弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人高井貫之、同杉山忠三の上告理由第一点について。
 原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ)が適法に確定したところに
よれば、Dは、昭和二四年九月六日上告人(被告)に対して本件建物を売り渡した
際、右建物所有の目的で本件建物敷地部分を賃貸したこと、Dの死亡により同二七
年一月一九日E外三名が相続してその賃貸人の地位を承継したこと、上告人(被告)
は本件建物について同三六年七月二五日所有権保存登記をしたが、これより先、被
上告人(原告)は建物敷地部分を含む本件土地について所有権移転請求権保全の仮
登記をし、ついで、同年一一月二一日右仮登記にもとづいて所有権移転の本登記を
経由したことが認められる。
 ところで、請求権保全のための仮登記であつても、これにもとづく本登記がなさ
れたときは、仮登記以後に行なわれたこれと相容れない中間処分の効力を否定する
効果を有するものと解すべきことは、当裁判所の判例(当裁判所第一小法廷昭和三
三年(オ)第八七一号、同三六年六月二九日判決民集一五巻六号一七六四頁)とす
るところであるところ、前記原審の確定した事実によると、上告人(被告)が本件
建物敷地部分につき賃借権を取得したのは、被上告人(原告)が右建物敷地部分を
含む本件土地についてなした前記仮登記に先だつ昭和二四年九月六日であるが、本
件建物について所有権保存登記をしたのは、右仮登記後の同三六年七月二五日であ
るというのである。
 建物保護ニ関スル法律第一条によれば、土地の賃借人がその借地上の建物につき
所有権保存登記をするときは、その土地の賃貸借についていわゆる対抗力を付与さ
れることになる。本件において上告人(被告)のなした前記所有権保存登記は、直
接には本件建物の保存行為であつて、その賃借した土地に関する行為ではないけれ
ども、これにより右のごとくその土地の賃貸借につき対抗力が付与される点から考
えると、それは、本件建物敷地部分については、前記仮登記にもとづく所有権移転
の本登記と相容れない、いわゆる中間処分に準ずるものと解するのが相当であると
いわなければならない。したがつて、被上告人(原告)が本件建物の保存登記より
も先になされた右の仮登記にもとづく本登記をした以上、被上告人(原告)の権利
が上告人(被告)の権利に優先することになり、上告人(被告)はその賃借権をも
つて被上告人(原告)に対抗することをえないものというべきである。それゆえ、
これと同趣旨に出た原判決は正当である。
 原判決に所論の違法はなく、右説示と異なる論旨は採ることができない。
 同第二点について。
 原判決の挙示する証拠によれば、原審の認定した事実を肯認することができ、右
認定の事実関係のもとにおいては、被上告人(原告)の本訴請求が権利の濫用とい
えないとした原審の判断は、正当として是認することができる。したがつて、右の
点に関する違法を前提とする違憲の主張も理由がない。
 原判決に所論の違法はなく、論旨は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨、事
実の認定を非難するに帰し、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠

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