弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人の上告理由第一点について。
 論旨は、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」とは、特定人にあら
たに不動産が増加することを意味するもので、その取得原因のいかんは問わないが、
取得の結果あらたに不動産という財産形態の資産が増加していなければ、右の「不
動産の取得」に該当せず、本件のように不動産を等価で交換した場合は、ただ不動
産の交替があるのみで、あらたな不動産の増加を伴わないから、「不動産の取得」
にあたらないものと解すべきであり、かく解するのでなければ租税賦課の公平が期
せられないものと主張する。
 しかし、地方税法七三条の二にいう「不動産の取得」とは、他に特段の規定がな
い以上、不動産所有権の取得を意味するものと解するのが相当であり、その取得が
認められる以上、取得原因のいかんを問わないものと解すべきである。不動産取得
税は、右の意味における「不動産の取得」という事実を捉えて課税されるもので、
地方税法の関係規定によつても、所論のように、取得の結果不動産(資産)の増加
をきたす場合のみが同項にいう「不動産の取得」にあたるものと解すべき理由は見
出だせない。また、交換の場合には、交換当事者の双方が不動産を取得するのであ
るから、両当事者がともに課税されるのは当然であり、また、その取得につきすで
に課税を受けた甲不動産を他人所有の乙不動産と等価で交換した場合に、乙不動産
の取得につき再度課税されるのは、右の甲不動産を時価で売却した代金によつて乙
不動産を購入した場合に、その取得につき再度課税を受けるのと同様、当然であつ
て、なんら租税賦課の公平に反するところはない。
 論旨は採用できない。
 同第二点について。
 論旨は、原判決に租税法律主義に反する違法があると主張するが、不動産を等価
交換によつて取得した場合も、地方税法七三条の二第一項にいう「不動産の取得」
にあたるものと解すべきことは、第一点について説示したとおりであり、論旨は、
これと異なる見解を前提として原判決を攻撃するもので、採用のかぎりでない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官
全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    村   上   朝   一

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