交流会の監事
を務めているある施設の長から問い合わせの連絡を受けたりした。
 以上の事情等を考慮すると,慰謝料としては300万円が相当である。
(被告の主張)
 争う。
第3 争点に対する判断
 1 争点(1)(被告の書込みの名誉毀損性)について
 ある表現が他人の名誉を毀損すべきものであるか否か,事実の摘示を含んでいるか否かは,その表現の,一般の読者
の普通の注意と読み方を基準として解釈した意味内容に従って判断すべきである。
 なお,被告は,本件掲示板の読者は,国及び地方公共団体の児童虐待問題の担当者,施設関係者,大学教授及び大学
生など,児童虐待問題及び児童福祉の専門家ないし専門的知識を有する人々であるから,このような読者を基準とすべ
きと主張する。しかし,前記のとおり,本件掲示板にされた書込みは,インターネットを介して不特定多数の者が閲覧
できるから,専門的知識を有する読者を基準とするとの被告主張はその前提を欠いており,採用できない。
(1) 丁の書込みの摘示事実
 ア 本件書込みAについて
(ア) 本件書込みAが,本件摘示事実①及び④を含んでいることは当事者間に争いがない。
(イ) 本件書込みAが,本件摘示事実②を含むかにつき,これが意見ないし論評の表明であるかを含めて検討する。
 a 虐待という言葉は,一般に,むごい取扱いをするという意味で用いられている。児童虐待の防止等に関する法律
2条においては,児童の身体に外傷が生じ,又は生じるおそれのある暴行を加えること,わいせつな行為をすること,
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置,児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対
応をすることなどを児童虐待と定義しており,一般の用語例をふえんした内容となっており,この意味内容は,児童虐
待事件の報道などを通じて一般人の認識になっていると考えられる。
 b ウェブサイト及び本件掲示板の表題が児童養護施設内の虐待をテーマにしており,インターネット上の電子掲示
板という性質上,本件掲示板の読者に対しては,児童養護施設内の虐待に関する書込みであることを明示している。
 c 本件書込みAをみると,その冒頭に,児童養護施設内の虐待の話である旨が記載され,引き続き,箇条書で,原
告の行為が複数摘示されている。
 d 以上によれば,本件書込みAは,一般の読者に対し,摘示されている原告の行為が,一般に認識されている児童
虐待,すなわち,暴行やわいせつ行為など児童に対するむごい取扱いであると主張し,その旨の事実を摘示するものと
認められる。
(ウ) 本件書込みAが,本件摘示事実③を含むか検討する。
 本件書込みAにはA子が精神病院で自殺した原因が原告の虐待ないし精神病院への入院であるとの記載はなく,一般
の読者において自殺の原因を特定することは困難であるから,A子が精神病院で自殺した原因が原告の虐待ないし精神
病院への入院にあることを摘示しているとは認められない。
 イ 本件書込みBについて
 本件書込みBは,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすれば,本件摘示事実⑤のとおり,本件書込みAの本
件摘示事実①,②及び④に加え,原告が,A子に対し,馬乗りになってたたいたり,A子の欲しがっている牛乳を目の
前にちらつかせて走り回ったりといった虐待をした事実,原告がKという児童に対して,その腕にナイフを突きつける
などの虐待を加え,これに驚いて動いたKが負傷した事実を摘示していると認められる。
(2) 本件書込みCについて
 本件書込みCは,本件摘示事実①及び④が真実である旨の事実を摘示しており,原告の社会的評価を低下させるもの
と認められる。
(3) 本件書込みDについて
 本件書込みDは,本件摘示事実①及び④が真実であることを前提として,「彼女が福田会に措置されていたころに,
K野に必要以上に攻撃されていた」との被告の論評を表明し,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(4) 本件書込みEについて
 本件書込みEは,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすれば,原告が児童に対し虐待を加えたところ,児童
養護施設に入所している高校生の児童同士の交流会において,その児童が原告から虐待されたと訴えたこと,原告は,
この訴えに対し,原告においてその児童には虚言癖がある旨の嘘を述べて責任追及を不当に免れたことをそれぞれ摘示
しており,この書込みは,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(5) 本件書込みFについて
 本件書込みFは,一般の読者の普通の注意と読み方とを基準とすれば,本件摘示事実⑦のとおり,原告がA子に対し
ロープで縛るなどの虐待を加えたこと,原告がA子を精神病院に入院させる措置をとったこと,A子が精神病院で自殺
したことをそれぞれ摘示していると認められる。
 すなわち,本件書込みFは,本件掲示板においていつでも閲覧できる状態となっている本件書込みAからEまでの書
込みに引き続いてされた書込みであり,「18歳の子ども」,「副園長」,「縄で縛られ」,「精神病院に送致」及び
「転院後,20歳で自死」と本件摘示事実①と共通する内容となっている。これらの点を踏まえると,本件掲示板の読
者に対しては,本件書込みFに摘示されている事実が本件摘示事実①にある原告がA子を縄で縛るなどの虐待を加え,
精神病院に入院させる措置をとり,A子が精神病院で自殺したとの事実を指しているとの印象を与えたものと認められ
る。
 したがって,本件書込みFは,原告の社会的評価を低下させるものと認められる。
(6) 小括
 以上によれば,本件書込みC及びDは,丁の書込みにおいて摘示されている事実が真実であることを前提とした論評
ページ(5)
を表明して,原告の社会的評価を低下させ,本件書込みE及びFは,事実を摘示して,原告の社会的評価を低下させて
おり,いずれも原告の名誉を毀損するものと認められる。
 2 争点(2)(真実性・相当性の抗弁)について
(1) 公共性について
 丁の書込み及び被告の書込みが公共の利害に関する事実にかかることは当事者間に争いがない。
(2) 公益目的について
 前記前提事実(3)及び(4)によれば,丁の書込み及びこれを前提とする被告の書込みは,東京本院における原告
の虐待を始めとする不行跡を摘示し,その是正を求める内容となっており,その内容自体に照らして,特段の事情がな
い限り,被告の書込みは,専ら公益を図る目的でされたものと認められる。
 そして,特段の事情については,前記前提事実(6)のとおり,丁の書込みは当初原告を容易に特定できるような形
で摘示し,さらに実名を摘示していること,被告において本件書込みAに対し直ちにこれに賛同する書込みをしている
ことや原告と面識があり,原告の指摘するような原告と被告との間にはかつて丙も関わった解雇問題等の経緯があるこ
とがうかがわれるけれども,これらの事情から,被告が原告に対する私怨を抱き,これを晴らすために書込みをしたと
は認め難いし,上記の各事情をもって,特段の事情に当たるとは認められない。
 そのほか,専ら公益を図る目的でされたとの前記認定を覆すに足りる証拠はない。
(3) 真実性について
 ア 本件摘示事実①について
(ア) 証拠(甲19,21,乙9,証人庚,原告本人)及び弁論の全趣旨によって認められる事実は次のとおりであ
る。
 a A子(当時16歳)は,平成7年2月ないし3月ころ,東京本院に入所した。
 b A子は,入所後,手洗いや歯磨きを繰り返すといった執着行動を見せるようになった。A子は,自分の要求が通
らないときは,包丁などの刃物を持ち出すことがしばしばあった。A子は,平成8年ころ,拒食症とこだわり症状で精
神病院に入院した。A子は,その後も精神病院への入退院を繰り返し,その回数は4,5回に及んだ。
 c 東京本院では,このような状況でA子を東京本院において養護するのは困難ではないかということが検討されて
おり,A子が暴れるような事態になったら,病院に電話をし,医師の指示を仰いで,警察に連絡するなどの措置をとる
ことが申し合わされていた。
 d 東京本院においては,児童の住む寮ごとに職員の担当が決まっており,原告は,平成9年から,ほかの職員とと
もにA子の入っている寮の担当となった。
 e 原告は,平成9年11月のある日の午後,他の職員がA子と買物に行く約束を午前中にしていたため,A子を連
れて,東京本院から1.5キロメートルほど離れたスーパーマーケットに買物に出かけた。
 A子はそのスーパーマーケットで万引きした上,原告に追われないように女子トイレに隠れるなどした後,裏口から
走って逃げた。原告は,A子を探すとともに,東京本院に電話して,女子職員の応援を依頼した。連絡を受けて女子職
員の己は,自動車で原告とA子を迎えに来た。A子は,東京本院に向かう車中,己の運転しているハンドルをつかみ,
危険な操作をするなどして暴れた。A子は,東京本院に戻った後,職員から万引きした商品を出すように言われて暴れ
出し,厨房から包丁を2本持ち出して歩き回った。危険なため,他の児童は鍵のかかる部屋に閉じこもるなどして避難
した。
 己は,A子をなだめて包丁を取り上げた。しかし,A子は,その後も,ドアをけとばすなどして暴れた。己は精神病
院である松沢病院に電話をかけ,対応について指示を仰いだ。松沢病院の医師は110番通報するよう指示し,当該職
員は,110番通報した。
 f 原告は,独りで,ようやくA子を取り押さえ,自らを傷つけたり,職員や他の児童を傷つけたりするおそれがあ
ったため,これを防止する目的で,A子の両手首を体の前でロープで縛った。A子は,その後,通報により到着したパ
トカーに乗せられ,松沢病院に連れていかれた。A子は,連れていかれる際に,甲野,許さないぞなどと言った。
 g A子は,そのまま,松沢病院に措置入院させられた。A子は,入院から約1年半後に,松沢病院において自殺し
た。
 以上の事実が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。
(イ) 以上の事実に基づき,本件摘示事実①が真実であるか検討する。
 a 「原告は東京本院に入所していたある少女(弁論の全趣旨から「A子」を指すものと認められる。)がトイレに
立てこもって自殺しようとしているにもかかわらず「死ねるもんなら死んでみろ。」と言った」との摘示については,
これを認めるに足りる証拠がなく,真実とは認められない。
 b 「A子はその後に原告の110番通報により精神病院に入院することになったこと」につき,被告は,原告が指
示して110番通報させたと主張するが,これを認めるに足りる証拠はない。前記のとおり,A子を入院させるに当た
り110番通報をしたのは己であり,職員の間ではA子が暴れるような事態になったら,病院に電話し,医師の指示を
仰いで,警察に連絡するなどの措置をとることが申し合わされており,己はこれに従って110番通報したものと認め
られ,このようなA子自身の医療上の必要性の点に全く触れることなく,原告の一方的判断による110番通報である
ような書込みであることも考えると,上記書込みは,真実とは認められない。
 c 「原告はパトカーが来るまでの間,ほかの児童にロープを持ってこさせ,A子をぐるぐる巻きに縛らせた」との
摘示につき,被告は,原告は児童2人にロープを持ってこさせA子の両手首を縛らせたと主張し,証人己及び同丁もこ
れに沿う供述をする。
 しかし,証人己の供述中には,原告が,男子児童にロープを持ってこさせ,さらに,近くにいた児童に声を掛けて呼
び寄せた上で,落ち着いてきているA子の両手を縛った旨の部分があるけれども,A子が落ち着いてきているのであれ
ば縛る必要はないはずであり,そのような場面に遭遇した己としては,通常原告に対して声を掛けるなどの行為に及ぶ
と思われるのにそのような事情はうかがわれず,また,ほかに職員がいる状況において,あえて児童に手伝わせるよう
な事情も説明されておらず,これらの点に照らして,己の上記供述部分は直ちに採用し難い。次に,証人丁の上記供述
部分は,辛という職員からの伝聞であるのみならず,証人己の上記供述部分と一致しない部分もあり,採用し難い。
 以上のとおり,上記各供述部分はいずれも採用し難く,他に本件摘示事実①が真実であったと認めるに足りる証拠は
ない。
 d 「警察官に連行される際,「お前ら,覚えとけよ。」と言った」との摘示については,上記認定のとおり,甲
野,覚えておけよと言った事実が認められるので,真実であると認められる。
 e 「A子は,平成11年3月28日,入院先の精神病院で自殺した」との摘示については,上記認定のとおり,A
子が平成9年11月に松沢病院に入院し,その約1年半後に自殺したとの事実が認められ,これらは主要な部分で合致
しているといえるから,真実であると認められる。
 f 「そのときロープを持ってきた児童の1人が,何か月か後に,A子と同じように原告の110番通報により,精
神病院に入院することになった」との摘示については,ある職員が,平成9年11月以降,110番通報をして警察官
を呼び,男子児童を精神病院に連れていってもらったとの事実は認められる。しかし,通報をした職員が原告であるこ
とを認めるに足りる証拠はなく,かつ,原告が児童に命じてロープを持ってこさせた事実を認めるに足りる証拠もな
い。これによれば,証拠上認定できる上記事実は,摘示事実と主要な部分で合致しておらず,真実であるとはいえな
ページ(6)
い。
 イ 本件摘示事実②について
 上記ア(ア)の認定事実によれば,原告がA子の両手首をロープで縛った事実は認められる一方,A子には,何らか
の精神的疾患があり,自分の要求が通らないと包丁を持ち出して暴れることがしばしばあったこと,A子は,入院当
日,包丁を持って歩き回り,包丁を手放した後もドアをけるなどして暴れていたこと,A子は,警察官に精神病院に連
れていかれ,そのまま措置入院させられたことが認められる。
 これらの事実によれば,原告がA子の両手首を縛った行為は,A子の自傷やほかの児童・職員に対し,危害を加える
のを防止するためにやむを得ずにとった措置であり,虐待とは認め難い。したがって,虐待であったとの摘示は,真実
とは認められない。
 なお,仮に,被告が主張するように,虐待とは不適切な養育をいうと解する余地があったとしても,上記認定のとお
り,自傷他害のおそれがあり,これを防止するため,やむを得ずにとった措置であると認められるときは,このことも
踏まえて虐待に当たるかどうか決せられるべきであるから,上記認定のような事実を前提事実として明らかにすべきで
ある。このような前提事実に全く触れられていない本件においては,論評の前提となる主要な事実が真実であったとは
認め難い。
 ウ 本件摘示事実④について
 原告が勤務中に飲酒運転したと問題になったこと,捨ててあったバイクを使用して1か月の減給処分を受けたことは
当事者間に争いがない。しかし,原告が職員に対し暴力を振るったこと,児童を虐待したことについては,いずれもこ
れを認めるに足りる証拠がない。
 職員に対する暴行及び児童虐待は,本件摘示事実④の主要な部分であり,この証明を欠く以上,真実の証明があった
とは認められない。
 エ 本件摘示事実⑤について
 本件摘示事実⑤については,これを真実であると認めるに足りる証拠がない。
 オ 本件摘示事実⑥について
 本件摘示事実⑥につき,被告は知人から,原告が女子児童に対しキスをしたなどと聞いた旨主張し,被告本人尋問に
おいてもこれにそう供述をする。
 しかしながら,その内容自体からして,伝聞であるのみならず,伝え聞いた第三者が特定されておらず,どのような
人物であるかも何ら明らかにされていない。また,原告本人の尋問結果によれば,原告と東京本院の女子児童が参加し
た高校生交流会の席上,その女子児童が,原告に朝起こされたときに腕や足を引っ張っられたと訴えたこと,しかし,
その後,高校生交流会に参加していた弁護士と大学教授において,原告のいない所でその児童から事情を聞いた上で処
遇として問題がないとの結論を出したことが認められる。これらの事実に照らすと,本件摘示事実⑤については,これ
にそう被告本人の前記供述部分は採用できない。そして,他にこれを認めるに足りる証拠はない。
カ 本件摘示事実⑦については,その意味するところは本件摘示事実①及び②と同じであるから,前記のとおり,こ
れについても真実であると認めるに足りる証拠はない。
(4) 相当性について
 ア 被告主張の(ア)(原告の児童に対する処遇態度)について
 被告は,福田会の関係者などから,原告が,児童を管理抑圧の対象として扱っていることを聞いたと主張する。しか
し,この伝聞内容それ自体が極めて抽象的であって,具体的に,原告の処遇態度にどのような問題があるのか理解し難
く,ひいては,原告が児童を虐待したとの事実に結び付くものとはいえない。
 被告は,原告が児童に対し,殴る,罰として食事をとらせない,不適切な接触をするなどの処遇を行っていると主張
する。しかし,原告が児童を殴ったり,不適切な接触をしたりしたことを認めるに足りる証拠はない。なお,罰として
食事をとらせなかったということについては,丁の陳述書(乙8)にこれにそう記載部分があるが,他方,原告の陳述
書(甲19)には児童が食事をとることを拒否したことについてはその経緯も含めて詳細な記載があり,これに照らし
て丁の陳述書の前記記載部分は採用できず,他に罰として食事をとらせなかったという事実を認めるに足りる証拠はな
い。
 したがって,原告の処遇態度をもって,本件摘示事実①から⑦までがあったと推認することはできない。
 イ 被告主張の(イ)(丁の人柄)について
 被告は,丁が,すぐれた処遇観を有しており,正義感が強く,単なる個人的な恨みなどで他人を誹謗中傷するような
人物ではないと信じていたと主張するが,丁において直接に事実を見聞したかどうかすら定かではないことや,人柄の
みでは特定の事実の有無を判定し難いことを併せて考えると,丁の人柄のみから,直ちに,本件摘示事実①から⑦まで
を真実と信ずることが相当であるとは認められない。
 ウ 被告主張の(ウ)(卒園生の自殺)について
 A子が平成11年ころ精神病院において自殺したことは前記認定のとおりであるが,その原因は明らかでないから,
A子の自殺が丁の書込みの摘示事実にあるような原告の行為に結び付くものとはいえない。
 エ 被告主張の(エ)(その他の事情)について
(ア) 被告主張のa(福田会の職員からの原告の態度など),b(東京都職員からの聞き取り)については,いずれ
もその内容自体から本件摘示事実①から⑦までの真実性と具体的にどのように結び付くのか明らかにされておらず,こ
れを裏付けるものとは認め難い。
(イ) 被告の主張c(福田会理事長による詐欺事件)については,本件摘示事実①から⑦までと結び付きを有する事
実であるとは到底いえない。
(ウ) 被告主張のd(男子児童に対する体罰)及びe(立入り調査の結果等)については,そのような体罰の事実及
び調査結果を認めるに足りる証拠はない。なお,東京本院において,男子児童が女子児童に対し性的虐待を行っていた
事実は当事者間に争いがないが,この事実が原告の行為の有無に具体的にどのように結び付くのか何ら明らかにされて
おらず,原告の虐待行為をうかがわせる事情とはいえない。
(エ) 被告主張のf(丁の書込み以外の書込み)については,これらの書込みの中には,被告主張の記載があること
は認められる(甲1,2の1ないし3)。しかし,被告がこれらの書込みをした人物がそもそも誰かについて把握して
いる事情はうかがわれず,ひいてはこれらの書込みについて,真偽を確認することは困難であり,これらの書込みがさ
れたことをもって,真実であると信ずるについて相当な理由があったということはできない。
 オ 相当性の検討
 以上のとおり,被告の主張するaからfまでの各事実は,いずれも本件摘示事実①から⑦までにつき,これを真実と
信ずるに足りる相当の理由とはいえない。
 のみならず,原告及び被告の各本人尋問の結果によれば,原告と被告とは互いに面識があり,双方の職場も近隣であ
ったから,直接連絡することは容易であったにもかかわらず,被告は原告に対し丁の書込みに記載されている事実の真
偽について何ら確認していないことが認められる。これらの事情を併せ考えても被告において本件摘示事実①から⑦ま
でについて真実と信ずるについて相当の理由があったとは到底いえない。
(5) 真実性及び相当性についてのまとめ
 以上によれば,被告の書込みにおいて摘示され又は論評の前提とされている事実について,A子が自殺したことなど
ページ(7)
一部の事実を除いて,真実であることの証明はなく,真実であると信ずるについて相当の理由は認められない。したが
って,その余の点について判断するまでもなく,真実性・相当性の抗弁は理由がない。
 3 争点(3)(対抗言論の抗弁)について
 被告は,要するに,名誉毀損的表現に対しては対抗言論により名誉の回復を図るべきであり,国家が損害賠償を命じ
るなどの手段で介入するのは,例外的に対抗言論が不可能である場合に限られるべきと主張する。
 しかしながら,そもそも,名誉毀損の被害を受けた者が,加害者に対していかなる手段,権利行使等により,名誉の
回復等を図るかは被害者に委ねられており,そのひとつである損害賠償請求権の行使が制限されることはおよそ考えら
れない。また,対抗言論といってもそれが有効に機能する保障はない。けだし,前記前提となる事実のとおり,本件掲
示板は匿名で書込みすることができ,書込みをする者はその発言の責任を問われないことを前提として書込みを行うの
である(ちなみに,被告自ら本件掲示板の設置目的は匿名による告発を助けることにあると述べている。)。そうであ
れば,このような掲示板に書込みをして反論してみても,果たして正しい議論が成立するかどうかすら疑わしく,かえ
って,投稿者の感情的な反撥を招き,新たな原告に対する個人攻撃を招くおそれがないとはいえない。
 以上によれば,原告が,被告に対し,損害賠償請求権を行使することについて何ら制限される理由はなく,被告の主
張は主張自体失当であるといわざるをえない。
 4 争点(4)(損害)
 本件に現れた一切の事情,特に,本件掲示板に多数の読者がいること,丁の書込み及び被告の書込みがされた後,原
告は,東京都,東京都社会福祉協議会などの監督機関から呼出しを受けてこれらの書込みの内容について釈明を求めら
れるなど現実の不利益が生じていること(原告本人),被告は直接原告に対し容易に事実を確認できる立場にありなが
らこれをせずに被告の書込みをしたことなどを考慮すると,慰謝料としては150万円が相当である。
第4 結論
 よって,原告の請求は,被告に対し,150万円及びこれに対する不法行為後で訴状送達の日である平成16年7月
9日から支払済みまで民法所定の年5分の割合を求める限度において理由があるからこれを認容し,その余は理由がな
いからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法61条,64条本文を,仮執行の宣言につき同法259
条1項を,それぞれ適用して,主文のとおり判決する。
さいたま地方裁判所第5民事部
裁判長裁判官小   島       浩
裁判官合   田   智   子
裁判官小 野 寺   健   太

(別紙)
 以下は、誤字等の点も含めて、原文のままである。【関係者の氏名等は冒頭記載のとおり,記号に置き換えていま
す。】
A 平成14年4月17日の丁による書込み
K野について 投稿者:たろう
 この法人の経営する養護施設の長年に亘り続いている施設内虐待の話なんですが……
 それは『平成11年3月28日、ある少女が措置変更先の精神病院で自らの命を絶った。』と云う事実です。
 この問題を何度もこのページに書き込もうと思いましたが、これまで書くことは出来ませんでした。しかし、この事
実は知った以上どーしても隠しておくわけにいかないと思ったため告発いたします。
 1.この少女は16歳で入所してから、その後、拒食症となり入院し、入院先で高校卒業を迎えたためその病院へ措
置変更されました。
 2.この少女の精神病院入院はK野の110番通報によるものでした。
 3.K野は110番通報しパトカーが車での間、『他の児童にロープを持ってこさせ、その児童2人にぐるぐる巻き
に縛らせた。』とある職員より聞きました。
 4.その少女は警察に両手を抱えられ連行させられる時に「おまえら、おぼえとけよ。」と言残しました。
 5.少女が在園中にコードを首に巻きトイレに立てこもり自殺未遂をしたときK野は「死ねるもんなら死んでみろ」
と言ったそうす。
そのときの少女の目は白めになり、他の職員が助けにはいらなければ危なかったようです。
 6.平成11年3月28日、ある少女が措置変更先の精神病院で自らの命を絶ちました。
 7.それから何ヵ月後、その時ロープを持ってきた児童の一人が、やはりK野の110番通報で駆けつけた警察の手
により緊急入院させられ未だに入院中です。
 以上のほかにまだまだありますが今日は第一弾としてまた後日に書かせていただきます。先日、K野は主任となり施
設を乗っ取り屋とともに施設を牛耳ろうとしています.乙川さん始め読者の皆さん。K野のような職員に対しどのよう
にしたらいいでしょうか?K野は勤務中の飲酒運転や職員への暴力事件、児童虐待、バイク泥棒等悪事はつきません.
みなさん、教えてください。よろしくお願い致します.
B 平成14年4月26日の丁による書込み
K野について 投稿者:たろう
4月17日に私の従事する児童施設(法人は百ウン十年の歴史を有する法人であり現在、養護施設と知的障害児施設を
経営しています。)の職員であるK野について、初めて書き込みしてから8日経ちました。
実は17日に投稿してから「これでよかったのだろうか?」と云う思にかられ一瞬、悩んだりしましたが、入所してい
る児童、特に虐待を受けている児童の苦しみを考えればそんなこと言ってられませんね。乙川さんを始としてお返事を
くださったみなさんありがとうございました。返事を読ませて頂き気合いが入りました。
K野の24年前の裏切りの話しを聞かせていただき、彼の生き様らしいなと思ました。乙川さん!もれにしてもK野の
やっていることは未だに同じですよ!
理事会にせっついたり揺さぶったりが本職のようで、自分を管理職にしてくれるかorどうかが良い理事会悪い理事会
の判断基準だろうと思います。
その後のK野について
その後のK野についてですが、いよいよ主任になりました。それもただの主任ではありません。小規模施設検討会と称
する委員会の主任で養護施設T院だけでなく隣のM学園にまで力が及ぶようです。しかしこんな事があっていいのでし
ページ(8)
ょうか?“暴力職員が管理職になる”なんて……
前回、『平成11年3月28日、ある少女が措置変更先の精神病院で自らの命を絶った。』と云う事実を告発しまし
た。
この問題はこれまで書くことは出来ませんでした。しかし、この事実は知った以上どーしても隠しておくわけにいかな
いと思ったため告発いたしました。
 少女の自殺に対しK野は措置変更先での出来事と言っています。K野に聞きたいが次の7項目を知らないとでもいう
のか?
 1.この少女は16歳で入所してから、その後、拒食症となり入院し、入院先で高校卒業を迎えたためその病院へ措
置変更されました。
 2.この少女の精神病院入院はK野の110番通報によるものでした。
 3.K野は110番通報しパトカーが車での間、『他の児童に口ープを持ってこさせ、その児童2人にぐるぐる巻き
に縛らせた。』とある職員より聞きました。
 4.その少女は警察に両手を抱えられ連行させられる時に「おまえら、おぼえとけよ。」と言残しました。
 5.少女が在園中にコードを首に巻きトイレに立てこもり自殺未遂をしたときK野は「死ねるもんなら死んでみろ」
と言ったそうす。
そのときの少女の目は白めになり、他の職員が助けにはいらなければ危なかったようです。
 6.平成11年3月28日、ある少女が措置変更先の精神病院で自らの命を絶ちました。
 7.それから何カ月後、その時ロープを持ってきた児童の一人が、やはりK野の110番通報で駆けつけた警察の手
により緊急入院させられ未だに入院中です。
この他にもまだまだありますよね?K野さん!
・措置変更先で自殺した少女に対し、入院前に食堂で馬乗りになってひっぱたいていたそうですね? この場面を元職
員Jさんか見ていましたよ。
・少女の生命の象徴だった牛乳を少女に見せれば欲しがることを分かっているのに目の前にちらつかせ逃げ回っていま
したね。その結果、少女はパニックをよく起こしていましたね。
・少女がパニックをお越し110番通報で駆けつけた警察の手により緊急入院させられた数時間前、少女と他児童2名
を連れて散歩に出かけましたよね。そして帰園途中で少女がパニックになり他の職員に車で迎に来てもらってますよ
ね。私もその散歩中のK野と少女と他2名を見かけましたが、K野さんにしては珍しいなぁと思ったのではっきり覚え
ています。K野さん! この日は始から110番通報を狙っていたのですか?
・卒園生Kがまだ在園中だった頃、「オマエ、動けるもんなら動いてみろ」と言ってナイフを児童のうでに押しつけ、
児童がビックリして動いたためにうでが切れて流血させたこと。元職員Mさんからぜひ書いてくれと言われました。
C 平成14年4月21日の被告による書込み
K野君と私の関係について 投稿者:次郎
 彼女がそのような状態に追い込まれたと言う現実は事実としてあり、その現実を現認している人もいる。そして、私
はK野君なら、きっと施設処遇の中で、それはやるだろうと確信しているのです。
D 平成14年9月7日の被告による書込み
Re:はじめまして 次郎
この子は、職員を恨んだろうね。許さないだろうな。彼女はその2年後に、自らの首を吊り自死することを選択した。
彼女が福田会に措置されていた頃に、K野に必要以上に攻撃されていたのではないかと私は考えている。船橋の地で、
知的障害を有する子どもと「共に生きる」事を実践している私にとって(25年前に出来なかったことを具体化した
い)、前回の裏切り(仲間を理事会に売ったこと)は許せても、今回の事は許せない。
E 平成15年7月23日の被告による書込み
Re:職員が子どもをレイプしていた 次郎
>「虚言癖」ですか、便利な言葉ですね。
 その言葉は、聞いた事がある。高校生交流会の場所で、福田会の甲野が、子どもが甲野に「ひどいめに会っている」
と参加者の前で話したそうだ。結局「虚言癖」のある子と言う甲野の説明で、皆だまされたそうです。
 子どもが一人、施設を追放され、命を奪われたのに。(あの子は自殺したのよ。誰も責任はないのよ。あの子に問題
が会ったのよ。私たちは精一杯頑張ったは。)
 自ら首を絞くった子どもは、誰を恨めばよいのでしょうか。
F 平成15年10月2日の被告による書込み
Re:施設での虐待 次郎
 私が問題視している、福田会東京本院では、18歳の子どもが現在の副園長に縄で縛られ、精神病院に送致され、転
院後、20歳で自死をしたと言う事がありました。そういう事を含めて、噂の事実があったのなら大変なことです。し
かし、噂ではお返事の使用が無いのです。
以上
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