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平成18年12月26日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官
平成17年(ワ)第12817号損害賠償等請求事件
(口頭弁論終結の日平成18年10月25日)
判決
東京都千代田区<以下略>
原告三菱電機株式会社
同訴訟代理人弁護士近藤惠嗣
同丸山隆
同補佐人弁理士高橋省吾
同伊達研郎
滋賀県彦根市<以下略>
被告フジテック株式会社
同訴訟代理人弁護士内田敏彦
同阪口春男
同岩井泉
同西山宏昭
同白木裕一
同補佐人弁理士後藤文夫
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求の趣旨
1被告は,別紙物件目録()に記載されたエレベータを製造し,販売し,その1
販売の申出をしてはならない。
2被告は,別紙物件目録()に記載されたエレベータを製造し,販売し,その2
販売の申出をしてはならない。
3被告は,別紙物件目録()に記載されたエレベータを製造し,販売し,その3
販売の申出をしてはならない。
4被告は,原告に対し,金24億6875万円及びこれに対する平成17年7
月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,原告が,被告に対し,被告が製造し,販売するエレベータ装置が,
原告の有する「エレベータ装置」についての特許発明の技術的範囲に含まれる
として,同製品の譲渡等の差止及び損害賠償を求めた事案である。被告は,原
告の特許権には進歩性欠如の無効理由が存するので権利行使が許されないなど
と主張して,これを争っている。
(,。)1前提となる事実当事者間に争いがないか後掲各証拠によって認められる
()当事者1
原告は,エレベータ等を含む電動機械の製造販売その他を業とする株式会
社である。
被告は,エレベータ等の空間移動システムの製造販売を主たる業とする株
式会社である。
()原告の有する各特許権2
原告は,下記の各特許(以下,ア記載の特許を「本件第1特許,イ記載」
「」,「」。)の特許を本件第2特許といい両者をまとめて本件各特許という
の特許権者である
ア本件第1特許(甲1,2(以下,その請求項1に係る発明を「本件第)
1発明」という。。)
特許番号第3502270号
登録日平成15年12月12日
出願番号特願平10−197317号
出願日平成10年7月13日
公開番号特開2000−26041号
公開日平成12年1月25日
発明の名称エレベータ装置
イ本件第2特許(甲3,4(以下,その請求項2に係る発明を「本件第)
2発明」といい,本件第1発明とまとめて「本件各発明」という。。)
特許番号第3489578号
登録日平成15年11月7日
出願番号特願2001−543429号
出願日平成11年12月6日
国際公開番号WO01/042121号
国際公開日平成13年6月14日
発明の名称エレベーター装置
()本件各特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載3
ア本件第1特許に係る明細書(以下「本件第1明細書」という。本判決,
末尾添付の特許公報(甲2)参照)の特許請求の範囲の請求項1の記載。
は次のとおりである。
「昇降路の底部に設置されている巻上機支持台,
この巻上機支持台上に設置され,回転可能な綱車を有する巻上機,
かごガイドレール,
上記巻上機の駆動により,上記かごガイドレールに案内されて上記昇降路
内を昇降するかご,
上記かごガイドレールと間隔をおいて設置されている重りガイドレール,
上記重りガイドレールに案内されて上記昇降路内を昇降する釣合重り,
上記昇降路内に設置され,上記巻上機から上記巻上機支持台に作用する上
向きの力を受け,上記かごガイドレール及び上記重りガイドレールを支持
するレール支持梁,
上記ガイドレールにより支持されている回転自在の返し車,及び上記巻上
機の綱車及び上記返し車に巻き掛けられ,上記かごと上記釣合重りとを吊
り下げる主ロープを備えていることを特徴とするエレベータ装置」。
イ本件第2特許に係る明細書(訂正後のもの。以下「本件第2明細書」と
いう。本判決末尾添付の特許公報及び訂正の審決(甲4,5)参照)の。
特許請求の範囲の請求項2の記載は次のとおりである。
「,,昇降路内を昇降し乗降口を有するとともに吊り車が設けられたかごと
前記かごと反対方向に前記昇降路内を昇降し,該昇降路の平断面において
前記乗降口に対して前記かごの側方に配置され,吊り車が設けられたカウ
ンターウェイトと,
前記かごの水平方向の移動を規制するかご用ガイドレールと,
前記カウンターウェイトの水平方向の移動を規制するカウンターウェイト
用ガイドレールと,
前記かごを前記かごの吊り車を介して懸架するとともに前記カウンターウ
ェイトを前記カウンターウェイトの吊り車を介して懸架するロープと,
前記昇降路内に配置され,当該ロープが巻き掛けられた綱車及び該綱車を
駆動するモータ部を有し,前記綱車を回転させることで前記ロープを介し
て前記かごおよび前記カウンターウェイトを昇降させる巻上機と,
前記昇降路内に配置され,前記巻上機の綱車から前記かごの吊り車に至る
前記ロープが巻き掛けられて該ロープの方向を転換する第1の返し車とを
有するエレベーター装置において,
前記巻上機は,前記綱車の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対して垂
直な方向の外形寸法よりも小さく,前記昇降路の平断面において前記カウ
ンターウェイト及び前記かごとは離れて前記カウンターウェイトが配置さ
れた前記かごの側方に位置する前記昇降路の壁面に平行にかつ前記カウン
ターウェイトと前記昇降路の壁面に沿って並んで配置され,前記昇降路の
最下階停止時のかご床面より上方でかつ最上階停止時のかご天井より下方
に位置し,
,,,前記第1の返し車は前記巻上機より上方に位置し前記平断面において
前記巻上機の少なくとも一部と重なるよう配置され,前記第1の返し車の
回転面は,前記昇降路の平断面において前記ロープが前記かごの吊り車へ
至る側が前記巻上機の綱車から巻き掛けられる側より前記乗降口から遠ざ
かる方向に位置して近接する前記昇降路の壁面に対して傾斜していること
を特徴とするエレベーター装置」。
()構成要件の分説4
本件各発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれ
を「構成要件1A」のようにいう。。)
ア本件第1発明
1A昇降路の底部に設置されている巻上機支持台,
1Bこの巻上機支持台上に設置され,回転可能な綱車を有する巻上機,
1Cかごガイドレール,
1D上記巻上機の駆動により,上記かごガイドレールに案内されて上記
昇降路内を昇降するかご,
1E上記かごガイドレールと間隔をおいて設置されている重りガイドレ
ール,
1F上記重りガイドレールに案内されて上記昇降路内を昇降する釣合重
り,
1G上記昇降路内に設置され,上記巻上機から上記巻上機支持台に作用
する上向きの力を受け,上記かごガイドレール及び上記重りガイドレ
ールを支持するレール支持梁,
1H上記ガイドレールにより支持されている回転自在の返し車,及び
1I上記巻上機の綱車及び上記返し車に巻き掛けられ,上記かごと上記
釣合重りとを吊り下げる主ロープを備えていること
1Jを特徴とするエレベータ装置。
イ本件第2発明
2A昇降路内を昇降し,乗降口を有するとともに吊り車が設けられたか
ごと,
2B前記かごと反対方向に前記昇降路内を昇降し,該昇降路の平断面に
おいて前記乗降口に対して前記かごの側方に配置され,吊り車が設け
られたカウンターウェイトと,
2C前記かごの水平方向の移動を規制するかご用ガイドレールと,
2D前記カウンターウェイトの水平方向の移動を規制するカウンターウ
ェイト用ガイドレールと,
2E前記かごを前記かごの吊り車を介して懸架するとともに前記カウン
ターウェイトを前記カウンターウェイトの吊り車を介して懸架するロ
ープと,
2F前記昇降路内に配置され,当該ロープが巻き掛けられた綱車及び該
綱車を駆動するモータ部を有し,前記綱車を回転させることで前記ロ
ープを介して前記かごおよび前記カウンターウェイトを昇降させる巻
上機と,
2G前記昇降路内に配置され,前記巻上機の綱車から前記かごの吊り車
に至る前記ロープが巻き掛けられて該ロープの方向を転換する第1の
返し車とを有するエレベーター装置において,
2H前記巻上機は,
α前記綱車の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対して垂直な方
向の外形寸法よりも小さく,
β前記昇降路の平断面において前記カウンターウェイト及び前記か
ごとは離れて前記カウンターウェイトが配置された前記かごの側
方に位置する前記昇降路の壁面に平行にかつ前記カウンターウェ
イトと前記昇降路の壁面に沿って並んで配置され,
γ前記昇降路の最下階停止時のかご床面より上方でかつ最上階停止
時のかご天井より下方に位置し,
2I前記第1の返し車は,前記巻上機より上方に位置し,前記平断面に
おいて,前記巻上機の少なくとも一部と重なるよう配置され,前記
第1の返し車の回転面は,前記昇降路の平断面において前記ロープ
が前記かごの吊り車へ至る側が前記巻上機の綱車から巻き掛けられ
る側より前記乗降口から遠ざかる方向に位置して近接する前記昇降
路の壁面に対して傾斜していること
2Jを特徴とするエレベーター装置。
()本件各特許に係る訂正審判請求5
ア原告は,平成18年5月22日付け審判請求書において,本件第1特許
における特許請求の範囲の請求項1を訂正する旨の訂正審判請求を行った
(甲13。訂正後の請求項1の記載(以下,この請求項1記載の発明を)
「本件訂正第1発明」という)は次のとおりである(下線部が,訂正が。
求められている部分である。なお,上記訂正について,平成18年7。)
月12日付け訂正拒絶理由通知(甲14)がされ,原告は,これに対し,
同年8月8日付け意見書(甲15)を提出した。
「昇降路の底部に設置されている巻上機支持台,
この巻上機支持台上に設置され,回転可能な綱車を有する巻上機,
かごガイドレール,
上記巻上機の駆動により,上記かごガイドレールに案内されて上記昇降路
内を昇降するかご,
上記かごに設けられている回転自在のかご吊り車,
上記かごガイドレールと間隔をおいて設置されている重りガイドレール,
上記重りガイドレールに案内されて上記昇降路内を昇降する釣合重り,
上記釣合重りに設けられている回転自在の重り吊り車,
上記昇降路内に設置され,上記巻上機から上記巻上機支持台に作用する上
向きの力を受け,上記かごガイドレール及び上記重りガイドレールを支持
するレール支持梁,
上記ガイドレールにより支持されている回転自在の返し車,
上記巻上機の綱車及び上記返し車に巻き掛けられ,上記かご吊り車を介し
て上記かごを吊り下げるとともに上記重り吊り車を介して上記釣合重りを
吊り下げる主ロープ,及び
上記ガイドレールにより支持され,それぞれが上記主ロープの端部に固定
されている一対の綱止め部材を備え,
上記返し車は,上記巻上機の綱車から上記かご吊り車に至る上記主ロープ
が巻き掛けられている回転自在のかご側返し車と,上記巻上機の綱車から
上記重り吊り車に至る上記主ロープが巻き掛けられている回転自在の重り
側返し車からなり,
上記レール支持梁は,上記かごの重量及び釣合重りの重量が上記かご側返
し車,上記重り側返し車,及び上記一対の綱止め部材を介して上記かごガ
イドレール及び上記重りガイドレールに作用することによる下向きの力に
より上記上向きの力を相殺させることを特徴とするエレベータ装置」。
イ原告は,平成18年4月26日付け審判請求書において,本件第2特許
における特許請求の範囲の請求項2を訂正する旨の訂正審判請求を行った
(甲10。訂正後の請求項2(以下,この請求項2記載の発明を「本件)
訂正第2発明」という)は次のとおりである(下線部が,訂正が求めら。
れている部分である。同請求については,同年10月5日,請求が成。)
り立たない旨の審決がされたものの,同審決について,取消訴訟が提起さ
れる予定である(乙42の1,弁論の全趣旨。)
「昇降路内を昇降し,乗降口を有するとともに吊り車が設けられたかご
と,前記かごと反対方向に前記昇降路内を昇降し,該昇降路の平断面にお
いて前記乗降口に対して前記かごの側方に配置され,吊り車が設けられた
カウンターウェイトと,前記かごの水平方向の移動を規制するかご用ガイ
ドレールと,前記カウンターウェイトの水平方向の移動を規制するカウン
ターウェイト用ガイドレールと,前記かごを前記かごの吊り車を介して懸
架するとともに前記カウンターウェイトを前記カウンターウェイトの吊り
車を介して懸架するロープと,
前記昇降路内に配置され,当該ロープが巻き掛けられた綱車及び該綱車を
駆動するモータ部を有し,前記綱車を回転させることで前記ロープを介し
て前記かごおよび前記カウンターウェイトを昇降させる巻上機と,前記昇
降路内に配置され,前記巻上機の綱車から前記かごの吊り車に至る前記ロ
ープが巻き掛けられて該ロープの方向を転換する第1の返し車と,前記昇
降路内に配置され,前記巻上機の綱車から前記カウンターウェイトの吊り
車に至る前記ロープが巻き掛けられて該ロープの方向を転換する第2の返
し車とを有するエレベーター装置において,
前記巻上機は,前記綱車の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対して垂
直な方向の外形寸法よりも小さく,前記昇降路の平断面において前記カウ
ンターウェイト及び前記かごとは離れて前記カウンターウェイトが配置さ
れた前記かごの側方に位置する前記昇降路の壁面に平行にかつ前記カウン
ターウェイトと前記昇降路の壁面に沿って並んで配置されるとともに前記
綱車が前記かごの側方に位置する前記昇降路の壁面に対向し,前記モータ
部が前記かご側に対向して,該巻上機の下端は前記昇降路の最下階停止時
のかご床面より上方でかつかご天井より下方に位置し,前記第1の返し車
は,前記巻上機より上方に位置し,前記平断面において,前記かごの吊り
車に至る前記ロープが前記かごと前記巻上機との間を通るように,前記巻
上機の綱車から前記かごと前記巻上機との間へ向けて前記モータ部を横切
って前記モータ部と重なるよう配置され,前記第1の返し車の回転面は,
前記昇降路の平断面において前記ロープが前記かごの吊り車へ至る側が前
記巻上機の綱車から巻き掛けられる側より前記乗降口から遠ざかる方向に
位置して近接する前記昇降路の壁面に対して傾斜し,前記第2の返し車の
回転面は,前記昇降路の平断面において,近接する前記昇降路の壁面に対
して,前記ロープが前記カウンターウェイトの吊り車へ至る側が前記巻上
機の綱車から巻き掛けられる側より前記かごに近づく方向に傾斜し,前記
巻上機の綱車は,前記カウンターウェイトの吊り車よりも近接する前記昇
降路の壁面側に位置していることを特徴とするエレベーター装置」。
()本件訂正第2発明の構成要件の分説6
本件訂正第2発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,そ
れぞれを「構成要件2A′」のようにいう。。)
2A′昇降路内を昇降し,乗降口を有するとともに吊り車が設けられたか
ごと,
B′前記かごと反対方向に前記昇降路内を昇降し,該昇降路の平断面に
おいて前記乗降口に対して前記かごの側方に配置され,吊り車が設け
られたカウンターウェイトと,
C′前記かごの水平方向の移動を規制するかご用ガイドレールと,
D′前記カウンターウェイトの水平方向の移動を規制するカウンターウ
ェイト用ガイドレールと,
E′前記かごを前記かごの吊り車を介して懸架するとともに前記カウン
ターウェイトを前記カウンターウェイトの吊り車を介して懸架するロ
ープと,
F′前記昇降路内に配置され,当該ロープが巻き掛けられた綱車及び該
綱車を駆動するモータ部を有し,前記綱車を回転させることで前記ロ
ープを介して前記かごおよび前記カウンターウェイトを昇降させる巻
上機と,
G′前記昇降路内に配置され,前記巻上機の綱車から前記かごの吊り車
に至る前記ロープが巻き掛けられて該ロープの方向を転換する第1の
返し車と,前記昇降路内に配置され,前記巻上機の綱車から前記カウ
ンターウェイトの吊り車に至る前記ロープが巻き掛けられて該ロープ
の方向を転換する第2の返し車とを有するエレベーター装置におい
て,
H′前記巻上機は,
α前記綱車の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対して垂直な方
向の外形寸法よりも小さく,
β前記昇降路の平断面において前記カウンターウェイト及び前記か
ごとは離れて前記カウンターウェイトが配置された前記かごの側方
に位置する前記昇降路の壁面に平行にかつ前記カウンターウェイト
と前記昇降路の壁面に沿って並んで配置され
δるとともに前記綱車が前記かごの側方に位置する前記昇降路の壁
面に対向し,前記モータ部が前記かご側に対向して,
γ該巻上機の下端は前記昇降路の最下階停止時のかご床面より上方
でかつかご天井より下方に位置し,
I′前記第1の返し車は,
ε前記巻上機より上方に位置し,
ζ前記平断面において前記かごの吊り車に至る前記ロープが前記か
ごと前記巻上機との間を通るように,前記巻上機の綱車から前記か
ごと前記巻上機との間へ向けて前記モータ部を横切って前記モータ
部と重なるよう配置され,
η前記第1の返し車の回転面は,前記昇降路の平断面において前記
ロープが前記かごの吊り車へ至る側が前記巻上機の綱車から巻き掛
けられる側より前記乗降口から遠ざかる方向に位置して近接する前
記昇降路の壁面に対して傾斜し,
K′前記第2の返し車の回転面は,前記昇降路の平断面において,近接
する前記昇降路の壁面に対して,前記ロープが前記カウンターウェイ
トの吊り車へ至る側が前記巻上機の綱車から巻き掛けられる側より前
記かごに近づく方向に傾斜し,
L′前記巻上機の綱車は,前記カウンターウェイトの吊り車よりも近接
する前記昇降路の壁面側に位置していること
J′を特徴とするエレベーター装置。
()被告の製造,販売する製品とその構成7
被告は「ECEED−e2」シリーズのエレベータを製造,販売してい,
る同シリーズにはR住宅用としてECEED−e2・RシリーズR。,「」(
−6を除く「B寝台用」としてECEED−e2・Bシリーズ「R住。),,
宅用」としてECEED−e2・RシリーズのR−6がある。
ECEED−e2・Rシリーズ(R−6を除く)には,正面側にのみ乗。
降口があるタイプと,正面側と背面側に乗降口があるタイプとがある。本件
訴訟の対象は,正面側にのみ乗降口があるタイプである(以下「イ号物件」
という。イ号物件の構成は,別紙物件目録()記載のとおりである。。)1
,,ECEED−e2・Bシリーズには正面側にのみ乗降口があるタイプと
正面側と背面側に乗降口があるタイプとがある。本件訴訟の対象は,正面側
にのみ乗降口があるタイプである(以下「ロ号物件」という。ロ号物件。)
の構成は,別紙物件目録()記載のとおりである。2
ECEED−e2・RシリーズのR−6(以下「ハ号物件」という)の。
構成は,別紙物件目録()記載のとおりである。3
()イ号ないしハ号物件(以下まとめて「被告各製品」という)の本件各発8。
明の充足性
ア本件第1発明
「」「」,a)イ号物件の巻上機支持構造が構成要件1Aの巻上機支持台に
かご用ガイドレールが構成要件1Cのかごガイドレールにか「」「」,「
ご」が構成要件1Dの「かご」に「カウンターウェイト用ガイドレー,
」「」,「」ルが構成要件1Eの重りガイドレールにカウンターウェイト
が構成要件1Fの釣合重りに下部梁構造が構成要件1Gのレ「」,「」「
ール支持梁」に「かご側返し車及びカウンターウェイト側返し車」が,
構成要件1Hの「返し車」に「ワイヤロープ」が構成要件1Iの「主,
ロープ」に,それぞれ相当する。
したがって,イ号物件は,本件第1発明の構成要件1A,CないしJ
を充足する(争いがない。。)
「」「」,b)ロ号物件の巻上機支持構造が構成要件1Aの巻上機支持台に
かご用ガイドレールが構成要件1Cのかごガイドレールにか「」「」,「
ご」が構成要件1Dの「かご」に「カウンターウェイト用ガイドレー,
」「」,「」ルが構成要件1Eの重りガイドレールにカウンターウェイト
が構成要件1Fの釣合重りに下部梁構造が構成要件1Gのレ「」,「」「
ール支持梁」に「かご側返し車及びカウンターウェイト側返し車」が,
構成要件1Hの「返し車」に「ワイヤロープ」が構成要件1Iの「主,
ロープ」に,それぞれ相当する。
したがって,ロ号物件は,本件第1発明の構成要件1A,CないしJ
を充足する(争いがない。。)
「」「」,c)ハ号物件の巻上機支持構造が構成要件1Aの巻上機支持台に
かご用ガイドレールが構成要件1Cのかごガイドレールにか「」「」,「
ご」が構成要件1Dの「かご」に「カウンターウェイト用ガイドレー,
」「」,「」ルが構成要件1Eの重りガイドレールにカウンターウェイト
が構成要件1Fの釣合重りに下部梁構造が構成要件1Gのレ「」,「」「
ール支持梁」に「かご側返し車及びカウンターウェイト側返し車」が,
構成要件1Hの「返し車」に「ワイヤロープ」が構成要件1Iの「主,
ロープ」に,それぞれ相当する。
したがって,ハ号物件は,本件第1発明の構成要件1A,CないしJ
を充足する(争いがない。。)
イ本件第2発明
)イ号物件の「かご」が構成要件2Aの「かご」に「カウンターウェa,
イト」が構成要件2Bの「カウンターウェイト」に「かご用ガイドレ,
ール」が構成要件2Cの「かご用ガイドレール」に「カウンターウェ,
イト用ガイドレール」が構成要件2Dの「カウンターウェイト用ガイド
レール」に「ワイヤロープ」が構成要件2Eの「ロープ」に「巻上,,
機」が構成要件2Fの「巻上機」に「かご側返し車」が構成要件2G,
の「第1の返し車」に「巻上機」は構成要件2Hの「巻上機」に「か,,
」「」,。ご側返し車が構成要件2Iの第1の返し車にそれぞれ相当する
したがって,イ号物件は,本件第2発明の各構成要件をいずれも充足
する(争いがない。また,イ号物件は,本件第2訂正発明の各構成。)
要件をいずれも充足する(争いがない。。)
)ロ号物件の「かご」が構成要件2Aの「かご」に「カウンターウェb,
イト」が構成要件2Bの「カウンターウェイト」に「かご用ガイドレ,
ール」が構成要件2Cの「かご用ガイドレール」に「カウンターウェ,
イト用ガイドレール」が構成要件2Dの「カウンターウェイト用ガイド
レール」に「ワイヤロープ」が構成要件2Eの「ロープ」に「巻上,,
機」が構成要件2Fの「巻上機」に「かご側返し車」が構成要件2G,
の「第1の返し車」に「巻上機」は構成要件2Hの「巻上機」に「か,,
」「」,。ご側返し車が構成要件2Iの第1の返し車にそれぞれ相当する
したがって,ロ号物件は,本件第2発明の各構成要件をいずれも充足
する(争いがない。また,ロ号物件は,本件第2訂正発明の構成要。)
件2I′のζを充足しない(争いがない。。)
2本件における争点
()被告各製品が構成要件1Bを充足するか(争点1。1)
()本件第1特許が特許法29条2項に違反しているか(争点2。2)
()本件第2特許が特許法29条2項に違反しているか(争点3−1。3)
()本件第2特許が特許法29条2項に違反しているとして,訂正審判により4
同項違反が解消されるか(争点3−2。)
()損害の額(争点4)5
第3争点に関する当事者の主張
1争点1(被告各製品が構成要件1Bを充足するか)について
()原告の主張1
ア本件第1明細書の特許請求の範囲に記載されているとおり,本件第1発
明の構成要件1Aと構成要件1Bは,巻上機支持台と巻上機の設置場所を
区別して記載している。すなわち,昇降路の底部に設置されているのは巻
上機支持台であって(構成要件1A,巻上機そのものではない。)
したがって,本件第1発明においては,巻上機が昇降路の底部に設置さ
れる必要はないのであって「巻上機が,巻上機支持構造に固定され,巻,
上機支持構造が昇降路底部に設置された下部梁構造に固定されている」被
告各製品が,構成要件1Bを充足するのは明らかである。
イ被告は「ピットの床面に引き抜き力を作用させることなく,巻上機を,
ピットに設置することができる」という本件第1明細書の記載を引用し。
て,巻上機支持台のみならず,巻上機自体もピットに設置されていなけれ
ばならないと主張する。
しかし,ピットの床面に引き抜き力を作用させないという技術課題は,
巻上機自体がピットに設置されていることによって生ずるのではなく,巻
上機を支持している巻上機支持台がピットに設置されていることによって
生じることは自明である。上記記載も「巻上機をピットに設置することが
できる」とするのみで,巻上機がピット内に設置されていることを発明。
の構成要件とするものではない。
一方,被告各製品において巻上機がピットよりも高い位置に設置されて
いるのは,本件第1発明の作用効果とは無関係な理由によるものである。
すなわち,昇降路が浸水したような場合,電動機を含む巻上機が冠水する
ことを避けるためにピットの底部から離して巻上機を設置した結果とし
て,巻上機がピットよりも高い位置に設置されているにすぎず,被告各製
品においても,巻上機にかかる上向きの荷重は,巻上機支持台を介して下
部梁構造に伝達されており,本件第1発明の作用効果を利用している。
被告は,本件第1明細書に,巻上機を「ピット」以外の場所に設置する
ことを窺わせるに足りる記載は全くないと主張して,本件第1明細書の記
載不備をいう。しかし,巻上機が巻上機支持台上に設置されていることが
明確に記載されている以上,浸水時の冠水を避けるためなどの理由によっ
てピット底部から一定の高さに巻上機を設置する必要が明らかになった場
合に,ピットの深さや予想される浸水量等を勘案して巻上機の高さを決定
することは,本件第1発明とは無関係なことである。その一方,必要な巻
上機の高さが決定されれば,巻上機に作用する上向きの力を巻上機支持台
を介してレール支持梁に伝えるために必要な巻上機支持台の構造,強度等
は,本件第1発明においては,当業者が適宜決定できることであり,本件
明細書に具体的に記載するまでもない事項である。
したがって,構成要件1Bを限定解釈すべきであるとの被告主張は理由
がない。
()被告の主張2
ア本件第1発明のエレベータ装置は,床強度を増す必要なしに「巻上機を
ピットに設置することができる」点に特徴がある(本件第1明細書の【0
008【0009【0011【0012【0028】参照。】,】,】,】,)
にもかかわらず,本件第1発明の特許請求の範囲の記載において,巻上
機の設置場所が「ピット」であることを窺わせるような技術事項の記載が
ない。すなわち,巻上機の設置場所に関係する請求項1の記載としては,
冒頭の「昇降路の底部に設置されている巻上機支持台,この巻上機支持台
上に設置され,回転可能な綱車を有する巻上機(構成要件1A及び1,」
B)との記載があるのみで,巻上機の設置場所は昇降路の底部(ピットと
同義である)である場合のみならず,昇降路の底部より高い位置である。
場合の双方を含む記載になっている。このような記載は,発明の詳細な説
明によって何ら裏付けられておらず,発明の詳細な説明の記載を斟酌すれ
ば,巻上機は「ピット」すなわち「昇降路の底部」に設置するものである
ことが明らかであり「ピット」より高い場所に設置することは,本件第,
1発明の目的や効果と何ら関係がない。
したがって,構成要件1Bの「この巻上機支持台上に設置され」は,,
「この巻上機支持台上で,かつ,昇降路の底部に設置され」の意味である
と限定的に解釈するしかない。仮にこのような限定解釈をしないときは,
本件第1特許は特許法36条6項1号に違反することになる。
「昇降路の底部」すなわち「ピット」とは「かごが停止する最下階の,
床面から昇降路の底部の床面まで」の空間を意味する(平成12年建設省
告示第1423号エレベーターの制動装置の構造方法を定める件の第「」「
1頂部すき間・ピットの深さ」参照。)
被告各製品において「巻上機」は「かごが最下階に停止したときのか,
ごの床面よりも上方に位置」している。したがって,構成要件1Bを充足
しない。
イ原告は,構成要件1Bを限定解釈する必要はないと主張する。しかし,
以下に述べるとおり,原告の主張は失当である。
)原告は「本件第1明細書の記載は『巻上機をピットに設置することa,
ができる』とするのみで,巻上機がピット内に設置されていることを。
発明の構成要件とするものではない」と主張する。。
しかし,本件第1明細書には,上記発明の効果の記載のみならず,発
明の目的として「巻上機をピットに設置できる」ことが明記されている
,「」のであって発明の構成要件として巻上機がピットに設置されている
との限定が特許請求の範囲に記載されていなければならないと解するの
が当然である。
)原告は「巻上機をピット底部から一定の高さに設置することは,本b,
件第1発明とは無関係なことであり,また,本件第1発明において当業
者が適宜決定できる事柄である」と主張する。。
しかし,本件第1発明の出願当時,浸水時の冠水を避けるためなどの
理由によってピット底部から一定の高さ以上に巻上機を設置する必要が
明らかになった場合に,巻上機を昇降路のピットより上で,かつ,かご
最上階停止時のかごの天井より下に設置することは,昇降路の拡幅をし
ない限り不可能と考えられていた。このような前提のもとで,あえて巻
上機支持台の高さを高くして巻上機をピットより高い位置に設置した場
合,かごが最下階に停止しようとすると,かごの底面が巻上機に衝突す
ることは必定である。
したがって,本件第1発明は,巻上機をピットに設置することをその
技術的前提にしている(本件第1明細書の【0008【0027】】,
参照。原告の主張は,このような技術的前提を無視し,本件第1発明)
の巻上機が,ピットより高い位置に設置しても,昇降路内を昇降するか
ご及び重りと干渉しない薄型の巻上機であるかのように誤導するもので
ある。
2争点2(本件第1特許が特許法29条2項に違反しているか)について
()被告の主張1
本件第1発明は,本件第1特許の出願日の前に公開された実公昭63−4
058号公報乙6以下引用例1−1というに記載された発明以(。「」。)(
下「引用発明1−1」という,実願昭56−198591号(実開昭5。)
8−99273号)のマイクロフィルム(乙5。以下「引用例1−2」とい
う)に記載された発明(以下「引用発明1−2」という「建築基準法。。),
及び同法施行令・昇降機技術基準の解説(乙9。以下「引用例1−3」と」
いう)に記載された周知の技術事項に基づいて,当業者が容易に発明をす。
ることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受
けることができないものである。
ア昭和63年2月1日に公開されたロープ式エレベータに関する実用新案
公報(引用例1−1)に開示されたロープ式エレベータの技術構成は,次
のとおりである。なお〔〕内の文言は,本件第1発明における対応部材,
の名称である。
b昇降路1の底部に設置され,回転可能なシーブ13a〔綱車〕を有す
る巻上機13,
cかご用レール3,4〔かごガイドレール,〕
d上記巻上機13の駆動により,上記かご用レール3,4〔かごガイド
レール〕に案内されて上記昇降路1内を昇降するかご5,
e上記かご用レール3,4〔かごガイドレール〕と間隔をおいて設置さ
れているおもり用レール9〔重りガイドレール,〕
f上記おもり用レール9〔重りガイドレール〕に案内されて上記昇降路
1内を昇降するつり合おもり11〔釣合重り,〕
h上記かご用レール4及びおもり用レール9〔ガイドレール〕により支
持されている回転自在の第1のつり車14〔返し車,第2のつり車1〕
5〔返し車,及び〕
i上記巻上機のシーブ13a〔綱車〕及び上記第1のつり車14〔返し
車,第2のつり車15〔返し車〕に巻き掛けられ,上記かご5と上記〕
つり合おもり11〔釣合重り〕とを吊り下げる主索17〔主ロープ〕を
備えていること
jを特徴とするエレベータ装置
イ本件第1発明と引用発明1−1との構成の対比
本件第1発明の各構成要件と引用発明1−1の上記各構成区分とを対比
すると,本件第1発明の構成要件C,D,E,F,H,I及びJは,それ
ぞれ引用発明1−1の構成区分c,d,e,f,h,i及びjと同一であ
る。
本件第1発明は「昇降路の底部に設置されている巻上機支持台(構,」
成要件1A)を有し,かつ,巻上機が「この巻上機支持台上に設置され」
(構成要件1B)ているのに対し,引用発明1−1は「巻上機支持台」を
有していない点において相違する(相違点P。)
また,本件第1発明は「上記昇降路内に設置され,上記巻上機から上記
巻上機支持台に作用する上向きの力を受け,上記かごガイドレール及び上
記重りガイドレールを支持するレール支持梁(構成要件1G)を有して」
いるのに対し,引用発明1−1はこの構成を有していない点において相違
する(相違点Q。)
ウ引用発明1−2の課題解決原理について
)昭和58年7月6日に公開されたベースメント形エレベータに関するa
実用新案公報(引用例1−2)に開示された技術思想(反力相殺に関す
る基本的技術思想)について
①引用例1−2の第1図(従来例)と第2図(実施例)とを対比する
と,引用発明1−2は,巻上機(5)及び立設部材(2(2)の),
下端に支持部材(7)を取り付けるとともに,案内車(4)が取り付
けられた上部桁を立設部材(2(2)の上端に架設したことによ),
って,強固なアンカーボルトを埋設する等の煩雑な手数を要する,昇
降路底部1bを利用した従来例における閉じた構造体を床()「」,(
強度に制限のある)昇降路底部(1b)を利用しない(十分な強度を
有する「閉じた構造体」に変更するものである。後者の構造体にお)
いては,巻上機(5)にかかる「上向きの力」は支持部材(7)を介
して立設部材(2)に伝えられ,また,案内車(4)にかかる「下向
きの力」も上部桁を介して同じ立設部材(2)に伝えるようになって
いること,つまり,構造体の各部に作用する力が立設部材(2)の内
部で打ち消し合い「閉じた構造体」の中で力の相殺が生じていると,
容易に理解できる。そして,この「閉じた構造体」の外部にある,昇
降路底部(1b)には,もはや「上向きの力」は伝達されないこと,
したがって,この「上向きの力」に打ち勝つだけの強固なアンカーボ
ルト埋設工事を昇降路底部に行う手数が省けることも,初歩的な力学
常識の範囲内に他ならない。
したがって,引用発明1−2の課題解決原理は,本件第1明細書の
【0028】のいうところの「巻上機に作用する上向きの力」を,十
分な強度を有する「ガイドレールを支持するレール支持梁」で支持す
るようにして「ガイドレールに作用する下向きの力」により相殺さ,
せることと全く同じである。
②引用例1−2の実用新案登録請求の範囲の記載においては「立設,
」「」,部材は単に上記昇降路に設けられた立設部材と規定するのみで
立設部材が案内車を支持することは規定していないしかし案「」。,「
内車が立設部材を支持していない」実施態様(たとえば,案内車を従
来例と同じく,昇降路の頂部に配置した実施態様)では「閉じた構,
造体」が構成されないのであるから「閉じた構造体」を構成する態,
「」。,様に案内車の設置位置を限定解釈するのが相当であるすなわち
,「」,()作用効果を奏するための構成としては案内車が立設部材2
に結合された上部桁を介し,又は介することなく直接的に,立設部材
(2)に支持されていることが必要である。
そして,引用発明1−2には,立設部材としてガイドレールを用い
るタイプと,昇降路内の建築躯体の柱や立壁を用いるタイプとが含ま
れる。
③以上のとおり,引用発明1−2においては,巻上機と立設部材を固
定した支持部材が浮き上がらないようにするためには,案内車を立設
部材により支持させること,すなわち,実用新案登録請求の範囲の記
載における「上記昇降路に設けられた立設部材」を「上記昇降路に設
けられ,案内車を支持する立設部材」と解釈することが必要不可欠で
ある。
引用例1−2に接した当業者は,少なくとも引用例1−2に記載の
従来例の欠点と実施例の構成及び作用効果とから,床強度に制限のあ
る昇降路底部(1b)を利用する「閉じた構造体」ではなくて,十分
な強度を有する支持部材(7)を利用した「閉じた構造体」を構成す
ることによって「巻上機に加わる上向きの力」を「案内車に加わる,
下向きの力」で相殺して,ピットの床面に引き抜き力を作用させるこ
とがないようにした機械室レス・エレベータの技術思想を読み取るこ
とができるというべきである。
)ブラケット(2a)による支持に関する引用例1−2の記載についてb
原告は「巻上機(5)に作用する上方向荷重は支持部材(7)を介,
して立設部材(2,ブラケット(2a)によって支持される」との)。
引用例1−2の記載をもとに,巻上機に加わる上向きの力は,アンカー
ボルトを介して床面に伝えられるものではないものの,結局,建物躯体
に伝えられていると主張する。
しかし,上記記載は,引用例1−2の第2図及び第3図に示された実
施例の作用についての説明であって,前記実施例は,明らかに「閉じた
構成体」を構成している。したがって,立設部材の中で「巻上機(5)
に加わる上向きの力」を「案内車(4)に加わる下向きの力」で相殺し
ているのであるから,力学的観点からみて「巻上機(5)に加わる上,
向きの力」を当該構造体の外にある昇降路の底部(1b)や昇降路の周
壁に対して伝えることはあり得ない。すなわち,上記明細書の記載は明
白な誤記に他ならず,正しくは「巻上機(5)に作用する上方向荷重は
支持部材(7)を介して立設部材(2)によって支持される」と記載。
すべきものである。
エレベータ装置におけるかご用,おもり用のガイドレールをブラケッ
ト等により建築躯体側に止め付けるのは,地震等によるガイドレールの
横揺れを防止するためであり,上下方向の力を負担するものではないと
考えるのが,当業者の技術常識である。したがって,当業者であれば,
「立設部材(2」を建築躯体に止め付けている「ブラケット(2a」))
は,かご用ガイドレールの横揺れ防止のために取り付けた連結具である
としか認識しないというべきである。
)立設部材が「建築躯体の柱,他のエレベータ機器からなる」場合につc
いて
原告は,引用例1−2に「この実施例における立設部材(2)が建築
躯体の柱,他のエレベータ機器からなるものであっても第2,第3図の
実施例とほぼ同様な作用が得られることは明白である」と記載されて。
いることに基づき,上下方向の荷重を相殺して建築躯体にかかる荷重を
なくすという技術思想は,その片鱗さえも見られないと主張する。
しかし,被告は,上下方向の荷重を相殺して建築躯体にかかる荷重を
なくすという技術思想が記載されていると主張しているのではなく上,「
下方向の力を相殺する技術思想」を読み取ることができると主張してい
るのであるから,原告の主張は失当である。
エ相違点Pについて
一般に,エレベータの巻上機を床面に設置するに際し,巻上機を直接床
面に設置するか(引用発明1−1の第3図,床面に固定された巻上機取)
付梁(マシンビーム)の上に設置するか,床面に固定された巻上機取付梁
(マシンビーム)と当該巻上機取付梁(マシンビーム)の上に巻上機の据
付高さを調節するためや防振ゴムを介在させるためなどの目的で固定した
巻上機支持台(マシンベット)の上に設置するかは,当業者が必要に応じ
て適宜採用し得る設計事項である(引用例1−3の第2部「3.2機械室
の機器」における第2−43図,44図参照。)
したがって,引用発明1−1の構成区分bにおける「巻上機」が設置さ
れている「昇降路の底部」に,巻上機取付梁(マシンビーム)を固定し,
当該巻上機取付梁(マシンビーム)の上に「防振ゴムとマシンベットから
成る構成体」を設置して,当該マシンベットの上に巻上機を設置する程度
のことは,当業者にとって適宜採用可能な単なる設計事項として,容易に
推考できることは明らかである。
このような設計変更により,引用発明1−1は,その構成区分bが本件
第1発明の構成要件1Bと同一となるとともに,本件第1発明の構成要件
1Aをも同時に備えることになる。
オ相違点Qについて
)引用発明1−1のロープ式エレベータ装置は「昇降路底部に巻上機a,
を配置したトラクション式」タイプであるため,上記の設計変更をした
としても,巻上機13に作用する上向きの力でアンカーボルトが引き抜
,。かれないように強固なアンカーボルトを必要とする欠点は変わらない
この欠点は,引用発明1−2が解決課題とする従来技術の欠点と実質
的に同一であるので,引用発明1−2に示された反力相殺の基本的技術
思想と対比して検討すると,引用発明1−1のエレベータ装置ないし引
用発明1−1に巻上機支持台を設ける設計変更を施したエレベータ装置
は,引用発明1−2における支持部材を有しないにすぎないことが分か
る。
)したがって,引用発明1−2における支持部材を用意すれば,反力相b
殺のメカニズムが完成するところ,引用例1−2の第2図の符号7の支
持部材を参考にして,引用発明1−1のエレベータ装置ないし引用発明
1−1に上記設計変更を施したエレベータ装置の,かご用レール3,4
及びつり合重り用レール9の各下端,並びに巻上機13の床面(ないし
エレベータ装置の巻上機を設置している巻上機支持台の底面)をそれぞ
れ別の箇所に固定ないし装着し得る形状の支持部材を設置することは,
当業者が容易に推考できることであるというべきである。
上記のような支持部材は本件第1発明の構成要件1Gの「レール支持
梁」に相当するものである。
)引用発明1−1のエレベータ装置に支持部材を適用するに際し,支持c
部材の形状を,引用発明1−1のかご用レール3,4及び重り用レール
9を支持できるように設計する程度のことは引用発明1−1と同じ昇,「
降路底部に巻上機を配置したトラクション式」エレベータの昇降路底部
に設置される支持ベースであって,トラクションマシン(巻上機)が取
り付けられる取付台10と,乗かご用ガイドレールの下端を支持する支
持体11とを備えるとともに,つり合重り用ガイドレールの下端をも支
持し得ることができるものが,既に公知であった(特開平7−2156
25号公報・乙10の図1ないし図3)ことに鑑みれば,当業者であれ
ば容易になし得ることは明らかである。
カ結論
したがって,本件第1発明は,引用発明1−2が示している反力相殺の
基本的技術思想に基づいて,引用発明1−1に,引用発明1−2の「支持
部材」と周知技術である「防振ゴムとマシンベットから成る構成体」とを
適用することにより,容易に推考できるものであるから,当該特許は特許
無効審判により無効にされるべきものと認められる。
よって,原告は,被告に対し,本件第1特許権に基づく権利を行使する
ことはできない(特許法104条の3。)
()原告の主張2
被告は,①引用例1−2によって反力相殺に関する技術が周知であったこ
と,②前記①を前提とすれば,本件第1発明は,引用例1−1から容易に発
明できたと主張する。しかし,反力相殺の技術思想は引用例1−2に記載も
示唆もされていない。また,他に,反力相殺の技術思想が周知であったとす
る根拠も全くない。むしろ,引用例1−2の具体的な開示を詳細に検討すれ
ば,本件第1特許の出願前には反力相殺という技術思想が存在しなかったこ
とが明らかとなる。
ア本件第1発明と引用発明1−1との対比の誤りについて(構成要件1H
について)
引用発明1−1の構成区分hは,文言上,本件第1発明の構成要件1H
を充足するようにみえるものの,実質的にはこれと異なる構成である。
確かに,引用例1−1の第5図のような構造によれば,つり車にかかる
荷重の一部がかご用レールに伝えられることは否定できないから,構成要
件1Hを充足するともいえる。しかし,本件第1発明と引用発明1−1と
の相違点を判断する前提として考えるならば,構成要件を実質的に充足す
るか否かを検討する必要がある。
本件第1発明の効果は「巻上機から巻上機支持台に作用する上向きの,
力を,ガイドレールを支持する支持梁で受けるようにしたので,レール支
持梁に伝えられた上向きの力は,ガイドレールに作用する下向きの力によ
り相殺され,上向きの力は建物に作用しない(本件第1明細書の【0。」
028)というものである。ここで,ガイドレールに作用する下向きの】
力は,ガイドレールによって支持されている返し車からガイドレールに働
くものである。一方,巻上機の綱車と返し車には1組の主ロープが巻き掛
けられているから,巻上機から巻上機支持台に作用する上向きの力とガイ
ドレールに作用する下向きの力とが相殺されるためには,ガイドレールが
返し車を実質的に支持している必要がある。このように,本件第1発明の
構成要件1Hは,構成要件1A,1B,1G及び1Iとの組合せによって
上記効果を奏するものである。したがって,被告の主張する2つの相違点
を判断する前提として考えるならば,引用発明1−1のつり車14,15
が実質的にかご用レール4及びおもり用レール9に支持され,レールに作
用する下向きの力が下方に向かって伝えられているか否かを検討する必要
がある。
一方,引用例1−1の第4図を参照しつつ,引用例1−1の発明の詳細
な説明の記載を検討すると,引用発明1−1においては,つり車を支持す
る支持材19にかかる荷重は,右壁1eに伝えられるのである。これに対
して,本件第1発明の構成要件1Hは,返し車を支持する荷重をレール支
持梁に伝えるためのものである。したがって,引用発明1−1の構成区分
hは,その実質においては,本件第1発明の構成要件1Hと全く異なる作
用を営むものであり,実質的には,この構成要件を充足しているとはいえ
ないものである。このことは,相違点P及び相違点Qを判断するにあたっ
て,念頭におく必要がある。
イ引用例1−2の解釈
)被告は,引用例1−2には「機械室レス・エレベータの技術思想」がa
開示されていると主張する。しかし,引用例1−2は,機械室レス・エ
レベータに関するものではない。機械室レス・エレベータとは,昇降路
外に機械室を設けずに駆動装置を設置するエレベータをいうのであっ
て,昇降路とは,かごまたはつり合い重りが昇降する部分をいう。とこ
ろが,引用例1−2の場合には,明らかに昇降路とは別に駆動装置を設
置する機械室が設けられている。
)被告は,引用例1−2には「巻上機に加わる上向きの力」と「案内車b
に加わる下向きの荷重」とを相殺するという思想が開示されていると主
張する。
しかし,被告の上記主張は全くの誤りである。引用例1−2に開示さ
れているのは,単に,巻上機に加わる上向きの力をアンカーボルト以外
の手段で建物に伝達することにすぎず,上向きの力を「案内車に加わる
下向きの荷重」と相殺することなど全く記載されていない。すなわち,
,「()()引用例1−2には巻上機5に作用する上方向荷重は支持部材7
を介して立設部材(2,ブラケット(2a)によって支持される」)。
と明確に記載されている。ここで,ブラケット(2a)は,引用例1−
2の第2図を見れば明らかなとおり,立設部材(2)を建築躯体と結合
するものである。したがって,引用発明1−2においては,巻上機に加
わる上向きの力は,アンカーボルトを介して床面に伝えられるのではな
いものの,結局,建物躯体に伝えられているのである。このことは,引
用例1−2において「この実施例における立設部材(2)が建築躯体,
の柱,他のエレベータ機器からなるものであっても第2,第3図の実施
例とほぼ同様な作用が得られることは明白である」と記載されている。
ことからも明らかである。ここでは,支持部材(7)を建築躯体に結合
することが示されており,上下方向の荷重を相殺して建築躯体にかかる
荷重をなくすという技術思想は,その片鱗さえも見られない。
以上のとおり,引用例1−2においては,支持部材(7)によってア
ンカーボルトをなくすという技術思想があるにとどまり,上下方向の荷
重を相殺するという技術思想はない。
)一般に構造体を閉じた構造体にして構造体に作用する力の系が,つりc
合い状態(内的つり合い)になっていれば,その構造体の外部に力がか
かることはないということが初歩的な力学上の常識であり,工業高校の
力学課程修了程度の知識にすぎないことは認める。しかし,被告は,ブ
ラケット(2a)がなくても「閉じた構造体」であるとの結論を先取り
して「ブラケット(2a」は明白な誤記であると主張しているので,)
あって,失当である。
ウ相違点について
)相違点Pについてa
被告は,巻上機を巻上機支持台上に設置することは容易であると主張
し「昇降機技術基準の解説(引用例1−3)を引用する。しかし,,」
引用例1−3では,例えば249頁の第2−43図等にも示されている
とおり,巻上機は昇降路の上方に設けられた機械室に設置されている。
したがって,巻上機には下向きの力が働き,巻上機と巻上機支持台との
間には圧縮力が働くだけである。
これに対し,本件第1発明の構成要件1A及び1Bは,構成要件1G
の前提として規定されているものである。すなわち,巻上機支持台を昇
降路底部に設置し,その上に巻上機を設置した結果,巻上機には上向き
の力が作用し,巻上機と巻上機支持台との間には引っ張り力が働く。本
件第1発明では,このような構成を採用することにより,巻上機の設置
高さの自由度を確保した上で,主ロープから巻上機の綱車にかかる上向
きの力を昇降路底部に設けられたレール支持梁に伝えることを可能にし
ているのである。
すなわち,本件第1発明では,主ロープにかかる荷重によって主ロー
プに引っ張り応力が生じ,それによって,昇降路上部の返し車には下向
きの力がかかり,巻上機の綱車には上向きの力がかかる。そして,構成
要件1Hにより,返し車はレールに支持され,構成要件1Gにより,巻
上機支持台に作用する力はレール支持台が受ける。これらにより,レー
ルには圧縮応力が生じ,下向きの力と上向きの力とが相殺される。した
がって,レール支持台をレールの最下端に設けて,これに巻上機支持台
を設置する必要があるものの,巻上機そのものをレール支持台に設置す
る必要はなくなる。
以上のとおりであるから,被告の主張は,単に巻上機を巻上機支持台
上に設置することが容易であったというのみであって,それだけでは,
本件第1発明が容易であったことの根拠にはならない。
)相違点Qについてb
相違点Qに関する被告の主張は,引用例1−2によって反力相殺の基
本的技術思想が周知であったことを前提としている。しかし,既に述べ
たとおり,引用例1−2には反力相殺の技術思想は開示も示唆もされて
いない。引用発明1−2では,上向きの力をアンカーボルトによって床
,(),面に伝えることに代えて支持部材7によって床面以外の建物部分
,。例えば壁面又は躯体の柱に伝えることを目的としていると考えられる
一方,引用発明1−1では,つり車14及び15にかかる荷重はレー
ルを介して建物壁面に伝えられ,したがって,レールを支持する支持梁
を設ける必要性は全くない。
エ以上のとおりであるから,引用発明1−1において,床面に巻上機を設
置することに代えて,本件第1発明の構成要件1Gを採用することは当業
者に容易に推考できることではなかった。
()原告の主張に対する被告の反論3
ア引用発明1−1からの容易想到性について
)引用発明1−1の構成区分hの技術的意味合いについてa
原告の主張する構成要件1Hの実質的意味合いというのは,構成要件
1Hは返し車に作用する下向きの力を同構成要件にいう上,「」「」,「
記ガイドレール」を介して,本件第1発明にいう「レール支持梁(構」
成要件1G参照に伝えて返し車に作用する下向きの力と巻),「」「」「
上機」に作用する「上向きの力」とを相殺することを目的としたもので
あるから,この目的ないし機能を分担している点を無視することはでき
ないということと解される。このような目的ないし機能は,相違点を容
易に解消して本件第1発明を推考できるかどうかを検討する際に,併せ
て検討すべき問題であって,構成要件1Hと引用発明1−1の構成区分
hとは一致点であるとして扱って差し支えない。
)相違点Pについてb
原告は,引用例1−3では,昇降路の上方に設置された巻上機には下
向きの力が働き,巻上機と巻上機支持台との間には圧縮力が働くだけで
あり,一方,本件第1発明では,巻上機には上向きの力が作用し,巻上
機と巻上機支持台との間には引っ張り力が働くことを指摘する。
しかし,本件で問題となるのは,本件第1発明と引用発明1−1との
間における特定の技術的相違である。引用発明1−1においても,巻上
機13は,本件第1発明と同じく昇降路の下部に位置している。その結
果,引用発明1−1の巻上機13にも「上向きの力」が作用し,巻上機
「」。13とこれを設置している昇降路底部との間には引っ張り力が働く
この巻上機13の昇降路底部への設置に当たり,当該巻上機とその設
置床面である昇降路底部との間に,周知かつ公用の「防振ゴムとマシン
ベットから成る構成体(引用例1−3の図2−43)を介在させては」
ならない技術的理由は何も存在しない。したがって,上記「防振ゴムと
マシンベットから成る構成体」を引用発明1−1における巻上機13と
その設置床面である昇降路底部との間に介在する程度のことは,当業者
が適宜採用し得る単なる設計事項であって,そこにはいかなる阻害要因
も存在しない。そして,そのような設計をした結果として,巻上機13
と「防振ゴムとマシンベットから成る構成体」の間には必然的に引っ張
,「」り力が働くから巻上機と巻上機支持台との間には引っ張り力が働く
という点も阻害要因ということはできない。
)相違点Qについてc
①原告は,引用発明1−1では,つり車14及び15にかかる荷重は
レールを介して建物壁面に伝えられるので,レールを支持する支持梁
を設ける必要性は全くなく,したがって,相違点Qを容易に想到する
ことはできないと主張する。
しかし,引用発明1−1のつり車14及び15にかかる「下向きの
荷重」は,レールを介して建物壁面に伝えられると仮定しても,レー
ルを支持する支持梁を設ける必要性がないとはいえない。すなわち,
引用発明1−1においても,引用発明1−2における従来例と同様の
「閉じた構造体」が構成されているから「上向きの力」と「下向き,
の力」は,原告の主張が正しいと仮定すれば,昇降路周壁の内部でつ
り合い状態になっている。したがって,この「閉じた構造体」が全体
,,として十分な強度を有する場合は問題ないものの経年変化等により
「閉じた構造体」の中で力が作用している部分に強度の不足した箇所
が生じた場合には,当該部分がそこに作用する力によって破断され,
構造体としての一体的連続性が失われる。よって,強固なアンカーボ
ルトを不要とするために,引用発明1−2のように「支持部材(本,」
件第1発明の「レール支持梁」に相当する)を用いる必要性が存在。
することは否定できない。
②引用発明1−1のつり車14及び15にかかる「下向きの力」は,
レールの下端が昇降路の底部で支持されていることから,その大部分
は下向きにレールに伝達されて昇降路の底部で支持され,レールから
。,横方向に建物壁面へ伝えられる割合は極くわずかであるしたがって
引用発明1−1と構成要件1Hとの実質的意味合いでの相違は,存在
しないというべきである。
仮に「下向きの力」がレールを介して建物壁面へ伝えられるとして
も,上記のとおり,強固なアンカーボルトを不要とするために,引用
発明1−1に,周知考案において示された技術思想を適用して相違点
Qが解消した後においては,周知考案における,レールを立設部材と
するタイプの「閉じた構造体」が構成され,それまで構成されていた
「閉じた構造体」は消滅するので,原告主張の実質的相違点は解消さ
れる。したがって,原告主張の実質的相違点があるとしても,引用発
明1−1に周知考案に示された技術思想を適用することの阻害要因と
なるものではない。
3争点3−1(本件第2特許が特許法29条2項に違反しているか)について
()被告の主張1
本件第2発明は,本件第2特許の出願日の前に公開されたドイツ特許出願
の出願公開明細書(DE19752232A1(乙13。以下「引用例2)
−2」という)に記載された発明(以下「引用発明2−2」という,特。。)
開平9−165172号公報(乙14。以下「引用例2−3」という)に。
記載された発明(以下「引用発明2−3」という)に基づいて,当業者が。
容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定に
より,特許を受けることができないものである。
ア引用発明2−2(乙13)について
1999年(平成11年)5月27日にドイツで頒布された,ロープ式
エレベータについてのドイツ特許出願の出願公開明細書(引用例2−2)
には,次の技術構成が開示されている(別紙参考図2参照。なお〔〕),
内の文言は,本件第2発明における対応部材の名称である。
2aエレベータ昇降路3内を昇降し,乗降口1aを有するとともに案内
,〔〕〔〕,車5a5a吊り車が設けられたエレベータケージ1かごと
2b前記エレベータケージ1〔かご〕と反対方向に前記エレベータ昇降
路3内を昇降し,該エレベータ昇降路3の平断面において前記乗降口
1aに対して前記エレベータケージ1〔かご〕の側方に配置され,吊
り車24が設けられたカウンターウェイト6と,
2c前記エレベータケージ1〔かご〕の水平方向の移動を規制するエレ
ベータケージ〔かご〕用ガイドレール2と,
2d前記カウンターウェイト6の水平方向の移動を規制するカウンター
ウェイト用ガイドレール7と,
〔〕〔〕2e前記エレベータケージ1かごを前記エレベータケージ1かご
の案内車5a,5a〔吊り車〕を介して懸架するとともに前記カウン
ターウェイト6を前記カウンターウェイト6の吊り車24を介して懸
架する牽引ロープ4と,
2f前記エレベータ昇降路3内に配置され,当該牽引ロープ4が巻き掛
けられた原動車13〔綱車〕及び該原動車13〔綱車〕を駆動する電
動機〔モータ部〕を有し,前記原動車13〔綱車〕を回転させること
で前記ロープ4を介して前記エレベータケージ1〔かご〕および前記
カウンターウェイト6を昇降させる駆動装置11〔巻上機〕と,
,〔〕2g前記エレベータ昇降路3内に配置され前記駆動装置11巻上機
〔〕〔〕,の原動車13綱車からエレベータケージ1かごの案内車5a
5a〔吊り車〕に至る前記牽引ロープ4が巻き掛けられて該牽引ロー
プ4の方向を転換する案内車〔第1の返し車〕とを有するロープ式エ
レベータ装置において,
2h前記駆動装置11〔巻上機〕は,
α原動車13〔綱車〕の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対
して垂直な方向の外形寸法よりも小さく,
β前記エレベータ昇降路3の平断面において前記カウンターウェ
イト6及び前記エレベータケージ1〔かご〕とは離れて前記カウ
ンターウェイト6が配置された前記エレベータケージ1〔かご〕
の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aに傾斜し,かつ
前記カウンターウェイト6と前記エレベータ昇降路3の壁面3a
に沿って並んで配置され,
γ前記エレベータ昇降路3の最下階停止時のエレベータケージ1
〔かご〕床面より上方でかつ最上階停止時のエレベータケージ1
〔かご〕天井より下方に位置し,
2i前記案内車〔第1の返し車〕は,前記駆動装置11〔巻上機〕より
上方に位置し,前記平断面において,前記駆動装置11〔巻上機〕の
少なくとも一部と重なるよう配置され,前記案内車〔第1の返し車〕
の回転面は,前記エレベータ昇降路3の平断面において前記牽引ロー
〔〕,〔〕プ4が前記エレベータケージ1かごの案内車5a5a吊り車
へ至る側が前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕から巻
き掛けられる側より前記乗降口1aから遠ざかる方向に位置して近接
する前記エレベータ昇降路3の壁面に対して傾斜していること
2jを特徴とするエレベータ装置。
イ本件第2発明と引用発明2−2との構成の対比
本件第2発明の各構成要件と引用発明2−2の上記各構成区分とを対比
すると,本件第2発明の構成要件2AないしG,Hのα及びγ,I並びに
Jは,それぞれ引用発明2−2の構成区分2aないしg,hのα及びγ,
i並びにjと同一である。
本件第2発明と引用発明2−2とは,本件第2発明の巻上機が「前記昇
降路の平断面において前記カウンターウェイト及び前記かごとは離れて前
記カウンターウェイトが配置された前記かごの側方に位置する前記昇降路
の壁面に平行にかつ前記カウンターウェイトと前記昇降路の壁面に沿って
並んで配置され(構成要件2Hのβ)ているのに対し,引用発明2−,」
2の巻上機は「前記エレベータ昇降路3の平断面において前記カウンタ,
ーウェイト6及び前記エレベータケージ1〔かご〕とは離れて前記カウン
ターウェイト6が配置された前記エレベータケージ1〔かご〕の側方に位
置するエレベータ昇降路3の壁面3aに傾斜し,かつ前記カウンターウェ
イト6と前記エレベータ昇降路3の壁面3aに沿って並んで配置され」,
,(,「」。)。ている点において相違する以下この相違点を相違点Rという
ウ相違点Rの検討
)本件特許の出願日より前である平成9年6月24日に国内頒布されa
た,トラクションシーブエレベータの発明に関する特許出願の出願公開
公報(引用例2−3。乙14)の図2には,エレベータの巻上機械装置
,(「」。)6がエレベータシャフト15本件第2発明の昇降路に相当する
の平断面において,カウンタウェイト2が配置されたエレベータカー1
(本件第2発明の「かご」に相当する)の側方に位置するエレベータ。
シャフト15の壁面に平行に設置された配置が開示されている。
)したがって,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の壁面に対しb
て傾斜して配置されている配置の向きを,各現場の状況に応じ,引用発
明2−3の態様を採用して,カウンターウェイト6が配置されたエレベ
ータケージ1〔かご〕の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3a
と平行になるように変更するとともに,必要に応じ,カウンターウェイ
ト6とその吊り車24及び返し車23を当該壁面3aに接近する如く平
行移動させた配置とする程度のことは,当業者が適宜選択できる単なる
設計上の変更事項にすぎない。したがって,このような設計上の変更を
行うことは,当業者であれば特段の困難を伴うこともなく容易に推考で
きたことというべきである。
そして,このように,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配
置の向きをカウンターウェイト6が配置されたエレベータケージ1か,〔
ご〕の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aと平行になるよう
に変更することにより,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配
置の向きについての構成区分2hのβは,本件第2発明の構成要件2H
のβと同一のものに変わるものである。
c)相違点Rは,特開平11−130365号公報(乙20。以下「引用
例2−1」という)に記載された発明(以下「引用発明2−1」とい。
う)からも解消することができる。。
すなわち,引用例2−1の図8及び図4には,トラクションマシン1
〔巻上機〕が,昇降路25〔昇降路〕の平断面において,カウンターウ
ェイト31〔カウンターウェイト〕が配置された乗かご28〔かご〕の
側方に位置する昇降路25〔昇降路〕の壁面25aと平行であることが
開示されており,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配置の向
きを,カウンターウェイト6が配置されたエレベータケージ1〔かご〕
の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aと平行になるように変
更することにより,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配置の
向きについての構成区分2hのβは,本件第2発明の構成要件2Hのβ
と同一のものに変わるものである。
エ結論
このように,本件第2発明は,引用発明2−2に,引用例2−3の図2
に示す巻上機の配置の向きを適用することにより得られるものであり,引
用発明2−2そのものが既に奏していた本件第2発明と同一の効果が上記
配置の向きを変更することによって奏し得られなくなるわけでもないか
,,。ら上記の巻上機の配置の向きを適用することに阻害要因は存在しない
したがって,本件第2発明は,当業者が容易に推考できたものであり,
原告は,被告に対し,本件第2特許権に基づく権利を行使することはでき
ない(特許法104条の3。)
()原告の主張2
ア相違点Rについて
引用発明2−2のエレベータにおいては,駆動装置を斜めにすることに
よって駆動装置を支持しているコンクリート支持台9の上に作業スペース
を作り出している。駆動装置を昇降路壁と平行に配置したのでは,コンク
リート支持台の上の作業スペースがなくなってしまうし,駆動装置を昇降
路壁と平行にしたまま昇降路の内側に移動することは,乗降口のドアと干
渉してしまうので不可能である。要するに,引用発明2−2のエレベータ
,「」は機械室のない薄型構造の駆動装置による公知のロープ式エレベータ
とは異なるタイプのエレベータであり,たまたま案内車5が斜めに設置さ
れているという点で共通するからといって,引用発明2−2の駆動装置を
昇降路壁と平行に配置することが容易であるとはいえない。
イ被告主張の相違点Rのほかに,相違点が存することについて
)本件第2発明と引用発明2−2を対比すると,相違点Rのほかに,本a
件第2発明では,第1の返し車が昇降路の平断面において巻上機の少な
くとも一部と重なるように配置されている(構成要件2Iの前段)のに
対し,引用発明2−2では,第1の返し車と巻上機とは重なっていない
との相違点がある(以下,この相違点を「相違点S」という。。)
確かに引用例2−2の図面上は,原動車13の一部と案内車5の一部
とが重なっている。しかし,エレベータにおいてロープの掛けられ方を
,。,示す場合にはロープの太さを考えないことが普通であるそうすると
引用例2−2においては,原動車13と案内車5とは,平断面に投影し
ても,一点で接触しているにすぎず,重なっているとは見なされない。
これに対し,本件第2発明では,本件第2明細書の図7から明らかな
とおり,平断面図において,返し車5aが巻上機4のモーター4bを斜
めに横切っている。すなわち,本件第2発明における「少なくとも一部
と重なる」とは,ロープの太さを無視しても重なっていることを意味し
ているものである。また,構成要件2Iの前段は,返し車と綱車の溝の
深さがロープの半径よりも若干大きいことから生じる必然的な重なり合
いを含まないものであるから「巻上機の前記モータ部の少なくとも一,
部と重なる」と解すべきであって,相違点Sの存在は明らかである。
)引用発明2−2のエレベータは,コンクリート支持台9の上に駆動装b
置を設置して,コンクリート支持台上に作業スペースを設けている。こ
の作業スペースに昇降路の外側から出入りするために通用扉18が設け
られている。このような構成になっているのは,駆動装置のモータが昇
降路の外側を向き,原動車が昇降路の内側を向いているからである。こ
のような配置を前提とする限り,昇降路の平断面において駆動装置と案
内車とが重なる配置にはなり得ない。
これに対して,本件第2発明の実施例(本件第2明細書の図7)を見
れば明らかなとおり,巻上機の綱車を昇降路壁に向けることにより,平
断面において第1の返し車と巻上機とを少なくとも一部重ねることによ
ってスペースの節約が可能になる。また,モータが昇降路壁内側に向い
ていることから,昇降路の外側からの通用扉を設けることなく,昇降路
内で巻上機のメンテナンスが可能となる。
以上のとおり,本件第2発明における「第1の返し車は,前記巻上,
機より上方に位置し,前記平断面において前記巻上機の少なくとも一部
」(),と重なるように配置されているという要件構成要件2Iの前段は
間接的に,巻上機の綱車が昇降路壁側を向いていることを規定している
のである。
そこで,引用発明2−2において,巻上機の向きを逆さにするという
発想が容易であったかを考えてみると,これは容易ではあり得ない。引
用発明2−2は,昇降路内に組み込んだ機械室に昇降路の外側から出入
することを容易にする発明である。したがって,駆動装置の原動車を昇
降路の外側に向けるという発想を生ずる余地はないし,まして,その結
果として,案内車と駆動装置が平断面において重なって昇降路内のかご
と壁面との間のスペースを節約できるという発想などどこからも出てこ
ない。
)以上のとおりであるから,引用発明2−2において「第1の返し車c,
は,前記巻上機より上方に位置し,前記平断面において前記巻上機の少
なくとも一部と重なるように配置され」ているという要件(構成要件2
Iの前段)を採用する動機は全くなく,本件第2発明は引用発明2−2
から当業者が容易に発明できたものではない。
()原告の主張に対する被告の反論3
ア相違点Sが存在しないことについて
,。引用例2−2の図面はロープの太さを無視して描いた平断面図である
にもかかわらず,案内車5は,その面積の1/5程を占める先端部分が,
駆動装置11の輪郭内に重なって描かれている。したがって,引用発明2
−2が「第1の返し車が,平断面において巻上機の少なくとも一部と重,
なるよう配置され」ている構成を有することは明らかである。
イ相違点Rの容易想到性について
)原告は「引用発明2−2のエレベータにおいては,駆動装置を斜めa,
にすることによって駆動装置を支持しているコンクリート支持台9の上
に作業スペースを作り出している」と主張する。。
しかし,かかる主張は,引用発明2−2の明細書の記載に基づかない
ものであって,単に一実施例を示す図面において,斜めに配置した駆動
装置が示されているにすぎない。一方,巻上機(駆動装置)を,カウン
ターウェイト6が配置されたエレベータケージ1の側方に位置するエレ
ベータ昇降路3の壁面3a(以下「特定壁面」ということもある)に。
平行に配置することは,周知慣用の技術事項である。そして,昇降路の
平断面サイズとコンクリート支持台の寸法によっては,駆動装置を特定
壁面3aに平行に配置しても,十分に作業スペースを確保できるのであ
るから,阻害要因であるということはできない。
)作業スペースが駆動装置から見て通用扉18側のスペースをいうのでb
あれば,駆動装置を特定壁面と平行に配置することによって作業スペー
スが狭くなる。しかし,通用扉18は駆動装置11側から手前側へ向け
て開けることができるのであるから,通用扉18を外側へ開けたままの
状態で作業すれば,十分な「作業スペース」を確保できる。
駆動装置11を特定壁面3aと平行にしたままコンクリート支持台9
のどこに配置するかは,当業者が必要に応じて適宜決定し得る設計事項
であるから,乗降口のドアと干渉しないようにして,作業スペースを確
保することが可能である。
4争点3−2(本件第2特許が特許法29条2項に違反しているとして,訂正
審判により同項違反が解消されるか)について
()被告の主張1
本件訂正第2発明においても,進歩性欠如の無効理由は解消されないので
,。あるから原告が本件第2特許権に基づいて権利行使することは許されない
ア引用例2−2を主引例とする無効理由について
本件訂正第2発明は,本件第2特許の出願日の前に公開された引用例2
−2に記載された発明(引用発明2−2,引用例2−1に記載された発)
明(引用発明2−1,特開平11−301950号公報(乙29。以下)
「引用例2−4」という)に記載された発明(以下「引用発明2−4」。
という)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであ。
るから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないも
のである。
)引用発明2−2(乙13)についてa
引用例2−2(乙13)には,次の技術構成が開示されている(別紙
参考図2参照。なお〔〕内の文言は,本件訂正第2発明における対),
応部材の名称である。
2aエレベータ昇降路3内を昇降し,乗降口1aを有するとともに案
,〔〕〔〕内車5a5a吊り車が設けられたエレベータケージ1かご
と,
2b前記エレベータケージ1〔かご〕と反対方向に前記エレベータ昇
降路3内を昇降し,該エレベータ昇降路3の平断面において前記乗
降口1aに対して前記エレベータケージ1〔かご〕の側方に配置さ
れ,吊り車24が設けられたカウンターウェイト6と,
2c前記エレベータケージ1〔かご〕の水平方向の移動を規制するエ
レベータケージ〔かご〕用ガイドレール2と,
2d前記カウンターウェイト6の水平方向の移動を規制するカウンタ
ーウェイト用ガイドレール7と,
2e前記エレベータケージ1〔かご〕を前記エレベータケージ1〔か
ご〕の案内車5a,5a〔吊り車〕を介して懸架するとともに前記
カウンターウェイト6を前記カウンターウェイト6の吊り車24を
介して懸架する牽引ロープ4と,
2f前記エレベータ昇降路3内に配置され,当該牽引ロープ4が巻き
掛けられた原動車13〔綱車〕及び該原動車13〔綱車〕を駆動す
る電動機〔モータ部〕を有し,前記原動車13〔綱車〕を回転させ
ることで前記ロープ4を介して前記エレベータケージ1〔かご〕お
〔〕よび前記カウンターウェイト6を昇降させる駆動装置11巻上機
と,
2g前記エレベータ昇降路3内に配置され,前記駆動装置11〔巻上
機〕の原動車13〔綱車〕からエレベータケージ1〔かご〕の案内
車5a,5a〔吊り車〕に至る前記牽引ロープ4が巻き掛けられて
該牽引ロープ4の方向を転換する案内車5〔第1の返し車〕と,前
記エレベータ昇降路3内に配置され,前記駆動装置11〔巻上機〕
の原動車13〔綱車〕から前記カウンターウェイト6の吊り車24
に至る牽引ロープ4が巻き掛けられて牽引ロープ4の方向を転換す
る返し車23〔第2の返し車〕とを有するロープ式エレベータ装置
において,
2h前記駆動装置11〔巻上機〕は,
α原動車13〔綱車〕の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に
対して垂直な方向の外形寸法よりも小さく,
β前記エレベータ昇降路3の平断面において前記カウンターウ
ェイト6及び前記エレベータケージ1〔かご〕とは離れて前記
カウンターウェイト6が配置された前記エレベータケージ1
〔かご〕の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aに傾
斜し,かつ前記カウンターウェイト6と前記エレベータ昇降路
3の壁面3aに沿って並んで配置され
δるとともに前記電動機25〔モータ部〕が前記エレベータケ
ージ1〔かご〕の側方に位置する前記エレベータ昇降路3の壁
面3aに対向し,前記原動車13〔綱車〕が前記エレベータケ
ージ1〔かご〕側に対向して,
γ前記駆動装置11〔巻上機〕の下端は最下層階の階層フロア
の延長部であるコンクリート支持台9上に設けられ,前記エレ
ベータ昇降路3の最下階停止時のエレベータケージ1〔かご〕
〔〕床面より上方でかつ最上階停止時のエレベータケージ1かご
天井より下方に位置し,
2i前記案内車〔第1の返し車〕は,
ε前記駆動装置11〔巻上機〕より上方に位置し,
ζ前記平断面において,前記エレベータケージ1〔かご〕の案
内車5a〔吊り車〕に至る前記ロープ4が前記エレベータケー
ジ1〔かご〕と前記駆動装置11〔巻上機〕との間を通るよう
に,前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕から前
記エレベータケージ1〔かご〕と前記駆動装置11〔巻上機〕
との間へ向けて前記駆動装置11〔巻上機〕の一部と重なるよ
う配置され,
η前記案内車5〔第1の返し車〕の回転面は,前記エレベータ
昇降路3の平断面において前記牽引ロープ4が前記エレベータ
ケージ1〔かご〕の案内車5a,5a〔吊り車〕へ至る側が前
記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕から巻き掛け
られる側より前記乗降口1aから遠ざかる方向に位置して近接
する前記エレベータ昇降路3の壁面3aに対して傾斜し,
2k前記返し車23〔第2の返し車〕の回転面は,前記エレベータ昇
降路3の平断面において,近接する前記エレベータ昇降路3の壁面
3aに対して,前記牽引ロープ4が前記カウンターウェイト6の吊
り車24へ至る側と前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱
車〕から巻き掛けられる側とは同じ距離にあり,
2l前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕は,前記カウ
ンターウェイト6の吊り車24よりも,近接する前記エレベータ昇
降路3の壁面側に位置していること
2jを特徴とするエレベータ装置。
)本件訂正第2発明と引用発明2−2との構成の対比b
本件訂正第2発明の各構成要件と引用発明2−2の上記各構成区分と
を対比すると,本件訂正第2発明の構成要件2A′ないしG′,H′の
α及びγ,I′のε及びη,L′並びにJ′は,それぞれ引用発明2−
2の構成区分2aないしg,hのα及びγ,iのε及びη,l並びにj
と同一である。また,本件訂正第2発明の効果として追加された「点検
時の予期せぬかごの上昇に対する防護手段の必要を無からしめる」は,
引用発明2−2の効果と全く同一である。
本件訂正第2発明と引用発明2−2とは,以下の点で相違する。
①本件訂正第2発明の構成要件2H′のδと,公知技術2の構成区分
2hのδとを対比すると,前者の巻上機は「前記綱車(4a)が前,
記かご(1)の側方に位置する前記昇降路(8)の壁面に対向し,前
記モータ部(4b)が前記かご側に対向して」いるのに対し,後者,
の駆動装置11〔巻上機〕は「前記電動機25〔モータ部〕が前記,
エレベータケージ1〔かご〕の側方に位置する前記エレベータ昇降路
3の壁面3aに対向し,前記原動車13〔綱車〕が前記エレベータケ
ージ1〔かご〕側に対向して」いる点で相違する(以下,この相違,
点を「相違点X」という。。)
②本件訂正第2発明の構成要件2I′のζと,公知技術2の構成区分
2iのζとを対比すると,本件訂正第2発明の構成要件2I′のζの
「()()前段部分である前記平断面において前記かご1の吊り車11
に至る前記ロープ(3)が前記かご(1)と前記巻上機(4)との間
を通るように」することと,引用発明2−2の構成区分2iのζの,
前段部分である「前記平断面において,前記エレベータケージ1〔か
ご〕の案内車5a〔吊り車〕に至る前記ロープ4が前記エレベータケ
〔〕〔〕,」ージ1かごと前記駆動装置11巻上機との間を通るように
することとは,両者は同一の技術事項を指しており,一致する。
また本件訂正第2発明の構成要件2I′のζの中段部分である前,「
記巻上機(4)の少なくとも一部と綱車(4a)から前記かご(1)
と前記巻上機(4)との間へ向けて」と,引用発明2−2の構成区分
2iのζの中段部分である「前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車1
3〔綱車〕から前記エレベータケージ1〔かご〕と前記駆動装置11
〔巻上機〕との間へ向けて」とを対比すると,両者は同一の技術事項
を指しており,一致する。
しかし本件訂正第2発明の構成要件2I′のζの後段部分では前,「
記モータ部(4b)を横切って前記モータ部(4b)と重なるよう配
置され」るのに対し,引用発明2−2の構成区分2iのζ′の後段部
分では「前記駆動装置11〔巻上機〕の一部と重なるよう配置され」
るようになっている。
したがって,本件訂正第2発明と引用発明2−2とは,前記平断面
において,前者の第1の返し車(5a)は「前記モータ部(4b),
を横切って前記モータ部(4b)と重なる」のに対して,後者の案内
車〔第1の返し車〕は「前記駆動装置11〔巻上機〕の一部と重な,
る」点で相違する(以下,この相違点を「相違点Y」という。。)
③本件訂正第2発明の構成要件2K′と,引用発明2−2の構成区分
2kとを対比すると,前者の第2の返し車(5b)の回転面は,前記
昇降路(8)の平断面において,近接する前記昇降路(8)の壁面に
対して「前記ロープ(3)が前記カウンターウェイト(2)の吊り,
車(12)へ至る側が前記巻上機(4)の綱車(4a)から巻き掛け
()」,られる側より前記かご1に近づく方向に傾斜しているのに対し
後者の返し車23〔第2の返し車〕の回転面は,前記エレベータ昇降
路3の平断面において,近接する前記エレベータ昇降路3の壁面3a
に対して「前記牽引ロープ4が前記カウンターウェイト6の吊り車,
24へ至る側と前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕か
」(,ら巻き掛けられる側とは同じ距離にあるという点で相違する以下
この相違点を「相違点Z」という。。)
c)引用発明2−1(乙20)について
引用例2−1(乙20)には,次の技術構成が開示されている(別紙
参考図1参照。なお〔〕内の文言は,本件訂正第2発明における対),
応部材の名称である。
2a昇降路25内を昇降し,乗降口28aを有するとともに下部プー
リ29A,29B〔吊り車〕が設けられた乗かご28〔かご〕と,
〔〕,2b前記乗かご28かごと反対方向に前記昇降路25内を昇降し
該昇降路25の平断面において前記乗降口28aに対して前記乗か
ご28〔かご〕の側方に配置され,プーリ32〔吊り車〕が設けら
れたカウンターウェイト31と,
2c前記乗かご28〔かご〕の水平方向の移動を規制するかごガイド
レール33A,33B〔かご用ガイドレール〕と,
2d前記カウンターウェイト31の水平方向の移動を規制するカウン
ターウェイトレール34A,34B〔カウンターウェイト用ガイド
レール〕と,
2e前記乗かご28〔かご〕を前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ
29A,29B〔吊り車〕を介して懸架するとともに前記カウンタ
ーウェイト31を前記カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り
車〕を介して懸架するロープ26と,
2f前記昇降路25内に配置され,当該ロープ26が巻き掛けられた
シーブ5〔綱車〕及び該シーブ5〔綱車〕を駆動する同期モータ7
〔モータ部〕を有し,前記シーブ5〔綱車〕を回転させることで前
記ロープ26を介して前記乗かご28〔かご〕および前記カウンタ
ーウェイト31を昇降させるトラクションマシン1〔巻上機〕と,
2g前記昇降路25内に配置され,前記トラクションマシン1〔巻上
機〕のシーブ5〔綱車〕から前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ
29A,29B〔吊り車〕に至る前記ロープ26が巻き掛けられて
該ロープ26の方向を転換する頂部プーリ27A〔第1の返し車〕
と,前記昇降路25内に配置され,前記トラクションマシン1〔巻
上機〕のシーブ5〔綱車〕から前記カウンターウェイト31のプー
リ32〔吊り車〕に至る前記ロープ26が巻き掛けられて該ロープ
26の方向を転換する頂部プーリ27B〔第2の返し車〕とを有す
るロープ式エレベータ装置において,
2h前記トラクションマシン1〔巻上機〕は,
α前記シーブ5〔綱車〕の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸
に対して垂直な方向の外形寸法よりも小さく,
β昇降路25の平断面において前記カウンターウェイト31及
び前記乗かご28〔かご〕とは離れて前記カウンターウェイト
31が配置された前記乗かご28〔かご〕の側方に位置する前
記昇降路25の壁面25aに平行にかつ前記カウンターウェイ
ト31と前記昇降路25の壁面25aに沿って並んで配置さ
れ,
δるとともに前記シーブ5〔綱車〕が前記乗かご28〔かご〕
の側方に位置する前記昇降路25の壁面25aに対向し,前記
同期モータ7〔モータ部〕が前記乗かご28〔かご〕側に対向
して,
γ昇降路25のピットに固定され,
2i前記頂部プーリ27A〔第1の返し車〕は,
ε前記トラクションマシン1〔巻上機〕より上方に位置し,
ζ前記平断面において,前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ
29A吊り車に至る前記ロープ26が前記乗かご28か〔〕,〔
ご〕と前記トラクションマシン1〔巻上機〕との間から外れた
部分を通るように,前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシ
ーブ5〔綱車〕から上記外れた部分へ向けて前記同期モータ7
〔モータ部〕を横切って前記同期モータ7〔モータ部〕と重な
るよう配置され,
η前記頂部プーリ27A〔第1の返し車〕の回転面は,前記昇
降路25の平断面において,前記ロープ26が前記トラクショ
ンマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕から巻き掛けられる
側が前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ29A〔吊り車〕へ
至る側より前記乗降口から遠ざかる方向に位置して近接する前
記昇降路25の壁面25aに対して傾斜し,
2k前記頂部プーリ27B〔第2の返し車〕の回転面は,前記昇降路
25の平断面において,近接する前記昇降路25の壁面に対して,
前記ロープ26が前記カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り
車へ至る側と前記トラクションマシン1巻上機のシーブ5綱〕〔〕〔
車〕から巻き掛けられる側とは同じ距離にあり,
2l前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕は,前
記カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り車〕と,近接する前
記昇降路25の壁面に対して同じ距離に位置していること
2jを特徴とするエレベータ装置。
)相違点Xについてd
①引用発明2−1(乙20)には,トラクションマシン1〔巻上機〕
のシーブ5〔綱車〕及び同期モータ7〔モータ部〕の配置の向きにつ
いて,次の二通りの態様が開示されている。第1の態様は,引用例2
−1の図8及び図4に開示されているとおり,シーブ5〔綱車〕が乗
かご28〔かご〕の側方に位置する壁面25aに対向し,同期モータ
7〔モータ部〕が乗かご28〔かご〕側に対向するように配置する態
様である。また,第2の態様は,引用例2−1の図5に開示されてい
るとおり,同期モータ7〔モータ部〕が乗かご28〔かご〕の側方に
,〔〕〔〕位置する壁面25aに対向しシーブ5綱車が乗かご28かご
側に対向するように配置する態様,及び,引用例2−1の図7に開示
されているとおり,同期モータ7〔モータ部〕が乗かご28〔かご〕
の奥側に位置する昇降路壁面に対向し,シーブ5〔綱車〕が乗かご2
8〔かご〕側に対向するように配置する態様である。
②したがって,各現場の状況に応じて,引用発明2−2の駆動装置1
1〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕及び電動機25〔モータ部〕の配
置の向きについて,引用例2−1の図4及び図8に示された態様を採
用して,(i)駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕と電動機
25〔モータ部〕との位置関係を反転させ,かつ,特定壁面3aに平
行にすると共に,案内車5及び返し車23の大きさを変更することな
く駆動装置11及びカウンターウェイト6の位置を調整した態様や,
(ii)駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕と電動機25〔モ
ータ部〕との位置関係を反転させ,かつ,特定壁面3aに平行にする
と共に,案内車5の大きさを返し車23と同じにして駆動装置11及
びカウンターウェイト6の位置を調整した態様に示すように,原動車
13〔綱車〕がエレベータケージ1〔かご〕の側方に位置するエレベ
〔〕,〔〕ータ昇降路3昇降路の壁面3aに対向し電動機25モータ部
がエレベータケージ1〔かご〕側に対向するように変更することは,
適宜選択できる単なる設計上の変更事項である。
このように,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配置の向
きを,原動車13〔綱車〕がエレベータケージ1〔かご〕の側方に位
置するエレベータ昇降路3〔昇降路〕の壁面3aに対向し,電動機2
5〔モータ部〕がエレベータケージ1〔かご〕側に対向するように変
更することにより,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配置
の向きについての相違点Xが解消されることは明らかである。
e)相違点Yについて
①引用発明2−1のエレベータ装置においては頂部プーリ27A第,〔
1の返し車〕が同期モータ7〔モータ部〕を内在した部分を「横切っ
て」いること,かつ「重なる」ことが明らかである(引用例2−1,
の図8参照。そうすると,引用発明2−1には,相違点Yのうちの)
本件訂正第2発明の第1の返し車(5a)が「前記モータ部(4b)
を横切って前記モータ部(4b)と重なる(構成要件2I′のζの」
後段部分)に相当する構成,すなわち,頂部プーリ27A〔第1の返
し車〕が「前記同期モータ7〔モータ部〕を横切って前記同期モータ
7〔モータ部〕と重なるように配置され(構成区分2Iのζの後段」
部分)る構成が示されているものといえる。
②ところで,相違点Xの解消のために,引用発明2−2の駆動装置1
1〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕及び電動機25〔モータ部〕の配
置の向きについて,引用例2−1の図4及び図8に示された態様を採
用して,案内車5〔第1の返し車〕及び返し車23〔第2の返し車〕
の位置関係を適宜調整して配置するときには必然的に案内車5第,,〔
1の返し車〕が電動機25〔モータ部〕を横切って電動機25〔モー
タ部〕と重なるように配置された構成となる。
このように,相違点Xの解消のために,引用発明2−2の駆動装置
11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕及び電動機25〔モータ部〕の
位置関係を反転させれば,必然的に案内車5〔第1の返し車〕が電動
機25〔モータ部〕を横切って電動機25〔モータ部〕と重なるよう
に配置された構成となるだけでなく,引用発明2−1には相違点Yに
相当する構成が示されていることに鑑みれば,引用発明2−2の案内
〔〕〔〕,車5第1の返し車と電動機25モータ部の位置関係について
引用例2−1に記載の同期モータ7〔モータ部〕とシーブ5〔綱車〕
の位置関係と共に,エレベータ装置の頂部プーリ27A〔第1の返し
〕〔〕〔〕車が同期モータ7モータ部を横切って同期モータ7モータ部
と重なるように配置されている態様を採用して,案内車5〔第1の返
し車〕が電動機25〔モータ部〕を横切って電動機25〔モータ部〕
と重なるように配置を変更することも,当業者において当然になし得
る設計事項の程度の調整である。
したがって,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配置の向
きを,原動車13〔綱車〕がエレベータケージ1〔かご〕の側方に位
置するエレベータ昇降路3〔昇降路〕の壁面3aに対向し,電動機2
5〔モータ部〕がエレベータケージ1〔かご〕側に対向させるように
変更することにより,必然的に,引用発明2−2の構成区分2iのζ
は,本件訂正第2発明の構成要件2I′のζと同一に変わるものであ
り,相違点Yが解消されることは明らかである。
③さらに,相違点Yは,周知慣用な技術事項からも解消されるもので
ある。
(i)引用例2−1の図8にあっては,乗かご28〔かご〕に設けた
下部プーリ29A〔吊り車〕の取付位置を,昇降路25の平断面に
おいて下部プーリ29A吊り車を吊るロープが乗かご28か,〔〕〔
ご〕の外側で乗降口28aが設けられている手前側を通過するよう
にしてある。
しかし,乗かご〔かご〕に下部プーリ〔吊り車〕を設けたエレベ
ータ(一般に「せり上げ式エレベータ」と称されている)におい。
て,乗かご〔かご〕に対する下部プーリ〔吊り車〕の取付位置は,
引用例2−1の図8の態様に限定されるものではなく,寸法A(乗
かご28〔かご〕の乗降口28a側からかごガイドレール33A,
B〔かご用ガイドレール〕の中心線Cまでの距離)と寸法B(乗か
ご28〔かご〕の乗降口28a側から下部プーリ29A〔吊り車〕
を吊るロープの中心位置までの距離)との比(B/A)が0.35
∼0.62の範囲内の数値になるような下部プーリ〔吊り車〕の取
付位置にすることは,第1の返し車の回転面の傾斜方向とは何ら関
係のない周知慣用な技術事項にすぎない(乙26ないし32。)
(ii)乙26ないし32に開示されている下部プーリ〔吊り車〕の取
付位置に関する周知慣用な技術事項に基づいて,下部プーリ29A
〔吊り車〕の配置を変更する際には,下部プーリ29A〔吊り車〕
から頂部プーリ27A〔第1の返し車〕に至るロープの中心位置が
垂直となるように,頂部プーリ27A〔第1の返し車〕の配置も変
更され,頂部プーリ27Aの回転面が,昇降路25〔昇降路〕の平
断面においてロープが乗かご28〔かご〕の下部プーリ29A〔吊
り車〕へ至る側がトラクションマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱
車〕から巻き掛けられる側より乗降口28aから遠ざかる方向に位
置して近接する昇降路25〔昇降路〕の壁面25aに対して傾斜す
るように必然的に変更されることになり,その結果,頂部プーリ2
〔〕,〔〕,7A第1の返し車が昇降路25昇降路の平断面において
シーブ5〔綱車〕から乗かご28〔かご〕とトラクションマシン1
〔巻上機〕との間へ向けて同期モータ7〔モータ部〕を横切って同
期モータ7〔モータ部〕と重なる位置も必然的に設計変更されるこ
とになる。
したがって,各現場の状況に応じて,引用例2−2の駆動装置1
1〔巻上機〕の配置の向きを,原動車13〔綱車〕が特定壁面3a
に対向し,電動機25〔モータ部〕がエレベータケージ1〔かご〕
側に対向するように変更させ,そして,案内車5〔第1の返し車〕
の配置について,上記周知慣用な技術事項に基づく必然的設計変更
を採用することにより,案内車5〔第1の返し車〕がエレベータ昇
降路3〔昇降路〕の平断面において,駆動装置11〔巻上機〕の原
動車13〔綱車〕からエレベータケージ1〔かご〕と駆動装置11
〔巻上機〕との間へ向けて電動機25〔モータ部〕を横切って電動
機25〔モータ部〕と重なるよう配置することは,当業者が適宜選
択できる単なる設計上の変更事項にすぎないことは明らかである。
(iii)このように,引用発明2−2の案内車5〔第1の返し車〕の
配置を,上記周知慣用な技術事項に基づく必然的設計変更を採用し
て,原動車13〔綱車〕からエレベータケージ1〔かご〕と駆動装
置11〔巻上機〕との間へ向けて電動機25〔モータ部〕を横切っ
て電動機25〔モータ部〕と重なるように変更することにより,引
用発明2−2の構成区分2iのζの後段部分は,本件訂正第2発明
の構成要件2I′のζの後段部分と同一に変わるものであり,相違
点Yが解消されることは明らかである。
f)相違点Zについて
①既に述べたとおり,相違点Xを解消するために,引用発明2−2の
構成に,引用発明2−1の構成を適用することは,当業者において容
易になし得ることであるこのとき引用発明2−2の原動車13綱。,〔
車〕の配置の向きについて,引用発明2−1の「シーブ5」のように
「昇降路の壁面」側において,同壁面に対し平行に配置すれば,返し
車23〔第2の返し車〕が傾斜した構成にならざるを得ない。
したがって,引用発明2−2の駆動装置11〔巻上機〕の配置の向
きを,原動車13〔綱車〕がエレベータケージ1〔かご〕の側方に位
置するエレベータ昇降路3〔昇降路〕の壁面3aに対して平行に対向
し,電動機25〔モータ部〕がエレベータケージ1〔かご〕側に対向
,,〔〕するように変更することにより必然的に案内車5第1の返し車
が電動機25〔モータ部〕を横切って重なるように配置され,また必
然的に,引用発明2−2の構成区分2kは,本件訂正第2発明の構成
要件2K′と同一の構成に変わるものであり,相違点Zが解消される
ことは明らかである。
②さらに,相違点Zのうちの「第2の返し車の回転面」が「昇降路の
壁面」に対し「傾斜」している構成それ自体,本件訂正第2発明の出
(。願よりも前に公開された引用例2−4特開平11−301950号
乙29)においても開示された構成である。したがって,引用発明2
−2に,引用例2−1及び同2−4を適用して相違点Zを解消するこ
とも可能である。
引用例2−4の一実施例の平面図である図2あるいは図4におい
て,本件訂正第2発明の構成要件2K′の「昇降路の壁面」に相当す
る壁面と対向する部分において「固定プーリ9」及び「つり合おも,
り10」とが配置されており,かつ「固定プーリ9」は,その回転面
が「昇降路平面の軸線XあるいはY」に対し「傾けて」配置されて,
いる。
引用発明2−4が,本件訂正第2発明のような「ロープ式」ではな
く「流体圧式」であるとしても,本件訂正第2発明の「巻上機」か,
ら先の「カウンターウェイト」を「第2の返し車」により懸架する構
,「」「」。成はロープ式か流体圧式かにより差異があるものではない
したがって「固定プーリ9」が本件訂正第2発明の構成要件2K′,
の「第2の返し車」に相当し得るといえる。
そうすると,本件訂正第2発明の構成要件2K′の「第2の返し車
の回転面」が「昇降路の壁面」に対し「傾斜」している構成それ自体
も,引用発明2−4において開示された構成であるといえる。
ところで,引用発明2−4のように「昇降路平面の軸線Xあるい,
はY」に対して「傾けて」配置されているのは,結局「昇降路のサ,
イズをつり合おもりのない場合と同等にすること,いいかえれば,」
つり合おもりを配置することでつり合おもりのない場合に比べ「昇降
路内の不使用空間の発生を極力押さえ」ることにある。それは,まさ
「」しく本件訂正第2発明の昇降路内の不使用空間の発生を極力押さえ
るという課題と同じである。
そうだとすると,当業者において,引用発明2−2と引用発明2−
1との組合せにおいて,昇降路内の不使用空間の発生を極力押さえる
という公然知られた課題を解決するために,さらに引用発明2−4を
組み合わせて,本件訂正第2発明の構成要件2K′の「第2の返し車
の回転面」を「昇降路の壁面」に対し「傾斜」させ,相違点Zを解消
する構成を備えることも,容易に想到し得ることである。
③ところで,原告は,本件訂正第2発明の原出願の分割出願である特
許第3508768号の拒絶理由通知に対する意見書において,第2
の返し車の傾斜が「昇降路内の不使用空間の発生を極力押さえる」,
効果には関係がないことを表明し,第2の返し車の回転面の傾斜角度
のごときは,単なる設計事項であることを認めている。
実際にも,当業者が,昇降路内の不使用空間の発生を極力押さえて
,,,エレベータ機器を配置しようとする場合かごカウンターウェイト
巻上機等の主要物と,それ以外のガバナー等の付属物等を含めて配置
場所を考える。そして,本件訂正第2発明のように,巻上機が昇降路
の最下階停止時のかご床面より上方でかご天井より下方に位置するよ
うに昇降路内に配置され,第1の返し車,第2の返し車が昇降路上部
に配置されているような場合,当業者はまず,巻上機,かご,カウン
ターウェイト(かご,カウンターウェイトは,昇降路の平断面の同じ
位置を上下する)が限られたスペースに納まることを検討し,次に。
巻上機,第1及び第2の返し車,かごの吊り車,カウンターウェイト
の吊り車,かご側ロープ端止め装置,及びカウンターウェイト側ロー
プ端止め装置に対して,ロープが適正に巻き掛けられるように,第1
及び第2の返し車の位置や角度を適宜調整する。つまり,各機器への
ロープの巻き掛け方法とあいまって結果的に第1及び第2の返し車の
配置位置と方向が決まるのであり,第2の返し車の回転面の傾斜角度
は,設計事項としての結果に他ならない。
g)結論
このように,本件訂正第2発明は,引用発明2−2に,引用例2−1
の図4や図8に示す巻上機の配置や配置の向きを適用すると共に,これ
により,必然的に生じる巻上機と第1の返し車の関係の変更,並びに,
やはり必然的に生じる第2の返し車の回転面の傾きの変更により得られ
,,,るものでありさらに周知慣用な技術事項に基づく必然的設計変更や
引用発明2−4との組合せによっても得られるものである。そして,引
用発明2−2そのものが既に奏していた本件訂正第2発明と同一の効果
が,上記配置の向き等を変更することによって奏し得られなくなるわけ
でもないから,上記の巻上機の配置の向き等を適用することにいかなる
阻害要因も存在しない。
したがって,本件訂正第2発明は,当業者が容易に推考できたもので
ある。
イ引用例2−1を主引例とする無効理由について
本件訂正第2発明は,本件第2特許の出願日の前に公開された引用例2
−1に記載された発明(引用発明2−1,引用発明2−2,乙26ない)
し32に記載された周知の技術事項,引用発明2−4に基づいて,当業者
が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規
定により,特許を受けることができないものである。
)引用発明2−1(乙20)についてa
引用発明2−1には,前記ア・)記載の構成が開示されている。c
)本件訂正第2発明と引用発明2−1との構成の対比についてb
本件訂正第2発明の各構成要件と引用発明2−1の上記各構成区分と
を対比すると,本件訂正第2発明の構成要件2A′ないしG′,H′の
β及びδ,I′のε並びにJ′は,それぞれ引用発明2−1の構成区分
2aないしg,hのβ及びδ,iのε並びにjと同一である。また,後
記のとおり,本件訂正第2発明の構成要件2H′のαと引用発明2−1
の構成区分2hのαも同一であると評価すべきである。
本件訂正第2発明と引用発明2−1とは,以下の点で相違する。
①本件訂正第2発明においては,構成要件2H′のγにおいて,巻上
機は「該巻上機(4)の下端は前記昇降路(8)の最下階停止時の,
」,かご床面より上方でかつかご天井より下方に位置しているのに対し
引用発明2−1の構成区分2hのγでは,トラクションマシン1は,
「昇降路25のピットに固定され」ている点で相違する(以下,この
相違点を「相違点1」という。。)
②本件訂正第2発明においては,構成要件2I′のζにおいて,前記
第1の返し車は「前記平断面において前記かご(1)の吊り車(1,
1)に至る前記ロープ(3)が前記かご(1)と前記巻上機(4)と
,()()の間を通るように前記巻上機4の少なくとも一部と綱車4a
から前記かご(1)と前記巻上機(4)との間へ向けて前記モータ部
(4b)を横切って前記モータ部(4b)と重なるよう配置され」て
いるのに対し,引用発明2−1の構成区分2iのζでは,頂部プーリ
27Aは「前記平断面において,前記乗かご28〔かご〕の下部プ,
ーリ29A〔吊り車〕に至る前記ロープ26が,前記乗かご28〔か
ご〕と前記トラクションマシン1〔巻上機〕との間から外れた部分を
,〔〕〔〕通るように前記トラクションマシン1巻上機のシーブ5綱車
から上記外れた部分へ向けて前記同期モータ7〔モータ部〕を横切っ
て前記同期モータ7〔モータ部〕と重なるよう配置され」ている点で
相違する(以下,この相違点を「相違点2」という。。)
③本件訂正第2発明においては,構成要件2I′のηにおいて「前,
記第1の返し車(5a)の回転面は,前記昇降路(8)の平断面にお
いて前記ロープ(3)が前記かご(1)の吊り車(11)へ至る側が
前記巻上機(4)の綱車(4a)から巻き掛けられる側より前記乗降
口から遠ざかる方向に位置して近接する前記昇降路(8)の壁面に対
して傾斜し」ているのに対し,引用発明2−1の構成区分2iのηで
は「前記頂部プーリ27A〔第1の返し車〕の回転面は,前記昇降,
路25の平断面において,前記ロープ26が前記トラクションマシン
1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕から巻き掛けられる側が前記乗かご
28〔かご〕の下部プーリ29A〔吊り車〕へ至る側より前記乗降口
から遠ざかる方向に位置して近接する前記昇降路25の壁面25aに
」(,「」対して傾斜している点で相違する以下この相違点を相違点3
という。。)
④本件訂正第2発明においては,構成要件2K′において「前記第,
(),(),2の返し車5bの回転面は前記昇降路8の平断面において
近接する前記昇降路(8)の壁面に対して,前記ロープ(3)が前記
()()()カウンターウェイト2の吊り車12へ至る側が前記巻上機4
の綱車(4a)から巻き掛けられる側より前記かご(1)に近づく方
向に傾斜し」ているのに対し,引用発明2−1の構成区分2kにおい
ては「前記頂部プーリ27B〔第2の返し車〕の回転面は,前記昇,
,,降路25の平断面において近接する前記昇降路25の壁面に対して
〔〕前記ロープ26が前記カウンターウェイト31のプーリ32吊り車
へ至る側と前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕
から巻き掛けられる側とは同じ距離にあり,さらに,引用発明2−」
,「〔〕1の構成区分2lにおいては前記トラクションマシン1巻上機
のシーブ5綱車は前記カウンターウェイト31のプーリ32吊〔〕,〔
り車〕と,近接する前記昇降路25の壁面に対して同じ距離に位置し
ている」点で相違する(以下,この相違点を「相違点4」という。。)
⑤本件訂正第2発明の構成要件2H′のαにおいて,前記巻上機は,
「前記綱車(4a)の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対して垂
直な方向の外形寸法よりも小さ」いとされている。一方,引用発明2
−1のトラクションマシン1も,シーブ5の回転軸方向の外形寸法が
上記回転軸方向に対して垂直な方向の外形寸法よりも小さい巻上機と
いえるのであるから,上記の点は,相違点に該当しない。
仮に,相違点に該当するとしても,綱車の回転軸方向の外形寸法が
回転軸に対して垂直な方向の外形寸法よりも小さい巻上機は,引用例
2−3の請求項3に「請求項1または2に記載のトラクションシー,
ブエレベータにおいて,前記トラクションシーブ付きの駆動機械装置
は該トラクションシーブの回転軸の方向において平坦な構造であり,
該トラクションシーブは前記駆動機械装置の構成部分であることを特
徴とするトラクションシーブエレベータ」と記載されているように。
既に公知であるから,引用発明2−1と引用発明2−3を組み合わせ
ることにより,上記相違点は解消されるものであり,また,組合せに
技術的阻害要因はない。
)引用例2−2(乙13)についてc
引用例2−2には,前記ア・)記載の構成が開示されている。a
)相違点1についてd
①本件訂正第2発明の構成要件2A′ないしG′,H′のα及びγ,
I′ε及びη,L′並びにJ′は,それぞれ引用発明2−2の構成区
分2aないしg,hのα及びγ,iのε及びη,l並びにjと同一で
あるから,巻上機を建物の任意の階層に設置する構成は既に公知であ
り,その任意の階層を建物の1階に定めて,巻上機の下端を昇降路の
最下階停止時のかご床面より上方でかつかご天井より下方に配置する
構成も既に開示されている。
また,エレベータ装置において,ピットが冠水した場合の被害防止
のために電子機器等を最下階の床面より上方に設置することは,特開
平8−81154号公報(乙36)の【0015】等,特開平8−2
77081号公報(乙37)の電源部11が冠水を免れるよう配置す
,。,,る発明によって既に周知であるさらにエレベータ装置において
保守点検のために駆動装置を昇降路の1階付近に設けることは,特開
【】。平11−310372号公報の0076により既に知られている
したがって,引用発明2−1の構成区分2hのγの,トラクション
マシン1は「昇降路25のピットに固定され」を,引用発明2−2,
と組み合わせて「該巻上機(4)の下端は前記昇降路(8)の最下,
階停止時のかご床面より上方でかつかご天井より下方に位置し」に変
更することで,相違点1は容易に解消される。
②原告は,引用発明2−1におけるトラクションマシン1は昇降路床
面に置くものであると指摘して,容易推考性を否定する。
,【】,しかし引用例2−1の0014の記載と図4をもってしても
トラクションマシン1が安定して確実に動作するための条件は,トラ
クションマシン1の固定方法如何にかかっているにすぎず,トラクシ
ョンマシン1を昇降路床面に設置することが必須の要件とされるわけ
ではないから,引用発明2−1のトラクションマシン1を建物の任意
の階層に設置する場合に何らかの技術的阻害要因が存在することを導
くものではない。
,【】,したがって引用例2−1の0014の記載と図4の記載から
引用発明2−2との組合せが困難であるということはできず,前記①
の周知技術に鑑みれば,引用発明2−1の構成区分2hのγを「ト,
ラクションマシン1〔巻上機〕の下端は昇降路25〔昇降路〕の最下
階停止時のかご床面より上方でかつかご天井より下方に位置し」に変
えることは容易に想到し得る。
)相違点2についてe
①本件訂正第2発明の構成要件2I′のζにおいても,引用発明2−
1の構成区分2iのζにおいても,第1の返し車が,モータ部を横切
ってモータ部と重なるよう配置されている点は共通しているから,相
違点2は,結局のところ,かごの吊り車に至るロープが,平断面にお
いて,かごと前記巻上機との間を通るように,第1の返し車が配置さ
れているか(本件訂正第2発明,かごと巻上機との間から外れた部)
,()分を通るように第1の返し車が配置されているか引用発明2−1
の違いである。
これについては,引用発明2−2の構成区分2iのζにおいて,前
記案内車5は「前記平断面において,前記エレベータケージ1〔か,
ご〕の案内車5a〔吊り車〕に至る前記ロープ4が前記エレベータケ
ージ1〔かご〕と前記駆動装置11〔巻上機〕との間を通るように,
前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕から前記エレベー
タケージ1〔かご〕と前記駆動装置11〔巻上機〕との間へ向けて前
記駆動装置11〔巻上機〕の一部と重なるよう配置され」るという構
成が開示されているところである。
そして,相違点3について後述するように,第1の返し車の回転面
を近接する昇降路の壁面に対してどのような角度に位置させるかは,
当業者が適宜決定すべき事項にすぎず,引用発明2−1において,第
1の返し車の回転面を,ロープがかごの吊り車へ至る側が綱車から巻
き掛けられる側より乗降口から遠ざかる方向に位置して,近接する昇
降路の壁面に対して傾斜させることは,引用発明2−2の構成区分2
,,iのηに基づいて当業者が容易に想到し得る程度のものでありまた
。,この点は当業者が適宜決定すべき事項にすぎないものであるそして
第1の返し車の回転面の角度を,引用発明2−2のように傾斜させる
構成を採用することにより,必然的に,引用発明2−1の構成区分2
iのζの構成は,頂部プーリ27Aが,平断面において乗かご28の
下部プーリ29Aに至るロープ26が乗かご28とトラクションマシ
ン1との間を通るように配置される構成に変わるのである。
また,各現場の状況に応じて,引用発明2−1に前記ア・)③で述e
べた周知慣用な技術事項を採用することに伴う必然的な設計変更を採
用して,頂部プーリ27Aが,平断面において乗かご28の下部プー
リ29Aに至るロープ26が乗かご28とトラクションマシン1との
間を通るように配置されることは,当業者が適宜選択できる単なる設
計上の変更事項にすぎない。
したがって,引用発明2−1の構成区分2iのζにいうところの,
「第1の返し車が,平断面において,かごと巻上機との間から外れた
部分を通るように配置する」という構成を,かごの吊り車に至るロー
プがかごと巻上機との間を通るように配置する構成に変更すること
は,第1の返し車の回転面の角度をどのような角度にするかというこ
と自体が,当業者において適宜選択できる単なる設計事項であるにす
ぎないため,第1の返し車の回転面の角度を,引用発明2−2のごと
く,ロープがかごの吊り車へ至る側が綱車から巻き掛けられる側より
乗降口から遠ざかる方向に位置して,近接する昇降路の壁面に対して
傾斜させることにより当然に変更されるものであるし,周知慣用な技
術事項を採用することに伴う必然的な設計変更によっても容易になさ
れることであり,これにより相違点2も解消される。
②原告は,引用発明2−2は,昇降路平断面を小さくするという目的
での動機付けからすれば積極的に排除すべきであると主張する。
しかし,昇降路内の不使用空間の発生を抑えるという目的は,例え
ば,引用例2−3の【0002】に「エレベータの開発における目的
の一つは建物の空間の効率的かつ経済的利用にあった。従来のトラク
ションシーブエレベータにおいては,エレベータの駆動機械装置を収
容するために設計される機械室もしくは他の空間は,建物のエレベー
タに要する空間のかなりの部分をとっている」と記載されているよ。
うに,エレベータ装置における技術常識である。また,引用例2−1
の図8や引用例2−2の図を見れば,第1の返し車と巻上機を垂直投
影面上において重なるように配置して昇降路内の不使用空間の発生を
押さえるという考え方が示されていることは一目瞭然であるから,引
用発明2−1及び引用発明2−2には共通の目的を看取ることがで
き,動機付けに欠けるところはない。
③原告は,引用発明2−2は,かごとコンクリート台との間にロープ
が通るように配置されているとはいえ,かごと巻上機の隙間にロープ
を通すことまで示唆するものではないと主張する。
しかし,引用発明2−2の構成区分2iのζは,かごと巻上機との
間にロープを通す構成を示しているというべきである。
)相違点3についてf
①昇降路内の不使用空間の発生を極力押さえるというのは,引用例2
−1の【0032】ないし【0034】の技術事項や,引用例2−3
の【0002】の記載をみるまでもなく,エレベータ装置において技
術常識であり,第1の返し車の回転面を近接する昇降路の壁面に対し
てどのような角度に位置させるかは,昇降路の形状・寸法,かごのド
アの出っ張り等のかごの形状・寸法,返し車やカウンターウェイトや
巻上機等の機器の諸寸法・配置等を比較考慮して,当業者が適宜決定
すべき事項にすぎない。
そして,引用発明2−1において,第1の返し車の回転面を,ロー
プがかごの吊り車へ至る側が綱車から巻き掛けられる側より乗降口か
ら遠ざかる方向に位置して,近接する昇降路の壁面に対して傾斜させ
ることは,引用発明2−2に基づいて当業者が容易にし得る程度のも
のであり,また,当業者が適宜決定すべき事項にすぎない。
さらに,前記ア・)③で述べた下部プーリの取付位置に関する周知e
慣用な技術事項を採用すれば,頂部プーリ27Aの回転面が,昇降路
25の平断面においてロープが乗かご28の下部プーリ29Aへ至る
側がトラクションマシン1のシーブ5から巻き掛けられる側より乗降
口28aから遠ざかる方向に位置して近接する昇降路25の壁面25
aに対して傾斜するように必然的に変更されることになる。
したがって,引用発明2−1の構成区分2iのηの「前記頂部プ,
ーリ27A〔第1の返し車〕の回転面は,前記昇降路25の平断面に
おいて,前記ロープ26が前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシ
ーブ5〔綱車〕から巻き掛けられる側が前記乗かご28〔かご〕の下
部プーリ29A〔吊り車〕へ至る側より前記乗降口から遠ざかる方向
に位置して近接する前記昇降路25の壁面25aに対して傾斜し」に
ついては,第1の返し車の回転面の角度をどのような角度にするか自
体が設計事項にすぎないし,周知慣用な技術を採用することに伴う必
然的な設計変更によって「前記第1の返し車(5a)の回転面は,,
()()()前記昇降路8の平断面において前記ロープ3が前記かご1
の吊り車(11)へ至る側が前記巻上機(4)の綱車(4a)から巻
き掛けられる側より前記乗降口から遠ざかる方向に位置して近接する
前記昇降路(8)の壁面に対して傾斜し」に変わるものであり,これ
により,容易に相違点3も解消される。
②原告は,引用発明2−1では,かごと巻上機の隙間にロープを通す
という課題が生じていないこと,引用発明2−2は,巻上機とかごが
すれ違う間の空間にかごの吊り車へ至るロープが通るという構成では
ないことを指摘して,本件訂正第2発明のように巻上機とモータ部を
横切ってかごと巻上機の隙間にロープを通す配置とすることに至るま
でには創作の過程が存在すると主張する。
しかし,かごと巻上機の隙間にロープを通すという課題は,本件第
2発明ないし本件訂正第2発明に係る明細書に何ら記載されていない
ことである。仮に,そうでないとしても,引用発明2−2においては
巻上機とかごの間の隙間にロープを通すという構成が示されているの
であるから,本件訂正第2発明の構成要件2I′のζの前段及び中段
の構成を採用することに創作の過程は存在しない。
)相違点4についてg
①前記ア・)②で述べたとおり,相違点4のうちの本件訂正第2発明f
の構成要件2K′の「第2の返し車の回転面」が「昇降路の壁面」に
対し「傾斜」している構成それ自体,引用例2−4においても開示さ
れた構成である。したがって,引用発明2−1に引用発明2−4を適
用して相違点4を解消できる。
このように,引用発明2−1と引用発明2−4を組み合わせて,相
違点4のうちの本件訂正第2発明の構成要件2K′の「第2の返し車
の回転面」が「昇降路の壁面」に対し「ロープがカウンターウェイト
の吊り車へ至る側が巻上機の綱車から巻き掛けられる側よりかごに近
づく方向に「傾斜」させる構成を採用すれば,当然「巻上機の綱」,
車」が「カウンターウェイトの吊り車」よりも,近接する昇降路の壁
面側に位置することになるから,本件訂正第2発明の構成要件2K′
と同2L′は一体として捉えるべき構成であるということになる。す
,,なわち引用発明2−1と引用発明2−4を組み合わせることにより
必然的に,本件訂正第2発明の構成要件2K′と同2L′の構成を備
えることになるのである。また,もとより,巻上機やカウンターウェ
イトは,当業者が,現場の状況や巻上機及びカウンターウェイトの大
きさを考慮して適宜位置を定めるものであって,設計事項にすぎない
し,本件訂正第2発明の構成要件2K′を採用することにより格別の
作用効果が得られるものでもない。
したがって,引用発明2−1の構成を引用発明2−4の構成に組み
合わせることにより,引用発明2−1の構成区分2kは,本件訂正第
2発明の構成要件2K′と同一の構成に変わるものであり,また,引
用発明2−1の構成区分2lは,本件訂正第2発明の構成要件2L′
と同一の構成に変わるものであって,相違点4が解消されることは明
らかである。
②原告は,引用発明2−4が流体圧エレベータを対象としているもの
であること,引用発明2−1のトラクションマシン1のシーブ5に相
当するものが存在しないことを指摘して,容易推考性を否定する。
しかし,既に述べたとおり,本件訂正第2発明の「巻上機」から先
「」「」,のカウンターウェイトを第2の返し車により懸架する構成は
「」「」。,ロープ式か流体圧式かにより差異があるものではないまた
当業者において「ロープ式」エレベータも「流体圧式」エレベー,,
タも,ともにエレベータの代表的な方式であり,ともに永年開発を繰
り返してきている方式であって,両方式間の技術の横断も珍しいこと
ではない。かかる状況において,引用発明2−4は「昇降路のサイ,
ズをつり合おもりのない場合と同等にすること」を目的としたもので
あり,まさしく本件訂正第2発明の「昇降路内の不使用空間の発生を
極力押さえ」るという課題と同じ課題を有するものであることは明ら
かであるから,当業者において,昇降路内の不使用空間の発生を極力
押さえるという技術常識を解決するために,引用発明2−1と引用発
明2−4を組み合わせることは容易に想到し得ることである。
ウ第2特許に係る訂正審判請求が特許請求の範囲を変更する訂正として許
されないことについて
本件訂正第2発明の構成要件2H′のδ及びγの「前記綱車が前記かご
の側方に位置する前記昇降路の壁面に対向し,前記モータ部が前記かご側
に対向して,該巻上機の下端は前記昇降路の最下階停止時のかご床面より
上方でかつ最上階停止時のかご天井より下方に位置し」との記載は,本,
件第2明細書記載の「さらに,巻上機4の下端及び制御盤15の下端はか
ご最下階停止時のかご床面より上方でかつかご天井面より下方にあるの
で,ピットが冠水しても巻上機4および制御盤15は損傷を受けることは
無い(6頁左欄11行から14行)に基づくものである。しかし,ピ。」
ットが冠水した場合の被害防止としか記載されていない。
一方,訂正拒絶理由通知書において,審判請求書上の記載として「前,『
記かごの吊り車に至る前記ロープが前記かごと前記巻上機との間を通るよ
うに』限定したことにより,新たな課題が生じており『該巻上機の下端,
は前記昇降路の最下階停止時のかご床面より上方でかつかご天井より下方
に位置し』たことにより解決している」と要約されている。。
仮に,原告が指摘するような新たな課題が生じていて「該巻上機の下,
端は前記昇降路の最下階停止時のかご床面より上方でかつかご天井より下
方に位置し」たことにより解決したというのであれば,それは,まさしく
発明の目的を変更するものであるから,実質上特許請求の範囲を変更する
ものであり,このような訂正が認められる余地はない。
()原告の主張2
ア引用例2−2を主引例とする主張について
)相違点Xについてa
既に述べたとおり,引用発明2−2は,機械室に代えてコンクリート
台を設けて,昇降路の外側からドアを開けてコンクリート台に入って巻
上機の保守を行うという発明である。したがって,巻上機が斜めに配置
されている点も,巻上機のモータがドア側を向いている点も必然性があ
。,って選択されていることである巻上機の綱車とモータの向きを反転し
これを昇降路壁と平行に配置したのでは,引用発明2−2の目的は達せ
られないことが明らかであるから,引用発明2−2に引用発明2−1を
組み合わせることには阻害要因がある。
)相違点Yについてb
相違点Xを解消できないのであるから,相違点Yが必然的に解消され
ることもない。
)相違点Zについてc
相違点Zは,カウンターウェイトと巻上機が昇降路壁と平行に並んで
配置され,かつ,巻上機の綱車が昇降路壁に対向していることを前提と
して,かごの通過する空間と昇降路壁の間の空間を有効利用するための
構成である。
一方,引用発明2−2は,任意の階層にコンクリート台を設置し,こ
のコンクリート台上に駆動装置11を設けて機械室としているエレベー
タ装置が示されており,昇降路の上部に独立の機械室を必要としない方
式であるものの,コンクリート台に対応するスペースがすべての階に必
要となる。すなわち,本件訂正第2発明とは異なり,昇降路全高にわた
って昇降路の平断面積を縮減するという考え方に基づくものではない。
したがって,引用発明2−2においては,カウンターウェイトから巻上
機の綱車に至るロープを巻き掛ける案内車を昇降路に対して斜めにする
という動機は全くない。
また,本件訂正第2発明の分割出願である特許第3508768号の
拒絶理由通知に対する意見書の記載及び特許庁審査官との面接における
発言は,分割出願の発明を実施するにあたっては,第2の返し車を傾斜
させるか,させないかは,設計上の要請に負うものであって,分割出願
の発明の必須要件ではないことを述べたにすぎない。したがって,相違
点Zが本件訂正第2発明の進歩性を基礎付ける要素の一つであると主張
することと何ら矛盾しない。
イ引用例2−1を主引例とする主張について
)基本的な視点a
引用発明2−1ないし2−4は,その発明の課題及び目的が相違する
とともに,タイプが異なるエレベータ装置を対象としているのであるか
ら,これらを組み合わせることは困難である。さらに,本件訂正第2発
明と四つの相違点がある引用発明2−1を基礎として,それぞれの相違
点に対して,引用発明2−2ないし2−4等の記載事項から都合良く特
定の技術事項を抽出して本件訂正第2発明のように構成することは,当
業者が容易に想到し得ることではない。
エレベータ装置において,設計を行う際に,できるだけ不要空間のな
い設計を行うよう常に意識されていることは否定しない。しかし,不要
な空間をできるだけ少なくするという一般的な技術課題の存在のみをも
って,引用発明2−1ないし2−4が,昇降路内の不使用空間の発生を
押さえるという共通の課題を有し,これらを当業者が参酌することに何
ら障害がないということはできない。
また,本件訂正第2発明は,レイアウトに関する発明であるところ,
その各特徴点を分断して考えると,複数の公知文献にそれぞれが開示さ
れ,一見組み合わせることができると考えられがちである。しかし,こ
れこそ,まさに後知恵的発想なのであって,その非容易性は全体的な技
術思想(技術解決手段)に基づいて判断されなければならない。本件訂
正第2発明においても,その非容易性は,各公知文献では一部しか考慮
されていなかった事項を総合的に満足させつつ発明の主目的を満足させ
る配置を提供するところにある。
)本件訂正第2発明の構成についてb
本件訂正第2発明は,カウンターウェイトがかごの側方に配置され,
かご及びカウンターウェイトがロープに懸架されて巻上機によって昇降
されるエレベータ装置を対象とし,昇降路全高(高さ方向,平断面での
幅方向,奥行き方向)にわたる不使用空間を縮減するため,まず,高さ
方向の縮減を図るべく「巻上機をその下端が昇降路の最下階停止時のか
ご床面より上方でかつかご天井より下方に位置する」構成(相違点1)
としたものである。
次に,エレベータ装置としての安全性を確保しつつ昇降路全高(高さ
方向,平断面での幅方向・奥行き方向)にわたる不使用空間を縮減する
ため,平断面奥行き方向の縮減を図るべく「第1の返し車は,その回,
転面が昇降路の平断面においてロープがかごの吊り車へ至る側が巻上機
の綱車から巻き掛けられる側より乗降口から遠ざかる方向に位置して近
接する昇降路の壁面に対して傾斜している」構成(相違点3)としたも
のである。
これら相違点1及び3の構成をとることにより,巻上機とかごがすれ
違う間の空間にかごの吊り車へ至るロープが通るという構成となる。
このロープがかごと巻上機との間を通るという構成を踏まえた上で,
本件訂正第2発明は,昇降路全高(高さ方向,平断面での幅方向・奥行
き方向)にわたる不使用空間を縮減するため,平断面幅方向の縮減を図
るべく「第2の返し車は,その回転面が昇降路の平断面において近接,
する昇降路の壁面に対して,ロープがカウンターウェイトの吊り車へ至
る側が巻上機の綱車から巻き掛けられる側よりかごに近づく方向に傾斜
している」構成(相違点4)とした。
この相違点4の構成をとることにより,昇降路の壁面に対して静止し
ている構成をとる巻上機を昇降路の当該壁面に近づけて巻上機(のモー
タ部)とかごとの距離を確保する一方で,昇降路の壁面に沿って上下移
動するカウンターウェイトと昇降路の当該壁面との間隔を確保できる構
成が得られる。
以上の工夫によって,本件訂正第2発明は,昇降路全高(高さ方向,
平断面での幅方向・奥行き方向)にわたる不使用空間を縮減できるとい
う絶大なる効果が得られたものである。
)組合せの困難性についてc
①引用発明2−1について
引用発明2−1は,ブレーキとモータの影響をなくし,かつトラク
ションマシンの組立て,分解が容易に行い得るエレベータ装置を得る
(【】,【】,ことを主目的としており引用例2−1の00070026
【0034,その適用例として図8に示す例が示されているだけ】)
である。この図8に示された例においても横幅が大きくなるものが示
されている以上,引用発明2−1は,幅方向又は奥行きの一方向の昇
降路空間を縮減する配置を示しているにすぎない。したがって,引用
発明2−1においては,本件訂正第2発明における昇降路全高(高さ
方向,平断面での幅方向・奥行き方向)にわたる不使用空間を縮減す
るという目的については何ら示唆されていないものであり,その目的
において差異がある。
②引用発明2−2について
引用発明2−2には,任意の階層にコンクリート台を設置し,この
コンクリート台上に駆動装置11を設けて機械室としているエレベー
タ装置が示されており,昇降路の上部に独立の機械室を必要としない
方式であるため,昇降路の高さ方向において機械室のスペース分縮減
する点については示されているものの,本件訂正第2発明のように,
昇降路全高(高さ方向,平断面での幅方向・奥行き方向)にわたる不
使用空間を縮減するという考え方については全く示されておらず,そ
れを示唆する記載もない。
③引用発明2−1と引用発明2−2との組合せについて
上記のとおり,引用発明2−1と引用発明2−2とは,それぞれ異
なった発明の課題及び目的に基づき創作されているものである。した
がって,引用発明2−1に引用発明2−2を組み合わせて考えること
自体,当業者といえども容易に推考できないものであるし,組み合わ
せる動機付けが全くない。
引用発明2−1では,巻上機(トラクションマシン1)がピットに
固定されているため,かごが最下階にあるときでも,かごと巻上機は
上下に離れているという前提のもとにある(引用例2−1の【002
7,図4。したがって,引用発明2−1に記載されたトラクショ】)
ンマシン1を,引用発明2−2に記載されているように建物の任意の
階にコンクリート台を設置するということを行った後で,そのコンク
リート台上にトラクションマシン1を配置することまで容易に想到す
るとは考えられない。
さらに,引用発明2−2は,昇降路内に機械室を内蔵して保守等を
容易にするという設計思想に基づき,建物の任意の階にコンクリート
台が設置されているため,昇降路平断面がそもそも大きいものを前提
としている。したがって,昇降路平断面を小さくするという目的で,
引用発明2−1に引用発明2−2の案内車5本件訂正第2発明の第(「
1の返し車」に相当する)の傾斜にのみ着目して,引用発明2−1。
の頂部プーリ27A(本件訂正第2発明の「第1の返し車」に相当す
る)に組み合わせる動機付けは,そもそも存在しない。むしろ,動。
機付けの点からすれば,引用発明2−2は積極的に排除されるもので
ある。
したがって,本件訂正第2発明の内容を見ることなく,引用発明2
−2の案内車5の傾斜にのみ着目して,引用発明2−1の頂部プーリ
27Aを斜めにして,平断面において巻上機のモータ部を横切ってか
ごと巻上機の隙間にロープを通す配置とすることまでは,当業者とい
えども容易に想到できない。また,昇降路の不使用空間の発生を押さ
えるという技術課題をもって当業者が設計を行ったとしても,かかる
技術課題を解決するための方策は異なるものであるから,本件訂正第
2発明は容易に想到できるものではない。
)各相違点についてd
①相違点1について
引用発明2−1のトラクションマシン1は昇降路床面に置くもので
ある(引用例2−1の【0014,図4。あえて床面に固定して】)
いるトラクションマシン1を,昇降路の最下階停止時のかご床面より
上方でかつかご天井より下方に位置させることについては,当業者が
容易に想到できるものではない。
②相違点2について
,,引用発明2−2には単に機械室を無くすという思想があるのみで
そもそも昇降路内の不使用空間を縮減する技術的思想など全く示され
ておらず,引用発明2−1に引用発明2−2を組み合わせる動機付け
は存在しない。
,()引用発明2−2ではかごとかごに対向する物体コンクリート台
との間にロープが通るように配置されている。しかし,コンクリート
台は建物の任意の階層が延長したものであり,かごと巻上機の隙間に
ロープを通すことまで示唆されているものではない。まして,引用発
明2−2では,巻上機の綱車がかご側に対向している。
引用例2−1の図8は【0034】に「昇降路25の奥行きが小,
さく,横幅が大きくなるので,昇降路25の横幅が余裕あり奥行きが
厳しい用途に適している」と記載されているとおり,昇降路の奥行。
きに余裕がなく,できるだけ乗りかごを昇降路一杯に配置しなければ
ならない態様を示すものである。したがって,たとえ,乗りかごに対
する下部プーリの取付位置の様々な態様が開示されているとしても,
引用例2−1の図8から,下部プーリ29及び29Bをかごガイドレ
ール33A及び33Bに近づけて配置し,頂部プーリ27Aに至るロ
ープが乗りかご28とトラクションマシン1との間を通るようにし
て,奥行き方向のスペースを縮減する動機付けは全くないものと言わ
ざるを得ない。
③相違点3について
相違点2について述べたとおり,引用発明2−1に引用発明2−2
を組み合わせる動機付けは存在しないし,また,引用発明2−1の下
部プーリの位置を変更することにより,第1の返し車の傾斜を本件訂
正第2発明のように変更することは,昇降路の奥行きの空間を縮減す
ることを考慮し得ない引用発明2−1から想到することは容易ではな
い。
引用発明2−1では,トラクションマシン1(本件訂正第2発明の
)(【】,巻上機がピットに固定されているため引用例2−1の0027
図4,かごが最下階にあるときでも,巻上機とかごは上下に離れて)
いる。つまり,引用発明2−1では,巻上機とかごがすれ違う間の空
間にかごの吊り車へ至るロープが通るという構成は全く存在せず,か
ごと巻上機の隙間にロープを通すという課題が生じない。一方,引用
発明2−2では,かごとかごに対向する物体(コンクリート台)との
間にロープが通るような配置が開示されているにすぎず,巻上機とか
ごがすれ違う間の空間にかごの吊り車へ至るロープが通るという構成
ではない以上,本件訂正第2発明のように,巻上機のモータ部を横切
ってかごと巻上機の隙間にロープを通す配置とすることに至るまでに
は創作の過程が存在し,容易に想到し得るものではない。
④相違点4について
引用発明2−4は流体圧エレベータを対象としているものであり,
トラクションマシン1を用いる引用発明2−1のエレベータ装置とは
駆動方式が異なり,全く対象を異にするものである。したがって,こ
のように全く方式の違うエレベータ装置を組み合わせること自体,た
とえ当業者といえども容易に推考できるものではない。特に,引用発
明2−4には,引用発明2−1に記載されるトラクションマシン1の
シーブ5が存在しないため,公知技術3のトラクションマシン1のシ
ーブ5とカウンターウェイト31との間の頂部プーリ27Bの回転面
を考慮する際に,引用発明2−4の返し車の配置を参照することは,
当業者であったとしても,本件訂正第2発明の内容を理解して初めて
なし得るものである。つまり,トラクションマシン1を用いるエレベ
,,ータ装置に駆動方式が異なる引用発明2−4を適用するのみならず
引用発明2−1の頂部プーリ27Bの回転面に着目して,駆動方式が
異なる引用発明2−4の記載内容から,その返し車の配置を参考して
変更することは,当業者であっても到底推考できない。
)相違点2及び3の着想阻害事由と相違点1及び4の関係についてe
巻上機が最下階停止時のかごの床面より上方に位置していることを前
提とする限り,相違点2及び3には着想阻害事由がある。しかし,本件
訂正第2発明では,第1に,相違点4を採用して巻上機を壁面よりに位
置させることにより,第2に,巻上機が最下階停止時のかごの天井より
も下方に位置しているという,相違点1の一部に含まれている構成によ
り,この着想阻害事由を克服している。
着想阻害事由を克服した上記第2の理由について,本件明細書には記
載がない。しかし,本件で問題となるのは,着想阻害事由が現実にあっ
,,たか否かであってそれをいかにして克服したかを明らかにすることは
着想阻害事由が存在したことを推認するための手段にすぎない。
)作用効果についてf
①昇降路平断面積(幅方向)の縮減(その1)
本件訂正第2発明では「巻上機の綱車が昇降路の壁面に対向し,,
巻上機のモータ部がかご側に対向する」構成によって,巻上機から第
1の返し車へのロープとかごとの間の空間を別途確保する必要がな
く,充分な安全距離を保つことができ,一方,壁面とロープとの安全
距離は,反対方向に移動する物同士の安全距離に比べて小さくでき,
結果として,昇降路の幅方向の長さの縮減を図っている。
②昇降路平断面積(奥行き方向)の縮減
本件訂正第2発明では「第1の返し車が,昇降路の平断面におい,
て,巻上機からかごの吊り車に至るロープがかごと巻上機との間を通
るように,巻上機の綱車からモータ部を横切ってモータ部と重なり,
その回転面は,ロープがかごの吊り車へ至る側が巻上機の綱車から巻
き掛けられる側より乗降口から遠ざかる方向に位置して壁面に対して
傾斜している」構成を有することにより,昇降路の平断面において,
第1の返し車が巻上機の乗降口側端部よりも乗降口側に向かって張り
出すことがなく,巻上機を乗降口側に寄せて配置できるために昇降路
の奥行き方向の長さを縮減することができる。
③昇降路平断面積(幅方向)の縮減(その2)
本件訂正第2発明では「第2の返し車の回転面を,昇降路の平断,
面において,ロープがカウンターウェイトの吊り車へ至る側が巻上機
の綱車から巻き掛けられる側よりかごに近づく方向に傾斜させて,巻
上機の綱車は,カウンターウェイトの吊り車よりも壁面側に位置して
いる」構成を採用することによって,巻上機のみを昇降路壁側に移動
させることを可能にした。
④昇降路全体の縮減
前記①ないし③によって,昇降路全体の縮減を図ることができる。
ウ第2特許に係る訂正審判請求が特許請求の範囲を変更する訂正ではない
ことについて
「該巻上機の下端は前記昇降路の最下階停止時のかご床面より上方でか
つかご天井より下方に位置し」ていることは「該巻上機の下端は前記昇,
降路の最下階停止時のかご床面より上方」という点と「かご天井より下,
方」という2つの内容を含んでいる。そして,前者によって冠水防止の効
果が奏される。一方,後者に関しては,本件明細書に「この種の機械室の
無い方式のエレベーター装置では,ピットの深さは1.2mから1.5m
程度であり,この位置に巻上機および制御盤が配置されていると,作業者
がピット床に立った場合に手が届く範囲,例えば1.2mから1.7m高
さの範囲(かご最下階停止時のかご床面∼ピット床から1.7m高さ)に
あることになり,点検作業が容易である,及び「また,巻上機4の下。」,
端をかご基準停止時のかご床面より上方でかつ上端をかご天井面より下方
にし,制御盤15をほぼ同じ高さに配置した場合,エレベータの運行管理
に即した点検が最もやり易くなる」との記載がある。したがって,かか。
る記載を参酌すればピットが冠水した場合の被害防止のみではなく該,,「
巻上機の下端は前記昇降路の最下階停止時のかご床面より上方でかつかご
天井より下方に位置し」ていることについても,保守の面で効果があると
記載されている以上,実質上特許請求の範囲を変更するものではない。
また「前記かごの吊り車に至る前記ロープが前記かごと前記巻上機と,
の間を通るように」という限定については,本件明細書に記載されている
範囲の事項であるから,実質上特許請求の範囲を変更するものではないこ
とが明らかである。
()原告の主張・イに対する被告の反論3
ア本件訂正第2発明と引用発明2−1との相違点が四つあるといっても,
既に述べた技術常識と設計事項の範疇において,引用発明2−2や引用発
明2−4を組み合わせることによって,相違点2ないし4は容易に解消さ
れる。また,相違点1は,周知の課題を解決するための周知の技術にすぎ
ない。
さらにいえば,引用発明2−1ないし2−4は,いずれも不使用空間の
発生を抑えるという共通の課題を有しているのであるから,これらすべて
を当業者が参酌することに何ら障害はない。また,本件訂正第2発明は,
昇降路の高さ方向,幅方向,奥行き方向のすべての方向での不使用空間の
縮減を課題とするものではなく,実際の作用効果についても,高さ方向の
縮減については,本件訂正第2発明によって得られた新たな作用効果では
ないし,幅方向の縮減については本件訂正第2発明に固有の作用効果では
なく,奥行き方向の縮減については当業者ならば容易に予測できる作用効
果であるから,本件訂正第2発明の課題は,結局,引用発明2−1ないし
2−4の課題と共通しているということができる。
このように,相違点の数や引用する刊行物の数をもって,組合せが困難
であるとか,すべての相違点を解消することに論理的飛躍があるとするの
は誤りである。
イ原告は,引用発明2−1においては,トラクションマシン1が昇降路床
面に固定されているため,かごが最下階にあるときでも両者は上下に離れ
ていることを前提にすると主張する。しかし,引用発明2−2に記載され
ているように,建物の任意の階層フロアと同じ高さのコンクリート台上に
トラクションマシン1を配置することに,何らの技術的阻害要因はない。
また,引用発明2−2は,従来のロープ式エレベータにおいて必要とさ
れた機械室を昇降路内に内蔵するという点を出発点としているのであるか
ら,やはり,昇降路空間の縮減という考え方が示されていることは明白で
。,,あるしたがって昇降路平断面を小さくするという動機付けからすれば
引用発明2−2を積極的に排除すべきとの原告主張は理由がない。
ウ作用効果について
)昇降路平断面積(幅方向)の縮減(その1)a
原告主張の作用効果は,特許請求の範囲に記載された事項のみに基づ
き常に生じるものではない。したがって,本件訂正第2発明に固有の作
用効果とはいえない。
)昇降路平断面積(奥行き方向)の縮減b
原告主張の作用効果は,当業者が適宜選択できる単なる設計上の変更
事項によるものであって,当業者ならば容易に予測できる作用効果にす
ぎない。
)昇降路平断面積(幅方向)の縮減(その2)c
原告主張の作用効果は,昇降路の幅方向におけるカウンターウェイト
と巻上機との位置関係が特定されて初めて奏することができる作用効果
である。にもかかわらず,上記位置関係は,特許請求の範囲に何ら特定
されておらず,原告主張の作用効果は,特許請求の範囲に記載された事
項のみに基づき常に生じるものではない。したがって,本件訂正第2発
明に固有の作用効果とはいえない。
)昇降路全体の縮減d
原告主張の各作用効果が相乗的に作用しても,当業者にとって予測困
難な作用効果が得られることはない。
5争点4(損害の額)について
()原告の主張1
ア被告は,1年間に平均して,イ号物件及びハ号物件を合計1100台,
ロ号物件を160台製造,販売している。したがって,登録の早い本件第
2特許の登録日(平成15年11月7日)から本訴提起の直前である平成
17年5月末日までの製造,販売台数は,次のとおりである。
イ号物件及びハ号物件1700台
ロ号物件250台
被告のイ号物件及びハ号物件の販売価格は,1台あたり500万円であ
り,ロ号物件の販売価格は,1台あたり550万円である。
したがって,被告各製品の上記期間中の販売総額は,98億7500万
円になる。
イ上記製造,販売によって被告の得た利益は,販売総額の25%を下るこ
とはないから,24億6875万円を下らない。したがって,原告は,被
告による被告各製品の販売により,同額の損害を受けたと推定される。仮
にそうでないとしても,被告による本件各発明の実施に対して原告の受け
るべき金銭の額の合計は,同額となる。
()被告の主張2
損害に関する原告の主張は争う。
第4争点に対する判断
1争点1(被告各製品が構成要件1Bを充足するか)について
被告各製品の巻上機は,巻上機支持台上に設置されている。被告は,巻上機
は昇降路の底部に設置されていることが必要であるから,被告各製品は本件第
1発明の技術的範囲に含まれないと主張する。しかし,以下に述べるとおり,
被告の上記主張は採用することができない。
()本件第1発明に係る特許請求の範囲の記載の文言は「昇降路の底部に設1,
置されている巻上機支持台,この巻上機支持台上に設置され,回転可能な綱
車を有する巻上機(構成要件1A及び1B)というものである。したがっ」
て,昇降路の底部に設置されるのは巻上機支持台であり,一方,巻上機は巻
上機支持台上に設置されることは記載されているものの,昇降路の底部に設
置されるものとは記載されていない。
()本件第1明細書(甲2)には,次のとおり記載されている。2
ア発明が解決しようとする課題
「0008】上記のように構成された従来のエレベータ装置において【
は,巻上機8をピット1aに設置することにより,機械室が省略されてい
るが,巻上機8に加わる上向きの力Fが巻上機取付梁6を介してアンカー
ボルト7に引き抜き力として作用するため,ピット1aの床面1bにはそ
の引き抜き力に耐え得る強度が求められる。しかし,一般にピット1aの
床面1bはコンクリートにより構成されているため,床強度には制限があ
った」。
「0009】また,床面1bのコンクリート内の鉄筋(図示せず)に【
アンカーボルト7を溶接する方法もあるが,この場合,ビルの建築業者と
の事前の打ち合わせが必要であるとともに,建築コストが増大してしま
う」。
「0011】この発明は,上記のような問題点を解決することを課題【
としてなされたものであり,ピットの床面に引き抜き力を作用させること
なく,巻上機をピットに設置することができ,また巻上機の防振性能を向
上させることができるエレベータ装置を得ることを目的とする」。
イ課題を解決するための手段
「0012】この発明に係るエレベータ装置は,昇降路の底部に設置【
されている巻上機支持台,この巻上機支持台上に設置され,回転可能な綱
車を有する巻上機,かごガイドレール,巻上機の駆動により,かごガイド
レールに案内されて昇降路内を昇降するかご,上記かごガイドレールと間
隔をおいて設置されている重りガイドレール,重りガイドレールに案内さ
れて昇降路内を昇降する釣合重り,昇降路内に設置され,巻上機から巻上
機支持台に作用する上向きの力を受け,かごガイドレール及び重りガイド
レールを支持するレール支持梁,ガイドレールにより支持されている回転
自在の返し車,及び上記巻上機の綱車及び返し車に巻き掛けられ,かごと
上記釣合重りとを吊り下げる主ロープを備えたものである。…」。
ウ発明の効果
「0028】以上説明したように,この発明のエレベータ装置は,巻【
上機から巻上機支持台に作用する上向きの力を,ガイドレールを支持する
レール支持梁で受けるようにしたので,レール支持梁に伝えられた上向き
の力は,ガイドレールに作用する下向きの力により相殺され,上向きの力
は建物に作用しない。従って,ピットの床面に引き抜き力を作用させるこ
,,,となく巻上機をピットに設置することができ床強度をます必要がなく
建築コストの増加を防止できる。…」。
()被告は,本件第1明細書の上記各記載に照らせば,本件第1発明のエレベ3
ータ装置は,床強度を増す必要なしに「巻上機をピットに設置することがで
」,「,」きる点に特徴があり構成要件1Bのこの巻上機支持台上に設置され
は「この巻上機支持台上で,かつ,昇降路の底部に設置され」の意味であ,
ると限定的に解釈すべきと主張する。
しかし,本件第1発明の課題はピットの床面に引き抜き力を作用させるこ
とがないようにして巻上機を床面に強固に固定せずに済むようにするもので
あって,本件第1発明は,かかる課題を解決するために巻上機に作用する上
向きの力をガイドレールを介してレール支持梁に作用する下向きの力によっ
て相殺させるというものである。そして,巻上機支持台が昇降路の底部に設
置されていれば,巻上機に作用する上向きの荷重が当該支持台を介して,レ
ール支持梁に伝達されて,ガイドレールを介してレール支持梁に作用する下
向きの力により相殺されるという本件第1発明の作用効果を奏するものであ
る。巻上機に作用する上向きの荷重が巻上機支持台を介して昇降路の底部に
伝達されており,かつ,巻上機に作用する上向きの力をガイドレールを介し
て下部梁構造に作用する下向きの力によって相殺させるとの本件第1発明の
作用効果を奏し得るのであるから,本件第1発明においては,巻上機自体が
昇降路の底部に設置される必要はないというべきである。また,巻上機とか
ごとの位置関係については,巻上機がピット,すなわち「かごが停止する,
最下階の床面から昇降路の底部の床面まで」の空間(乙4)に設置されない
場合には,昇降路の形状やかごの寸法を適宜調整して,巻上機と接触しない
ようにする必要があるものの,特許請求の範囲の記載や本件第1明細書の記
載は,かかる調整を何ら否定するものではない。
よって,被告主張の限定解釈をすべき理由はないものというべきであり,
昇降路の底部に巻上機支持台が設置され,巻上機支持台上に巻上機が設置さ
れている被告各製品は,構成要件1Bを充足するものである。
()よって,被告各製品は,本件第1発明の各構成要件を充足する。4
2争点2(本件第1特許が特許法29条2項に違反しているか)について
()引用例1−1(乙6・実公昭63−4058号公報)には,次の記載があ1
る。
ア「この考案は,巻上機を昇降路の側部又は底部に配設したロープ式エレ
ベータに関するものである(2欄3行ないし5行)。」
「第1図及び第2図は,巻上機が昇降路の底部に配設された従来のロー
プ式エレベータを示し,図において,…,3はレールブラケツト3aを介
して適当箇所左壁1fに固定されて立設された左側かご用レール,4はこ
の左側かご用レール3と対向して立設され,レールブラケツト4aを介し
てレール支持梁2に固定された右側かご用レール5は左側かご用レール3
及び右側かご用レール4にそれぞれ両側部を案内されて昇降するかご2」(
欄15行ないし3欄3行)
「第3図ないし第5図はこの考案の一実施例を示す。図中,同一又は相
当部分は同一符号で示し,図において4aは鞍形に形成され,鞍部が右側
かご用レール4の背面に固定され,脚部が右壁1eに固定されたレールブ
ラケツト,7は右側かご用レール4に対向する部位よりもかご出入口5a
側のかご5底部に設けられたかご用つり車,8は同様に左側かご用レール
3に対向する部位よりもかご出入口5a側のかご5底部に設けられ,かご
用つり車7に対して間口方向に並設されたかご用つり車,9は鞍形断面を
有し,脚部を昇降路1側へ向け,鞍部を右壁1eに固定されて立設された
おもり用レール,11は断面がコ字状に形成されたつり合おもりで,凹所
をおもり用レール9に対向させて昇降自在に係合されている。12はつり
合おもりの頂部に設けられたおもり用つり車,13は昇降路1の底部に設
けられた巻上機,13aはこの巻上機13のシーブで,直径d1の平盤状
に形成され,回転軸を間口方向へ向けて右壁1e面と右かご用レール4の
。,背面の間に配設されたものである14は少なくとも13aよりも上部で
かご5が最上階から更に上方へ行過ぎたとしてもかご用つり車7と干渉し
ない高さに設けられた半径r1の第1のつり車で,回転軸に直交する回転
面がシーブ13aの回転面と同一面であり,かつ,第1のつり車14の回
転軸とシーブ13aの回転軸の水平投影面における距離S11がそれぞれ
の半径の和(r1+d1/2)よりも小さくなるように配設されている。
15は第1のつり車14よりも後壁1d側でかつ,回転面が同じになるよ
うに配設された半径r2の第2のつり車で,その回転軸とシーブ13aの
回転軸の水平投影面上における距離S12がそれぞれの半径の和…よりも
小さくなるように配設されている。17はシーブ13aに下側から巻き掛
けられた主索で,一側が立ち上げられて第1のつり車14に上側から巻き
掛けられ,更にかご用つり車7,8に下側から巻き掛けられて立ち上げら
れ,最上部のレールブラケツト3aに固定され,他側が第2のつり車15
に上側から巻き掛けられ,更におもり用つり車12を介して止め板17a
に固定されている。19は一端が手前の右壁1eに固定されて昇降路1側
へ屈曲され,更に,後壁1d側へ屈曲されて途中右側かご用レール4の背
面に固定されて他端がおもり用レール9に固定された支持材で,右側かご
用レール4の反対側の面に第1のつり車14及び第2のつり車15及びつ
な止め板17aが取り付けられている。
,,上記構成のロープ式エレベータにおいて巻上機13のシーブ13aが
第3図の矢印C方向へ回転すると主索17がかご5側からつり合おもり1
1側へ送られてかご5を上昇させ,逆に,第2図の矢印D方向へ回転する
と主索17がつり合おもり11側からかぎ5(判決注:かご5」の誤記「
と認める)側へ送られてかご5を下降させるものである(4欄19行。。」
ないし5欄30行)
イ前記アの記載事項及び引用例1−1の第1図ないし第5図によれば,引
用例1−1には,以下の各構成が開示されている。
)巻上機13についてa
引用例1−1の「13は昇降路1の底部に設けられた巻上機,13a
はこの巻上機13のシーブで,…回転軸を間口方向へ向けて…配設され
たものである(乙6・4欄35行ないし40行)との記載によれば,。」
引用発明1−1の巻上機13は,昇降路の底部に設置され,回転可能な
シーブを有するものである。
b)左右のかご用レール3,4について
引用例1−1の「3はレールブラケツト3aを介して適当箇所左壁1
fに固定されて立設された左側かご用レール,4はこの左側かご用レー
ル3と対向して立設され,レールブラケツト4aを介してレール支持梁
2に固定された右側かご用レール5は左側かご用レール3及び右側かご
用レール4にそれぞれ両側部を案内されて昇降するかご(2欄26行」
ないし3欄3行,第3図及び第4図)との記載によれば,引用発明1−
,,。1の左右のかご用レール34は昇降するかごを案内するものである
)かご5についてc
引用例1−1の「上記構成のロープ式エレベータにおいて,巻上機1
3のシーブ13aが,第3図の矢印C方向へ回転すると主索17がかご
5側からつり合おもり11側へ送られてかご5を上昇させ,逆に,…,
。」(,かご5を下降させるものであるとの記載5欄24行ないし30行
第3図及び第4図)によれば,引用発明1−1のかご5は,巻上機13
の駆動により,昇降路1内を昇降するものである。
)おもり用レール9についてd
引用発明1−1のおもり用レール9は「9は鞍形断面を有し,脚部,
を昇降路1側へ向け,鞍部を右壁1eに固定されて立設された」もので
あり(4欄30行ないし32行,かご用レール3,4と間隔をおいて)
設置されている(第3図及び第4図。)
)つり合おもり11についてe
引用発明1−1のつり合おもり11は「断面がコ字状に形成され,,」
「凹所をおもり用レール9に対向させて昇降自在に係合されて(4欄」
32行ないし34行)いる(第3図及び第4図。)
)第1,第2のつり車14,15及び支持材19についてf
引用例1−1の「19は一端が手前の右壁1eに固定されて昇降路1
側へ屈曲され,更に,後壁1d側へ屈曲されて途中右側かご用レール4
の背面に固定されて他端がおもり用レール9に固定された支持材で,右
側かご用レール4の反対側の面に第1のつり車14及び第2のつり車1
5及びつな止め板17aが取り付けられている(5欄17行ないし。」
23行)との記載によれば,引用発明1−1の回転自在な第1のつり車
14(4欄40行ないし末行)及び回転自在な第2のつり車15(5欄
4行ないし9行)は,支持材19に取り付けられている。
,「」,引用発明1−1の支持材19は一端が手前の右壁1eに固定され
「途中右側かご用レール4の背面に固定され「他端がおもり用レー」,
ル9に固定され」ている(5欄17行ないし20行。したがって,同)
支持材19は,右壁1eに固定されるとともに,右側かご用レール4及
びおもり用レール9にも固定されている。
)主索17についてg
引用発明1−1の主索17は「シーブ13aに下側から巻き掛けら,
れ「一側が立ち上げられて第1のつり車14に上側から巻き掛けら」,
れ,更にかご用つり車7,8に下側から巻き掛けられて立ち上げられ,
最上部のレールブラケツト3aに固定され,他側が第2のつり車15に
上側から巻き掛けられ,更におもり用つり車12を介して止め板17a
に固定され」ている(5欄9行ないし17行)のであって,かご5を吊
り下げるとともに,つり合おもり11を吊り下げるものである。
主索17の一端を固定するレールブラケツト3aは,左側かご用レー
ル3に固定され(2欄26行ないし28行,第3図及び第4図,主索)
17の他端を固定するつな止め板17aは,上記支持材19に取り付け
られている(5欄17行ないし23行。第3図及び第5図。)
)かご用レール3,4及びおもり用レール9に加わる垂直荷重についてh
引用発明1−1の左側かご用レール3には,これに取り付けたレール
ブラケツト3aに主索17の他端が固定されているので,主索17の張
力が下方へ向かう垂直荷重として加わる。
また,引用発明1−1の右側かご用レール4及びおもり用レール9に
は,これらに固定されている支持材19に取り付けた止め板17aに主
索17の一端が固定されているので,主索17の張力が,支持材19を
介して,下方へ向かう垂直荷重として加えられる。
()本件第1発明と引用発明1−1との一致点及び相違点について2
ア本件第1発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載及び構成要件の分説
は,前記第2・1(),()のとおりである。34
イ引用例1−1には,前記認定のとおり,以下のロープ式エレベータ装置
の技術が開示されている(引用発明1−1。なお〔〕内の文言は,本),
件第1発明における対応部材の名称である。
b昇降路1の底部に設置され,回転可能なシーブ13a〔綱車〕を有す
る巻上機13,
cかご用レール3,4〔かごガイドレール,〕
d上記巻上機13の駆動により,上記かご用レール3,4〔かごガイド
レール〕に案内されて上記昇降路1内を昇降するかご5,
e上記かご用レール3,4〔かごガイドレール〕と間隔をおいて設置さ
れているおもり用レール9〔重りガイドレール,〕
f上記おもり用レール9〔重りガイドレール〕に案内されて上記昇降路
1内を昇降するつり合おもり11〔釣合重り,〕
h上記かご用レール4及びおもり用レール9〔ガイドレール〕により支
持されている回転自在の第1のつり車14〔返し車,第2のつり車1〕
5〔返し車,及び〕
i上記巻上機のシーブ13a〔綱車〕及び上記第1のつり車14〔返し
車,第2のつり車15〔返し車〕に巻き掛けられ,上記かご5と上記〕
つり合おもり11〔釣合重り〕とを吊り下げる主索17〔主ロープ〕を
備えていること
jを特徴とするエレベータ装置
ウ以上によれば,本件第1発明と引用発明1−1とは,本件第1発明の構
成要件1BないしF,HないしJにおいて一致する。そして,以下の点に
おいて相違しているものと認められる。
)本件第1発明は「昇降路の底部に設置されている巻上機支持台(構a,」
),,「」成要件1Aを有しかつ巻上機がこの巻上機支持台上に設置され
(構成要件1B)ているのに対し,引用発明1−1は「巻上機支持台」
を有していない(相違点P。)
)本件第1発明は「上記昇降路内に設置され,上記巻上機から上記巻上b
機支持台に作用する上向きの力を受け,上記かごガイドレール及び上記
重りガイドレールを支持するレール支持梁(構成要件1G)を有して」
,()。いるのに対し引用発明1−1はこの構成を有していない相違点Q
)なお,本件第1発明の構成要件1Hと引用発明1−1の構成区分hはc
共通の構成を有するものであるから,相違点となるものではない。
()引用発明1−1と引用発明1−2及び引用例1−3記載の周知技術との組3
合せの容易想到性について
ア相違点Qについて
)引用例1−2(乙5・実願昭56−198591号のマイクロフィルa
ム)には,次の記載がある。
①考案の詳細な説明
()「まず,第1図によって従来のベースメント形エレベータを説i
明する。…。すなわち,巻上機(5)が付勢され主索(6)を介し
てかご(3)が駆動されて,かご(3)はレール(2)に案内され
て昇降する。そして巻上機(5)に常時上方向の荷重が作用するた
()。()めに強固なアンカーボルト5aが必要となるまた底部1b
は一般に防水モルタルによって仕上げられていて,アンカーボルト
(5a)の埋設に煩雑な手数が掛かる不具合があった。この考案は
上記の欠点を解消するもので,昇降路の下部に巻上機が簡易な手段
によって設置されたベースメント形エレベータを提供しようとする
ものである(1頁14行ないし2頁17行)。」
「,,。()以下第2第3図によってこの考案の一実施例を説明するii
。,()()…すなわち巻上機5に作用する上方向の荷重は支持部材7
(),()。を介して立設部材2ブラケット2aによって支持される
このため巻上機(5)の固定のためのアンカーボルトの埋設等の手
。。,()数を省くことができる…なおこの実施例における立設部材2
,,が建築躯体の柱他のエレベータ機器からなるものであっても第2
第3図の実施例とほぼ同様な作用が得られることは明白である」。
(2頁18行ないし3頁18行)
(iii)「以上説明したとおりこの考案は,昇降路の下部に配置され
た巻上機を昇降路に設けられた立設部材の下端に一部が固定された
支持部材の他部に装着したので,巻上機に作用する上方向の荷重が
支持部材を介して立設部材によって支持されるため,簡単な構造で
容易に巻上機を設置することができる安価なベースメント形エレベ
ータを実現するものである(3頁19行ないし4頁5行)。」
②()前記各記載によれば,従来技術においては,巻上機に上方向のi
荷重が作用することから床面に対し強固なアンカーボルトで固定す
ることが必要であったところ,引用発明1−2は,巻上機を立設部
材の下端に一部が固定された支持部材に装着することによって,巻
上機に作用する上方向の荷重を支持部材を介して立設部材によって
支持させること,すなわち「巻上機に加わる上向きの力」を「案,
内車から立設部材を介して作用する下向きの力」で相殺して,ピッ
トの床面に引き抜き力を作用させることがないようにして,ピット
の床面への強固な固定を不要にするというものである。
()原告は,引用例1−2の「巻上機(5)に作用する上方向の荷ii
重は支持部材(7)を介して立設部材(2,ブラケット(2a))
によって支持される」との記載を理由として,引用例1−2に上。
記技術は開示されていないと主張する。
そこで,上記記載を検討すると,引用発明1−2における従来例
(第1図,昇降路の下部に巻上機を簡易な手段によって設置でき)
るようにするという課題,実施例である第2図及び第3図に示され
たエレベータ装置の具体的な構造「巻上機に作用する上方向の荷,
重が支持部材を介して立設部材によって支持されるため,簡単な構
造で容易に巻上機を設置することができる」との作用効果の記載に
照らせば,引用発明1−2においては「巻上機に加わる上向きの,
力」をこれと反対方向の「案内車に加わる下向きの力」で相殺する
ことが必須である。したがって,当業者は,前記実施例が,かかる
相殺を可能とする「閉じた構造体(相反する二つの力の伝達経路」
が共通の構造部分で構成される構造体)を構成しているものと解釈
するというべきである。そして,このような「閉じた構造体」にお
いては,力学的観点からみて「巻上機に加わる上向きの力」を当,
該構造体の外にある昇降路の底部や昇降路の周壁に対して伝えるこ
とはあり得ないのであって,ブラケット(2a)には上向きの力は
かからないというべきである(乙16。実際,引用例1−2の第)
2図に示されている構造体からブラケット(2a)を除いた構造体
において,力学的均衡は保たれているのであるから(乙22の1・
2,ブラケット(2a)の機能は,地震等によるガイドレールの)
()。,横揺れを防止する程度のものというべきである乙17そして
「一般に構造体を閉じた構造体にして構造体に作用する力の系が,
つり合い状態(内的なつり合い)になっていれば,その構造体の外
部に力がかかることはない」ということは初歩的な力学上の常識。
の範囲内の命題にすぎないものであるから(乙16。原告も,この
点は争わない,引用例1−2に接した当業者は,上記のような。)
理解を容易になし得るものである。
したがって,引用例1−2に開示されている技術内容を当業者が
把握する際には「巻上機(5)に作用する上方向の荷重は支持部,
材(7)を介して立設部材(2,ブラケット(2a)によって支)
持される」との記載は,上記のように合理的な解釈によりこれを。
理解するものであり,同記載における「ブラケット(2a」は,)
これを文字どおりに読むとすれば,技術的に明らかに不正確な記載
あるいは技術的に誤った記載と理解してその技術内容を解するもの
というべきである。
このように,刊行物の記載が,技術的に明らかに不正確な記載あ
るいは技術的に誤った記載を含んでいる場合には,これに接した当
業者は合理的な解釈によりこれを理解するのであって,技術的に明
らかに不正確な記載あるいは技術的に誤った記載のとおりに刊行物
に記載された技術内容を理解することはないと解すべきである。
よって,引用例1−2に接した当業者は,ブラケット(2a)の
機能に関する前記記載については,前記()認定のとおりに技術内i
容を理解するのであり,これに反する原告の主張は採用することが
できない。
)相違点の容易想到性についてbQ
引用発明1−1においては,支持台が設けられているか否かにかかわ
らず,巻上機あるいは巻上機支持台に上向きの力が作用するのであるか
ら,これを床面に対しアンカーボルトなどにより強固に固定する必要が
あるという課題が生じることは,引用例1−2から明らかである。そし
て,巻上機におけるかかる課題を解決したのが,まさに引用発明1−2
なのであるから,引用発明1−1に接した当事者が,この課題に気が付
き,この課題を解決するために引用発明1−2の構成を採用することに
想到することは容易であり,引用発明1−1に引用発明1−2を組み合
。,わせることについては十分な動機付けがあるというべきであるそして
引用発明1−2の支持部材は,本件第1発明の構成要件1Gの「昇降路
内に設置され,上記巻上機から・・・上向きの力を受け,上記かごガイ
ドレールを支持するレール支持梁」に相当するものであるから,当業者
がこの支持部材を参考にして,巻上機支持台の設けられた引用発明1−
1について,かご用レール3,4及びつり合重り用レール9の各下端,
並びに巻上機13を設置している巻上機支持台の底面をそれぞれ別の箇
所で固定して連結する支持部材を設置することは,当業者が容易になし
得ることというべきである。
ところで,本件第1発明において,返し車の荷重はガイドレールに作
用して下向きの力となる必要があることから,ガイドレールが返し車を
実質的に支持している必要があり,返し車の荷重は綱止め部材を介して
ガイドレールに伝えられているのである。一方,引用発明1−1のつり
車は,支持材19に取り付けられており,その支持材19は,かご用レ
ール4及びおもり用レール9に固定されるのみならず,右壁1eにも固
定されている(乙6・5欄17ないし23行。原告は,かかる点を指)
摘して,引用発明1−1の構成区分hは,その実質においては,本件第
1発明の構成要件1Hと全く異なる作用を営むものであり,実質的には
相違すると主張する。しかし,引用発明1−1のつり車は,支持材19
を介してかご用レール4及びおもり用レール9によっても支持されてい
るのであるから,構成要件1Hの「上記ガイドレールにより支持されて
いる回転自在の返し車」と同一の構成を有しているのであり,この点は
実質的な相違点にならないものと認められる。すなわち,引用発明1−
1に引用発明1−2を組み合わせることによって,建物の躯体を含まな
い「閉じた構造体」が構成されるのであって,その結果,つり車の荷重
は,支持体19を介して「閉じた構造体」を構成する「かご用レール4
及びおもり用レール9」に作用し「閉じた構造体」を構成しない「右,
壁1e」には実質的には作用しなくなるのであるから,その相違は解消
されるというべきである。したがって,原告の主張は採用することがで
きない。
イ相違点Pについて
)引用例1−3記載の周知技術についてa
エレベータの巻上機を床面に設置する方法としては「巻上機のタイ,
プや構造の違いによって種々のものがあるが(乙9,引用例1−1」)
の第3図に示されるように巻上機を直接床面に設置する方法,引用例1
−3(乙9・建築基準法及び同法施行令・昇降機技術基準の解説・1「
」)994年版建設省住宅局建築指導課監修・平成5年12月25日発行
の248,249頁に示されるように,巻上機を床面に固定された巻上
機取付梁(マシンビーム)の上に設置する方法(249頁の第2−44
図,巻上機を床面に固定された巻上機取付梁(マシンビーム)の上に)
防振ゴムを介在させて設けたマシンベット(本件第1発明の支持台に相
当する)の上に設置する方法(249頁の第2−43図)等が例示さ。
れている。このように,巻上機の据付方法には,種々のものがあり,巻
上機を支持台に据え付ける方法も,周知の技術の一つと認められる。
)相違点Pの容易想到性についてb
巻上機の据付方式には,巻上機のタイプや構造の違いにより種々のも
のがあり,巻上機を床面に直接設置することなく,マシンベッド(支持
台)を設けてその上に載せることは,前記)に認定したとおり,周知a
の技術の一つである。したがって,巻上機のタイプや構造の違い,ある
いは,何らかの設計上の必要性に応じ,引用発明1−1に引用発明1−
2の上記構成を組み合わせた巻上機を支持台の上に設置するかどうか
は,何らかの設計上の理由により適宜選択できる事項であると認められ
る。
原告は,引用例1−3では,巻上機は昇降路の上方に設けられた機械
室に設置されているため,巻上機には下向きの力が働き,巻上機と巻上
機支持台との間には圧縮力が働くだけであるのに対し,本件第1発明に
おいては,巻上機支持台を昇降路底部に設置し,その上に巻上機を設置
した結果,巻上機には上向きの力が作用し,巻上機と巻上機支持台との
間には引っ張り力が働く点が相違すると主張する。
しかし,引用発明1−1に引用発明1−2の上記構成の組合せを想到
したときに,当業者が巻上機を支持台の上に設置することを考えるかど
うかは,上記のとおり,何らかの設計上の理由により適宜選択し得る事
項であるというべきであり,原告の上記主張は採用し得ない。
ウ以上によれば,本件第1発明は,引用発明1−1と引用発明1−2及び
引用例1−3記載の周知技術に基づいて容易に想到することができるもの
であるから,本件第1特許は,特許法29条2項に違反して付与されたも
のと認められる。よって,本件第1発明は「特許無効審判により無効に,
されるべきものと認められる」のであるから,原告は,その権利を行使す
ることができない(特許法104条の3第1項。)
()なお,原告は,本件第1特許の訂正請求を行ったと主張する(訂正によっ4
て無効理由が解消されること及び訂正後の特許の技術的範囲に被告各製品が
含まれることについて,具体的な主張立証はしていない。しかし,上記。)
訂正に係る事項は,引用発明1−1に開示されているのであって,上記無効
理由を解消するものではないから,本件第1発明に係る権利行使が許されな
いとの前記結論を左右するものではない。
3争点3−1(本件第2特許が特許法29条2項に違反しているか)について
()引用例2−2(乙13・1999年(平成11年)5月27日にドイツで1
公開された,ロープ式エレベータについてのドイツ特許出願の出願公開明
細書(DE19752232A1)には,次の記載がある。)
ア「本発明は,エレベータ昇降路内をガイドレールに沿って昇降運動する
エレベータケージと,同じくガイドレールに沿って昇降運動するカウン
タウェイトと,エレベータ昇降路内でエレベータケージとカウンタウェ
イトとを懸吊する一連の牽引ロープと,エレベータ昇降路内に突き出し
た支持台上に載設された,電動機と牽引ロープ原動車とで形成された駆
動装置とからなり,駆動装置はエレベータ昇降路内に当該階層フロアと
同じ高さで一体に突き出したコンクリート支持台上に配置されている特
許第19712646号記載のロープ式エレベータに関する(1欄3。」
行ないし14行)
「…従来のロープ式エレベータには,ほとんどの場合にエレベータ昇降
路上方に配置された別個の機械室が必要である“輸送とリフト”19。
55年第10号835頁の図12には,エレベータ昇降路内に突き出し
た支持台上に載設される駆動装置が示されている。だが,この場合にも
別個の機械室が必要であり,支持台は階層フロアと同じ高さで一体に形
成されていずに鉄骨構造からなっている。このところ,駆動装置をそれ
が別個の機械室を必要としないように形成しようとする試みが行われて
きている(1欄15行ないし31行)。」
「概略的に図示したロープ式エレベータはエレベータ昇降路3内をガイ
。ドレール2に沿って上下に運動可能なエレベータケージ1を有している
エレベータケージ1は平行に延びる一連の牽引ロープ4によって通例の
方法で懸吊されており,この牽引ロープは図中において簡略化のために
一点鎖線で表され,案内車5ないし5aを経て延びている(2欄36。」
行ないし42行)
「案内車5aは“下側滑車”として,図示したように,牽引ロープ4が
エレベータケージ1の重心を垂直に投影した箇所を通ってエレベータケ
ージ1の壁面に対して斜めに走るようにしてエレベータケージ1の下方
に配置されている。牽引ロープ4の延びをこのように配置する場合には
,エレベータケージ1に傾斜モーメントが及ぼされることはほとんどなく
これによってガイドレールとの摩擦は最小限に低減される。このロープ
式エレベータにおいて案内車5,5aはエレベータケージ1の上方に取
り付けられていてもよい(2欄43行ないし52行)。」
「カウンタウェイト6は同じく牽引ロープ4に懸吊され,エレベータ昇
降路3内しかもコンクリート支持台9の脇の自由空間8内をガイドレー
ル7によって案内される。このコンクリート支持台はエレベータ昇降路
3内に突き出した階層フロア10と同じ高さのフロア延長部であり,た
だしエレベータ昇降路の幅全体を占めていないために自由空間8が形成
される(2欄53行ないし59行)。」
「駆動装置11(これは歯車なし巻上機であってよい)は,牽引ロー。
プ4の原動車13と共に,図示した平面図から看取されるように,エレ
ベータ昇降路3内のコンクリート支持台9上にエレベータ昇降路3の境
界壁14に対して非直角をなして配置されている。駆動装置11にはハ
ンドル車(不図示である)も属しており,非常時にはこのハンドル車。
によってエレベータケージ1を,加重されたエレベータケージ1とカウ
ンタウェイト6との重量比に応じて,上昇または下降させて最寄りの停
。」()止ステーションにもたらすことができる2欄60行ないし3欄2行
「駆動装置11には,非常口錠付きの,つまり,駆動装置11側から手
前側へ,つまりコンクリート支持台9側から手前側へ開けることのでき
る錠(一般に通例であることから不図示である)付きの通用扉18を。
経て達することができる。…(3欄6行ないし12行)」
「図中には2枚扉のスライドドア21を備えたエレベータケージ1が表
されている。これはエレベータ昇降路ドア22についても同様である。
エレベータは両面にドア21を備えた通り抜け式エレベータであっても
よい。さらにエレベータと昇降路3とは1枚,2枚または3枚扉式のド
アを備えていてよい(3欄13行ないし18行)。」
「以上の説明から“機械室”をエレベータ昇降路3内に組み込んだこ,
とにより,公知の,冒頭に述べた類のエレベータに比較して,保守,点
検並びに非常時の操作も大幅に簡易化されることが判明する。カウンタ
ウェイト6用の自由空間8を設けたことにより,カウンタウェイト6は
コンクリート支持台9の脇を通過することができ,これによって,駆動
装置11を必要に応じて任意の階層に設置することが可能になる(3。」
欄19行ないし28行)
イ前記アの記載事項及び引用例2−2の添付図面(別紙参考図2)によれ
ば,引用例2−2には,以下の各構成が開示されている。
)エレベータケージ1についてa
引用発明2−2のエレベータケージ1は,エレベータ昇降路3内を昇
降するものであり(乙13・2欄36行ないし42行,平面図に示す)
ように,スライドドア21を有する(3欄13行ないし18行)乗降口
1aを備えるとともに,吊るための下側滑車である案内車5a,5aが
設けられている(2欄43行ないし52行。)
b)カウンターウェイト6について
引用発明2−2のカウンターウェイト6は,エレベータ昇降路3内で
コンクリート支持台9の脇の自由空間8内を昇降し(2欄53行ないし
59行,エレベータ昇降路3の平断面において乗降口1aに対してエ)
レベータケージ1の側方に配置され,上部に吊り車24が設けられてい
る。
c)エレベータケージ用ガイドレール2,2について
引用発明2−2の一対のエレベータケージ用ガイドレール2,2は,
エレベータ昇降路3内に設けられ,エレベータケージ1を上下方向に案
内する(2欄36行ないし42行。)
d)カウンタウェイト用ガイドレール7,7について
引用発明2−2のカウンタウェイト用ガイドレール7,7は,エレベ
ータ昇降路3内でコンクリート支持台9の脇の自由空間8内に設けら
れ,カウンタウェイト6を上下方向に案内する(2欄53行ないし59
行。)
e)駆動装置11について
引用発明2−2の駆動装置11は,エレベータケージ1とカウンタウ
ェイト6とを懸吊する牽引ロープ4が巻き掛けられた原動車13及び該
()。原動車13を駆動する電動機を有する3欄59行ないし4欄12行
同駆動装置11は,必要に応じて任意の階層に設置することが可能で
ある(3欄19行ないし28行。したがって,最下階層に設置した場)
合には,エレベータ昇降路3の最下階停止時のエレベータケージ床面よ
り上方に位置することになり,最上階層に設置した場合には,最上階停
止時のエレベータケージ天井より下方に位置することになる。
同駆動装置11は,エレベータ昇降路3内のコンクリート支持台9の
上面に配置されている(2欄60行ないし3欄2行。)
同駆動装置11は,牽引ロープ4の原動車13を備え,平断面を示す
図面から明らかなように,原動車13の回転軸方向の外形寸法が回転軸
に対して垂直な方向の外形寸法よりも小さい。
そして,同駆動装置11は,同図面から明らかなように,エレベータ
昇降路3の平断面において,カウンタウェイト6及びエレベータケージ
1とは離れてカウンターウェイト6が配置されたエレベータケージ1の
側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aに沿ってカウンタウェイ
ト6と並んで配置されている。
f)案内車5について
引用発明2−2の案内車5は,図面から明らかなように,エレベータ
昇降路3内に配置され,駆動装置11の原動車13からエレベータケー
ジ1の下部の案内車5a,5aに至る牽引ロープ4が巻き掛けられて該
牽引ロープ4の方向を転換するものである。
そして,同案内車5は,図面から明らかなように,駆動装置11より
上方に位置し,平断面において,駆動装置11の少なくとも一部と重な
るよう配置されている。
さらに,同案内車5は,その回転面が,エレベータ昇降路3の平断面
において,牽引ロープ4がエレベータケージ1の下部の案内車5a,5
aへ至る側が前記駆動装置11の原動車13から巻き掛けられる側より
前記乗降口1aから遠ざかる方向に位置して近接する前記エレベータ昇
降路3の壁面3aに対して傾斜している。
g)案内車5,駆動装置11の原動車13,返し車23,吊り車24の高
さ位置の関係について
図面において,引用発明2−2の案内車5と同駆動装置11が重なる
部分について同駆動装置11が隠れ線となる破線で描かれていることか
ら,同案内車5は同駆動装置11より上方に位置する。また,同返し車
23とカウンターウェイト6のガイドレール7が重なる部分について該
ガイドレール7が隠れ線となる破線で描かれていることから,同返し車
23はカウンターウェイト6より上方に位置する。
h)牽引ロープ4について
引用発明2−2の牽引ロープ4はエレベータケージ1を懸吊する2,(
欄36行ないし42行)と共に,カウンターウェイト6を懸吊する(2
欄53行ないし59行。)
同牽引ロープ4は,案内ロープ車5ないし5aを経て延びている。
同牽引ロープ4は,駆動装置11の原動車13に巻き掛けられ,その
一端側は昇降路上方の案内車5に巻き掛けられ,そこからエレベータケ
,,ージ1の下部に設けた案内車5a5aを介して昇降路上方で固定され
その他端側は同様に昇降路上方の返し車23に巻き掛けられ,そこから
カウンタウェイト6上の吊り車24を介して昇降路上方に固定されるこ
とになる。
()本件第2発明と引用発明2−2との一致点及び相違点について2
ア本件第2発明の特許請求の範囲(請求項2)の記載及び構成要件の分説
は,前記第2・1(),()のとおりである。34
イ引用例2−2には,前記認定のとおり,以下のロープ式エレベータ装置
の技術が開示されている(引用発明2−2。なお〔〕内の文言は,本),
件第2発明における対応部材の名称である。
2aエレベータ昇降路3内を昇降し,乗降口1aを有するとともに案内
,〔〕〔〕,車5a5a吊り車が設けられたエレベータケージ1かごと
2b前記エレベータケージ1〔かご〕と反対方向に前記エレベータ昇降
路3内を昇降し,該エレベータ昇降路3の平断面において前記乗降口
1aに対して前記エレベータケージ1〔かご〕の側方に配置され,吊
り車24が設けられたカウンターウェイト6と,
2c前記エレベータケージ1〔かご〕の水平方向の移動を規制するエレ
ベータケージ〔かご〕用ガイドレール2と,
2d前記カウンターウェイト6の水平方向の移動を規制するカウンター
ウェイト用ガイドレール7と,
〔〕〔〕2e前記エレベータケージ1かごを前記エレベータケージ1かご
の案内車5a,5a〔吊り車〕を介して懸架するとともに前記カウン
ターウェイト6を前記カウンターウェイト6の吊り車24を介して懸
架する牽引ロープ4と,
2f前記エレベータ昇降路3内に配置され,当該牽引ロープ4が巻き掛
けられた原動車13〔綱車〕及び該原動車13〔綱車〕を駆動する電
動機〔モータ部〕を有し,前記原動車13〔綱車〕を回転させること
で前記ロープ4を介して前記エレベータケージ1〔かご〕および前記
カウンターウェイト6を昇降させる駆動装置11〔巻上機〕と,
,〔〕2g前記エレベータ昇降路3内に配置され前記駆動装置11巻上機
〔〕〔〕,の原動車13綱車からエレベータケージ1かごの案内車5a
5a〔吊り車〕に至る前記牽引ロープ4が巻き掛けられて該牽引ロー
プ4の方向を転換する案内車〔第1の返し車〕とを有するロープ式エ
レベータ装置において,
2h前記駆動装置11〔巻上機〕は,
α原動車13〔綱車〕の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対
して垂直な方向の外形寸法よりも小さく,
β前記エレベータ昇降路3の平断面において前記カウンターウェ
イト6及び前記エレベータケージ1〔かご〕とは離れて前記カウ
ンターウェイト6が配置された前記エレベータケージ1〔かご〕
の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aに傾斜し,かつ
前記カウンターウェイト6と前記エレベータ昇降路3の壁面3a
に沿って並んで配置され,
γ前記エレベータ昇降路3の最下階停止時のエレベータケージ1
〔かご〕床面より上方でかつ最上階停止時のエレベータケージ1
〔かご〕天井より下方に位置し,
2i前記案内車〔第1の返し車〕は,前記駆動装置11〔巻上機〕より
上方に位置し,前記平断面において,前記駆動装置11〔巻上機〕の
少なくとも一部と重なるよう配置され,前記案内車〔第1の返し車〕
の回転面は,前記エレベータ昇降路3の平断面において前記牽引ロー
〔〕,〔〕プ4が前記エレベータケージ1かごの案内車5a5a吊り車
へ至る側が前記駆動装置11〔巻上機〕の原動車13〔綱車〕から巻
き掛けられる側より前記乗降口1aから遠ざかる方向に位置して近接
する前記エレベータ昇降路3の壁面に対して傾斜していること
2jを特徴とするエレベータ装置。
ウ以上によれば,本件第2発明と引用発明2−2とは,本件第2発明の構
成要件2AないしG,Hのα及びγ,I並びにJにおいて一致する。そし
て,以下の点において相違しているものと認められる。
すなわち,本件第2発明の巻上機が「前記昇降路の平断面において前記
カウンターウェイト及び前記かごとは離れて前記カウンターウェイトが配
置された前記かごの側方に位置する前記昇降路の壁面に平行にかつ前記カ
ウンターウェイトと前記昇降路の壁面に沿って並んで配置され(構成,」
要件2Hのβ)ているのに対し,引用発明2−2の巻上機は「前記エレ,
ベータ昇降路3の平断面において前記カウンターウェイト6及び前記エレ
ベータケージ1〔かご〕とは離れて前記カウンターウェイト6が配置され
た前記エレベータケージ1〔かご〕の側方に位置するエレベータ昇降路3
の壁面3aに傾斜し,かつ前記カウンターウェイト6と前記エレベータ昇
降路3の壁面3aに沿って並んで配置され」ている点において,相違す,
る(相違点R。)
ところで,原告は「本件第2発明では,第1の返し車が昇降路の平断,
面において巻上機の少なくとも一部と重なるように配置されている(構成
要件2Iの前段)のに対し,引用発明2−2では,第1の返し車と巻上機
とは重なっていないという相違点(相違点S)がある」旨主張する。し。
かし,引用例2−2の図において,案内車5〔第1の返し車〕が駆動装置
11〔巻上機〕の一部である原動車13と重なっている態様が明確に記載
されている。一方,構成要件2Iの前段「第1の返し車が昇降路の平断面
において巻上機の少なくとも一部と重なる」を「巻上機の前記モータ部の
少なくとも一部と重なる」と解すべきとの原告主張は理由がない。したが
って,引用発明2−2には構成要件2Iの前段が開示されているものと認
められ,原告主張の相違点Sを認めることはできない。
()引用発明2−2と引用発明2−3,同2−1との組合せの容易想到性につ3
いて
ア)引用例2−3(乙14・特開平9−165172号公報)には,次a
の記載がある。
【図2】において,エレベータの巻上機械装置6が,エレベータシャ
フト15〔昇降路〕の平断面において,カウンタウェイト2が配置され
たエレベータカー1〔かご〕の側方に位置するエレベータシャフト15
の壁面に平行に配置されている。
)引用例2−1(乙20・特開平11−130365号公報)には,次b
の記載がある。
【図8】において,トラクションマシン1〔巻上機〕が,昇降路25
〔昇降路〕の平断面において,カウンターウェイト31〔カウンターウ
ェイト〕が配置された乗かご28〔かご〕の側方に位置する昇降路25
〔昇降路〕の壁面と平行に配置されている。
イ相違点Rについて
エレベータ装置においては,不使用空間の節減を図るということは,一
般的な課題である。引用発明2−2においては,駆動装置11〔巻上機〕
が壁面に対して傾斜して配置されているところ,同発明において,前記ア
の公知の構成を採用してカウンターウェイト6が配置されたエレベータケ
ージ1〔かご〕の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aと平行に
なるように変更する程度のことは,不使用空間の節減のために,各現場の
状況に応じて,当業者が適宜選択できる単なる設計上の変更事項にすぎな
。,,いというべきであるしたがってこのような設計上の変更を行うことは
当業者であれば特段の困難を伴うこともなく容易になし得ることであり,
このように,引用発明2−2に引用発明2−3,同2−1記載の公知の構
,。成を組み合わせることによって相違点Rは容易に解消されるものである
原告は,引用発明2−2のエレベータにおいては,駆動装置を斜めにす
ることによって駆動装置を支持しているコンクリート支持台9の上に作業
,,スペースを作り出していることや乗降口のドアとの位置関係を指摘して
駆動装置の配置を斜めから平行に変更することには阻害要因がある旨の主
張をする。しかし,不使用空間の節減という一般的な課題を解決するため
に,駆動装置の形状や昇降路内の空間を考慮して,適宜の設計を行うこと
は,当業者が容易になし得ることであることは既に述べたとおりである。
そして,仮に,駆動装置を斜めにすることによって作業スペースを確保し
ているという点が,引用例2−2に開示されているとしても,昇降路の平
断面サイズやコンクリート支持台の寸法,駆動装置の形状,通用扉18の
開口部の大きさ等によっては,駆動装置を平行に配置しつつ作業スペース
を確保することも可能であって,上記課題を解決する際の阻害要因となる
ものではない。また,原告は,構成要件2Iの前段「第1の返し車は,前
記巻上機より上方に位置し,前記平断面において前記巻上機の少なくとも
一部と重なるように配置され」は,間接的に,巻上機の綱車が昇降路壁側
を向いていることを規定している旨主張する。しかし,構成要件2Iは,
第1の返し車が巻上機の少なくとも一部と重なるように配置されると規定
しているだけであるから,かかる解釈は採用できないのであって,かかる
解釈を前提とする原告の主張は理由がない。
(4)小括
このように,本件第2発明は,引用発明2−2に,引用発明2−3及び同
2−1記載の公知の構成を適用することによって容易に想到できるものであ
って,無効理由を有するものである。
4争点3−2(本件第2特許が特許法29条2項に違反しているとして,訂正
審判により同項違反が解消されるか)について
原告は,本件第2発明について,前記第2・1()イのとおり訂正審判請求5
を申し立てた。しかしながら,本件訂正第2発明の技術的範囲にイ号物件が含
,,,まれることには争いがないものの以下に述べるとおり本件訂正第2発明は
引用発明2−1に,引用発明2−2及び冠水による電動部品ないし電子機器の
被害を防止するためのそれらの部品の設置位置についての周知技術,下部プー
リの取付位置についての周知技術,引用発明2−4を組み合わせることによっ
,,,て容易に想到できるものというべきであるから前記訂正審判請求によって
無効理由が解消されるものではない。
()ア引用例2−1(乙20・特開平11−130365号公報)には,次1
の記載がある。
「0001】【
【発明の属する技術分野】本発明はエレベータ装置に係り,特に,昇降
路内へ配置するのに好適なトラクションマシンを有するロープ式のエレ
ベータ装置に関する」。
「0007】…本発明の目的は,トラクションマシンに対してブレー【
キとモータの影響をなくし,かつトラクションマシンの組立,分解が容
易に行い得るエレベータ装置を提供することにある」。
「0026】次に,本発明によるトラクションマシン1を用いたエレ【
ベータ装置について図4にもとづいて説明する。
【0027】トラクションマシン1を昇降路25のピットに固定し,ト
ラクションマシン1のシーブ5にロープ26を巻掛ける。このロープ2
6の一端は昇降路頂部に軸支された頂部プーリ27Aに巻掛けられ,そ
,こから乗かご28の下部に軸支された第1及び第2の下部プーリ29A
29Bを介して昇降路頂部のロープ止め30Aに固定される。また,ロ
ープ26の他端は同様に昇降路頂部に軸支された他の頂部プーリ27B
に巻掛けられ,そこからカウンタウェイト31上に軸支されたプーリ3
2を介して昇降路頂部のもう一つのロープ止め30Bに固定される。乗
りかご28は昇降路25内に平行で垂直に固定された一対のかごレール
33A,33Bで水平方向にずれないよう上下方向に案内され,カウン
タウェイト31は同様に固定されたカウンターウェイトレール34A,
34Bで水平方向にずれないように上下方向に案内される。
【0028】トラクションマシン1の同期モータ7,ブレーキ装置は,
図示しない制御盤により電源を供給されてその動作を制御される。同期
モータ7はシーブ5を回転させ,ロープ26を駆動することにより乗か
ご28を目的階に昇降させる。ブレーキ装置は,乗かご28の停止時に
シーブ5の回転を停止させ,乗かご28を所定階に確実に停止させる」。
「0032】図6は,昇降路内機器配置の別の例を示すもので,乗か【
ご28のドア35とは反対側に面してカウンタウェイト31とトラクシ
ョンマシン1を夫々平行に配置し,その間に頂部プーリ27Bをほぼ直
角に配置する。また,乗かご28の下部のかご下プーリ29A,29B
をかご奥からドア35側へほぼ対角にロープ26が通るように配置し,
トラクションマシン1と乗かご奥側のかご下プーリ29Aの間に頂部プ
ーリ27Aを配置する。このように配置することにより,カウンタウェ
イト31とトラクションマシン1のトータルの奥行き及び幅をコンパク
,。トに配置できるので昇降路面積を有効に利用できるという効果がある
例えば,この図では,昇降路25のカウンタウェイト31の右側に大き
なスペースが生まれるので,そのスペースを利用してガバナ等の昇降路
内配置機器を容易に設置できるという効果がある。また,本実施例は,
図5に示す配置よりも,昇降路幅が小さくなるので,幅に制約のある昇
降路に有効な実施例である。
【0033】図7は,さらに別の昇降路内機器配置を示すもので,トラ
クションマシン1をカウンタウェイト31の横に配置して,カウンタウ
ェイト31と頂部プーリ27Bとトラクションマシン1のロープ26が
同一方向に渡っていくようにしたものである。このようにすることによ
り,乗かご28の奥のスペースの奥行きが小さくでき,昇降路全体を小
さくすることができる。
【0034】図8は,他の昇降路内機器配置を示すもので,乗かご28
のドア35に隣接する側にトラクションマシン1とカウンタウェイト3
1を縦に配置したものである。したがって,昇降路25の奥行きが小さ
く,横幅が大きくなるので,昇降路25の横幅が余裕あり奥行きが厳し
い用途に適している。また,乗かご28の背後に構造物がないので,通
り抜け型の2方向で入り口を設ける場合にも適している」。
イ引用例2−1の上記記載及び図8(別紙参考図1,図4,図2によれ)
ば,引用発明2−1は,次のとおりのものであると認められる。
)乗かご28についてa
,,引用発明2−1の乗かご28は昇降路25内を昇降するものであり
乗降口28aを有すると共に,その下部に軸支された第1及び第2の下
,(【】,)。部プーリ29A29Bが設けられている乙200027図8
b)カウンターウェイト31について
引用発明2−1のカウンターウェイト31は,昇降路25の平断面に
おいて,乗かご28の乗降口28aに対して乗かご28の側方に配置さ
れ,その上にプーリ32が軸支されている(0027。【】)
同カウンターウェイト31を懸架するロープ26は,トラクションマ
シン1のシーブ5に巻き掛けられ,その一端側は昇降路頂部に軸支され
た頂部プーリ27Aに巻き掛けられ,そこから乗かご28の下部に軸支
された第1及び第2の下部プーリ29A,29Bを介して昇降路頂部の
ロープ止め30Aに固定され,その他端側は同様に昇降路頂部に軸支さ
れた他の頂部27Bに巻き掛けられ,そこから同カウンターウェイト3
1上に軸支されたプーリ32を介して昇降路頂部のもう一つのロープ止
め30Bに固定される(0027。このロープ26をトラクション【】)
マシン1で駆動すると,同カウンターウェイト31は,上記乗かご28
と反対方向に昇降することになる(図8,図4。)
c)かごガイドレール33A,33Bについて
引用発明2−1の一対のかごガイドレール33A,33Bは,昇降路
25内に平行で垂直に固定され,乗かご28を水平方向にずれないよう
上下方向に案内する(0027。【】)
)カウンターウェイトレール34A,34Bについてd
引用発明2−1のカウンターウェイトレール34A,34Bは,一対
のかごレール33A,33Bと同様に,昇降路25内に平行で垂直に固
定され,カウンターウェイト31を水平方向にずれないよう上下方向に
案内する(0027。【】)
e)ロープ26について
引用発明2−1のロープ26は,トラクションマシン1のシーブ5に
巻き掛けられ,その一端側は昇降路頂部に軸支された頂部プーリ27A
に巻き掛けられ,そこから乗かご28の下部に軸支された第1及び第2
の下部プーリ29A,29Bを介して昇降路頂部のロープ止め30Aに
固定され,その他端側は同様に昇降路頂部に軸支された他の頂部27B
に巻き掛けられ,そこからカウンターウェイト31上に軸支されたプー
リ32を介して昇降路頂部のもう一つのロープ止め30Bに固定され
(0027,上記乗かご28及び上記カウンターウェイト31を懸【】)
架する。
)トラクションマシン1についてf
引用発明2−1のトラクションマシン1は,昇降路25のピットに固
定され(0027,同期モータ7でシーブ5を回転させ,ロープ2【】)
6を駆動することにより乗かご28を目的階に昇降させる(002【
8。】)
同トラクションマシン1は,シーブ5の回転軸方向の外形寸法が回転
軸に対して垂直な方向の外形寸法よりも小さい(側面断面図である図
2。)
また,同トラクションマシン1は,昇降路25の平断面において,上
記カウンターウェイト31及び乗かご28とは離れてカウンターウェイ
ト31が配置された乗かご28の側方に位置する昇降路25の壁面25
aに平行にかつカウンターウェイト31と昇降路25の壁面25aに沿
って並んで配置されている(図8。)
そして,同トラクションマシン1は,シーブ5が上記乗かご28の側
方に位置する上記昇降路25の壁面25aに対向し,同期モータ7が上
記乗かご28側に対向している(図8。)
同トラクションマシン1のシーブ5は,カウンターウェイト31のプ
ーリ32と,近接する昇降路25の壁面25aに対して同じ距離に位置
している。
g)頂部プーリ27Aについて
引用発明2−1の頂部プーリ27Aは,トラクションマシン1より上
方に位置し(図4,乗かご28の下部プーリ29Aに至るロープ26)
が,昇降路25の平断面において,乗かご28とトラクションマシン1
との間の部分から外れた部分(乗かご28とトラクションマシン1との
間の部分から昇降路25の壁面25aに沿って乗かご28の乗降口28
a側へ延びた延長部分)を通るようになっている(図8。)
そして,同頂部プーリ27Aは,昇降路25の平断面において,トラ
クションマシン1のシーブ5から上記外れた部分へ向けて同期モータ7
を横切って同期モータ7と重なるよう配置されている(図8。)
また,同頂部プーリ27Aは,その回転面が昇降路25の壁面25a
に対し,傾斜している(図8。)
h)頂部プーリ27Bについて
,,引用発明2−1の頂部プーリ27Bは昇降路25の平断面において
トラクションマシン1のシーブ5とカウンターウェイト31のプーリ3
2との間に,それぞれの端部と接するように配置されており,トラクシ
ョンマシン1のシーブ5からカウンターウェイト31のプーリ32に至
るロープ26が巻き掛けられて当該ロープ26の方向を転換するよう
に,昇降路25内に配置されている(図8。)
そして,同頂部プーリ27Bの回転面は,昇降路25の平断面におい
て,近接する昇降路25の壁面25aに対して,ロープ26がカウンタ
ーウェイト31のプーリ32へ至る側とトラクションマシン1のシーブ
5から巻き掛けられる側とは同じ距離にある(図8。)
()本件訂正第2発明と引用発明2−1との一致点及び相違点について2
ア本件訂正第2発明の特許請求の範囲(請求項2)の記載及び構成要件の
分説は,前記第2・1()()のとおりである。5,6
イ引用例2−1には,前記認定のとおり,以下のロープ式エレベータ装置
の技術が開示されている(引用発明2−1。なお〔〕内の文言は,本),
件訂正第2発明における対応部材の名称である。
2a昇降路25内を昇降し,乗降口28aを有するとともに下部プーリ
29A,29B〔吊り車〕が設けられた乗かご28〔かご〕と,
2b前記乗かご28〔かご〕と反対方向に前記昇降路25内を昇降し,
該昇降路25の平断面において前記乗降口28aに対して前記乗かご
28〔かご〕の側方に配置され,プーリ32〔吊り車〕が設けられた
カウンターウェイト31と,
2c前記乗かご28〔かご〕の水平方向の移動を規制するかごガイドレ
ール33A,33B〔かご用ガイドレール〕と,
2d前記カウンターウェイト31の水平方向の移動を規制するカウンタ
ーウェイトレール34A,34B〔カウンターウェイト用ガイドレー
ル〕と,
2e前記乗かご28〔かご〕を前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ2
9A,29B〔吊り車〕を介して懸架するとともに前記カウンターウ
ェイト31を前記カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り車〕を
介して懸架するロープ26と,
2f前記昇降路25内に配置され,当該ロープ26が巻き掛けられたシ
ーブ5〔綱車〕及び該シーブ5〔綱車〕を駆動する同期モータ7〔モ
ータ部〕を有し,前記シーブ5〔綱車〕を回転させることで前記ロー
プ26を介して前記乗かご28〔かご〕および前記カウンターウェイ
ト31を昇降させるトラクションマシン1〔巻上機〕と,
,〔〕2g前記昇降路25内に配置され前記トラクションマシン1巻上機
〔〕〔〕,のシーブ5綱車から前記乗かご28かごの下部プーリ29A
29B〔吊り車〕に至る前記ロープ26が巻き掛けられて該ロープ2
6の方向を転換する頂部プーリ27A〔第1の返し車〕と,前記昇降
路25内に配置され,前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシーブ
5〔綱車〕から前記カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り車〕
に至る前記ロープ26が巻き掛けられて該ロープ26の方向を転換す
る頂部プーリ27B〔第2の返し車〕とを有するロープ式エレベータ
装置において,
2h前記トラクションマシン1〔巻上機〕は,
α前記シーブ5〔綱車〕の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に
対して垂直な方向の外形寸法よりも小さく,
β昇降路25の平断面において前記カウンターウェイト31及び
前記乗かご28〔かご〕とは離れて前記カウンターウェイト31
が配置された前記乗かご28〔かご〕の側方に位置する前記昇降
路25の壁面25aに平行にかつ前記カウンターウェイト31と
前記昇降路25の壁面25aに沿って並んで配置され
δるとともに前記シーブ5〔綱車〕が前記乗かご28〔かご〕の
側方に位置する前記昇降路25の壁面25aに対向し,前記同期
モータ7〔モータ部〕が前記乗かご28〔かご〕側に対向して,
γ昇降路25のピットに固定され,
2i前記頂部プーリ27A〔第1の返し車〕は,
ε前記トラクションマシン1〔巻上機〕より上方に位置し,
ζ前記平断面において,前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ2
〔〕,〔〕9A吊り車に至る前記ロープ26が前記乗かご28かご
と前記トラクションマシン1〔巻上機〕との間から外れた部分を
通るように前記トラクションマシン1巻上機のシーブ5綱,〔〕〔
車〕から上記外れた部分へ向けて前記同期モータ7〔モータ部〕
〔〕,を横切って前記同期モータ7モータ部と重なるよう配置され
η前記頂部プーリ27A〔第1の返し車〕の回転面は,前記昇降
路25の平断面において,前記ロープ26が前記トラクションマ
シン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕から巻き掛けられる側が,
前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ29A〔吊り車〕へ至る側
より前記乗降口から遠ざかる方向に位置して近接し,前記昇降路
25の壁面25aに対して傾斜し,
2k前記頂部プーリ27B〔第2の返し車〕の回転面は,前記昇降路2
5の平断面において,近接する前記昇降路25の壁面に対して,前記
ロープ26が前記カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り車〕へ
至る側と前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕か
ら巻き掛けられる側とは同じ距離にあり,
2l前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕は,前記
カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り車〕と,近接する前記昇
降路25の壁面に対して同じ距離に位置していること
2jを特徴とするエレベータ装置。
ウ以上によれば,本件訂正第2発明と引用発明2−1とは,本件訂正第2
発明の構成要件2A′ないしG′,H′のα,β及びδ,I′のε,L′
並びにJ′において一致する。そして,以下の点において相違しているも
のと認められる。
)相違点1a
本件訂正第2発明においては,構成要件2H′のγにおいて,巻上機
は「該巻上機(4)の下端は前記昇降路(8)の最下階停止時のかご,
床面より上方でかつかご天井より下方に位置し」ているのに対し,引用
発明2−1の構成区分2hのγでは,トラクションマシン1は「昇降,
路25のピットに固定され」ている点。
b)相違点2
本件訂正第2発明においては,構成要件2I′のζにおいて,前記第
1の返し車は「前記平断面において前記かご(1)の吊り車(11),
に至る前記ロープ(3)が前記かご(1)と前記巻上機(4)との間を
通るように,前記巻上機(4)の少なくとも一部と綱車(4a)から前
記かご(1)と前記巻上機(4)との間へ向けて前記モータ部(4b)
を横切って前記モータ部(4b)と重なるよう配置され」ているのに対
し引用発明2−1の構成区分2iのζでは頂部プーリ27Aは前,,,「
記平断面において,前記乗かご28〔かご〕の下部プーリ29A〔吊り
車〕に至る前記ロープ26が,前記乗かご28〔かご〕と前記トラクシ
ョンマシン1〔巻上機〕との間から外れた部分を通るように,前記トラ
クションマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕から上記外れた部分へ
向けて前記同期モータ7〔モータ部〕を横切って前記同期モータ7〔モ
ータ部〕と重なるよう配置され」ている点。
c)相違点3
本件訂正第2発明においては,構成要件2I′のηにおいて「前記,
第1の返し車(5a)の回転面は,前記昇降路(8)の平断面において
前記ロープ(3)が前記かご(1)の吊り車(11)へ至る側が前記巻
上機(4)の綱車(4a)から巻き掛けられる側より前記乗降口から遠
()」ざかる方向に位置して近接する前記昇降路8の壁面に対して傾斜し
ているのに対し,引用発明2−1の構成区分2iのηでは「前記頂部,
プーリ27A〔第1の返し車〕の回転面は,前記昇降路25の平断面に
おいて,前記ロープ26が前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシー
ブ5〔綱車〕から巻き掛けられる側が前記乗かご28〔かご〕の下部プ
ーリ29A〔吊り車〕へ至る側より前記乗降口から遠ざかる方向に位置
して近接する前記昇降路25の壁面25aに対して傾斜し」ている点。
d)相違点4
本件訂正第2発明においては,構成要件2K′において「前記第2,
の返し車(5b)の回転面は,前記昇降路(8)の平断面において,近
接する前記昇降路(8)の壁面に対して,前記ロープ(3)が前記カウ
ンターウェイト(2)の吊り車(12)へ至る側が前記巻上機(4)の
綱車(4a)から巻き掛けられる側より前記かご(1)に近づく方向に
傾斜し」ているのに対し,引用発明2−1の構成区分2kにおいては,
「前記頂部プーリ27B〔第2の返し車〕の回転面は,前記昇降路25
の平断面において,近接する前記昇降路25の壁面に対して,前記ロー
プ26が前記カウンターウェイト31のプーリ32〔吊り車〕へ至る側
と前記トラクションマシン1〔巻上機〕のシーブ5〔綱車〕から巻き掛
けられる側とは同じ距離にあ」る点。
)なお,本件訂正第2発明の構成要件2H′のαにおいて,巻上機は,e
「前記綱車の回転軸方向の外形寸法が前記回転軸に対して垂直な方向の
外形寸法よりも小さ」いという点については,引用発明2−1のトラク
ションマシン1も同様の構成であることが認められるので,相違点であ
るとは認められない。
()相違点1ないし3の容易想到性について3
ア引用例2−2(乙13・1999年(平成11年)5月27日にドイツ
で公開された,ロープ式エレベータについてのドイツ特許出願の出願公開
明細書(DE19752232A1)には,前記3()イで述べたほか,)1
次の記載がある。
)駆動装置11についてa
引用発明2−2の駆動装置11は,牽引ロープ4が巻き掛けられた原
動車13及び該原動車13を駆動する電動機25を有し(乙13・3欄
59行ないし4欄12行,一点鎖線で示す中心線dが原動車13及び)
電動機25を通って,電動機25の回転軸から原動車13の回転軸へ駆
動力を伝達させる両回転軸の軸心を同心にして,原動車13と電動機2
5を対向させている。
そして,原動車13は,エレベータ昇降路3の平断面において,その
回転軸に対して垂直な方向の外形寸法が,電動機25の同方向の外形寸
法より小さい。
また,駆動装置11は,エレベータ昇降路3内のコンクリート支持台
9上に配置され(2欄60行ないし3欄2行,かつ,コンクリート支)
持台9はエレベータ昇降路3内に突き出した階層フロア10と同じ高さ
のフロア延長部であるところ(2欄53行ないし59行,駆動装置1)
1は,必要に応じて任意の階層に設置することができ(3欄19行ない
し28行)るのであり,駆動装置11を最下層階の階層フロアのコンク
リート支持台9上に置くときは,駆動装置11の下端は,エレベータケ
ージ1の最下層階停止時において,最下層階の階層フロアと同じ高さに
あるエレベータケージ1の床面より上方に位置し,また,エレベータケ
ージ1の天井より下方に位置する。
駆動装置11は,別紙参考図2から明らかなように,電動機25がエ
レベータ1の側方に位置するエレベータ昇降路3の壁面3aに対向し,
原動車13がエレベータケージ1側に対向している。
駆動装置11の原動車13は,別紙参考図2から明らかなように,カ
ウンターウェイト6の吊り車24よりも,近接するエレベータ昇降路3
の壁面3a側に位置している。
)案内車5についてb
引用発明2−2の案内車5は,別紙参考図2から明らかなように,エ
レベータ昇降路3の平断面において,エレベータケージ1の案内車5a
に至るロープ4がエレベータケージ1と駆動装置11との間を通るよう
に,駆動装置11の原動車13からエレベータケージ1と駆動装置11
との間へ向けて駆動装置11の一部と重なるよう配置されている。
)返し車23についてc
引用発明2−2において,牽引ロープ4は,駆動装置11の原動車1
,,3に巻き掛けられその一端側は昇降路上方の案内車5に巻き掛けられ
そこからエレベータケージ1の下部に設けた案内車5a,5aを介して
昇降路上方で固定され,その他端側は同様に昇降路上方の返し車23に
巻き掛けられ,そこからカウンタウェイト6上の吊り車24を介して昇
降路上方に固定されることになることから,引用発明2−2の返し車2
3は,駆動装置11の原動車13からカウンターウェイト6の吊り車2
4に至る牽引ロープ4が巻き掛けられて牽引ロープ4の方向を転換する
ように,エレベータ昇降路3内に配置されている。
同返し車23の回転面は,別紙参考図2から明らかなように,エレベ
ータ昇降路3の平断面において,近接するエレベータ昇降路3の壁面3
aに対して,牽引ロープ4がカウンターウェイト6の吊り車24へ至る
側と駆動装置11の原動車13から巻き掛けられる側とは同じ距離にあ
る。
イ相違点1について
a)本件訂正第2発明は,ピットという低所に設置された巻上機の冠水を
防止するとの課題を解決するために,巻上機の下端が「昇降路の最下階
停止時のかご床面より上方でかつかご天井より下方に位置する」との構
成を採用したものである。そして,巻上機の設置位置について,引用例
2−2は,任意の階層に設置することができ,最下層階の階層フロアの
コンクリート支持台9上に置くときは,駆動装置11の下端は,エレベ
ータケージ1の最下層階停止時において,最下層階の階層フロアと同じ
高さにあるエレベータケージ1の床面より上方に位置し,また,エレベ
ータケージ1の天井より下方に位置することを開示している。また,エ
レベータのピット内機器の浸水被害防止のために,ピット内機器のうち
ガバナプーリ6及びリミットスイッチ10,11を乗りかごが最下階に
停止した状態における乗りかごの上下端間の範囲内で最下階乗り場の床
面より少し高い位置に配置するとの技術(乙36・特開平8−8115
4号公報,及び,雨水等がかご停止最下階へ溢れ出すような事態に備)
えて,エレベータ用空調設備の少なくとも漏電遮断器を,乗りかごが停
止する最下階の床面よりも上方でかつかご天井より下方に設置するとの
技術(乙37・特開平8−277081号公報)が既に知られているこ
とからすれば,冠水による電動部品ないし電子機器の被害を防止するた
めに,それらの部品を最下階の床面より上方でかつかご天井より下方に
設置することは,既に周知の技術であったということができる。
したがって,巻上機の冠水防止という課題を解決するために,引用発
明2−1に引用発明2−2及び上記周知技術を組み合わせて,巻上機の
設置位置を,昇降路のピットから,本件訂正第2発明の構成要件2H′
のγの「該巻上機(4)の下端は前記昇降路(8)の最下階停止時のか
ご床面より上方でかつかご天井より下方」とすることは,当業者が容易
になし得ることというべきである。
)原告は,引用発明2−1におけるトラクションマシン1は昇降路床面b
に置くものであるから,その設置位置を変更することは容易に想到でき
ないと主張する。
しかし,引用例2−1には「…昇降路床面に固定することにより,,
トラクションマシン1が安定して確実に動作するようにしている(乙。」
20【0014)との記載やトラクションマシン1がピットに固定さ】
れた図(乙20【図4)があるものの,トラクションマシン1が安定】
して確実に動作するのはその固定方法次第であるから,引用発明2−1
。,がピットに固定するものに限定されると解する必要はないしたがって
引用発明2−1のトラクションマシン1の固定位置を変更することに阻
害要因はないものというべきであり,前記のとおり,引用発明2−2及
び上記周知技術を組み合わせることによって,相違点1は容易に想到で
きるというべきである。
ウ相違点2,3の容易想到性について
)昇降路内の不使用空間の発生を極力抑えることは,エレベータ装置にa
おける一般的な課題である(乙20【0032】ないし【0034,】
乙14【0002「従来の技術】エレベータの開発における目的の】【
1つは建物の空間の効率的かつ経済的利用にあった。従来のトラクショ
ンシーブエレベータにおいては,エレベータの駆動機械装置を収容する
ために設計される機械室もしくは他の空間は,建物のエレベータに要す
る空間のかなりの部分をとっている」との記載参照。したがって,。)
引用発明2−1と,エレベータ装置に関する発明である引用発明2−2
とは,共通の一般的な課題を有するものである。さらに,引用発明2−
1は,平断面での幅方向あるいは奥行き方向の不使用空間を縮減して昇
降路全体を小さくすることを課題とするところ(乙20【0032】な
いし【0034,引用発明2−2も,平断面の幅方向において案内】)
車5と駆動装置11を重ねて配置する構成に照らせば,平断面の幅方向
における不使用空間の縮減をも課題とするものである。
また,乙26ないし32によれば,乗かごに下部プーリを設けたエレ
ベータにおいて,乗かごに対するロープの取付位置すなわち下部プーリ
の取付位置は,引用例2−1の図8の態様に限られるものではなく,様
々な取付位置がある周知慣用な技術であること,そして,寸法A(乗か
ご28の乗降口28a側からかごガイドレール33A,Bの中心線Cま
での距離)と寸法B(乗かご28の乗降口28a側から下部プーリを吊
るロープの中心位置までの距離)との比(B/A)が0.35∼0.6
2の範囲内の数値になるような下部プーリの取付位置であれば,第1の
返し車の回転面の傾斜方向は,引用発明2−2のものもこれに含まれる
のであり,かかる構成は周知慣用のものであることが認められるから,
引用発明2−1の構成に代えて,下部プーリの取付位置の中からいずれ
かの構成を採用することは,当業者が適宜採用し得る設計的事項である
というべきである(別紙参考図3参照。)
したがって,エレベータ装置の各部品の形状や寸法に応じて,ロープ
の取付位置すなわち下部プーリの取付位置を適宜設計すること,その結
果,引用発明2−1における第1の返し車の回転面の近接する昇降路の
壁面に対する角度について,引用発明2−2における態様の角度を採用
して,その向きを変更することは,当業者であれば容易に想到できるも
のである。すなわち,引用発明2−1に,ロープの取付位置すなわち下
部プーリの取付位置についての上記周知慣用な技術事項を適用すれば,
ロープ及び下部プーリの取付位置に応じて必然的に第1の返し車の傾斜
方向も変化し,本件訂正第2発明と同様の構成(構成要件2I′のη)
に至るのである。よって,相違点3は,当業者が容易に想到できる設計
的事項にすぎない。
b)次に,相違点2は,第1の返し車が,平断面においてかごの吊り車に
至るロープがかごと前記巻上機との間を通るように配置されているか
(本件訂正第2発明,かごと巻上機との間から外れた部分を通るよう)
に配置されているか(引用発明2−1)の違いである。
上記のようにして下部プーリの取付位置についての上記周知慣用な技
術事項を適用することによって相違点3を解消した場合,引用発明2−
1の頂部プーリ27Aが,平断面において乗かご28の下部プーリ29
Aに至るロープ26が乗かご28とトラクションマシン1との間を通る
ように配置される構成に変わることになるから,相違点2も必然的に解
消されるものである。
したがって,相違点2も当業者が容易に想到できるものである。
c)原告は,引用発明2−2は,昇降路内にコンクリート台を設置して巻
上機を設置するものであるから,コンクリート台上の空間が不使用空間
となるのであって,昇降路平断面を小さくするという目的での動機付け
の点からすれば,引用発明2−1に組み合わせるものとしては,引用発
明2−2は積極的に排除すべきものであると主張する。
しかし,乗りかごに対するロープの取付位置すなわち下部プーリの取
付位置についての上記周知慣用な技術事項に基づいて,設計を適宜変更
,,,することによって相違点3さらには同2を容易に想到できることは
既に述べたとおりである。また,昇降路内の不使用空間の発生防止とい
うことは,エレベータ装置に共通する一般的課題である(乙14【00
02】参照。そして,引用発明2−2の従来技術は,屋上等に機械室)
を設ける必要のあるエレベータ装置なのであって,かかる従来技術との
対比からすれば,引用発明2−2においても,機械室の設置を不要にし
た点で高さ方向の不使用空間の発生を防止しているものであり,昇降路
内についても,案内車5と駆動装置11を重ねて配置するなどの不使用
空間の発生を防止しようとの設計がなされているのであるから,引用発
明2−1と引用発明2−2との間には課題の共通性が認められ,その組
合せを阻害する要因があるということもできない。
()相違点4の容易想到性について4
ア引用例2−4(乙29・特開平11−301950号公報)には,次の
記載がある。
)「0001】液体圧シリンダへ供給,あるいは液体圧シリンダからa【
排出する作動流体の流量を制御し,乗りかごの速度を制御する方式の流
体圧エレベーターの構造に関する。
【0004】本発明は,つり合おもりを設けても,このような不具合
を防ぎ,乗かご平面および昇降路平面のサイズをつり合おもりのない場
合と同等にできる流体圧エレベーターの構造を提供することにある」。
「0014】つり合おもり用ロープ8をつる固定プーリ9を昇降路【
平面の軸線Xに対して傾けて配置している。図2では,つり合おもり1
0を設けない流体圧エレベーターの乗かごおよび昇降路平面のサイズを
示している。したがって,昇降路平面のサイズを広げることなく昇降路
内に乗かご1,ガイドレール201,205,208,流体圧シリンダ
4,つり合おもり10等の機器を配置できることを示している」。
)実施例を記載した図2及び図4において,昇降路の壁面に対し,固定b
プーリ9とつり合おもり10とが配置され,固定プーリ9は,その回転
面が昇降路平面の軸線XあるいはYに対し,傾けて配置される構成が開
示されている。
イ相違点4の容易想到性について
)前記のとおり,引用例2−4には,相違点4のうちの本件訂正第2発a
明の構成要件2K′の「第2の返し車の回転面」が「昇降路の壁面」に
対し「傾斜」している構成が開示されている。そして,引用発明2−1
と引用発明2−4を組み合わせて,相違点4のうちの本件訂正第2発明
の構成要件2K′の「第2の返し車の回転面」が「昇降路の壁面」に対
し「ロープがカウンターウェイトの吊り車へ至る側が巻上機の綱車から
巻き掛けられる側よりかごに近づく方向に「傾斜」させる構成を採用」
すれば,当然「巻上機の綱車」が「カウンターウェイトの吊り車」よ,
りも,近接する昇降路の壁面側に位置することになるから,相違点4は
容易に想到できるものである。また,そもそも,引用発明2−1におい
て,トラクションマシン1が,昇降路の壁面に平行にかつカウンターウ
エイト31と前記昇降路の壁面に沿って並んで配置されるとしても,ト
ラクションマシン1とカウンタウエイト31の具体的な配置は,その大
きさと現場の状況を考慮して設計上適宜定めるものであって,単なる設
計事項にすぎないのであるから,引用例2−1において,その回転面が
昇降壁と平行な頂部プーリー27Bが,トラクションマシン1のシ−ブ
5の位置とカウンターウエイトのプーリ32との具体的な配置によって
は,両者をロープで連絡しているとの構造からして,その回転面が昇降
面と平行となることも,昇降面と傾斜するような構成となることも,い
ずれもあり得るのである。したがって,引用発明2−1における頂部プ
ーリ27B(本件訂正第2発明の「第2の返し車)の回転面が昇降路」
の壁面に対し「平行」となるか「傾斜」するかは,トラクションマシ,
ン1とカウンターウエイト31の具体的な配置に伴う,単なる設計的事
項にすぎないというべきである。
)原告は,引用発明2−4が流体圧エレベータを対象としているものでb
あること,引用発明2−4には,引用発明2−1のトラクションマシン
1のシーブ5に相当するものが存在しないことを指摘して,容易想到性
を否定する。
しかし,乙2の2,39ないし41によれば,ロープ式エレベータと
油圧式エレベータ(流体圧エレベータはこれに含まれる)はともにエ。
レベータの代表的な方式であって,一般顧客用パンフレット類において
も並べて掲載されていることが認められる。そして,巻上機及びカウン
ターウェイトを第2の返し車によって懸架する点においては,両方式の
間に差異が存するものではない。そして,引用発明2−4は「昇降路,
のサイズをつり合おもりのない場合と同等にすること」を目的としたも
のであり,昇降路の平断面を小さくするという課題について引用発明2
−1と共通するものであるから,当業者において,昇降路内の不使用空
間の発生を極力押さえるという周知の課題を解決するために,引用発明
2−1と引用発明2−4を組み合わせることは容易に想到し得ることと
いうべきであって,原告の主張は採用できない。
ウ引用発明2−1に引用発明2−2及び2−4を組み合わせることは困難
であるとの原告の反論について
)原告は「引用発明2−1ないし2−4は,その発明の課題及び目的a,
が相違するとともに,タイプが異なるエレベータ装置を対象としている
のであるから,これらを組み合わせることは困難である。さらに,本件
訂正第2発明と4つの相違点がある引用発明2−1を基礎として,それ
ぞれの相違点に対して,引用発明2−2及び2−4等の記載事項から都
合良く特定の技術事項を抽出して本件訂正第2発明のように構成するこ
とは,当業者が容易に想到し得ることではない」と主張する。。
しかし,既に述べたとおり,引用発明2−1と本件訂正第2発明との
各相違点は,相違点1については,引用発明2−2及び巻上機の冠水防
止のための周知技術により解消するものにすぎず,相違点2及び3につ
いては,乗りかごに対するロープ及び下部プーリの取付位置のうち,周
知慣用の構成のものからある構成を選択した結果生じる差異にすぎず,
相違点4についても,昇降路の壁面に並んで配置される巻上機の綱車と
カウンターウエイトの吊り車の具体的な配置により生じる設計的事項に
より生じる差異にすぎないものである。したがって,これらの相違点の
いずれも,引用発明2−1に単なる設計的な変更を加えたものか,巻き
上げ機の冠水防止のための公知技術を組み合わせたものにすぎず,当業
者がこれらの構成に想到することが困難であるということはできない。
また,エレベータにおける不使用空間の縮減,すなわち,高さ方向,奥
行き方向,幅方向における不使用空間の縮減は一般的な課題であって,
引用発明2−1,2−2及び2−4に共通するものであるから,この点
からも,これらの発明の組合せについてこれを阻害する要因もないとい
うことができる。
そして,本件訂正第2発明については,引用発明2−1に上記各公知
技術を組み合わせることによって想到し得る構成から,通常予測し得え
ない異質なあるいは顕著に優れた作用効果を奏するものと認めるに足り
る証拠もない。
エ以上によれば,本件訂正第2発明は,特許法29条2項違反の事由があ
るものと認められ,原告の訂正審判請求は,特許法126条5項に反する
ものと認められるから,原告の求める訂正によって本件第2発明の無効理
由は解消されない。
()小括5
以上のとおり,本件第2特許には特許法29条2項違反の無効理由が存在
し,無効審判により無効にされるべきものと認められるのであるから,特許
権者である原告はその権利を行使することができないというべきである特,(
許法104条の3第1項。)
5結論
よって,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がな
いのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部
設樂隆一裁判長裁判官
古河謙一裁判官
吉川泉裁判官
別紙物件目録(1)
第1−1図に図示されているがごとく,下部梁構造,上部梁構造,かご用ガイド
レール,カウンターウェイト用ガイドレールを有する構造体に,乗降口及び吊り車
を有するエレベータかご,吊り車を有するカウンターウェイト,カウンターウェイ
ト側返し車,かご側返し車及び巻上機を配置してワイヤロープを巻き掛けて,構成
の説明に記載されているように構成されたエレベータ装置
構成の説明
1一端を上部に固定されたワイヤロープは,エレベータかごの下に設けられた吊
り車を通って上方に向かい,かご側返し車で折り返され,巻上機を経て再び上方
に向かい,カウンターウェイト側返し車でさらに折り返されて,カウンターウェ
イトに設けられた吊り車を通って他端を上部に固定されている。
,,2全体の構成を平面図で見ると第1−2図のようになっておりかご側返し車は
乗降口から見て左方側面の壁面に対して傾斜している。
3巻上機は,巻上機支持構造に固定され,巻上機支持構造は下部梁構造に固定さ
れている。
4下部梁構造にはカウンターウェイト用ガイドレール及びかご用ガイドレールが
結合され,カウンターウェイト用ガイドレール(2本のうち1本)及びかご用ガ
イドレール(2本のうち1本)は上部において上部梁構造(第1−1図において
ピンク色に塗られたもの)と結合している。
5上部梁構造(第1−1図においてピンク色に塗られたもの)には,かご側返し
車が回転自在に取り付けられ,また,上部梁構造(第1−1図においてピンク色
に塗られたもの)と結合しているかご用ガイドレール及び該上部梁構造と結合し
ていないカウンターウェイト用ガイドレールの両者には,カウンターウェイト側
返し車が,回転自在に取り付けられている。
別紙物件目録(2)
第2−1図に図示されているがごとく,下部梁構造,上部梁構造,かご用ガイド
レール,カウンターウェイト用ガイドレールを有する構造体に,乗降口及び吊り車
を有するエレベータかご,吊り車を有するカウンターウェイト,カウンターウェイ
ト側返し車,かご側返し車及び巻上機を配置してワイヤロープを巻き掛けて,構成
の説明に記載されているように構成されたエレベータ装置
構成の説明
1一端を上部に固定されたワイヤロープは,エレベータかごの下に設けられた吊
り車を通って上方に向かい,かご側返し車で折り返され,巻上機を経て再び上方
に向かい,カウンターウェイト側返し車でさらに折り返されて,カウンターウェ
イトに設けられた吊り車を通って他端を上部に固定されている。
,,2全体の構成を平面図で見ると第2−2図のようになっておりかご側返し車は
乗降口から見て左方側面の壁面に対して傾斜している。
3巻上機は,巻上機支持構造に固定され,巻上機支持構造は下部梁構造に固定さ
れている。
4下部梁構造にはカウンターウェイト用ガイドレール及びかご用ガイドレールが
結合され,カウンターウェイト用ガイドレール(2本)及びかご用ガイドレール
(2本のうち1本)は上部において上部梁構造(第2−1図においてピンク色に
塗られたもの)と結合している。
5上部梁構造(第2−1図においてピンク色に塗られたもの)には,カウンター
ウェイト側返し車が回転自在に取り付けられ,また,いずれも上部梁構造(第2
−1図においてピンク色に塗られたもの)と結合している上記かご用ガイドレー
ル(2本のうちの1本)及びカウンターウェイト用ガイドレール(2本のうち1
本)にはかご側返し車が,それぞれ回転自在に取り付けられている。
別紙物件目録(3)
第3−1図に図示されているがごとく,下部梁構造,上部梁構造,かご用ガイド
レール,カウンターウェイト用ガイドレールを有する構造体に,乗降口及び吊り車
を有するエレベータかご,吊り車を有するカウンターウェイト,カウンターウェイ
ト側返し車,かご側返し車及び巻上機を配置してワイヤロープを巻き掛けて,構成
の説明に記載されているように構成されたエレベータ装置
構成の説明
1一端を上部に固定されたワイヤロープは,エレベータかごの下に設けられた吊
り車を通って上方に向かい,かご側返し車で折り返され,巻上機を経て再び上方
に向かい,カウンターウェイト側返し車でさらに折り返されて,カウンターウェ
イトに設けられた吊り車を通って他端を上部に固定されている。
2巻上機は,巻上機支持構造に固定され,巻上機支持構造は下部梁構造に固定さ
れている。
3下部梁構造にはカウンターウェイト用ガイドレール及びかご用ガイドレールが
結合され,カウンターウェイト用ガイドレール(2本)及びかご用ガイドレール
(2本のうちの1本)は上部において上部梁構造(第3−1図においてピンク色
に塗られたもの)と結合している。
6上部梁構造(第3−1図においてピンク色に塗られたもの)には,かご側返し
車及びカウンターウェイト側返し車が回転自在に取り付けられている。
(以上図面等省略)

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仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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