弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

○ 主文
原告らの被告愛知県知事に対する訴を却下する。
原告らの被告愛知県に対する請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
○ 事実
第一、当事者の求める裁判
(原告ら)
「一、被告愛知県知事は、昭和四五年七月二九日付愛知県文化会館長名で原告らに
対してなした愛知県文化会館小展示B室利用許可取消処分を取消す。
二、被告愛知県は、愛知県文化会館の名において、名古屋で発行する朝日新聞朝刊
第三面および中部日本新聞ならびに毎日新聞の各朝刊第一五面の第一四段および第
一五段の二段抜きにて、左右一〇センチメートル、天地二段、見出し「陳謝と取
消」および最後の広告主名の「愛知県文化会館」の計一三字は三倍活字、本文なら
びに日付は一・五倍活字、本文中の愛知県文化会館ならびに原告ら名は一・五倍ゴ
チツク活字とする別紙文案の広告をせよ。
三 被告愛知県は原告らに対し、それぞれ金一〇万円およびこれに対する本訴状送
達の翌日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
四、訴訟費用は被告らの負担とする。」
との判決ならびに第三項につぎ仮執行の宣言。
(被告愛知県知事)
主文第一、三項同旨の判決および本案につき「原告らの請求を棄却する。訴訟費用
は原告らの負担とする。」との判決。
(被告愛知県)
主文第二、三項同旨の判決。
第二、当事者の主張
(請求の原因)
一、原告らはいずれもNAG(ニユー・アート・グループ)と称する若手芸術家か
らなる団体の構成員である。右NAGは、昭和四五年五月一九日から三日間愛知県
文化会館(以下、県美術館という)で「未展」と題する作品展示会を開催した「未
展」グループが、右展示会終了後若干の構成員の変動を契機にNAGと改称し、今
日に至つたものである。
二、原告らを含むNAGは県美術館展示室利用許可を得るため、構成員の一員訴外
aをして、愛知県文化会館長(以下、県美術館長という)に対しその利用許可申請
をなさしめ、昭和四五年五月二八日県美術館「文化第三七二号」にて、小展示B室
を同年七月二七日から同年同月三〇日までの四日間、午前一〇時から午後六時まで
の間「NAG展」として作品展示をなすべくその利用許可を得た。
三、そこで、原告らを含むNAGは、昭和四五年七月二七日午後から前記展示室に
作品を搬入し展示公開した。
右搬入作品はNAG構成員らによる集団創作になるもので、主たる素材を繩、むし
ろ、空箱(ダンボール製その他)、空かん、空びん、紙袋、ビニール袋に詰めたそ
の他の廃棄物等に求め、繩を床面上に基盤状に張り、その各粋の中に繩を除く右素
材を随意集合物にしてそれぞれ置いた床面作品であつた。
四、ところが公開展示二日目の七月二八日、県美術館は午前一〇時の開室をなさ
ず、NAGの抗議により午前一一時頃になつて漸く開室した。しかし、同日午後一
時頃に至つて、県美術館長は原告らを含むNAGに対し、前記展示作品について
「木館の小展示B室におかれているものは、本館に展示するにふさわしい美術作品
とは認められないので、すみやかに撤去してください。」との撤去指示をなした。
そして、同館長は、同日午後三時頃、原告らが右撤去指示に従わないとみて、係員
をして前記展示作品の一部を撤去せしめた。
五、公開展示三日目の七月二九日、県美術館長は前記小展示B室を終日開扉せず、
愛知県文化会館条例六条違反を理由として、原告らを含むNAGに対し、前記小展
示B室の利用許可処分の取消処分(講学上の撤回処分、以下、本件取消処分とい
う)をなした。
六、しかしながら、県美術館長の前記撤去指示は、以下の理由により違法であり、
また、これに基づく本件取消処分は違法として取消されるべきである。
1、憲法二一条、愛知県文化会館条例が保障する「表現の自由」を侵したこと。
(一) 原告らの前記展示作品は、既に述べたとおり、素材にいわゆるゴミを選ん
でいるが、“突飛な催し物”を狙つたものではなく、NAGの構成員である訴外b
は、昭和四四年一〇月二四日、名古屋市白川公園での屋外彫刻展において、自作の
ゴミ焼却炉で同公園内から集めたゴミを焼いて煙を出し、この一連の行為を創作作
品として展示した。また同四五年四月一日から同年五月三日までの間横浜市で開催
された「現代美術野外フエステイバル」において、原告cは、不要になつた、或は
捨てられた靴(いわゆるボロ靴)約三〇〇足に銀色ペンキを塗つたうえ、地上に並
べて置いたり、積み上げたり、木に掛けたりした作品を創作展示し、また同フエス
テイバルにおいて原告dは、不要となつた菰(一個の重量が約一〇〇キログラム)
五個を地上に置いた作品を創作展示した。さらに前記原告cは、同年四月一二日、
廃棄物のためドブ川となつた名古屋市内納屋橋付近の堀川で魚を釣るべく釣り系を
垂れているところを写真撮影し、この作品は後日NHKテレビにて放映されてい
る。NAGが集団創作作品としていわゆるゴミを素材にしたのも、こうした一連の
作品の流れの一つであつた。
(二) ところで、近代美術から現代美術への潮流を概観するに、まず、第一次世
界大戦中からその戦後にかけて、従来の芸術伝統形式を白紙に還そうとするダダイ
ズムの運動が起こり、例えば自転車の車輪、便器、瓶乾燥器といつたごく平凡な既
製の日用品をその本来の用途から離して一個の芸術品に装つたものであつて、芸術
ないし芸術作品という既成概念に対する完全なアンチテーゼとしての意義を有し、
絵画とも彫刻ともつかない作品、オブジエを現代芸術の中に発生させる重要な機縁
の一つになつた。
その後、シユールレアリズムの運動の中で再びオブジエが取り上げられた。シユー
ルレアリズムとは、一言でいえば、想像力の解放運動であり、人間の内部と外部、
或は意識と無意識といつた矛盾を超えようとする運動といえるが、画家や彫刻家は
夢とか無意識など人間の深層にある欲望の象徴物としてのオブジエに重点を置き、
既製品やその部分或は自然物を含めたあらゆる素材の突飛な組み合わせによつて、
絵画や彫刻の枠の外で、シヨツキングな物体を作つた。
こうした状況は、第二次世界大戦後に至つて更に普遍化し、絵画と彫刻との境界が
きわめて不分明となり、現在総括的に「ポンプ・アート」(ポピユラー・アートの
略称、作家の好んで描き、作る作品の題材が今日のマスプロ文明の産物であり、そ
うした環境の卒直平明な反映であるという点で共通性を有する)と呼ばれる運動
が、戦後における芸術の大きな潮流の一つとなつて、アメリカ、ヨーロツパ諸国の
みならず、我が国においても一般化している。
更には、このポツプ・アートからコンセプチユアル・アート(観念芸術)と呼ばれ
る傾向が生まれた。これは「つくる」ことより「指し示す」ことへの移行という言
葉でよくいい表わされるが、物の持つ物質性と作家の持つ意図としての観念が奇妙
に遊離している表現方式をいう。原告らの本件展示作品の数日前の昭和四五年七月
一五日から同月二六日までの一二日間、県美術館展示室において開催された「日本
国際美術展」(東京ビエンナーレ)の展示諸作品は、こうしたポツプ・アートから
コンセプチユアル・アートへの流れの中で把握されるべき作品である。
(三) 而して、原告らの本件展示作品と以下に列挙する右「日本国際美術展」の
諸作品との間に本質的な差異はないのである。
(1) ハトロン紙をテープで継いで大きくし、その各端を上に折り曲げただけの
e創作作品。
(2) 展示室(小室)全体を布で覆つただけのアメリカf創作作品。
(3) 赤錆びて捨てられた鉄棒数一〇本を転がしたままのアメリカ、g創作作
品。
(4) コークスと黒い紙屑を積み上げただけのドイツ、h創作作品。
(5) 川で拾い集めた自然石の集合のみのi創作作品。
(6) 割り砕いた自然石を積み上げただけのj創作作品。
(7) 上部を少し四角に削つた松の丸太九本を並べ立てただけのk創作作品。
しかるに、県美術館長のなした本件撤去指示は、とりもなおさず原告らの前記ゴミ
を素材にした芸術作品の内容にまで介入しこれを規制することに外ならないのであ
つて、作家の「表現の自由」を保障した憲法二一条に違反するものであり、更に
は、展示作品の内容につき別段規定を設けていない愛知県文化会館条例に照らし、
違法というべきである。
2、全面撤去の違法性
仮りに、展示作品の素材が有する腐敗悪臭等衛生上の問題および極端な不快感をも
たらすという観点から、素材ないし作品に対する最低限のチエソクとして撤去を行
ないうるとして、原告らの床面作品の素材の大半はダンボール等乾燥素材であるこ
とから、僅かな腐敗物等に対する撤去の必要はあつたかも知れない。もつとも、こ
れら腐敗物等も二重のビニール袋に詰め、更に防虫剤を噴霧済みであつて、展示室
管理上撤去の必要性は殆んどなかつたのであるが、仮りに臭気、不快感があれば、
撤去の必要性は右の範囲の素材に限つてなされなければならない。そうでなげれば
やはり作品に対する介入、強権発動というべきである。しかるに、県美術館長のな
した本件撤去指示は、原告らの本件床面作品全部に対するものであるから、違法で
ある。
従つて、違法な撤去指示に基づいてなされた本件取消処分が違法であることは明ら
かである。
七、また、県美術館長は、故意または過失により違法になした本件撤去指示および
取消処分により、原告らから作品展示の機会を奪つたほか、原告らの作品を作品で
はないとして県美術館外へ違法に撤去し、県美術館という東海地方では最大の公共
展示機関から締め出しその名誉をを毀損した。そのため、原告らが被つた精神的苦
痛はきわめて甚大であり、これを金銭に評価すると、各原告らにつきそれぞれ金一
〇万円を下らない。
八、よつて、原告らは県美術館の設置管理者である被告愛知県知事に対し本件取消
処分の取消を求めるとともに、被告愛知県に対し、国家賠償法一条一項に基づき名
誉回復のため請求の趣旨第二項の如き謝罪広告をなすことおよび前記慰藉料各金一
〇万円とこれに対する本訴状送達の翌日たる昭和四五年一〇月三一日から完済に至
るまで年五分の割合による遅延損害金の支払いを求めるため、本訴提起に及んだ。
(被告愛知県知事の本案前の抗弁に対する反論)
一、原告適格について
小展示B室利用許可申請は訴外aの名でなされ、これに対する県美術館長の許可も
同人あてになされている。しかし、右は県美術館の利用許可処理手続上単なる連絡
の責任者として、形式的にaの名が用いられたに過ぎず、aの提出した利用許可申
請書にはNAG展の記載があり、かつ県美術館においても従来個人に対し利用許可
を与えず、グループ、団体等にのみ利用許可していることからしても、小展示B室
を利用して出品展示する者は当然NAG構成員を予定しているわけで、原告らは本
件利用許可により小展示B室を利用しうる法的地位を得たものである。
仮りに、利用許可の相手方が訴外aのみであるとしても、原告らは合法的に小展示
B室で作品を展示したのに、県美術館長の違法な撤去指示に基づき、また、違法な
本件取消処分によりその展示作品を撤去されたのであるから、原告らにおいてなお
本件取消処分の違法を争いうる原告適格があるというべきである。
二、訴の利益について
訴外aの名でなした本件利用許可申請はまず利用許可を得ることが先決であつて、
特定期間の利用許可を主眼としてはいない。従つて、本件取消処分が取消されるな
らば、再び本件床面作品展示の利用許可が得られ、まさに本来の目的を達すること
ができるのである。また、請求の趣旨第二、三項の謝罪広告および慰藉料の支払い
を求めるうえにおいて、更には、本件取消処分のあつたことを理由に今後県美術館
での出展或は利用許可の機会が奪われる虞れを予め排除する意味において(現に、
原告らがいずれも翌昭和四六年中になした利用許可申請はすべて不許可になつてい
る)、本件取消処分の取消を求める利益を有するものである。
(被告愛知県知事の本案前の抗弁)
一、原告適格について
県美術館長が本件小展示B室の利用許可を与えたのはその申請をなしたaに対して
であり、また、同館長が右利用許可を取消した処分の相手方もaであつて、原告ら
ではない。原告らは、NAGの構成員が本件利用許可により小展示B室を利用しう
る法的地位を得た旨主張するが、NAGの構成員そのものが特定していたとは認め
られず、更に、原告らがNAGの構成員であると肯認しうる資料もないのであるか
ら、原告らの右主張は前提を欠くものといわざるを得ない。従つて、原告らは、本
件取消(撤回)処分の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者に該らないこと
が明白であるから、右取消を求める本訴は、原告適格を欠くものとして不適法であ
る。
二、利用期間徒過による訴の利益消滅について
本件利用許可期間である昭和四五年七月二七日から同月三〇日までの四日間は既に
経過した以上、いまさら本件取消処分を取消してみても、原告らが県美術館を利用
しうる地位を回復するわけのものではないから、原告らにおいて右取消を求める訴
の利益は失なわれたというべきである。もつとも、原告らは、本件取消処分があつ
たことを理由に今後県美術館での出品或は利用許可の機会が奪われる虞れが大であ
るから、その利益があると主張する。しかしながら、県美術館としては、展示室の
利用許可を公平適正に運用しているのであつて、県美術館が原告らに対しそのよう
なことを理由に不利益な取扱いをしたり県美術館利用の機会を奪うことはない。仮
りに、原告らのかかる危惧する事態発生の蓋然性があるとしても、それは単なる事
実上の事柄であつて、法律上の利益に関するものではない。
従つて、いずれにしても原告らには本件取消処分の取消を求める利益はない。
(請求原因に対する被告らの認否)
一、請求原因一項の事実のうち、「未展」と題する展示会が昭和四四年五月一九日
から県美術館で開催されたことは認めるが、その余の事実はすべて知らない。
二、同二項の事実のうち、訴外aが県美術館長に対し県美術館の利用許可申請をな
し、同館長が、昭和四五年五月二八日「文化第三七二号」にて、県美術館小展示B
室を同年七月二七日から同月三〇日までの四日間、午前一〇時から午後六時までの
間「NAG展」として利用することをaに対して許可したことは認めるが、aがN
AGの代表者であるとの点を含めその余の事実は知らない。
三、同三項の事実のうち、原告ら主張の日時に小展示B室へ搬入された物件が、概
ね原告ら主張のような廃棄物であり、床面に基盤状に繩を張りめぐらし、その各枠
中にこれら廃棄物等が置かれていたことは認めるが、その余の事実は否認する。
四、同四項の事実のうち、県美術館が午前一一時頃に小展示B室を開室し、午後一
時頃美術館長名でその主張のような趣旨の撤去指示をなしたこと、および県美術館
長が午後三時頃係員をして展示物の一部を撤去せしめたことは認めるが、その余の
事実は否認する。撤去指示はNAGに対してではなく、aに対してなしたものであ
る。
五、同五項の事実のうち、県美術館長が七月二九日は終日小展示B室を開扉しなか
つたこと、同館長が同日付で、愛知県文化会館条例六条違反を理由として、先にな
した右展示室利用許可処分の取消処分(講学上の撤回処分)をなしたことは認める
が、その余の事実は否認する。
六、同六1(一)の事実はいずれも知らない。同六1(二)の事実のうち、昭和四
五年七月一五日から同月二六日までの間県美術館において「日本国際美術展」(東
京ビエンナーレ)が開催されたことは認めるが、その余の事実はすべて知らない。
同六1(三)の事実のうち、右日本国際美術展の展示作品の中に原告ら主張の七点
があつたことは認めるが、その余の事実は否認する。同六2の事実は否認する。
七、同七項の事実は否認する。
八、同八項は争う。
(被告らの主張)
一、訴外aは、昭和四四年一二月二日、県美術館長に対し、展覧会の名称をNAG
展(旧名未展)、希望利用期間を昭和四五年八月二二日から一〇日間または同年一
二月上旬から中旬まで、展示作品を油絵、彫塑、工芸各一〇点、写真五点、主たる
構成員をbほか三名などとする県美術館利用仮申請書を提出し、次いで、同年五月
六日展覧会の名称および展示作品内容は仮申請のとおり、利用会場および期間につ
き小展示B室を同年七月二七日から同月三〇日までの四日間などとする利用許可申
請書を提出した。
県美術館長はaに対し、昭和四五年五月二八日付で利用者および利用責任者をa、
利用目的をNAG展、利用する会場および期間を申請書どおりとする内容の利用許
可をなし、同年七月二五日、aの事前の打合わせをなしたところ、同人は出品作品
の内容につき洋画五、六点、デザイン一五点、写真五点および彫刻三点であると述
べた。
二、ところが、展覧会初日である昭和四五年七月二七日午後二時頃になつてようや
く訴外bが作品搬入と飾付けのため来館したので、県美術館は会場である小展示B
室を開室したが、同日夕方に至り、利用許可申請時および直前の打合わせ時に決め
てあつた作品は一点もなく、ゴミが持ち込まれているのを発見した。右のゴミは、
県美術館搬入口にあるゴミ箱から持ち込んだ紙屑、タバコの吸い殻、石油罐、罐詰
めの空罐、残飯、捨てられた花、ダンボール箱、錠等であつて、その中には腐敗し
つつある有機物が含まれていて悪臭を発しており、しかも右ゴミは、荒繩で碁盤の
目に仕切つた床上に、一部はナイロン袋に入れ(但し完全に密封されてはいなかつ
た)、一部はそのままの状態で雑然と積み上げられていたため、何人も不潔感・不
快感を抱かざるをえなかつた。
そこで、県美術館長は、aとの連絡がとれなかつたので、前記bに対し、ゴミを撤
去し打合わせどおりの作品を展示するよう指示した。
翌二八日になつても依然aとの連絡がとれないまま、bら数名の要求により午前一
一時頃本件展示室を開けたところ、室内に異様な・臭気が充満し、ゴキブリが床の
上を走つていた。また、県美術館南玄関入口附近および本件展示室内に、公衆の出
入りする美術館にふさわしくないばかりかその品位を害するようなビラが原告らに
よつて貼られていた。
そこで、県美術館係員らは、前記bに対しaを早急に来館させるよう促すととも
に、打合わせどおりの作品を展示するよう指示したが、bは毎日ゴミを運び入れて
ゴミの山を作ると答えたので、午後一時頃、本件展示物件の撤去を指示したaあて
の文書をbに手渡した。ところが、aは依然来館せず、bらは右撤去指示に従わな
かつたので、午後三時頃県美術館側において撤去清掃を始めたが、bらはこれを妨
害した。また、aは結局同日も来館しなかつた。
一二 日目の七月二九日にもaは来館せず、またbらは前記撤去指示に従わないの
で、県美術館長は、本件取消処分をなし、居合せたaの父訴外lに対し、a本人に
見せるよう依頼して本件取消処分書を手渡し、同日午後六時原告らと話し合つた結
果、本件展示室内のゴミを搬出口に運び出して保管した。しかし、その後三日を経
ても取りに来ず、不潔なので県美術館側においてこれを処分した。また、翌三〇日
本件展示室入口前に、ビニール袋に入れたゴミが積み上げられたので、これも処分
した。
三、ところで、愛知県文化会館条例六条によれば、利用者は、県美術館の利用に際
しては、この条例およびこれに基づく規則の規定、利用許可に付せられた条件、お
よび県美術館長の指示に従うとともに、美術館の秩序を乱すような行為をしてはな
らないとされており、同七条は、利用者が右六条の規定に違反したときは、館長に
おいて、利用許可を取消すことができる旨定める。
而して、県美術館長が本件取消処分をなしたのは、既に述べたところで明らかなと
おり、原告らが県美術館の秩序を乱す等右条例六条違反の行為を繰返したからであ
つて、もとより適法である。その理由を要約すれば次のとおりである。
1、県美術館のゴミ箱からゴミという不潔な物を本件展示室に盤入展示したこと
(秩序違反)。
すなわち、展示物そのものがきわめて不潔であつて、公衆の出入りする場所に展示
する物としては不適当である。
これに対し原告らは、表現の自由を侵すとか、本件展示品が美術作品である旨主張
する。しかしながら、県美術館長の撤去指示は、本件展示品が不潔で県美術館の秩
序を乱すことを理由の一つとしてなされたものであつて、別に作品内容に介入した
わけでもないし、また、本件展示品の芸術性の有無について審査判断したわけでも
ないから、原告らの所論は当らない。
2、不潔な物を速やかに撤去するよう指示したにも拘らず、これに従わなかつたこ
と(指示違反)。
3、作品の種類につき、利用許可申請時および打合わせ時に述べたとおりのものを
展示するよう指示したが、これに従わなかつたこと(指示違反)。
4、利用責任者に何度も来館を求めたが、これに応じなかつたこと(指示違反)。
5、ゴミの撤去指示に従わないため、県美術館側において撤去しようとした際、こ
れを妨害したこと(指示違反、秩序違反。)
6、公衆の出入りする場所にふさわしくないばかりか品位を害するような掲示物を
出したこと(秩序違反)。
従つて、本件展示物についての撤去指示は、単にゴミという不潔なものを県美術館
に展示したというだけの理由にとどまるものではなく、前記1、3、4および6の
各事由が総合されて右撤去指示の根拠になつているのである。また、本件取消処分
がなされたのは、原告らが撤去指示に従わなかつたことだけが理由になつているの
ではなく、前記1ないし6の各事由全部がその理由とされているものであるから、
「撤去指示の違法により本件取消処分も違法となる」旨の原告らの主張は、全くの
独断である。
四、原告らは、県美術館長が展示物全部の撤去を命じたことが違法である旨主張す
る。
しかしながら、前述したように、美術館係員は訴外bらに対し打合わせ時どおりの
作品を展示するよう要請したのに対し、同人らは更にゴミを搬入しようとしていた
のであつて、展示物の手直しなどを指示できる状況ではなかつた。また、種々の生
まのゴミを含む原告らの展示物は、前記のとおり荒繩により区画された枠中に雑然
と山積されていたものであり、まさに「ゴミの山」というにふさわしい状態であつ
たから、これを手直しすることは到底不可能であつた。
なお、仮りに県美術館長において、原告らの主張する展示物の部分撤去または手直
しを要求したとすれば、それこそ作品の内容に対する干渉であると非難されかねな
いのである。
五、以上のとおり、県美術館長のなした本件撤去指示および撤去行為は正当であ
り、また、本件利用許可取消処分も適法であることもとよりである。従つて、原告
らの各本訴請求は理由がない。
(被告らの主張に対する原告らの主張)
一、本件展示作品の素材について
被告らは、本件展示作品の素材はゴミそのものであり、しかも腐敗性のある有機物
がそのまま多量に展示されていた旨主張する。しかし、原告らが本件展示作品の素
材として使用したものは、八割がダンボール箱、その他繩、紙屑、コーラの空びん
等といつた腐敗性の全くないものであつて、腐敗性のあると思われる残飯等はごく
僅かであり、しかもこれら残飯等については、原告らはビニール袋に二重に包んで
悪臭の発散を防止するとともに、殺虫剤を散布して、ゴキブリ等の発生に備えてい
たのである。
従つて、原告らの本件展示作品は、腐敗性があり悪臭を放つ、非衛生的なものでは
決してない。
二、被告らは本件撤去指示の根拠として、ゴミという不潔な物を搬入展示したこと
を挙げる。しかし、これはあとからつげた口実であつて、その真の理由は、県美術
館において、現代芸術における「素材の拡大」という大きな流れを全く理解できな
い古い体質の官僚的芸術観に基づき、美術館の管理という名目の下に、同美術館が
持つている一定の芸術観を原告ら或は観客に押付け、本件展示作品は芸術作品では
ないとして、作品内容にまで介入したことである、、このことは、被告らがいかに
弁疏しようとも、県美術館長のなした本件撤去指示の文書に「展示するにふさわし
い美術作品とは認められない」と明確に記載されており、まさしく展示物について
の価値判断を示したものである。
三、次に、被告らは、本件取消処分の一事由として、県美術館の指示に反し、原告
らが打合わせどおりのものを展示しなかつたことを挙げる。しかし、出品者は展覧
会の前日に至るまで想を練ることがあり、そのため申込み段階とは内容が異なる場
合もあり得る。本件およびその後に行なわれた名工大展は正にかような場合であ
る。而して、県美術館においても、利用許可申請時および打合わせ時の作品内容記
載につき適当に記入することを許しているほどであつて、県美術館運営上も出品作
品が申込み作品と異なることをさほど重要視してはいない。本件においては、申込
み作品と展示作品とが異なつても、具体的に何らの不都合は生じておらず、県美術
館運営上何らの支障もなかつた。しかるに、右の如き事由を本件取消処分の一理由
として挙げるのは、単なる口実としか考えられない。
四、また、被告らは、利用責任者aの不出頭を取消事由の一つとしているが、これ
も取消事由にはなり得ない。
すなわち、利用許可申請における利用責任者は単に事務連絡上必要なのであつて、
主催者の代表者を意味しない。現に、県美術館側自身本件展示作品の撤去に関し、
bをNAGの代表者と認めて同人と直接交渉をなし、また撤去指示書も同人に手渡
している。仮りに、被告ら主張の如く、利用責任者に対して以外は相手になし得な
いとしても(実際には右bに撤去指示書を交付しているので右主張自体矛盾する
が)、それは利用責任者の変更であり(本件においてもその変更申請書を提出した
が、該変更許可前の段階で本件取消処分がなされた)、取消事由となる性質のもの
ではない。
(原告らの主張に対する被告らの反論)
一、原告らは、本件展示作品の素材に関し、腐敗性のあるものはごく僅かでありし
かも二重のビニール袋に包み、ゴキブリ等の発生に備えて殺虫剤も散布したから悪
臭を放つ不潔なものでないと主張する。しかし、そもそもかかる対策を講じなけれ
ばならないほど質、量ともに問題があるゴミを集積したこと自体が、本件展示作品
の不潔性を証明するものである。事実、夜間にはゴキブリが展示室の床面を走行し
ている。
二、原告らは、県美術館側の真の撤去意図が原告らのいう「ゴミ作品」の排除にあ
る旨主張する。
しかし、県美術館長が本件取消処分に及んだ理由は既に述べたとおりであり、原告
らのいう作品内容の干渉等という挙に及んだものではない。原告らは、県美術館長
が発した撤去指示書中の「ふさわしくない」との文言に拘泥して、その語意を「作
品内容に対する一定の価値判断を示す」ものとしている。しかし、撤去指示書にお
ける「ふさわしくない」とは、展示物そのものがきわめて不潔であつて、公衆の出
入りする場所に展示するものとしては不適当である、という意味である、原告らの
右主張は、単なる用語の問題に終始し、しかもそれを曲解することによつて問題の
本質をすり換え事案の真相を隠蔽しようとするものである。
三、原告らは、打合わせどおりの作品の展示をなさなかつた理由として、出品者と
しては展覧会の前日まで想を練る場合のあることを挙げる。しかしながら、仮りに
そのような場合があるとしても、本件のように利用許可申請時および打合わせ時の
作品内容、種類とは全く異なる展示物であるのは、到底考えられないことである。
原告らは、名工大展を例にとるが、同展においては、事前打合わせ時に作品の種類
および点数が「油絵五点、オブジエ五点」と変更され、そのとおりのものが出品さ
れ、かつオブジエには有機物が全然含まれていなかつたのであるから、本件の場合
とは全く事情が違うのである。
次に、原告らは、県美術館においては利用許可申請書および打合わせ時に作成され
る所定書類に展示作品の種類、点数を適宜記入させていると主張するが、これは全
く事実に反する。
さらに、原告らは、展示物が申込み作品と異なつても県美術館側は何らの不都合が
生じなかつたと主張する。しかしながら、県美術館が本件展覧会期日中原告らのゴ
ミ搬入を漫然と放置し傍観していたならば、会場である小展示B室のみならず全館
に悪臭が充満し、ハエやゴキブリがたかるなど、公衆衛生上の見地から重大な悪影
響が生じるとともに、観客の着衣に汚物が付着したり、或は他の展示室利用者に対
しても迷惑をかけることが予想されたのであり、従つて、県美術館の健全な運営を
著しく阻害することは必定であつた。公共の施設としてより多数の者に奉仕すべぎ
役割を担う県美術館において、かかる事態の発生を看過することは許されることで
はなく、むしろ円滑を確保するために適切妥当な措置を講ずることは当然のことな
のである。
四、原告らは、県美術館長において、利用責任者不出頭を取消事由の一つとしたこ
とが不当である旨主張する。しかしながら、県美術館としては、利用許可申請時お
よび打合わせ時に申立てられた作品と全く異なるゴミを展示室に搬入したbらが来
館している以上、これらの者に対してゴミの搬入を禁止し、かつその撤去を指示し
たことは当然である。そして、県美術館がいわば緊急の措置として、かかる当然す
ぎることを右bらと折衝する一方、問題の終局的解決をはかるため、利用責任者の
出頭を求めたこともまた当然のことである。
第三 証拠(省略)
○ 理由
第一、被告愛知県知事の本案前の抗弁について
県美術館小展示B室の利用許可申請をなしたのは訴外aであり、県美術館長の利用
許可も同人に対してなされたことは原告らも格別争わない。しかし右a個人に限定
して右利用許可を与えたとの被告県知事の主張事実を認めるにたりる証拠はなく、
却つて、後記認定のとおり、昭和四五年五月県美術館において開催された「未展」
の出品者グループはその後NAGと改称され、原告らおよび右aはいずれもその構
成員であるところ、aは右NAGのために、自己の名義で本件利用許可申請をなし
たのであつて、その際右申請書において展覧会の名称をNAG展(旧名未展)と記
載して右NAGが実質上の利用者であることを明確にしていたのであるから、県美
術館においても、本件小展示B室の利用出品者がNAGであることを了知していた
ことは明らかであり、従つて、その構成員である原告らは本件利用許可処分により
右小展示B室を利用しうる地位を得たものというべく、本件取消処分の取消を求め
る原告適格を有するということができる。
しかしながら、本件利用期間が昭和四五年七月二七日から同月三〇日までの四日間
であることは原告らの自陳するところであり、右期間の経過により本件利用許可処
分は既に失効したのであるから、もはや本件取消処分を取消したところで過去に遡
つて原告らが県美術館を利用しうる地位を回復することはない。従つて、原告らに
おいて本件取消処分の取消を求める利益は既に喪失したものといわなければならな
い。原告らはその利益のあることについて種々主張する。しかし、本件取消処分の
取消が原告らの法的地位について何等の影響を与えないことが明らかであり、ま
た、取消判決が将来同種の処分に対し何等拘束力を有するものでなく、また既判力
を及ぼすものでもないことを考えると、本件において既に過去のものに帰した本件
取消処分の理由について審理判断することは許されないところである。
従つて、この点に関する被告愛知県知事の主張は理由があり、同被告に対する本訴
はその利益を欠く不適法なものとして却下を免れない。
第二、被告愛知県に対する請求について
一、原告らは、本件展示物がゴミを素材とする床面作品であり、県美術館長は故意
または過失により違法に原告らの作品に介入し、その展示を拒否して「表現の自
由」を侵したものであると主張するので判断する。
1、昭和四五年五月一九日から三日間県美術館において「未展」と題する展示会が
開催されたとの当事者間争いない事実に、証人bの証言により真正に成立したと認
めることができる甲第一号証および同証人、同aの各証言、原告m、同d、同c、
同nおよび同oの各本人尋問の結果によれば、原告d、同mおよび訴外bほか数名
は右「末展」グループの構成員であり、右展示会終了後開かれた反省会において、
数名の構成員の離脱を契機にNAGと称する新たなグループを結成して、同一テー
マの共同作品を創作展示しようと計画し、その後原告n、同c、同oおよび訴外a
らがこれに共鳴してNAGに加入し、今日に至つたものであるところ、右aはNA
G展開催のため同人名義で県美術館長に対し県美術館の利用許可申請をなし、同館
長は昭和四五年五月二八日「文化第三七二号」にて県美術館小展示B室を同年七月
二七日から同月三〇日までの四日間、午前一〇時から午後六時までの間「NAG
展」として利用することを許可したとの事実を認めることができる(aが同人名義
で右許可を得たことは当事者間争いない)。
2、そこで、まず原告らの主張するゴミ作品に関連して、現代芸術の傾向について
考えてみるに、成立に争いのない甲第三号証の一ないし四、同第一一号証(現代美
術家事典)、同第一六号証(p編「現代の美術11行為に賭ける」と題する書
籍)、同第一七号証の一ないし三九、証人qの証言によつて真正に成立したものと
認めることができる同第一〇号証の一ないし六および同証人、同pの各証言ならび
に弁論の全趣旨を総合すると、
(一) 現代芸術の傾向として、第一に素材の拡大、第二に行為の直接性(表現の
中に行為が入つてくること)、第三に表現形式の多様化が挙げられるところ、第一
の点についてみるに、一九五〇年代後半から、日常生活を構成する大量生産物が本
来の用途から離れ廃品となつたもの等を素材とする廃品芸術がみられ始め、極論す
れば、作家の観念が廃品等の非常に拡大された素材に出合い何かを発見するなら
ば、すべての物が素材になりうるとする潮流があらわれたこと。
(二) 第二の行為の直接性について、一九五〇年代末から一九六〇年代前半にか
けて、従来の絵画形式をはみ出し、行為そのものを作品とし、次いで、ごく普通の
素材を行為と結びつけた形で再構成する動きがあらわれ、それが今日に至るまで続
いていること。
(三) 第三の表現形式の多様化について、この特徴は前記第一、第二の流れから
必然的に導き出されるもので、従来の古典的な概念では到底把握しえない性格の作
品、すなわち、一回限りの行為としてのいわば形なき作品が多くあらわれ、更に
は、物の有する物質性をできる限り極小にして、当該作家の世界全体に対するコン
セプシヨンを打出そうとするコンセプチユアルアートが国際的に数多く見受けられ
ること。
等の各傾向を見出すことができる。
而して、本件NAG展開催前昭和四五年七月一五日から同月二六日までの一二日間
県美術館展示室において「日本国際美術展」(東京ビエンナーレ)が開催され、そ
の作品の中に、(1)ハトロン紙をテープで継いで大きくし、その各端を上に折り
曲げただけの、e創作作品、(2)展示室(小室)全体を布で覆つただけのアメリ
カ、f創作作品、(3)赤錆びて捨てられた鉄棒数一〇本を転がしたままのアメリ
カ、g創作作品、(4)コークスと黒い紙屑を積み上げただけのドイツ、h創作作
品、(5)川で拾い集めた自然石の集合のみのi創作作品、(6)割り砕いた自然
石を積み上げただけのj創作作品、および(7)上部を少し四角に削つた松の丸太
九本を並べ立てただけのk創作作品が各展示されたことは当事者間に争いがなく、
これらの作品は右現代芸術の傾向を端的に表明するものと考えられるところ、成立
に争いのない甲第二五号証、証人bの証言によつて真正に成立したものと認めるこ
とができる同第一号証、原告mの本人尋問結果によつて真正に成立したものと認め
ることができる同第一八号証、同dの本人尋問結果によつて真正に成立したものと
認めることができる同第一九号証、同cの本人尋問結果によつて真正に成立したも
のと認めることができる同第二〇号証、証人b、同aの各証言および原告m、同
d、同o、同nならびに同cの各本人尋問の結果を総合すると、NAGの構成員で
あるbは、かつて昭和四四年一〇月二四日名古屋市内白川公園での屋外彫刻展にお
いて、同公園内から集めたゴミを自作のゴミ焼却炉で焼いて煙を出し、この一連の
行為を創作作品として展示したことがあり、また、原告cは、同四五年四月一日か
ら同年五月三日までの間横浜市で開催された「現代美術屋外フエステイバル」にお
いて、不要になつた或は捨てられた靴(いわゆるボロ靴)約三〇〇足に銀色ペンキ
を塗つたうえ地上に並べて置いたり、積み上げたり、または木に掛けたりした作品
を創作展示するとともに、原告dは、不要になつた菰(一個の重量が約一〇〇キロ
グラム)五個を地上に置いた作品を創作展示したこともあり、これらはともに前記
現代芸術の潮流に乗ろうとするものであつたが、更に昭和四五年四月一二日原告c
およびbが中心となり、廃棄物でよごれた名古屋市内堀川の納屋橋上で釣り糸をた
れる姿を写真撮影するハプニングを演じたこともあつて、原告らは前記未展の終了
後、右bを中心としてNAGという新グループを結成し、右b、原告c、同dらの
前記各一連の作品の流れの一つとして、今日人間の一番身近にありながら公害の一
環として大きな社会問題となつているゴミを素材にした共同作品を創作展示するこ
とにより社会へ訴えかけようとの意図のもとに、本件ゴミを搬入展示せんとしたも
のであるとの事実を認めることができる。而して、これらの事実によれば、現代芸
術の流れからみてゴミ等の廃棄物であつても芸術作品の素材になりうることを窺い
知ることができるとともに、ゴミ公害に悩まされる今日の生活環境にかんがみ、原
告らの本件ゴミ展示の意図はそれなりに理解することができる。
3、そこで、進んで原告らがなした本件ゴミ展示についての経緯について検討する
に、成立に争いのない甲第九号証、同乙第一、第二号証、同第四、第五号証、同第
六号証の二、証人rの証言により真正に成立したものと認めることができる同第六
号証の一、同証言および証人sの証言により真正に成立したものと認めることがで
きる同第七号証、同第八号証の一ないし四一、同第一〇ないし第一二号証、証人b
(但し一部)、同a(但し一部)、同r、同s、同t、同uおよび同vの各証言な
らびに原告m、同d、同o、同n、同cの各本人尋問の結果(但し、いずれも各一
部)を総合すると、以下の事実を認めることができる。
(一) 本件利用許可申請から展示に至るまでの経過
訴外aは、昭和四四年一二月二日、前記NAGを代表し連絡上の責任者として、県
美術館長に対し、展覧会の名称をNAG展(旧名未展)、希望展示室を一階集会
室、希望利用期間を昭和四五年八月二二日から同月三〇日までの一〇日間または同
年一二月上旬から中旬まで、展示するものを油絵、彫塑、工芸各一〇点、写真五
点、主たる構成員をb、w、xおよびyなどとする趣旨の県美術館利用許可仮申請
書を提出した。県美術館長は、右仮申請に基づき、同年四月九日aに対し、小展示
B室につき同年七月二七日から同月三〇日までの四日間とする仮割当ての通知をな
したところ、aは右通知どおり了承した旨の回答書を提出し、同年五月六日同館長
に対し、申請者、利用目的(催しものの名称)および催しものの内容(出品作品)
はいずれも仮申請のとおり、出品人員六名、会場および利用期間は仮割当てどお
り、利用責任者は申請者に同じ、とする県美術館利用許可申請書を提出したので、
同館長は右aあてで本件利用許可書を発送し、あわせて、愛知県文化会館条例四条
三項の規定により、利用開始の一〇日前に来館のうえ事前打合わせを行なうこと等
の指示をした。
ところが、aは利用開始期日の二日前である七月二五日に至つてようやく来館した
うえ、出品作品を洋画五、六点、デザイン一五点、写真五点および彫刻三点と変更
した。
(二) NAG展第一日目の模様状況
展覧会初日の昭和四五年七月二七日午後二時頃になつてようやくbが作品搬入館付
けのため来館したので、県美術館係員が小展示B室を澗扉した。そして、夕刻、係
員が県美術館主催の美術展の飾付けを終えた後、本件展示室を見たところ、利用許
可申請時または直前の打合わせ時に明らかにされていた洋画、デザイン、写真、彫
刻などの作品は一点もなく、代わりにbをはじめ原告c、同川合、同青木らNAG
構成員によつて、ゴミが多量に持ち込まれていた。すなわち、これらのゴミは、県
美術館搬入口や近隣の繁華街のゴミ箱などから持ち込んだ紙屑、石油罐、罐詰めの
空罐、飲み物の空きびん、ダンボール箱或は筵といつた物が大半であつたものの、
水に濡れたタバコの吸い殻、残飯、折詰めの残り、捨てられて腐つた花等が少なか
らず混入しており、しかも右ゴミの中には腐敗しつつある有機物が含まれていた。
そして、これら腐敗性のあるゴミはナイロン袋に入れて捨てられていたものをその
まま搬入したものも一部あるが、包装が完全ではなく、中にはこぼれかけているも
のもあり、一部はむき出しのまま、小展示B室の床上に碁盤状に張りめぐらされた
荒繩の各日の中に雑然と積み上げられていたため、はきだめにおけると同じ悪臭を
発していた。
そこで、県美術館長は、利用責任者であるaとの連絡がとれないため、やむを得
ず、会場にいたbに対し、前記ゴミを撤去して打合わせどおりの作品を展示するよ
う指示した。
(三) 第二日目の模様状況
翌二八日午前中、原告らは、県美術館南玄関入口付近において、「NAGゴミ宣
言」と題し、「日常生活の残ガイがゴミではなく、ゴミ自体、日常我々の血や肉の
延長であり、かんきようとしてのゴミでなく、ゴミがかんきようなのである。我々
は、ゴミの中にうずもれた自身とかんきようの一体化された全てを見つけ、ひろい
だしたい。」などと記載した大きなビラ二枚を掲示するとともに、本件展示室内に
おいても、「観念芸術のゆくえ」と題し、一部に言葉のゴミとして男女性器の俗称
などを書き連らねたビラを壁に貼り付け掲示するなどした。
一方、県美術館側は利用責任者であるaとの連絡が依然とれないまま、bらの要請
によりやむなく午前一一時頃本件展示室を開けたところ、前日搬入されたゴミが蒸
れて室内に異様な臭気が充満していた。そのにおいは、例えばゴミ集めの車の側を
通る際に嗅ぐような腐敗したゴミが発する悪臭と同程度のものであつた。
そこで、県美術館側としては、現場にいた前記bに対し利用責任者のaを来館させ
るよう促すと同時に、打合わせどおりの作品を展示するよう指示したが、bはこれ
に応じないばかりか、これからも毎日ゴミを持ち込むと答え、更に他のNAG構成
員らと共に前日と同様のゴミを相当量搬入したうえ、腐敗性のあるゴミをビニール
袋に包んで殺虫剤を撒くなどした。しかし、県美術館長は、美術館の建物がゴミの
展示を可能にするような設備構造を有しないところから、原告らの前記ゴミの展示
物が多数観客の出入りする公共施設としての美術館の秩序を乱すものと判断し、午
前一一時五〇分頃、係員をして口頭によるゴミ撤去指示をbに対してなし、更に午
後一時頃に至り、「本館の小展示B室におかれているものは、本館に展示するにふ
さわしい美術作品とは認められないので、すみやかに撤去してください。」と記載
したaあての撤去指示書をbに対し手渡し、この指示に従わないときは県美術館側
において撤去する旨伝えた。
ところが、その後も依然としてaは来館せず、bらも右撤去指示に従わなかつたの
で、午後三時頃、県美術館側で撤去清掃に着手したところ、bらは大声をあげたり
してこれを妨害したため、事態の険悪化を虞れて一部撤去したに止まり、作業を中
止する一方、出品者らの責任においてゴミを撤去し打合わせどおりの作品を展示す
るよう説得を続けた。而して、当日閉館後係員らが殺虫剤を撒いて消毒した際、ゴ
ミの間を走り回るゴキブリが数匹発見された。なお、ゴキブリは展示室開扉前の午
前九時三〇分頃にも見られた。その後係員は午後一二時頃までaの来館を待ち続け
たが、同人は遂に現われなかつた(県美術館側が午前一一時頃小展示B室を開扉
し、午後一時頃館長名で前記内容の撤去指示をなし、午後三時頃展示物の一部を撤
去したことは、当事者間に争いがない)。
(四) 第三日目の模様状況
翌七月二九日になつてもaは来館せず、bらにおいても前記撤去指示に従わないた
め、県美術館側も本件展示室を終日開扉しなかつたところ、bらはなおも近隣の繁
華街から持つて来たゴミを本件展示室の前に積み上げたので、ここに至り県美術館
長は、愛知県文化会館条例七条に基づき昭和四五年七月二九日付本件取消処分をな
し、居合わせたaの父訴外lに対し、a本人へ渡すよう依頼のうえ本件取消処分書
を手渡した。
(五) その後の経過
県美術館長は、同二九日午後六時頃、ゴミ撤去に関し原告らと話し合つた結果、一
両日保管して欲しい旨の原告らの申し入れを容れて本件展示室内のゴミを搬出口に
運び出し、県美術館側において保管していたが、その後三日を経過しても誰も取り
に来ず、そのまま放散しては不潔非衛生なので、愛知県文化会館管理規定八条二項
に基づき、県美術館側で処分した。また、翌三〇日本件展示室入口前に積み上げら
れていたビニール袋入りのゴミも同様県美術館側において処分した。
以上の各事実を認めることができる。
(六) ところで、原告らは、本件ゴミにつき、腐敗性のないものが八割を占め、
残飯等はビニール等に二重に包むとともにゴキブリに備え殺虫剤を散布したから、
悪臭を放つ非衛生なものではないと主張し、証人z、同p1および原告本人らはい
ずれも右に副う供述をするが、措信できない。却つて、先に認定したとおり、七月
二七日から三日間本件展示室内外に搬入されたゴミの大半はダンボール箱、紙盾等
腐敗性のないものであつたが、展覧会初日搬入されたゴミの中には、残飯、腐敗し
つつある有機物等の腐敗性を有するゴミもまた相当量含まれ、これらのゴミが一部
は包装不十分のまま一部はむき出しのまま床上に雑然と積み上げられたばかりでな
く、翌日も同種のゴミが持ち込まれ、ゴキブリが走り回つていたこと、しかも県美
術館は防臭換気等の設備も未だ完全でなく、かつ、本件ゴミの搬入された時期が夏
期であること等の各事実に、更に成立に争いのない乙第二三ないし第二五号証によ
れば、二八日本件展示室開扉と同時に入室し室内の模様状況を直接見聞した報道関
係者等の「においを放つゴミの山をめぐつて論争がひとしきり」とか
「・・・・・・ゴミ箱から拾つたゴミを直接、床の上に置くやり方。」とか或はま
た「・・・・・・腐敗しつつある有機物を含んで悪臭を発し・・・・・・」等の報
道その他の記事が散見されること等を考え合わせるならば、原告らの搬入したゴミ
が不快な悪臭を放つ非衛生なものであつたことはもはや明らかであるということが
できる。そもそも、原告らがゴキブリ等の発生に備え殺虫剤を散布したこと自体、
本件搬入物の不潔性を如実に物語るものといえよう。
また、原告らは、打合わせどおりの作品を展示しなかつたことについてその正当な
ことを主張する。しかし、右主張事実を認めさせる適切な証拠はなく、却つて、成
立に争いのない甲第一三ないし第一五号証、証人q、同b、同r、同sおよび同u
の各証言を総合すると、なるほど、出品者は利用許可申請後においても想を練りそ
の結果右申請時と異なる作品を展示する場合もあり得るが、県美術館においてはそ
の場合でも従来必ず事前の打合わせがなされたうえで作品の展示がなされており、
しかも本件の如く「形状的に」全く異なる例はこれまでみられなかつたこと、本件
後に県美術館で開催された名工大展の場合は利用許可申請時の作品とは異なるもの
の、事前打合わせ時に明らかにされたとおりのものが出品され、かつ、作品の一つ
であるオブジエには有機物が全く含まれておらず、本件とは事案を異にすること、
県美術館は、作品を展示させるに当り職員配置、備品の準備または外部からの間合
わせ等に対する事務処理の必要上、利用許可申請時および打合わせ時いずれの段階
においても、作品の種類、点数を確実に記載するよう求めていること、および原告
らの本件ゴミ搬入を放置していたならば本件展示室のみならず他の展示室にまで悪
臭が広がり、ハエやゴキブリ等が発生飛走するなど衛生上の見地から好ましからぬ
事態を招くとともに、見学者らの着衣に汚物が付着したり、或はまた他の展示室利
用者に対しても迷惑を及ぼす虞れもあり、県美術館の管理運営上多大の支障を蒙る
ものであつたこと等の事実を認めることができる。
以上の事実を総合すると、県美術館長のなした本件展示物撤去指示は、事前の打合
わせに反し、何等の予告もなく突如悪臭を放つ不潔なゴミを相当量搬入展示したこ
と、展示作品の種類につき打合わせどおりのものを展示するよう指示したのに、こ
れに従わなかつたこと、および公衆の出入りする場所にふさわしくないばかりか品
位を害するような掲示物を出したこと等一連の事実に基づき、県美術館の秩序維
持、適切な管理運営のため必要であるとしてなされたものであると認めることがで
きる。
4、ところで、憲法二一条が保障する表現の自由は絶対無制限のものではなく、公
共の福祉に反しえないものであることは憲法一二条、一三条の規定からして明らか
であるところ、成立に争いのない乙第一号証、証人rおよび同sの各証言によれ
ば、愛知県美術館は、県民の文化および教養の向上を図るために設置された公共施
設であつて、県民や各種の文化団体をはじめ多数の者らが同館展示室、講堂または
集会室などの諸設備を利用して、様々な展示会、鑑賞会、講演会、講習会等を開催
するとともに、常時多数の観客が出入りする建物であることから、美術館として相
応の秩序を維持するために適正な管理運営を図るべきことが必然的に要求されるも
のであることを知ることができる。従つて、これを利用する者においても自ら必要
かつ合理的な美術館の指示統制に従うべきであつて、一旦美術館の秩序が乱され、
その管理運営に支障を来たす場合には、公共施設たる美術館の直接の管理責任者で
ある県美術館長において、当該利用者に対し適切な指示をするほか利用許可を取消
し、或は展示物を制限し撤去することもありうるわけであつて、その結果、当該利
用者の表現の自由が妨げられることがあるのも、また公共の福祉による制限として
やむを得ないところである。
前掲乙第一号証により認めることができる愛知県文化会館規則一〇条は、館長にお
いて会館の秩序の維持および施設の管理上必要があると認めるときは、利用者に対
し、会場等の利用に関し指示することができる旨定めるとともに、同文化会館条例
六条は、同じく利用者に対し、館長の指示に従うと同時に会館の秩序を乱す行為を
してはならない旨規定し、更に、同七条一項において、館長は、利用者が前条の規
定に違反したときは、利用許可を取消し、または利用の中止を命ずることができる
と規定し、同七条二項において、知事は、公共の福祉のためにやむを得ない理由が
あるときは、館長と同様の措置を講ずることができる旨各定めるのは、以上に述べ
た趣旨から首肯することができる。
5、而して、これを本件についてみるに、先に認定したところによれば、本件利用
許可の取消はもとより、県美術館長が本件ゴミ撤去指示をなし、同館員らが事実上
その撤去をなしたのは、主として、何等の予告もなく突如として、かつ、その制止
に反し原告らによつて強い悪臭を放つ不潔、非衛生な生まのゴミ等が相当量持ち込
まれたことにより、夏期において防臭換気等の諸設備の十分でない県美術館全体の
管理運営に支障を来たすとの判断に基づくものであるというのであるところ、原告
らの展示物たるゴミが作品として鑑賞に堪えうるか否かはさておき、先に認定した
本件ゴミの質、量、その置かれた場所、状況、展示の方法、撤去に至るまでの経緯
等からみると、県美術館側のとつた右一連の行為は、公共施設たる美術館の秩序を
維持しその適正な管理運営のためになされたやむを得ない当然の措置であるという
ことができる。そもそも右のごとき内容のゴミを素材とした作品を展示するには、
それ相応の配慮の下に、それに適した手段方法が選ばれてしかるべきであつて、多
くの公衆が出入りする県美術館展示室内に、本件のごとくゴミを展示した原告らの
所為は、著しく配慮を欠き、他の迷惑を顧みないものとして非難は免れ難いといわ
なければならない。
二、原告らは日本国際美術展(東京ビエンナーレ)の出品作品のうちに本件展示物
と同質の七作品がある旨主張する。而して、右七作品が展示されたことは前記のと
おりであるが、原告らの展示物がこれら諸作品と同質であるか否かはさておき、少
なくとも素材の面からみるならば、右諸作品には腐敗性を有する生まのゴミ、有機
物が全く含まれていないのであつて、この点原告らの本件展示物は異なるのみなら
ず、先に認定した本件ゴミ展示の状況、展示にいたる前後の経緯等から考えて、こ
れらと同列に評価することはできない。また、原告らは、本件ゴミ撤去に関し、県
美術館側における作品に対する官僚的芸術観に基づく介入であるとし、同館長が発
した前記撤去指示書中の「・・・・・本館に展示するにふさわしい美術作品とは認
められない・・・・・・」との表現を把えて、その証左であるというが、先に認定
したところからして、右「ふさわしくない」等の文言はたんにゴミ自体がきわめて
不潔であつて、公衆の出入りする場所に展示するには適切でない、という趣旨を意
味するにとどまり、敢えて原告らの作品内容に干渉し、本件展示物の芸術性の有無
について審査判断したものとは考えられないし、その他美術館側において原告らの
搬入展示した本件ゴミを特定の意図の下に介入排除したことを認めさせるにたりる
適切な証拠はないので、原告らの右主張を容認するわけにはゆかない。
更に、原告らは、仮りに僅かな腐敗物等に対する撤去の必要があるとしても、県美
術館長はそのものに限り撤去すべきで、本件展示物全部の撤去を命じたことは作品
に対する干渉であると主張する。しかしながら、先に認定したとおり、本件ゴミは
展示室床上に荒繩で仕切られた各枠の中に、腐敗性を有し臭気を発する有機物等を
相当量含む多種多様のゴミが雑然と積み上げられていたものであり、更にNAG展
二日目に至り県美術館係員がbらに対し右ゴミを撤去のうえ打合わせどおりの作品
を展示するよう要請したにも拘らず、右bらはこれを聞き容れないばかりでなく、
なおも同種のゴミを搬入したというのであるから、およそ展示物の一部手直しなど
を指示できる状況ではなかつたと入るのが相当である。県美術館長において仮りに
原告ら主張のごとき展示物の部分撤去ないしは手直しを指示したとすれば、そのこ
とがとりもなおさず作品内容の干渉と疑われる虞れのあることは容易に想像しうる
ところであつて、原告らの右主張は、一方では作品に対する干渉、介入を拒否しな
がら、他方においてはそのことと矛盾する展示物の部分撤去または一部手直しを要
求するものであつて採用することはできない。
三、してみれば、県美術館長のなした本件撤去指示と撤去行為、ならびに本件取消
処分は、前記愛知県文化会館条例、同規則等に従つてなされた当然の措置であるか
ら、これらを以て違法に原告らの表現の自由を侵害したという原告らの主張は当ら
ない。
以上の次第であるから、原告らの被告愛知県知事に対する本訴は不適法として却下
し、被告愛知県に対する本訴各請求は理由がないので、失当として棄却することと
し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条九三条を適用して主文のとおり判決す
る。
(裁判官 山田義光 鏑木重明 樋口 直)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛