弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人B同C向Dの弁護人田邊桓之、被告人Bの弁護人田島順、被告Eの弁護人
朝尾皆之助、および被告人B同C同Dの弁護人大西耕三同朝尾皆之助同鍛治利一の
各上告趣意は、末尾に添えた書面記載のとおりである。
 被告人B同C同Dの弁護人田邊恒之の論旨第一点について。
 記録を調べてみると、原審が第八回公判期日(昭和二四年六月八日)以後におい
ては引続き一五日以上公判を開廷していない場合にも公判手続を更新していないこ
とは所論のとおりである。しかし、右は刑訴施行法一三条に基く昭和二三年最高裁
判所規則三四号刑訴規則施行規則三条三号の規定に従つて更新しなかつたものであ
つて、その措置が何ら違法でないことは当裁判所の判例とするところである(昭和
二四年(れ)第二〇〇〇号、同二五年二月一五日大法廷判決)。そして、右刑訴規
則施行規則三条三号が憲法に違反するものでないことも、当裁判所の判例(昭和二
四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決)の示すところである。
それゆえ、原審が第八回公判期日以後の公判期日に引続き一五日以上開廷しなかつ
た場合にも、公判手続を更新しなかつたことに所論のような違法はない。されば論
旨は理由がない。
 同第二点について。
 原判示事実によると、原審は「被告人B同C同Dは、いずれも引取に係る特殊物
件は将来省(省とは運輸省の略称)から払下を受け得るものと信じてはいたが、そ
れまでは自由に処分できるものではなく、省発注品の資材として使用するについて
も一応大鉄局(大鉄局とは大阪鉄道局の略称)の許可を得なければならぬものであ
ることを諒知していたに拘らず、当時F株式会社が金融難であつたため、その本社
からもA(Aとは右会社Aの略称)の手で出来るだけ金融を計るようにとの通達も
あり、且つ部課工場長会議で資材購入の見返りとして、Aの手持資材中不要不急品
を売却して必要資材を購入する方針を立て、同年六月一〇日頃から同年一二月一六
日頃までの間に右被告人等三名は共謀し、被告人B同Cの業務上占有に係る特殊物
件中丸鋼山形鋼等を、Aが進駐軍に納入する温水器その他の資材を入手する見返り
として、擅にAに於て犯意を継続し、原判決の別紙第一表のように、前後約一〇回
に総計九三瓲二五一瓩をG機械工業株式会社外四名に代金総計二二七三二八円四八
銭で売却した」との事実を判示しており、右によると原審は、被告人等三名に本件
丸鋼山形鋼等の特殊物件の不法領得の意思があつたことを認定していることが窺わ
れるのである。そして右判示事実は原判決の挙示する証拠、特に原審公判調書中の
被告人B、同C、同Dの各供述記載、被告人Dに対する検事の昭和二三年二月三日
附聴取書中の同被告人の供述記載、被告人Cに対する検事の昭和二三年二月一四日
附聴取書中の同被告人の供述記載、Hに対する検事の昭和二三年二月二四日附聴取
書中の同人の供述記載および第一審第二回公判調書中の被告人Bの供述記載等によ
つて、十分これを証明し得るところである。それゆえ、原審には右被告人等三名の
不法領得の意思を認定するについて何ら所論のような理由不備または審理不盡の違
法はない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 論旨は、当時の事情の下においては、被告人等三名は本件特殊物件は引取と同時
に払下を受けたものであると信ずるに足る十分な理由があつたのであり、被告人等
に本件特殊物外の引取保管についての眞実の認識を期待することは不可能であつて、
原判決は各被告人等の期待可能性のない行為を罪とした違法があると主張している
が、右は畢竟、本論旨中の被告人等三名に横領の犯意がなかつたものであるとの主
張と同一に帰する。そして被告人等三名に横領の犯意があつたとの事実、就中、右
被告人等が本件特殊物件の引取保管について、原判示のような眞実の認識を有して
いたとの事実が、原判決に挙示する証拠によつて十分証明され得ることは、論旨第
二点において説明したとおりである。また、証拠の取捨選択は事実審たる原審裁判
官の自由裁量に委ねられているところであつて、論旨に援用する証拠は原審の採用
しなかつたところである。それゆえ、かゝる証拠に基いて原審の事実認定を非難す
る主張も採用することがてきない。されば、論旨は理由がない。
 同第四点について。
 原判決は、被告人Bは昭和二〇年七月より昭和二二年八月まで、Aの生産部長事
務取扱としてAの生産企画所要資材の調達出納保管等の事務を統轄していたもので
あつて、被告人Dその他担当者からの報告により、本件特殊物作引取の事情並びに
その後の大鉄局又は省との交渉経緯を諒知し、特殊物件の保管その他の処理の責に
任じていたものであるとの事実を判示したものであり、右の事実は原判決挙示の証
拠によつて十分認めることができるのである。されば、被告人Bが本件特殊物件を
保管していたことが、その業務に属することは明らかであつて、その保管する特殊
物件を横領した同被告人の所為は、業務上横領罪を構成するものであるから、原判
決にはこの点について何ら法令の適用を誤つた違法はない。それゆえ、論旨は理由
がない。
 被告人Bの弁護人田島順の論旨第一点について。
 所論は、事実審たる原審裁判官の自由裁量に委ねられている証拠の証明力に対す
る判断を非難するものであつて、採用することができない。また、被告人Bが本件
特殊物件の引取保管について、原判示のような認識を有していながらこれを擅に売
却したとの原判示事実は、原審の挙示する証拠によつて十分認めることができるこ
とは、田邊弁護人論旨第二点並びに同第三点において証明したとおりであつて、所
論のように不十分な証拠によつて右の事実を認定した違法はない。論旨は理由がな
い。
 同第二点について。
 証拠の取捨判断は、事実審たる原審裁判官の自由裁量に委ねられているところで
あり、また原審の証拠の取捨判断には所論のような経験則違背はない。それゆえ、
論旨は理由がないが、更に個々の論旨について附言すると、
 その(イ)について。
 論旨は、被告人Bに横領の犯意がなかつたことを主張するものであつて、その理
由がないことは、田邊弁護人論旨第二点並びに同第三点において説明したとおりで
ある。そして原審の証拠判断には所論のような経験則違背はないから、論旨は理由
がない。
 その(ロ)について。
 原判示の資材売却の動機の事実はその挙示する証拠によつて十分認め得るところ
であり、また被告人等の本件行為が事務管理として適法行為であるとすることは出
来ないこと、および已を得ざる行為として可罰的性格を奪却するものでないことは、
それぞれ後記大西弁護人外二名の論旨第六点並びに同第七点において説明するとお
りである。されば論旨は理由がない。
 その(ハ)について。
 論旨は事実誤認の主張に帰し、適法な上告理由とならない。
 同第三点の(イ)について。
 所論は、Aが本件特殊物件を貰受けたものと思つて、同会社の手持鋼材を一緒に
しておいたものであつて、民法上混和の規定によつてこれらの所有権を取得したも
のであるから、被告人Bが右物件を売却した行為は横領罪を構成しないと主張する
のであるが、原審はAが本件特殊物件の所有権を取得したとは認定していないのみ
ならず、反つて原判示事実によると、原審はAが大鉄の委託によつて省の特殊物件
を保管していたものであることを認定していることが窺われるから、所論は原審の
認定と異る前提に立つものであつて採用することができない。また、原審の適法に
認定した事実によると、本件特殊物件は「孰れも将来省から払下を受ける迄は自由
に処分出来るものではなく、省発注品の資材として使用するについても、一応大鉄
局の許可を得なければならぬものであつた」のであるから、たとい右引取物件が代
替物であつてAが他に同種の鋼材を手持していたとしても、なお省の所有に属する
右引取物件を受託者において委託の趣旨に反して勝手に使用または売却した所為は、
横領罪を構成するものであることは当然である。されば、論旨は理由がない。
 同第三点の(ロ)について。
 被告人Bの本件特殊物件の保管が、同被告人の業務に属するものであることは、
田邊弁護人論旨第四点において説明したとおりである。そしてまた、Aが省のため
に右特殊物件を保管したことが、Aの業務に属するものでないとしても、被告人B
の右物件の横領行為に対しては、業務上横領罪が成立することは、後記大西弁護人
外二名の論旨第一一点において説明するとおりであつて、論旨は理由がない。
 被告Eの弁護人朝尾皆之助の論旨第一点について。
 所論は、事実審たる原審裁判官の自由裁量に委ねられている証拠の取捨選択、並
びに証拠の証明力に対する判断を非難するものであつて、理由がない。また、原審
の証拠判断には経験則違背等の違法はないから、論旨は理由がない。
 同第二点について
 証拠の取捨判断は事実審たる原審裁判官の自由裁量に委ねられているところであ
るから、原審が被告Eに対する検察事務官の昭和二三年二月三日附聴取書中の同被
告人の供述記載や、第一審および原審各公判調書中の同被告人の各供述記載を採用
せずに同被告人に対する検事の昭和二三年二月一八日附聴収書中の同被告人の供述
記載を採用したからといつて、何ら違法はない。そして右検事の昭和二三年二月一
八日附聴取書中の同被告人の供述の記載内容が虚偽であるという証拠はない。され
ば、この点の論旨も、結局原審の証拠の採否を争うものであつて理由がない。
 同第三点について。
 被告Eが横領した原判示物件は、その挙示の証拠、特に被告Eが売却した数量、
種類等について、原判示事実と同じである第一審判示事実を読聞けられたのに対し
て、その通り相違ない旨述べている原審第二回公判調書中の同被告人の供述記載等
によつて認めることができる。また、売却代金のうちに所論のように製品の製作費
が含まれているとしても、横領目的物は原判示物件であるから、この点原審の認定
に違法はないのみならず、原判決は横領罪の判示として欠くるところはない。それ
ゆえ、原審には所論のように審理不盡または証拠によらないで犯罪事実を認定した
違法はないから、論旨は理由がない。
 同第四点について。
 原審の適法に認定した事実によると、「被告EはAの専属下請工場たる合資会社
I製作所の代表社員で、緊急搬出に際し、A資材課長Hから、Aが將来省から払下
を受ける特殊物作中、銑鉄を下請作業の資材として前以て交付するから、その搬出
引取をせられたい旨申出を受け、これに応じて銑鉄の引取を始めたか現場には既に
銑鉄が僅少であつたところから、下請に直接関係のない黄銅棒、黄銅板等所謂色物
を引取り、これを更にAから払下を受けようと考え、係員の同意を得て原判示の特
殊物件を引取り、Aのためこれを保管していたものてあつて、同被告人の本件犯行
時には右物件はまだ払下を受けず、従つて合資会社I製作所の所有になつていなか
つたものである」。果してしからば、Aが省当局から引取物件の払下を受けた昭和
二二年六月末頃以後においても、同被告人については、なおAのために他人の物で
ある特殊物件を占有保管している状態は継続しているのであるから、右日時以後に
おいてもそれを原判示のように擅に売却すれば、その所有権者が省であるとAであ
るとを問わず横領罪が成立することは当然である。所論は原審の認定した事実と異
り合資会社I製作所もA等と同じく、直接省から特殊物件の引取保管を依頼された
ものであるとの前提に立つものであつて採用することができない。されば論旨は理
由がない。
 被告人B同C何Dの弁護人大西耕三同朝尾皆之助同鍛治利一の論旨第一点につい
て。
 所論は、畢竟事実誤認並びに原審の証拠の取捨判断を非難するものであつて、前
者は適法な上告理由とならないし、後者は原審裁判官の自由裁量に委ねられている
ところであつて理由がない。そして原判示事実は被告人等三名の本件横領罪の判示
として何ら欠くるところはなく、且つ右判示事実はその挙示する証拠によつて、十
分証明することが出来るのであつて、原判決には所論のような理由不備の違法はな
い。されば論旨は理由がない。
 同第二点について。
 所論は事実認定並びに原審の採証の自由を非難するものであつて理由がない。な
お、原判示二の事実には、「大造(大造とは旧陸軍大阪造兵廠の略称)内の特殊物
件は連合軍より我国政府に返還せられ、更に運輸省鉄道総局の保管に転換せられ、
同局の下部機関として大鉄局資材部がその保管に当ることになつた。しかし大鉄局
自身では総量一五万トンと称せられる膨大な特殊物件を短期間内に搬出する輸送能
力がなかつたため、傘下の民間工場を動員してこれに協力を求めることになり、昭
和二一年二月一日A初め傘下の製作者五〇余社を大阪駅二階に招集して、大鉄局資
材部総務課長Jから特殊物件緊急搬出の経緯を説明して各社に搬出協力を求め、搬
出物件の保管を依頼したが、会議の結果、参集者は大造からの引取物資は将来その
希望全量について省から払下を受け得るもので、その間省発注品の製作に必要なも
のは、大鉄当局の許可を得てこれを使用することができるとの諒解に達し、ここに
各社は下請業者をも動員して大造物資の搬出引取に狂奔した」と記載され、右は原
判決挙示の証拠によつて十分認められる。そして右の事実に原判示二の事実に対す
る原判決挙示の証拠中、被告人Dの「搬出費用は初め鉄道の方から払うといつてい
たが、其後大鉄局の特殊物作処理部の方から運賃を支払うから精算書を持つて来る
ようにという通知があつた」との原審公廷における供述、および原判決挙示の証人
J同Kの原審第五回公判調書中の供述記載等の証拠を合せ考えると、原審が「名社
は省の代行機関として大道物資の搬出引取をした」と認定した事実を証明するに十
分である。それゆえ、原判決は何ら証拠によらないで右の事実を認定した違法もな
い。されば論旨は理由がない。
 同第三点について。
 証拠の証明力は経験則、論理法則に違反しない限り、事実審たる原審裁判官の自
由な判断に委ねられているところである。そして、原審が大阪駅における昭和二一
年二月一日の会議招集状(記録二一八丁)並びに証第三三号の記載を以て、被告人
等の弁疏するように引取と同時に払下を受けた趣旨と解することはできないと説示
したことは、原判決挙示の各証拠を綜合して判断した結果であつて、このように判
断することもできるのであるから、何ら所論のように書証解釈の法則に違背したも
のと言うことはできない。また、原判決が、原審における被告人D、並びに証人J
同Kの各供述によつて認められる昭和二一年二月一〇日の判示のような会議の経緯、
並びにJが単なる一課長に過ぎぬ点から見て、被告人D等右会議に参集した者等に
おいて、引取と同時に払下を受け、引取者の所有に帰するものと信じたとは到底納
得することができないと説示したことについても、何ら所論のように取引通念に反
する等の経験則違背はない。されば論旨は理由がない。
 同第四点および同第一〇点について。
 原判決引用の被告人Dおよび同Cの原審公廷における供述の記載は同被告人等の
原審公廷の供述のうちから不可分の供述の一部を引用して来たものではないから、
右の部分を証拠として判決に引用したことは何ら違法ではない。(なおこの点につ
いては後記論旨第五点についての説明参照)。また、原審第一回公判調書中の被告
人Dの供述記載内容と原判決引用の所論同被告人の供述記載とを対比して調べてみ
ても、右証拠の記載内容に所論のような誤つた掲記をした違法はない。そして原判
示三の被告人等三名の判示のような悪意の事実は右各供述のみを以て認定したもの
ではなく、これらと右判示事実に対する原判決挙示の各証拠、特に被告人Dに対す
る検事の昭和二三年二月三日附聴取書中の同被告人の供述記載、被告人Cに対する
検事の昭和二三年二月一四日附聴取書中の同被告人の供述記載、およびHに対する
検事の昭和二三年二月二四日附聴取書中の同人の供述記載等を綜合して認定したも
のであつて、これら原判決挙示の各証拠を綜合すれば、判示のような被告人三名の
悪意の事実は十分証明することができる。所論は畢竟、事実審たる原審裁判官の自
由裁量に委ねられている証拠の取捨判断を非難するものであつて理由がない。なお、
論旨第四点に引用する各証拠は原審の採用しなかつたところであるから、かゝる証
拠に基いて原審の事実認定を非難する主張も採用することができない。
 同第五点について。
 記録を調べてみると、原判決引用の第一審第二回公判調書中の被告人Bの供述記
載が、右公判調書中の同被告人の不可分の供述の一部を分離して、その供述全体の
趣旨と異る意味において引用掲記したものではないことが明らかであるから、右公
判調書中の同被告人の供述記載中より、原判決引用の供述記載部分のみを分割掲記
したことに何ら違法はない。そして証拠の取捨判断は事実審たる原審裁判官の自由
裁量に委ねられているところであるから、原審が、同被告人の検事聴取書やまた第
一審公判調書中の同被告人の他の供述記載を採用せずに、原判決挙示の第一審第二
回公判調書中の同被告人の供述記載を採用したからといつて何ら違法はない。なお、
右被告人の該供述の記載内容が虚僞であるという証拠はなく、また所論のように右
の記載内容が紛わしい文字で表わしてあるとも考えられない。されば、論旨は理由
がない。
 同第六点および同第八点について。
 原審が適法に認定した事実によると、Aが引取り保管した本件特殊物件は、将来
省から払下を受け得るものであつても、それまでは自由に処分出来るものではなく、
省発注品の資材として使用するについても、一応大鉄局の許可を得なければならな
いものであつて、このことは被告人等の諒知していたものであるというのである。
果してしからば、右特殊物作の保管が、受寄者において寄託者の承諾なくして受寄
物を消費し得ることを内容とする消費寄託でないことは明らかであり、原判決には
何ら論旨第八点にいうような判断遺脱または理由不備の違法はない。まに、被告人
等が省や進駐軍への納入品の材料を入手するため、その見返りとして判示特殊物件
を処分したとしても、右物件については前述のとおり、その不許可使用について禁
止されているものである以上、その許可を得ることなく勝手に処分した被告人等の
本件所為について、横領罪の成立することは明らかであつて、論旨第六点にいうよ
うに事務管理として適法行為であるとすることも出来ない。所論はいずれも原審の
認定した事実と異なり、本件特殊物件がその使用について許可を必要としないとの
前提に立つものであつて、採用することができない。されば論旨はいずれも理由が
ない。
 同第七点について。
 所論のように、当時被告人等が大鉄局の許可を得ることなく、引取物件を進駐軍
に納入する温水器その他の資材を入手するために、その見返りとして処分しなけれ
ばならなかつたような事実の存したことは、原判決の認めなかつたところであるの
みならず、原判決挙示の証拠によると、何人と雖も被告人等と同様に、判示のよう
な事情の下におかれては、本件犯行に出づる以外に必ずしも他に適法行為に出づる
ことを期待し得なかつたとは認めることができないから、論旨は採用することがで
きない。
 同第九点について。
 原判示事実とその挙示する証拠とによれば、被告人等の本件処分行為が事務管理
として適法な行為であり、また期待可能性のない行為であるとの各主張が、いずれ
も理由のないものであることは、論旨第六点および同第七点において説明したとお
りである。されば、原判決が、所論のような、本件処分行為がバーターを原因とす
るか否か、温水器の資材入手にはバーターによる外に方法がなかつたか否かの点に
ついて特に判断を与えなくても、原判決には理由不備の違法はない。また、原判示
事実は被告人等の本件横領罪の判示として欠くるところはない。されば論旨は理由
がない。
 同第一一点について。
 被告人Bが本件引取物件を保管する行為が、A会社における同被告人の業務に属
するものであることは、田邊弁護人論旨第四点において説明したとおりであり、被
告人Cが同じくA会社における同被告人の業務として本件引取物件の保管に当つて
いたことは原審の適法に認定した事実によつて明らかである。しからば、A会社が
運輸省の所有である本件特殊物件を省のために占有保管していることが、A会社の
業務に属するものではないとしても、被告人等三名が共謀して、被告人B同Cの業
務上占有保管する本件引取物件を横領した所為について、被告人等三名に対し業務
上横領罪が成立することは明らかである。それゆえ、論旨は理由がない。同第一二
点について。
 昭和二三年最高裁判所規則三四号刑訴規則施行規則三条三号が憲法に違反するも
のではなく、それゆえまた、原審が同条同号に従つて、第八回公判期日以後引続き
一五日以上開廷しなかつた場合にも公判手続を更新しなかつたことに、何ら違法の
ないことは、田邊弁護人論旨第一点において説明したとおりであつて、論旨は理由
がない。
 よつて、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判
決する。
 以上は、裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 橋本乾三関与
  昭和二六年六月一二日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
 裁判官穂積重遠は差支えのため署名捺印することができない。
         裁判長裁判官    井   上       登

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