弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人前堀政幸の上告趣意第一点について。
 所論は、単なる法令違反の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第二点について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第三点について。
 所論は、憲法違反を主張するが、道路交通取締法施行令(以下「令」という。)
六七条二項中「事故の内容」の報告義務を定めた部分が憲法三八条一項に違反しな
いことは、当裁判所の判例とするところであつて(昭和三五年(あ)第六三六号同
三七年五月二日大法廷判決)、同令の右条項が憲法三一条に違反しないことも、右
判例の趣旨に徴し明らかであるから、所論は、採用することができない。
 弁護人吉長正好、同下条小野右衛門、同松浦武の上告趣意第一点、同第二点につ
いて。
 所論についての判断は、前記前堀弁護人の上告趣意第三点について述べたとおり
であつて、所論は、採用することができない。
 同第三点について。
 所論は、憲法三一条違反を主張するが、その実質は、単なる法令違反の主張であ
つて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第四点について。
 所論は、判例違反を主張するが、原判決は、被告人が本件事故後被害者の救護又
は道路における危険防止その他交通の安全を図るため必要な措置をなさずかつ直ち
に事故の内容を所轄警察署の警察官に報告せずそのまま運転を継続してその場を立
ち去つた事実を認定し、右被告人の所為は令六七条一項および同条二項各所定の義
務に違反するものと認めた上、これを一括して道路交通取締法二四条一項二八条一
号にあたる一罪であるとし、これと業務上過失致死の罪とを併合罪として処断した
ものと解せられるのであつて、かりに原判決が所論高等裁判所の判例に違反すると
しても、道路交通取締法二四条一項二八条一号の罪の成立にはなんらの差異を生じ
ないから、所論判例違反は、判決に影響を及ぼさず、所論は、採用することができ
ない。
 同第五点について。
 所論は、憲法三一条違反を主張するが、その実質は、単なる法令違反の主張であ
つて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。同第六点について。所論は、量刑不当
の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても刑訴四
一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三七年一一月一六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介

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