弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人花村美樹、同加藤学、同山田純正、同伊藤暉男の上告理由について。
 自作農創設特別措置法三条により国から買収処分を受けた農地の旧所有者が右農
地につき都道府県知事のした農地法三六条による売渡処分の取消しを求めることが
できるためには、右売渡処分が取り消され、当該土地の所有権が国に復帰するなら
ば、農林大臣が同法八〇条によつて旧所有者に当該土地を売り払わなければならな
い場合であることを要し(昭和四二年(行ツ)第五二号同四六年一月二〇日大法廷
判決、民集二五巻一号一頁参照)、無効確認の請求についてもまたこれに準ずるの
であるが、買収前の旧所有者は、一般に、同条による売払いを受ける可能性を有す
るから、「買収前の旧所有者」であるということだけで、売渡処分の取消しまたは
無効確認を求める法律上の利益を有するものということはできない。
 しかしながら、旧所有者は、買収農地を自作農の創設または土地の農業上の利用
の増進の目的に供しないことを相当とする事実が生じた場合には、同条一項の農林
大臣の認定の有無にかかわらず、直接、農林大臣に対し当該土地の売払いをすべき
こと、すなわち買受けの申込みに応じその承諾をすべきことを求めることができ、
農林大臣がこれに応じないときは、民事訴訟手続により、売払いにつき農林大臣を
主管者とする国を被告として、右義務の履行を求めることができることは、当裁判
所の判例とするところ(前掲大法廷判決、昭和四三年(行ツ)第四六号同四七年三
月一七日第二小法廷判決)であつて、旧所有者が、買収農地を自作農の創設等の目
的に供しないことを相当とする事実が生じたにもかかわらず、農林大臣においてそ
の売渡しをしたのは違法であるとして、当該売渡処分の取消しまたは無効確認を訴
求したときは、事実審裁判所は、すべからく、前記判決の判示するところに従い、
当該農地を自作農の創設等の目的に供しないことを相当とする事実が発生したか否
か、すなわち、売渡しの対象となつた当該国有農地につき、私法上の権利としての
売払請求権を発生せしめるための要件事実が存するか否かの点につき審究し、これ
により売渡処分の取消しまたは無効確認を求める法律上の利益の有無、したがつて
また当該訴訟における原告適格の有無を決すべきである。
 本件において被上告人の主張するところによれば、被上告人はもと本件土地の所
有者であつたが、昭和二三年一〇月二日これを上告人知事により買収されたもので、
その後、本件土地につき農地法八〇条一項所定の目的に供しないことを相当とする
事実が生じたにもかかわらず、上告人知事は昭和三八年一一月一日これを別件上告
人Dに売り渡したもので、当該売渡処分は無効である、というのである。
 よつて事実審裁判所としては、右の目的に供しないことを相当とする事実が生じ
たか否かの点につき審究すべきであるところ、第一審判決は、被上告人の本訴請求
(売渡処分無効確認請求)は主張自体不適法たるを免れないとして排斥したのであ
るから、その違法であることは、もとより、明らかである。これに対し、原判決は、
買収前の旧所有者は特段の事情がないかぎり売渡処分の無効確認を求める法律上の
利益があるとしたもので、その説示は、前記に判示するところに照らし、措辞適切
を欠くうらみがあるが、第一審判決を取り消し本件を第一審に差し戻すべきものと
した結論においては、けつきよく相当である。論旨は採用できない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法三九六条、三八四条、九五条、八九条に従
い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岸       盛   一
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    藤   林   益   三
            裁判官    下   田   武   三

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