弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A本人の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反および量刑不当の主張で
あつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
 同被告人の弁護人倉本芳彦の上告趣意中判例違反をいう点は、原判示にそわない
事実を前提とするものであるから、適法な上告理由とならず、その余は、事実誤認、
単なる法令違反および量刑不当の主張であつて、同四〇五条の上告理由に当らない。
 同被告人の弁護人高橋英吉の上告趣意中違憲をいう点は、原審の証拠の信憑性に
関する判断を非難するものであつて、その実質は、単なる法令違反の主張であり、
その余は、事実誤認および単なる法令違反の主張であつて、いずれも同四〇五条の
上告理由に当らない。
 同被告人の弁護人本田熊一の上告趣意は、事実誤認および量刑不当の主張であつ
て、同四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Bの弁護人市原庄八の上告趣意第一は、違憲をいう点もあるけれども、そ
の実質は、事実誤認および単なる法令違反の主張であり、同第二は、量刑不当の主
張であつて、いずれも同四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Cの弁護人近藤勝の上告趣意第一点は、原判決が、被告人を暴力団員また
はこれに準ずる者であるとして、量刑において一般人より不利益な処遇をしたこと
は、憲法一四条に違反するというのである。しかしながら、およそ、量刑にあたつ
て、犯人の性格、経歴、環境あるいは犯行の社会的背景などを各犯人ごとに審査し
て、それぞれ異なる処遇をすることが、憲法一四条に違反するものてないことは、
当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第四三五号同年一〇月六日大法廷判決、刑集二
巻一一号一二七五頁)の趣旨とするところであるから、所論は、理由がない。同第
二点は、量刑不当の主張であつて、刑訴法四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Dの弁護人中栄敬太郎の上告趣意は、各関係者の上告趣意を引用するとい
うものであつて、上告趣意書自体に何らその趣意内容を示していないから、適法な
上告趣意といえない(昭和二五年(あ)第一二二〇号同年一〇月一二日第一小法廷
決定、刑集四巻一〇号二〇八四頁参照)。
 被告人Eの弁護人熊野一良の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反および量刑
不当の主張であつて、同四〇五条の上告理由に当らない(なお、所論中控訴趣意を
引用する部分が、適法な上告趣意といえないことは、前記のとおりである)。
 被告人F本人の上告趣意は、原判決を攻撃する趣旨とは認められないから、適法
な上告理由とならない。
 同被告人の弁護人倉本芳彦の上告趣意は、事実誤認および量刑不当の主張であつ
て、同四〇五条の上告理由に当らない。
 また、記録を調べても、同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
  昭和四二年三月一四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    下   村   三   郎
            裁判官    松   本   正   雄

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