弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 検察官福岡高等検察庁検事長柳川真文の上告趣意第一点について。
 原判決は、本件ラムネ弾につき、次のように判示している。
 「原審(第一審)並びに当審(原審)において取調べた証拠によれば、本件ラム
ネ空瓶に注入されていたカーバイドの推定注入量は、原判決(第一審判決)の認定
しているように、一七・三瓦ないし二〇瓦であつて、これに適量の水を注入し、夜
間午前零時三〇分頃被害者Bがその家族とともに就寝していた社宅東側六畳の室に
向つて、高さ約一・八米の板塀越しに、同家南側空地の距離にして約六・五米隔つ
た地点から投擲されたもので、該ラムネ弾は同家屋軒上の屋根瓦にあたり、不爆発
のままラムネ瓶の中央辺から二個に割れ、同被害者方裏庭に落下したものであるこ
と、右屋根瓦の衝突個所に汚白色の粉末が少量、又裏庭落下地点にも同様汚白色の
粉末が附着しており、落下したラムネ瓶破片の上部にあたる口からゴムパツキング
の一部がはみ出ていて(記録四五二丁の写真並びに当審(原審)第六回公判におけ
る証人Cの供述調書、同公判における検証結果の記載、並びに添附写真参照)、球
栓が栓座に接着せず完全な密閉がなされなかつたため、水の注入により発生したア
セチレンガスは、瓶中から外部に飛散して爆発現象を惹起していないことをそれぞ
れ認めることができる。これを当審(原審)鑑定人Dの鑑定の結果と合せ考えれば、
本件ラムネ瓶については、球栓が栓座に接着する可能性は、殆んどなかつたのであ
り(当審(原審)第三回公判における鑑定証人Dの供述記載二枚目表最終行および
五枚目表)、また本件ラムネ瓶の割れた原因は、屋根に当つたためであつて、爆発
現象によるものでないことがほぼ確実視され(前掲鑑定証人の供述記載四枚目裏)、
特にラムネ瓶のゴム輪が外にめくれたものの爆発現象に関する同鑑定人提出の鑑定
書(昭和三六年五月一五日受理)にある本件ラムネ弾の場合に該当すると思料され
る実験例、すなわち、ゴム輪の一部が七ないし八耗程度頭部に向つてめくれている
場合について実験した結果によれば、一五瓦並びに二〇瓦のカーバイドに適量の水
を注入したものが、いずれも瓶壁の破壊現象を惹起していないのであるから、瓶壁
の破裂飛散に伴う爆音、並びに右破片の飛散命中による破壊力は、少しも発生しな
いものといわねばならず、従つてこれをラムネ弾投擲の動作によつて投擲したから
といつて、前示大法廷判決(昭和二九年(あ)第三九五六号、同三一年六月二七日
最高裁判所大法廷判決、刑集一〇巻六号九二一頁以下)に示された公共の安全をみ
だし、または人の身体財産を害するに足る破壊力を有するもの、すなわち、爆発物
を使用したことにならないことは、極めて明らかであるといわねばならない。しか
も右実験例に示されたゴム輪のめくれは、投擲前から発生していたものとせねばな
らないのであつて、投擲途中においてかかる現象の発生することは殆んど考えられ
ないことが、当審(原審)第八回公判における前掲鑑定証人Dの供述によつて窺知
されるから、本件はたまたま使用された爆発物が、不発弾であつた場合とも異るこ
とは、明らかである。」
 以上引用した原判決の判示によれば、原審は、証拠により、本件ラムネ瓶が、判
示のようにゴムパツキングの不完全であつたため瓶自体の構造上の欠陥により所論
爆発物取締罰則にいう爆発物に該当する破壊力を有し得なかつたものである旨を認
定し、結局本件ラムネ弾は右罰則にいう爆発物に該当しないと判断しているのであ
つて、右判示は、挙示の証拠に照らし是認し得ないものではない。
 所論は判例違反をいうが、引用の判例のうち明治二五年一月一四日大審院判決お
よび大正七年五月二四日大審院判決は、いずれもいわゆるラムネ弾に関する判例で
はないから、本件には適切でなく、また昭和三四年六月四日最高裁利所第一小法廷
判決および同年一二月二二日同第三小法廷判決は、いずれもいわゆるラムネ弾が爆
発物取締罰則にいう爆発物に当るとするために必要なラムネ瓶の内容物に関するも
のであつて、ラムネ瓶自体の構造に原判示のごとき欠陥の存する場合に関する判示
でない点において、本件とは事案を異にし本件には適切でない。それ故、所論判例
違反の主張は前提を欠き、採るを得ない。
 同第二点について。
 所論は単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(
原審が、所論昭和三四年一二月二二日最高裁判所第三小法廷の破棄差戻判決の判断
に拘束されることは所論のとおりであり、また右判決が、所論の当裁判所判例を引
用判示していることも所論のとおりである。しかし、右引用の判例は、本件に適切
でないことは前記上告趣意第一点に対する説示中に述べたとおりである。それ故、
原判決は、所論判例に違反する点はなく、所論の違法は認められない。)
 同第三点について。
 所論は事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。よつて同
四一四条、三九六条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。検
察官玉沢光三郎公判出席
  昭和三八年一月一七日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    斎   藤   朔   郎

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