弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人稲井義夫の上告理由第一点について。
 所論は、上告人対被上告人間の春蚕繭買入委託契約および買入資金授受の法律関
係と上告人対訴外Dおよび同E間の春蚕繭買入再委託契約および買入資金授受の法
律関係とは全く別個の関係であつて、被上告人としては上告人に対して前渡した買
入資金につき清算を求めて残額があればその支払を請求しうるけれども、右両名に
おいて原判決判示のように被上告人に対する委託金(買入資金)残額返還債務を負
担したとしても、それを以て直ちに上告人が被上告人に対して同額の委託金残額返
還債務を負うものと断言することはできない筈であるという。しかし原判決は、被
上告人が上告人に対して春蚕繭の買付を委託して買付資金を交付したこと、上告人
はさらに訴外Eおよび同Dに対して買付の再委託をなして右資金の一部を交付した
こと、右委託および再委託にかかる春蚕繭買付事務は終了したが、右両訴外人が交
付を受けた金員中右委託の趣旨に従つて使用しなつた残額につき訴外Dにおて金一
五万五二八九円八二銭、訴外Eにおいて金一二万〇四六一円六〇銭を返還していな
いこと、および上告人においても右合計金額相当額金二七万五七五一円四二銭を被
上告人にいまだ返還していないことを確定しているのであり、右事実関係によれば、
上告人が被上告に対して右春蚕繭買付委託事務の終了に際し前渡金返還義務がある
ものとして右金二七万五七五一円四二銭を被上告人に支払うべき債務を負担したと
原審が判断したのは正当であり、所論のような違法があるものとは認められないか
ら、論旨は採用できない。
 同第二点について。
 所論は、上告人が訴外Dに対し上告人が被上告人から受領した前渡金のうち合計
金五九万円を交付したことは当事者間に争がないとした原審には、争ある事実を証
拠によらず争のない事案として確定した違法があるという。原審における当事者双
方の弁論の経過に徴しても、上告人の訴外Dに対する所論金員交付につき上告人が
右事実を認め或は明らかに争わないものとはみとめられないことは所論のとおりで
あり、従つて原審が右事実につき争がないと判断したのは違法であるが、原判決は
結局上告人が被上告人から受領した前渡金のうち金二七万五七五一円四二銭を返還
していないことについてはこれを当事者間に争がないとして確定しているのであり、
右違法も判決に影響を及ぼすものとはいえないから、論旨は理由がない。
 同第三点について。
 所論は、原審が、仮に上告人が被上告人に対して商法五二一条の規定による報酬
請求権を取得したとしても、その相当額がいくらであるかを認定すべき資料がない
と判示したのは、原審における上告人本人尋問の結果に対する判断を怠り、釈明権
不行使審理不尽の違法を犯したものであるという。しかし、所論原判示の趣旨は、
上告人本人の原審における所論供述のみでは報酬相当額を認定すべき資料となすに
足りず、その他これを認定すべき資料はないというにあることを窺うに難くないか
ら、原判決に所論違法はなく、論旨は採用できない。
 同第四点について。
 所論は、原判決には上告人の主張事実を立証すべき重要な書証である乙三号証な
いし同七号証および同一三号証について判断を遺脱した違法があるという。しかし、
所論乙三号証ないし同七号証は、いずれも訴外D或は同Eらから被上告人に宛てた
金員領収書であり、また乙一三号証は、春蚕繭精算残金についての計算書であつて、
右各書証自体から上告人の所論主張事実を認めるべきものとは到底いい難いのみな
らず、却つて原判決挙示の証拠によれば、所論主張事実に関する原審の事実認定は、
首肯するに足りる。所論は結局、原審の事実認定証拠の取捨判断を非難するに過ぎ
ないから、採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    横   田   正   俊

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