弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人松枝述良,同松枝尚哉,同青木一平の上告受理申立て理由及び上告代
理人松枝尚哉の上告受理申立て理由(ただし,排除されたものを除く。)について
本件は,宗教法人である上告人が,A寺の庫裏及び本堂等(以下「本件各建物」
という。)を占有してA寺の境内地(以下「本件土地」という。)を占有している
被上告人に対し,本件土地の所有権に基づき,本件各建物から退去して本件土地を
明け渡すことを求める事案である。上告人は,被上告人が,上告人を包括する宗教
法人であるB(以下「包括法人」という。)の懲誡規程4条1項3号所定の「宗旨
又は教義に異議を唱え宗門の秩序を紊した」との擯斥事由に該当するとして,包括
法人から擯斥処分を受けたことにより,A寺の住職の地位を失い,その結果,上告
人の代表役員の地位も喪失したから,本件土地の占有権原を失ったと主張してい
る。
原審は,上記擯斥処分の効力の有無が本件請求の当否を決する前提問題となって
おり,この点を判断するために上記擯斥事由の存否を審理する必要があるところ,
そのためには,包括法人の「宗旨又は教義」の内容について一定の評価をすること
を避けることができないから,上告人の訴えは,裁判所法3条にいう「法律上の争
訟」に当たらないとして,これを却下した。
所論は,上記擯斥処分は,包括法人の宗制では管長以外の者が法階を授与するこ
とは禁じられているにもかかわらず,被上告人が在家僧侶養成講座の講師として受
講者に法階を授与したことを,その理由とするものであって,被上告人の上記行為
が上記擯斥事由に該当するか否かについては,宗教上の教義ないし信仰の内容につ
いて評価をしなくても判断が可能であるのに,上告人の訴えを「法律上の争訟」に
当たらないとした原審の判断には,法令の解釈を誤る違法があるというのである。
本件記録によれば,上記懲誡規程5条1号は,「宗制に違反して甚だしく本派の
秩序を紊した」ことを剥職事由として定めているところ,包括法人において,法階
は,管長が叙任することとされているのであるから(管長及び管長代務者規程3条
1項6号,法階規程1条2項),被上告人の上記行為が上記剥職事由に該当するか
否かが問題となっているのであれば,必ずしも宗教上の教義ないし信仰の内容に立
ち入って審理,判断する必要はなかったものと考えられる。しかし,上告人は,被
上告人の上記行為が懲誡規程4条1項3号所定の擯斥事由に該当する旨主張してい
るのであって,この主張及び上記擯斥事由の内容に照らせば,本件訴訟の争点であ
る上記擯斥処分の効力の有無を判断するには,宗教上の教義ないし信仰の内容に立
ち入って審理,判断することを避けることはできないから,上告人の訴えは,裁判
所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらず,不適法というべきである。これと同
旨の原審の判断は,正当として是認することができる。所論引用の判例(最高裁昭
和61年(オ)第943号平成元年9月8日第二小法廷判決・民集43巻8号88
9頁,最高裁昭和61年(オ)第531号平成5年9月7日第三小法廷判決・民集
47巻7号4667頁,最高裁平成2年(オ)第508号同5年11月25日第一
小法廷判決・裁判集民事170号475頁)は,事案を異にし,本件に適切でな
い。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官田原睦夫裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官
那須弘平裁判官近藤崇晴)

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