弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する
     当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人青柳孝同青柳洋共同の控訴趣意は別紙記載のとおりでこれに対して次のよ
うに判断する。
 論旨第三点の(一)について。
 一件記録によると、亡Aがその所有にかかる本件不動産をBの長男Cに贈与する
意向を有し、その意向を生前親戚の者に表明したこともある事実を窺えないではな
い。しかし、原裁判所及び当裁判所の取り調べたすべての証拠を綜合しても、右A
の生前に法律上有効な贈与がCに対してなされたということは認めることができ
ず、いわんや右Aが自己の署名印章を用いて贈与証書、登記に必要な委任状等を作
成し所有権移転の登記をすることをBその他の者に委任していたような事実は認め
られない。そして、かくのごとく文書の作成につき名義人本人の承諾がないのにそ
の名義を用いて文書を作成すれば、その内容が真<要旨>実に合致すると否とを問わ
ず私文書偽造罪は成立するのであり、また、公正証書原本不実記載罪は、申立事
の内容が不実である場合のみならず、申立人に関して虚偽の存する場合に
も、成立するのてあるから、被告人の原判示所為はAの名義を擅に用いた点におい
てすでに以上各罪の構成要件に該当するものといわなければならない。いわんや本
件においては贈与そのものが未だ存在していなかつたこと前述のとおりであるか
ら、なおさらのことである。次に、論旨は、本件においてはAの相続人十名がその
共有にかかる不動産をCの所有名義とすることにつき同意していたのであるから、
その登記はいわゆる中間省略の登記の一種として犯罪を構成しないと主張する。な
るほど、甲、乙、丙間に順次所有権が移転された場合に甲から直接丙に所有権が移
転されたもののように登記するいわゆる中間省略の登記は民法上有効なものとされ
ているのであつて、刑法上においても公正証書原本不実記載罪の成立なしと解する
余地はある(しかし、大審院の判例はかつてこれを同罪にあたると解したことがあ
る。)。けれども中間省略の登記は、右の甲、乙、丙がそのことに同意し、甲、丙
が現実に登記を申請した場合にはじめて民法上有効とされるのであつて、すなわ
ち、この場合には、登記申請人自体に虚偽はないし、不動産の所有権が甲から結局
丙に移つたという事実にも虚偽はないのである。しかるに、本件の場合において
は、かりに登記前に故Aの相続人十名が本件不動産をCに譲渡した事実があつたと
しても(しかもこの事実は証拠上必ずしも確認されるものではない。)、いいかえ
るならば右不動産の所有権がAからCに結局移つたということは事実であつたとし
ても、少くとも故Aが他人に対し生前に登記申請を委任した事実がないのにかかわ
らずあたかもこれをしたかのように装つて登記の申請をした点において前掲の申立
人に関する虚偽が存するのであつて、これをにわかに一般の中間省略の登記と同一
視し、真実と符合するものとすることはできない。従つて右の所論もまた採用する
ことができない。また、論旨は実害がないことを云々するけれども、そもそも文書
を偽造する罪は文書に対する公共の信用を保護法益とするものであつて、これを公
正証書原本不実記載の罪についていえば、公務員に対し虚偽の申立をして公正証書
の原本に不実の記載をなさしめること自体が公正証書の内容の真実性に対する公共
の信用を危殆ならしめるものとして処罰されるのであるから、その行為によつて他
のなんびとかに財産上の実害を生ずるかどうかは犯罪の成否に影響がないものとい
わなければならない。従つて実害なきことをもつて違法性を阻却するとする所論も
また採ることができない(なお、被告人に故意なしとする主張については、論旨第
二に対する判断中に判断を示すこととする。)。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 大塚今比古 判事 山田要冶 判事 中野次雄)

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