弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人森川金寿、同高橋銀治の上告趣意について。
 論旨は、結局原判決がその判示事実を認定した資料中被告人に対する昭和二三年
一〇月七日附司法警察官の第一、二回聴取書、同人に対する同月九日附検事の聴取
書(論旨に同月一一日附検事の第二回聴取書とあるは誤記と認む)、Aに対する同
月一一日附検事の第二回聴取書、同人に対する同月四日附司法警察官の第二回聴取
書及びBに対する同月六日附司法警察官の第二回聴取書中の各供述記載はいずれも
強制、拷問若しくは脅迫を受けて被告人証人のした自白又は供述を記載したもので
あつていずれも証拠能力を欠くものであるから、原判決は憲法三八条二項に違反す
るは勿論訴訟法にも違反し破棄を免れないというに帰する。しかし記録を精査する
に、被告人、証人等が論旨に摘示しているように原審公判廷で異口同音に司法警察
官から強制脅迫等を受けて供述した旨を陳述していることは認められるが他にこの
陳述を首肯せしめるに足る何等の事跡もこれを記録上発見することができない。し
かのみならず原審では被告人、証人等を取調べた司法警察官C等を証人として召喚
し、被告人、証人等の取調べの際に強制脅迫等を加えたかどうかについては仔細に
訊問したが、証人C等はいずれもさようの事実のない旨を陳述していることが記録
上明らかであるから、原判決が証拠とした所論の被告人、証人等の供述を以て強制
脅迫等によつてなされたものでその記載は証拠能力を欠くものと断ずることはでき
ない。
 されば原判決を以て憲法訴訟法に違反すとの論旨はその前提を欠きとるをえない。
 弁護人林頼三郎同人樫田忠美の上告趣意第一点について。
 本件の公訴は記録上明らかな昭和二三年一〇月一一日に提起されたものであるか
ら、本件には刑訴施行法二条によつて旧刑訴及び応急措置法が適用される筋合であ
ることはいうまでもないところである。そして応急措置法の適用される事件には同
法一三条二項の規定によつて旧刑訴四三四条三項の規定もまた適用されない趣意と
解すべきことは当裁判所昭和二四年(れ)一五八一号同二五年一一月二九日大法廷
判決(判例集四巻一一号二四一八頁)に示すとおりであつて、これを変更する要を
認めない。それ故、同条項の適用あることを前提とする所論はとるをえない。
 同第二点について。
 刑訴施行法二条の規定は公訴の提起が昭和二三年一二月三一日までになされた事
件に刑訴四一一条その他新刑訴法を適用しない趣旨を定めているからといつて、右
施行法の規定を憲法に違反するものといえないことは当裁判所昭和二三年(れ)一
五七七号同二四年五月一八日大法廷判決(判例集三巻六号八四七頁)の示すとおり
であつて、これを変更する要を認めない。それ故、昭和二三年一〇月一一日起訴さ
れたことの記録上明らかな本件にも刑訴四一一条の適用あることを前提とする論旨
はその前提を欠きとるをえない。
 同第三点について。
 論旨は原判決は実験則を無視し採証を誤りたる法令の違反並びに理由の齟齬及び
不備の違法があると主張するのであるが、その論拠とする第一は鑑定人Dの鑑定書
中の記載の一部をとらえ独自の見解を加えて鑑定の全趣旨にそわない主張をして原
判決の証拠の取捨を非難するにととまるものであり、その第二は第一審第九回公判
調書中証人Dの供述記載の一部を掲げて証言の全趣旨を曲解し、原判決の採証を非
難するにすぎないものであり、その第三は鑑定人Eの鑑定書中被告人に有利と思わ
れる部分の記載を拙き出し、原判決の証拠判断を非難するものに外ならないし、そ
の第四は原判決がその判示事実をその挙示する証拠を綜合して認定していること判
文上明らかであるにかかわらず、単に竹刃の鍔の存在だけで判示の殺人の着手行為
を認定したかのことく独断して右鍔に附看した血痕の血液型を云々して原判決の採
証を非難するものであり、その第五は原判決の採用しない証拠に基ずいて判示にそ
わない事実を独断して、原判示事実の認定を非難するに帰する。しかし原判決には
所論の採証につき実験則違反は勿論理由の齟齬及び不備の違法も存しない。所論は
結局単に原審の裁量に属する証拠の取捨判断乃至事実認定を非難するに帰着し上告
適法の理由とならぬ。
 よつて旧刑訴四四六条に従い全裁判官一致で主文のとおり判決する。
 検察官 浜田龍信関与
  昭和二六年八月九日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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