弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人小川休衛、同安永博、同木村英一の上告理由第一点について。
 Dは乙地を当時の所有者であるEの先代から建物所有の目的で賃借し、同地上に
本件建物を建て、所有権保存登記を経、その後右建物の所有権および敷地の賃借権
は上告人ら主張のとおり承継され、右建物については現に上告人ら両名が共有の所
有権取得登記を有し、敷地である乙地については現に上告人らはEから賃借してい
るものである旨、ところで、Dは、昭和一三、四年頃に乙地上に右建物を新築する
に当り、同地の南側部分にさしたる空地を残さずに建てたためEの先代からの乙地
の貸借とほぼ同時に、その南に隣接する甲地のうちの本件土地部分を本件建物の庭
として樹木を植栽する目的で、当時の土地所有者Fから賃借し、本件土地に樹木を
植えて庭として使用していたが、本件建物の所有権および乙地の賃借権の譲渡をす
るにあたり、本件土地の賃借権については、当時の本件土地の賃貸人(所有者)の
承諾を得て上告人ら主張のように譲渡したが、結局、上告人らは、本件土地の賃借
権を取得し、本件土地の前所有者Gに対し賃料を支払つていたものである旨の原審
の認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯できないものではなく、右認定の
過程において経験則違背等の違法は認められない。
 そうとすれば、上告人らは、乙地を賃借し、同地上に登記した建物(家屋)を有
し、その庭として使用する目的のため本件土地を賃借し、現に本件土地を右目的に
従つて使用し、本件土地は乙地上にある建物の便益に供されているのであるが、「
建物保護ニ関スル法律」一条は建物の登記をもつて土地賃借権の登記に代用させよ
うとする趣旨であることに鑑みれば、本件土地が乙地と一体として本件建物所有を
目的として賃借されているとみるべきか否かについて判断するまでもなく、右法律
による乙地に有する上告人らの賃借権の対抗力は本件土地には及ばないと解するの
が相当である。したがつて、原判決の判断は結論において相当である。原判決には
所論の違法はなく、論旨は採用できない。
 同第二点について。
 本件土地の一カ月の賃料相当の損害金が金一、一二八円であることについては、
上告人らにおいて明らかに争わないから、これを自白したものとみなすべきである
とした原審の判断は、本件記録に徴し、これを是認することができ、この点につき、
審理不尽、釈明権不行使等の違法は認められない。原判決には所論の違法はなく、
論旨は採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

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