弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決および第一審判決を破棄する。
     本件を千葉地方裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人金子作造の上告趣意第一点は、憲法三一条違反をいうが、実質は単なる法
令違反の主張であり、同第二点は、単なる法令違反、事実誤認の主張、同第三点は、
量刑不当の主張であつて、いずれも適法な上告理由にあたらない。
 しかしながら、所論にかんがみ職権をもつて調査すると、記録によれば、本件起
訴状記載の公訴事実第一は、「被告人は、自動車の運転業務に従事しているもので
あるが、昭和四十二年十月二日午後三時三十五分頃普通乗用自動車を運転し、a町
方面からb方面に向つて進行し、千葉県安房郡c町de番地先路上に差掛つた際、
前方交差点の停止信号で自車前方を同方向に向つて一時停止中のA(当三十四年)
運転の普通乗用自動車の後方約〇・七五米の地点に一時停止中前車の先行車の発進
するのを見て自車も発進しようとしたものであるが、かゝる場合自動車運転者とし
ては前車の動静に十分注意し、かつ発進に当つてはハンドル、ブレーキ等を確実に
操作し、もつて事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに、前車
の前の車両が発進したのを見て自車を発進させるべくアクセルとクラツチベダルを
踏んだ際当時雨天で濡れた靴をよく拭かずに履いていたため足を滑らせてクラツチ
ベダルから左足を踏みはずした過失により自車を暴進させ未だ停止中の前車後部に
自車を追突させ、因つて前記Aに全治約二週間を要する鞭打ち症、同車に同乗して
いたB(当四十四年)に全治約三週間を要する鞭打ち症の各傷害を負わせた。」旨
の事実であつたところ、第一審は、訴因変更の手続を経ないで、罪となるべき事実
の第一として「被告人は、自動車の運転業務に従事している者であるが、昭和四二
年一〇月二日午後三時三五分頃普通乗用自動車を運転し、a町方面からb方面に向
つて進行し、安房郡c町de番地先路上に差しかかつた際、自車の前に数台の自動
車が一列になつて一時停止して前方交差点の信号が進行になるのを待つていたので
あるが、この様な場合はハンドル、ブレーキ等を確実に操作し事故の発生を未然に
防止すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、ブレーキをかけるのを遅れ
た過失により自車をその直前に一時停止中のA(当三四年)運転の普通乗用自動車
に追突させ、よつて、右Aに対し全治二週間を要する鞭打ち症の、同車の助手席に
同乗していたB(当四四年)に対し全治約三週間を要する鞭打ち症の各傷害を負わ
せた。」旨の事実を認定判示した。
  そして、原審弁護人が、本件においては起訴事実と認定事実との間で被告人の
過失の態様に関する記載が全く相異なるから訴因変更の手続を必要とする旨の主張
をしたのに対し、原判決は、その差は同一の社会的事実につき同一の業務上注意義
務のある場合における被告人の過失の具体的行為の差異に過ぎず、本件においては
このような事実関係の変更により被告人の防禦に何ら実質的不利益を生じたものと
は認められないから、第一審が訴因変更の手続を経ないで訴因と異なる事実を認定
したことは何ら不法ではない旨の判断を示して、原審弁護人の前記主張をしりぞけ、
第一審判決を維持しているのである。
 しかしながら、前述のように、本件起訴状に訴因として明示された被告人の過失
は、濡れた靴をよく拭かずに履いていたため、一時停止の状態から発進するにあた
りアクセルとクラツチペダルを踏んだ際足を滑らせてクラツチペダルから左足を踏
みはずした過失であるとされているのに対し、第一審判決に判示された被告人の過
失は、交差点前で一時停止中の他車の後に進行接近する際ブレーキをかけるのを遅
れた過失であるとされているのであつて、両者は明らかに過失の態様を異にしてお
り、このように、起訴状に訴因として明示された態様の過失を認めず、それとは別
の態様の過失を認定するには、被告人に防禦の機会を与えるため訴因の変更手続を
要するものといわなければならない。
 してみれば、第一審がこの手続をとらないで判決したことは違法であり、これを
是認した原判決には法令の解釈を誤つた違法がある。そして、この違法は判決に影
響を及ぼすことが明らかであり、これを破棄しなければいちじるしく正義に反する
ものといわなければならない。
 よつて、刑訴法四一一条一号により原判決および第一審判決を破棄し、同法四一
三条本文により本件を千葉地方裁判所に差し戻すこととし、裁判官全員一致の意見
で、主文のとおり判決する。
 検察官臼井滋夫 公判出席
  昭和四六年六月二二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    関   根   小   郷
 裁判官田中二郎は、外国出張のため署名押印することができない。
         裁判長裁判官    松   本   正   雄

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