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平成29年1月20日判決言渡
平成28年(行コ)第58号銃砲所持許可取消処分取消請求控訴事件(原審・
名古屋地方裁判所平成27年(行ウ)第37号)
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1控訴人
(1)原判決を取り消す。
(2)被控訴人の請求を棄却する。
(3)訴訟費用は,第1,第2審とも被控訴人の負担とする。
2被控訴人
主文同旨
第2事案の概要
1本件は,愛知県公安委員会から散弾銃(銃番号○。以下「本件散弾銃」とい
う。)に係る銃砲所持許可(以下「本件許可」という。)を受けてこれを所持
していた被控訴人が,他人が指定射撃場に指定されていない場所において射撃
練習目的で銃砲を発射することを幇助したとして,愛知県公安委員会から銃砲
刀剣類所持等取締法(以下「銃刀法」という。)11条1項1号に基づき,本
件許可を取り消す旨の処分(以下「本件取消処分」という。)を受けたため,
その取消しを求めた事案である。
原判決が被控訴人の請求を認容したことから,控訴人が控訴した。
2関係法令等の定め及び前提事実
関係法令等の定め及び前提事実は,原判決の「事実及び理由」の「第2事
案の概要」の2及び3に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,
原判決3頁25行目から26行目にかけての「平成26年9月22日」を「平
成26年9月17日」に,4頁8行目の「乙13の1」を「乙8」にそれぞれ
改める。
3本件の争点及び当事者の主張
(1)本件の争点及び当事者の主張は,次の(2)において補正するほかは,原判決
の「事実及び理由」の「第2事案の概要」の4に記載のとおりであるから,
これを引用する。
(2)原判決の補正
ア原判決6頁5行目末尾の次に,行を改め次のとおり加える。
「被控訴人は,刑法62条1項は行政処分の要件には適用されないと主張
するが,刑法の規定のうち,違法性阻却事由に関する刑法35条ないし37
条の規定は,行政処分の要件についても適用され得る。刑法における共犯理
論は,前記違法性の理論と並ぶ代表的な理論にして,通有性の高い理論とい
える。刑法の規定のうち,幇助犯に関する刑法62条のみが,行政処分の要
件について適用されないと解することはできない。」
イ原判決6頁17行目の「妥当である。」の次に,次のとおり加える。
「他人が射撃場以外の場所で銃砲を発射する行為を容易にしたというよ
うな場合,当該幇助者には,遵法意識の点で,銃砲を発射した他人と変わら
ない危険性がある以上,当該幇助者に対する許可を取り消して,原則どおり,
銃砲を所持させない状態に戻す必要がある,というのが,銃刀法の趣旨であ
るとみるべきである。」
ウ原判決8頁11行目末尾の次に,次のとおり加える。
「控訴人は,刑法35条ないし37条が行政処分の要件を定める規定に適
用されるから,刑法62条も適用されると主張する。しかし,刑法35条な
いし37条は,犯罪の成否及び刑罰について定めているまでであり,これら
が行政処分の要件を定める規定に適用されるとの学説も判例も見当たらな
い。刑法62条は行政処分の要件を定める規定には適用されない。」
エ原判決9頁23行目末尾の次に,行を改め次のとおり加える。
「キ控訴人は,銃刀法の趣旨から,幇助者に対する許可も取り消す必要
があると主張しているが,銃刀法の各条文の解釈は,抽象的な論理だけで決
まるわけではない。とりわけ,取消処分は私人の自由・権利に関わることで
あるから,法律による行政(法律の留保)の原理に基づき,具体的な禁止制
限規定及びその違反を不利益処分の根拠とすることができる旨の規定の存
在が不可欠である。ところが,銃刀法10条2項違反の行為を助けることを
禁止制限する規定も,当該行為をした者に対して銃砲所持許可取消処分を行
い得ることを定める根拠規定も存在しない。よって,被控訴人に対する本件
取消処分は違法である。」
第3当裁判所の判断
1当裁判所も本件取消処分は違法なものであって取り消されるべきであると
判断するが,その理由は,次の2において補正するほかは,原判決の「事実及
び理由」の「第3当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用
する。
2原判決の補正
(1)原判決13頁17行目の「同法63条は,」の次に「「」を加える。
(2)原判決14頁25行目の「答弁がされている(」の次に,「甲9。」を加
える。
(3)原判決16頁15行目の「妥当である」を「妥当であり,また,刑法35
条などの規定は,行政処分の要件についても適用され得るから,刑法62条1
項が適用されることにも問題はない」に改める。
(4)原判決17頁14行目の「相当であり」の次に「,また,当該規定が行為
を禁止又は制限する規範であるか否かは各規定の文言解釈によって決まると
ころであるから」を加える。
(5)原判決17頁24行目から25行目にかけての「可能であること」の次に
「,先に検討した道交法や廃棄物処理法のような規定を設けることが銃刀法に
おいては困難であることをうかがわせる事情もないこと」を加える。
(6)原判決18頁1行目末尾の次に,次のとおり加える。
「また,控訴人は,行政処分に刑法35条ないし37条が適用されるから,
同62条も適用されると主張するが,正当防衛等は民法にも規定はあり(民法
720条),刑法35条ないし37条が行政処分の要件に適用されているとは
いえない。控訴人の主張は前提を欠くものである。同62条が行政処分の要件
について適用されないことは先に指摘したとおりである。」
第4結論
よって,原判決は相当であり,本件控訴には理由がないからこれを棄却するこ
ととして,主文のとおり判決する。
名古屋高等裁判所民事第3部
裁判長裁判官揖斐潔
裁判官池田信彦
裁判官唐木浩之

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