弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人の負担とする。
○ 事実
控訴代理人は、
一、原判決を取消す。
二、(主位的請求)
被控訴人が昭和三八年八月二二日学校法人紛争の調停等に関する法律にもとづき、
控訴人に対して為した学校法人名城大学の理事及び評議員の解職処分は無効である
ことを確認する。
(予備的請求)
仮に右解職処分無効確認の理由がないと認められるときには、右解職処分を取消
す。
三、控訴人が学校法人名城大学理事の仮の地位にあることを確認する。
四、訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする、
との旨の判決を求め、被控訴人及び補助参加代理人は、それぞれ控訴棄却の判決を
求めた。
当事者らの事実に関する陳述及び証拠の提出、援用、認否は、原判決の事実摘示と
同一である。
○ 理由
当裁判所は、控訴人の本件学校法人名城大学理事及び評議員解職処分無効確認請求
及び同取消請求はいずれも失当であつて、棄却すべく、かつ控訴人が同大学理事の
仮の地位にあることの確認を求める訴は不適法であつて却下すべきものと判断す
る。その理由としては、原判決の理由中の説明を引用するほか、以下の説明を付加
する。
成立に争いのない甲第四五号証によれば、控訴人は、昭和三五年五月一一日補助参
加入学校法人名城大学の理事会の決議によつてなされた控訴人に対する理事解任処
分が無効であるとして、名古屋地方裁判所に地位保全仮処分の申請をなし、同年一
〇月二一日同裁判所において、控訴人が学校法人名城大学の理事たる地位を有する
ことを本案判決の確定に至る迄仮に定める、との旨の仮処分の判決を受けたことが
認められる。而して、右仮処分判決は、控訴人と名城大学との間の理事解任処分の
効力をめぐる紛争が本案判決によつて解決する迄、控訴人に対し、右解任処分が無
効であつた場合に控訴人が有すべき従来の理事たる地位を保全したにとどまるもの
であるから、右解任処分が無効である旨の控訴人の主張が正当であるとしても、右
紛争の原因たる解任処分とは別個に、辞任、解任または任期満了等の退任事由が生
じたときは、控訴人が名城大学の理事たる地位を失うに至ることは当然のことであ
り、前記地位保全の仮処分判決がこれを妨げるものでないことはいうまでもない。
而して、控訴人に対する本件解職処分が為されるに至つた経緯は、当裁判所も前記
引用にかかる原判決が認定したとおりであると判断するものであつて、これを要約
すれば以下のとおりとなる。即ち、名城大学の紛争は、昭和二九年頃同大学の理事
会において、当時のA理事長の管理運営を支持する者とこれに反対する者との間の
対立として端を発し(第一次紛争)、昭和三三年一旦は和解が成立して解決したか
に見えたが、間もなくA理事長が第一次紛争の責任を追及すると称し、同理事長に
反対する理事、学長及び教職員らを解任したことにより再燃し(第二次紛争)、そ
の対立抗争は教職員及び学生らを捲き込んで激化の一途を辿り、その間控訴人はA
派に属していたが、昭和三五年には同人と意見の対立をきたして解任され、同大学
の紛争をめぐつて数十件の民事訴訟が提起され、刑事告訴も為される有様で、同大
学の管理運営は数派にわかれて抗争する理事、教職員及び学生らによつて収拾のつ
かない状態となり、紛争当事者による自主的な解決は到底期待することができなか
つた。そこで、被控訴人は、学校教育の公共性の見地から、私立学校法第六二条の
規定による解散命令という最悪事態を避けるため、学校法人紛争の調停等に関する
法律にもとづいて調停委員会を設置し、名城大学の紛争を調停に付したところ、大
多数の関係者は調停委員会が提示した調停案を受諾したが、控訴人ら数名の者がこ
れを受諾しなかつたため、被控訴人は同大学の正常な管理運営を回復するためには
他に方法がないと認め、やむなく同法にもとづいて控訴人らを解職処分に付したも
のである。およそ以上のとおりであつて、本件解職処分は、数派にわかれて抗争す
る名城大学の管理運営を正常に戻すという行政目的のために為されたものであり、
名城大学理事会の控訴人に対する前記解任処分とは全然別個の事由にもとづく解職
処分であるから、控訴人が本件解職処分により同大学の理事及び評議員たる地位を
失うに至るとしても、右処分をもつて前記地位保全仮処分判決に抵触する違法な処
分ということはできない。また、本件解職処分は、控訴人と名城大学との間の前記
紛争についてなにらの判断を示すものではないから、行政機関が裁判を行なうこと
には当らず、右処分により控訴人と名城大学との間の前記紛争をめぐる本零訴訟に
つき訴の利益が失われることになるとしても、それは独自の行政目的を有する本件
解職処分の反射的効果に過ぎないものであるから、これをもつて控訴人の裁判を受
ける権利を不当に奪うものということはできない。それ故、右地位保全仮処分判決
が存在し、或いはその本案訴訟が係属していたことを理由として、本件解職処分の
無効確認または取消を求める控訴人の主張は失当たるを免れない。
よつて、原判決は相当であるから、民事訴訟法第三八四条第一項の規定により本件
控訴を棄却することとし、訴訟費用の負担につき同法第九五条及び第八九条の規定
を適用し、主文のとおり判決する。
(裁判官 平賀健太 安達昌彦 後藤文彦)

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