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平成17年(行ケ)第10721号特許取消決定取消請求事件
平成19年7月25日判決言渡,平成19年6月27日口頭弁論終結
判決
原告アプライドマテリアルズ
インコーポレイテッド
訴訟代理人弁理士小橋正明
被告特許庁長官肥塚雅博
指定代理人中島昭浩,前田幸雄,森川元嗣,大場義則
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日
と定める。
事実及び理由
第1請求
特許庁が異議2003−72977号事件について平成17年5月17日にした
決定のうち,「特許第3431599号の請求項1,4∼25に係る発明について
の特許を取り消す。」との部分を取り消す。
第2当事者間に争いがない事実
1特許庁における手続の経緯
()原告は,発明の名称を「化学的機械的研磨用の多層の止め輪を有するキャ1
リア・ヘッド」とする特許第3431599号(平成11年5月7日出願,優先権
主張1998年〔平成10年〕6月3日・米国,平成15年5月23日設定登録
〔以下「本件特許」という。〕)の特許権者である。
()本件特許について特許異議の申立てがされ,異議2003−72977号2
事件として特許庁に係属し,平成17年2月28日付けで訂正請求(以下「本件訂
正」という。)がされたところ,特許庁は,上記事件を審理した結果,平成17年
5月17日,「訂正を認める。特許第3431599号の請求項1,4∼25に係
る発明についての特許を取り消す。同請求項2∼3に係る発明についての特許を維
持する。」との決定をし,その謄本は,同年6月8日,原告に送達された。
原告は,平成17年10月6日,上記決定のうち,「特許第3431599号の
請求項1,4∼25に係る発明についての特許を取り消す。」との部分(以下「本
件決定」という。)の取消しを求めて,知的財産高等裁判所に対し,本件訴えを提
起した。
なお,原告は,同月27日,特許庁に対し,特許第3431599号(本件特
許)の請求項1の訂正を求めて訂正審判の請求をし,特許庁は,これを訂正200
5−39196号事件として審理し,平成18年5月2日,「本件審判の請求は,
成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月12日,原告に送達され,原告
は,同年9月8日,知的財産高等裁判所に対し,審決取消訴訟を提起した(当庁平
成18年(行ケ)第10407号)。
2発明の要旨
本件訂正後の明細書の特許請求の範囲に記載された発明の要旨(以下,請求項1
に記載された発明を「本件発明1」,請求項2に記載された発明を「本件発明2」
などという。)
【請求項1】化学的機械的研磨のために,ハウジング,ベース,ローディング
チャンバを有するキャリア・ヘッドにおいて,前記ハウジングと前記ベースの間に
前記ローディングチャンバが配置され,前記ローディングチャンバ内の圧力はポン
プにより制御される,前記キャリア・ヘッドの止め輪であって,
研磨の間にポリシング・パッドと接触し,第一の材料で作られている,底部表面
を有する下部の部分と,
前記第一の材料より剛性である第二の材料で作られている,上部の部分と,を有
し,
前記上部の部分は,ボルトによってキャリア・ヘッドの前記ベースの外縁に固定
されるようになっている全体として環状の止め輪。
【請求項2】化学的機械的研磨のために,ハウジング,ベース,ローディング
チャンバを有するキャリア・ヘッドにおいて,前記ハウジングと前記ベースの間に
前記ローディングチャンバが配置され,前記ローディングチャンバ内の圧力はポン
プにより制御される,前記キャリア・ヘッドの止め輪であって,
前記キャリア・ヘッドが,ベースと,止め輪と,基板裏当て組立体とを含み,
前記基板裏当て組立体が,支持構造,該支持構造をベースに接続している撓みダ
イアフラム,及び該支持構造に接続された可撓膜を有し,
前記撓みダイアフラムの外縁が前記ベースと前記止め輪との間にクランプされ,
前記撓みダイアフラムの内縁が前記支持構造の上部クランプと下部クランプとの間
にクランプされ,
前記ベースと,前記基板裏当て組立体との間にチャンバが形成され,該チャンバ
の加圧が,基板をポリシング・パッドに対して押し付けるように,可撓膜を下向き
に押すようになっており,
前記撓みダイアフラムを前記ベースと前記止め輪との間に加圧可能に封止してク
ランプするために,前記止め輪の前記上部の部分に,断面形状にして凹凸になって
いる部分が設けられており,
前記止め輪が,研磨の間にポリシング・パッドと接触し,第一の材料で作られて
いる,底部表面を有する環状の下部の部分と,
前記第一の材料より剛性である第二の材料で作られている,キャリア・ヘッドの
ベースに接続される環状の上部の部分と,を有し,
前記上部の部分は,ボルトによってキャリア・ヘッドの前記ベースの外縁に固定
されるようになっている全体として環状の止め輪。
【請求項3】キャリア・ヘッドが,ベースと,止め輪と,基板裏当て組立体と
を含み,
前記基板裏当て組立体が,支持構造,該支持構造をベースに接続している撓みダ
イアフラム,及び該支持構造に接続された可撓膜を有し,
前記撓みダイアフラムの外縁が前記ベースと前記止め輪との間にクランプされ,
前記撓みダイアフラムの内縁が前記支持構造の上部クランプと下部クランプとの間
にクランプされ,
前記ベースと,前記基板裏当て組立体との間にチャンバが形成され,該チャンバ
の加圧が,基板をポリシング・パッドに対して押し付けるように,可撓膜を下向き
に押すようになっており,
前記撓みダイアフラムを前記ベースと前記止め輪との間に加圧可能に封止してク
ランプするために,前記止め輪の前記上部の部分に,断面形状にして凹凸になって
いる部分が設けられている,請求項1記載の止め輪。
【請求項4】該底部表面に複数のチャネルを有する,請求項1∼3の何れか1
項記載の止め輪。
【請求項5】前記止め輪の上部の部分の外周部に,前記ベース下部と相補的関
係にある,断面形状にしたときに段差状になる部分が設けられ,前記止め輪とベー
スとが嵌合するようになっている請求項1∼4の何れか1項記載の止め輪。
【請求項6】前記第一の材料が,化学的機械的研磨プロセスに対して不活性で
ある請求項1∼5の何れか1項記載の止め輪。
【請求項7】前記第一の材料が,プラスチックである請求項1∼6の何れか1
項記載の止め輪。
【請求項8】前記第一の材料が,硫化ポリフェニレン,ポリエチレン・テレフ
タート,ポリエーテル・エーテル・ケトン及びポリブチレン・テレフタートからな
る群から選択される請求項1∼7の何れか1項記載の止め輪。
【請求項9】前記第一の材料が,硫化ポリフェニレンである請求項1∼8の何
れか1項記載の止め輪。
【請求項10】前記第一の材料が,ショアーDスケールで約80から95の間
のデュロメータ測定値を与える請求項1∼9の何れか1項記載の止め輪。
【請求項11】第一の材料は,0.3∼1.6×10ポンド/インチの弾62
性率を有する請求項1∼10の何れか1項載の止め輪。
【請求項12】前記下部の部分は,厚さが研磨される基板より厚い請求項1∼
11の何れか1項記載の止め輪。
【請求項13】前記下部の部分は,厚さが約100ミルから400ミルの間で
ある請求項1∼12の何れか1項記載の止め輪。
【請求項14】前記第二の材料は,金属である請求項1∼13の何れか1項記
載の止め輪。
【請求項15】前記第二の材料は,ステンレス,アルミニウム,モリブデンか
らなる群から選択される金属である請求項1∼14の何れか1項記載の止め輪。
【請求項16】前記第二の材料は,セラミックスである請求項1∼13の何れ
か1項記載の止め輪。
【請求項17】前記第二の材料は,10∼50×10ポンド/インチの弾62
性率を有する請求項1∼16の何れか1項記載の止め輪。
【請求項18】前記第二の材料は,前記第一の材料の弾性率の約10倍から1
00倍の弾性率を有する請求項1∼17の何れか1項記載の止め輪。
【請求項19】前記第二の材料は,前記第一の材料の弾性率の約50倍の弾性
率を有する請求項1∼18の何れか1項記載の止め輪。
【請求項20】前記上部の部分は,厚さが約300ミルから500ミルの間で
ある請求項1∼19の何れか1項記載の止め輪。
【請求項21】前記下部の部分は第一の弾性率を有し,前記上部の部分は第二
の弾性率を有し,前記第二の弾性率は前記第一の弾性率より十分に大きいように選
択されている請求項1∼20の何れか1項記載の止め輪。
【請求項22】前記下部の部分は,前記上部の部分に接着して取り付けられて
いる請求項1∼21の何れか1項記載の止め輪。
【請求項23】前記接着は,緩硬性()エポキシである接着剤でなslowcuring
されている請求項22記載の止め輪。
【請求項24】前記下部の部分は,前記上部の部分に圧入されている請求項1
∼23の何れか1項記載の止め輪。
【請求項25】前記下部の部分は,前記上部の部分にねじを使用して接着して
取り付けられている請求項1∼24の何れか1項記載の止め輪。
3決定の理由
決定は,別紙決定のとおり,本件訂正を認めた上,本件発明1,4ないし25は,
国際公開96/36459号に記載された発明及び周知の事項に基づいて,当業者
が容易に発明をすることができたものであるから,これらの発明に係る特許は特許
法29条2項の規定に違反してされたもので,取り消されるべきものであるとし,
本件発明2,3に係る特許は,取消の理由を発見しないとした。
第3原告主張の審決取消事由
原告主張の取消事由は,前記第2の1の訂正2005−39196号事件に係る
訂正審判請求が成立することを前提とするものであり,それ以外に本件決定に固有
の取消事由は主張しない。
第4当裁判所の判断
原告は,本件決定固有の取消事由を主張しないから,その余について判断するま
でもなく,原告の請求は理由がない。なお,上記訂正審判請求事件に係る審決取消
訴訟である当庁平成18年(行ケ)第10407号事件については,本件と同一の
裁判体によって平成19年7月25日,原告の請求を棄却する旨の判決が言い渡さ
れる。
よって,原告の請求は理由がないから,棄却することとする。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官塚原朋一
裁判官宍戸充
裁判官柴田義明

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