弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人吉岡秀四郎の上告理由第一点について。
 原判決が、被上告会社が、被上告人B1から、上告人両名の承諾のもとに、本件
土地の賃借権の譲渡を受けたと認定したものでないことは、原判示を通覧すれば明
らかである。所論は原判決を正解しないことに出たものであつて、採用できない。
 同第二、四点について。
 上告理由第一点について説示したとおり、原判決は、被上告会社が被上告人B1
から、上告人両名の承諾のもとに、本件土地の賃借権の譲渡を受けたと認定したも
のではない。所論はすべてこのことを正解しないことに出たものであつて、採用で
きない。
 同第三点について。
 被上告人B1は、昭和三五年四月二三日、本件借地上の建物および賃借権を被上
告会社に対して譲渡したものであるが、右譲渡に先立つ二、三ヵ月前である昭和三
五年一、二月頃、上告人両名との間の原判示調停条項に基づき、上告人両名の実父
で、両名と同居し、賃借権の譲渡についての諾否の権限を有していたDに対し、上
告人Aの同席しているところで、被上告会社に賃借権を譲渡したい旨申し出て、そ
の承諾を求め、ついで、同年三月三〇日被上告会社の代表者Eを同道して上告人両
名方を訪ね、右Dや上告人AにEを紹介したこと、被上告会社は、調停条項にいう
第三国人でもなければ、第三国人の資本によつて経営されている会社でもないこと
はもとより、社会的もしくは信用上賃借人として不適格者とは認められないことは
原審の認定したところである。そうとすれば、「賃借権を譲渡するときには予め上
告人両名の承諾を求めること、上告人両名は、賃借権の譲受人が第三国人、または
社会的もしくは信用上賃借人として不適格者でない限り、無償で譲渡を認むべきこ
と」との調停条項七項に基づき、上告人両名は、被上告人B1の申入により、その
頃、賃借権の譲渡について承諾をなすべき義務を負担したものと解すべきである。
そして、上告人両名が諾否を明らかにしない間に賃借権の譲渡がなされたときは、
事後、承諾の余地がないもの(すなわち、いつたん発生した承諾義務は消滅する)
とする趣旨をも前記調停条項が包含しているとの点は、原審において、主張判断の
ないところであるから、上告人両名に承諾義務があることには変りはない。
 このように上告人両名が賃借権の譲渡について承諾をなすべき義務があり、被上
告人B1が調停条項の合意に基づき適法に右承諾を求める手続をとつたのに、上告
人両名が何らの理由もなく承諾をしないという前記本件のような場合には、上告人
両名が現実に賃借権の譲渡を承諾しなくとも、譲受人たる被上告会社は賃借権の譲
受を上告人両名に対抗しうるものといわなけわばならない。けだし、賃貸人が賃借
人に対し、賃借権の譲渡について承諾をなすべき義務を負う場合でも、現実に承諾
の意思表示がないまま賃借権の譲渡がなされたときは、民法六一二条にいう賃借権
の無断譲渡といわざるをえないとしても、このような譲渡は賃貸人に対する背信行
為ということはできないから、賃貸人は同条により賃貸借契約を解除することがで
きず、このような場合には、継続的な契約関係である賃貸借の特質上、契約当事者
間の法律関係の安定および衡平を考慮して、賃借権譲受人は、承諾があつたと同様
に、賃借権の譲受を賃貸人に対抗することができると解するのを相当とするからで
ある。そうすれば、結局、叙上と同趣旨に出た原判決は正当であつて、原判決に所
論の違法はない。所論は採用できない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    下   村   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛