弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告人ら代理人山村治郎吉の上告理由第二ないし第四点について。
 論旨は、本件土地は上告人ら先代Dにおいて自創法の規定により政府から売渡を
受けたものであるから、特別の法律知識のない同人において自己の所有であると信
じるのは当然であるのに、同人の占有に過失があつた旨判断した原判決には、民法
一六二条二項の解釈を誤つたか、審理不尽理由不備の違法があるという。
 原判決は「一般に自創法の規定による農地の売渡処分があつた場合、その処分に
取消原因たる違法事由があつても、右処分は取り消されるまで適法の推定をうける
から、その買受人は右処分の結果としてその所有権を取得したと信ずるのは当然で、
特別の事情のある場合のほか、そう信ずるについて過失がなかつたものと認めるの
が相当である」と判示しながら、Dは、本件土地を、土地区画整理事業終了後一時
的に無償で借り受け耕作していたものであり、将来は京都市の児童公園となる土地
であることを知悉していたから、たとい売渡処分を受けても将来取り消される事態
になるのではないかと積極的な疑念を抱くのが当然であるのに、この点に思い及ば
ず格別の調査をしなかつた点において過失の責を免れないと判断して、上告人らの
一〇年の時効取得の主張を排斥していること、論旨指摘のとおりである。
 しかし、政府から農地として売渡をうけた以上、売渡によつて自己が所有者にな
つたと信じるのは当然のことである。よほど特別の事情のないかぎり、その売渡処
分に無効・取消事由たる瑕疵がないことまで確かめなければ所有者と信じるにつき
過失があるというのは、法律知識のない一般人に難きを強いるものといわなければ
ならない。当の政府が農地と認定して買収・売渡をしているのに、法律的知識が特
ににあるとは認められない右Dにおいて、売渡をうけた本件土地が農地でないこと
に気付くべきであつたというのは無理な話である。
 原判決の確定した事実によると、本件土地はもと農地であつたが、組合の土地区
画整理事業にあたり、組合規約上将来京都市の児童公園として市有地とする目的の
ために保留地処分がされたものであるが、昭和一元年右区画整理事業が完成した直
後にDにおいてこれを借り受け、以来売渡をうけた昭和二三年一二月二日にいたる
まで一〇年余の間耕作していたというのである。そうとすれば、右Dは、区画整理
事業完了当時においては兎も角、売渡をうけた当時においては、本件土地が農地で
ないことに疑念を抱かなかつたのは当然のことであろう。
 これを要するに、原判決判示のような理由でDは本件土地の所有者と信じるにつ
き過失があると判断したことには、理由不備の違法があるといわざるをえない。論
旨は理由あり、原判決を破棄し、さらに過失の有無その他の争点につき審理をさせ
るため原審に差し戻すべきものとする。
 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    色   川   幸 太 郎

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