弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2処分行政庁が平成19年10月16日付けでした公文書一部非開示処分(た
だし,平成20年6月30日付け異議決定により一部取り消された後のもの)
のうち,原判決添付の別紙1公文書目録記載の公文書に関する部分を取り消す。
3処分行政庁は,控訴人に対し,原判決添付の別紙1公文書目録記載の公文書
のうち,同別紙2開示部分目録記載の部分以外の部分を開示せよ。
4訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1本件は,控訴人が,岡崎市情報公開条例(平成11年岡崎市条例第31号。
本件条例)に基づき,処分行政庁に対し,(仮称)岡崎市新一般廃棄物中間処
理施設(本件施設)に関する公文書の開示を請求したところ,処分行政庁が一
部のみを開示したので,公文書一部非開示処分(ただし,平成20年6月30
日付け異議決定により一部取り消された後のもの)のうち,原判決添付の別紙
1公文書目録記載の公文書(本件文書)に関する部分の取消し及びその取消請
求に係る非開示部分の開示の義務付けを求めた事案である。
原審は,本件訴えのうち上記開示の義務付けを求める請求に係る部分を却下
し,その余の請求を棄却した。
2その余の事案の概要は,次のとおり控訴人の当審における補充主張を付加す
るほかは,原判決「事実及び理由」欄の第2の2ないし4に記載のとおりであ
るから,これを引用する。
(控訴人の当審における補充主張)
原判決は,本件条例7条3号ア(本件非開示条項)の該当性について,「個
別具体的に,当該情報が開示された場合に,当該法人のどのような具体的利益
がどのように侵害される危険があるかという事実まで主張立証する必要はな
い」と判断した。その根拠は,具体的な利益がどのように侵害される危険があ
るかという事実まで主張立証を要するとすると,当該文書に記載されている情
報が非開示情報に該当することを立証するために,被控訴人に結果的にその情
報自体を推知できることになる程度の立証の負担を課することになるという点
にある。
しかし,具体的利益がどのように侵害される危険があるかという点の立証と,
情報自体の推知とは何らの法的関連性はなく,具体的利益が侵害されることを
立証するために,情報自体を推知されない形で立証することは可能であり,た
またま立証過程において情報が推知されるような事態が発生したとしても,そ
れは実施機関側の立証方法が稚拙であったというだけのことであるから,原判
決の上記立論は誤りである。
原判決は,「おそれ」の認定についての判断方法を誤ったために,具体的な
危険性やその蓋然性の立証がないものについても,「おそれ」が発生するとし
て,非公開事由を肯定したものであり,企業が開示を望まない情報は全て非開
示情報としたに等しく,本件条例が実施機関に対して公文書の開示を原則とし
て義務付け,非開示を例外と定めた趣旨を全く無視するものである。
第3当裁判所の判断
1当裁判所も,本件処分は適法であり,その取消しを求める請求は理由がなく,
本件非開示部分の開示の義務付けを求める訴えは不適法であると判断する。そ
の理由は,後記2のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の第3
の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決1
5頁21行目の「施設デザイン」の次に「に関し,自社独自のシステムによる
見解を記載し」を加え,16頁23行目の「特徴的」を「特長的」に,21頁
6行目の「可燃ダクト」を「可燃ダスト」にそれぞれ改める。
2控訴人の当審における補充主張について
控訴人は,前記のとおり,具体的利益がどのように侵害される危険があるか
という点の立証と,情報自体の推知とは何らの法的関連性はなく,具体的利益
が侵害されることを立証するために,情報自体を推知されない形で立証するこ
とは可能であるから,原判決が,法人のどのような具体的利益がどのように侵
害される危険があるかという事実まで主張立証する必要はないという判断方法
に基づいて,非公開事由を肯定したことは誤りであり,本件条例の趣旨を全く
無視するものであるなどと主張する。
しかしながら,本件条例が,本件非開示条項について,実施機関が非開示と
した情報の内容を推知できるほどの具体的な立証をしない限り,当該情報が記
録されている公文書を開示すべきものとしたとは解し難く,また,実施機関側
の立証手段に一定の制約があることも当然想定されているというべきであるか
ら,非開示情報に該当することの立証が,ある程度類型的なものとなることは
やむを得ないところというべきである。その意味において,具体的利益がどの
ように侵害される危険があるかという事実まで主張立証する必要はないとした
原判決の判断が誤りであるとはいえない。そして,そのことは,実施機関側に
対し,情報の一般的抽象的性格を主張立証すればそれで足りるとしたものでも
なく,原判決が説示するとおり,当該情報が記録されている文書の趣旨,作成
の目的,記載内容等の客観的事情を明らかにすることを求めた上で,当該情報
の趣旨や性質,その重要性や価値等を推論し,それを前提として,当該情報が
公開された場合に,当該法人等又は当該事業を営む個人の権利,地位その他正
当な利益を害するおそれがあるか否かを,社会通念に従って判断すべきものと
したのであるから,その判断方法は,本件条例が公文書の開示を原則とした趣
旨に反するものとはいえない。原判決は,上述した判断方法に従い,(仮称)
岡崎市新一般廃棄物中間処理施設建設工事様式集の各様式に記録された情報に
ついて,個別に十分な検討をした上で,非開示情報該当性を肯定したものであ
り,その判断手法及び内容に不相当な点があるとは認められない。
したがって,控訴人の上記主張は採用することができない。
3また,控訴人の訴えのうち,本件非開示部分の開示の義務付けを求める訴え
は,行政事件訴訟法37条の3第1項2号所定の要件を欠くことになるから,
不適法である。
第4結論
よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし
て,主文のとおり判決する。
名古屋高等裁判所民事第2部
裁判長裁判官中村直文
裁判官朝日貴浩
裁判官濵優子

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛