弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決及び第一審判決を破毀する。
     本件仮処分申請を却下する。
     訴訟費用は第一審、第二審及び当審ともに上告人の負担する。
         理    由
 本件上告理由は別紙記載のとおりである。
 記録に徴するに大阪府農地委員会は上告人の所有する本件土地について、自作農
創設特別措置法に基いて、未墾地買収計畫をたて、大阪府知事は上告人に買収令書
を交付した。これに対し上告人は右農地委員会を被告として右買収計畫取消の判決
を求め、本件被上告人国を被告として右買収計書の未確定であること、並びに、右
買収計畫に基く各行政処分の執行力のないことを確認する判決を求めて大阪地方裁
判所に出訴すると共に、本件被上告人国を被申請人として同裁判所に右土地に対す
る買収計畫並びにこれに基く各行政処分の執行停止を求める仮処分を申請したので
ある。同裁判所はこの申請を理由のないものとして昭和二三年六月一九日判決を以
て申請を棄却し、原審は第二審として同二四年二月二八日控訴を棄却したのである。
 昭和二三年七月一五日、即ち本件仮処分申請事件が第二審に係属中行政事件訴訟
特例法が施行され、同法第一〇条第七項は行政庁の処分については、仮処分に関す
る民事訴訟法の規定はこれを適用しない旨を規定し、同法附則第二項は、同法は、
同法施行前に生じた事項にも適用する。但し民事訴訟法及び昭和二二年法律第七五
号によつて生じた効力を妨げないものと規定している。
 行政処分の執行停止を求める仮処分申請事件が、なお裁判所に係属している間に、
右特例法が施行された場合は、右特例法第一〇条第七項が適用され、右附則の適用
のないことは、当裁判所が昭和二四年六月一五日言渡した同二三年(オ)第六四号
行政行為禁止仮処分申請事件の判決の説示するとおりである。従つて第一審裁判所
が本件申請の内容を判断して、理由のないものとし、申請を却下したことも右特例
法施行後は同法の規定に違背することに帰着するのであつて、原審は第一審判決を
取消すべきにかゝわらずこれを取消さないで、控訴を棄却したことは違法と言わな
ければならない。
 原審は右特例法施行後も同法の附則によつて仮処分の申請に効力を失わないもの
とし、本件仮処分の申請を同一性質を有する右特例法第一〇条第二項による執行停
止を求める申請とし、申請の内容について判断を加え、理由のないものとして棄却
したのである。しかしながら民事訴訟法に定める仮処分と右特例法第一〇条第二項
の執行停止とは、その要件、手続を異にし、法律上の効果も同一でないことは法律
の規定にてらして明かである。従つて仮処分の申請をそのまゝ執行停止の申請とし
て裁判することは到底できないのであつて(本件の申請は仮処分の申請であつて執
行停止の申請でないことは申請書の記載自体で余りに明白であつてこれを執行停止
の申請と解する余地はない)原審は本件仮処分申請を却下すべきであつた。若し上
告人において右特例法による執行停止を求めるならば、更に本訴の係属する裁判所
にその申立をすべきであつて、原審がその申立のないにかかわらず本件仮処分の申
請を執行停止の申請としてその当否を判断し棄却の判決をしたことは、法律の誤解
に基くものであつて原判決は破毀を免れない。而して第一審判決の取消さるべきも
のであること、本件仮処分の申請の却下すべきものであることはさきに説明する通
りであるから、民事訴訟法第四〇八条第二号に従い、訴訟費用については同法第九
六条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見によるものである。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穗   積   重   遠

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛