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平成17年4月26日判決言渡
平成17年(少コ)第869号(通常手続移行)損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 平成17年4月22日
立ち会った司法委員 B
判         決
主         文
1 被告は,原告に対し,金8万7190円及びこれに対する平成17年2月
1日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,これを5分し,その4を原告の負担とし,その余は被告の負
担とする。
4 この判決は,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請 求
1 被告は,原告に対し,金50万円及びこれに対する平成17年2月1日か
ら支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。
2訴訟費用は,被告の負担とする。
3 仮執行の宣言
第2 事案の概要
1 平成16年5月27日午前10時50分ころ,東京都世田谷区ab丁目c
d番ef号先歩道上において,原告は,被告から,両手で胸ぐらをつかまれ,
ガードレールに臀部を押しつけられるなどの暴行による全治約2週間を要す
る右臀部打撲の傷害を受けたとして,被告に対し,被告の不法行為により生
じた次の各損害と慰謝料の支払いを求めるものである。
2 原告主張の損害額 金50万円
内 訳
① 医療費(診断書料を含む)  5020円
② 靴代          1万8820円
③ クリーニング代       1500円
④ 内容証明郵便代        670円
⑤ 精神的損害      47万3990円
原告は,前記のとおり被告の一方的な暴行により全治約2週間を要する
右臀部打撲の傷害を受け,警察による事情聴取に2日,現場検証に1日,
会社欠勤2日間等の時間的拘束を受けたことによる精神的苦痛の慰謝料で
ある。
3 原告の主張に対する被告の認否及び反論
原告主張の日時,場所においての暴行の事実は認めるが,全治約2週間と
する右臀部打撲の傷害の程度については否認する。警察による事情聴取に2
日,現場検証に1日,会社欠勤2日については不知。損害については,医療
費(診断書料を含む),クリーニング代,内容証明郵便代については認める
が,靴代と精神的損害については金額の相当性を争う。
第3 当事者間に争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実
1 事件の発生
日時,場所,傷害の態様は,第2の1の事案の概要記載のとおり
2 損害の程度
第2の2の事案の概要記載のとおり。ただし,靴代及び精神的損害につい
ては除く。
第4 争 点
1 第2の2の靴の損害はいくらか。
2 第2の2の精神的損害はいくらか。
第5 当裁判所の判断
1 争点1について
証拠(原告が当時はいていた靴が被告ともみ合った際に破れたという写真)
によるも,その程度は明らかでなく,修理が可能かどうかの判断ができない。
原告は,靴の新調価格が1万8820円であるというが(甲3号証),原告
がすでに1年近く履いたものであると述べていることを考慮すると,その損
害は1万円をもって相当と解する。
2 争点2について
① 証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア 被告は,原告に対し,人違いで一方的に暴行に及んだものであるが,
人違いと分かるとその場に土下座してあやまった。しかし,原告は激怒
し許してくれず,原告が携帯電話で警察官を呼んだ。駆けつけた警察官
の前で,被告は「自分が悪かったのであること,よく話をして謝り,解
決する。」と述べ,原告も「被告とよく話し合いをするので,今日のと
ころは結構です。」と述べ,警察官は現場で双方が和解したことで現場
処理としての措置を終えた。
イ 当日の夜,双方で話し合ったところ,被告は,背広とワイシャツのク
リーニング代,靴については2万円まで出す,治療費は診断書を持って
きたら払うということであったが,原告は,精神的にダメージを受けた
からと慰謝料を要求した。その後の経過もあるが,結局,翌日被告が原
告に対し10万円を支払うことで合意した。
ウ しかし,その際に約束した時間に原告が受領に出向けなかったことを
きっかけとして,互いに相手の態度に不満を抱き,被告は,原告の要求
金額が相当でないと考えるに至り,原告は,このままでは示談はあり得
ないと6月1日に病院の診断を受けた上,警察に出向き,結局,被告は
略式起訴されて罰金刑を受け,原告は本件訴訟に及んだものである。
② 以上の事実を総合的に考慮すると,原告が理由もなく,見知らぬ被告か
ら,突然両手で胸ぐらをつかみかかられ,ガードレールに臀部を押しつけ
られるなどの暴行を受けたことは,たとえ被告の軽率な人違いによるもの
であったとしても,被告のその責任は軽くない。しかし,原告の主張する
全治約2週間を要する右臀部打撲の傷害は,臀部をガードレールに押しつ
けるようにぶつけたものであるということ,当時駆けつけた警察官に原告
は「少し痛いです。」と述べているだけであること,病院に行ったのは,
示談交渉が決裂した後で,事件後5日経ってからであり,その1回だけで
あること,検察官の医師からの電話聴取書の記載によると,アザのような
もの(皮下出血)はなかったが,圧痛の愁訴があった,投薬は湿布薬であ
るとの趣旨が述べられていること等を考慮して診断書(甲1号証)の内容
を理解せざるを得ない。更に,原告が警察による事情聴取に2日,現場検
証に1日,会社欠勤2日間等を費やしたというが,6月16日に警察で供
述調書を作成し,現場検証に立ち会っていること,同月21日には警察で
写真撮影報告書作成に立ち会っていることが証拠により認められるが,そ
れとて各全1日とは認められない。その他については立証がない。その上
で,これらの事情を考慮し,前記示談に至る経緯,その後の対応等を総合
すると,本件による原告の精神的苦痛を慰謝するには7万円をもって相当
と認める。
3 そうすると,被告が原告に支払うべきものは,被告が争わない①医療費(診
断書料を含む)5020円,③クリーニング代1500円,④内容証明郵便代
670円と,前記認定に係る②靴代1万円,⑤慰謝料7万円の合計8万719
0円となる。したがって,原告の請求は,主文第1項の限度で理由があるが,
その余の請求は理由がない。
よって,主文のとおり判決する。
東京簡易裁判所少額訴訟2係
裁 判 官 小 林  一 義

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