弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人亀山脩平の上告理由一について。
 原審が是認して引用した第一審判決は、もとより個人的事情であつても、公益的
事由の前にこれを無視すべきでないことは言うまでもないところであると判示した
上、原告(被上告人)主張の公益的事由と、被告ら(上告人ら)主張の個人的事情
とを比較考量した結果、原告(被上告人)の被告ら(上告人ら)に対する本件解約
申入れは正当の事由があると判断しているのであり、所論のように正当事由の判定
につき、公益のみを偏重し、私益を軽視し上告人らの個人的事情を斟酌しない違法
ありとすることはできない。所論は採るを得ない。
 同二について。
 原判決が訂正説示した定員、校庭の状況は、本件解約申入後の事情であるが、し
かし、第一審の採用した証人Dの証言(記録六六丁)によれば、定員一六〇名当時
においても本件家屋が運動場を中断して障害があつたというのであり、その他第一
審判決挙示の証拠と対照すれば、原審の引用する第一審判決説示の事情は解約申入
当時存在したものであつて、正当事由は右事情により認められたものと解するを相
当とし、原審の前記判示は、右事情が原審の弁論終結当時まで存続し強化された点
のあることを示した蛇足的な判示と解すべきである。それ故所論の違法は認められ
ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

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