弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中上告人らの敗訴部分を破棄する。
     右部分につき本件を広島高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人片山義雄の上告理由第四点について。
 およそ問屋が委託の趣旨に従い第三者から権利を取得し、その後これを委託者に
移転しない間に破産した場合においては、委託者は、右権利につき取戻権を行使す
ることができることは、当裁判所の判例とするところである(昭和四〇年(オ)第
二五号、同四三年七月一一日第一小法廷判決)。そして原審の確定したところによ
れば、D証券株式会社は、かねて上告人A1のために同人の委託の趣旨に従いE証
券株式会社から自己の名において本件F化成工業株式会社株式計五〇〇株(内一〇
〇株は旧商号G化成工業株式会社のまま)を譲り受け、これを保管中、昭和三六年
二月一七日破産宣告を受けるに至つたというのである。したがつて、右の事実によ
れば、委託者たる上告人A1は、被上告人に対し、本件株式につき取戻権を行使す
ることができるものである。
 ところで、右説示のごとく、上告人A1が本件株式につき取戻権を有する以上、
右破産宣告後、右株式の名義人が被上告人であつたため、被上告人において、右株
式の配当金および右株式につき株主に割り当てられた新株を取得すれば、これは、
その実質的利益の帰属すべき右上告人の損失において被上告人の利得したものとい
うべく、右上告人は、被上告人に対し、破産法四七条五号の規定に従い不当利得に
基づく財団債権として、前示配当金および新株の給付を請求することができるとい
わなければならない。右上告人の原審における新請求は、前説示の趣旨による請求
をなすものと解しえられるにもかかわらず、原判決は、不当利得の主張がないもの
と速断し、被上告人のした本件株式の名義書換、配当金の受領、増資新株式の申込
払込が右上告人のためにされたことを認めるに足りないとの一事により、たやすく
右新請求を棄却したのは、審理不尽、理由不備の違法があるというべく、論旨は理
由があり、この点に関し、原判決は破棄を免れない。
 同第五点について。
 原判決は、売買報告書、預り証、商業帳簿等が何一つ証拠として提出されていな
いことを理由として、所論甲四号証の記載内容および証人Hの証言を信用できない
とし、上告人A2および同A3の所論の主張事実を認めるに足りない旨判示したこ
とは、原判文上明らかである。
 しかし、原審における証人Iの供述によれば、同証人は本件に関連する刑事事件
につき取調の衝に当たつた検察官であること、関係帳簿諸票等の書類は全部検察庁
に押収されたことおよび右書類には右上告人両名の所論の主張事実にそう記載のあ
ることが窺われる。もしそうとすれば、前記書類が本件において証拠として提出さ
れていないとの一事によつて、たやすく、前示甲四号証の記載内容および証人Hの
証言を排斥することはできない道理である。したがつて、原審のした右証拠の採否
は、採証の法則に違反したものというべく、原判決は、この点において、審理不尽、
理由不備の違法をおかしたものというべきである。論旨は理由があり、原判決中右
上告人両名の請求を排斥した部分は破棄を免れない。
 よつて、その余の上告理由に対する判断を省略し、民訴法四〇七条一項に従い、
裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛