弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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被告人両名をそれぞれ懲役3年に処する。
被告人両名に対し,未決勾留日数中各90日をそれぞれその刑に算入す
る。
被告人両名に対し,この裁判確定の日からいずれも3年間,それぞれその
刑の執行を猶予し,それぞれその猶予の期間中,被告人両名を保護観察に付する。
理由
(罪となるべき事実)
 被告人両名は,Cと共に,平成13年4月12日午後3時5分ころ,神戸市a区
b町c丁目d番地所在のe1階通路を歩いていたところ,対面歩行してきたD(当
時16歳)の左肩が被告人Aの左肩に当たったことに立腹し,前記Cと共謀の上,
そのころから同日午後3時10分ころまでの間,前記e2階CD販売店「E」店内
において,前記Dに対し,「自分ら肩をぶつけてきたんちゃうん。」「喧嘩売っと
んやったら買うで。」などと因縁を付け,前記Dの頭髪を鷲掴みにして振り回し,
その腹部を膝蹴りし,さらに,その頭髪を鷲掴みにして同人を前記e2階広場に連
行し,同所において,前記Dの背部を消火器(重量5キログラム)で殴打し,その
顔面等を膝蹴りして同人をコンクリート上に仰向けに倒した上,転倒した同人の腹
部及び両大腿部に消
火器を投げ落とし,その顔面,腹部等を多数回足蹴にするなどの暴行を加え,よっ
て,同人に加療約90日間を要する外傷性膵損傷,膵仮性嚢胞,頭部打撲,腹部打
撲,左上腕打撲,左下腿打撲,口腔内裂創の傷害を負わせたものである。
(証拠の標目)―括弧内の数字は証拠等関係カード記載の検察官請求証拠番号―
省略
(弁護人の主張に対する判断)
 弁護人は,被告人両名は犯行当時少年であったところ,捜査機関の怠慢により逮
捕・起訴が遅れ,それぞれ少年審判を受ける機会を失ったものであるから,本件公
訴提起は刑事訴訟法338条4号に該当し無効であり,被告人両名に対しそれぞれ
公訴棄却の判決がなされるべきである旨主張するが,関係各証拠によれば,本件現
場における犯行状況等を撮影した防犯カメラの写真は,本件犯行の7日後である平
成13年4月19日捜査機関で再生写真化されているけれども,その写真の鮮明度
は低く,同写真,被害者や目撃者の供述等のみでは,犯人として被告人両名を特定
することは未だ困難な状況にあったものと認められるほか,その後,約1年7か月
を経て被告人両名を逮捕するに至った経過において,捜査機関に故意又は重大な義
務違反があったもの
とする事情は何ら窺えず,本件捜査手続に本件公訴提起手続をを無効にするような
違法は到底認められないから,弁護人の主張は理由がない。
(法令の適用)
 被告人両名の判示所為は刑法60条,204条にそれぞれ該当するところ,所定
刑中いずれも懲役刑を選択し,それぞれその所定刑期の範囲内で被告人両名をいず
れも懲役3年に処し,被告人両名に対し,同法21条を各適用して未決勾留日数中
各90日をそれぞれその刑に算入し,被告人両名に対し,情状により同法25条1
項を各適用してこの裁判確定の日からいずれも3年間それぞれその刑の執行を猶予
し,なお,被告人両名に対し,同法25条の2第1項前段を各適用して被告人両名
をそれぞれその猶予の期間中保護観察に付し,訴訟費用は,刑事訴訟法181条1
項ただし書を適用して被告人両名に負担させないこととする。
(事案の概要並びに量刑の理由)
 本件は,被告人両名が,他の1名と共謀の上,被害者に対し判示の暴行を加えて
重傷を負わせた傷害の事案であるところ,被告人らは,対面歩行してきた被害者
が,被告人ら不良グループ3名においてその威勢を示すべく肩をいからせて歩行し
ているのに,これに臆することなく,かえって,被害者の肩を被告人Aの肩に当て
てきたとして立腹し,これに藉口して被害者に対し,因縁をつけて本件犯行に及ん
だもので,その理不尽な動機に酌量の余地はないこと,その犯行態様は,被告人A
において,被害者の髪の毛を鷲掴みにして振り回し,被告人Bにおいて,被害者の
脇腹を膝蹴りするなどして,被害者を判示「E」店内から連れ出し,判示e2階広
場において,被告人Bにおいてその腹部を膝蹴りするなどして被害者を同所に仰向
けに倒し,全く無抵抗
の状態にある被害者に対し,なおも,被告人Aにおいて,重量5キログラムもの消
火器をその腹部に投げ落としたり,消火器で腹部等を多数回殴打する等したもの
で,一方的で容赦がなく,無慈悲なものであって,外傷性膵損傷を負わせたという
傷害の結果からも明らかなように,熾烈で危険な暴行というべく,犯情は悪質であ
ること,本件犯行によって被害者は約2か月間の入院・経皮的膵嚢胞ドレナージ術
等,加療約90日間を要する判示の重傷を負ったこと,そのスポーツ選手としての
将来が奪われたなどとして,被害者が心身に被った打撃は甚大であって,被害感情
は厳しいこと,加えて,犯行当時,被告人両名の生活行状全般は芳しくなかったこ
とを併せ考慮すると,被告人両名の刑事責任はそれぞれ相当に重いというべきであ
るから,それぞれ実刑
に処すべき事案とも考えられるが,被害弁償金の一部として被告人両名の各実母に
おいてそれぞれ50万円,共犯者Cの実母において30万円の合計130万円を被
害者の実父に支払ったこと,被告人両名において,将来にわたってさらに被害弁償
をする旨誓約していること,被告人両名は若年であって前科はなく,さしたる非行
歴もないこと,未決勾留がそれぞれ相当期間に及び,その間,被告人両名において
真摯な反省の情を深めたものと窺われること等,被告人らのために酌むべき事情も
認められるので,これらの事情を十分に考慮し,被告人両名に対し,今回に限り,
社会内で被害弁償に努めつつ自力更生する機会を与えることが相当であると思料
し,それぞれ主文のとおり量定し,それぞれ保護観察に付した上,それぞれその刑
の執行を猶予すること
とした。
 よって,主文のとおり判決する。
  平成15年5月30日
神戸地方裁判所第11刑事係甲
   裁判官  杉 森 研 二

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