弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京北簡易裁判所に差し戻す。
         理    由
 弁護人笈川義雄の控訴趣意は、末尾に添附した別紙記載のとおりである。
 よつて、記録を調査するに、本件起訴状には、公訴事実の二として、「別紙犯罪
一覧表の通り、昭和二十三年以下不詳頃より昭和二十四年十一月二十九日頃に至る
間自宅に於て前後六回に亘りA、B、C、D等が窃取して来た大型リヤカー外衣類
筆(但し犯罪一覧表中第四の事実より煙草丈を除き第五の事実は白ネル丈第六の事
実は大型リヤカー丈)二百六十三点時価合計十一万一百八十一円相当をその賍品た
るの情を知り乍ら買受け以て賦物の故買を為したものである」との記載があり、右
起訴状の末尾に添附された「被告人E賍物故買犯罪一覧表」と題する書面には番号
1乃至6の六つの犯罪事実が記載されていること、及び原審第三回公判調書には、
「検察官は(中略)公訴第二事実中「別紙犯罪一覧表の通り」の次ぎに(但し第
一、第三及び第五の事実を除く)を加入し「昭和二十四年十一月二十九日頃」を
「昭和二十四年十一月二十四日頃」と訂正し「前後六回に亘り」を「Bより前後三
回に亘り」と訂正し(但し犯罪一覧表中第四の事実より煙草丈を除き第五の事実は
白ネル丈第六の事実は大型リヤカー丈)を(但し犯罪一覧表中第四の事実より煙草
丈を除き第六の事実は大型リヤカー丈)と訂正し別紙犯罪一覧表中番号1、3、5
の各欄記載事項を削除した上起訴状を朗読した」との記載があることは、いずれ
も、所論のとおりであつて、以上の各記載をそう合するときは、本件においては、
検察官が、本件を起訴するときには、公訴事実の二として前示一覧表に掲げた番号
1乃至6の六つの各犯罪事実を、公訴事実の一の犯罪事実と共に、全部併合罪の関
係にあるものとして起訴したのであるが、その後、原審第三回公判廷において、検
察官が、前に起訴した右公訴事実中、前示一覧表記載の番号1、3、5の三つの事
実を、公訴事実から取り除こうとしたものと認められることも亦、所論の<要旨>と
おりである。而して、併合罪の関係にある数個の犯罪事実を公訴事実として起訴し
た後に至り、そのうちの一個又は数個の犯罪事実を公訴事実から取り除くに
は、単なる起訴状の訂正、又は、訴因の撤回等の手続によつては、これをすること
ができないものであつて、必ずや、公訴の取消の手続によることを要するものと解
すべきところ、刑事訴訟規則第百六十八条の規定によれば、公訴の取消は、理由を
記載した書面でこれをしなければならないことになつているのに、原審において、
検察官が、理由を記載した書面によつて、公訴の取消をした事実は、記録上これを
認めることができないのであるから、前示のように、原番公判において、検察官
が、公訴事実の二のうち、別紙一覧表記載にかかる番号1、3、5の三つの事実を
公訴事実から取り除こうとしてとつた措置は、ひつきよう、公訴の取消ではなく
て、単なる起訴状の訂正か、若しくは、訴因の撤回の手続をしたに過ぎないものと
認めるの外なく、かような手続によつて、既に起訴した公訴事実を取り除くことの
できないことは、前段説示のとおりであるから、検察官が、原審第三回公判におい
て、起訴状記載の公訴事実の二のうち、公訴事実から取り除こうとした前示三つの
事実は、検察官の右の措置にかかわらず、依然、公訴事実として、原審に繋属して
いたものというべく、従つて、原審においては、該事実についても亦、審判をしな
ければならなかつた筋合である。然るに、原審においては、右三つの事実は、審判
の対象から取り除かれたものとして取り扱い、その後、原審第九回公判において、
検察官が、賍物故買の訴因を賍物牙保の訴因に変更した際にも、右三つの事実に
は、全然触れなかつたのであつて、その結果、原判決においても亦、この三つの事
実については、何らの判決をもしていないことが、記録上明らかであるから、結
局、原判決には、この点において、審判の請求を受けた事件につき判決をしなかつ
た違法があるものというべく、論旨は理由がある。
 よつて、原判決は、到底破棄を免れないので、刑事訴訟法第三百九十七条、第三
百七十八条第三号に則り、原判決を破棄し、同法第四百条本文前段に従い、本件を
原裁判所である東京北簡易裁判所に差し戻すこととして、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 大塚今比古 判事 山田要治 判事 中野次雄)

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