弁護士法人ITJ法律事務所

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         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を東京高等裁判所に差し戻す。
         理    由
 上告代理人小国修平、同森武市の昭和四四年一二月二七日付上告理由書記載の上
告理由第二点および昭和四五年一月八日付上告理由書記載の上告理由一ならびに上
告代理人小林健治の上告理由第一点ないし第四点について。
 原審は、昭和二六年三月中頃上告人の代理人南光仁三郎と被上告人との間で、上
告人所有の第一審判決物件目録第一の土地(以下本件土地という。)と被上告人所
有の東京都品川区a町b番地c、家屋番号同町d番、木造瓦葺平家建居宅一棟床面
積八四・二九平方メートル(以下、a町の建物という。)およびその敷地である同
所、宅地一七〇四・三三平方メートルの内三三二・〇三平方メートル(以下、a町
の土地という。)の借地権とを互に交換する旨の契約が締結されたこと、昭和三九
年七月二二日上告人が被上告人に対し右契約を解除する旨の意思表示をなすに至つ
たこと、しかして、被上告人は、昭和二六年四月上告人から本件土地所有権移転登
記に必要な書類の交付を受け、同年七月五日被上告人名義に所有権取得登記を経由
し、同月六日から一〇年間本件土地を所有の意思をもつて平穏・公然と占有した事
実を認定したうえ、右占有によつて推定される被上告人の本件土地占有開始にあた
つての善意を左右する証拠はなく、この善意につき被上告人に過失はなかつたもの
と認め、結局、被上告人は一〇年の短期取得時効により本件土地の所有権を取得し
たと判断している。
 ところで、本件記録および原判決の引用する第一審判決の事実摘示によれば、上
告人は、本件交換契約の締結に際し、被上告人が、真実は、a町の土地に対し借地
権を有するにすぎないのに、右土地の所有権を有しこれを交換物件として提供する
旨述べて、上告人代理人南光を欺罔し、本件交換契約を締結したものであると主張
していたことが明らかである。
 これに対し、原判決は、前記のように、本件交換契約において、被上告人が提供
する物件は、a町の建物とa町の土地の借地権であるとの合意が当事者間に成立し
た旨判示しているから、上告人の右詐欺の主張を排斥したと解しえないではない。
 しかしながら、原判決が右認定のために挙示した各証拠を検討するに、上告人も
しくはその代理人南光が、被上告人から提供を受ける物件のうち、a町の土地が、
その所有権ではなく、被上告人の有する借地権にすぎないことを認識したうえで本
件交換契約を締結したとの認定に照応する資料は見出し難いから、右認定は証拠に
基づかないでした違法があるといわざるをえない。
 しかして、かりに、上告人の詐欺の主張が認められるとすれば、被上告人の詐欺
に基づく上告人代理人南光の錯誤により、本件交換契約は無効となることもあり、
無効と認められる場合には、被上告人は、その原因を自らつくり出した者であるか
ら、本件交換契約の無効を知つていたと認むべきものである。したがつて、上告人
の右主張の成否いかんによつては、被上告人は、本件土地を所有の意思をもつて善
意・無過失で占有を開始したと認めえない場合のありうべきことはいうまでもない。
そうであるとすれば、原判決の前示法令違背は、原判決の結論に影響を及ぼすこと
が明らかであるから、この点の違法をいう論旨は理由がある。
 それゆえ、その余の論旨につき判断するまでもなく、原判決は破棄を免かれず、
さらに上告人の前示主張に対する審理を尽させるため、本件を原審に差し戻すこと
とする。
 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判
決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    村   上   朝   一
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    岡   原   昌   男
            裁判官    小   川   信   雄

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