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平成16年12月22日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成16年(ハ)第965号 立替金請求事件
口頭弁論終結日 平成16年12月8日
判       決
大阪府○○市○区△△×-××-××  
原      告    
代表者代表取締役    
訴訟代理人    
東京都○○区△△×-××-××
被      告    
東京都○○区△△×-××-××
原告補助参加人    
代表者取締役    
主       文
1 被告は,原告に対し,金23万7000円及びこれに対する平成15年11月26日
から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。 
3 訴訟費用のうち参加によって生じた部分は補助参加人の負担とし,その余の訴
訟費用は,これを10分して,その4を被告の負担とし,その余は原告の負担とす
る。
4 この判決は,1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求の趣旨
被告は,原告に対し,57万4000円及びこれに対する平成15年11月26日か
ら支払済みに至るまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 請求の原因
(1) 原告は,割賦購入あっせんを業とする会社である。
(2) 原告は,平成14年9月10日,被告との間で,被告が補助参加人から購入し
た教材(以下「本件教材」という。)の代金51万9000円を被告に代わり補助参
加人に立替払いをなし,同立替金とこれに対する手数料16万1928円の合計
68万0928円を被告から割賦弁済を受ける旨の契約(以下「本件立替払契約」
という。)を締結し,同月19日,補助参加人に本件教材の代金を立替払いした。
(3) 本件立替払契約の内容は次のとおりである。
ア 被告は,原告に対し,(2)の立替金と手数料の合計68万0928円を次のと
おり分割(以下「本件割賦金」という。)して,銀行口座振替による方法で支払
う。
(ア) 平成14年10月26日限り1万3228円
(イ) 平成14年11月から平成18年9月まで毎月26日限り9100円ずつ(ただ
し,この期間中の1月と7月は各3万円ずつ加算する。)
イ 被告が,本件割賦金の支払いを遅滞した場合,原告から20日以上の期間
を定めてその支払いを書面で催告されたにもかかわらず,その期間内に支
払わなかったときは,当然に期限の利益を失う。
ウ 遅延損害金は,商事法定利率の年6パーセントの割合とする。
(4) 原告は,被告から本件割賦金として合計10万6928円の支払いを受けた
が,被告が平成15年6月以降の本件割賦金の支払いを遅滞したので,被告に
対し,遅くとも平成15年11月4日到達の書面により,同書面到達後3週間以内
に遅滞分の本件割賦金7万5500円の支払いを催告したところ,その期限であ
る同月25日までにその支払いをせず,被告は,期限の利益を喪失した。
(5) よって,原告は,被告に対し,本件割賦金の残額57万4000円及びこれに
対する期限の利益喪失の日の翌日である平成15年11月26日から支払済み
まで年6パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。
2 被告の主張の要旨
(1) 被告は,平成14年9月8日,「××堂」こと補助参加人との間で,被告の娘
で当時小学校5年生の訴外△△△△△に対する学習指導回数月2回,学習指
導時間1回90分,学習指導料金1回4500円,契約期間平成14年9月8日か
ら平成15年3月末日までとし,その後は1年ごとの自動更新という内容の家庭
教師派遣契約(以下「本件家庭教師派遣契約」という。)を締結した。その際,被
告は,補助参加人から,家庭教師の派遣に伴って使用する必要があるとして,
本件教材の購入を勧められ,本件教材について売買契約を締結し(以下「本件
売買契約」という。),同日本件教材の代金の支払いについて,原告が立替払
いすることになった。
その後の平成14年9月18日,本件教材が,補助参加人から被告方に送付
された。
(2) 平成15年3月に,それまで来ていた家庭教師から,突然辞めたいと申し出
があったため,被告は,同月中に,補助参加人に対し,本件家庭教師派遣契約
につき解除する旨の意思表示をし,同時に本件売買契約についても解除する
旨の意思表示をした。
(3) 被告は,原告に対し,補助参加人に対する本件売買契約の解除を援用す
る。
3 争点
(1) 本件売買契約の解除の成否
(2) 被告が原告に対し本件売買契約の解除の事由を対抗しうるか。対抗しうる
場合の当事者間の精算関係
第3 当裁判所の判断
1 証拠(甲1,乙1,証人××××(以下「証人××」という。),被告本人)によれ
ば,本件家庭教師派遣契約の成立の事実,本件売買契約が本件家庭教師派遣
契約に際し被告が購入する必要のある本件教材についてなされたものであること
及び本件立替払契約の成立の事実がいずれも認定でき,また,個人信用照会
(甲4の1)及びお支払計算書(甲4の2)によれば,原告が,平成14年9月19日,
補助参加人に本件売買代金を立替払いしたことが認定できる。なお,原告は,本
件売買契約が本件家庭教師派遣契約とは関連がない旨主張し,証人××も,補
助参加人は教材の販売等を業とする会社であり,本件家庭教師派遣契約の一方
当事者は「××堂」という別の組織であって,本件売買契約が本件家庭教師派遣
契約に先んじてなされたものである旨述べて,原告の主張に沿う供述をするが,
「××堂」は,証人××が主催する家庭教師派遣業の呼称であり(証人××の供
述),補助参加人自体も家庭訪問による学習指導及びその委託がその事業目的
となっており(商業登記簿),各契約とも被告宅において同一機会に,補助参加人
の営業担当社員である□□□□によって締結されていること(甲1,乙1,証人×
×の供述)からすれば,原告の主張は採用できない。 また,証拠(甲1,証人×
×)によれば,本件教材の内容及び金額は,次のとおりに認定できる。
①小学生パスロード(小学校5・6年生用)各4冊18万4000円
②生徒用指導書(QアンドAポイントチェックを含む。小学校6年生から中学生ま
で用)14冊22万5000円
③小学生総整理(小学校4年生から6年生まで用)4冊8万5000円
④ジュニア英語(小学校4年生から6年生まで用)1冊2万5000円
なお,教育クレジット契約書〔兼○○○○カード入会申込書〕(甲1)には,以上
の本件教材のうち,①及び②が関連商品で③及び④が推奨品であるかのような
記載が見えるが,証人××の尋問結果及び弁論の全趣旨によってうかがわれる
本件教材の性質や,補助参加人による被告に対する本件各勧誘の状況によれ
ば,本件教材はすべて本件家庭教師派遣契約の関連商品であると認定できる。
2 また,証拠(乙3,丙1,証人××,被告本人)及び弁論の全趣旨によれば,被告
は,平成15年3月10日,補助参加人に対し,それまで来ていた家庭教師から辞
めたいと申し出があったことを契機に,子供のレッスンで忙しいからという理由で,
本件家庭教師派遣契約に基づく学習指導を同月末日までで終了する旨伝えたこ
と,補助参加人の営業責任者である◇◇は,同月22日に被告に対し電話をか
け,あらためて学習指導を同月末日までで終了することを確認したこと,被告は,
同年4月に本件割賦金が銀行の口座から引き落とされていることを知り,同月,補
助参加人に対し,電話で本件教材を返還したい旨伝えたが取り合ってもらえなか
ったこと,被告は,同月中に,東京都○○区消費生活センター(以下「消費生活セ
ンター」という。)に相談に行き,消費生活センターの職員に対し本件教材を返還し
たい旨の希望を話し,その後,消費生活センター宛てに本件教材を送付したこと,
補助参加人は,同年6月24日,消費生活センターから,被告から本件教材の返
還について相談を受けているので,消費生活センターに来てほしい旨の連絡を受
けたこと,証人××は,同年7月8日と同月25日に消費生活センターに赴き,同
所で本件教材を確認・検品し,消費生活センターの職員に対し,本件教材の使用
状態から,引き取るとすれば2万円程度しか支払えない旨述べたこと,被告は,同
月25日に,男性と二人で消費生活センターに赴いたものの,証人××に対して,
あらためて本件家庭教師派遣契約等の解約に伴う本件教材の返還等についての
具体的な話をせずに,一方,証人××は本件商品を引き取ることなく,それぞれ
同所を退出したことが認定できる。
以上の事実に,消費生活センターの同種事案の相談と紛争処理業務の実情を
あわせ考慮すれば,被告は,平成15年3月22日の時点では,本件家庭教師派
遣契約を解除する確定的な意思はなかったものの,同年4月分の本件割賦金が
引き落とされていることを知り,本件家庭教師派遣契約を中途解約するとともに本
件売買契約を解除して本件教材を返還することを決意し,同月中に補助参加人に
対してその旨伝えようとしたが取り合ってもらえなかったので,消費生活センター
に相談をするとともに本件教材を同所に送付したことから,消費生活センターは,
補助参加人に対し,被告が本件家庭教師派遣契約及び本件売買契約の解除とこ
れに伴う本件教材の返品をする旨の確定的意思を伝えたので,遅くとも,平成15
年7月25日までには,本件家庭教師派遣契約及び本件売買契約はいずれも解
除されたものと認定できる。そして,証人××は,本件教材が返還された場合の
価額を2万円と評価したものの受領しなかったものであって,本件教材は補助参
加人が受領しうる状態になっていたものと認めるのが相当である。
3(1) そうすると,被告は,原告に対し,割賦販売法30条の4第1項により,本件売
買契約が平成15年7月25日に解除された事実を対抗することができ,同解除
の事実を援用したので,同解除の日以降である平成15年11月25日の経過に
より本件割賦金につき期限の利益を喪失した旨の原告の主張は失当である。
 (2) 次に,本件立替払契約は,割賦販売法の適用を受けるので,特定商取引に
関する法律(以下「特定商取引法」という。)50条2項により,本件売買契約の
解除に伴う精算関係は,割賦販売法の適用によりその解決を図ることになる。
 (3) そこで,本件売買契約に伴う精算関係について検討すると,教育クレジット契
約書〔兼○○○○カード入会申込書〕の契約条項第4条(甲1,乙6)により,原
告が補助参加人に立替払いしたことによって,本件教材の所有権は補助参加
人から原告に移転され,被告が本件立替金を完済するまでその所有権は原告
に留保されることになった。そうすると,原告と被告との間で,本件売買契約の
解除に伴う原状回復義務の履行(被告の原告に対する本件教材の返還及び損
害賠償並びに原告の被告に対する本件教材代金のうち既受領金の返還及び
損害賠償(民法545条))が必要となる。
 (4) まず,原告の原状回復義務について検討すると,原告は,被告から,本件割
賦金として合計10万6928円を受領しているが,充当関係については特約が
ないので,割賦販売法30条の5第1項1号により,手数料(16万1928円)から
充当することになり,原告の被告に対する返還分はない。
他方,被告は,前記認定のとおり,本件教材を補助参加人に対して返還しよ
うとしたものであるが,原告の加盟店である補助参加人に対する指導監督的立
場と,割賦販売に関する緊密な連携及び互いに協力する義務という原告・補助
参加人間の関係(訴訟告知書添付の「ショッピングクレジット制度取扱に関する
契約書」第1条参照),本件家庭教師派遣契約及び本件売買契約が本件立替
払契約と同一機会に補助参加人の営業社員によって一体的に締結されている
ことから,一般消費者である被告が,本件売買契約解除に伴い本件教材を補
助参加人に返還すべきであると考えることは不自然ではないことなどの事情を
考慮すると,本件教材は原告に返還されたものと同様の効果を認めることが相
当である。                           (5) そして,この場合の
被告の原告に対して支払うべき金額については,特定継続的役務提供契約
(本件家庭教師派遣契約)の中途解約に伴い関連商品販売契約(本件売買契
約)が解除された場合に,販売業者が購入者に請求できる金額の上限を規定し
た特定商取引法49条6項1号の規定を類推適用して判断するのが相当であ
る。そうすると,被告は,原告に対し,本件教材の通常の使用料に相当する額,
若しくは,本件教材の販売価格に相当する額から本件教材の返還時の転売可
能価格を控除した額が,本件教材の通常の使用料に相当する額を超える場合
には,その額を返還すべきことになる。
(6) 具体的には,本件教材のうち①小学生パスロード(小学校6年生用,4冊9
万2000円)及び②生徒用指導書(QアンドAポイントチェックを含む。小学校6
年生から中学生まで用,14冊22万5000円)は,当時小学校5年生であった
訴外△△△△△が,本件教材の受領時である平成14年9月18日から学習指
導終了時である平成15年3月21日までの間の学習指導を受けた際に使用し
たものではないから使用料は発生しない。他の①小学生パスロード(小学校5
年生用,4冊9万2000円),③小学生総整理(小学校4年生から6年生まで
用,4冊8万5000円)及び④ジュニア英語(小学校4年生から6年生まで用,1
冊,2万5000円)については,訴外△△△△△が,小学校5年生時の9月18
日から小学校6年生終了時の3月末日まで(約18か月間)使用することが予定
されているものであるのに対し,訴外△△△△△は,本件教材を平成14年9月
18日から平成15年3月21日まで(約6か月間)使用したことになるから,その
使用料は(9万2000円+8万5000円+2万5000円)×6÷18=6万7333
円(小数点以下四捨五入)となる。
一方,本件教材の返還時の価格について検討すると,上記のとおり,①小学
生パスロード(小学校6年生用)及び②生徒用指導書は,学習指導で使用せ
ず,他に被告において使用したことを認めるに足りる証拠がないから,これらの
返還時の転売可能価格は,未使用品として販売価格と同額であり,その差額は
生じないものと認定できるが,その他の①小学生パスロード(小学校5年生
用),③小学生総整理及び④ジュニア英語については,訴外××が消費生活セ
ンターにおいて検品した際,その使用状態から本件教材の引き取り価格を2万
円と評価していることを考慮すると中古品であり,これらについての返還時の転
売可能価格は,販売価格(合計20万2000円)の10分の1程度の価値(2万
円)と認めるのが相当であるので,販売価格から転売可能返還時の価格を控
除した額は18万2000円であると認定できる。
そうすると,本件教材の販売価格に相当する額から本件教材の返還時の転
売可能価格を控除した額が,本件教材の通常の使用料に相当する額を超える
ことになる。
(7) 以上によれば,被告は,原告に対し,本件教材の販売価格から返還時の転
売可能価格を控除した額である18万2000円と手数料の残額5万5000円の
合計23万7000円及び本件売買契約解除の日の翌日から支払済みまで年6
パーセントの割合による遅延損害金を支払うべきである。
4 以上により,原告の請求は上記の限度(遅延損害金の起算日は,原告主張の平
成15年11月26日)で理由があるから,主文のとおり判決する。
東京簡易裁判所民事第○室
裁 判 官  松 田 雅 人    

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