弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中、上告人A1に対して昭和三三年一月一日から同三五年八月二
日まで一箇月一、六〇〇円の割合の金員の連帯支払を命じた部分を破棄し、右部分
に関する被上告人の請求を棄却する。
     上告人A1のその余の部分に対する上告を棄却する。
     上告人A2の上告を棄却する。
     訴訟の総費用はこれを二〇分し、その一を被上告人その余を上告人らの
負担とする。
         理    由
 上告代理人堂下芳一、同服部明義の上告理由第一について。
 原判決(引用の第一審判決を含む。以下同じ。)が確定した事実関係のもとにお
いては、上告人A1は亡Dの内縁の妻であつて同人の相続人ではないから、右Dの
死亡後はその相続人である上告人A2ら四名の賃借権を援用して被上告人に対し本
件家屋に居住する権利を主張することができると解すべきである(最高裁昭和三四
年(オ)第六九二号、同三七年一二月二五日第三小法廷判決、民集一六巻一二号二
四五五頁参照)。しかし、それであるからといつて、上告人A1が前記四名の共同
相続人らと並んで本件家屋の共同賃借人となるわけではない。したがつて、Dの死
亡後にあつては同上告人もまた上告人A2ら四名とともに本件家屋の賃借人の地位
にあるものというべきであるとした所論原判示には、法令の解釈適用を誤つた違法
があるといわなければならない。
 原判決には右のような違法があるが、本件家屋の賃貸借関係について他の共同賃
借人三名の代理権を有していた上告人両名に対して被上告人の先代Eがした該賃貸
借契約解除の意思表示が有効であること後記(上告理由第二、第三についての判断
説示参照)のとおりであるから、右の違法は上告人らに対して本件家屋の明渡を命
じた原判決にはなんら影響を及ぼすものでないことは明らかである。また、原審確
定の事実によれば、右賃貸借の終了後は上告人らはいずれも本件家屋を法律上の権
原なくして占有し賃料相当額の損害を加えつつあるというのであるから、上告人ら
に対してその不法占有期間について右損害金の連帯支払を命じた原判決にも影響が
ないものというべきである(被上告人の損害金の請求は、債務不履行に基づくもの
と不法行為に基づくものとが選択的になされているものと解される。)。
 しかしながら、上吉人A1は、前記のとおり、Dの死亡後本件家屋の賃借人とな
つたのではなく、したがつて、昭和三三年一月一日から本件賃貸借の終了した昭和
三五年八月二日までの間の賃料の支払債務を負わないものというべきであるから、
原判決中同上告人に対して右賃料の支払を命じた部分は失当として破棄を免れず、
右部分についての被上告人の本訴請求は棄却すべきものである。
 同第二、第三について。
 原判決が確定した事実関係(所論のように、Fが昭和三五年当時の住民票のうえ
で別世帯を構成していたとしても、その結論に影響がない。)のもとにおいては、
上告人両名は本件家屋の賃借権を相続により取得したF、GおよびHの三名の代理
人として被上告人の先代Eのした本件催告ならびに賃貸借契約解除の意思表示を受
領したものと認めるべきであるから右三名にも本件解除の効力が及ぶものであると
した所論原判示は、正当というべきである。また、所論は、上告人らの右代理関係
の事実については被上告人が原審において主張していないところであるというが、
本件記録に現われた被上告人の主張の全趣旨に徴すれば、所論の事実をも主張する
ものと解しえないものではないから、原審には所論弁論主義違背があるとすること
もできない。論旨は、ひつきよう、独自の法律的見解に立却するか、もしくは原判
示にそわない事実を前提として、原判決を非難するものであつて、採用するを得な
い。
 よつて、民訴法四〇八条、三九六条、三八四条、九五条、九六条、九二条、九三
条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛