弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主     文    
       本件訴えを却下する。
       訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由    
第1 請求
   被告が,別紙物件目録記載の土地の平成13年度の固定資産課税台帳登録価格について,平成16年10月26
日付けでした審査申出の棄却決定は,2億9947万5000円を超える部分について取り消す。
第2 事案の概要
   本件は,土地の所有者が平成13年度の固定資産課税台帳に登録された価格を不服として,被告に対して審査の
申出をしたところ,これを棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)がされたので,同年度の固定資産税の賦課
期日(平成13年1月1日)より後に,その所有者から土地を買い受けて所有権移転登記を経由していた原告が本件決
定を違法であるとして,その取消しを求める事案である。
 1 前提となる事実
  (1) 北九州市長は,別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)について,平成13年度固定資産税の
価格を4億2490万8000円と決定し,固定資産課税台帳に登録した(争いのない事実)。
  (2) 原告は,平成13年3月16日,当時の登記簿上の所有名義人であった古林紙工株式会社から,本件土地及び
同土地上の建物を2億9947万5000円で買い受けてこれらを所有し,その所有権移転登記を経由している(甲
3,12及び争いのない事実)。
  (3) 古林紙工は,原告を代理人として,上記登録価格について,同年4月19日付けで,被告に対して審査申出を
したところ,北九州市長は,本件土地の価格を3億8242万0500円と決定し,固定資産課税台帳に同価格を登録
した(以下,この登録された価格を「本件登録価格」という。争いのない事実)。
  (4) 古林紙工は,本件登録価格を不服とし,原告を代理人として,同年6月12日付けで,被告に対し,審査申出
(以下「本件審査申出」という。)をした(争いのない事実)。
  (5) 被告は,平成16年10月26日付けで本件決定をし,同月28日,同決定に係る決定書が送付された(争い
のない事実及び弁論の全趣旨)。
 2 本件訴えの適法性について
(1) 審査請求前置
 (原告の主張)
 ア 原告は,古林紙工から本件土地を買い受け,平成13年度分の同土地の固定資産税の全額を負担する者であ
るから,古林紙工と原告は,本件登録価格の決定について一体的な利害関係を有し,実質的に見れば,本件審査申出は
同時に原告のための審査申出と同視しうる特段の事情が存する。したがって,本件においては,適法な審査請求が前置
されている。
イ 本件審査申出を実際に行い,その際の主張立証活動の中心を担ったのは原告であり,平成13年度の固定資
産税を実際に納付したのも原告であるから,適法な審査請求手続を経たものである。
 (被告の主張)
 原告は審査請求手続を経ていないから,本件訴えは不適法として,却下を免れない。
 ア 本件審査申出は,前所有者である古林紙工が申出人であり,原告はその代理人にすぎない。
   また,固定資産税は,毎年1月1日を賦課期日として,固定資産に対し,その所在する市町村において課さ
れる(地方税法(以下「法」という。)342条1項,359条)が,固定資産税が課されるのは固定資産の所有者であ
り,固定資産の所有者とは,土地については,土地登記簿若しくは土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録され
ている者とされている(法343条)。したがって,平成13年度の固定資産税については,平成13年1月1日に土
地登記簿に所有者として登記されている前所有者が納税義務者であり,原告が納税義務を負うことはないから,固定資
産税の賦課徴収関係において,前所有者である古林紙工と原告が一体的関係又は承継関係を有するものではない。
ウ 法433条によって準用される行政不服審査法(以下「行服法」という。)37条6項は,「審査請求の目
的である処分に係る権利を譲り受けた者は,審査庁の許可を得て,審査請求人の地位を承継することができる。」と規
定している。また,固定資産評価審査委員会では,特定の権利の授受があったとして許可申請がされた場合,その授受
が明確であり,審査請求をしている譲渡人に異存がない場合は,これを許可する運用をしている。
  しかし,この承継は特別な手続の承継とされており,特定の権利について授受があった場合に,譲渡人にと
っては,当該権利にかかわる処分についての審査請求がもはや関心のないものとなった以上,審査請求人の地位を維持
させるのは不適当であり,他方,譲受人は自己の権利に関わる処分についての審査請求に多大の関心を持っているにも
かかわらず,審査手続に参加人として参加するしかなく,その地位は不安定であるので,地位の承継を認める必要があ
るとされていることによるものであって,権利の譲り受けにより当然に審査請求人としての地位を承継するものではな
く,審査庁の許可を必要としているのであるから,原告が審査請求手続を経ていないことに変わりはない。
  (2) 原告適格
(原告の主張)
ア 固定資産税法制においては,基準年度の固定資産税の課税標準となった価格が当然に第2年度及び第3年度
のそれとして登録されることとなる。したがって,基準年度以降に当該固定資産を所有するに至った者は,基準年度の
登録価格を基礎とした価格を課税標準として固定資産税を課されることになるから,基準年度の登録価格に関する審査
決定に必然的に拘束されることになり,その法律上保護された利益を侵害されるので,原告適格が認められる。
 なお,本件土地については,基準年度は平成12年度であるが,北九州市長が平成13年度(第2年度)の登
録価格を修正したので,法349条3項により,この価格を基準とした価格が当然に第3年度である平成14年度の固
定資産税の課税標準とされ,平成14年1月1日において本件土地の所有者である原告に固定資産税が課されるのであ
るから,原告は本件決定について法律上の利益を有する者に当たり,原告適格が認められる。
 イ 原告が納税者となる本件土地の不動産取得税の課税標準は,平成13年度の固定資産課税台帳の登録価格に
より決定される(法73条の21第1項本文)。そして,上記の決定は行政処分として公定力を有し,本件登録価格が
本件土地の客観的に適正な時価と一致していなくても,それが法73条の21第1項ただし書所定の程度に達しない以
上は,不動産取得税の納税者は,その賦課処分の取消訴訟において,固定資産課税台帳の登録価格が客観的に適正な価
格ではないと主張して課税標準たる価格を争うことはできない(最高裁昭和51年3月26日第二小法廷判決・裁判集
民事117号309頁。以下「昭和51年判決」という。)。その上,同項ただし書にいう「当該固定資産の価格によ
り難いとき」とは,当該不動産につき,固定資産課税の賦課期日後に増築,改築,損壊,地目の変換その他特別の事情
が生じ,その結果,上記登録価格が当該不動産の適正な時価を示しているものということができないため,同登録価格
を不動産取得税の課税標準としての不動産の価格とすることが適当でなくなった場合をいうものと解すべきである。し
たがって,不動産取得税の納税者は,同登録価格を課税標準としてされた賦課処分の取消訴訟においては,当該不動産
の時価と同登録価格とに隔差があることを主張するだけでは足りず,それが賦課期日後に生じた上記にいう特別の事情
によるものであることをも主張する必要があるものというべきであるとされている(最高裁平成6年4月21日第一小
法廷判決・裁判集民事172号391頁)。
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   したがって,不動産取得税の納税者は,不動産取得税の賦課決定の取消訴訟において,固定資産課税台帳に
登録された当該不動産の価格を争うことが実質的にはできない。租税法律主義(憲法30条,84条)においては,課
税要件の全てが法律上の根拠を有することが必要であるとともに,具体的な課税処分において課税要件を充足する事実
の存否及び課税要件が適正な法律上の根拠を有しているか否かが司法審査の対象となるべきであり,この点からする
と,固定資産課税台帳の登録価格によって納税義務を負うべき者は,その価格の決定を争う手段が法的にも保障される
必要がある。ところが,上記の各最高裁判決によれば,不動産取得税の納税者は,上記登録価格が違法なものであって
も,固定資産評価委員会の審査決定がある場合には,同登録価格を争うことができず,法律上保護された利益を侵害さ
れることになる。
   よって,本件土地について不動産取得税の納税義務を負う原告に原告適格が認められるべきである。
 ウ 審査申出人の地位の承継について
   本来,被告は,中立公正な立場において,固定資産の評価について不服のある納税者の権利保護をすべく設
置されているものであり,他方,原告は税法に関する専門家ではなく,一般の納税者にすぎない。このような状況にお
いては,被告は,納税者の権利保護の実質を図るため,本件審査申出に係る地位の承継について教示すべき義務があ
る。現に,多くの市町村の固定資産評価審査委員会においては,本件と同様の状況の下では,審査申出人側に対して,
地位承継許可申請を教示している。
   原告は審査申出人の地位の承継手続を行っていなかったところ,被告は,原告が本件土地の所有者であるこ
とを十分承知し,本件審査申出から本件決定までの3年余りの間,その機会があったにもかかわらず,原告に対して審
査申出に係る地位の承継の手続について教示をしなかった。
   本件のように,被告が上記の教示をしなかったことにより審査決定の当事者となることができなかった場合
に原告適格が認められないとすると,その利益侵害の程度は著しいから,原告適格が認められるべきである。
   (被告の主張)
   ア固定資産課税台帳の登録価格は,基準年度の価格を基本的に据え置き,第2,3年度において地価の下落が
認められる場合は修正基準によって修正することが法により規定されており,価格自体は所有者の変更に何ら影響され
るものではないので,第2,3年度に買い受けた者が基準年度の価格に拘束されることになっても,それは法の予定し
ているところであって,利益を侵害される者とはいえないから,原告適格は認められない。
   イ 不動産取得税の課税標準について,特別の事情があるため登録価格により難い不動産については,道府県知
事は,固定資産評価基準によって課税標準を決定することとされており(法73条の21第1項ただし書),その価格
はその不動産に類似する不動産の基準年度の登録価格に比準するものでなければならないと解されている。したがっ
て,地価の急落により取得価額が登録価格を下回った場合等は,特別事情として登録価格により難いことを主張するこ
とができるから,原告が不動産取得税の賦課処分の取消訴訟において登録価格を争うことができないわけではない。
   ウ 被告が,審査請求手続における地位承継の手続を教示すべき義務はない。
(3) 本件土地の適正な時価
(原告の主張)
   ア 原告は,本件土地の近隣地域の取引実例の情報も得た上,本件土地及び同土地上の建物を2億9947万5
000円で買い受けた。
 イ 本件土地上には工場用建物が存在してはいるが,地盤が沈下しつつあることから,機械装置を設置して操業
することが不可能な状況にあり,建物の用をなしていない。また,製造用設備として機械装置を設置して操業するに
は,地盤全体を改善及び強化するなどの造成が不可欠である。このような状況であるため,同建物内の機械装置は撤去
せざるを得ず,本件土地はそのままでは工場用の敷地として使用不可能であることは周囲の状況から明らかである。
 ウ 平成16年の本件土地の価格については北九州市港湾局の職員からは坪当たり2万ないし3万円である旨の
説明を受けており,平成15年の近隣地域の取引実例は,1平方メートル当たり1万0587円,同9995円であ
る。
  以上によれば,本件土地の適正な時価は,上記アの取引価格を超えることはあり得ない。
 (被告の主張)
ア 本件土地は,主として都市計画法で定める工業地域内で敷地面積が9000平方メートル程度までの工場,
倉庫,流通センター等が集中している地域に所在することから,中小工場地区に区分し,α等に係る一定の地域を1つ
の状況類似地域として区分している。
 また,α等に係る状況類似地域の主要な街路に沿接する宅地のうちから,奥行,間口等画地の形状が標準的な
ものを標準住宅として選定している。
   イ 固定資産税における固定資産の価格は,法403条1項により,法388条1項の固定資産評価基準によっ
て決定しなければならないとされており,同評価基準による評価は一種の委任立法とされているのであるから,同評価
基準による評価である限り,適法な評価である。
     そして,これによれば,土地の評価は,土地の地目別にそれぞれ定める評価の方法によって行うものとさ
れ,本件土地の実地調査によれば,本件土地は全体として建物の敷地の用に供されていることが認められたので,宅地
とされるべきである。また,本件土地は市街地的形態を形成する地域に所在することが認められるので,上記評価基準
に従えば,市街地宅地評価法によって付設される評点数を基に評価されるべきであり,これに必要な補正等を行うと,
1平方メートル当たりの評点数は23,177点となり,本件土地の登録価格は正当である。
第3 当裁判所の判断
 1 原告適格について
(1) 原告が本件決定の名宛人としての原告適格を有するか
   ア 固定資産税の納税者は,固定資産評価審査委員会の決定に不服があるときは,その取消しの訴えを提起する
ことができる(法434条1項)。また,固定資産課税台帳に登録された価格についての不服は,固定資産評価審査委
員会への審査の申出及び同委員会の決定に対する取消しの訴えを提起することによってのみこれを争うことができる(
同条2項)。したがって,同委員会の決定に対して取消訴訟を提起することができるのは,納税者であって,同委員会
に対して審査の申出をした者ということになる。
   イ 平成13年度の固定資産税の納税者
     土地の固定資産税は,登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者に対し,当該
年度の初日の属する年の1月1日を賦課期日として課される(法343条1項,2項,359条)。
     したがって,本件土地の平成13年度の固定資産税については,平成13年1月1日における登記簿上の所
有者である古林紙工に対して課され,同社が納税者であり,その後に登記簿上の名義が原告に移転されたことによって
納税者に変更が生じるものではない。
   ウ そうすると,その余の点について判断するまでもなく,原告は本件決定の名宛人としての原告適格を有しな
い。
  (2) 原告が第三者として原告適格を有するか
    取消訴訟は,当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り,提起することができ(行政事
件訴訟法9条1項),その法律上の利益の有無を判断するに当たっては,当該処分の根拠となる法令の趣旨及び目的並
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びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮すべきである(同条2項)。そこで,以下,こうした
観点から判断する。
ア 固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服申立ての趣旨及び目的
  法は,固定資産課税台帳に登録された価格に関する不服と固定資産税賦課処分についての不服を別個の手続
によるものとしている。即ち,前者は固定資産評価審査委員会への審査の申出及び同委員会の決定に対する取消訴訟の
提起によってのみ争うことができ(法434条2項),後者の固定資産税賦課処分についての不服申立てにおいては,
上記の不服を理由とすることができない(法432条1項,3項)。これは,固定資産税の課税における最も重要な要
素である価格について争う機会を賦課処分の前に与え,納税者の権利利益の侵害を事前に防止し,また,賦課処分をで
きる限り早期に安定させるようとする趣旨である。
   イ 後続年度の固定資産税賦課手続における登録価格に対する不服申立ての    制限
     固定資産税の納税者は,第2年度又は第3年度において基準年度の価格が据え置かれた場合,課税台帳等に
登録されたものとみなされる価格については,原則として,基準年度の価格を争うことができない(法432条1項)

     法349条1項ないし3項によれば,土地及び家屋に対して課する固定資産税の課税標準は,基準年度(昭
和31年度及び昭和33年度並びに昭和33年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度をいう(
法341条6号)。)においてはその年度の賦課期日における価格で固定資産課税台帳に登録されたものとし,第2年度
及び第3年度においては,原則として新たな評価を行わず,その基準年度の固定資産税の課税標準となった価格で固定
資産課税台帳に登録されたものとされている。この価格の据置制度は,税負担の安定を図るとともに,課税事務の簡素
化を考慮したものである。
     そして,既に基準年度において,基準年度の納税者に登録価格について審査申出をする機会が与えられてい
るから,据置年度において,同一の事項について重ねて不服申立てを認める必要はないと考えられるし,当該土地又は
家屋について,地目の変換,家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情がある場合等には,審査の申出をす
ることができる(法432条1項ただし書,349条2項1号)ことからすると,上記のように第2年度又は第3年度
の固定資産税の納税者の不服申立てが制限されることは必ずしも不合理ということはできない。
   ウ 不動産取得税賦課処分における登録価格に対する不服申立ての制限
     法は,道府県知事が不動産取得税の課税標準である不動産の価格を決定するについては,固定資産課税台帳
に当該不動産の価格が登録されている場合には,法73条の21第1項ただし書に該当しない限り,自ら客観的に適正
な時価を認定することなく,専ら上記登録価格によりこれを決定すべきものとしていると解するのが相当であり,した
がって,仮に上記登録価格が当該不動産の客観的に適正な時価と一致していなくても,それが法73条の21第1項た
だし書所定の程度に達しない以上は,上記登録価格によってした不動産取得税の賦課処分は違法となるものではなく,
上記のような場合には,不動産取得税の納税者は,上記賦課処分の取消訴訟において,上記登録価格が客観的に適正な
時価でないと主張して課税標準たる価格を争うことはできないものと解される(昭和51年判決)。
     そして,このように解しても,不動産の取得者は,その取得の際,固定資産課税台帳の登録価格を知ること
ができ,取引価格の合意をするに当たってこれを考慮することができるのであるから,登録価格による不動産取得税の
賦課が予期しない負担となるものではない。
   エ 審査請求手続における審査申出人の地位の承継について
行服法37条6項は,審査請求の目的である処分に係る権利を譲り受けた者は,審査庁の許可を得て,審査
請求人の地位を承継することができる旨規定している。そして,固定資産評価審査委員会に対する審査請求の手続にお
いても,その審理の継続中,当該固定資産の所有権の譲渡を受けた者は,原則として,同委員会の許可を受けて審査申
出人の地位を承継することができる。
     行服法の上記規定の趣旨は,審査請求にかかわる特定の権利が譲渡された場合には,譲渡人は当該審査請求
に関心を失うのが通常であるので,譲渡人に審査請求人の地位を維持させるのは不適当であるが,当該時点で審査請求
手続を終了させることは,審査請求人の権利救済に沿わない結果となることなどから,審査請求人たる地位の特定承継
を認めたものと解される。したがって,審査申出人の地位の特定承継は,審査請求手続において,審査請求の目的であ
る処分に係る権利の譲受人の権利救済を図るため,行服法によって認められた制度にすぎず,当該譲受人に対し,審査
請求手続終了後の当該審査決定に対する取消訴訟を提起することのできる地位を与えたものと解することはできない
し,上記のような趣旨にかんがみると,当該年度の固定資産税の納税者でない者が登録価格の審査申出に対する決定の
取消訴訟の原告適格を有することを基礎付けるものでもないというべきである。
オ原告適格に関する原告の主張について
  原告は,審査請求手続において,被告には原告に地位の承継手続を教示すべき義務があると主張するとこ
ろ,そうした義務を認めるべき法的根拠はないし,また,上記エで判示したところによれば,仮に原告が上記承継手続
を経ていたとしても,そのことから直ちに本件決定の取消訴訟の原告適格を有することにはならない。
      また,原告は,租税法律主義の下では,具体的な課税処分について,課税要件及びこれを充足する事実の
存否が司法審査の対象となるべきであるから,固定資産課税台帳の登録価格に従って不動産取得税の納税義務を負うべ
き者は,同登録価格の決定を争うことができなければならない旨主張する。
      しかしながら,そうした不動産取得税の課税標準の規定の適法性及び同課税標準に該当する事実の有無
は,当該不動産取得税の賦課処分に対する不服申立手続において審査されるべきである。昭和51年判決は,不動産取
得税の納税者がその賦課処分の取消訴訟において,登録価格が客観的に適正な時価でないと主張して課税標準たる価格
を争うことはできない旨判示しているが,これは,上記のような不動産取得税の課税標準の規定が適法とされたことに
よる結果であって,そのことをもって,上記納税者が取得した不動産について,その取得前の登録価格に関する固定資
産評価審査委員会の審査決定の取消訴訟の原告適格を有するとすることはいわば本末転倒であるというべきである。
以上によれば,法は,固定資産課税台帳の登録価格については,納税者の権利利益の侵害を事前に防止し,ま
た,賦課処分をできる限り早期に安定させるため,当該年度の固定資産税の納税者のみがこれを争うことができるとし
ているものと解するのが相当であり,その賦課期日後に固定資産を取得した者がこれを争うことを許さない趣旨と解す
るべきであるから,本件決定について,原告に法律上の利益があるということはできず,原告適格を認めることができ
ない。
 2 結論
   よって,本件訴えは不適法であるから,却下することとする。
       福岡地方裁判所第1民事部
           裁判長裁判官    須  田  啓  之
        裁判官    細  谷  泰  暢
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       裁判官    光  本     洋
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