弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
         理    由
 本件抗告の趣意は、別紙特別抗告状記載のとおりである。
 抗告趣意第一点は、判例違反を主張する。すなわち、原決定は、地方裁判所の支
部に係属した事件を本庁または他の支部に係属させること(以下事件の回付という。)
は、地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則(昭和二二年最高裁判所規則第一四号、
以下地方裁判所等支部設置規則という。)並びに裁判官会議の定めるところに従つ
てなすべきものであつて、地方裁判所内部の事務の分配にすぎず、訴訟法上の管轄
に関するものではなく、また、これに準じて処理すべきものでもないから、訴訟法
上の抗告の対象となし得ないと判断しているが、右判断は、事件の回付に対しても
訴訟法上の抗告をなし得るとする判例(昭和四二年(ラ)第三六四号、第三六五号
同年七月一四日東京高等裁判所決定、民集二〇巻四号三二九頁)に違反する、とい
うのである。
 ところで、憲法七七条一項、裁判所法三一条一項に基づき、最高裁判所は、裁判
所の司法事務処理に関する事項として、地方裁判所等支部設置規則を制定し、地方
裁判所の支部の名称、権限、管轄区域を定めている。右規則により設けられた地方
裁判所の支部は、地方裁判所の事務の一部を取り扱うため、本庁の所在地を離れて
設けられたものであるが、原則として、独立の司法行政権を与えられていないから、
それ自体司法行政官庁ではなく、司法行政官庁としての本庁に包摂され、外部に対
しては本庁と一体をなすものであつて、支部の権限、管轄区域は、裁判所内部の事
務分配の基準にすぎないものと解すべきである。
 所論引用の判例は、「地方裁判所の本庁と支部又は支部相互間に上記規則によつ
て、それぞれ管轄区域が定められた所以は、本来国民に対する司法行政上の便益供
与に出たものにすぎないとしても、確立された管轄区域によつて、一たん保護され
るに至つた国民の権利は、単なる事務取扱上の措置を理由に任意に剥奪されうるが
ごときものと謂うを得ない。」という。しかし、訴訟法上の管轄は、国民の基本的
権利に直接関係あるものとして、本来法律で定められるべき事項であり、現にこの
点については、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律(昭和二二年法律第六
三号)によつて規定されているのである。管轄によつて保護される国民の法的利益
は、右の法律をもつて限度とされていることは極めて明らかであり、国民の便宜供
与の目的に出るとはいいながら、裁判所の司法事務処理に関する事項として制定さ
れた地方裁判所等支部設置規則による管轄区域の定めは、裁判所内部の事務分配の
定めであるにすぎず、この定めによつて、国民が何らかの利益を受けるとしても、
それは、単に国民の事実上の利益にとどまり、法的利益にまで高められたものとは
いえない。したがつて、地方裁判所の本庁と支部間あるいは支部相互間の事件の回
付は、訴訟法上の手続ではないから、回付の措置に対しては、当事者は、訴訟法に
準拠する不服申立はできないものといわなければならない。
 以上の次第で、所論引用の判例は、これを変更し、原判断を維持するのが相当で
あると認められるから、所論は、結局、理由なきに帰する。
 つぎに、抗告趣意第二点は、事件の回付の性質につき、原決定の法令解釈は誤り
であり、所論引用の判例に違反することを前提として、原決定の憲法三二条、三七
条一項違反を主張する。しかし、事件回付の性質に関する原決定の法令解釈は正当
であるから、所論違憲の主張は前提を欠き、採用することができない。
 よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり決定する。
  昭和四四年三月二五日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄
            裁判官    飯   村   義   美
            裁判官    関   根   小   郷

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