弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 職権をもつて審査するに、原判決は、本件被告人の犯罪事実として、「被告人は
自己所有に係る名古屋市a区b町c丁目d番宅地二百坪を、之に隣接する土地百二
十五坪並びに該地上の建物(工場)機械電話等と共に、昭和二〇年五月初頃同所に
おいてAに対し代金五十万円で売却したが、同月一七日空襲により右工場は罹災し
たので、同月二〇日頃右代金を四十万円に値下したが、之が移転登記をせずAの為
占有中、昭和二二年四月一六日頃同市e区f町名古屋司法事務局f出張所において
擅にBに売却し、その旨の所有権移転登記を為し、以て横領したものである。」と
判示している。
 しかし、記録を精査すれば、被告人が原判示のように本件土地をAに売却した昭
和二〇年五月において、右の土地が被告人の所有に属していた旨の判示については、
これを首肯する証拠に乏しく、右物件は当時、むしろ名古屋市若しくはC鉄工組合
の所有に属していたことを推測せしめるのであつて、原判決はまづこの点において
事実誤認の疑あるのみならず、次で原判決は昭和二二年四月一六日被告人が本件土
地をBに売却しその旨の所有権移転登記をしたことをもつて、被告人は右土地をA
のため占有中、擅にBに売却しその旨移転登記をして、これを横領したものである
とするのであるが、右判示の趣旨は、右行為の当時本件土地はAの所有に属し、被
告人はAの為に占有中であつたことを前提とするものであることはあきらかである。
しかし、被告人が本件土地をAに売却した昭和二〇年五月の当時、本件土地が被告
人の所有に属するものとする点において原判決に事実誤認の疑あることは前段説示
のとおりであるから、右売買によつて直にAは本件土地の所有権を取得するものと
即断すべきではなく、そのうえ記録によれば、被告人はその頃Bに対しても本件土
地を譲り渡している事実をも窺知することができる。これらはいずれも被告人にお
いて他人の所有物を譲り渡したものと解するの外なく、その後昭和二一年四月に至
つて本件土地について、被告人のため所有権取得の登記の為されていることは記録
上あきらかであるけれども、如上の事実関係においては、原判示のごとく本件土地
が前示横領行為の当時、Aの所有に帰属していたとするについては、原判決はその
事実上、法律上の理由をあきらかにしないものというべく、ひつきよう原判決は前
示事実誤認の疑ある点にもとづき、さらに理由不備の違法あるに帰着し、この点に
おいて破棄を免れないものというべきである。
 よつて上告論旨に対する判断を省略し、刑訴四一一条、四一三条にもとづき全裁
判官一致の意見により主文のとおり判決する。
 検察官 斎藤三郎公判に出席
  昭和三五年五月六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奧   野   健   一

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