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         主    文
     一、 原判決を次のとおり変更する。
     二、 第一審原告は第一審当事者参加人に対し、金四六万〇、五七九円
及びこれに対する昭和四一年三月一八日以降完済に至るまで年六分の割合による金
員を支払え。
     三、 第一審当事者参加人と第一審被告との間において、第一審被告が
別紙目録記載の債権のうち、金四六万〇、五七九円につき取立ての権限を有しない
ことを確認する。
     四、 第一審原告と第一審被告間において、昭和三九年八月三〇日付営
業譲渡契約に基づく第一審原告の債務は残代金四六万〇、五七九円及びこれに対す
る昭和四一年三月一八日以降完済に至るまで年六分の割合による遅延損害金をこえ
ては存在しないことを確認する。
     五、 第一審被告は第一審原告に対し、金二、〇三〇円を支払え。
     六、 第一審当事者参加人及び第一審原告のその余の請求はいずれもこ
れを棄却する。
     七、 訴訟費用は第一、二審を通じ、第一審原告と第一審被告との間に
生じたものはこれを二分し、その一を第一審原告、その余を第一審被告の負担と
し、第一審被告と第一審当事者参加人との間に生じたものはこれを二分し、その一
を第一審被告の、その余を第一審当事者参加人の負担とし、第一審当事者参加人と
第一審原告との間に生じたものはこれを二分し、その一を第一審当事者参加人の、
その余を第一審原告の負担とする。
     八、 この判決は、第二項に限り仮に執行することができる。
         事    実
 第一 申立
 一、 第一審当事者参加人代理人の求めた裁判
 「(一)原判決を取消す。(二)第一審原告は第一審当事者参加人に対し、金八
七万七、五九六円及び内金八〇万七、三六六円に対する昭和四一年三月一八日以
降、内金七万〇、二三〇円に対する昭和四四年九月二五日以降各完済に至るまで年
六分の割合による金員を支払え。(三)第一審当事者参加人と第一審被告との間に
おいて、第一審被告が別紙目録記載の債権につき自ら取立てる権限を有しないこと
を確認する。(四)第一審被告の控訴を棄却する。(五)訴訟費用は第一、二審と
も第一審原告及び第一審被告の負担とする。」との判決(第二項のうち、金八〇万
七、三六六円及びこれに対する昭和四一年三月一八日以降完済に至るまで年六分の
割合による金員をこえる金員の支払を求める部分は当審において請求を拡張したも
の)並びに第二項につき仮執行の宣言
 二、 第一審被告代理人の求めた裁判
 「(一)原判決中第一審被告の敗訴部分を取消す。(二)第一審原告の請求を棄
却する。(三)第一審当事者参加人の控訴を棄却する。(四)訴訟費用は第一、二
審とも第一審原告及び第一審当事者参加人の負担とする。」との判決
 三、 第一審原告代理人の求めた裁判
 「(一)第一審当事者参加人及び第一審被告の各控訴を棄却する。(二)控訴費
用は、昭和四三年(ネ)第六六三号事件については第一審当事者参加人の、同年
(ネ)第六六五号事件については第一審被告の各負担とする。」との判決
 第二 主張
 一、 第一審原告代理人の陳述
 (一) 請求原因
 1 第一審被告は、昭和三九年八月三〇日第一審原告と第一審被告との間に「第
一審被告が、訴外愛知ヤクルト協同組合(以下訴外愛知協同組合と略称する)から
発酵乳製品(商品名クロレラマクルト、以下クロレラヤクルトという)を仕入れ、
これを愛知県知多郡北知多地区即ちa町、b町、c町、d町に存する小売店に卸売
販売をなす第一審被告の営業を代金六〇〇万円で第一審原告に譲渡する。」旨の営
業譲渡契約が成立し、右契約に基づく譲渡代金残額金八〇万七、三六六円の債権を
有すると主張している。しかし、第一審原告は、第一審被告と右のような営業譲渡
契約を締結したことがなく、従つて、第一審被告に対し該契約に基づく譲渡代金債
務を負担していないので、第一審被告との間で右債務の不存在の確認を求める。
 2 第一審原告は、第一審被告が納税すべき昭和三八年四月一日から昭和三九年
三月三一日までの愛知県知多郡a町に対する法人町民税金二、〇三〇円を昭和四〇
年一二月九日第一審被告のために立替納入したので、第一審被告に対し右立替金
二、〇三〇円の支払を求める。
 (二) 第一審当事者参加人の請求原因に対する答弁
 第一審当事者参加人がその請求原因として主張する事実のうち、第一審被告が第
一審原告に対し第一審当事者参加人主張のような経緯で残代金八七万七、五九六円
の債権を有することを否認する、第一審被告がクロレラヤクルトの卸売販売をして
いたこと、第一審当事者参加人がその主張のような差押え通知を第一審原告にした
こと及び第一審原告が第一審当事者参加人の請求にかかわらず請求金員の支払をし
ないことを認める、その余の事実は知らない。
 (三) 営業譲渡人に関する主張
 第一審被告及び第一審当事者参加人が主張する甲第一号証による営業譲渡契約
(以下本件営業譲渡契約という)は第一審原告と第一審被告との間に締結されたも
のではなく、第一審原告と訴外Aとの間に締結されたものである。即ち、
 1 クロレラヤクルトの製造販売の組織は、特許登録第一八三一五六号の実施権
限を有する訴外株式会社ヤクルト本社(以下訴外ヤクルト本社という)を頂点と
し、訴外ヤクルト本社が右権利の実施として全国を小地域に細分し、各地域毎にク
ロレラヤクルトの処理加工及び販売をなす業者(この業界においては営業所と呼ば
れている)を契約により設定し、右営業所は更に販売の下部機関として小売業者
(販売店と呼ばれている)を持ち、この販売店を通して需要者に配達し販売するも
のである。
 2 クロレラヤクルトの製造は、まず訴外ヤクルト本社において原液製造工場を
有し、同工場において製造した原液を各営業所に販売するのであるが、営業所が各
自に右原液の処理加工工場を持つことは不可能なので、営業所を組合員とする協同
組合を結成し、右協同組合において加入組合員全員のために共同施設として処理加
工工場を保有し、組合員である営業所が訴外ヤクルト本社より購入した原液を同工
場で処理加工して製品とし、組合員である営業所に売り渡し、営業所はこの製品を
販売店に売り渡すのである。協同組合は、処理加工した製品を組合員たる営業所に
だけ販売し、他の者に販売しないので、クロレラヤクルトの製造販売(小売を除
く)に関与できるものは、外訴ヤクルト本社との間の契約によつて、限定された地
域において訴外ヤクルト本社から委託されたクロレラヤクルトの処理加工及び販売
の権利(以下販売権という)を有する者だけである。
 3 訴外Aは、昭和三五年九月八日訴外ヤクルト本社との契約によつて愛知県知
多郡b町、a町、c町、d町の地域におけるクロレラヤクルト処理加工及び販売を
許容されており、右権限に基づき訴外愛知協同組合に加入して同組合から製品を購
入し販売(卸売)をしていたものである。訴外ヤクルト本社との契約においても、
訴外愛知協同組合の組合員名義も、すべて訴外Aの個人名義であつた。もつとも、
訴外Aは第一審被告を設立した後は、第一審被告にクロレラヤクルトの処理加工及
び販売を行わせていたが、それは訴外ヤクルト本社との契約条項第一四条に違反す
る営業の再委任若しくは名義利用であつて、訴外ヤクルト本社はもとより訴外愛知
協同組合に対抗し得ない法律関係である。個人営業者が法人を組織して個人の営業
用資産等を当該法人に引継いだときでも、第三者に対してこれを主張するために
は、当該資産の個々について所定の対抗要件を具備しなければならないものであ
る。本件において、訴外Aが第一審被告にクロレラヤクルトの販売権を譲渡したも
のとすれば、訴外ヤクルト本社との契約上その旨訴外ヤクルト本社に届け出て契約
当事者の変更をしなければ訴外ヤクルト本社その他第三者に対しこれを主張するこ
とができないが、右届け出はなされていないものである。
 4 本件営業譲渡契約において譲渡の中心目的となつたものは、あくまでクロレ
ラマクルトの販売権即ち訴外ヤクルト本社から許容されていた契約上の権利及び訴
外愛知協同組合に対する組合員の地位であつたから、本件譲渡契約の相手方は、該
契約締結当時訴外ヤクルト本社との契約上の権利義務者であり訴外愛知協同組合の
組合員であつた訴外Aであつたこと明らかである。本件譲渡契約の目的物件中に第
一審被告の所有に属する資産が仮にあつたとしても、それはいわゆる他人の物、他
人の権利の売買と目さるべきものであつて、これをもつて第一審被告が本件譲渡契
約の当事者と考えなければならない理由とすることはできない。第一審被告は契約
書(甲第一号証)の本文中には譲渡人として正しく訴外Aの氏名が記載されている
にもかかわらず、同契約書の末尾の署名捺印欄に誤つて第一審被告の記名がなされ
ているのを奇貨として、本件営業譲渡契約が第一審被告と第一審原告との間に締結
されたと事実に反する主張をなすものである。
 (四) 仮定抗弁
 仮に、本件営業譲渡契約が第一審原告と第一審被告との間に締結されたものとし
ても次のとおり本件営業譲渡代金六〇〇万円は全額消滅している。
 1 第一審原告は、次のとおり総計金五五〇万七、〇二九円に上る金員を、本件
営業譲渡代金として、第一審被告に対して直接弁済し又は右代金に充てるため第一
審被告に代りその債権者に弁済した。
 (1) 第一審被告に直接弁済した分。昭和三九年八月三〇日金五〇万円、昭和
四〇年三月一〇日及び同年四月三〇日各金二〇万円、昭和三九年九月から昭和四〇
年五月までの間九回にわたり毎月末日金五万円宛の金四五万円、合計金一三五万
円。
 (2) 第一審被告の債権者に対し第一審被告に代り弁済した分。(イ)昭和三
九年八月三一日訴外愛知協同組合に対し金三九五万七、〇二九円(内訳、買掛金三
六四万二、六三四円、借入金一三万八、一九八円、仮受金一万〇、〇二八円、立替
金一六万六、一六九円。)。(ロ)同年一二月二六日訴外Eに対し金二〇万円。
 (3) なお、第一審当事者参加人は訴外愛知協同組合に対する右第一審原告の
弁済額から、第一審被告が同訴外組合に対し昭和三九年八月三一日現在有していた
債権額合計金三八万四、六二五円を差引いた金三五七万二、四〇四円が本件営業譲
渡代金に充てらるべきものである旨主張し、第一審被告もその計算に依つて主張し
ている。しかし乍ら、右第一審被告の債権は本件営業譲渡の対象に含まれており、
右差引き計算に供さるべきものではない。
 2 前記弁済により本件営業譲渡残代金は金四九万二、九七一円となつたが、第
一審原告は第一審被告に対し、次のとおり反対債権を有するので、昭和四五年六月
五日開かれた当審口頭弁論期日において、右両債権を対等額で相殺する旨意思表示
した。
 (1) 第一審被告の代表者である訴外Aは、昭和四〇年六月一日から第一審被
告が第一審原告に譲渡した営業と同一業種、同一営業形態に属するクロレラプレツ
トの卸売販売業を開始した。クロレラプレツトはまず商品名においてクロレラヤク
ルトとまぎらわしく、その品質においても全く同一の発酵乳製品であり、クロレラ
ヤクルトの模造品にほかならない。訴外Aは、右クロレラプレツトを、本件営業譲
渡契約により第一審被告が第一審原告に引継いだ、該契約地区内の第一審原告が現
に取引中の小売店を対象として販路拡張を企て、そのうちc町及びd町所在の小売
店訴外Bほか六名をして第一審原告との取引を中止させ、右クロレラプレツトの小
売店とした。
 (2) ところで、第一審被告は税金対策上設立された訴外Aのいわゆる個人会
社であり、そのことはその組織の実態及び営業内容からも明らかである。そのよう
なところがらすれば、商法第二五条により営業譲渡人に認められている競業避止義
務は、本件営業譲渡人である第一審被告自身のみならず、その代表者である訴外A
が個人名義をもつてなす競業をも避止しなければならない義務をも含むものという
べきである。従つて、第一審被告は右訴外人のなした競業により第一審原告の蒙つ
た損害を賠償しなければならない義務がある。
 (3) 第一審原告が前記訴外Aの競業行為により蒙つた損害は次のとおり総額
金一一九万五、〇九八円となる。
 (イ) 前記競業行為により、第一審原告のクロレラヤクルトの販売量はたちま
ちのうちに小瓶換算一日二、〇〇〇本近くの減少を見、更に減少するおそれもあつ
たので、第一審原告は業界の応援を求め、昭和四〇年六月七日から同月一六日まで
対策本部を設置し、クロレラプレツトの駆逐に全力を傾倒したが、右対策本部の設
置その他宣伝に要した費用は金二五万八、六六一円に達した。
 第一審原告はそのうち金二万七、八八七円を負担し、同額の損害を蒙つた。
 (ロ) 右のように防禦対策を講じた結果、若干頽勢の挽回に成功した。しか
し、前記クロレラプレツトの販売に切り替えた七店に対する第一審原告の従前の取
引量小瓶換算一日一、五八五本(昭和四〇年五月の一日平均量)は遂に奪回でき
ず、このため昭和四〇年六月一日以降昭和四一年二月八日までで、一日金四、二七
九円五〇銭、合計金一一六万七、二一一円の得べかりし利益を失い、同額の損害を
蒙つた。
 3 本件営業譲渡契約により避止を義務づけられる競業はあくまで、当該契約当
事者である第一審被告自身の競業であり、たとえ代表者であつても個人名義でなし
た競業は右義務違反を構成しないとしても、それは信義則に違背すること顕著なも
のであるから、譲渡人である第一審被告がなす本件営業譲渡代金債権の行使は代表
者である前記訴外Aがなした競業により第一審原告が蒙つた損害額の限度で権利の
濫用となり、許容さるべきではない。
 二、 第一審被告代理人の陳述
 (一) 第一審原告の請求原因に対する答弁並びに主張
 1 第一審原告が請求原因として主張する事実は、第一審原告が第一審被告と第
一審原告主張の営業譲渡契約を締結したことなく、従つて、第一審原告において第
一審被告に対し該契約に基づく譲渡代金の未払債務を負担していないとの部分を除
き、その余を認める。
 2 訴外Aは、昭和二八年頃よりヤクルトb営業所という名称で、訴外愛知協同
組合からクロレラヤクルトを仕入れ、これを愛知県知多郡北知多地区(a町、b
町、c町、d町)にある小売店に卸売販売をする営業をしていた。
 3 第一審被告は、昭和三四年四月二八日設立された会社であるが、設立と同時
に訴外Aより同人の前記営業を譲り受け、前記卸売販売業を営んできた。そして、
第一審被告は、昭和三九年八月三〇日第一審原告との間に、右卸売販売の営業を代
金六〇〇万円で第一審原告に譲渡する旨の営業譲渡契約を締結し、右営業を第一審
原告に譲渡したので、その後は全く営業を行なつていない。
 4 第一審原告は第一審被告に対し右契約に基づく譲渡代金六〇〇万円のうち金
五一二万二、四〇四円を支払つたが残金を支払つていない。従つて、第一審原告の
本訴は失当である。
 (二) 第一審原告の営業譲渡人に関する主張に対する反論
 1 第一審原告は、本件営業譲渡契約の当事者が第一審原告と訴外Aであること
を証する事実として種々述べているが、第一審原告も自認するとおり、右契約につ
き作成された契約書(甲第一号証)には、譲渡人は第一審被告、譲受人は第一審原
告と明記されているのであり、これによつて該契約が第一審被告と第一審原告との
間に締結されたものであることは極めて明らかである。
 2 更に、次の事実によつても、第一審原告の述べるところが誤であること明白
である。
 (1) 第一審被告は、設立されてからその営業を第一審原告に譲渡するまで、
訴外愛知協同組合よりクロレラヤクルトを仕入れていたが、その代金は第一審被告
振出の小切手をもつて支払つている。訴外愛知協同組合は、右小切手に自ら裏書し
て取立てており、第一審被告の営業を認めているのである。
 (2) 第一審原告は、先に第一審被告を相手方とし「本件営業譲渡契約が第一
審被告との間に成立したこと、該契約に基づく代金債務につき未払がないこと」を
主張し、債務不存在の確認を求める訴訟を提起している(名古屋地方裁判所昭和四
一年(ワ)第一〇七三号事件)。
 (3) 本件営業譲渡契約に基づき第一審原告が取得した自動車(愛○ぬ○×△
□ダツトサ)ンは、第一審被告の所有であり、第一審原告はこのことを知悉してい
た。
 (4) 第一審原告は、訴外愛知協同組合の専務理事をしており、訴外Aがその
営業を第一審被告に譲渡し、第一審被告においてクロレラヤクルトの卸売販売の営
業をしていたことを了知していた。
 3 第一審原告こそ訴外ヤクルト本社との契約書(甲第三号証)において訴外A
の個人名が記載されていることを奇貨として事実に反する主張をしているものであ
る。
 (三) 第一審原告の仮定抗弁に対する答弁
 1 弁済について
 第一審被告の訴外愛知協同組合に対する債権が本件営業譲渡の対象に含まれてい
たとの点は争う。
 2 競業避止義務違反について
 (1) 前記北知多地区における第一審原告主張のクロレラプレツトの販売権を
有していたのは訴外Cであり、実際にその販売行為を行なつたのも、同人であつ
て、当該販売行為は第一審被告と全く関係のないことである。けだし、第一審被告
は本件営業譲渡によりその所有資産の一切を失い、事実上解散状態であつて、爾後
法人活動は全く休止していたもので、クロレラプレツトの販売を行う筈もなく、又
事実上もこれをなしえなかつたものである。
 (2) 仮に、第一審被告の代表者であつた訴外Aが当時クロレラプレツトの販
売権を有していた訴外Cの依頼によりクロレラプレツトの販売行為に関与したとし
ても、前記のとおり第一審被告は休業状態であつたため、第一審被告の営業活動な
るものは存在せず、すべて訴外A個人の行為であるが、同人とてもクロレラプレツ
トの販売権は有しておらず、単に訴外Cの販売行為を補助したにすぎないものであ
る。
 (3) 第一審原告主張の対策本部費用には、第一審原告のクロレラヤクルト販
売のための宣伝費用と認められる部分も相当あり、そのような費用は本来訴外愛知
協同組合が負担すべきものとされていたのであるがら、第一審原告の損害とはなり
えない。
 3 権利濫用について
 第一審原告の主張はすべて否認する。
 (四) 第一審当事者参加人の請求原因に対する答弁
 第一審当事者参加人が請求原因として主張する事実を認める。
 三 第一審当事者参加人代理人の陳述
 (一) 請求原因
 1 第一審当事者参加人は、第一審被告に対し昭和四二年五月三一日現在におい
て既に納期限を経過した昭和四〇年度決定の法人税総額金一一六万六、八七一円の
租税債権を有している。
 2 第一審被告は、クロレラヤクルトの卸売販売を業としていたものであるが、
昭和三九年八月三〇日第一審原告との間に営業譲渡契約を締結し、該契約に基づき
譲渡代金債権金六〇〇万円を取得した。
 しかして、第一審被告は訴外愛知協同組同に対し、債務として、買掛金三六四万
二、六三四円、借入金一三万八、一九八円、仮受金一万〇、〇二八円、未払金一六
万六、一六九円、合計金三九五万七、〇二九円を、債権として、昭和三八年度出資
配当金五万七、〇〇〇円、同年度積立金五万二、六五二円、同年度利用度割戻金一
九万三、九一八円、同年度販売促進費金七万三、三〇五円、昭和三九年度積立金
七、七五〇円、合計金三八万四、六二五円を有していたが、第一審原告は訴外愛知
協同組合に対し、右第一審被告の債務を代位弁済するとともに、同訴外組合から右
債権の弁済を受けて清算し、第一審被告のため金三五七万二、四〇四円を現実に出
捐した。そのほか、第一審原告は、第一審被告が訴外Eに対し負つていた債務金二
〇万円を代位弁済し、また第一審被告に対し金一三五万円を直接弁済した。従つ
て、第一審被告は、第一審原告に対し、なお前記譲渡代金六〇〇万円から右合計金
五一二万二、四〇四円を差し引いた残金八七万七、五九六円の債権を有している。
 3 第一審当事者参加人は、昭和四一年三月一七日滞納処分として第一審被告が
第一審原告に対して有する右金八七万七、五九六円の債権のうち金八〇万七、三六
六円につき差押をなし、さらに昭和四四年九月二四日残余の金七万〇、二三〇円に
つき追加して差押をなし、それぞれその旨第一審原告に通知をし、右債権の取立権
を取得した。なお、右各差押の通知に際し、履行期限を右各差押の日として納付方
を求めたが、第一審原告において右各履行期限を経過するも納付しないものであ
る。
 4 右被差押債権の存在について第一審原告と第一審被告との間において既に訴
訟が係属しているので、第一審当事者参加人は民事訴訟法第七一条により右訴訟に
参加し、第一審原告に対しては、右債権金八七万七、五九六円及び内金八〇万七、
三六六円に対しては右最初の差押の日の翌日である昭和四一年三月一八日以降、残
金七万〇、二三〇円に対しては右追加差押の日の翌日である昭和四四年九月二五日
以降各完済に至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求め、
第一審被告との間で第一審被告が右債権につき取立権を有しないことの確認を求め
る。
 (二) 第一審原告の営業譲渡人に関する主張に対する反論
 第一審原告は、クロレラヤクルトの販売権を有するものは訴外ヤクルト本社との
契約によりこれを取得したものに限られ、契約上右販売権は訴外ヤクルト本社の承
認がなければ、第三者に譲渡することができないものであり、また、第三者にクロ
レラヤクルトの製造販売行為を委託することも許されないところ、本件においては
右販売権を取得していたのは訴外A個人であり、同人から第一審被告に対しこれが
適法に譲渡された事実もないから、主として右販売権をその対象とした本件営業譲
渡契約を締結しえたのは訴外A個人であつた旨主張する。しかし、同人はその有し
ていたクロレラヤクルトの販売権を第一審被告に適法に譲渡していたものであり、
本件営業譲渡契約の譲渡人は第一審被告なのである。
 即ち
 1 訴外Aは、昭和二八年頃訴外ヤクルト本社との契約によつて愛知県知多郡a
町、b町、c町地区におけるクロレラヤクルトの販売権を取得し、更に、昭和三三
年訴外Dから同郡d町地区の販売権を譲り受け、訴外愛知協同組合からクロレラヤ
クルトを仕入れ、右地区(北知多地区)内においてその卸売販売の個人経営をして
いた。右のようにヤクルトの販売権は訴外Aに帰属していたが、昭和三四年四月二
八日同人は、クロレラヤクルト及び乳製品の販売並びにこれに附帯する業務を目的
とする資本金五〇万円の第一審被告を設立し、自らその代表者となり、右販売権及
び右卸売営業上の資産、負債の一切を第一審被告に譲渡した。第一審被告は爾後昭
和三九年八月三〇日までクロレラヤクルト及び乳製品の卸売販売の営業を継続して
いたが、同日右販売権を含めその営業を第一審原告に譲渡したものである。このこ
とは、次の事実により明らかである。
 (1) 第一審被告は、その設立時である昭和三四年四月二八日から昭和四〇年
三月三一日までの間(但しクロレラヤクルトの販売は昭和三九年八月三〇日まで)
におけるクロレラヤクルト及び乳製品等の販売営業にかゝる法人税納税申告書を各
決算期ごとに所轄半田税務署長に提出しているが、同納税申告書の添付書類である
損益計算書においては、訴外愛知協同組合からのクロレラヤクルト等の仕入金額、
これを小売店に卸売した売上金額、その営業に要した諸経費の金額を明らかにして
収支計算を行つており、貸借対照表には、前記訴外Dから譲り受けた営業権、第一
審被告の営業上必要であつた訴外愛知協同組合への出資金及び訴外雪印乳業株式会
社に対する取引保証金等を第一審被告の資産として計上し、営業用に使用していた
車輌及び什器、備品についても一切第一審被告の資産として計上し現実に第一審被
告が使用し、減価償却も行なつていた。これ等の事実に照らせば、クロレラヤクル
ト販売にかゝる営業上の諸権利が第一審被告に帰属していたことは明らかである。
 (2) 第一審原告が本件営業譲渡により譲り受けた資産の内第一審被告におい
て営業用に使用していた車輌(ダツトサン、登録番号愛○ぬ○×△□号)が含まれ
ているが、右車輌は第一審被告において昭和三六年三月三日訴外名古屋ダイハツ株
式会社から購入し所有していたものである。第一審原告は、本件営業譲渡により右
車輌を譲り受けた後これを訴外名古屋日産モーター株式会社に対し新車購入のため
の下取車として提供している。その際、第一審原告は、同訴外会社に対し右車輌の
使用者は第一審被告であつた旨を告知している。この事実をもつてしても、本件営
業譲渡の相手方が第一審被告であること明らかであり、第一審原告もこれを知悉し
ていたものである。
 (3) 第一審原告は、昭和四一年四月一四日半田税務署長に対し本件債権差押
につき「債権差押通知書の異議申立書」を提出したが、同書においても本件営業譲
渡に基づく債権者が第一審被告であることを明記している。さらに第一審原告は、
昭和三九年一二月二六日第一審被告の訴外Eに対する借入金債務二〇万円を代位弁
済した上、同相当金額を本件営業譲渡の代金の未払分と相殺している。この事実か
らも、第一審原告が第一審被告より本件営業の譲渡を受けたこと明らかである。
 2 そして、前記訴外Aから第一審被告に対するクロレラヤクルトの販売権の譲
渡について訴外ヤクルト本社の明示の承認がなかつたとしても、本件営業譲渡当時
においては、前記のように個人が訴外ヤクルト本社との間でクロレラヤクルトの処
理加工及び販売に関する契約当事者となつて当該販売権を取得し、個人が営業して
いたのを当該個人が中心となつて法人を設立し、当該法人の営業に切り換えた場合
には、訴外ヤクルト本社としても右販売権の譲渡等についてはその同意を要すると
する契約条項により事前にその手続が履践されなくとも、引続いて当該法人とクロ
レラヤクルトの原液の販売取引を行なつていたものである。第一審被告についても
その設立後、訴外ヤクルト本社はクロレラヤタルト原液の販売取引を継続してい
た。結局、訴外ヤクルト本社は前記販売権譲渡につき黙示の承認を与えていたとみ
るべきである。
 3 それから、本件営業譲渡の主たる対象はクロレラヤクルト販売の得意先関係
すなわちのれんである。このことは本件営業譲渡の対価が譲渡時におけるクロレラ
ヤクルトの販売数量を基礎に算出され(小瓶換算一本につき一、〇〇〇円)、譲渡
価額金六〇〇万円のうち、のれん相当分が金五三〇万円で全体の九〇パーセントを
占めている事実からも明らかである。しかして、右のれんが形成された経緯をみる
に、訴外Aから営業譲渡を受け、第一審被告が設立された当初はクロレラヤクルト
の一日の販売量は一、五〇〇本程度であつたが、本件営業譲渡時においては、一日
当り平均五、三〇〇本程度までに拡張されていたものである。このことは第一審被
告の営業活動の成果によるものであつて、こののれんが第一審被告に帰属していた
ことは明白なところであり、本件営業譲渡契約の当事者が第一審被告であつたこと
の一証左である。
 (三) 第一審原告の仮定抗弁に対する答弁
 1 弁済について
 本件営業譲渡契約書第四条には「……甲(第一審被告)が愛知ヤクルト協同組合
から負ふてるる買掛金借入金等債務を乙(第一審原告)が甲に代つて支払ひ清算を
なしたる後、残額を乙より甲に支払ふものとする。」とあるが、その趣旨及び当事
者の真意は、第一審原告において第一審被告の訴外愛知協同組合に対して有してい
た債権債務を清算し、清算のため第一審原告が出捐した金員を本件営業譲渡代金か
ら差引きすることにあつたのであり、右債権債務のうち債権のみを別にして第一審
原告に譲渡したものではないのである。
 2 競業避止義務違反について
 (1) 訴外Aが北知多地区においてクロレラプレツトの販売をなして、第一審
原告に損害を加えたことは否認する。第一審被告主張のとおり、右地区におけるク
ロレラプレツトの販売権を有していたのは訴外Cであり、実際に販売行為を行なつ
たのも同人であつて当該行為は第一審被告とは全く関係のないことである。
 (2) 仮に、訴外Aが第一審被告の代表者としての資格でクロレラプレツトの
販売を行なつたとしても、第一審被告には当該行為に基づく損害賠償責任を負担す
る理由が存在しない。即ち、当時クロレラプレツトはクロレラヤクルトの有力な競
争相手であり、その販売は第一審被告の目的であるクロレラヤクルトの販売を阻害
し、これと両立しない相反行為である。かかる行為が民法第四四条第二項に規定す
る「法人の目的の範囲内にあらざる行為」に該当するばかりでなく、同条第一項に
規定する「その職務行為を行なうに付」という要件、つまり当該法人のためにする
職務行為及びこれと密接に関連する行為に該当しないことは明らかである。
 (3) また、第一審原告の主張は訴外Aと第一審被告とが実質的に同一のもの
であるとして、いわゆる法人格否認の理論の適用を主張するものであるとしても、
本件は法人格否認論を適用できる要件が備わつた事案ではない。
 即ち、いかなる要件が必要かについては、最高裁判所昭和四四年二年二七日判決
のいう「会社法人格の濫用がある場合」又は「法人格が形骸である場合」の二つの
場合に限られると解すべきところ、まず、前者の要件は、本件には適用の余地がな
い。第一審被告はなんら違法の目的をもつて設立されたものではないからである。
また、後者の要件にも本件は該当しない。第一審被告の財産と訴外Aとの財産の混
同はなく、会社としての経理記帳もきちんとなされており、商法所定の手続も履践
され、設立後は訴外Aの個人としての営業行為はなんらなされていないから、第一
審被告を目して「形骸にすぎない」法人とはいえない。
 それに、第一審被告の法人格否認の結果、訴外A個人も競業避止義務を負担する
こととなるとしても、同人の競業行為による責任は同人自身が負担すべきものであ
つて、同人の競業行為について第一審被告が責任を負うものではない。
 仮に百歩譲つて、法人格否認の効果として訴外Aの競業行為について、第一審被
告がその責任を負担することになるとしても、その効果は本件営業譲渡の当事者間
の法律関係だけについて生じ、第一審当事者参加人のごとく本件営業譲渡の代金請
求権につき取立権を取得した善意の第三者にはその効果を主張しえないものであ
る。
 (4) 更に、たとえ訴外Aのクロレラプレツト販売行為につき第一審被告か責
任を負うべき関係にあるとしても、第一審原告はなんら損害を蒙つていない。即
ち、c地区においてクロレラプレツトの販売が開始されるや直ちは、第一審原告は
関係組合及び同業者等と相謀つてc対策本部なるものを設置し、多数の運動員を同
地区に投入してクロレラヤクルト飲用者の獲得運動を展開し、その結果、短期間の
うちに従前の販売量をこえる販売量を実現したのであるから、事実上損害は生じな
かつたものである。なお、第一審原告は右c対策本部の設置及び活動に要した費用
金二五万八、六六一円のうち一部を負担した旨主張するが、右は訴外東海ヤクルト
協同組合、同愛知協同組合及び小牧製造工場が分担し、第一審原告が負担したもの
はない。
 (5) 仮に、訴外Aの競業行為により、第一審原告のクロレラヤクルトの販売
量に減少をきたしたとしても、逸失利益の算出に当つては、営業には一般に相当な
必要経費を要するのであるがら、当然かかる必要経費を控除すべきものである。と
ころで、本件において第一審原告主張の数量、期間を基礎に、第一審原告が経営す
る訴外東愛知ヤクルト販売株式会社の売上高に対する利益率を適用して逸失利益を
算出した場合、当該金額は僅か金九万〇、四六九円に過ぎない。
 四、 証拠関係(省略)
         理    由
 一 本件営業譲渡人について
 (一) 第一審被告がクロレラヤクルトの卸売販売をしていたことは当事者間に
争いがなく、この事実に甲第一号証(第一審被告作成部分以外は成立につき争いが
ない)、成立に争いのない丙第一号証、当審証人Fの証言により成立の認められる
丙第一三号証(一部)、原審証人Gの証言(一部)、原審における被告本人A、当
審における第一審被告代表者本人Aの各尋問結果、原審及び当審における第一審原
告本人の尋問結果(一部)を綜合すれば、昭和三九年八月三〇日、第一審原告、第
一審被告代表社員A及び訴外愛知協同組合理事長Gとの間で、第一審被告が譲渡
人、第一審原告が譲受人、訴外愛知協同組合が立会人となつて、甲第一号証「営業
権売買契約書」を作成(第一審原告は自署、捺印し、訴外A及び訴外Gはそれぞれ
自己の代表する法人のためにする意思をもつて、法人名及び右資格を表示して記名
捺印)して、第一審被告の愛知県知多郡北知多地区(a町、b町、c町、d町)に
おけるクロレラヤクルトの卸売販売の営業を代金六〇〇万円(但し、上記契約書に
は税金面を考慮して金五〇〇万円と記載する)で第一審原告に譲渡する旨の契約が
締結されたことが認められる。前掲丙第一三号証、証人Gの証言及び第一審原告本
人尋問の結果中には、本件営業譲渡人は訴外A個人である旨の記載又は供述及び前
記契約書の第一審被告の署名には当時気付かなかつた旨の供述があるが、契約の一
方当事者たる第一審原告又は契約の成立及び内容を確認することをその役目とする
というべき立会人たる訴外Gにおいて相手方当事者たる第一審被告の当該契約書に
なした署名がどのようになされたか気付かなかつたなどいうことは到底信用できな
いことであり、且つ、成立に争いのない甲第七号証の一、二によれば、第一審原告
は、本件訴訟に先立つて、昭和四一年四月二〇日第一審被告を相手取り、本件営業
譲渡契約が第一審被告との間で締結されたが、その譲渡代金債務は消滅したとし
て、右債務不存在確認の訴訟を提起していることが、また、成立に争いのない丙第
一一号証によれば、当事者間に争いのない、第一審当事者参加人主張の第一審原告
に対する一回目の差押通知に対し、第一審原告から所轄税務署長に提出された異議
申立書には本件営業譲渡人が第一審被告であることは少しも争われていないことが
それぞれ認められることよりして、前記記載及び供述は採用できない。
 (二) ところで、第一審原告は、本件営業譲渡の主たる対象は、訴外ヤクルト
本社との間の契約に基づくクロレラヤクルトの販売権であり、それは訴外Aに帰属
していたから、本件営業譲渡人は同人である旨主張する。右販売権が訴外Aに帰属
したということから、直ちに本件営業譲渡契約の当事者が同人でなければならない
といつたものではないが、前掲甲第一号証の前文中に、譲渡人として同人の氏名が
記載されていることが認められるところでもあるので、この点につき検討する。
 前掲丙第一三号証、成立に争いのない甲第三号証、乙第八号証、原審証人G、同
Hの各証言、原審における第一審原告本人の尋問結果及び弁論の全趣旨によれば、
クロレラヤクルトの製造販売組織は第一審原告が主張する((三)、1、2)よう
なものであること、但し、各営業所が訴外ヤクルト本社からクロレラヤクルトの原
液を購入し、それの処理加工を協同組合に委託するという形式はとられてなく、協
同組合が訴外ヤクルト本社から直接原液を購入しており、また、訴外愛知協同組合
は原液の処理加工のため昭和三二年八月一三日設立されたものであるが、その上部
に連合組合として訴外東海ヤクルト協同組合が存在し、訴外愛知協同組合の原液の
購入、その代金の支払等は訴外東海ヤクルト協同組合を通じて行われていたことが
認められ、これに反する証拠はない。
 そして、前掲甲第三号証、成立に争いのない丙第一八号証(第一審原告は証拠能
力を争うが、その主張のような趣旨で作成された文書であつても証拠能力は有する
と解される)、当審証人Fの証言により成立の認められる丙第一二号証、原審証人
G(一部)、同H、同I(一部)の各証言、原審における被告本人A、第一審原告
本人の各尋問結果によれば、訴外ヤクルト本社との間に締結された契約により、営
業所がクロレラヤクルトの販売権を第三者に譲渡することは訴外ヤクルト本社の同
意なくしてはできないことと定められていること、しかし、実際には同意なくして
右販売権の譲渡が行われてきており、訴外ヤクルト本社乃至現地の協同組合も同意
手続の履践を厳格に求めることなく、譲受人と取引を行なつてきたこと、ことに、
個人営業者が法人に事業組織を改変した場合にはその間の右販売権の譲渡に対し当
然に同意を与えるものとして、同意手続の有無は問題とされていなかつたことがそ
れぞれ認められる。前掲証入Gの証言中これに反する部分は他の前掲各証拠と対比
して信用できず、他にこれを覆えすに足る証拠はない。
 前掲甲第三号証、丙第一、第一二号証、成立に争いのない乙第一一、第一二号
証、弁論の全趣旨により成立の認められる丙第二乃至第七号証に、原審証人H、同
Iの各証言、原審における被告本人Aの尋問結果を綜合すれば、訴外Aは、昭和三
一年頃愛知県知多郡a町、b町c町地区における次いで昭和三三年頃同郡d町地区
におけるクロレラヤクルトの各販売権をいずれも他から譲受けて取得し、訴外愛知
協同組合設立とともにその組合員となつて右地区即ち北知多地区においてクロレラ
ヤクルトの卸売販売業を営んできたが、昭和三四年四月二八日自己が無限責任社員
となつて第一審被告を設立し、爾後第一審被告が右営業を引継いて行なつてきたこ
と、訴外Aの訴外ヤクルト本社に対する金五、〇〇〇円、訴外愛知協同組合に対す
る金三〇万円の各出資金も第一審被告の資産として経理されてきたこと、第一審被
告設立に当つては当時訴外愛知協同組合の常務理事であつた訴外Jがその手続を手
助けし、同人も有限責任社員の一人となつていること、訴外愛知協同組合は第一審
被告設立後これと取引を継続してきたこと、もつとも、訴外Aと訴外ヤクルト本社
との間のクロレラヤクルトの処理加工、販売に関する契約は昭和三五年九月八日更
新期が到来したが、該契約の当事者名義を変更することなく更新したこと、また、
訴外Aが第一審被告に対しクロレラヤクルトの販売権を譲渡としたとして、右契約
上必要とされている訴外ヤクルト本社の同意を求める手続を特にとつたことはない
ことがそれぞれ認められ、前掲丙第一三号証及び証人Gの証言中の、第一審被告設
立後も訴外愛知協同組合がその存在を知らずに訴外A個人として取引を継続してき
た旨の記載又は供述は他の前掲各証拠と対比して到底採用できない。他に右認定に
反する証拠はない。
 右認定事実によれば、第一審被告はその設立と同時に訴外Aからその有したクロ
レラヤクルトの販売権(訴外愛知協同組合の組合員たる地位も含むこととなる)を
譲受けたことが肯認でき、前認定のとおり、そのような場合特に訴外ヤクルト本社
の同意を求める手続を践まなくとも右譲渡を右本社に対抗できたのであり(訴外A
が訴外ヤクルト本社との契約更新の際名義変更を求めなかつたのも、原審における
被告本人Aの供述するとおり、更新ということでそこまで意を用いなかつたこと
と、上記のような事情から特にその必要も感じなかつたところにあると認められ
る。)、訴外愛知協同組合も第一審被告と取引し、それを承認していたのであるか
ら、第一審被告は本件営業譲渡当時北知多地区におけるクロレラヤタルトの販売権
を有効に取得していたといわなければならない。そして、前示甲第一号証の前文中
の記載は、単に前示契約名義人としての訴外Aの氏名を記載したものと推認しえな
くないから、右のように認定判断する上で妨げとなるものではない。
 従つて、前記第一審原告の主張はその前提を欠き理由がないというべきである。
 (三) なお、本件営業譲渡代金の領収証の一部であつて、成立に争いのない甲
第一三号証の二、第一四号証の一乃至七、九の作成名義はいずれも訴外Aとなつて
いるが、原審における被告本人Aの尋問結果によれば、本件営業譲渡により第一審
被告は実質上消滅したと右訴外人において考えたため個人名義で右各領収証を発行
したものであることが認められ、そのことは前示本件営業譲渡人が第一審被告であ
ることの認定の妨げとならず、他に同認定を左右するに足る証拠はない。
 二、 弁済の抗弁について
 第一審原告主張のとおり、第一審原告が、本件営業譲渡代金の弁済として、第一
審被告に対し直接金一三五万円を支払い、第一審被告に代り、訴外愛知協同組合に
対し金三九五万七、〇二九円、訴外Eに対し金二〇万円をそれぞれ支払つたことは
第一審原告と第一審当事者参加人との間では争いがなく、第一審被告においては明
らかに争わないから自白したものとみなす。
 前掲甲第一号証によれば、その第四条に、本件営業譲渡代金五〇〇万円から契約
金の五〇万円を除いた残額金四五〇万円については、昭和三九年八月三〇日(甲第
一号証の第四条に「昭和三九年五月三〇日」とあるのが同年八月三〇日の誤記であ
ることは、原審における被告本人A、第一審原告本人の各尋問結果により認めるこ
とができる。)現在において第一審被告が訴外愛知協同組合に対し負つている買掛
金、借入金等の債務を第一審原告が第一審被告に代つて支払い清算をした後、残額
を第一審被告に対し支払うものと定められていることが明らかであるが、第一審当
事者参加人は、右にいう第一審被告の訴外愛知協同組合に対する債務を支払い清算
するとは、第一審被告の右訴外組合に対する債権債務を差引計算し、実際に第一審
原告の出捐した金額を控除することを意味するものである旨主張し、第一審被告も
同じ見解を採るのに対し、第一審原告は、第一審被告の右訴外組合に対する債権は
本件営業譲渡の対象であり、右債務と差引計算さるべきものではない旨主張して抗
争する。
 そこで、検討するに、前示本件営業譲渡契約第四条の文言に、前掲丙第七号証、
当審における第一審原告本人尋問の結果を併せ考えれば、第一審被告の訴外愛知協
同組合に対する債権は本件営業譲渡の目的の一部とされていたことが認められ、こ
れに反する当審における第一審被告会社代表者本人の供述は信用できない。
 従つて、第一審当事者参加人主張のように、第一審原告が訴外愛知協同組合から
金三八万四、六二五円の弁済を受けたとしても、これを前示第一審原告の弁済額合
計金五五〇万七、〇二九円から差引くいわれはないものというべきである。
 三、 本件営業譲渡代金債権の差押について
 第一審当事者参加人がその主張のように第一審原告に対し差押通知をなすととも
に被差押債権につき履行請求をなしたことは当事者間に争いがなく、右事実に弁論
の全趣旨を併せ考えれば、第一審当事者参加人が第一審被告に対し昭和四二年五月
三一日現在において既に納期限を経過した昭和四〇年度決定の法人税総額金一一六
万六、八七一円の租税債権を有していること、右租税債権に基づき右差押がなされ
たことがそれぞれ認められ、これに反する証拠はない。
 そうとすれば、前示第一審原告の弁済額金五五〇万七、〇二九円を控除した本件
営業譲渡残代金四九万二、九七一円については右差押の効力が生じ、第一審当事者
参加人はその取立権能を取得したというべきであるが、右金員をこえては右差押は
その効力を生じるに由ないというべきである。
 四 相殺の抗弁について
 第一審原告は、第一審被告に対し金一一九万五、〇九八円の損害賠償債権を有す
るとして、昭和四五年六月五日の当審口頭弁論期日において第一審当事者参加人に
対し、各損害賠償債権と前示本件営業譲渡残代金とを対当額で相殺する旨の意思表
示をなしたので、以下右損害賠償債権の成否について検討する。
 (一) 原審における第一審原告本人尋問の結果によりそれぞれ昭和四〇年六月
頃のクロレラヤクルトの瓶及びクロレラプレツトの瓶を撮影したものと認められる
甲第六号証の一、二、弁論の全趣旨により成立の認められる甲第一〇号証、原審証
人Kの証言により成立の認められる乙第九号証、右各証言、原審証人G、同C、同
I、同H、当審証人Lの各証言並びに右本人尋問の結果によれば、クロレラヤクル
トは人腸乳酸菌を牛乳に純粋培養した発酵乳であり、その培養にクロレラから抽出
した微生物の増殖促進物質を利用しているというものであり、クロレラプレツトは
クロレラを飲用とするため発酵乳の形をとつたものであるが、一般消費者にとつて
両者の差異は認識されず、両者は競合する同種の商品であることが認められ、これ
を左右するに足る証拠はない。
 成立に争いのない乙第一号証、第二号証の一、二、第三号証と原審証人C、同M
の各証言、原審における被告本人Aの尋問結果(一部)及び弁論の全趣旨を綜合す
れば、訴外Aは、昭和四〇年六月一日から北知多地区等においてクロレラプレツト
の卸売販売業を営むようになつたこと、当時クロレラプレツトの愛知県知多郡全域
における販売権は訴外Cが有していたが、同人が都合によりこれを実施できない状
態になつたため、同人の了解を得て訴外Aが代つて右営業を行なうようになり、同
年一〇月には右販売権を取得したことが認められ、前掲本人尋問の結果中、当初右
営業を行なつたのは訴外Cであり、訴外Aは右Cに小売店を紹介したにすぎない旨
の供述は他の前掲各証拠と対比して信用できず、人に右認定を覆えすに足る証拠は
ない。なお、前掲証人Mの証言により成立の認められる乙第一〇号証(請求書)の
宛名が訴外Cとなつているのは、右証言により、当時販売権を有していたのが同人
であつたが故であることが認められ、前示認定の妨げとはならない。
 そのようにして、右訴外Aが昭和四〇年六月一日開始したクロレラプレツトの販
売は本件営業と同一の営業というべきである。
 <要旨>(二) しかして、前認定の訴外Aの競業行為につき、第一審被告が責任
を負うべきものかどうか検討するに、前掲丙第一、第二号証、原審における
被告本人A、当審における第一審被告代表者本人Aの各尋問結果及び弁論の全趣旨
を綜合すれば、第一審被告は専ら税務対策のため従前の訴外Aの個人営業を法人に
組織替えしたもので、無限責任社員に同人が就任しているほか四名の有限責任社員
により構成されているが、有限責任社員は知人又は親族が名目的に就任しているに
すぎず、訴外Aの支配するいわゆる個人会社にほかならないこと、本件営業譲渡契
約締結に当つては、第一審原告及び訴外Aとも本件営業が形式的には兎も角実質的
に同人の営業にほかならないことを認識了解して、これをなしたものであること、
本件営業譲渡の対価である譲渡代金のうち第一審原告から直接第一審被告に支払わ
れた分は、訴外Aがその一部は営業上の負債の返済に充てたが、残部は第一審被告
の帳簿に記載して経理することなく、直接自己の生活費に費消していることが認め
られ、これに反する証拠はない。
 そのように、営業の実態は法人の背後にあつてこれを支配する個人のものである
のに、形式的には、法人格の被衣の下にある営業が譲渡された場合、営業譲渡の実
効を確保するため認められている競業避止義務を該譲渡契約の当事者である法人に
認めたのみでは無意義に等しいことは明らかである。その場合、本件のように譲受
人が営業の実態に着目してこれを譲受け、法人を支配する個人がこれの譲渡に関与
し、譲渡の利益を直接収受しているとき、右個人が契約当事者でないことを幸いと
して競業を行なうならば、特段の事情があつて競業避止義務を回避する意図でなし
たものではないと認められない限り、その意図のもとになされたものとして、法人
格の濫用があると認めるのを相当とする。
 従つて、本件において第一審被告の法人格を否認し、訴外Aと第一審被告とを同
一人格、即ち訴外Aの行為を第一審被告のそれとして取扱うのを相当というべきで
ある(訴外Aの競業につき第一審被告が責任を負うべきものであるとする第一審原
告の主張は法人格の濫用乃至否認を主張しているものと解される。これに対し、第
一審当事者参加人において防禦方法を尽していることは事実欄に摘示のとおりであ
る。)。
 そうとすれば、前認定の訴外Aの競業行為が商法第二五条により禁止されたもの
に該当すること明らかといわなければならないから、第一審被告はそれにより第一
審原告の蒙つた損害を賠償すべきである。
 第一審当事者参加人は、法人格の否認によつては、訴外Aに本件営業譲渡上の競
業義務を負わせ、その責任を問いえない旨主張するが理由がない。けだし、法人格
否認の法理は、法人格が付与された目的に反し、これを濫用して義務及び責任の回
避がはかられようとするとき、法人格なる被衣を剥ぎ取り、法人と該法人の背後に
あつて法人を支配し規定する個人とを同一に取扱うことにその眼目があるのであつ
て、一方に義務及び責任を認めることにより他方の本来の義務及び責任を免れさせ
るものではなく、双方に一体的にこれを負わせ、これの回避を許さないためのもの
と解するのを相当とするからである。
 また、第一審当事者参加人は、法人格否認の効果は善意の第三者に対しては主張
しえない旨主張するが、根拠があるとは考えられず、採用できない。
 (三) そこで、前認定の訴外Aの競業行為により第一審原告の蒙つた損害額に
ついて検討する。
 原審における第一審原告本人尋問の結果により成立の認められる甲第四号証の一
乃至六、第五号証、第一二号証の一乃至七、成立に争いのない丙第一九、第二〇
(一部)号証(証拠能力を有することは前掲丙第一八号証について説示したとお
り)に原審証人G、同I(一部)、同N、同O、当審証人L(一部)の各証言、原
審における被告本人A、原審及び当審における第一審原告本人(一部)の各尋問結
果並びに弁論の全趣旨を綜合すれば、訴外Aの働き掛けにより、c町及びd町のク
ロレラヤクルトの小売店舗のうち七店舗が昭和四〇年六月一日クロレラプレツトの
小売店に変つたこと、右七店へのクロレラヤクルトの出荷量は同年五月において一
日平均小瓶換算(瓶に大、中、小の三種類あつて、内容においては大は小の二倍、
中は小の一・五倍となつている)一、五八五本であつたこと、訴外東海ヤクルト協
同組合はc町地区における右クロレラプレツトの販売に対処するため、同組合内に
対策本部を設置し、同年六月八日から同月一五までの間連日三〇名前後(同月一三
日のみ一二名)の者を右地区に派遣してクロレラヤクルトの普及宣伝に当らせ、消
費者の獲得奪回を図つたこと、その結果、新規に獲得した分を除いて、小瓶換算一
日八〇〇本分の消費者の奪回に成功したこと、第一審原告が本件譲渡を受けたクロ
レラヤクルトの卸売販売業を営んでいたのは昭和四一年二月八日頃までであること
(爾後、第一審原告が設立した訴外東愛知ヤクルト販売株式会社がこれを引継ぐ)
が認められ、前掲丙第二〇号証、証人I、同Lの各証言、第一審原告本人の尋問結
果中、これに反する記載又は供述は他の前掲各証拠と対比して信用できない。
 右対策本部の設置、活動の費用について一部第一審原告が負担した旨第一審原告
は主張し、これに添う原審証人I、原審における第一審原告本人の各供述がある
が、前掲丙第一九号証、当審証人F、当審における第一審原告本人の各供述に照ら
し信用できず、却つてこれらの各証拠によれば、右費用はすべて訴外東海ヤクルト
協同組合及び訴外愛知協同組合が分担していることが認められる。従つて、右費用
の金額について検討するまでもなく、右第一審原告の主張は理由がない。
 次に、前認定事実よりして、第一審原告は、訴外Aの競業行為により、昭和四〇
年六月一日から同月一五日までは一日一、五八五本、翌一六日から昭和四一年二月
八日までは一日七八五本合計二一万〇、六〇五本の販売量が減少したこととなり、
右販売による得べかりし利益を喪失し、右利益相当の損害を蒙つたものといわなけ
ればならない。
 しかして、右販売による得べかりし利益は、売上高から仕入原価を差し引いたも
のではなく、さらにそれ以外の販売に必要な諸経費を差し引いたものでなければな
らないこというまでもないところ、成立に争いのない丙第一五号証により、訴外東
愛知ヤクルト株式会社の昭和四一年三月一日乃至昭和四二年二月二八日期における
売上総利益(売上高から売上原価を差し引いたもの)は金五、一七九万四、一二九
円であり、営業利益(売上総利益から営業に必要な一般経費を差し引いたもの)は
金三九八万五、五二〇円であることが認められ、前者に対する後者の比率は七・六
九パーセントとなること算数上明らかであるが、前示のように右訴外会社が第一審
原告の営業を引き継いでいることよりして、第一審原告の本件営業についての営業
利益即ち販売による得べかりし利益の売上利益に対する比率も右と同程後のもので
あつたと推認するのを相当とする。
 次に、クロレラヤクルトの小瓶換算一本当りの売上利益をみるに、原審における
第一審原告本人尋問の結果によれば、少くとも二円であることが認められ、これに
反する証拠はない。
 そこで、前示二一万〇、六〇五本にこれを乗じ、さらに前認定の営業利益率七・
六九パーセントを乗ずると、金三万二、三九二円が算出される。
 (四) 従つて、第一審原告は第一審被告に対し、金三万二、三九二円の損害賠
償債権を有していたといわなければならず、前掲甲第一号証によれば、本件営業譲
渡代金については特に履行期は定められていなかつたことが認められ、損害が発生
すると即日履行期の到来する右損害賠償債権とは本件第一回の差押当時既に相殺適
状にあつたことが肯認できるから、本件営業譲渡残代金は前示相殺により右差押前
に遡つて対当額で消滅したというべきである。
 五、 立替金について
 第一審原告の請求原因第二項は第一審被告において自白するところである。
 六、 結論
 以上の次第で、爾余の点につき更に判断を進めるまでもなく、第一審原告は第一
審当事者参加人に対し本件営業譲渡残代金四六万〇、五七九円及びこれに対する履
行請求の翌日である昭和四一年三月一八日以降完済に至るまで商事法定利率年六分
の割合による遅延損害金を支払うべき義務があり、右債権については第一審被告に
取立権限がない。従つて、第一審当事者参加人の請求は右の範囲で正当として認容
し、その余は理由がないから失当として棄却すべきである。
 また、第一審被告は第一審原告に対し立替金二、〇三〇円の支払い義務があり、
本件営業譲渡代金債権中右残代金を除くその余は既に消滅して不存在である。従つ
て、第一審原告の請求は右の範囲で正当として認容し、その余は理由がないから失
当として棄却すべきである。
 よつて、これと趣旨を異にする原判決を変更することとし、民事訴訟法第三八六
条、第九六条、第八九条、第九二条、第一九六条に従い主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 布谷憲治 裁判官 福田健次 裁判官 豊島利夫)
(別紙)
        目    録
 一、金八七万七、五九六円
 但し、第一審被告が第一審原告に対して有する営業譲渡契約に元づく譲渡代金残
金で、第一審判当時者参加人が国税撤収方により昭和四一年三月十七日及び昭和四
四年九月二四日の二回にわたり差押えた債権

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