弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人春島美也富の上告趣意第一点は、違憲(三八条一項違反)をいうが、関税
法一〇九条一項は、関税定率法二一条一項に掲げる輸入禁制品の輸入自体を禁圧す
る趣旨であり、所論の輸入申告を前提とするものではないから、その前提を欠き、
その余は、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴法四〇五条の
上告理由にあたらない。
 よつて、同法四一四条、三八六条一項三号により、主文のとおり決定する。
 この決定は、裁判官天野武一の意見があるほか、裁判官全員一致の意見によるも
のである。
 裁判官天野武一の意見は、次のとおりである。
 私は、本件上告を棄却することにおいて、多数意見と結論を同じくするが、上告
趣意が原判決における併合罪の判断を問題としていることにかんがみ、その点に関
する私の見解を明らかにしておきたい。
 (一) すなわち、刑法五四条一項前段の規定は、一個の行為が同時に数個の犯
罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪と
して刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう一個の行為とは、法的評価
をはなれ構成要件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見
解上一個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきことは、当裁判所の判例と
するところであり(昭和四七年(あ)第一八九六号、同四六年(あ)第一五九〇号、
同四七年(あ)第七二五号各同四九年五月二九日大法廷判決・刑集二八巻四号一一
四頁以下参照)、外観上は数個の意思表動としての数個の行為が存するとみられる
場合であつても、それら行為の相互間に極めて密接した統一的関連性が認められ、
具体的状況に照らして社会的見解上行為者の全動態を一個の事象として評価するの
を相当とするならば、構成要件的連繋の有無を問題とすることなく、行為の一個性
を認めているのが、わが国従来の裁判実務における判断である(戸別訪問罪と供与
罪につき昭和七年四月一四日大審院判決・刑集一一巻四四六頁、戸別訪問罪と法定
外文書頒布罪につき昭和四三年一二月二四日第三小法廷判決・刑集二二巻一三号一
五六七頁、騒擾罪と邸宅侵入罪につき大正一一年一二月一一日大審院判決・刑集一
巻七四一頁)。
 (二) これを本件についてみるに、原判決の維持する第一審判決の認定事実に
よると、被告人は、関税定率法上の輸入禁制品であり、かつ、麻薬取締法上輸入行
為を禁止されている麻薬(塩酸ジアセチルモルヒネを含有する麻薬)を、身体に携
帯したまま空路本邦に搬入して税関を通過した、というのであつて、被告人の右行
為の全動態は、右の自然的観察のもとにおける社会的見解上明らかに事象を同じく
する一個の麻薬輸入行為として評価することができ、それが麻薬取締法六四条一項、
一二条一項及び関税法一〇九条一項、関税定率法二一条一項の各罪に同時に該当す
るのであるから、右両罪は刑法五四条一項の観念的競合の関係にあると解するのが
相当である(このことは、税関の置かれていない海岸を利用して本件麻薬を本邦内
に搬入した行為に対する場合と異なるところはない。)。
 (三) そうすると、原判決は、同一の日時、場所における同一の麻薬輸入の機
会にされた麻薬取締法違反の罪と関税法違反の罪との罪数に関し、これらを併合罪
の関係にあると判断した点において、法令の解釈適用を誤つた違法があるが、原判
決の維持する第一審判決の宣告刑は相当と認められるから、原判決を破棄しなくて
も未だ著しく正義に反するものとは認められない。
 よつて、私は、本件上告を棄却することとした多数意見に対し、その結論につい
てのみ同調するのである。
  昭和四九年一二月二〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    天   野   武   一
            裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    坂   本   吉   勝
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己

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