弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A弁護人徳岡二郎上告趣意第一点について。
 しかし、少年法五二条にいわゆる少年とは事実審裁判所の判決時における少年を
指すものであるから、所論は採ることができない。
 同第二点について。
 所論第三回公判調書に所論摘示のごとく証拠調をした旨の記載があることは所論
のとおりである。そして裁判所は書類の供述者又は作成者を公判期日において訊問
する請求を為し得ることを被告人に告知する義務がないのであつて、本件では右の
ごとく証拠調をした際被告人又は弁護人からかかる請求をした筆跡が認められない
から原審の手続には所論の違法は存しないものといわざるを得ない。
 論旨はそれ故に採ることができない。
 第三点について。
 論旨は、原審の裁量に属する量刑の不当を主張するものであるから、上告適法の
理由ではない。
 被告人B同Cの弁護人木原一史の上告趣意中Bに関する上告趣意第一、二点につ
いて。
 しかし、所論D提出の盗難被害顛末書は、原審に送致された(記録三七九丁参照)
本件記録中のEに対する捜査記録中に存し、原審第二、三回の公判において被害顛
末書として適法に証拠調が行われていることが記録上認め得られるから、論旨一、
二点とも採用し難い。
 同Cに関する上告趣意第一点について。
 しかし、原判決は被告人五名は小遣銭を得るため他に強盗に押入ることを謀議し、
被告人Cは判示表庭内で判示日本刀の鞘を持つて見張を為し他の被告人等は判示の
ごとく強奪したと認定判示し、その認定は挙示の証拠で肯認することができるから、
原判決には所論の違法は認められない。論旨はその理由がない。
 同弁護人の論旨四について。
 所論は、原審の裁量に属する量刑の妥当を疑問とするものと解せられる。されば
法律審適法の上訴理由となし難い。
 被告人Fの弁護人福井房次の上告趣意について。
 裁判所の構成、事物管轄等は立法政策の問題である。されば、地方裁判所におけ
る裁判官の一人制の規定(裁判所法二六条一項ことに二項二号の除外規定)は違憲
ではない。時宜に応じ独断専行すれば寧ろ憲法三七条の迅速な裁判の要請に答える
ことができる。その趣旨は当裁判所大法廷の判例(昭和二二年(れ)二八〇号同二
三年七月二九日宣告判例集二巻九号一〇〇七頁以下参照)とするところであつて、
今なおこれを変更する必要を認めない。所論はそれ故に採ることができない。
 被告人Gの弁護人本村善太郎の上告趣意第一点について。
 しかし、原判決の主文並びに理由は、被告人等五名に対し所論没収刑を科した趣
旨であること判文上明らかである。それ故所論は採ることができない。
 同二点について。
 論旨は、原審の裁量に属する量刑不当の主張である。されば法律審適法の上訴理
由ではない。
 よつて旧刑訴四四六条に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 長谷川瀏関与
  昭和二五年六月一日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    田   中   耕 太 郎
            裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔

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